シンプラル法律事務所
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論点整理(利益相反取引)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

利益相反取引
規定 旧商法 旧商法 第265条 取締役ガ会社ノ製品其ノ他ノ財産ヲ譲受ケ会社ニ対シ自己ノ製品其ノ他ノ財産ヲ譲渡シ会社ヨリ金銭ノ貸付ヲ受ケ其ノ他自己又ハ第三者ノ為ニ会社ト取引ヲ為スニハ取締役会ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス会社ガ取締役ノ債務ヲ保証シ其ノ他取締役以外ノ者トノ間ニ於テ会社ト取締役トノ利益相反スル取引ヲ為ストキ亦同ジ
旧商法 第266条 左ノ場合ニ於テハ其ノ行為ヲ為シタル取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ第1号ニ在リテハ違法ニ配当又ハ分配ノ為サレタル額、第2号ニ在リテハ供与シタル利益ノ価額、第3号ニ在リテハ未ダ弁済ナキ額、第4号及第5号ニ在リテハ会社ガ蒙リタル損害額ニ付弁済又ハ賠償ノ責ニ任ズ
 1 第290条第1項ノ規定ニ違反スル利益ノ配当ニ関スル議案ヲ総会ニ提出シ又ハ第293条ノ5第3項ノ規定ニ違反スル金銭ノ分配ヲ為シタルトキ
 2 第295条第1項ノ規定ニ違反シテ財産上ノ利益ヲ供与シタルトキ
 3 他ノ取締役ニ対シ金銭ノ貸付ヲ為シタルトキ
 4 前条第1項ノ取引ヲ為シタルトキ
 5 法令又ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シタルトキ
会社法 会社法 第356条(競業及び利益相反取引の制限)
取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
会社法 第365条(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)
取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。
会社法 第423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任) 
取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。
会社法 第428条(取締役が自己のためにした取引に関する特則)
第三百五十六条第一項第二号(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引(自己のためにした取引に限る。)をした取締役又は執行役の第四百二十三条第一項の責任は、任務を怠ったことが当該取締役又は執行役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない。
内容   旧商法 取締役が利益相反取引をする場合には取締役会の承認決議を受けるべき(旧商法265条1項)。
承認決議なし⇒法令違反行為に基づく5号責任(=過失責任)。
承認決議あり⇒会社が当該取引から被った損害について4号責任(=無過失責任)。
会社法 取締役会の承認決議(法356条1項2号・3号、法365条1項)
承認決議なし⇒法令違反行為に基づく会社法423条1項、3項の任務懈怠責任
承認決議あり⇒善管注意義務・忠実義務違反といった任務懈怠あり⇒423条1項、3項の任務懈怠責任 
いずれも過失責任。
自己のために会社法356条1項2号に定める利益相反取引(自己取引)⇒承認決議の有無にかかわらず、無過失責任(428条1項)。
効力 株主総会又は取締役会の承認を得ずにした利益相反行為の効力は、追認のない限り、無効。会社が第三者に利益相反行為の無効を主張するには、承認がなかったことにつき悪意であることを主張立証する必要。