シンプラル法律事務所
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ドラフト

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

植田和男(東大名誉教授)
日銀 出口への難路(経済教室)
(上)2018年8月20日
  労働市場を筆頭に経済情勢は好調
but
物価の動きは鈍い
⇒出口にはほど遠い
追加緩和手段は底をつきつつある。

上にも下にも動けない状況。
  90年代半ば以降のベースマネー(現金と準備預金)は増大。
2000年代初めの量的緩和策
直近の量的・質的緩和策の時機に急増。、
足もとでは90年の約y13倍。
but
物価は横ばい。
  金利がゼロになった後、単純にマネーを増やしても強い緩和効果は見込めない

金利ゼロの政府短期証券を金利ゼロのマネーと交換しているだけ。
  2013年以降は、まだ金利がゼロでなかった長期国債や、リスクプレミアム(投資家が求める超過収益)への働きかけを狙って上場投資信託(ETF)を大量に購入

長期金利の低下
円安
株高
but
インフレ率は上昇せず 
  雇用情勢は好調なのに
賃金物価上昇率が高まらない

先進国に共通。
「フラットなフィリップスカーブの謎」
  長期化する異例の緩和の副作用
大量の国債買い入れ継続に量的な限界

日銀は、2016年には、
短期金利のマイナス化
長期金利の操作目標化と、
量ではなく金利のコントロールに軸足。
but
債券市場の価格発見機能は大きく低下
利ザヤの薄くなった銀行、
運用対象が限定的となった機関投資家などによる
金融仲介機能には無視できない負の栄養
  ETF購入についても日銀が上位株主である企業が続出
⇒市場機能への影響
  金融緩和の負の影響を相殺していた円安・株高の動きをみても、
足元では限界。
  労働市場の過熱状態は当面継続
but
賃金物価への波及の程度は不確実性が高い。
米国経済は依然好調
but
長期化した上昇サイクルの下降局面に入り、貿易摩擦の深刻化、一部新興国の過剰債務問題による混乱などが懸念。
  日銀が当面採りうる選択肢:
副作用に目配りしつつ、
粘り強く現行の緩和策を続け、
物価の上昇を待つ。
but
副作用抑制策と
金融緩和の継続は
矛盾。
  7月31日の金融緩和枠組みの修正:
インフレ率が上昇しない中で金融緩和の持続性を高める
⇒操作目標である10年国際金利の変動幅を
従来のマイナス0.1%〜プラス0.1%程度から
マイナス0.2%〜プラス0.2%程度み拡大
ETF買入額を市場状況に応じて弾力化

市場機能に配慮する副作用緩和策。
10年国際金利:
if経済情勢が好調⇒許容範囲の上の方で推移するとみられる⇒変更前に比べ金利引き上げの効果を持つ。

拙速な金融引き締め観測を抑えるため「糖分の間、現在の低金利を維持する」というフォワードガイダンス(将来の指針)を合わせて導入。
but
「当分の間」という表現は多様な解釈が可能。
物価情勢次第では、この表現を微妙に修正することで、一段の金利変動幅拡大や金利引き上げにつなげていくことも可能。
金利変動幅は上下に0.1%ずつ拡大しただけ。

@債券市場の価格発見機能の回復はごくわずか
A金融機関収益にはほとんど影響なし
ETF購入の弾力化は購入量削減につながればよいが、かえってそのプットオプション(売る権利)的な性格を強めてしまうかもしれない。

今回の措置による副作用緩和効果も現行枠組みの持続性強化効果も限定的。
  物価安定目標がゼロ%でなく2%

物価指数の情報バイアス(ゆがみ)の問題に加えて、長期均衡での名目金利水準を高くして、金融緩和がゼロ金利の壁で制約される可能性を低くする、すなわち金融緩和ののりしろを確保しようとする意図。 
but
物価安定の意義は貨幣価値を安定化させ、市場経済における物・サービスの交換や金融システムを通じた資金の貸借を円滑化することにある。
     
田中隆之
(中)2018年8月21日
市場味方に金利急騰回避  
    2008年の世界金融危機

主要国の中央銀行は、
@資産購入
Aフォワードガイダンス(将来の指針表明)
Bマイナス金利政策


政策金利がほぼゼロに達し通常の緩和手段が行き詰まったことに対する政策のイノベーション(確信)
米連邦縦鼻理事会(FRB)
イングランド銀行
〜@A
日銀
欧州中央銀行
〜@AB
    副作用が多く撤退時のインパクトも大きいのが大量資産購入。
出口問題:
「大量資産購入からの出口」を論じるもの。
大量資産購入:
中銀の長期国債などの購入で長期金利を引き下げ、景気を刺激する手法。
    大量購入の副作用:
@当該金融資産市場での流動性の低下や価格発見機能の減退
A出口の困難化によるインフレ懸念の発生
B資産バブルの発生と崩壊による金融不安
C出口で発生する中銀の損失
    C
←中銀が利上げ時に超過準備にも同率の付利をするため、金利収支が悪化する。
    大量資産購入の究極の問題:
政府債務残高が巨額な国で財政破綻の可能性を高める。

@中銀による国際購入の継続と
A政府による財政悪化の放置
がセットになるケース。
    市場が「国際が紙切れになるまで政府に財政再建する意思がない」とみる
⇒国債が売られて金利が上昇⇒利払い費の増加がさらに財政を悪化⇒政府が資金調達に窮する財政破綻。
     
     
   



財政赤字の将来負担を考える(やさしい経済学)
2018年5月21日〜
  ◆@「つけ回し」か否か、2つの見方
    1990年代はじめもバブル崩壊以降
財政支出>>>税収

増税を通じた財政再建の必要性。
論点
@財政の維持可能性
A負担の世代間公平の問題(この連載)
    A:政府の財政赤字=政府債務は、現世代から将来世代への「つけ回し」⇒世代間公平の観点から許容されない。
B:赤字国債の買い手が同じ国民である限り、将来に債務返済のために税が徴収されても、それは国内の国債保有者に還元される⇒将来世代の負担は生じない 
  ◆A通説は「将来世代に負担」
    政府が財政支出を行い、それを税ではなく赤字国債の発行で賄う。
政府はその債務を、将来のある時点に、税によって返済する。

増税が先延ばしされれればされるほど、財政支出から便益を受ける世代と、それを税によって負担する世代が引き離される。
=将来世代負担。
   
「税負担の世代間割り当て」の問題として把握する限り、基本的には正しい。
but
世代間公正の実現のために増税を行う論拠として十分に強いわけではない。

世代間不平等の是正というのであれば、まずは世代間不平等の原因とされている公的年金など社会保障制度のあり方を是正した方がよほど効果的。
世代間公正の実現という政策目標のために、増税をその手段とするのは、政策割当ての問題として考えれば、必ずしも適切ではない。
  ◆B国内調達なら将来負担にならず 
    アバ・ラーナーの反論:
国債が海外で消化⇒将来世代に転嫁
国内で消化⇒転嫁はない
←租税の徴収と国債の償還が1国内で完結するなら、それは単に国内での所得移転にすぎない。
    「我々の子や孫たちが政府債務の返済をしなければならないとしても、その支払いを受けるのは彼ら以外の誰でもなく、彼らをすべてひとまとまりにして考えた場合、より豊かになっているわけでも、より貧しくなっているわけでもない」
    ex.戦費を国債発行で賄い、それを自国民が購入した場合。
現世代の国民は国債購入のために自らの支出を切り詰める「負担」を既に被っており、将来の国民が支出を切り詰める必要はない。
将来の国民は、国債保有者に対して、増税による国債償還という形で、より大きな所得を提供すればよい。
  ◆C将来の消費縮小の可能性も 
    財政赤字によって生まれる政府債務に関して、人々は家計の債務と同じように「将来の可処分所得がその分だけ減る」と考えがち。
but
自国民保有の国際で賄う場合にはそうとはいえない。

各世代の消費可能性は常にその時点での生産や所得によって制約されていて、政府債務や税負担の大きさとは基本的に無関係。
政府債務がどれだけ大きくても、それが国内で完結している限り、必ずそれと同じだけの債権保有者が存在し、その債務は一国全体ではすべて相殺される。
    戦費を国際発行で賄い、それをすべて自国民が購入⇒将来世代の負担は存在しない。
    but
財政赤字が将来における一国の消費そのものを縮小させる可能性。

巨額の国債発行が一時的に行われれば、通常の国内の資金市場がひっ迫し、対外債務(=ラーナー的意味での将来世代の負担そのもの)が増える。
    国際資本移動が禁止されている場合:
政府の財政赤字⇒対外債務の拡大ではなく金利の上昇をもたらす。

民間投資がクラウドアウト(締め出し)され、それによって一国の将来の生産可能性と消費可能性が縮小。
    一般:
財政赤字⇒
@資本市場の逼迫による金利上昇や
A経常収支の赤字すなわち対外債務の増加
をもたらす。
1980年代のレーガン政権:
大規模な所得減税⇒
@金利上昇と
A経常収支の赤字拡大
=財政赤字による将来世代の負担
  ◆所得・貯蓄が拡大すれば抑制 
    政府が財政赤字

@金利上昇や
A対外債務の増加
=将来負担の拡大
    将来負担否定論が厳密に成り立つケース:
人々が現在の増税と国債発行による将来の増税を同一視して行動する「リカーディアン」と呼ばれる経済。

政府の支出を増税で賄おうが国債発行で賄おうが、人々の貯蓄・支出行動は変わらない。

財政赤字であるがゆえに金利上昇や対外債務増加が生じることもない。
    but
現実の経済は、
@非リカーディアンであると同時に、
A需要不足による失業が存在するような「不完全雇用」の経済。
    財政赤字による将来負担は、
@金利上昇や
A対外債務の増加
となって表れる。
but
もしそれらが生じないのであれば、将来負担は生じない。
財政赤字が@金利上昇やA経常収支の赤字すなわち対外債務増加をもたらすその程度は、
完全雇用か不完全雇用かで大きく異なる。
    標準的なケインジアンモデル:
政府が赤字財政政策⇒多少の金利上昇と民間投資のクラウドアウト(締め出し)が生じる
but
乗数効果によって所得と貯蓄も増加
⇒その程度はおのずと抑制される。
     



クルーグマンの視座 
  ◆第1章 アメリカ経済に奇跡は起こらない
  ■どこかおかしいニュー・エコノミー論
  ■ベビーシッター協同組合の話 
  ■成長率と失業率の密接な関係 
@経済学者たちは、あらゆる状況下において経済成長率は2%程度に制約されている、とは主張していない。
ベビーシッター協同組合がキャンディ・スティック不足のために不況⇒GBP(ベビーシッター総生産)はキャンディ・スティックの供給量を増やせば上昇

アメリカ経済が1982年から89年の間に3.5%以上の成長率を記録したことは、それほど不思議ではない。
金融緩和⇒失業率が10.7%に上がり、フル稼働時よりも10%も生産高が低かった不況から立ち直った。

成長限界説は、経済が生産資源をフル稼働しているときにしか当てはまらない。
A経済学者は、ベビーシッター協同組合が新しいメンバーを入れたり、ベビーシッター能率が上がって、より多くの子供の面倒を見ることができるようになった場合でも、インフレ圧力は高まると主張してはいない。
成長の限界は、キャンディ・スティックがより多く供給された結果、需要が拡大した場合にのみ適用されるのであって、生産性の向上や労働力の増加によって成長した場合には当てはまらない。
需要はどれだけ拡大したら過剰といえるかのか: 
80年から95年の間、失業率を安定的に維持できる成長率は、2.4%程度。 
失業率を一定に保つような成長率、つまり、フル稼働下の経済を維持していくのに必要な成長率の限界が過去数年間で上昇したという証拠はどこにもない。
たとえば、95年の失業率は平均5.6%で、90年と同レベル。
90〜95年までの5年間の平均成長率は1.9%。 
維持可能な成長率はなぜこんなに低いのか

@ベビーブーム世代が成長し、女性が社会進出してきた時代に比べて、アメリカの労働力がそれほど増えていない。
1990年代は、労働人口や求職者数は年へ金1%しか増えていない。
公式統計によれば、生産性、すなわち労働者1人当たりの生産高は年平均1%しか伸びていない。
⇒この2つを合せて2%(=経済の潜在成長率。)
■    ■高い生産性上昇率の証拠はあるか 
■    ■グローバル化はインフレを抑制するか 
  ■ニュー・パラダイムの人気の秘密はどこにあるか