シンプラル法律事務所
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マネジメント(P.F.ドラッカー)

◆    編訳者まえがき:
ドラッカーは、ほとんど物心ついた頃から、物ごとには方法論があることを察知していた⇒それらの方法論を探求し続けた。
★第1部 イノベーションの方法   
☆第1章 イノベーションと企業家精神   
  ◆企業家の定義 
    意思決定の本質は不確実性にある。
企業家精神とは気質ではなく行動。
その基礎となるのは、勘ではなく、原理であり、方法である。
  ◆変化を利する者 
    企業家精神の原理:
変化を当然のこと、健全なこととすること。

企業家精神:
すでに行なっていることをより上手に行うことよりも、まったく新しいことを行なうことに価値を見いだすこと。

権威に対する否定の宣言
企業家とは、秩序を破壊し解体する者。
企業家の責務は「創造的破壊」
企業家および企業家精神の定義:
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。 
◆    ◆企業家精神のリスク
    企業家精神は、単なる最適化よりもはるかにリスクが小さい。

@企業家は至言を、生産性が低く成果の乏しい分野から、生産性が高く成果の大きい分野に動かす。
A多少なりとも成功すれば、その成功はいかなるリスクをも相殺して余りあるほど大きい。
    AT&Tのベル研究所の例
IBMの例
P&Gの例
☆第2章 イノベーションのための7つの機会  
  ◆イノベーションとは何か 
    イノベーション:
富を創造する能力を資源に与える。
イノベーションが富を創造する。
人が利用の方法を見つけ経済的な価値を与えない限り、何ものも資源とはなり得ない。
    ペニシリン
割賦販売:供給主導型⇒需要主要型
コンテナ―船
教科書
日本の社会的イノベーション:学校、大学、行政、銀行、労組のような公的機関の発展
技術的イノベーションは模倣
創造的模倣は、極めて成功の確率の高い立派な企業家戦略
  ◆イノベーションの体系 
    イノベーションの理論を構築していない
but
イノベーションの機会をいつ、どこで、いかに体系的に探すべきか
成功の確率と失敗のリスクをいかに判断すべきか
を知る。
輪郭だけではあるが、イノベーションの方法を発展させるうえで必要な知識もある。l
    「発明」の発明:
発明は、開発研究、すなわち目的とする成果と実現可能な成果について計画を立てる体系的な活動。
イノベーションも同じ発展が必要⇒体系的にイノベーションを行なう。
    企業家として成功する者:
価値を創造し社会に貢献。
価値と満足を創造し、単なる素材を資源に変える。あるいは、新しいビジョンのもとに既存の資源を組み合わせる
この新しいものを生み出す機会となるものが「変化」。
イノベーション:
意識的かつ組織的に変化を探すことであり、
それらの変化が提供する経済的、社会的イノベーションの機会を体系的に分析すること。
成功したイノベーションの圧倒的多数が、そのような変化を利用。
実際には、成功したイノベーションのほとんどが平凡で、単に変化を利用したもの。

イノベーションの体系とは、
具体的、処方的な体系。
変化にかかわる方法論、企業家的な機会を提供してくれる典型的な変化を体系的に調べるための方法論。
◆    ◆7つの機会 
    企業や公的機関の組織の内部、あるいは産業や社会的部門の内部の事象
⇒内部にいる人達にはよく見えるが、それは表面的な事象。
but
すでの起こった変化や、たやすく起こすこのできる変化の存在を示す事象。

@予期せぬことの生起:
予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事

Aギャップの存在:
現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップ

Bニーズの存在

C産業構造の変化
企業や産業の外部における事象

D人口構造の変化

E認識の変化:
ものの見方、感じ方、考え方の変化

F新しい知識の出現

それぞれが異なる性格をもち、異なる分析を必要とする。
いずれが重要であり生産的であるかはわからない。

さして意味の内製品の改善や価格の変更によって生じた変化を分析することによって、偉大な科学的発見による新しい知識を華々しく応用するよりも大きなイノベーションが行なわれることがある。
but
信頼性と確実性の大きい順に並べている。
   
☆第3章 予期せぬ成功と失敗を利用する(T)
  ◆予期せぬ成功 
    これほど、イノベーションの機会となるものはない。
リスクが小さく苦労の少ないイノベーションはない。
but
予期せぬ成功はほとんど無視される。
    メイシーの例(予期せぬ成功の拒否)
ブルーミングデイルの例(予期せぬ成功の利用⇒ニューヨークの百貨店として第2位の座を確保)
    マネジメントが報酬を支払われているのは、判断力に対してであって、無謬性に対してではない。
自らの過誤を認め受け入れる能力に対しても報酬を支払われている。
特にそれが機会に道を開くものであるとき、このことが言える。
    動物用医薬品業界の例
病院用機器メーカーの例
  ◆イノベーションへの要求 
    予期せぬ成功がもたらすイノベーションの機会を利用するには、分析が必要。
    予期せぬ成功は、兆候
but
何の兆候か?
単にマネジメントの視野、知識、理解の欠如を示しているにすぎない場合もある。
    ●医薬品メーカーの多くが動物用医薬品市場での成功を拒否:
世界の畜産市場の規模と重要性に対する認識の欠如
第二次世界大戦後における動物性タンパク質の需要の伸びに対する読みの甘さ
農民の知識や能力の変化に対する理解の欠如
●家電の予期せぬ成功

消費者の行動、期待、価値観が基本的に変化

百貨店の顧客:
特定の社会的、経済的階層、特定の所得階層の人たち(戦前)⇒
特定の生活様式の人達(戦後)
●テスト機器の予期せぬ成功:
科学機器の使用者間における目的、要求、期待の境界が急速に消滅。
病院市場というニッチ市場の終わり。
自らを病院用機器の設計、生産、販売に携わる者と規定⇒テスト機器一般のメーカーとして規定し直し、かつての市場よりも大きな市場を相手として、製品の設計、生産、販売、サービスのための能力を発展させなければならなくなっていた。
but
気付いた時には、市場の大きな部分は永久に失われていた。
    予期せぬ成功:
@イノベーションのための機会であるだけでなく、
Aイノベーションに対する要求
予期せぬ成功⇒自らの事業と技術と市場の定義について、いかなる変更が必要かを問うことを強いる⇒それらの問いに答えた時、予期せぬ成功が最もリスクが小さく、しかも最も成果が大きいイノベーションの機会となる。
    ●デュポン
火薬メーカー⇒他の分野に進出すべく、組織的開発⇒ポリマーの開発
バーナーの火の消し忘れ⇒繊維状に凝結したポリマー
●IBM
1930年代初め、倒産寸前。
大恐慌⇒銀行は新しい事務機を購入せず
ニューヨークの公立図書館の官庁

15年後、科学計算用のコンピュータ
but
給与計算など世俗的な仕事に⇒直ちに応じた
     
  ◆予期せぬ成功が意味するもの 
    予期せぬ成功が必ず目にとまる仕組

提示された予期せぬ成功について
@これを機会として利用することは、わが社にとっていかなる意味があるか
Aその行き着く先はどこか
Bそのためには何を行わなければならないか
Cそれによって仕事の仕方はいかに変わるか
    予期せぬ成功は機会であり、要求でもある。
正面から真剣に取り上げられることを要求。
優秀な人材が取り組むことを要求。
機会の大きさに見明日取り組みと支援を要求。
     
  ◆予期せぬ失敗 
    多くは、単に計画や実施の段階における過失、貪欲、愚鈍、雷同、無能の結果。
but
慎重に計画し、設計し、実施したものが失敗
⇒失敗そのものが変化とともに機会の存在を教える。
製品やサービスの設計、マーケティングの前提となっていたものが、もはや現実と乖離
顧客の価値観や認識の変化
同じものを買ってはいるが、違う価値を買っている
かつては1つの市場、1つの最終用途⇒まったく異質の2つ、あるいはそれ以上の市場や最終用途

これらの変化はすべてイノベーションの機会
    ベビーブーマー世代、不況、インフレも悪化、住宅の値上がり

小さな安い住宅を売出し(て失敗)。
vs.
若い夫婦が求めるもの
@数年雨露をしのげるもの
A数年後大きな立派な家をもつための足がかりになるもの

最初の家、欲しい家への第一歩として販売
2つ目の浴室や寝室、地下室を建て増ししたモデルハウスも見せられた。
5年ないし7年後に大きな家を自社から購入してくれる際の下取り価格まで提示
(少し手を加えるだけで、かなりの利益を上乗せして売れる新品同様の中古住宅が、安定的に手に入るようになった)
    予期せぬ失敗

トップマネジメント自身が外へ出て、よく見、よく聞くこと。
常にイノベーションの機会の兆候としてとらえなければならない。
トップ自身が真剣に受け止めなければならない。
    消費者だけでなく、取引先に起こる予期せぬ事態にも注意を払う。
マクドナルド創業者のレイ・クロックの事例
    分析するだけでは不十分。
調べるために出かけなければならない。
     
  ◆分析と知覚の役割 
    緻密な分析も、基礎となるのは、あくまで変化、機会、現実、現実と認識のギャップなどに対する知覚。

「分析できるほどはまだわからない。しかし、必ず見つけ出す。外に出かけ、観察し、質問し、聞いてくる」と言わなければならない。
予期せぬものは、通念や自身を打ち砕いてくれるからこそイノベーションの宝庫となる。
現実が変化した原因を知る必要はない。
何が起こったかがわかれば、イノベーションに成功することができる。
    1957年のフォードのエドセルの失敗
「中流の上」市場を狙ったエドセルの失敗

外へ出て調べた結果、
1920年代にアルフレッド・P・スローンがGMの成長の基礎としたアメリカの自動車市場の区分の仕方、「一般」「中流の下」「中流の上」「上流」という区分が、全く新しい市場区分、すなわち今日ライフスタイルといわれているものに変わりつつあることを知った。

サンダーバードの開発

GMの模倣者としての地位を脱し、強力な競争相手として再登場。
    成功にせよ、失敗にせよ、予期せぬことが起こったことを知るだけで、イノベーションの機会とするには十分。
     
  ◆外部の予期せぬ変化 
    外部の予期せぬ変化を利用してイノベーションの機会とすることに成功した例
    IBM:メインフレーム分野に集中
⇒パソコン市場へ 
「起こるはずもない無意味なことと信じていただけに、ショックだった。当たり前のように信じていたことがすべてゴミ箱行きになってしまった。そこで、外へ出て、起こるはずがないのに怒ってしまったものを調べて、利用することにした」
    外部の予期せぬ変化をイノベーションの機会として利用するための条件は、その機会が自らの事業の知識と能力に合致すること。
外部の予期せぬ変化といえども、既存の能力の新たな展開の機会としてとらえなければならない。
自らの事業の性格を変えてはならない。
多角化ではなく展開でなければならない。
     
  ☆第4章 ギャップを探す(U)
    ギャップ:現実にあるものと、あるべきものとの乖離
ギャップの存在はイノベーションの機会を示す兆候
定量的ではなく定性的
すでに起こった変化や起こりうる変化の兆候
    予期せぬ事象と同じように、1つの産業、市場、プロセスの内部に存在⇒内部あるいは周辺にいる者は認識することができる。
but
当然のこととして受け止めてしまいがちな内部の者が見逃しやすいもの。
    @業績ギャップ
A認識ギャップ
B価値観ギャップ
Cプロセスギャップ
     
  ◆業績ギャップ 
    製品やサービスに対する需要が伸びているのに、業績があがっていない⇒何らかのギャップが存在。

1つの産業全体あるいは社会部門全体におけるマクロ的な現象であることが多い。
イノベーションの機会として利用するのは中小の専門企業で、長期にわたってその利益を享受できる。
    鉄鋼業界:
@需要の増加に応じた生産量の増加の最小単位がきわめて大きい
A製鉄プロセスが不経済
電炉

一貫製鉄所の6分の1から10分の1
1度加熱するだけ
減量として鉄鉱石の代わりに鉄屑
オートメ化が用意
生産コストは高炉の半分以下
    @解決すべき問題を明確に
A既知の技術と既存の資源を利用してイノベーションを実現
B
イノベーションは複雑であってはならず単純でなければならない
華々しいものではなく、当たり前のものでなければならない。
     
  ◆認識ギャップ 
    産業内部の者が物事を見誤り、現実について誤った認識⇒その努力は間違った方向に向かい、成果を期待できない分野に集中。
それに気づき利用する者にとって、イノベーションの機会となる。
    ×船舶の高速化、省エネ化、省力化。
×海上での経済性を追求。
コンテナ―船の例。
船舶は資本財であり、資本財にとって最大のコスト要因は遊休時間。
その間、利益を生まないものに対し金利を払わされる。
    真剣な努力が事態を改善せず、むしろ悪化させる⇒努力の方向性が間違っていることが多い。
⇒単に成果のあがることに力を入れるだけで大きな成果が簡単に得られる。
解決策は、通常、的を絞った単純で小さなイノベーション。
     
  ◆価値観ギャップ 
    日本の経済界の大物のテレビ発言の例:
テレビは単なるモノではなく、新しい世界との接触であり、新しい生活と人生。
    フルシチョフの車発言の例:
車が単なる輸送手段ではなく、自由、移動、力、ロマン。
    米国の証券会社の例:
もっぱら自分達が「賢明な投資家」と呼ぶ人達を顧客にしている。
利殖をしない。
株の売買に精を出す顧客を求めない。
財産を守りたいという彼らの心理に働きかけている。
商品は、株式、公社債、年金、パートナーシップ投資、不動産信託等。
提供するものは安心感。
    価値観ギャップ

傲慢と硬直、独断
「貧しい人たちが何を買えるかを知っているのは、彼ら貧しい人たちではなく私である」という考え方。
あらゆるギャップのうちで最も多くみられるのが、この価値観ギャップ。

イノベーションを行う者が価値観ギャップを利用しやすい。
しかも彼らは、邪魔されずの放っておかれる。
「消費者は不合理であって品質に対し金を払おうとしない」
〜生産者が顧客の価値としているものと、顧客が本当に価値としているものとの間にギャップが存在。
     
  ◆プロセス・ギャップ 
    老人性白内障の手術の例:
筋肉組織を瞬時に溶かすことのできる酵素。
酵素の効力を失うことなく保存期間を延ばす保存薬。

世界中の眼科手術医がコナーの会社アルコン・ラボラトリーズの酵素を使用。
    O.Mスコットの例:
一定量の肥料や殺虫剤を均等に散布するための器具としてのスプレッダー。
    コナー:
手術のプロセスの中で不安になる部分がないかを医師に聞いて回った。
O・Mスコット:
何か困っていることはないかをディーラーや消費者に聞いて回った。
プロセス・ギャップは、消費者がすでに感じていること。
欠けていたものは、それらの声に耳を傾けることであり、真剣に取り上げること。
「製品やサービスの目的は消費者の満足にある」ことの理解⇒プロセス・ギャップをイノベーションの機会とすることは容易で効果的。
but
プロセス・ギャップをイノベーションの機会として利用できるのは、その世界の中にいる者だけ。
     
☆第5章 ニーズを見つける(V)  
    イノベーションの母としてのニーズは、限定されたニーズ。
具体的でなければならない。
企業や産業の内部に存在。
@プロセス上のニーズ
A労働力上のニーズ
B知識上のニーズ
  ◆プロセス・ニーズ 
    状況からスタートするのではなく、課題からスタート。
状況中心ではなく、課題中心。
知的発見によって、すでに存在するプロセスの弱みや欠落を補うためのイノベーション。
    白内障の手術に欠かせない酵素の保存薬の開発の例。
    (プロセス)ニーズを明確にすることが直ちに問題の解決につながった。 
  ◆労働力ニーズ 
    電話交換手不足⇒自動交換機。
日本の少子化⇒労働力不足の認識⇒ロボット先進国に。
  ◆知識ニーズ 
    科学者の「純粋研究」に対置される
「開発研究」を目的としたニーズ。
明確に理解し明確に感じることのできる知識が欠落⇒その知識ニーズを満たすには知的な発見が必要となる。
写真の発明⇒1880年代にイーストマン・コダックの創立者が新しい知識を利用しカメラを軽量化⇒世界の写真業界でトップへ。
    プロセス・ニーズ満たすうえでも、この開発研究が必要。
ニーズを知り、何が必要であるかを明らかに⇒必要な知識を生み出すことができる。
エジソンの例:
電力産業に必要なものは電球⇒実用電球の発明。
    成功を収めているものの多くは、目標が明確な小さなプロジェクト。
開発研究は、的を小さく絞るほどよい結果が出る。
日本の自動車事故を3分の1に減らした視線誘導標の例。
  ◆5つの前提と3つの条件 
    視線誘導標の例⇒
ニーズ(特にプロセス・ニーズ)に基づくイノベーションが成功するには5つの前提。
@完結したプロセスについてのもの
A欠落した部分や欠陥が1か所だけ
B目的が明確
C目的達成に必要なものが明確
D「もっとよい方法があるはず」との認識が浸透(=受け入れ態勢がある)
    ニーズに基づくイノベーションの3つの条件:
@何がニーズであるかが明確に理解されていること
Aイノベーションに必要な知識が手に入ること
B問題の解決策がそれを使う者の仕事の方法や価値観に一致していること
    ニーズによるイノベーションの機会は体系的に探すことができる。
ex.
エジソンが電気に関して行ったこと
ウイリアム・コナーが行ったこと

ニーズに基づくイノベーションはまさに体系的な探求と分析に適した分野
ニーズを発見

5つの前提に照らし
3つの条件に合致しているかを調べる
ことが不可欠。
☆第6章 産業構造の変化を知る(W)  
◆    ◆産業構造の不安定性 
    現実には、産業や市場の構造は脆弱。
小さな力によって簡単に、しかも瞬時に解体する。
    DLJ証券会社の例:
年金基金の運用責任者という新しいタイプの顧客が急速に大きな存在に。
単に新しいことを1つ求めているだけ。
⇒DLJは、その顧客に的を絞り「調査サービス」を行なう証券会社に。
「賢明な投資家」
病院の庶務的な仕事を組織的に行う会社。
費用はコストの削減額の一部で賄う。

イノベーションを行なった者が、もともと機会の存在を知っていた。
最小のリスクのもとに成功することを確認していた。
     
  ◆産業構造の変化が起きるとき 
  イノベーションの機会としての産業構造の変化は、次のようなとき、ほぼ確実に起こる。
@最も信頼でき、最も識別しやすい前兆は急速な成長
ある産業が経済成長や人口増加を上回る速さで成長⇒遅くとも規模が2倍になる前に、構造そのものが劇的に変化する。
仕事の仕方は確実に陳腐化し始める。
A産業の規模が2倍に成長する頃とほぼ時を同じくして、それまでの市場のとらえ方や市場への対応の仕方では不適切になってくる。
  DLJや「賢明な投資家」を顧客とする証券会社の例
病院の管理業務の例
  Bいくつかの技術が合体したときも産業構造の急激な変化が起こる。 
PBX(構内交換機)、すなわち大口の電話利用者が車内に設定する交換機の例
AT&Tは、コンピュータの市場や顧客を自分たちンは無縁の異質な存在と見ていた⇒PBRの設計と導入を手がけながら、販売に力を入れなかった。
  C仕事の仕方が急速に変わるときにも、産業構造の変化が起こる。 
自分で開業⇒共同で働く医師へ
事務所の設計、マネジメント、さらには経営管理者の訓練を行う会社。
  産業構造を利用するイノベーションは、その産業が1つあるいは少数の生産者や供給者によって支配されているとき、効果が大きい。
「非ピリン系アスピリン」
UPS、FedEx
リーダー的な生産者や供給者は市場の中でも成長しつつある分野の方を軽く見て、急速に陳腐化し、機能しなくなりつつある仕事の仕方にしがみつく
⇒イノベーションを起こした者は放っておかれる。
     
☆第7章 人口構造の変化に着目する(X)
    @予期せぬ成功や失敗、Aギャップの存在、 Bニーズの存在、C産業構造の変化などのイノベーションの機会〜企業や産業、あるいは市場の内部に現れる。

産業や市場の外部に現れるイノベーションの機会
〜D人口構造の変化、E認識の変化、F新しい知識の出現
〜社会的、形而上的、政治的、知的な世界における変化。
  ◆人口構造の変化 
    人口の増減、年齢構成、雇用、教育水準、所得など人口構造の変化ほど明白なものはない。
それらの変化がもたらすものは、予測が容易。
リードタイムまで明らか。
20年後の労働力:すでに生まれている。
45年後に退職年齢に達する人:現在すでに労働力になっている。
多くの場合、現在と同じ職種で働いている。
現在20代の前半から半ばの人達が働く今後40年間の職種も、これまで彼らが受けた教育によってほぼ規定されている。
    人口構造の変化⇒いかなる製品が、誰によって、どれだけ購入されるかに対し大きな影響を与える。
アメリカの
10代女性:安い靴をたくさん買う。基準は耐久性ではなくファッション。
10年後:あまり靴を買わなくなる。17歳ころの2割程度に減る。ファッション性は重要でななくなり、履き心地や耐久性が基準。
先進国:
60代、70代の退職後間もない人たちが、旅行や保養の市場において中心的な世代となる。
10年後には、この同じ人たちが高齢者コミュニティの客となる。
共働き夫婦:
金はあるが時間がない。そのような人間として消費する。
若いときに高等教育、特に高度の技術教育を受けた人⇒卒業の10年後20年後には、高度の再教育コースの受講者となる。
欧米や日本などの先進国:
オートメ化せざるを得ない。
少子化と教育水準の向上という人口構造の変化⇒先進国の製造業における伝統的なブルーカラーの雇用が減少することは間違いない。
    人口構造の変化そのもは予測が不可能かもしれないが、
すでに起こった人口構造の変化が現実の社会に影響をもたらすにはリードタイムがある⇒予測可能。
新しく生まれた赤ん坊⇒
幼稚園児となり、幼稚園の教室や先生を必要:5年
消費者として意味をもつ存在:15年
成人の労働力:19〜20年以上
    人口構造の変化が、企業家にとって実りのあるイノベーションの機会となる

既存の企業や公的機関の多くが、それを無視してくれる。
人口構造の変化は起こらないもの、あるいは急速に起こらないものであるとの仮定にしがみついている。
アメリカの大学の教育学部の例(p63)
     
  ◆人口構造の変化はイノベーションの機会 
  ◆人口構造の変化の分析 
☆第8章 認識の変化をとらえる(Y)  
  ◆半分空である 
◆    ◆女性、中流階級意識 
  ◆タイミングの問題 
☆第9章 新しい知識を活用する(Z)  
  ◆知識によるイノベーションのリードタイム 
  ◆知識の結合 
  ◆知識によるイノベーションの条件 
  ◆知識によるイノベーションに特有のリスク
  ◆ハイテクのリスクと魅力
☆第10章 アイデアによるイノベーション  
  ◆あまりの曖昧さ 
  ◆その騎士道 
☆第11章 イノベーションの原理  
  ◆イノベーションの原理と条件 
  ◆イノベーションの3つの「べからず」 
  ◆イノベーションを成功させる3つの条件 
★第2部 企業家精神  
☆第12章 企業家としてのマネジメント  
  ◆企業家のための手引き 
    3種類の組織(企業・公的機関・ベンチャー)のいずれにおいても、
企業家精神にあふれたリーダーと凡庸なリーダーとの格差は絶大。
but
企業家精神の成功例もまた豊富。

企業家としての原理と方法のいずれについても、
診断と処方のいずれについても、
体系的に提示することは十分に可能。
☆第13章 既存企業における企業家精神(p125)
  ◆企業家たること 
    企業家としてイノベーションに成功した大企業の例は多い。
米国:
ジョンソン&ジョンソン
3M
シティバンク

ドイツ:
ヘキスト

スウェーデン:
ASEA
but
大企業の場合、ある分野では企業家としてイノベーションに成功し、ある分野では失敗している。
GE
RCA
    規模の大きさは、イノベーションや企業家精神の障害とはならない。
大組織の官僚的体質や保守的体質は、イノベーションと企業家精神にとって深刻な障害となる。butそれは中小の組織においても同じ。
最も企業家精神に乏しく最もイノベーションの体質に欠けているのは、むしろ小さな組織。
    障害は既存の事業そのものであり、特に成功している事業。
but
大企業や中堅企業は、小企業に比べるとこの障害をかなり容易に乗り越えている。
既存の工場、技術、製品ライン、流通システムは、マネジメントに対し絶えざる努力と不断の注意を要求。
日常の危機は常に起こり、延ばすことはできない。
直ちに解決しなければならない。
既存の事業は常に優先する。(p127)
新事業:
小さく、取るに足りず、将来性も確実ではない。
イノベーションに成功するものは、小さく、シンプルにスタートする。
@既存の製品の改善があり、手直しがある。
A市場と最終用途の拡大がある。
B逆に、新製品のリードタイムは長い。

現在成功している製品やサービスをもっている企業は、10年後もその収益の4分の3を今日の製品やサービス、あるいはその延長線上の製品やサービスから得ている可能性が大きい。
今日の製品やサービスが継続的に収益をもたらしてくれない⇒イノベーションに必要な投資もできない。
既存の企業:
すでに存在する事業、日常の危機、若干の収益増へと、その生産資源を振り向けてしまいがち。
←昨日を養い、明日を飢えさせる(=死に至る)誘惑にかられる。

イノベーションを行なおうとしない企業は歳をとり衰弱していく。
急激な変化の時代、企業家の時代にあっては、衰弱のスピードは急速。
ひとたび後ろ向きになれば、向きを戻すことは至難。
既存の事業はイノベーションと企業家精神の障害となる。
問題はまさに過去及び現在の事業の成功、現在の健全さにある。
    常時イノベーションに成功している既存の企業、大企業や中堅企業の例
⇒既存の事業がもたらす障害が克服可能であることを示す。

ジョンソン&ジョンソン、ヘキスト、ASEA、3M・・・。
    企業家精神は仕事。
意識的な努力、学ぶことが必要。
企業家的な既存の企業⇒企業家精神の発揮を自らの責務とし、そのため自らに規律を課す。そのために働き、実践する。
企業家精神の4つの条件:
@イノベーションを受け入れ、変化を脅威でなく機会とみなす組織をつくりあげる。
企業家としての厳しい仕事を遂行できる組織をつくる。
企業家的な環境と整えるための経営政策と具体的な方策のいくつかを実践。

Aイノベーションの成果を体系的に測定。少なくとも評価する。

B組織、人事、報酬について特別の措置を講じる。

Cいくつかのタブー(=行なってはならないこと)を理解する。
     
  ◆企業家精神のための経営政策(p129)
    ×いかにしてイノベーションに対する障害を克服するか
〇いかにしてイノベーションを当たり前のこととし、それを望み、その実現のために働くようになるか
日常業務とまではいかなくとも、日常的な仕事の1つとする必要。

企業家精神のためのマネジメントと具体的な方策が必要。
  ●イノベーションを魅力的なものにするための第1の段階:
すでに活力を失ったもの、陳腐化したもの、生産的でなくなったものの廃棄を制度化.
スタッフ活動についてはもちろん、1つひとつの製品、工場、技術、市場、流通チャネルの継続の可否について3年毎に判定。
    もし手がけていなかったとして、今日これからこの製品、市場、流通チャネル、技術をてがけるか?
答えがノー
⇒その製品、市場、流通チャネル、スタッフ活動に資源を浪費するのをやめるにはいかにすべきかを問う。
廃棄が不可能の時も、
少なくともそれ以上の労力はかけないようにする。
人材と資金という生産資源を、すでに過去となってしまったものに投じてはならない。
いかなる有機体といえども、老廃物を排泄しないものはない。
さもなければ自家中毒を起こす。
製品やサービスが近いうちに廃棄されることを知ることほど、関係者の心をイノベーションに集中させるものはない。
廃棄が原則⇒誰もが進んで新しいものを求め、企業家精神をかきたて、自ら企業かとなる必要を受け入れるようになる。
  既存の企業が新しい事業にどん欲になるための第2段階:
顧客、サービス、市場、流通チャネル、工程、技術にはいずれもライフサイクルがあることを前提として現状を把握すること。(p132)
     
  ◆企業家精神のための具体的方策 
  ◆イノベーションの評価 
  ◆企業家精神のための組織構造 
  ◆評価測定の方法
  ◆企業家精神のための人事 
  ◆企業家精神にとってのタブー 
☆第14章 公的機関における企業家精神  
◆    ◆イノベーションを行なえない理由
◆    ◆公的機関の企業家原理 
  ◆既存の公的機関におけるイノベーションの必要性 
☆第15章 ベンチャーのマネジメント  
  ◆市場志向の必要性 
  ◆財務上の見通し 
  ◆トップマネジメント・チームの構築 
  ◆創業者はいかにして貢献すべきか 
◆    ◆第三者の助言 
★第3部 企業家戦略  
☆第16章 総力戦略  
  ◆総力による攻撃 
  ◆成功への道 
  ◆リスクの大きさ 
☆第17章 ゲリラ戦略  
  ◆創造的模倣戦略 
  ◆柔道戦略 
☆第18章 ニッチ戦略  
  ◆関所戦略 
  ◆専門技術戦略 
  ◆専門市場戦略 
☆第19章 顧客創造戦略  
  ◆効用戦略 
  ◆価格戦略 
◆    ◆事情戦略 
◆    ◆価値戦略 
☆終章 企業家社会   
◆    ◆われわれが必要とする社会 
◆    ◆機能しないもの 
  ◆企業家社会における個人