シンプラル法律事務所
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競争優位の戦略

☆1章 競争戦略・・・その中心概念  
     
★T 競争優位の原理  
☆2章 価値連鎖と競争優位  
     
     
☆3章 コスト優位のつくり方  
  ◆価値連鎖とコスト分析 
     
  ◆コスト・ビヘイビア 
  ◇コスト推進要因 
    価値活動のコスト・ビヘイビアを決めるのは、10のコスト推進要因
@規模の経済性
A習熟度
Bキャパシティ利用のパターン
C連結関係
D相互関係
E統合
Fタイミング
G自由裁量できる政策
Hロケーション
I制度的要因
     
  ◇規模の経済性または非経済性 
    規模の経済性:
生産量を大きくする活動のやり方が変わったり、効率が上がったりすることから生まれる。
あるいは、
販売量が増加する以上に、広告費やR&D経費といった無形物のコストが下がることから生まれる。

@活動の規模増大⇒活動の効率が上がる。
A活動の規模拡大⇒活動の支援に必要な全般管理、すなわち間接経費の増加率が減る。
    規模の経済性とキャパシティ利用との区別:
キャパシティ利用の率が増える⇒現在の設備や人件費の固定コストは生産量の増加に伴って増える
規模の経済性の点⇒キャパシティをフルに作動させる活動は、規模が大きいほど効率がよい。
    調整が複雑さを増し、それだけコストも増える⇒規模が大きくなるにつれて、価値活動における規模の非経済性が生まれてくる。
ex.生産ラインの数が15%過大⇒工場が複雑となり混乱。
規模が大きくなる⇒
従業員のモチベーションが落ちたり、賃金や購入資材コストが増えたり
ex.労組加入の確率が増え、労組指導者の賃上げ期待率が上がったり、態度がずうずうしく
調達における規模の非経済性:
大量の資材要求が供給の融通性のなさにつながり、購入価格が上昇
規模の非経済性は、多くのファッション産業やコンサルタントなどの専門サービスに起こっている
←これらの業界では時をおかずに反応せざるをえないし、大企業では働けない創造的人間に主として頼っている
    活動が規模に対してどれくらい敏感であるかは、千差万別。
@製品開発、全国広告、会社の全般管理のような価値活動⇒A調達、セールスマン活動のような活動よりも、規模に敏感。
←@のコストは、会社の規模にかかわらず、固定的。
    規模の経済性は、価値活動における技術のあらわれであるだけでなく、会社がその活動をどういう仕方でやるかの反映でもある。

・そこで清算される製品の種類の数と、生産工程の長さ

・セールス舞台をどれくらいの範囲に散開させるかによって、セールス活動における規模の経済性が違ってくる。
地域別にセールス部隊を配置していると、地域の売上高が増えるにつれて、コストは下がる。
←セールスマンが1回の顧客訪問でより大口の受注ができるし、顧客間の移動時間も、稠密地域のため短くなる。
セールス舞台が製品の種類別⇒1地域の売上量が増加すると、本拠地に近い他の地域へ移動する以上に、その地域への移動時間が長くなる⇒規模の非経済性が生まれる。
    規模を測る適切な尺度は、価値活動や業界によって違う。
ある価値活動⇒グローバルな、すなわち世界全体にまたがる規模が適切なコスト推進要因。
別の価値活動⇒一国規模、地域規模、地方規模、工場規模、プロジェクト規模、生産ライン当たり規模、買い手当たり規模、受注当たり規模、その他の規模尺度が、コスト・ビヘイビアの基礎にあるかもしれない。
製品R&D:グローバルか国の規模が適切な規模尺度になることが多い。

@新モデルを開発するには、一定額の投資が必要であって、この投資は売れる個数の全部で償却される。
A世界中で売られる標準モデルの開発コストは、グローバルな規模で償却。個々の国向きの製品の開発コストは、国の規模で処理するのが適切。

輸送業の規模の経済性:
典型的には、地域または地方規模、あるいは買い手当り規模で考慮。
どの規模かは、輸送様式によって左右される。
地方または地域規模は、顧客の所在密度、したがって、供給場所からそれぞれ顧客の所在地までの距離の代理。
一定地域へのコンテナー単位荷物、貨車単位荷物、列車単位荷物の輸送では、割引料金制度を実施。

規模の経済性がコストにどう影響するかを理解するには、規模の経済性を支えている特定のメカニズムと、そのメカニズムをいちばん正しく補足する規模の尺度を見つけることが必要。
    何が規模の尺度として適切であるかは、会社が活動をどのように管理するかによって違ってくる。
世界全体ではなく国別に製品を変える⇒規模の適切な尺度も代わる。

人手ではなくて電子機器による処理法で加盟店からの取引き承認の問い合わせに応じるクレジットカード会社の承認コストは、全体の取扱量の大小によって変わる。
⇒会社の方針が規模の経済性の大乗に影響するだけでなく、活動におけるコストをいちばん強く求める規模のタイプにも影響。

会社は、競争相手に対して最大の優位を確保できる規模のタイプに合わせて、活動の敏捷性が最大になるような管理をしなければならない。

地域中心の会社⇒地域規模の価値の特色を強め
どの地域にもリーダーシップを持たない国中心の会社⇒国規模の価値を最大にするように活動管理をしなければならない。
     
  ◇習熟と伝播 
    価値活動のコストは、時間緒経過とともに、習熟(活動の効率を増やす)によって低下。
    習熟が時間とともにコストを下げるメカニズム:
工場レイアウトの変更
生産日程づくりの向上
労働効率の進捗
製造がやりやすくなり品質を高めるような製品設計変更
設備資産の利用度を上げる生産手順
原材料と生産工程の適合性の向上
等。
習熟が進む⇒工場その他の施設の建設コストも下がる。

活動における習熟の与える成果は、個人がその職務の遂行を習熟によって効率的にする以上に、幅広いものになり得る。
習熟率は、勝活動によって大きく異なる。
←価値活動はそれぞれ習熟による向上の可能性が違う。
習熟率が進むのは、需要を満たそうとがんばっているときよりも、コストを下げることに注意を集中している、どちらかというと華々しくない期間。
習熟を見つけようと経営者が熱心に注意しているかどうかによって、習熟に差が出て来る。
    習熟は、供給業者、コンサルタント、臨時社員、他社製品の分解検査などのメカニズムを通じて、1社から業界内の他社へ伝播。
持続力のあるコスト有為は、独占的な習熟によってのみ生じる⇒業界内の習熟伝播率は、習熟が1社のコスト優位をつくるのか、それとも業界全体のコストを低下させるだけに終わるのかを決める。

業界内伝播率の分析は、習熟率の差による業者間の相対的コスト優位を診断するには不可欠、。
    規模の経済性の場合と同じく、習熟率の適切な尺度は、価値活動が違えば違う。
習熟の適切な尺度は、価値活動において時間の経過とともにコストを下げる原因となる特定の習熟メカニズムを明示するものである必要。
習熟のメカニズムは多種多様であり、そのうえ伝播の影響も加わる⇒習熟尺度も無数にある。
工員の効率を向上させることでコスト・ビヘイビアに習熟が影響するような価値活動
〜習熟率は、その活動における累積生産量と密接な関係にあるといえる。
but
より効率のよい機械の導入によって習熟が高まる場合には、習熟率は、機械の技術的変化率そのもの⇒会社の生産量の大小とは関係しない
習熟率はまた、カレンダー時間や活動の改良のために費やされた投資額の関数でもある。
それぞれの価値活動における習熟のメカニズムを具体的に理解し、習熟率のベストの尺度を発見することは、会社のコスト地位向上のために不可欠。
習熟率は、収益逓減の法則に従うことが多い⇒業界の習熟度が進むにつれて、価値活動のなかには、時間と共に、習熟率も低下するものがある。
     
  ◇キャパシティ利用のパターン 
    価値活動に多額の固定コストがかかる⇒活動のコストは、キャパシティ利用の程度によって大きく変わる。
固定コストが高い⇒キャパシティの低利用のペナルティが発生し、変動コストに対する固定コストの比が、キャパシティの利用度に対する価値活動の敏感性を示す。
価値活動の配置を換えると、キャパシティん利用に対する敏感度も変わってくる。
    ex.
食品をスーパーに売る場合で、@食品ブローカーを利用する場合とA社内のセールス部隊でやる場合。
@⇒売上高に対するコミッションを払うだけでいい。
A⇒固定サラリーと経費を支払う。
    キャパシティ利用度が変化すると、利用度を高めたり低くしたりするコストがいる
⇒利用度を変える会社は、コンスタントに利用度を維持する会社よりも、両社とも平均利用度は同じだとしても、コストが高くなる。
     
  ◆コスト優位
     
  ◆戦略的コスト分析の進め方 
     
     
     
     
     
☆4章 差別化の基本的考え方  
     
     
☆5章 技術と競争優位  
     
     
☆6章 競争相手の選び方  
     
     
★U 業界内部の競争分野をどう決めるか  
☆7章 業界細分化と競争優位  
     
     
☆8章 代替に対する戦略  
     
     
★V 企業戦略と競争優位  
☆9章 事業単位間の相互関係  
     
     
☆10章 水平戦略の効用  
     
     
☆11章 相互関係の活用  
     
     
☆12章 補完製品と競争優位  
     
     
★W 攻撃と防衛の競争戦略  
☆13章 業界シナリオと不確実性下の競争戦略  
     
     
☆14章 防衛戦略  
     
     
☆15章 業界リーダーへの攻撃戦略  
     
     


競争の戦略

★T 競争戦略のための分析技法  
☆1 業界の構造分析
     
     
☆2 競争の基本戦略  
     
     
☆3 競争業者分析のフレームワーク  
     
     
☆4 マーケット・シグナル  
     
     
☆5 競争行動  
     
     
☆6 買い手と供給業者に対する戦略  
     
     
☆7 業界内部の構造分析  
     
     
☆8 業界の進展・変化  
     
     
★U 業界環境のタイプ別競争戦略  
    パートT:競争戦略策定に使う分析手法
パートU:これを使って業界環境の主なタイプ別にさらに突っ込んだ戦略の分析
    3つの面から業界環境を捉える
@業界の集中度
A業界の成熟状態
B国際競争の影響
     
☆9 多数乱戦業界の競争戦略  
    共通している分野:
・サービス
・小売り
・卸売り
・木材や金属の加工
・農産物
・広告制作
原因を知らずに戦略策定など及びもつかない。
  多数乱戦の原因は何か 
  ●参入障壁が低い
  ●規模の経済性、あるいはエクスペリエンス曲線がきかない 
    規模の経済性やエクスペリエンスの累積によるコスト低下がみられない:
単純な加工や組み立て作業(グラスファイバーやポリウレタン成形)
単なる在庫商売(電子部品の卸売り)
もともと労働集約的内容(保安警備)
人手によるサービスに頼るとか、機械化やルーチン化がとても無理なもの
ex.ロブスター漁業
生産の単位は1つ1つの漁船
漁船を多数抱えても、漁船コストの引下げにはほとんど役立たない

漁船はみな同じ水域へ出漁するので、大漁に恵まれるチャンスは漁船を多く抱えていても変わらない。

さしてコストのちがわない零細業者が無数できてしまう。
  ●高い輸送コスト 
    輸送費が高いと、工場や生産拠点を効率よくするのに規模を無限に大きくできない

1つの工場が経済的に供給できる地域は、@輸送費とA規模をふやして下がるコストとのバランスで決まる。
    輸送費が高い:
セメント、牛乳、腐食性の強い化学薬品等
サービス業
←サービスは、顧客のいる場所で提供するか、提供している所へ顧客にきてもらうかしなければならない

#ネットで離れた場所でのサービスの可能性
     
  ●在庫コストが高く、売上げの変動も大きい 
    生産をふやしたり減らしたりする必要⇒大規模の資本集約的設備を建設し常時稼働させる方式は向かない
    売上が不規則に大幅に変動⇒結局は規模の小さい小回りのきく企業よりも不利になる
    大規模:フル稼働の時の生産効率大
小規模:安定操業状態ではコストが嵩む。but柔軟性があって量の変動を吸収できる。
     
  ●買い手や供給業者が強すぎて大手でも取引が有利にならない 
     
  ●規模の不経済性が致命的 
    すばやく製品やスタイルを取り換える⇒部門間の迅速な反応や腕ずくの調整が必要
競争の決め手が、ほんのわずかの準備時間でつぎつぎと新製品を売り出したり、スタイルを変えること
ex.婦人服などスタイルが競争の主役を演じる業界
    間接費を低く抑える必要
    どんな品種もつくれる製造設備をもち、個々のユーザーに合わせて注文生産に応じる方式
    製品の多角化が原因〜事務用書式業界
    あふれるばかりの創造性が売り
     
  ●作業現場に密着して管理監督しなければ成功がおぼつかない場合 
    ナイトクラブや食堂などサービス業
     
  ●人手によるサービスが事業の決め手 
    人手によるサービスの質が高く、顧客にかゆいところに手が届く、行き届いたサービスだと感じてもらえるのは小企業に多い
    ex.美容院やコンサルタント業界
     
  ●地元というイメージや地元との結びつきで事業が成り立つ場合
  ●多様な市場ニーズ 
    買い手の子のみが、バラバラに細かく分かれている業界
ex.消防車
  ●いちじるしい製品差別化、とりわけイメージによる差別化 
    ひと味ちがうイメージを武器に製品差別化
    業界が競って契約したがる大切な供給者が、流通チャネルを専属にして独自のイメージを大事にする場合。
ex.ステージで公演するアーティストで、自分が築き上げたいと望んでいるイメージにぴったりの、小さな周旋業者やレコードのレーベルを選んで契約。 
     
  ●撤退障壁 
  ●各地域の条例 
  ●政府による企業集中の禁止 
  ●新規業界 
    業界が新しく、どの企業もまでとび抜けたシェアを獲得するほどの経営技能や経営資源が整わない。
     
  多数乱戦業界を制圧するには 
    肉牛業界
    無数の小牧場主:
規模の経済性はほとんどでなかった。
反対に、頭数がふえると、大群に目を配りながら牛を追ってつぎつぎ移動するという不経済。
⇒肉牛の肥育方法としてのフィードロット方式⇒大手飼育業者

多数乱戦の根源は肉牛肥育方法の技術。
それが取り除かれると、たちまち構造変化の動きに火がつき、業界構造は一変。
     
  業界の整理統合はどうすればよいか 
  ●規模の経済性やエクスペリエンス曲線が作用する条件をつくり出せ 
    技術革新で製品をつくる工程が一変し、機械化されていっそう多額の資本が必要⇒整理統合は進む。
    実験動物の飼育:
チャールズ・リバー飼育研究所が、衛生状態をはじめ動物環境のすみずみから飼料まで注意深く管理された大規模で効果が飼育設備を手掛けた⇒多数乱戦の根本原因を取り除いた。
    マッシュルーム栽培:
2,3の大企業が参入して、コンベア、空調設備など労務費をかけずに生産をふやせる設備を採用し、マッシュルームの成長をコントロールできる技術的に進んだ生産工程を作り上げた
〜かなりの規模の経済性があり、多額の資本や高度の技術も必要
⇒整理統合が始まった。
    マーケティング分野:
テレビ放送のネットワークがマーケティング技法の基本手段として広く採用⇒業界の整理統合が進む。

土木機械メーカー:
全機種をそろえた専門商社が出現し、融資やそのほかのサービスまで提供⇒整理統合。
     
  ●多様な市場ニーズに標準品で対応せよ 
    製品の設計を変更して標準品種のコストを思いきり切下げ、買い手に、値の張るあつらえ品よりも標準品のほうが買い得だと思わせる。
製品をモジュール化⇒部品は大量製品がきき、最終製品は多種多様でも、規模の経済性やエクスペリエンス曲線によるコスト低減の成果は手に入る。
     
  ●多数乱戦の主原因を無力化するか切り離せ
    キャンプ場経営とファースト・フーズ

どちらも現場にいて管理し、気持ちよいサービスを売りものにしてはじめて成り立つ。
1つ1つの拠点は小さな規模
←顧客に近いところ、つまり数多くの主要幹線道路や行楽地の近くに店を出すほうが最も重要
but
マーケティング活動や仕入れでは規模の経済性が発揮できる。
オーナー経営者がそれぞれの店をフランチャイジーにして、全国的規模の企業の傘下に入って営業する方式。
親会社:ブランド名を宣伝し、集中仕入れやそのほかのサービスも提供。

規模の経済性を生かしながら身近で管理し、気持ちよいサービスをまちがいなく維持できる。
不動産周旋業界のセンチュリー21。
    多数乱世の原因が主として生産工程やサービス提供の仕方にある
⇒そういう面を経営から切り離さなければ、多数乱戦を制圧できない。
買い手が無数のセグメントに分かれていたり、自分だけのブランドを選ぶほど製品差別化が進んでいる
⇒多数のブランド名と包装の仕方を注意深く使い分け、シェアの制約を打ち破る。
アーティスがの場合などで、売り手の側が、独特のイメージや評判を求める
⇒レコード業界では、この要望に応えて1社内で多数のレーベルを使い、特定のレーベルと提携する契約。
どのレーベルも、レコードのプレス、マーケティング、販売促進、流通は同じ会社を使っている。

レーベルの1つ1つは独立していて、専属アーティストの持ち足を引き立てようと努めている。
親会社全体とすれば、シェアは大きく、CBSやワーナー・ブラザーズの令では、それぞれ約20%のシェア。
    多数乱戦制圧の基本的な方法:
@多数乱戦の根本原因は取り除けないと認める。
Aどうしても多数乱戦が避けられない面の、経営に及ぼす影響を断ち切る戦略をとり、シェアが増せば有利となる面の効果だけを出す。
     
  ●吸収合併して利益の出る規模まで大きくせよ 
     
  ●業界の動向をすばやくかぎとれ 
     
  ◇多数乱戦という「窮地」に立たされている業界 
    多くの業界は経済的理由があって多数乱戦になっているのではなく、窮地に立たされてそういう状態から抜け出せないでいるだけ。
  ●業界内の企業に経営資源や経営技能が不足している 
     
  ●業界内の企業が近視眼的で現状に甘んじている 
    アメリカのワイン業界:
醸造業者は、ずっと醸造のことばかりに目を奪われ、全国にくまなく流通網を張りめぐらせたり、消費者にブランドを覚えてもらうことなど、ほとんど努力していなかった

1960年代の半ば、消費財やアルコール飲料の大手がいくつか、業界に算入し、マーケティング中心のやり方に変えていった。、
     
  ●他業界の企業から注目されない 
     
    競争の経済原則からすれば多数乱戦になるはずのない業界⇒戦略的にはまたとない好機をつかまえたことになる。
     
     
  ◇多数乱戦構造に対処する方法 
    多数乱戦は、多くの場合、いかんともしがたい経済原則が働くから起こる。
競争相手が無数にある
一般に仕入先にも買い手にも弱い立場に立たされてしまう
⇒利益といえるほどのものは得られない。

戦略によって自社の地位をどう変えてゆくかが重要。
戦略の課題:
たとえシェアはごくつつましくとも、この業界で最も業績のよい企業に名を連ね、多数乱戦業界の勝者となること。
    2章で説明した
@低コスト
A製品差別化
B集中
の3つの基本戦略を多数乱戦業界という特異な状況に当てはめ、検討する。
     
  ●強力な本社統制に支えられた分権構造 
    多数乱戦業界の企業は、
強力な社内のまとまり、地元企業という標榜、人手をかけた手厚いサービス、客と接する場でのこまごました監督を特色としていることが多い

1つの重要な競争手段は強力な本社統制に裏付けられた自主経営の分権制度。

少数の地点へ集中した事業所の規模を大きくするのではなく、個々の事業所は小さいままながら、できるだけ自主的に運営できるようこまかく心を配る
カナダのアルミ押出加工業界でのインダル社
アメリカの中小新聞社のチェーン組織
食料品小売業界のジロン社
    ジロン社:
各地の小さな食料品チェーンを買収して傘下におさめ、それぞれ名前やお得意先などはもとのままで自由に経営させる。
@本社の統制力と
A社外から人材をスカウトせず社内の登用に限る

多数乱戦の原因をあきらかにし、それに対処してゆく正攻法をとりながら、なお各地の事業所の経営責任者にもっとその道の専門家としての腕を発揮させ、経営させる。
     
  ●設備の標準化 
    各地に多数効率のよい低コストの設備を建設するのが経営戦略のカギと考えるやり方。

工場であれサービス提供の施設であれ、設備はすべて標準設計にしてしまい、設備の建設から稼働まで、費用を最小にできるよう手順を科学的に練り上げる。

競争相手よりも投資額を減らせるそし、それでいて効率もよく客をもっと引きつける事業所を用意できる。
     
  ●付加価値を高める 
    事業の付加価値を増す。
ex.
売るときに客の喜ぶサービスをもっと付け加える
加工の手を延ばし、一部最終加工まで手掛ける(所要サイズに切断したり穴をあけたり)
部品の中間組立てや最終組立てをしてから顧客へ販売

ありきたりの製品やサービスでは、差別化を進めてマージンをふやすのは無理だが、
このように手を広げると可能になる。
一部の金属流通業者:
単に物を流すだけの仕事⇒「金属サービス・センター」と称して簡単な加工をしたり、顧客に役立つ情報を流したり。

電子部品流通業者:
部品をバラバラのまま、あるいは組立て用キットとして販売⇒コネクターの中間組立てにまで手を広げる。
    付加価値を増すには、製造から卸売や小売りへと川下へ垂直統合を進めるのがよい場合もある。

販売条件を管理しやすくなり、買い手側の力を抑えたり製品差別化を強めたりできるようになる。
     
  ●製品種類や製品セグメントを専門化する 
    1製品を無理にでも特定種類に絞って専門化する
〜集中戦略の一種。

@購買量がまとまり、供給業者にとっても、かなりの量にのぼる⇒仕入れの交渉にもある程度強い姿勢がとれるようになる。
A特定の製品分野の専門家⇒すぐれた意見やイメージを生かして、製品差別化を推し進め、顧客をつかむこともできる。
Bその製品分野に関する情報がふえる⇒顧客に役立つ知識を与えたり、いろいろなサービスを提供する体制を整えるため、資金を投じる意味もでてくる。
but
代償として、将来の成長が少々制約される。
    エサン・アレン社:
アメリカ初期の伝統家具を専門としているが、その製品を1つ1つ買い求め、まとめてゆくと、専門家が設計したような、すばらしい部屋ができ上げるようになっている。

キャッチフレーズ:
「わが社は、製品をお求めいただいているのではありません。製品であなたのできる工夫をお売りしているのです。ほんの一部の人にしか許されなかったぜいたく、あなたにも味わっていただきたいのです。」

20%値上げしても売れ、その分をテレビの広告に注ぎ込む。
販売は、この製品しか扱わない自営の小売店で組織した独自の販売網に限っているが、それで差別化が一層強まるだけでなく、デパートやスーパーの安売りも免れている。
シャアはほんの3%ほどだが、利益率は業界平均をはるかに上回る。
     
  ●顧客のタイプで専門化する 
    顧客を特定のタイプだけに絞って利益を上げるやり方もある。
ターゲット:
年間購入量が少ないとか、企業規模そのものが小さいとかで、購買の際、高圧的態度に出ない顧客。
価格にまったく敏感でない顧客とか、製品やサービスに付け加えた付加価値をいちばんほしがっている顧客。
but
特定製品に専門化する場合と同様、顧客を絞れば利益率は高くなるが、その代わり企業成長の見込みは少なくなる。
     
  ●注文のタイプで専門化する 
    どんな顧客でもよいが注文は特定のものだけに限る。
顧客がすぐにほしがる小口の注文(値段はあまりやかましくない)。
特別あつらえの注文(発注先を切り替えるにも手間がかかる)。
注文を絞る⇒量はある程度犠牲にせざるをえない。(先の2つの方法と同じ。)
     
  ●特定地域に集中する 
    全国的に高いシェアを確保するのがとても無理だとか、活動範囲を全国に広げて規模を増しても、不経済にこそなれ、効率よくはならない場合

1つの地域に限定して設備、マーケティング、セールス活動を集中し、そこをくまなく攻めるのが効率的。

セールスマンの効率がよくなり、広告の効果もあがり、1つの流通センターで十分といった、ムダの排除ができる。
多くの地域へ手を広げ少しずつ商売⇒多数乱戦業界のむずかしさがますます骨身にしみるだけ。
食料品店で、全国チェーン店組織が網の目を張り巡らせている中で、地域の小売店が健闘を続けている。
     
  ●飾りを捨てて裸で勝負 
    厳しい競争と低いマージンが逃れえない

簡単で効果のあがる戦略は、飾りものなどいっさい捨て、機能そのものに徹する競争姿勢をつねにとるよう、きびしい注意を怠らない。
ex.
間接費を削り、熟練工に頼らなくてもすむようにし、原価管理をきびしくし、こまかいことにもいつも目を光らせておく。
⇒価格競争では決してひけをとることはないし、平均を上回る利益をあげることができる。
     
  ●川上に向かって垂直統合する 
    小さいシェアのままでも、川上に向かって相手を選んで統合を進める⇒コストは下がり、こういうい手を打つ余裕のない競争相手には大きな圧力となる。
     
  ◇どこに戦略上の落とし穴があるか 
  ●圧倒的支配をめざす落とし穴 
    多数乱戦の原因である業界の構造をすっかり変えてしまうのでなければ、圧倒的な支配をめざしてもムダ。
多数乱戦の経済的原因がある⇒シェアを伸ばすにつれて、能率は下がり、製品差別化の欠点ばかり出て、供給業者や顧客の移り気に悩まされる。
×すべての人にあらゆる品を
〜いちばん競争力をなくしてしまう。
この考えで成功できるのは、大量生産でコストが有利となったり、そのほかいろいろ効率化をはかれる他の業界。
    プレリュード・コーポレーションの失敗:
「ロブスター業界のGM」になるという目標
最新技術の粋を集めた高価な漁船で大船団を組み、漁船の修理やドックの設備も社内にそなえ、トラック輸送やレストランと垂直統合も進めた。
but
一般の漁船と差のつくほどロブスターがとれるわけではなく、
間接費が大きくなり、固定費がかさんだ体質
⇒漁獲高の変動にいちばんもろいものとなった。

零細漁民は、投資利益で自分の業績をはかることなどせずに、ごくわずかの利益で満足
⇒同社の高い固定費を見て、どんどん安い値段をつけた
⇒資金繰りがつかず、操業停止へ。
     
  ●戦略修練を欠く落とし穴 
    きびしい戦略修練がなければ、多数乱戦業界の競争には成功しない。
    業界の競争構造⇒集中とか専門化といった的を絞った戦略コンセプトが必要。

ある事業をあきらめる勇気
事業とはこうするものだという世間の常識にもあえて立ち向かう勇気
が何よりも必要。
思いつきのごつごう主義的な戦略
⇒一時はうまくいっても、長い目で見れば結局は、多数乱戦業界にはつきもののきびしい競争の渦中に沈んでしまう危険を大きくするだけ。
     
  ●ゆきすぎた中央集権化という落とし穴 
    多くの多数乱戦業界での競争の死命を制するのは、
@人手によるサービス
A地元との結びつき
B仕事につきっきりの管理
C生産量の変動やスタイルの移り変わりに即応できる能力
等。
中央集権化された組織構造

反応に時間がかかり、現場で働く人々の意欲を削ぎ、人手のかかるサービスには欠かせない手なれた人々を逃してしまう。

本社の行う管理は役立つことも多いし、また多数乱戦業界でも多数拠点をかまえた企業の経営には不可欠。
but
中央集権組織は破滅をもたらすこともある。
    生産とマーケティングの集中体制をとっても規模の経済性は発揮できないばかりか、逆に不利にさえなる。
こういう分野の中央集権は、企業を弱体化こそすれ強化するものではない。
     
  ●競争相手も同じ間接費や利益目標をもった企業と思い込む落とし穴
   
価格の変動やその他業界の動向には、まともな企業とはまるきり違った反応を示す。
     
  ●新製品にうろたえる落とし穴 
    競争相手が多い⇒いつも買い手に大きな力をふるわれ、互いに競争させられてしまう。
きびしい競争に超然としていられる新製品はまるで救世主。
需要は急速に伸びるし、製品はまだ世間による知られていない⇒価格競争はきびしくなく、買い手は製品教育やサービスを要求。

各社そろって多額の投資をし、需要においつこうとする⇒成熟期に達したという兆しが見え始めるころ需要に追いつくが、それと同時に利益はたちまち消えうせてしまう。
⇒それまでの多額の投資は回収のメドがなくなる。
多数乱戦業界では、とくに、新製品への対応は難問題。
     
  ◇戦略策定の手順 
    手順1:業界の構造はどうか。競争業者はそれぞれどういう位置にいるか。
手順2:多数乱戦の原因は何か。
手順3:多数乱戦状態を変えられるか。その方法は。
手順4:変えて利益が得られるか。その場合、自社はどういう位置にいなければならないか。
手順5:多数乱戦が避けられない場合、どう対処するのが最善か。
     
     
     
     
     
     
☆10 先端業界の競争戦略  
     
     
☆11 成熟期へ移行する業界の競争戦略  
     
     
☆12 衰退業界の競争戦略  
     
     
☆13 グローバル業界の競争戦略  
     
     
V 戦略デシジョンのタイプ  
☆14 垂直統合の戦略的分析  
     
     
☆15 キャパシティ拡大戦略  
     
     
☆16 新事業への参入戦略