シンプラル法律事務所
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勉強会(判例時報2018前半)

判例時報の勉強会用の資料です(随時更新)

  1月
2329
       
2350   
  行政p3
名古屋地裁H28.9/14
   
  民事p92
大阪高裁H29.3.3  
   
  事案 譲渡禁止特約のある指名債権の譲渡人の破産管財人は、かかる特約の存在を知って譲り受けた者に対し、債権譲渡の無効を主張することができるか否かが問題となった事案。 
Xは、平成26年9月29日、Aとの間で、AがXに対して同日時点で負担し、又は将来負担することのある一切の債務の弁済を担保するため、Aが同日から平成31年9月28日までの間に顧客に対して取得する商品販売契約に基づく売掛債権を譲渡する旨の本件集合債権譲渡担保契約を締結。
Xは、平成26年10月22日、本件集合債権譲渡担保契約について、動産債権譲渡法(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律)4条1項に基づき、債権譲渡登記ファイルの譲渡の登記。
Aは、平成27年12月11日到達の書面をもって、Xに対し、支払不能の状態になっており、破産手続開始の申立てをする旨通知。
Aは、顧客であるBとの間の商品販売契約に基づき、平成26年9月29日から平成27年12月11日までの間に、Bに対し、380万1763円の本件売掛債権を有していたところ、本件売掛債権には譲渡禁止特約があったが、Xはそれについて悪意であった。
Xは、平成27年12月21到達の内容証明郵便で、Bに対し、本件売掛金債権を自己に支払うよう通知。
同月25日、Aに破産開始決定が出され、Yが破産管財人に選任され、Yも、Bに対し、本件売掛債権の支払を請求。
Bは、X、Yのいずれが真の債権者か確知できないとして、本件売掛債権につき相殺後の366万2613円について供託。
X、Y双方は、自己が本件供託金の還付請求権を有することの確認を求め、Xは本訴請求を、Yは反訴請求をそれぞれ提起。
  Xの主張 最高裁H21.3.27によれば、譲渡禁止特約に反して債権が譲渡された場合において、債務者以外の者は、債務者に譲渡の無効を主張する意思が明らかであるなど独自の利益を有するときに限り、その無効を主張することが許されると解されるところ、破産管財人であるYはそのような利益を有していない⇒Yは本件債権譲渡の無効を主張することができない。 
  Yの主張 最高裁H9.6.5によれば、債権譲渡禁止特約のある債権について、譲受人が特約の存在を知って譲り受けた場合には、民法116条の法意に照らし、差押債権者等の第三者の権利を害することはできないと解されるところ、
本件においては、Xは譲渡禁止特約のあることを知って本件売掛債権を譲り受けたところ、Bはかかる債権譲渡について承諾を与えていない
⇒本件債権譲渡は無効。 
  判断 平成21年最判
⇒本件において、譲渡禁止特約のある本件売掛債権のAからXへの債権譲渡につき債務者であるBが承諾を与えていない以上、本件債権譲渡は無効。
⇒本件売掛債権は、Aの破産手続開始決定によりAの破産財団を構成するものであり、本件還付債権はYに帰属。 
Xは、平成21年最判を援用するが、
同判決は、譲渡禁止特約に反して債権を譲渡した債権者自身が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張すること許さない旨判示したものにとどまるものであって、それ以外の者が譲渡の無効を主張することの可否についてまで判示したものではない。
  解説 平成9年最判⇒譲渡禁止特約に反してされた債権譲渡は無効⇒かかる特約があることを知りながら債権を譲り受けた者は、債権を取得できないのが原則。
平成21年最判は、無効を誰もが主張できると解するのではなく、譲渡禁止特約は誰を保護するために無効とされているのかという法の趣旨を考慮して無効を主張する者の範囲を限定。 
塀絵師21年最判の射程:
差押債権者・破産管財人について、下級審で、肯定例と否定例。
  民事p97
広島高裁H29.6.1  
   
  事案 Xは、広島湾において牡蠣の養殖業を営んでいるもの。
平成24年12月11日、広島湾を航行していたカンボジア王国籍の機船A号が、Xの設置していた牡蠣筏に衝突してこれを損壊する事故が発生。
A号は平成25年1月、中国から日本に向かい、千葉港において鉄くず等を積載した後、中国に向けて航行していたが、同月18日、淡路島東方沖にて積み荷の火災を起こし、神戸港に緊急入港し、同年3月22日まで神戸港に停泊。
その後中国に向け出港。
Xは、Y(受任弁護士)がXの損害回復に必要な措置を講ずべき注意義務に違反したため、A号の所有者等から損害賠償を受けることができなかった。
⇒Yに対して、委任契約の債務不履行による損害賠償を請求。
  一審 Yの注意義務違反を否定。
  判断 ①A号が外国船舶であり、交渉中に国外に出たら執行が用意でなくなること、A後の船主には見るべき財産がないこと
⇒Yには、責任財産の保全等、加害者側からの支払を確保するための措置を講じるべき注意義務があった。
②船舶の衝突事故の場合、相手船の保険者等の保証状を提供させることが、世界的な慣行であるにもかかわらず、
Yが、保証状の発行を検討し、実行に移すべき措置を講じなかった

善管注意義務違反がある。
⇒Yの債務不履行の責任を肯定し、原判決を変更し、Xの請求を一部認容。
  民事p115
東京地裁H28.11.9  
   
  事案 Yからカイロプラクティック施術を受けたXが、同施術により頚椎を損傷され、8級相当の後遺障害が生じた⇒
Yに対し、
主位的には不法行為
予備的には債務不履行
を理由として5296万円余の損害賠償を提起。 
  争点 ①平成16年11月20日に、Yから本件施術を受け受傷したか?
②本件施術と相当因果関係のある損害及び額 
  判断 ①Xの手帳の平成16年11月20日欄に「カイロ」との記載がある
②X及びその母はYを紹介してくれた者に苦情の手紙を送付
③Xは本件施術を受けた約1か月以降に受けた医療機関のほとんどにおいて一貫して、本件施術について、首をボキッとされたなどとする表現を繰り返している

Xは、平成16年11月20日、Yから本件施術を受けたと認定。 
  ①Xは本件施術後約1か月後にH1病院を受診し、本件施術後約1週間後から後頚部痛を訴え、その後も複数の病院で同様の訴えを繰り返している
②Xの訴える痛みの部位はほぼ同一であり、Xが本件施術前に訴えていた痛みとは異質なものであり、筋傷害が疑われていた
③カイロプラクティックにおける頚椎に対する急激な回転伸展操作を加える手技は患者の身体に損傷を与える危険が大きいため禁止されている
④本件施術以外に平成16年11月20日頃にXの僧帽筋の付着部の腱に断絶が生じるような事象は見当たらない

Xの施術により、Xの僧帽筋(左上側)の付着部(両側)の腱に断裂が生じた。
本件施術によってXに生じた傷害は僧帽筋の腱の付着部の断裂に留まるところ、平成19年3月22日には、症状が固定し、局部に頑固な神経症状が残るものであり、これは後遺障害等級12級13号に該当。
本件施術と相当因果関係のある損害は1330万円余。
  主位的請求である不法行為に基づく請求権は消滅時効により消滅。
債務不履行に基づき前記の損害を認めた。
  民事p124
東京地裁H28.11.25  
   
  事案 いわゆるAIJ投資顧問年金資産消失事件において、年金基金と信託契約を締結した信託銀行が、信託財産に属する破産者に対する損害賠償債権と、信託財産に属さない破産者の預金債権を相殺することの有効性の可否等が問題となった事案。 
     
  刑事p132
大阪高裁H28.11.10