シンプラル法律事務所
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イノベーションのジレンマ(クリステンセン) 
★組織の能力を評価する
  組織自体にも能力がある
企業を継続的に成功させていくためには、人材評価だけではなく、組織全体で、何ができ、何ができないかという能力を評価する必要。
  本稿:
@それぞれの組織が何を達成する能力を備えているかを判断するためのフレームワークを提供
Aコア・ケイパビリティ(中核能力)が高まるのに反して、組織全体の能力が失われていく過程を示す。
B変化の種類を見つける方法とそれぞれの変化が生み出すチャンスに対して、どのような組織で対応すべきかについても分析。
C「何でもできる」式のビジネス文化で常識とされていることの多くを覆すような、重要なアドバイス。
D組織が大規模な変化・・・あるいは破壊的イノベーション・・・に対応する場合の最悪のアプローチは、現行組織を抜本的に変えてしまうことかもしれない。企業を変身させるつもりが、実は企業を支えた能力を破壊してしまうこともある。
★組織能力を決める3つの要因
  組織に何ができ、何ができないかを規定するのは、
@経営資源
Aプロセス
B価値基準
の3つの要素。
◆1 経営資源 
  @人材、設備、技術、資金といった有形のものと
A商品デザイン、情報、ブランド、サプライヤーや販売代理店や顧客との関係性といった無形のもの
◆2 プロセス
  プロセス:
経営資源を商品やサービスという一段高い価値に変容させるための、相互作用、調整、コミュニケーションおよび意思決定のパターン。
具体的には、商品開発、製造、あるいは予算作成を行う時に従うプロセス等。
  ある仕事を成し遂げるためのプロセスは、それ以外の仕事を行うことを不可能にしている。
  最も重要な能力(およびその欠如)を左右するのは、ロジスティックス、開発、製造あるいは顧客サービスといった明確でわかりやすいプロセスにあるとは限らない。
多くの企業が変化に対応するうえで欠けている能力のうち最も深刻な課題は、
経営資源をどこに投入すべきか
市場調査をどのように行うか
分析結果を財務予測にどのように反映させるか
企業と予算をどのように折り合わせるか
といった、決定プロセスのなかにひそんでいる。
◆3 価値基準 
  価値基準:
重要なことや優先すべきことを判断するための評価基準
  企業規模が大きく複雑になるほど、組織全体の社員を教育して、戦略方針やビジネスモデルとの整合性をとりながら、1人ひとりが重要度を判断できるようにすることが、より大切になってくる。
  but
社内に広く浸透した一貫性ある価値基準は、一方で、組織ができることを限定してしまう。
■@収益性 
  超ハイエンド市場の顧客をとらえようとして、商品やサービスに特徴や機能をつけ加える⇒間接費が上がる⇒以前はよしとされた粗利益率では不十分となる
  トヨタの例:
トヨタがコロナで北米市場に進出した時のターゲットはローエンド市場
その後、ホンダやマツダ、ニッサンがこのセグメントに参入⇒過当競争から粗利益率が低下⇒ハイエンド市場をターゲットとする洗練された車を開発。
カムリやレクサスのような車を開発する過程でコストがかさむ⇒価値基準が変化⇒ローエンド市場から撤退。
このパターンから脱却を図るべく、新車種のプラッツを発売し、初回購入者層向けのローエンド市場への復帰を目論む。
■A市場規模 
  企業の規模が大きくなる⇒小規模の新興市場に参入する能力を失ってしまった。
  大手製薬企業同士の大型合併⇒研究・開発組織では新製品開発にかける資源が増える
but
営業・販売組織では超大型新薬でなければ興味を持たなくなる。
=イノベーションを取り入れる能力の喪失。
★能力の重心はシフトする 
  成長の初期段階:経営資源、特に人材の影響力が大
⇒組織の能力は、プロセスと価値基準とに重心をシフト。
恒常的な業務⇒プロセスが固まる。
ビジネスモデルがはっきりし、どの業務を最優先とするかが明確に⇒価値基準が形成。
  急躍進を遂げている若い企業が1つの画期的な商品を発売してIPO
butその直後に失速。

最初の成功が、経営資源、多くの場合は会社設立に関わったエンジニアによるものであったが、その後、人気商品を続けて生み出すのに必要なプロセスを開発するのに失敗。
  ●テレビ番組のデジタル編集システムを製作するアビッド・テクノロジー社:
ビデオ編集の煩雑な作業を不要にした同社の技術⇒その株価は1993年のIPO時の16ドルから95年半ばには49ドルに。
but
市場は飽和状態となり、在庫と売掛金が増大し、競争は激化。
おまけに株主代表訴訟。
⇒株価暴落

商品は顧客に好まれたが、アビッドには有効なプロセス(=一貫して新製品を開発するプロセス、品質・商品配達・サービスを管理するプロセス)が欠けていた。
  ●マッキンゼー・アンド・カンパニー:
強力なプロセスと価値基準を持っている。
コア・ケイパビリティが、経営資源ではなく、プロセスと価値基準にある。
⇒毎年何百人ものMBA取得者が入社し、ほぼ同数が同社を去るが、毎年変わることなく質の高い仕事を達成している。
  組織に何ができるか、何ができないかを規定する要素は時とともに変化する。
@出発点:経営資源⇒
A目に見え、はっきり表現されたプロセスと価値基準へと重心がシフト⇒
B最終的には企業文化へと変容
Aの要素は組織にできることを限定する

企業が直面する問題が根本的に変化すると、能力の欠如となって現れる。
★「持続的イノベーション」対「破壊的イノベーション」
持続的イノベーション:
メイン事業の顧客がすでに価値を認めている技術を活用して、商品やサービスの機能・性能を向上させる持続的技術が原動力。 
破壊的イノベーション:
新しい種類の商品・サービスの導入によりまったく新しい市場を創造するもの。
ex.
オンライン証券ブローカーのチャールズ・シュワブは、余分なサービスのすべてを削ぎ落し、ディスカウントに特化したブローカーとして市場に参入。
初期のPCも、メインフレームやミニコンに対する破壊的イノベーション。
既存市場のメイン顧客が次の商品に求めているニーズには応えていない。
but
その代わりに既存のものとはまったく別の特性がある。
⇒新規市場商品が現れ、破壊的イノベーションが急速に進み、最終的には既存市場の顧客ニーズにも応えられるようにもなる。
メリルリンチの持つ経営資源:
人材、資金、技術のどれをとっても、
持続的イノベーション(キャッシュマネジメントアカウント)においても、
破壊的イノベーション(ディスカウントブローカー)においても、
成功するのに必要な経済資源を備えている。
but
そのプロセスおよび価値基準は持続的イノベーションのみを支えるもの。 
小規模で破壊的企業のほうがこの市場で成功を負う能力が高い⇒大企業が新興市場でお手上げとなる。

経営資源は十分ではないが、彼らの価値基準に基づけば、小規模な市場に挑戦できる。
コスト構造⇒低利益率であっても採算が合う。
市場調査と資源配分の決定プロセスには、マネジャーが直感で動ける余地を残している(どのような意思決定にも慎重なリサーチと分析の裏付けが必要、というようなことはない)。

このような大企業に対する優位性が積み重なり、破壊的イノベーションに対応したり、つくり出したりする能力となる。 
★変化への適応能力を創造する
  大企業がこうした能力を開発するには、どうしたらよいか?
  「プロセス」には経営資源ほどの柔軟性があるわけではなく、順応性があるわけでもない。
「価値基準」となれば、それはさらに低い。

持続的なものにしろ破壊的なものにしろ、イノベーションに対応するために組織が新しい能力を求め、プロセスと価値基準を必要とする場合は、その能力を開発できる組織形態を構築する必要。

3つの方法
@企業の内部に新たな組織構造をつくり、そこで新しいプロセスを開発する
A既存組織からスピンアウト(分離独立)し、独立組織をつくる。
新しい組織のなかで、問題を解決するのに必要なプロセスを開発し、価値基準を生み出す。
B直面する課題にふさわしいプロセスと価値基準をあわせ持つ別の組織を買収する。
◆1 新たな組織構造をつくる 
   
◆2 スピンアウトにより、新たな組織能力を創造する 
   
◆3 買収によって組織能力を獲得する 
   
★DECのジレンマ 
★イノベーションを生み出す組織戦略