シンプラル法律事務所
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ドラッカー(マネジメント(課題・責任・実践))

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

マネジメント(上)
★序論:マネジメント・ブームからマネジメント・パフォーマンスへ  
    ◆1 マネジメントの出現
    ◆2「マネジメント・ブーム」と教訓 
    ◆3 新しい挑戦 
★第T部 課題  
    ◆4 経営の課題 
※企業が業績をあげるには 
    ◆5 企業の経営:シアーズ物語
    ◆6 企業とは何か
    ◆7 企業の目的と使命(p117)
    ●企業の理論 
ヘンリー・フォードの企業家的な考えが、経済と社会を文字どおり一変させてから、古くさくなってしまうまで、わずか15年にすぎなかったのである。
企業の使命と目的をはっきり定義してこそはじめて、企業の目的を明確にし、また現実的なものにすることができる。
(目的の)優先順位、戦略、計画作成、仕事の割当の基礎になる。
管理者の職務の設計、とりわけ管理機構の設計の出発点になる。
機構は戦略に従う。戦略によって所与の企業での基幹的活動は何々かが決まる。そして戦略を立てるにも、まず「われわれの事業(内容)は何か。また、それはどうあるべきなのか」を知らねばならない。
    ■ウインターネーマーの誤り 
    ●企業の理論が、とくに今日の「知識の組織」に必要な理由 
    ■「われわれの事業は何か」は、自明のことではない 
    ●セオドア・ヴェイルと電話会社 
セオドア・N・ヴェイルがATTのために出したもの
「われわれの事業はサービス」
電話事業は自然独占⇒国有化されやすい
先進工業国では民有の電話事業は例外⇒存続するには地域社会からの支援が必要
地域社会から支援を得るには、宣伝(プロパガンダ)活動をしても、また地域社会からの批判を「非アメリカ」的とか「社会主義」的と反撃してもだめ。
地域社会からの支援は、顧客の満足度を創造すうrことによってしか得られない。
⇒企業の方針を急進的に革新。
全従業員に顧客へのサービスに献身することを教え、サービス中心のPR。
研究と技術の面で主導権をとる。
電話授業があるところなら、それがどこであっても会社は応じねばならないのであり、そのために必要な資本を調達し、その資本の収益をあげるのが経営者の職務であるという前提条件に立った財務方針。
〜1960年末になるまでの3分の2世紀の間、会社に役立った。
「われわれの事業は何か」という問に対する最も長生きした答え。
ヴェイルの答えは、事後的にみると、自明の理。
but
答えを出すのに何年もかかり、それらの答えが最初にだされたときは、どこでも「異端」扱いをされて、会社的に激しく抵抗された。
アメリカの鉄道が、自己の事業についてなんらかの定義が得られるまで十分に検討しなかった。

第二次大戦以降、彼らがもがいてきた永続的な危機の大きな原因。
地域社会からの支援がほとんどまったくなかったという、彼らの最大の弱点の大きな原因。
●トップ・マネジメントの第1の責任 
「われわれの事業は何か」と質問するのは、トップ・マネジメントの第1の責任。 
●企業の目的と使命を定義できないのが、挫折と失敗の大きな原因。
●まれにしか質問されない理由 
そうした質問は、論争、反論、不和の原因になる。
    ■異論が必要 
「われわれの事業は何か」という問いに対する答えは、つねに代替案の中から選び出したものであり、これらの代替案は、企業の「実態」と企業環境の「実態」とについて、どう想定しているかによって違っている。
常に大きなリスクが伴っている決定。
目標、戦略、組織、行動の変更に通じるもの。

代替案の中から意識的に選択した上での決定でなければならない。
「正しい答えは1つだけではない」
答えは、基礎的な仮定とか、「事実」からおのずと論理的に出てくるものではない。
答えには判断力が必要。
また、かなりの勇気が必要。
答えは「だれでも知っている」ことから出てくる場合は非常にまれ。
もっともらしさだけにもとづいて出すべきであhない。
早急に出すべきではない。
骨を折らないで出すべきではない。
    ■「意見」ではなく「方法」を 
「われわれの事業は何か」と定義するための「方法」というものが必要になってくる。
意見が生産的なものになるには、ある特定の、中心的な論点に絞られなければならない。
    ●顧客が事業を定義する 
焦点、出発点は、企業の目的と使命を定義する場合には、1つしかない。
それは顧客である。
顧客によって事業(内容)が定義される。
事業(内容)は、顧客が製品やサービスを買って、どんな要求を満足させるかによって定義される。
顧客を満足させるのが、どの企業にとっても使命であり、目的である。

「われわれの事業は何か」という問に対しては、企業を外部から、つまり顧客と市場との観点から眺めてこそはじめて答えることができる。
いかなるときにおいても、顧客が目にし、考え、信じ、欲するものを、経営陣は客観的な事実として受け止めなければならない。
経営陣は、顧客の心を(書類から)読み取ろうと努めるよりも、顧客自身から応答を受けるように意識的に努力を払わねばならない。
顧客は、その製品ないしサービスが自分にとって明日、どう役立つのかを知りたがっているだけ。
顧客に関心があるのは、自分自身の価値観、欲求、現実だけ。

このりゆうだけからしても、「われわれの事業は何か」という問に慎重に答えるには、まず顧客から、つまり顧客の現実、状況、行動、期待、価値観から出発せねばならない。
    ■だれが「顧客」なのか(第@の問題)
    ●消費者と顧客 
    ●カーペット産業の例 
それまで住宅購入者、とくにはじめて住宅を買う家族が「顧客」であると定義。
butその段階の若夫婦に購入余力なし。
「われわれの顧客はだれなのか。また、だれであるべきなのか」を質問⇒住宅量産業者を顧客にするのに成功せねばならない。
部屋いっぱいに敷物をするのを販売⇒床張りは安くて仕上げも不要⇒建築業にとってより低い原価で、よりよい住宅がつくれる。
住宅の購入者が一時に多額の支払を求められなくともすむようにする必要。
⇒貸出機関、とくに(連邦住宅局といった)住宅他の尾を保証する政府機関が、敷物を住宅投資の一部として、つまり担保価値の一部として認めてくれるようにと猛運動。
◎複数の顧客 
じゅうたくん産業:@建築業者とA受託購入者
消費税の商標品メーカー:@主婦とA食料雑貨店
保険会社の事業は、@保険の販売であると定義することもできるが、A投資者でもある。
〜地域社会の貯蓄を生産的な投資へ導くための経路として定義できる。
商業銀行:@預金者とA借入者
両者がたとえ同一の人ないしは企業であっても、相異なった期待をもち、銀行の事業をまったく違ったように定義
⇒これらの顧客の一方だけを満足させても、他方を満足させなければ成績をあげられなくなる。
ATTのヴェイルの定義
〜定義の中に、@電話の加入者とA各州政府の規制機関という2種類の別々な「顧客」を取り込んでいた。
ATTは両者に対して「サービス」を与えねばならなかった。
両者とも満足させねばならなかった。
両者は、非常に相異なった「価値」観をもち、相異なったものを望み、また必要とし、きわめて相異なった行動の仕方をした。
事業によっては、経済的に見れば顧客は一種類であるが、戦略的に見れば、つまり購入の決定という観点からは2種類以上の顧客がいる。
IBMは、販売するには、相手方の会社にいるまったく相異なった人々に、それぞれコンピュータを買わせねばならないことに、早くから気づいていた。
@コンピュータを使用する人々(主に会計、財務担当者)にコンピュータを買わせねばならない。
Aトップ・マネジメントにも買わせねばならない。
Bコンピュータをj方法の道具として利用すべき人々、つまりライン管理職にも買わせねばならない。

IBMは、当初からこれらのグループの全部に「販売」してきた。
それぞれのグループが何を探し求め、何を知らねばならないとし、何に価値を認めているのか、また、それぞれのグループに近づくにはどうしたらよいのか、について十分に検討してきている。
機器を売る場合、
たとえば勘定を支払うのは、製糸会社であるが、
その工場の工程技師、研究所の製紙化学者、購買担当者がそれぞれ「顧客」。

彼らは、たとえ同一の機器ないしは化学薬品を買っているときでも、それぞれ違ったものを買っているのであって、また何よりもまず、それぞれ違った買い方をし、それぞれ違った経路を通じて(業者から)捕捉されている。
●顧客はどこにいるか(第A)
1920年代にシアーズが成功した「秘密」の1つは、旧来の顧客が以前とは違った場所にいることを発見したから。
農民は自動車をもつようになり、町まで買物に行き始めていた。
旧来の顧客のアメリカ企業が「多国籍」企業になりつつある⇒世界中の多数の地点から顧客に融資する必要⇒国際金融市場から、とりわけヨーロッパと「ユーロダラー市場」から調達
それを認識したアメリカ人が国際金融面で主導的地位を確保
●顧客は何を買うか(第B) 
「キャデラックは、ダイヤモンド、ミンクの毛皮と競っている。キャデラックの顧客は、輸送手段を買うのではなく地位(ステイタス)を買っている」
⇒破産寸前のキャデラックを救い、大不況にもかかわらず大きな「成長企業」にまでした。
    ■顧客にとって「価値」 があるのは何か(第C)
    ●不合理な顧客はいない 
顧客は、例外なく、彼ら自身の現実と状況から見て合理的に行動している。
顧客が買うのは「製品」ではない。
顧客は、欲求の充足感を買う。顧客が買うのは常に「価値」。
    ●経済学者による「価値」の概念 
    ●価格とは何か 
安全器や遮断機といった電気器具について、住宅購入者によって代価が支払われるが、その前に、電気工事人に選択され購入される。
電気工事ににとって「j価格」は、メーカーの「卸値プラス取り付け費用」。
取り付けが迅速かつ比較的不熟練な労務者でもできるように技術設計⇒「高い卸値」のものが結局「低価格」になる。
ゼロックス:
「価格」が危機に対して支払うものではなく、複写紙に対して支払うものと定義。
顧客は、機器に対してというより、複写紙に対して支払っており、顧客が欲しいのは、機器そのものではなく、複写。
アメリカの乗用車産業では、高等数学にしか自動車の本当の「価格」は計算できない。
    顧客にとって「価値」があるのは何かを理解してこそはじめて、製品(とかサービス)に対して「価格」を決めることができる。
ゼロックスのように、顧客の「価値」に対する考えとぴったり合わせた価格体系を設定するのがメーカーないし納入業者の仕事。
but
価格は、価値の一部にすぎない。
価格に表現されていない広範な「質」についても考慮せねばならないことがある。
ex.
耐久力、呼称なし、メーカーの地位、補修サービス等
高価な香水とか、毛皮とか、特別注文のガウンのように、価格が高いこと自体が価値をもっていることもある。 
    若い技師たちは、顧客のために当を得た部品を入手するというわずらわしい手間を省いてくれる。
顧客としては、若い技師たちに、器具の種類、メーカー名、型式番号、取り換えが必要な部品(ex.コンデンサーとかマイクロ・スイッチ)を知らせるだけでよい。
若い技師たちは、顧客が指定したメーカー以外のメーカーによってつくられた、どんな部品を顧客の仕事に使用できるかも知っている。
顧客にとっては、専門知識のスピーディーなサービスこそ「価値」あるもので、それに対してはかなりの割増金を支払う意思を十分にもっている。
「われわれの事業は電子部品(の卸売)ではない。情報なのだ。」 
土木重機械用の潤滑剤の製造で、品質はいい。
butどのメジャー(国際資本)石油会社とも競合⇒わずかなマーケット・シェア。
「顧客にとって価値があるのは何か」を質問
⇒「非常に高価な機械を故障なく運転しつづけること」
土木業者にとって、1時間故障するとまる1年分の潤滑剤支出金額よりもよけい費用がかかることもある。

潤滑剤だけを「売り」ものにすることをやめ、そのかわりに、土木重機械の所有者に対して、潤滑不良のために生じた故障時間の費用を全額支払うことを「売り」に。
条件を1つつけた。
このメーカーの補修サービス代理店(もちろん、これらbの代理店が、このメーカーの潤滑剤を調合している)によって設計された土木機器の保全計画を土木会社が採用して厳守すること。

どの土木会社も潤滑油の値段を問題にしなくなっている。
    顧客の側では受け取ったサービスについてどんな価値を認めているか?
アメリカの主婦が家庭電器を買う場合、知人の体験を根拠に。
故障の際のサービスの迅速性、サービスの質と費用。
会社の顧客の種類の違いに応じて、価値に対する考えがどう違ってくるかは非常に複雑
⇒顧客自身にしか答えられない。
常に顧客のところまで行って答えをシステマティックに探し求めるべき。
    企業を基本的に統一する中核として、共通の市場というよりは共通の技術をもっている企業(ex.化学会社、商業銀行、装置産業、鉄鋼会社、アルミ精錬業者)

その事業がなんであるかを定義するには、一種類以上の市場についての定義づけが必要になる。
無限なまでに多種類の市場に出ていく⇒多種類の顧客に役立ち、実に多種多様な「価値」に対する考え方や「価値」に対する期待を満足させねばならない。 
but
そういう企業でも、
「われわれの事業は何か」を問うには、まず「われわれの”顧客”はだれか」「どこにいるのか」「何に価値を求めるのか」という質問から始めるべき。
およそ事業は、その顧客に貢献するものによって決まる。
その他のものはみな「成果」というより(たんなる)「努力」にすぎない。

顧客によって支払われるものが「収入」で、その他のものはみな「費用(コスト)」となる。

企業の「外部」から、つまり市場からのアプローチは、第1歩にすぎない。だが、市場からのアプローチは、他のアプローチに先立つもの。
市場からのアプローチだけが(経営陣に事業についての)理解力を与えることができ、そうしてこそたんなる「意見」にとってかわって、どの経営陣も直面せねばならない最も基本的な意思決定を下すときの基礎にすることができる。
  ■    ■「われわれの事業は何か」と問うとき 
「われわれの事業は何か」

ATTのヴェイルのように、目覚ましい成果を生むこともあるし、
カーペット産業の長期下落傾向の逆転のように、逆転不能と思われた衰退までも逆転させることもある。
  スローン・ジュニアが1920年に社長になったとき、GMはひどく困っていて、息もたえだえであった。
but
GMの目的と氏名についてのスローンによる定義づけと、この定義づけからスローンが展開した戦略と機構が、3年足らずでGMに主導権と顕著な収益力をもたらした。 
  1960年代にアメリカの証券市場でリーダーシップをとるまでになったウォール街の会社であるDLJ。
アイデア以外にほとんど資本はなかったが、会社は、5,6年のうちにウォール街の証券業者の第7位にまでなった。 
DLJこそ、株式を公衆に売り出した⇒「私的クラブ」からサービス組織体へ
「われわれの事業は、財務サービス、財務相談、財務管理を新種の「資本家」、つまり年金基金とか投資信託といった機関投資家に与えることである」

この事業についての定義は、事後的にみると、しごくわかりきったこと。
およそ正しい答えというものは、事後的にみるとしごくわかりきったこと。
  ●企業が成功したときに問うこと 
「われわれの事業は何か」と、真剣に問うべき最も重要な時機は、その会社が成功を収めたとき。
成功はつねに、その成功をもたらした当の行動を古くさくしてしまう。
成功によって新しい現実が創造される。
成功に特有な、それまで違った問題が創造される。
    ■われわれの事業はどうなるであろう
企業の目的と使命についての定義で、50年はおろか、30年さえも余命を保てるものはごく少ししかない。
おそらく10年間が有効というのが普通に期待できる限度。

経営陣は「われわれの事業は何か」と問うに当たって「また、われわれの事業はどうなるであろう」と問わねばならない。

@われわれの事業の特性、使命、目的に大きな衝撃を与えると”思われる”どのような環境上の変化を認めることができるのか
Aそれらの予想を、われわれの企業の理論、つまり企業の目的、戦略、仕事の割合の中に”今日”どのように組み込んだらよいのか。
    ●人口動向の重要性 
人口の中味がかわった
@部分的には年齢構成の変化のために
A主として教育水準の向上のために
無差別な「大衆読者」はなくなり、「特化した大衆市場」が多数生まれた。
    ●経済、流行、競争の変化 
@経済の変化から
A流行とか趣味の変化から
B競争による動きから
それぞれ生じる市場構造上の変化を予想せねばならない。
この場合、「競争」とはつねに、顧客がどんな製品ないしはサービスを買ったらよいかと考えているのに応じて定義されねばならない。
  ■    ■顧客の満たされていない欲求 
◎  経営陣は、消費者の欲求のうち、今日、消費者に提供されている製品ないしサービスでは、十分に満たされていないのはどれかと問わねばならない。
  ソニーが1950年代半ば「顧客の満たされていない欲求は何か」を自問。
携帯用トランジスター・ラジオ
  「われわれの事業はどうなるで”あろう”」かについて、最も大きな仕事をしてきたのは、ユニリーバ社。
主要製品系列ごとに、主要な国別市場ごとにつくったモデルは、国民所得から小売流通の変化、食事の慣習、課税まで、実に数多くの要因を考慮に入れている。
 それらの基礎とし、また出発点としたのは人口統計と人口動向。
これらは「予測」する必要はなく、すでに起こったことにもとづいて作成することができる。
  ■    ■われわれの事業はどうあるべきなのか 
「われわれの事業はどうなるので”あろう”か」という問い

予想した変化に対して適応すること。
その狙いは、現存の継続事業を修正し、延長し、発展させること。
「われわれの事業はどう”あるべき”なのか」

企業を別の企業に「変身」させて、企業の目的と使命を実現するには、どんな機会が開かれつつあるのか、ないしは創造することができるのか。
  IBMは、その事業を「データ・プロセシング」であると定義。
1950年以前には、パンチカードとそれらの分類機。
その後コンピュータが登場。
IBMは「われわれの事業はどう”あるべき”なのか」と自問し、今後は「データ・プロセシング」とは「パンチカード」ではなく「コンピュータ」の意味でなければならないことに気づいた。 
  アメリカの生命保険業:
その事業を、ずっと前から、アメリカの家族に対して「事本的な投資対象と財務の安全性」を与えることと定義。
戦後所得拡大と同時に、インフレに対して、伝統的に「保守的」で「安全」な一定金額の投資の価値が失われていくことに敏感。
会社自身の保険者名簿の中には、アメリカで最も多数の財力者がのっている。
but「われわれの事業はどう”あるべき”なのか」と自問したのはごくわずか。

「新しい貯蓄」は、生保に向けられないでますます投資信託と年金基金に向けられている。
    ■計画的な廃止が必要 
    ◆8 目標の威力と狙い:マークス・アンド・スペンサー物語
    ◆9 戦略、目標、優先順位、仕事の割当 
    ◆10 戦略計画の作成:企業家的技能
※サービス組織体が業績をあげるには 
    ◆11 多元的な組織の社会 
    ◆12 サービス組織体が業績をあげていない理由 
    ◆13 例外とその教訓 
    ◆14 サービス組織体を管理運営して業績をあげるには 
※生産的な仕事と達成意欲がある労働者 
    ◆15 新しい現実 
    ◆16 仕事、労働、労働者についてわかっていること
    ◆17 仕事の生産性をあげる:仕事と工程 
    ◆18 仕事の生産性をあげる(続):管理手段と道具 
    ◆19 労働者と労働:理論と現実 
    ◆20 成功物語:日本、ツァイス、IBM
    ◆21 責任がある労働者 
    ◆22 雇用、所得、付加給付 
    ◆23 人間こそ最大の資産 
※社会的衝撃と社会的責任
    ◆24 経営者と生活の質
    ◆25 「社会的衝撃」と「社会問題」 
    ◆26 社会責任の限界 
    ◆27 企業と政府 
    ◆28 故意に危害を加えない:責任の倫理 
マネジメント (下)
★第U部 経営管理者:仕事、職務、技能、機構 
◆      ◆29 経営管理者の必要性 
※経営管理者の仕事と職務 
    ◆30 経営管理者の本質 
◆      ◆31 経営管理者とその仕事 
◆      ◆32 経営管理者の職務の設計と内容 
◆      ◆33 経営開発と経営管理者開発
◆      ◆34 目標と自己規制による管理 
◆      ◆35 ミドル・マネジメントから知識に基礎をおく組織へ 
◆      ◆36 業績中心の精神 
※管理技能 
    ◆37 効果的な決定
◆      ◆38 管理のためのコミュニケーション 
◆      ◆39 管理手段と管理と経営者 
    ◆40 経営者と経営科学 
※管理組織 
◆      ◆41 新しいニーズと新しいアプローチ 
    ◆42 組織の建築用ブロック
◆      ◆43 組織の建築用ブロックのまとめ方 
◆      ◆44 設計の論理と設計仕様 
◆      ◆45 仕事中心と課題中心の設計:職能別組織とチーム型組織 
◆      ◆46 成果中心の設計:連邦分権制と疑似分権制 
◆      ◆47 関係中心の設計:システム型設計 
    ◆48 組織に関する結論
第V部 トップ・マネジメント:課題・組織・戦略 
◆      ◆49 ゲオルク・ジーメンスとドイツ銀行 
※トップ・マネジメントの課題と組織
    ◆50 トップ・マネジメントの課題 
    ◆51 トップ・マネジメントの構造 
    ◆52 効果的な取締役会が必要(p415)
●取締役会:法的虚構と無能な実態 
あらゆる取締役会に1つだけ共通するもの:
「どの取締役会も、その機能を果たしていない」
◎取締役会が無力化してしまった一因が、多数の対象株主を擁する大企業の発展にある。
●取締役会を「政治化」する動き 
大企業の法的所有権は、何千とうい「投資家」によって保持

取締役会はもはや所有主を代表していはない。
実際、特定のされをも代表してはいない。
◎取締役会が無力化していしまったもう一因は、大半の国で、取締役会が、法律の規定どおりの存在になりえなくなってしまった。
=会社の「統括」機関にはなりえなくなってしまった。
「統括」は常勤の職務。
◎取締役会が衰退を重ねてきた最後の要因は、概してトップ・マネジメントが、真に効果的な取締役会を望んでいない。
効果的な取締役会:
・トップ・マネジメントに業績をあげるように要求し、十分業績をあげていない最高業務執行者を排除。
  ■トップ・マネジメントの効果的な取締役会が必要な理由 
    個別企業の取締役会の成員にひとたび政治的な色合いを帯びた人間が任命されると、そのような任命から政治色を払拭することは、長期にわたって容易ではない。そのような事態が発生したとたんに、取締役会は、トップ・マネジメントの審査機関、腹蔵ないし相談相手、助言者、先導者として、効率的に働くことができなくなってしまう。それどころか逆に、規制者、対抗者になる。
    彼らは、企業に関心を注いだり、責任をもつわけにはいかない。と同時に、彼らに、取締役会で耳にしたことを胸中に秘めておくことを期待するわけにもいかない。
  ■取締役会の三機能 
●1.審査機関としての取締役会 
●2.無能な経営陣を排除する取締役会 
●3.公共・地域社会関係機能 
  ■必要ものは何か 
  ●取締役会の目標と「仕事の計画」
  ■誰を取締役にするか 
●「プロ」の取締役
●効果的な取締役会の設計と実現は、トップ・マネジメントの課題 
※戦略と組織構造 
    ◆53 適正規模について 
    ◆54 企業規模とマネジメント 
    ◆55 不適正規模について 
    ◆56 多様性への圧力 
    ◆57 多様性から統一性を生み出すために 
    ◆58 多様性の管理 
    ◆59 多国籍企業
    ◆60 成長の管理 
    ◆61 革新する組織 
  ●革新とは経済・社会用語 
小人が巨人の手で市場から締め出されているという、「人民党員」の昔ながらの古くさい神話くらい、真実から程遠いものはない。
過去25年間に出現した革新的な成長企業はたいてい、小企業として第一歩を踏み出している。
また、これまで概して小企業は巨大企業よりもはるかに優れた成績をあげてきた。
    ■革新の事例 
フランスのルノー、イタリアのフィアット、イギリスのマークス・アンド・スペンサー、スウェーデンのASEA、日本のソニー、両次世界大戦の合間の時期におけるドイツの出版社ウルシュタイン。
アメリカでは、3M、ATTのベル研究所、アメリカ銀行。
これらの企業がぞうさなく革新をやってのけ、ぞうさなく変化を自らの組織に受け入れさせている。
第二次大戦中に原子爆弾を開発したアメリカのマンハッタン計画と
初代事務局長ビクター・ワイスコフ氏の下にあったジュネーブのCERN

@組織の革新能力が経営陣の関数であって、産業や、組織の規模ないしは年輪の関数ではないこと
A無能な経営管理者が一様に口にするいいわけ・・・一国の「文化と伝統」で説明のつくものではないこと
を示唆。
また、B「研究」で説明のつくものでもない。
ルノーとフィアットは、「研究」の面でとくに抜きんでているわけではない。
両者を革新すする組織にしているのは、新しい設計と新しいモデルを迅速に生産に写し、市場に送り出す能力。

アメリカ銀行は、主に顧客サービスの分野で、また財務構成と信用、在庫、マーケティングの方針という面で、革新を行っている。

革新する組織は革新の精神を制度化し、革新の習慣を生み出している。
「革新する組織」は、不断の生産的な革新を目的とする組織として、いいかえると、そういう人間集団として、革新を管理する。
そういう組織は、変化を規範にすべくく組織されている。
    ●革新の特徴 
@革新する組織は、「革新」の意味を知っている。
A革新する組織は、革新のダイナミックス(力学)を理解している。
B革新的な組織は、革新戦略をもっている。
C革新的な組織は、革新するには(生産性の日常)管理的な目標、標的、測定尺度とは別個の、かつ革新の力学にふさわしい目標。標的、測定尺度が必要なことをわきまえている。
D革新的な組織では、経営陣、とりわけトップ・マネジメントが(管理的な組織における場合とは)別種の役割を果たし、別の態度をとる。
E革新的な組織は、権利的な組織とは別種の構造をもち、別個に設けられる。
    ■革新の意味 
革新は価値
その測定尺度は環境への衝撃
⇒つねに「市場に焦点を合わせた」ものでなければならない。
革新的製薬会社:
「研究」という観点からではなく、「医療」という観点から革新を規定
ベル研究所:
「何が電話”サービス”をかえることになるか」という問いかけから出発。
消費者なり得意先なりの、重要な変化を求める欲求を念頭においてものごとに着手することはしばしば、新しい科学、新しいちしい、新しい技術を規定する、かつまた基本的な発見を目指す意図的かつシステマティックな仕事を組織する、最も直接的な方途となる。
    ■革新の力学 
@革新は、事前にこれと決め込むわけにいかないもの。多くの要因が存在しているので、だれしもそれらの要因を完全に解明することができない。
but
A
革新は確率分布に従うもの。
どういう種類の革新が主要な製品や工程、主要な新事業、主要な市場になりそうか。
革新的な活動が、成功を享受し報酬を得られそうな分野を、システマティックに探し求める方法。
を知っている。
「革新しやすい」ものを発見する1つの目安となるのは、製法なり、技術なり、産業なりの、基本的な、「経済的」漸弱性。
ex.
ある産業が市場の需要の増大に恵まれていながら、需要を収益に転化できないでいる場合に、つねに高い確率でいえるのは、製法なり、製品なり、流通チャネルなり、顧客の期待なりをかえる一大革新が大きな報酬を生み出すだろうということ。
ex.
製紙業
製鋼業
生命保険業
革新の機会は、経済または市場の水準が雑多で、その間に大きな格差が見られるところに存在。
ex.1960年代のラテン・アメリカの主たる「成長」産業は、小売流通業。
おびただしい数の人が、都市に流れ込み、自給経済から貨幣経済へ移った。
個人は極貧、but集団としてみると、新たな大規模購買力。
but
大半のラテン・アメリカ諸国の流通システムは、相かわらず前都市型(過小資本、過少管理、在庫貧弱、資本や商品の回転率も非常に小さな商店)。

企業家が進出してきて最新の流通システムを提供するために、即座に成功を収めることができた。
すでに発生していながら、まだその経済的な影響を及ぼしていない事象。そういう事象の帰結を活用。
人口の変化は、(経済的な影響を及ぼすことが)ほぼ確実な事象。
知識の変化はそれほどあてにならない(←リード・タイムを予測することが困難)。but知識の変化もまた、機会を提供する。
最も重要な、だが最も不確実なものとして、意識の変化、ビジョンの変化、人間の期待の変化がある。
製薬業界が成功を収めたのは、主として、意識の根本的変化の影響を予測したため。
薬剤の購入に関する限り、開発途上国が、完全な開発国だということ。
確率分布のパターンに属さない革新。
予想外の革新や、世間の動きを利用するのではなく、かえてしまう革新。
〜企業家が何事かを発生させようとして着手する革新。

確率分布の範囲外にあるとうてい起こりそうもない革新。
明らかに、最もリスクの多い革新。

その本性として、意図的かつシステマティックに組織された企業内活動の対象にはなりえない。←管理できない。
×技術専門家・・・自分自身の専門分野に夢中で、それ以外の事象の進展に、ほとんど目が届かない。
×経済学者・・・革新が堂々とした偉容を誇るものになってからでないと、その影響に関心を払うことができない。
革新する経営管理者は、革新の意味を理解し、革新の力学、そのパターン、その予測可能性を学ばなければならない。
さらに革新を管理するためには、経営管理者は、革新の力学に、少なくとも通じていなければならな。
    ■革新の戦略 
あらゆる企業戦略と同様、革新戦略は、次の問を発することからはじまる。
「われわれの事業はなんであり、また、どうあるべきか」
but
革新戦略が未来に関して立てている仮定は、現に進行中の事業に関して立てられている仮定とは別種のもの。
後者:既存のものないしは現に確立されつつあるものの最適化。⇒「よりよく、より多く」
前者:既存のものは何によらず、古くさくなりつつあるという仮定。⇒「新しく、違ったものを」
    ●古いものの計画的放棄が必要 
革新戦略の基盤:
古いもの、死滅しつつあるもの、陳腐化したものを、計画的かつシステマティックに廃棄すること。それではじめて資源を、とりわけて最も希少な資源である有能な人間を解放して、新しいものに取り組ませることができる。
    ●狙いを高くすること 
革新努力の目標を高く設定する必要があることを、はっきり認識すること。
    ●革新の安打率 
低い
    ●革新の進行 
予測しにくいし、予測不能
    ■測定基準と予算 
 
デュポン社:
ポリマー研究の責任者だった研究科学者、カロザース博士ともども、当初からどういう種類の発見と成果が、いつごろ期待できるかという道路地図をシステマティックに作成していた。
この道路地図は、2、3年おきに成果の報告が入ってくるたびに修正された。
が、それにとどまらずに、それは常時、次の旅程を考慮して描きなおされた。
っして、カロザースがポリマー繊維を実現し、その結果やがて大々的な開発の仕事が可能になるに及んで、デュポン社はやっと大々的な投資に踏み切った。
それまではカロザースと数人の補助者の扶養費が、本質的に費用のすべて。
    ■失敗のリスク
成功を収める研究所長:初期の成果を生み出さない一連の研究をいつ放棄したらいいかをわきまえている。
それほど成功を収めない研究所長:たえず万が一を願い、プロジェクトの「科学的なチャレンジ」に幻惑されたり、「来年こそ画期的なものを生み出す」という科学者たちのたび重なる空約束にのせられたりする。
成功を収めない研究所長:プロジェクトを放棄することができないし、けっこうなアイデアのように見えたものが、結局は人間と時間と金の浪費の終わってしまった事実を認めることができない。
革新の管理に当たって、とくに重要なのは、自分が何を期待しているかをじっくりと検討し、それを完全に書き表してみること。
次いで革新がいったん製品なり製法なりになったならば、自分の期待を現実を比べてみる。
仮に現実が期待を大幅に下回っているならば、それ以上、人間や金を注ぎ込まない。
それどころか、「われわれは、このことから手を引くべきではないだろうか。もしそうだとしたら、どうやって手をひくべきなのだろうか。」と質問する。
    ■革新的な態度
      「変化への抵抗」に焦点を合わせると、問題を誤って規定することになり、かえって問題が扱いにくくなる。
この問題の正しい既定の仕方・・・問題の解消を可能にするような規定の仕方・・・は、革新的な組織を、つまり変化が例外ではなく規範であり、脅威ではなく機会になるような組織を創造し、築きあげ、維持するために挑戦として、問題を受け止めること。
    ●経営者の違った役割 
伝統的な管理組織:トップマネジメントは最終審判者。最も重要な権限が拒否権。最も重要な役割が、徹底して熟考した上で作成されたものでない限り、ノーと言うこと。
革新的な組織の経営陣の、最も重要な職務:
非現実的で半煮えのとっぴなアイデアを、具体的な現実の革新にかえること。
アイデアに耳を傾け、まじめに受け止めること。
新しいアイデアがつねに「非実際的である」ことをわきまえている。
初期の段階では、ばkげたアイデアと天才のひらめきの区別がつかない。
このアイデアが「実際的、現実的、効果的になるためには、どういうものにならなければならないだろうか」という問を、たえず発する。
革新的な組織のトップマネジメントは、革新の主たる「推進力」
上級業務執行者が若い人たちと同席して、こうたずねる「”君たちは”どういう機会を認めているかね」
3Mは「寛大」というには程遠い企業だった。
トップの2,3の人間によってがっちりと運営され、彼らが決定という決定をことごとく下していた。
but
1番下の技術者でさえ、どんなとっぴなものでもよいから何かアイデアをもtって、トップの人間のところへ顔出しするよう奨励された、というより事実上命令された。
「このアイデアは、私にはまるでちんぷんかんぷんだ。それでも君は、このアイデアに取り組むつもりでいるのかね」⇒当の技術者の答えが「そのとおり」
⇒自分のアイデアを予算請求ともども書面にまとめるよう求められる。そればかりか、しばしば他の責任から解放され、1,2年間、まあまあといえる程度の資金を与えられ、そのアイデアの実現にとりかかるよういいつけられた。

ちっぽけな無名の研磨剤業者から、アメリカ屈しの大企業にのしあがった。
    ●責任を中心に 
3Mの若い技術者たちは、つねに厳格な責任を負わされていた。
アイデアが実を結ばなくとも、そのことの責任は問われなかったが、責任をとり、課題を組織し、課題に取り組み、進行状況を現実的に評価することを怠ることは(ましてやプロジェクトの進行状況をトップ・マネジメントに周知させるのと怠ることは)許されなかった。
    ●継続学習 
    ■革新の構造 
    ■「事業」としての革新 
「革新」が、当初から「職能」としてではなく、「事業」として組織されなければならないことをも認識。
最初に「研究」があって、その後に「開発」「製造」と続き、最後に「マーケティング」がくるという伝統的な時系列の棚上げ。
こうした職能的な技能を、まったく同一の手順、つまり新事業の開発という手順の一部とみなす。
それらをいつ、どのように利用するかは、前もって思い描いている時系列に従ってではなく、あくまでも状況の論理に従って決定される。
伝統的な職能:いまいいる場所から、これから赴こうとしている場所へと、仕事を組織化していく。
革新的な職能:目指す場所からさかのぼって、そこへ到達するためにいまなさなければならないことへと、仕事を組織化していく。
    ●チーム型 
だ企業内で革新単位を組織化する1つの方法は、それらの革新単位を寄せ集めて「革新グループ」をつくることかもしれない。
この「革新グループ」は、トップマネジメントの一員に報告することとし、そのトップ・マネジメントの一員は活動中の革新チープの指導、援助、助言、指揮に当たる以外、いかなる職能ももたない。
デュポンの「開発部」のあり方が事実上このとおり。
革新には現行事業の論理とは異なる革新独自の論理がある。
その技術、市場、製品、サービスがそれぞれどんなに違っていようとも、革新諸痰飲は革新諸単位は革新的であるという点で相通じる。
    ●企業家としての革新単位 
革新を担当する「企業家」たちとの共同経営(パートナーシップ)という形で、革新努力をはじめている。
革新努力が、別「会社」として組織され、その親会社が株式の過半数と、通例、事前に決めた価格で少数株主の持株を買い取る権利とをもっている。
ただし「企業家」たち、lつまり革新の開発に直接責任を負っている人たちも、自己の権利として相当数の株式を保有している。
革新者たちの報酬は、革新過程の経済的な現実にふさわしいものでなければならないという原則は大事。
それはリスクが大きく、リード・タイムが長く、成功した暁には報酬がきわめて大きい過程。
    ●革新的な組織にとっての挑戦 
結論:経営者の正当性