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ドラフト

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

財政赤字の将来負担を考える(やさしい経済学)
2018年5月21日〜
  ◆@「つけ回し」か否か、2つの見方
    1990年代はじめもバブル崩壊以降
財政支出>>>税収

増税を通じた財政再建の必要性。
論点
@財政の維持可能性
A負担の世代間公平の問題(この連載)
    A:政府の財政赤字=政府債務は、現世代から将来世代への「つけ回し」⇒世代間公平の観点から許容されない。
B:赤字国債の買い手が同じ国民である限り、将来に債務返済のために税が徴収されても、それは国内の国債保有者に還元される⇒将来世代の負担は生じない 
  ◆A通説は「将来世代に負担」
    政府が財政支出を行い、それを税ではなく赤字国債の発行で賄う。
政府はその債務を、将来のある時点に、税によって返済する。

増税が先延ばしされれればされるほど、財政支出から便益を受ける世代と、それを税によって負担する世代が引き離される。
=将来世代負担。
   
「税負担の世代間割り当て」の問題として把握する限り、基本的には正しい。
but
世代間公正の実現のために増税を行う論拠として十分に強いわけではない。

世代間不平等の是正というのであれば、まずは世代間不平等の原因とされている公的年金など社会保障制度のあり方を是正した方がよほど効果的。
世代間公正の実現という政策目標のために、増税をその手段とするのは、政策割当ての問題として考えれば、必ずしも適切ではない。
  ◆B国内調達なら将来負担にならず 
    アバ・ラーナーの反論:
国債が海外で消化⇒将来世代に転嫁
国内で消化⇒転嫁はない
←租税の徴収と国債の償還が1国内で完結するなら、それは単に国内での所得移転にすぎない。
    「我々の子や孫たちが政府債務の返済をしなければならないとしても、その支払いを受けるのは彼ら以外の誰でもなく、彼らをすべてひとまとまりにして考えた場合、より豊かになっているわけでも、より貧しくなっているわけでもない」
    ex.戦費を国債発行で賄い、それを自国民が購入した場合。
現世代の国民は国債購入のために自らの支出を切り詰める「負担」を既に被っており、将来の国民が支出を切り詰める必要はない。
将来の国民は、国債保有者に対して、増税による国債償還という形で、より大きな所得を提供すればよい。
  ◆C将来の消費縮小の可能性も 
    財政赤字によって生まれる政府債務に関して、人々は家計の債務と同じように「将来の可処分所得がその分だけ減る」と考えがち。
but
自国民保有の国際で賄う場合にはそうとはいえない。

各世代の消費可能性は常にその時点での生産や所得によって制約されていて、政府債務や税負担の大きさとは基本的に無関係。
政府債務がどれだけ大きくても、それが国内で完結している限り、必ずそれと同じだけの債権保有者が存在し、その債務は一国全体ではすべて相殺される。
    戦費を国際発行で賄い、それをすべて自国民が購入⇒将来世代の負担は存在しない。
    but
財政赤字が将来における一国の消費そのものを縮小させる可能性。

巨額の国債発行が一時的に行われれば、通常の国内の資金市場がひっ迫し、対外債務(=ラーナー的意味での将来世代の負担そのもの)が増える。
    国際資本移動が禁止されている場合:
政府の財政赤字⇒対外債務の拡大ではなく金利の上昇をもたらす。

民間投資がクラウドアウト(締め出し)され、それによって一国の将来の生産可能性と消費可能性が縮小。
    一般:
財政赤字⇒
@資本市場の逼迫による金利上昇や
A経常収支の赤字すなわち対外債務の増加
をもたらす。
1980年代のレーガン政権:
大規模な所得減税⇒
@金利上昇と
A経常収支の赤字拡大
=財政赤字による将来世代の負担
  ◆所得・貯蓄が拡大すれば抑制 
    政府が財政赤字

@金利上昇や
A対外債務の増加
=将来負担の拡大
    将来負担否定論が厳密に成り立つケース:
人々が現在の増税と国債発行による将来の増税を同一視して行動する「リカーディアン」と呼ばれる経済。

政府の支出を増税で賄おうが国債発行で賄おうが、人々の貯蓄・支出行動は変わらない。

財政赤字であるがゆえに金利上昇や対外債務増加が生じることもない。
    but
現実の経済は、
@非リカーディアンであると同時に、
A需要不足による失業が存在するような「不完全雇用」の経済。
    財政赤字による将来負担は、
@金利上昇や
A対外債務の増加
となって表れる。
but
もしそれらが生じないのであれば、将来負担は生じない。
財政赤字が@金利上昇やA経常収支の赤字すなわち対外債務増加をもたらすその程度は、
完全雇用か不完全雇用かで大きく異なる。
    標準的なケインジアンモデル:
政府が赤字財政政策⇒多少の金利上昇と民間投資のクラウドアウト(締め出し)が生じる
but
乗数効果によって所得と貯蓄も増加
⇒その程度はおのずと抑制される。
     



クルーグマンの視座 
  ◆第1章 アメリカ経済に奇跡は起こらない
  ■どこかおかしいニュー・エコノミー論
  ■ベビーシッター協同組合の話 
  ■成長率と失業率の密接な関係 
@経済学者たちは、あらゆる状況下において経済成長率は2%程度に制約されている、とは主張していない。
ベビーシッター協同組合がキャンディ・スティック不足のために不況⇒GBP(ベビーシッター総生産)はキャンディ・スティックの供給量を増やせば上昇

アメリカ経済が1982年から89年の間に3.5%以上の成長率を記録したことは、それほど不思議ではない。
金融緩和⇒失業率が10.7%に上がり、フル稼働時よりも10%も生産高が低かった不況から立ち直った。

成長限界説は、経済が生産資源をフル稼働しているときにしか当てはまらない。
A経済学者は、ベビーシッター協同組合が新しいメンバーを入れたり、ベビーシッター能率が上がって、より多くの子供の面倒を見ることができるようになった場合でも、インフレ圧力は高まると主張してはいない。
成長の限界は、キャンディ・スティックがより多く供給された結果、需要が拡大した場合にのみ適用されるのであって、生産性の向上や労働力の増加によって成長した場合には当てはまらない。
需要はどれだけ拡大したら過剰といえるかのか: 
80年から95年の間、失業率を安定的に維持できる成長率は、2.4%程度。 
失業率を一定に保つような成長率、つまり、フル稼働下の経済を維持していくのに必要な成長率の限界が過去数年間で上昇したという証拠はどこにもない。
たとえば、95年の失業率は平均5.6%で、90年と同レベル。
90〜95年までの5年間の平均成長率は1.9%。 
維持可能な成長率はなぜこんなに低いのか

@ベビーブーム世代が成長し、女性が社会進出してきた時代に比べて、アメリカの労働力がそれほど増えていない。
1990年代は、労働人口や求職者数は年へ金1%しか増えていない。
公式統計によれば、生産性、すなわち労働者1人当たりの生産高は年平均1%しか伸びていない。
⇒この2つを合せて2%(=経済の潜在成長率。)
■    ■高い生産性上昇率の証拠はあるか 
■    ■グローバル化はインフレを抑制するか 
  ■ニュー・パラダイムの人気の秘密はどこにあるか