シンプラル法律事務所
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論点整理(行政関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

行政事件訴訟
訴訟類型 規定 法 第2条(行政事件訴訟)
この法律において「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟をいう。
主観訴訟 国民の個人的な権利利益の保護を目的とするもの。
「法律上の紛争」⇒憲法上の要請として司法裁判所の権限に含まれる。
?抗告訴訟:
行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟(3条1項)
?当事者訴訟:
法主体(当事者)間で公法上の法律関係を争う訴え(4条)。
客観訴訟 客観的な法秩序の維持のために、原告の個人的な権利利益とは無関係に、行政作用の適法性を担保することを目的とするもの。
裁判所法3条1項にいう法律上の紛争にあたらず、「その他法律において特に定める権限」に含まれる。
?民衆訴訟:
国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの(5条)。
?機関訴訟:
国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に係る紛争についての訴訟(6条)

抗告訴訟
抗告訴訟 抗告訴訟:「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟」(法3条1項)
@処分の取消しの訴え
A裁決の取消しの訴え
B無効等確認の訴え
C不作為の違法確認の訴え
D義務付けの訴え
E差止めの訴え
第3条(抗告訴訟)
この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求、異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
取消訴訟 意義 行政庁の処分・裁決について、その全部または一部の取消しを求め、その処分・裁決の法的効力を遡って消滅させる訴え。
裁判所が、行政庁の処分・裁決につき違法であるとして取り消すことができるのは、原則として取消訴訟に限定される。(取消訴訟の排他的管轄)
⇒国民の側から、違法な処分・裁決の取消しを求め、既往に遡って法律関係を正すための救済手段として極めて重要。
種類 ●処分の取消しの訴え:
「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」について、その全部又は一部の取消しを求め、当該行為の法的効力を遡って消滅させる形成訴訟(法3条2項)。
「その他公権力の行使に当たる行為」:
行政庁が一方的に受忍を強要する事実行為をさし、事実行為であってもその権力性を排除するための取消しの訴えを認めたもの。
法 第3条(抗告訴訟)
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求、異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
●裁決の取消しの訴え:
審査請求、異議申立てその他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為(「裁決」)の取消しを求める訴訟(法3条3項)。
裁決も行政処分の一種であるが、法は、行政不服申立てと取消訴訟という2種類の手続の交通整理をするため、区分して法定。
法 第3条(抗告訴訟)
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求、異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
行政処分に不服のある者が、行政不服申立てを経由した後に取消訴訟を提起する場合
@原処分の違法につき取消訴訟で争う、
A不服申立ての裁決につき取消訴訟で争う
の2つのルートがあり得る。
法10条2項は、裁決の取消しの訴えでは原処分の違法を主張することはできず、裁決固有の瑕疵のみを争うことができる(原処分主義)
⇒行政不服申立てで棄却判決を受けた者がさらに取消訴訟で争う場合、原処分の違法を攻撃するのであれば、処分の取消しの訴えを提起しなければならない。
第10条(取消しの理由の制限)
2 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
修正裁決と原処分主義:
停職6か月の懲戒処分を受けた国家公務員Aが、人事院に新さ請求したところ、本件懲戒処分を減給処分にする旨の判定(修正裁決)を受けた。Aが取消訴訟を提起して争う場合、
@懲戒権者のした懲戒処分(減給処分に修正されたもの)を原処分として取消訴訟を提起する
A修正裁決により停職処分は一体として消滅し、人事院による新たな懲戒処分(減給処分)がされたのであるから、その減給処分につき取消訴訟を提起する
のどちら?
最高裁昭和62.4.21:
修正裁決は「原処分の存在を前提としたうえで、原処分の法律効果の内容を一定の限度のものに変更する効果を生ぜしめるにすぎないものであり、これにより、原処分は、当初から修正裁決による修正どおりの法律効果を伴う懲戒処分として存在していたものとみなされる」
⇒@の立場をとった。
無効等確認の訴え 意義 処分・裁決の存否またはその効力の有無の確認を求める訴訟。
法 第3条(抗告訴訟)
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
行政処分の有効・無効の確認、その存在・不存在の確認を求める訴え等が含まれるが、中心的に論じられるのは、行政処分の無効確認訴訟。
説明 行政処分に取り消しうべき瑕疵がある場合でも、行政処分の効力を裁判で否定するには、取消訴訟によらなければならない(取消訴訟の排他的管轄)。
but
取消訴訟には出訴期間の制約。
個別法によって不服申立前置主義が適用。
⇒出訴期間を徒過したり、必要な不服申立てを定められた期間内にしなかった場合、国民の側から行政処分の効力を争う途が閉ざされる。
but
行政処分の瑕疵が重大・明白であるようなケースについては、これを無効と扱い、取消訴訟を経由しなくても効力を否定することが可能。
行政処分が無効⇒その法的効力は最初から存在しない⇒無効等確認訴訟には、取消訴訟と異なり出訴期間の制約がない。
(処分につき出訴期間の制約のない救済手段。)
行政処分が無効⇒通常であれば、無効の確認を求めなくても、無効を前提とする現在の法律関係を民事訴訟・当事者訴訟で争えば足りる。(無効確認訴訟の補充性)
⇒原告を限定
法 第36条(無効等確認の訴えの原告適格) 
無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。
不作為の違法確認の訴え 意義 国民が行政庁に対して法令に基づく申請をしたにもかかわらず、行政庁が処分・裁決をしないということについて、違法の確認を求める訴訟。
第3条(抗告訴訟)
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
説明 国民が申請に対する不作為を争う場合、行政庁に対して申請を満足させる処分をすることを義務付ける訴えの方が、直接的な救済手段となる。
立法者は、申請に対する不作為の救済手続として、@不作為の違法確認訴訟を法定するにとどめ、A義務付け訴訟については、無名抗告訴訟としての許容性を判例・学説による解釈に委ねた。
but
平成16年改正で義務付け訴訟が新たに法定。
義務付けの訴え 平成16年の行政事件訴訟法改正は、抗告訴訟の類型として「義務付けの訴え」を法定し、その定義・訴訟要件・本案において裁判所が義務付けはんけつをするための用件(本案勝訴要件)を整備。
第3条(抗告訴訟)
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
義務付け訴訟は、
@申請権を前提とせず、行政庁が一定の処分をすべきことを義務付けるパターン(非申請型(3条6項1号)と
A行政庁に対して申請した者が原告となって、行政庁が一定の処分をすべきことを義務付けるパターン(申請型=同行2号)
の2つの類型が区別。
申請型義務付け訴訟 ●訴訟要件
@当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと(不作為型)、または
A当該法令に基づく申請又は申請請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること(拒否処分型)
(法37条の3第1項1号・2号)
不作為型・拒否処分型を通じて、原告は37条の3第1項1号・2号に規定する「法令に基づく申請又は審査請求をした者」でなければならない(法37条の3第2項)。
申請型義務付け訴訟のうち、裁決の義務付けを求める訴えについては、処分についての審査請求がされた場合に、その処分に係る処分の取消しの訴えまたは無効等確認の訴えを提起することができない場合に限る(法37条の3第7項)。

裁決の義務付け訴訟は、個別法により裁決主義が定められ、裁決に不満がある原告が原処分につき取消訴訟・無効等確認訴訟を提起できない場合にのみ利用可能となる。
(←原処分につき取消訴訟等のルートで争えば足りる。)
法 第37条の3
第三条第六項第二号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
一 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
二 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。
2 前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。
7 第一項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、処分についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴え又は無効等確認の訴えを提起することができないときに限り、提起することができる。
●他の抗告訴訟との併合
申請型義務付け訴訟は、不作為型の場合には当該処分・裁決に係る不作為の違法確認の訴え、拒否処分型の場合には当該処分・裁決に係る取消訴訟または無効等確認の訴えを、それぞれ併合して提起しなければならない。(法37条の3第3項)
義務付け訴訟と併合して提起された訴訟の弁論および裁判は、分離しないで行われなければならない。(同条4項)

申請型義務付け訴訟が、申請に対する不作為・申請拒否処分という紛争パターンについて、不作為の違法確認訴訟、取消訴訟・無効等確認訴訟という他の法定抗告訴訟と機能を分担する関係にあることから、これらと併合提起することを求めもの。
裁判所は、判決において、係争の行政処分につき不作為の違法確認、取消し・無効確認をするか、行政庁に処分・裁決をすることを義務付けるか、裁断することになる。・
申請型義務付け訴訟のみ提起⇒不適法として却下。
法 第37条の3
3 第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第三十八条第一項において準用する第十二条の規定にかかわらず、その定めに従う。
一 第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
二 第一項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え
4 前項の規定により併合して提起された義務付けの訴え及び同項各号に定める訴えに係る弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
6 第四項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、第三項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。この場合において、裁判所は、当該訴えについてのみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴いて、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することができる。
●本案勝訴要件
法37条の3第5項は、申請型義務付訴訟の本案勝訴要件として
@併合提起された訴えの「請求に理由があると認められ」ること
A当該行政庁が当該行政処分を「すべきであること」が根拠法令上「明らか」と認められるか、または「しないこと」が裁量権の逸脱・濫用と認められること
という2つの用件を重畳的に定める。
法 第37条の3
5 義務付けの訴えが第一項から第三項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。
差止めの訴え 平成16年の法改正により、「差止めの訴え」が法定
処分がなされると直ちに重大な損害が生じる必然性が高いとして処分の差止めを求める事例や、権力的事実行為が反復されることの阻止を求める事例などで利用。
第3条(抗告訴訟)
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

地方自治法
住民監査請求 規定(法242条) 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、当該行為のあつた日又は終わつた日から一年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3 第一項の規定による請求があつた場合において、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。この場合においては、監査委員は、当該勧告の内容を第一項の規定による請求人(以下本条において「請求人」という。)に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
4 第一項の規定による請求があつた場合においては、監査委員は、監査を行い、請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表し、請求に理由があると認めるときは、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
5 前項の規定による監査委員の監査及び勧告は、第一項の規定による請求があつた日から六十日以内にこれを行なわなければならない。
6 監査委員は、第四項の規定による監査を行うに当たつては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない。
7 監査委員は、前項の規定による陳述の聴取を行う場合又は関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員の陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員又は請求人を立ち会わせることができる。
8 第三項の規定による勧告並びに第四項の規定による監査及び勧告についての決定は、監査委員の合議によるものとする。
9 第四項の規定による監査委員の勧告があつたときは、当該勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならない。この場合においては、監査委員は、当該通知に係る事項を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
住民訴訟 概要 住民訴訟:地方公共団体の住民が、自己の属する地方公共団体の財務会計上の行為を適正に保つために認められた訴訟。
住民訴訟を提起するためには、監査請求を経由する必要がある。
4つの類型を定め、
@行為の差止請求、 
A処分の取消し・無効確認請求、
B怠る事実の違法確認請求、
C地方公共団体の被った損害・損失のための損害賠償請求・不当利得請求をすることを執行機関に求める請求(法242条の2第1項)
Cの請求は、住民が地方公共団体の執行機関等(通常は機関としての長)を被告として、損害賠償請求または不当利得返還請求の請求をすること(場合により賠償命令をすること)を求める義務付けを内容とする。
この訴訟において、執行機関等を義務づける判決(損害賠償・不当利得返還の請求を命じる判決)が確定した場合、執行機関等は60日以内に支払請求をしなければならず、支払がなされない場合は、当該地方公共団体は、当該損害賠償・不当利得返還の請求を目的とする訴えを提起しなければならない。(地方自治法242条の3)
規定
(法242条の2)
普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第四項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第四項の規定による監査若しくは勧告を同条第五項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる
一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合にあつては、当該賠償の命令をすることを求める請求
2 前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる期間内に提起しなければならない。
一 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合は、当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があつた日から三十日以内
二 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合は、当該措置に係る監査委員の通知があつた日から三十日以内
三 監査委員が請求をした日から六十日を経過しても監査又は勧告を行なわない場合は、当該六十日を経過した日から三十日以内
四 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合は、当該勧告に示された期間を経過した日から三十日以内
3 前項の期間は、不変期間とする。
4 第一項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない。
5 第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
6 第一項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。
7 第一項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。
8 前項の訴訟告知は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効の中断に関しては、民法第百四十七条第一号の請求とみなす。
9 第七項の訴訟告知は、第一項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月以内に裁判上の請求、破産手続参加、仮差押若しくは仮処分又は第二百三十一条に規定する納入の通知をしなければ時効中断の効力を生じない。
10 第一項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。
11 第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第四十三条の規定の適用があるものとする。
12 第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士又は弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。
給与条例主義 規定(法204条の2) 普通地方公共団体は、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには、これをその議会の議員、第二百三条の二第一項の職員及び前条第一項の職員に支給することができない。