シンプラル法律事務所
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論点整理(著作権関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

発明(特許権)と著作物(著作権j)の対比
発明 著作物
人の知的活動の成果
自然法則を利用した客観的存在

発明と創作者との結びつきは比較的弱く、同じ発明は早晩第三者によって開発される可能性が強い。

特許権を取得できるという根拠は他人に先駆けて最初に発明をして公開するという点にある。
思想・感情という人の精神的な側面を重視した主観的存在

人の精神的側面を扱っており、その著作物はその者にしかできないという性質が鮮明。
創作者と著作物との結び付きは強い。

著作権法(中山)
★第1章 著作物(著作権の主体)  
   
     
  ◆第7節 特殊な問題 
  □(1) 概念
●  キャラクター:小説や漫画等に登場する架空の人物や動物等の姿態、容姿、名称、役柄等の総体を指し、小説や漫画等の具体的表現から昇華した抽象的なイメージ。
キャラクターそのものはアイデアレベルの存在であり、具体的な表現を保護する著作権法では保護されない。
キャラクターを商品に使用する権利は一般に「商品化権」とも呼ばれているが、法律上、商品化権という物的な権利は規定されておらず、物権法定主義から、解釈でそのような権利を認めることもできない。
「商品化権」とは、具体的には、著作権法、商標法、不正競争防止法等で保護されているものの総称。
著作権法における保護⇒保護されるのは具体的な表現であり、小説の主人公のキャラクターのように抽象的なものが問題となることは少ない。
他人の小説の続編を無断で執筆⇒当然に主人公等の氏名、性格、役柄等を使用することになり、小説のキャラクターの典型的な使用例といえる。
but
原作小説の具体的表現を模倣していない限り著作権侵害とはならない。
  □(2)キャラクター保護の意味
漫画やアニメ等に登場する人物については、それをキャラクターと呼ぶか否かは別として、漫画として著作権が発生。
  □(3) 著作権によるキャラクター保護
キャラクターであるからという理由で翻案以上の保護を与える理由はない。
サザエさん判決については、漫画サザエさんにアクセスして同一あるいは類似の絵をバスに描いたものであることが明らかであるならば、膨大な量の漫画のどのコマに依拠したかという立証までは必要がないと述べたものと理解すべき。
最近の判例では、キャラクターを正確に定義し、著作権法で保護できる限界を明らかにした上で議論が進められており、このことはポパイネクタイ上告審においても確認されている。
     
     
     
     
★第2章 著作権の主体(p191)  
  ◆第1節 総説 
  ◆第2説 著作者=創作者 
  ■1.著作者の認定 
    著作権法 第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
    著作物とは、思想または感情の創作的な表現(2条1項1号)
⇒創作者とは創作的な表現の創出に実質的に関与した者。
  ■2.共同著作者 
    著作権法 第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十二 共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。
  ■3.著作者の推定(14条) 
    著作権法 第14条(著作者の推定) 
著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。
  ■4.例外(特別な考慮を必要とするもの) 
  □(1) 総説
  □(2) 職務著作(15条) 
    著作権法 第15条(職務上作成する著作物の著作者)
法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
  ●(ア) 旧法 
  ●(イ) 職務著作制度の意義 
    特許法における発明:
全て作業者に原始的に帰属し、使用者は一定の条件の下に従業員の権利を承継取得するという構成(特許法35条)
but
著作権法は一定の要件の下に法人等の使用者を著作者としており(15条)、著作者人格権を含めてすべての権利が原始的に使用者に帰属し、補償もない。

@今日の著作物の創作の実態からすれば、法人等の活動として著作行為がなされるものと解することを適当する事例も多いと認められ・・一定の要件の下に創作された著作物に限定して法人等を著作者とする他は、特に法で規定せずに契約に委ねることにした。
A特許権は登録主義⇒発明者・権利者は登録から判明but
著作権の場合は創作主義⇒著作物を利用しようとする第三者にとって権利の発生やその淵源の探索が非常に困難⇒外部から見て誰が創作者であるのかが判りやすい制度が好ましい。
B15条は、著作物の利用・流通に力点を置いた規定。
C著作物の財としての性格⇒著作物に関する権利の集中化のシステムが必要。
D15条は、契約で処理することが困難な著作者人格権を使用者に帰属させる、少なくとも従業者には行使させないという点に意味。
  ●(ウ) 要件
  ◎総説
    @使用者の発意
A使用者の業務に従事する者
B職務上作成されたもの
C使用者の名義
D契約、勤務規則その他に別段の定めがない

使用者を著作者とする職務著作の成立を認めている。
  ◎使用者の発意
    創作することについての意思決定が直接または間接に法人等の判断により行われる
  ◎使用者の業務に従事する者 
  ◎職務上作成されたもの 
  ◎使用者の名義
    使用者の名義の下に「公表するもの」
未公表のものでも、公表するとすれば使用者の名義で「公表するであろうもの」も含まれる。
     
     
     
  □(3) 映画の著作物 
    著作権法 第16条(映画の著作物の著作者)
映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。
     
     
     
     
     
★第3章 著作権の内容(p239)  
     
  ◆第1節 保護範囲の一般論
    所有物の対象である物(民法85条)の利用形態は比較的単純⇒所有権の内容としては、その所有物を自由に使用・収益・処分できると規定しておけばほぼ十分。
but
著作権の対象である情報は、その利用形態が多様であるため外延が不明確⇒権利行使できる範囲は必ずしも一義的には決まらない。
    特許権の場合は1つの権利として構成され、その内容は特許発明を業として実施する権利の専有とされており、実施については別途定義。
but
著作権については、1つの権利ではなく、著作物の利用形態に応じて、複製をはじめとした支分権の束として規定。
  21条〜26条の3:著作物をそのままの形で利用する権利
27条:著作物の利用形態とは関係なく、著作物について改変(翻訳・翻案)する権利
その改変された著作物を利用するときは28条の問題。
28条:できあがった二次的著作物について原著作物の著作者が有する権利についての規定。
113条で侵害とみなす行為が規定されており、権利行使し得る範囲は支分権より拡張されている。
     
   ◆第2説 著作権と所有権
     
  ◆第3節 支分権
  ■1 複製権(21条)
  ■2 上演権・演奏兼(22条)
  ■3 上映権(22条の2)
  ■4 公衆送信権(23条1項)・公衆伝達権(23条2項)
  ■5 口述権(24条)
  ■6 展示権(25条) 
  ■7 頒布権(26条)
  ■8 譲渡権(26条の2) 
  ■9 貸与権(26条の3) 
  ■10 翻訳権・翻案権(27条)
  ■11 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)
     
  ◆第4節 著作権の制限
     
★第4章 取引の対象としての著作権  
  ◆第1節 権利の移転(61条) 
  ■1.総説
     
  ■2.一部譲渡(61条1項)
     第61条(著作権の譲渡) 
著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
2 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。
  ■3.翻案権等が特掲されていない場合(61条2項)
     
  ■4.予想できない新たな利用方法 
     
     
     
     
★第5章 著作権の発生・消滅と保護期間  
  ◆第1節 保護期間の考え方 
     
  ◆第2節 保護期間(51条以下) 
    著作権の保護期間:
創作の時に始まり(51条1項)、原則として創作者の死後50年経過するまで存続(51条2項)。
共同著作物:
共同著作者の最後に死亡した著作者の死後50年で消滅(51条2項)。 
     
     
     
     
★第6章 著作者人格権(p467)
  ◆第1節 著作者人格権総論
  ■1.総説 
    著作者が自己の著作物につき有している人格的利益を対象とした権利。
@公表権(18条)
A氏名表示権(19条)
B同一性保持権(20条)
C名誉・声望を害する方法での著作物の利用されない権利(113条6項)
  ■2.著作者人格権の放棄(p472)
  □(1) 放棄の経済的意味 
  □(2) 放棄の態様に応じた考察
  ●公表権と氏名表示権 
    事前の契約で処理することは可能。
  ●同一性保持権 
    我が国著作権法の同一性保持権が名誉・声望を超えた部分を(著作権法が特に認めた人格権)まで包含⇒その超えた部分については放棄を認めるべき。
    名誉・声望を害するような態様での著作者人格権(特に同一性保持権)については、原則として「事前」の放棄を認めるべきではない。
  ■3.法人の人格権 
     
  ■4.私的領域と著作者人格権 
     
     
     
     
     
  ◆第2節 公表権(18条)
     
  ◆第3節 氏名表示権(19条) 
     
  ◆第4節 同一性保持権(20条) 
     
  ◆第5節 その他の著作者人格権
     
  ◆第6節 共同著作の場合の著作者人格権(64条、117条) 
     
  ◆第7節 著作者が存しなくなった後の人格的利益の保護 
     
     
★第7章 著作隣接権  
  ◆第1節 序説(@537)
  ■1 総説 
  規定 著作権法 第89条(著作隣接権)
実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。
2 レコード製作者は、第九十六条、第九十六条の二、第九十七条の二第一項及び第九十七条の三第一項に規定する権利並びに第九十七条第一項に規定する二次使用料及び第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。
3 放送事業者は、第九十八条から第百条までに規定する権利を享有する。
4 有線放送事業者は、第百条の二から第百条の五までに規定する権利を享有する。
5 前各項の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
6 第一項から第四項までの権利(実演家人格権並びに第一項及び第二項の報酬及び二次使用料を受ける権利を除く。)は、著作隣接権という。
著作権法 第90条(著作者の権利と著作隣接権との関係)
この章の規定は、著作者の権利に影響を及ぼすものと解釈してはならない。
   
  ■2 歴史的経緯 
     
  ■3 著作隣接権保護の根拠 
    情報の伝達者の中で、保護をしないと業として成立が危ぶまれるものにつき特別な権利を与え、インセンティブを与えている。
     
  ■4 著作隣接権の発生と保護期間 
    著作権と同様、著作隣接権・二次使用料請求権・報酬請求権は無方式主義が採用。
実演・発行・放送と同時に発生する。(89条5項)
保護期間:
平成3年改正で50年に。
     
  ◆第2節 実演家の権利 
  ■1 総説 
  □(1) 実演の意味
   
  □(2) 実演を保護する理由 
A:機械的(技術的)失業対策
←レコード産業や

〇B:放送やレコードでの実演の利用により生じた利益の一部を実演家・レコード製作者との間で分配するところに意味がある。
  □(3) ワンチャンス主義 
    原則として、実演の足書の利用許諾の際に一括してそれ以降の利用の対価を回収し、その後の利用の利益の分配に関しては、最初の契約で処理させ、かつ複数の種類の著作隣接権者が存在する場合には、1人に権利の管理を集中させ、その他の者はその管理者との契約を通して利益を確保するような制度設計となっている。

権利関係が錯綜し、利用・流通の訴外要因となることを防止するため。

可能な限り契約で処理し、その契約で最初に居隠した目的外での利用を防ぐ制度であるという考え方で整理されており、この考え方をワンチャンス主義という。
but
多くの例外もあり、2度目以降の利用であっても、その利用から得られる利益の配分が妥当と考えられる場合には対価徴収権とされているものもあり、全体として複雑な規定。
    著作隣接権は契約で対処できない利用形態を規制すれば足りるという理念でできている。
⇒実演家が生演奏で公衆に実演を伝達する点については規定がない。

生演奏に際し、実演者は興行者との契約によりその利益を確保することができ、それで十分であり、敢て生演奏を著作隣接権として規定する必要はない。
but
実演を録音・録画し、それを放送することやレコードを製作することについては、実演家に著作隣接権を与えて保護している。
  ■2.保護を受ける実演(7条) 
  ■3.実演家の権利の内容 
  □(1) 録音権・録画権(91条) 
  ●(ア) 録音・録画権の内容
    著作権法 第91条(録音権及び録画権)
実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十三 録音 音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。
十四 録画 影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。
    〜実演を固定した物(フィルムやCD)や放送から録音・録画する行為も本条にいう録音・録画に含まれる。
    私的使用目的のための複製⇒著作権の場合の規定(30条)が準用(102条1項)
実演家にもデジタル録音・録画の補償金請求権が認められている。(104条の2第1項)
  ●(イ) 映画実演(91条2項) 
  ●(ウ) 放送実演 
実演家が放送に出捐することを許諾しただけでは、別段の定めがない限り、録音・録画の許諾まで含むものではない。(103条で63条4項を準用)
実演の放送について許諾を得た放送事業者はその実演の放送のための録音・録画はできるが、異なる内容の番組に使用する目的で録音・録画はできない。(93条1項)
合法に録音・録画したものを目的外使用・提供⇒録音・録画権侵害となる。(93条2項)
  □(2) 放送権・有線放送権(92条) 
    著作権法 第92条(放送権及び有線放送権)
実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
    but
放送事業者・有線放送事業者・レコード製作者との間の調整の必要上、例外が多く定められており、
実際に実演家の放送権・有線放送権が働くのは、
@生実演の放送と
A実演の無許諾録音・録音物の放送・有線放送、及び
Bそれらを受信して行う再放送・最有線放送等にに限られる。

支所に権利行使する際に契約で処理をし、その後の利用には権利は及ばないというワンチャンス主義に基づく制約。
  ●放送権・有線放送権を持たない場合
  ◎(i) 放送される実演を有線放送する場合 
  ◎  ◎(ii)@録音・録画兼を有する者の許諾を得て録音・録画されている実演を放送・有線放送する場合(92条2項2号イ) 
  ◎  ◎(ii)A録音・録画権を有する者の許諾を得て映画に録音・録画されている実演で、サントラ盤レコード等以外の物に録音・録画されているものを放送・有線放送する場合(92条2項2号ロ) 
  ◎(iii) 実演について権利を有する者がその放送につき許諾したときは、放送事業者はその実演を放送のために録音・録画することができる(93条1項)
  ◎  ◎(iv) 放送のための固定物等による放送(94条) 
   
  □(3) 送信可能化権(92条の2) 
    著作権法 第92条の2(送信可能化権)
実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。
    実演家の放送可能化権:送信行為そのものではなく、その前段階である送信可能化につき与えられる許諾権 
  ●例外規定(92条の2第2項)
←一度権利を行使すれば、その後の利用には権利は及ばないというワンチャンス主義に基づく制限
  ◎(i) 録画権を有する者の許諾を得て録画されている実演(92条の2第2項1号)
  ◎  ◎(ii) 映画の著作物に収録されている実演で、91条2項の録音物(サントラ盤レコード等)以外の物に録音・録画されているもの(92条の2第2項2号) 
     
  □(4) 譲渡権(95条の2)
    著作権法 第95条の2(譲渡権)
実演家は、その実演をその録音物又は録画物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
     
  □(5) 貸与権等(95条の3) 
    著作権法 第95条の3(貸与権等)
実演家は、その実演をそれが録音されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。
    実演家は、その実演が録音されている商業用レコードの貸与による公衆に提供する権利を専有するが、営利を目的とせず、かつ料金を受けない場合には、自由に貸与できる(102条1項で38条4項が準用されている)。
    著作権者の貸与権は全ての著作物に及ぶのに対し、
実演家の貸与権の範囲は商業用レコード(2条1項7号)だけであり、映画(ビデオ)やブロマイド等には及ばない。

映画の著作物に録音・録画された実演は原則として実演家の権利が及ばないこと(91条2項)と平仄を合わせた。
     
  □(6) 商業用レコードの二次使用
     
     
  □(7) 裁定制度 
     
  ■4.実演家の人格権 
  □(1) 総説 
  □(2) 実演家の人格権の内容
  ●(ア) 氏名表示権(90条の2) 
    著作権法 第90条の2(氏名表示権)
実演家は、その実演の公衆への提供又は提示に際し、その氏名若しくはその芸名その他氏名に代えて用いられるものを実演家名として表示し、又は実演家名を表示しないこととする権利を有する。
2 実演を利用する者は、その実演家の別段の意思表示がない限り、その実演につき既に実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示することができる。
    グループ名は、「その他氏名に代えて用いられるもの」には該当しない。

@実演家人格権には職務著作類似の規定(15条)はなく
A実演家人格権の主体は自然人に限定されており
Bグループ(団体)は人格権の主体たり得ない
    著作権の氏名表示権:
@創作者であることを主張する利益を害するおそれがなく、かつ
A公正な慣行に反しない限り
という厳格な要件の下に例外的に氏名表示の省略ができる。(19条3項)
実演家の場合:
実演の円滑な利用のため、
@「実演の利用の目的及び態様に照らし実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき」(ex.バックグランド・ミュージックとして利用)、または
A「公正な慣行に反しないと認められるとき」(ex.映画のエキストラ名の省略)
(90条の2第3項)

著作者と比較すると実演家の場合には、現実問題として氏名表示を省略せざるを得ない場合が多い。
    提供:有形的な伝達(ex.書籍・CDの販売)
提示:著作物の無形的な伝達(ex.放送)
  ●(イ) 同一性保持権j(90条の3) 
    著作権法 第90条の3(同一性保持権)
実演家は、その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする。
2 前項の規定は、実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変又は公正な慣行に反しないと認められる改変については、適用しない。
    著作者の同一性保持権:
「意に反する」改変を禁じ、例外として「やむを得ない改変」が規定される。
実演家の同一性保持権:
@「名誉又は声望を害する」改変を禁じ、
A例外として「実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変又は公正な慣行に反しないと認められる改変」が規定されている。

     
  ●(ウ) 実演家の死後の人格権(101条の3) 
     
     
     
     
     
     
     
     
   
  ◆第3節 レコード制作者の権利
     
  ◆第4節 放送事業者・有線放送事業者の権利
     
  ◆第5節 取引の対象としての隣接著作権
     
     
★第8章 侵害と救済  
     


著作権 
著作物 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(2@(1)) 
「思想・感情」 「思想・感情」とは、著作物の表現対象のことはではなく、表現対象を具体的に表現する過程において何らかの思想・感情が移入され、その結果として具体的に表現されたものに表れている思想・感情を意味している。
特に高邁な学問的内容・哲学的思索・文学的薫り等が要求されるものではなく、人の考えや気持ちが表れているものであれば足りる。(通説・判例)
著作権法の保護を受けるためには、表現の対象ないしは題材は問題ではなく、そこから具体的な表現物にする際に、何らかの思想・感情が移入され、その結果物に思想・感情が現れているかという点が問題とされる。
「創作性」 他人の著作物の模倣でないことと同義であること考えられることも多い。
創作者の思想・感情が強く流出している著作物については、他人の著作物の模倣でなければ個性が表れているはずであり、模倣でないことと創作性が認められることは事実上一致することが多い。
非常に短いものや、表現が平凡かつありふれたものの場合には、筆者の個性が現れていないものとして、創作性が否定される程度。
雑報・時事の報道 著作物性を否定(10A)
新聞記事の多くは事件の選択、情勢分析、評価、文章上の工夫等が加わっているため、思想・感情が表現されており、著作物性を認めるべき。
新聞記事は事実を中心に書かれる場合が多いため、その保護範囲は、小説の場合と比較するなら、かなり狭くなる傾向にある。
契約書等 著作物性が否定されたものも多い。
業務において通常用いられるものを通常の表現で用いたにすぎない場合が多く、その記載事項は、法令や慣行に規制されているも、利便性という観点から業務を遂行する上で通常用いられているもの、あるいは用いざるを得ないものも多い。
かなりの程度独創的な表現を用いて創作したものもあり、独占による弊害の少ない場合には著作物性が認められることもある得る。
スポーツやゲームのルール ルールを表現した著作物は、アイデアであるルールを取り込むことになり、その結果、大同小異のものとならざるを得ず、その保護範囲は狭いものとなる場合が多い。
そのルールから導かれる具体的表現に選択の余地がなければ、いわゆるマージ(混同)しており、創作性が否定される。
二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。(2@(11)) 
「適法に」改変したものでなければならないとする要件(適法要件)が課せられていないため、無許諾で二次的著作物を創作した場合でも、新たな著作権が発生する。
著作者は翻訳・翻案権等を有しているので(27条)、第三者が無断で二次的著作物を創作することは著作権侵害となるし、二次的著作物の創作者といえども、それを利用すると原著作物の著作権侵害となるため(28条)、結局、二次著作物の著作者は第三者の無断利用に対してのみ権利行使ができる。
損害賠償については、原著作者に無断で二次的著作物を創作した者は、自らもそれを利用できないのであるから、侵害されても損害の発生はない。
but原著作物の著作者から現実に止められるまでは事実上利用できた⇒現に利益を得ている場合もあり得るため、損害賠償請求権を認め、その後の処理は、原著作物の権利者との間で調整をすればよいとも考えられる。
編集著作物  編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。(12)
編集の対象となる素材を収集し、分類し、選別し、配列するという一連の行為に知的創作性を認めて、これを保護しようとする趣旨。
データベース 定義:
論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。(2@(10の3))
データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2 前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。(12の2)
共同著作物 「共同著作物」とは、二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。(2@(12))
著作者人格権の行使(64)
共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない。
2 共同著作物の各著作者は、信義に反して前項の合意の成立を妨げることができない。
3 共同著作物の著作者は、そのうちからその著作者人格権を代表して行使する者を定めることができる。
4 前項の権利を代表して行使する者の代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
共有著作権の行使(65)
共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(・・・)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない。
2 共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない。
3 前二項の場合において、各共有者は、正当な理由がない限り、第一項の同意を拒み、又は前項の合意の成立を妨げることができない。
4 前条第三項及び第四項の規定は、共有著作権の行使について準用する。
例示(10)  @言語著作物
A音楽著作物
B舞踏著作物
C美術著作物
D建築著作物
E図形著作物
F映画著作物
G写真著作物
Hプログラム著作物
主体 著作者 著作者=著作物を創作する者(2@(2))
@著作権とA著作者人格権の原始取得者
職務著作  法人・使用者の発意に基づきその法人などの業務に従事する者が職務上作成する著作物で、法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの
⇒その作成時における契約・勤務規則等に別段の定めがない限り、法人等が著作者。(15)
「使用者の発意」:
使用者から具体的な命令がなくても、当該雇用関係からみて使用者の間接的な意図の下に創作をした場合も含む。
「使用者の業務に従事する者」:
当該従業員につき雇用関係から生じるような指揮命令・監督関係があり、使用者に著作権を原始的に帰属させることを前提にしているような関係があれば、15条の適用を認めるべき(中山p177)

ある種の組織内で作成された著作物については、著作物の利用・流通の促進とうい観点から、権利を使用者に集中させる必要性があることに由来。
×請負

雇用関係がないばあいで、特定の創作行為に関する指揮命令・監督関係がある場合⇒発注者と受注者のいずれが実質的にみて創作者か、あるいは共同創作者かという判断。
「職務上作成されたもの」:
具体的に命令された内容だけを指すものではなく、職務として期待されているものも含まれる。
「使用者の名義での公表」:
未公表のものであっても公表するとすれば使用者の名義で「公表するであろうもの」も含まれる。(中山p180)
著作者人格権 総論  著作者が自己の著作物につき有している人格的利益を対象とした権利。
創作と同時に著作者に原始的に帰属し、譲渡・相続できない一身専属的な権利。(59)
内容 @公表権(18)
A氏名表示権(19)
B同一性保持権(20)
C名誉声望を害する方法で著作物を利用されない権利(113E)
著作権 支分権  @複製権(21)
著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
「複製」とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、・・・・。(2@(15))
A上演権・演奏権(22)
B上映権(22の2)
C公衆送信権・公衆伝達権(23) 第23条(公衆送信権等)
著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
公衆送信とは、「公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信・・・を行うこと」をいう。(法2条1項7号の2)
電気通信設備で同一構内での送信は公衆送信から除かれているが(法2条1項7号の2括弧書)、プログラム著作物については例外的に同一構内であっても公衆送信となる。(法2条1項7号の2括弧書内の括弧書)
←同一構内の場合は送信権が働かなくても、上映権・演奏権・口述権・上映権で処理できる場合が多いが、プログラム著作物については、一本購入してLANを通じてホストコンピュータから同一構内の端末に送信して利用することを防止する必要がある。
×公衆に当たらない特定人への電話やファクス、Eメールによる送信。
自動公衆送信とは「公衆からの求めに応じ自動的に行う」公衆送信(放送・有線放送を除く)を指す。(2条1項9号の2)

公衆からの求めに応じて行う送信であり、放送・有線放送以外の公衆送信。
自動公衆送信には、その前の段階である送信可能化が含まれる。(法23条1項括弧書)
送信可能化とは、公衆の用に供されているネットワークに接続している自動公衆送信装置(サーバー)に情報を記録・入力すること(法2条1項9号の5イ)と、あるいはそのような情報が記録・入力されている自動公衆送信装置を公衆の用に供されている電気通信回路(インターネット)に接続すること(法2条1項9号の5ロ)。

インターネットを通じた公衆への伝達行為は網羅的に権利範囲に包含されるようになった。
ファイル交換サービスにおいても、自己のコンピュータの共有ホルダーに著作物の複製物を蔵置してサーバーに接続させると、送信可能化権侵害となる。
公衆伝達とは、「公衆送信されるその著作物を送信装置を用いて公に伝達する権利」を指す。(法23条2項)

公衆送信された後も著作物の流れていく先をコントロールする権利。
公衆伝達権は一般に影響するところが大きいため、放送・有線放送される著作物は、非営利でかつ料金を徴収しない公衆伝達や、通常の家庭用受信装置を用いてする場合には公衆伝達権が及ばないとされている。(法38条3項)
この例外規定の適用は放送・有線放送される場合に限られ、自動公衆送信されるものには及ばない。
インターネットを通じて送信される著作物は非営利・無料の場合や家庭用受信装置を用いてする場合も違法とされる。
ここにいう伝達とは受信した著作物をそのまま直接的に伝達する行為を指し、いったん複製してから伝達する行為は、複製権侵害となるほか、上演・演奏・口述・上映権侵害ともなる。
D口述権(24)
E展示権(25)
F頒布権(26) 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。(26@)
「頒布」 とは、有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、・・・。(2@(19))
G譲渡権(26の2)
著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(・・・)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
2 前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物
二 第六十七条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定又は万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律(昭和三十一年法律第八十六号)第五条第一項の規定による許可を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
三 前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された著作物の原作品又は複製物
四 国外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された著作物の原作品又は複製物(26の2)
H貸与権(26の3)
I翻訳・本案権(27)
J二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28)
著作権の制限 私的使用目的のための複製(30) 
図書館等における複製(31)
引用等(32)
教科用図書等への掲載・教科用拡大図書等作成のための複製(33、33の2)
学校教育番組の放送等(34)
学校その他の教育機関における複製等(35)
試験問題としての複製等(36)
点字による複製等(37)
聴覚障害者のための自動公衆送信(37の2)
営利を目的としない上演等(38)
時事問題に関する論説の転載等(39)
政治上の演説等の利用(40)
時事の事件の報道のための利用(41)
裁判手続等における複製(42)
情報公開法等による開示のための利用(42の2)
翻訳、翻案等による利用(43)
放送事業者等による一般的固定(44)
美術の著作物等の原作品の所有者による展示(45)
公開の美術の著作物等の利用(46)
美術の著作物等の展示に伴う複製(47)
プログラム著作物の複製物の所有者による複製等(47の2)
保守修理等のための一時的複製(47の3)
複製権の制限により作成された複製物の譲渡(47の4)
出所の明示(48)
複製物の目的外使用等(49)
著作物人格権との関係(50)
フェアユース
パロディ
著作隣接権 実演家の権利  
レコード製作者の権利  
放送事業者・有線放送事業者の権利  
侵害と救済 差止請求(112)  著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者が著作権等の侵害行為の差止めを求めるもの。
現に侵害行為が行われている場合のほか、将来侵害行為が行われるおそれがあり、これを予防する必要がある場合にも請求が認められる。
損害賠償請求(民法709)  権利者が、故意又は過失により著作権等を侵害した者に対して、侵害行為によって生じた損害の賠償を請求。(民法709条)
侵害行為の教唆・幇助を行った共同行為者(民法719条)
使用者(民法715条)
不当利得返還請求(民法703,704) 何ら「法律上の原因」なくして他人の著作物等を利用し、それにより財産上の「利益」を得ており、半面、権利者はこれにより「損失」を被っている
⇒不当利得返還請求権に基づき、かかる利得の返還を請求できる。
侵害行為を知りながら3年以上の間放置してしまった場合、時効の点からメリットあり。
名誉回復措置請求権(民法723、法115)
斡旋による解決(105〜111)
損害額の推定(114)  ←損害額の立証の困難性
1項:(推定⇒反証可能)
権利者が自ら著作物等を販売する能力を有している場合
「侵害者の譲渡等数量」×「正規品の単位数量当たりの利益率」を権利者の損害額と推定する。
2項:(推定⇒反証可能)
侵害者が得た利益の額を、損害額と推定する。
3項:(みなし規定⇒反証不可)
著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、損害額として請求できる。
具体的態様の明示義務(114の2) ←侵害者側の事情を立証することの困難性 
権利者が侵害行為を組成したもの又は侵害行為によって作成されたものとして主張する物の具体的態様を否認するときは、侵害行為者側が自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。
計算書類提出命令(114の3)  当事者の申立により、裁判所が、当事者に対して、
@侵害行為について立証するために必要な書類、
A侵害行為による損害の計算をするために必要な書類
の提出を命じることができる。 
計算鑑定人の制度(114の4)
相当な損害額の認定(114の5)
罰則 119条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(・・・を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(・・・を除く。)
二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
三 第百十三条第一項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四 第百十三条第二項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者