シンプラル法律事務所
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論点整理(夫婦・家族関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

■手続
家事調停 対象 第17条〔調停事件の範囲〕
家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し、第九条第一項甲類に規定する審判事件については、この限りでない。
「その他一般に家庭に関する事件」の範囲:
以下の3要件を基準に判定。
@人的範囲:親族またはこれに準ずる者の間という一定の身分関係を持つ者の間の紛争
身分関係は過去のものでもよく、離婚後の元夫婦間の紛争も含まれる。
Aその間における紛争の存在
B人間関係調整の余地
調停前置主義 第18条〔調停前置主義〕
前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。
A前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は、その事件を家庭裁判所の調停に付しなければならない。但し、裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。
取下げ 調停申立ての維持を望まないときは、調停の係属中いつでも取り下げて調停を終了できる。(手続p72)
審判 開始 ?申立による開始
?職権による開始
?家事調停手続からの移行:
乙類審判事項について調停不成立の場合に、事件は当然に審判手続に移行し、審判の申立ては調停申立ての時に成されたものとみなされる。
特質 @後見的性格・非訟性
A広範な裁量判断:
当事者の主張に拘束されず裁判所が適切な判断をすることが求められている。
B職権に基づく科学的調査
C非公開主義
審判物 「訴訟物」と同じような意味での「審判物」概念は成立しない。(p414)

@家事審判手続は非訟事件手続き。
A職権によりまたは家事調停手続から移行して審判手続が開始されうる⇒その限りで「申立てにより審判物を特定する」ことができない。
B非訟的審判事項である甲類審判事項はもとより、争訟的審判事項である乙類審判事項でも、家庭裁判所の「後見的な判断」が期待される。
「訴訟物」より緩やかな「審判物」概念は肯定できる。

@裁判所は、申立てを促すこと(釈明)により適切な処理を図るべきであり、申立てがない状態で判断するのは行き過ぎ。
A例えば、将来にわたっての監護費用の分担につきいくらがてきとうであるかは、裁判所の「後見的判断」の範囲内であり、申し立てられた額を超えた分担額を審判により命じることができる。
B審判物概念を肯定することにより関係人に対する「不意打ち防止」にも資する。
人事訴訟手続 範囲 人事訴訟法 第2条(定義)
この法律において「人事訴訟」とは、次に掲げる訴えその他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え(以下「人事に関する訴え」という。)に係る訴訟をいう。
一 婚姻の無効及び取消しの訴え、離婚の訴え、協議上の離婚の無効及び取消しの訴え並びに婚姻関係の存否の確認の訴え
二 嫡出否認の訴え、認知の訴え、認知の無効及び取消しの訴え、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百七十三条の規定により父を定めることを目的とする訴え並びに実親子関係の存否の確認の訴え
三 養子縁組の無効及び取消しの訴え、離縁の訴え、協議上の離縁の無効及び取消しの訴え並びに養親子関係の存否の確認の訴え
?婚姻関係:
@婚姻無効および取消しの訴え、
A離婚の訴え、
B協議上の離婚の無効および取消しの訴えならびに
C婚姻関係の存否の確認の訴え。
?実親子関係:
管轄
第4条(人事に関する訴えの管轄)
人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。
第17条(関連請求の併合等)
人事訴訟に係る請求当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは、民事訴訟法第百三十六条の規定にかかわらず、一の訴えですることができる。この場合においては、当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有する家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2 人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求を目的とする訴えは、前項に規定する場合のほか、既に当該人事訴訟の係属する家庭裁判所にも提起することができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
3 第八条第二項の規定は、前項の場合における同項の人事訴訟に係る事件及び同項の損害の賠償に関する請求に係る事件について準用する。
  ★即時抗告に対する不服申立て
■      ■特別抗告
規定 家事事件手続法 第94条(特別抗告をすることができる裁判等)
家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。
  ■許可抗告
規定 家事事件手続法 第97条(許可抗告をすることができる裁判等)
高等裁判所の家事審判事件についての決定次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。
3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。
4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。
5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。
6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。

  ■親子関係
■H15
改正
■H15改正
@認知などの人事訴訟の第1審の管轄が地裁から家裁に移管(人訴4条1項、裁31条の3第2項)⇒調停だけでなく訴訟も家裁で扱われる。
A「人事に関する訴え」が家裁に移管(人訴2条)⇒嫡出否認の訴えほか5つの訴えは、すべて家裁に移管
B人事に関する訴えの管轄は、訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍等を有する地を管轄する裁判所に専属(人訴4条)
(旧法では、実親子関係の訴訟については「子が」普通裁判籍等を有する地を管轄する裁判所に専属(旧法27条)⇒「当事者のいずれか一方」)
  ■嫡出否認の訴え 
規定 人訴法 第24条(確定判決の効力が及ぶ者の範囲)
人事訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、第三者に対してもその効力を有する。
人訴法 第41条(嫡出否認の訴えの当事者等)
夫が子の出生前に死亡したとき又は民法第七百七十七条に定める期間内に嫡出否認の訴えを提起しないで死亡したときは、その子のために相続権を害される者その他夫の三親等内の血族は、嫡出否認の訴えを提起することができる。この場合においては、夫の死亡の日から一年以内にその訴えを提起しなければならない。
2 夫が嫡出否認の訴えを提起した後に死亡した場合には、前項の規定により嫡出否認の訴えを提起することができる者は、夫の死亡の日から六月以内に訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、民事訴訟法第百二十四条第一項後段の規定は、適用しない。
民法 第772条(嫡出の推定) 
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
  ●総説 
@夫が子(否認すべき子)の出生前に死亡、または1年の出訴期間ないに死亡
⇒「子のために相続権を害される者その他夫の三親等内の血族」が嫡出否認の訴えを提起できる。
提訴期間は夫の死亡した日から1年(人訴41条1項)
A夫が嫡出否認の訴えを提起した後に死亡⇒前記の否認権者が6か月以内に訴訟を受け継ぐことができる(人訴41条2項)。。
〇否認制度の目的
@家庭の平和の維持
A父子関係を早期に安定させるため
否認の原因:
民法722条に基づく推定が事実に反すること
〇否認判決の確定 
否認を認める判決・審判が確定⇒子は非嫡出子となる。
判決は対世的効力を持つ(人訴24条1項)。
否認手続が確定するまで、第三者は先決問題としても、夫の子ではないことを主張できないし、真実の父も子を認知することができない。
「推定の及ばない子」には、このような制約はない。
子から真の父を被告とする認知訴訟も適法(最高裁昭和44.5.29)。
〇訴えの性質
A:確認訴訟説
B:形成訴訟説(有力)
   
■     ■父を定める訴え
規定  人訴法 第43条(父を定めることを目的とする訴えの当事者等)
子、母、母の配偶者又はその前配偶者は、民法第七百七十三条の規定により父を定めることを目的とする訴えを提起することができる。
2 次の各号に掲げる者が提起する前項の訴えにおいては、それぞれ当該各号に定める者を被告とし、これらの者が死亡した後は、検察官を被告とする。
一 子又は母 母の配偶者及びその前配偶者(その一方が死亡した後は、他の一方)
二 母の配偶者 母の前配偶者
三 母の前配偶者 母の配偶者
3 第二十六条の規定は、前項の規定により同項各号に定める者を当該訴えの被告とする場合においてこれらの者が死亡したときについて準用する。
  ●総説 
〇戸籍の記載 
「父を定める訴え」の対象となる子(推定が競合する子)は、出生の届出は母が行い(戸54条1項)、届書には父が未定と記載され(戸54条1項)、戸籍では父の欄は空白にして、戸籍の身分事項欄には、父が未定である旨の記載がされる。 
〇手続 
家庭裁判所(当事者の住所地を管轄するそれ 人訴4条)が、「父を定める訴え」により、父を確定。
人事に関する訴訟事件として家事調停の対象となり(家審17条)、調停前置主義に従って家庭裁判所の調停から始められる(家審18条)。
調停の場で合意が成立⇒「23条審判」
   
  ■認知の訴え
規定  人訴法 第42条(認知の訴えの当事者等)
認知の訴えにおいては、父又は母を被告とし、その者が死亡した後は、検察官を被告とする。
2 第二十六条第二項の規定は、前項の規定により父又は母を当該訴えの被告とする場合においてその者が死亡したときについて準用する。
3 子が認知の訴えを提起した後に死亡した場合には、その直系卑属又はその法定代理人は、民法第七百八十七条ただし書に定める期間が経過した後、子の死亡の日から六月以内に訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、民事訴訟法第百二十四条第一項後段の規定は、適用しない。
民法 第779条(認知)
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
民法 第787条(認知の訴え)
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
  ●総説 
〇構造 
嫡出でない子と、父母との間に法律上の親子関係を生じさせるには、認知(任意認知または認知判決)を必要とする(民法779条、787条)。
認知の訴え:任意認知がなされない場合に、嫡出でない子とその血縁上の父との間に、法律上の父子関係を形成することを目的とする形成の訴え。
「母とその非嫡出子との間の親子関係は、原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然に発生する」と解されている(最高裁昭和37.4.27)。

非嫡出子と母との親子関係が争われる場合には、認知の訴えではなく、母子関係存在確認の訴えによるべき。
〇性質論 
認知の訴えは形成の訴えと解するのが通説・判例(最高裁昭和29.4.30)

@別訴で父子関係の存在を前提問題として主張できない
A相対的に意思を尊重する考え方
■  ■認知無効・取消しの訴え
規定 民法 第786条(認知に対する反対の事実の主張)
子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。
民法 第785条(認知の取消しの禁止)
認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。
●総説 
〇訴えの性質など
すでになされた任意認知の無効を主著するものであり、
任意認知によって生じた法律上の父子関係を、子の出生時に遡及して消滅させることを目的とする訴え。
民法786条の規定は、「真実に反する認知に対して無効の主張を許したもの」と解されている。
形成の訴えと解するのが通説。
but親子関係不存在確認訴訟において、前提問題としての主張を許す最高裁判決がある。
〇取消しの訴えの可否 
強迫により認知をした場合でも、真の父子関係があれば、認知取消しを認めない(通説)。
認知者である男性には、事実と異なる認知であれば錯誤を理由とする認知無効を主張する途が残されている。
民法785条は、認知の撤回を禁ずる趣旨。
  ●訴えの要件 
民法786条は、無効主張を認める規定(多数説)。
●    ●生前の無効主張 
〇反対事実の主張
反対事実:認知者が真の父ではない旨を主張・証明することを意味
〇認知無効の訴えの当事者 
真実の父子関係がな場合には、たとえ認知がなされてもそのような認知は無効であり、認知無効の提訴につき、認知者自身も原告適格がある。
     
■親子関係不存在確認の訴え
■    ■新たな論点
●父子鑑定 
日本で強制手段はない。


  ■離婚 
和解  規定 人事訴訟法 第37条
離婚の訴えに係る訴訟における和解(これにより離婚がされるものに限る。以下この条において同じ。)並びに請求の放棄及び認諾については、第十九条第二項の規定にかかわらず、民事訴訟法第二百六十六条(第二項中請求の認諾に関する部分を除く。)及び第二百六十七条の規定を適用する。ただし、請求の認諾については、第三十二条第一項の附帯処分についての裁判又は同条第三項の親権者の指定についての裁判をすることを要しない場合に限る。
2 離婚の訴えに係る訴訟においては、民事訴訟法第二百六十四条及び第二百六十五条の規定による和解をすることができない。
3 離婚の訴えに係る訴訟における民事訴訟法第百七十条第三項の期日においては、同条第四項の当事者は、和解及び請求の認諾をすることができない。
説明 離婚を前提とした和解が認められる。
離婚する旨の和解が成立した時点で実体法上離婚の効果が生じる。 
離婚の和解は身分行為そのもの⇒和解の成立には本人の出頭が必要。
手続 調停前置 家事審判法 第17条〔調停事件の範囲〕
家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し、第九条第一項甲類に規定する審判事件については、この限りでない。

家事審判法 第18条〔調停前置主義〕
前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない
A前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は、その事件を家庭裁判所の調停に付しなければならない。但し、裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。
調停の管轄 家事審判規則 第129条〔管轄〕
調停事件は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄とする。
A第九十九条第二項の規定は、寄与分を定める調停事件について準用する。
訴訟の管轄 人事訴訟法 第4条(人事に関する訴えの管轄)
人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。
2 前項の規定による管轄裁判所が定まらないときは、人事に関する訴えは、最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。
国際離婚の管轄 思うに、離婚の国際的裁判管轄権の有無を決定するにあたつても、被告の住所がわが国にあることを原則とすべきことは、訴訟手続上の正義の要求にも合致し、また、いわゆる跛行婚の発生を避けることにもなり、相当に理由のあることではある。しかし、他面、原告が遺棄された場合、被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合においても、いたずらにこの原則に膠着し、被告の住所がわが国になければ、原告の住所がわが国に存していても、なお、わが国に離婚の国際的裁判管轄権が認められないとすることは、わが国に住所を有する外国人で、わが国の法律によつても離婚の請求権を有すべき者の身分関係に十分な保護を与えないこととなり(法例一六条但書参照)、国際私法生活における正義公平の理念にもとる結果を招来することとなる。(最高裁昭和39.3.25)
審理  規定 人事訴訟法  第19条(民事訴訟法の規定の適用除外)
人事訴訟の訴訟手続においては、民事訴訟法第百五十七条、第百五十七条の二、第百五十九条第一項、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条、第二百二十九条第四項及び第二百四十四条の規定並びに同法第百七十九条の規定中裁判所において当事者が自白した事実に関する部分は、適用しない。
2 人事訴訟における訴訟の目的については、民事訴訟法第二百六十六条及び第二百六十七条の規定は、適用しない。
人事訴訟法 第20条(職権探知)
人事訴訟においては、裁判所は、当事者が主張しない事実をしん酌し、かつ、職権で証拠調べをすることができる。この場合においては、裁判所は、その事実及び証拠調べの結果について当事者の意見を聴かなければならない。
人事訴訟法 第21条(当事者本人の出頭命令等)
人事訴訟においては、裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、期日に出頭することを命ずることができる。
2 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は、前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について準用する。
説明 職権探知主義⇒自白法則の適用なし。
弁論主義が採用されていない⇒被告が請求の認諾をしても証拠による認定が必要。
被告が不出頭の場合も自白の擬制はなく、さらに期日を指定。 
和解・認諾等 離婚訴訟においては、離婚をする旨の和解並びに請求の放棄及び認諾をすることができる。(法37@)
離婚訴訟において、子の監護者の指定その他子の監護に関する処分又は財産分与に関する処分についての裁判又は親権者の指定の裁判を必要とする場合には、請求の認諾は認められない。

離婚と同時に附帯処分の解決を図りたいという原告の利益を請求の認諾によって一方的に奪うことは相当ではない。
附帯処分等 
X(4)p536
規定 人事訴訟法 第32条(附帯処分についての裁判等)
裁判所は、申立てにより、夫婦の一方が他の一方に対して提起した婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分財産の分与に関する処分又は厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十八条の二第二項の規定による処分(以下「附帯処分」と総称する。)についての裁判をしなければならない。
2 前項の場合においては、裁判所は、同項の判決において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。
3 前項の規定は、裁判所が婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において親権者の指定についての裁判をする場合について準用する。
4 裁判所は、第一項の子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分についての裁判又は前項の親権者の指定についての裁判をするに当たっては、子が十五歳以上であるときは、その子の陳述を聴かなければならない。
種類 @子の監護者の指定その他子の監護に関する処分(養育費、面会交流等
A財産分与に関する処分
B年金分割(標準報酬等の按分割合に関する処分) 
@では、別居後離婚までの期間の養育費の支払を求めることができる(最高裁)。
なお、婚姻費用分担請求を附帯処分として申し立てることはできない。
被告による申立て 被告は、離婚の反訴と共に附帯処分の申立てをするか、又は、離婚の反訴をせずに、予備的に(原告の離婚請求が認容されることを条件として)附帯処分の申立てをすることができる。
離婚緒請求が放棄されれば、この予備的申立ては、当然に失効する。
慰謝料請求X(4)p544 規定 人事訴訟法 第17条(関連請求の併合等)
人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは、民事訴訟法第百三十六条の規定にかかわらず、一の訴えですることができる。この場合においては、当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有する家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2 人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求を目的とする訴えは、前項に規定する場合のほか、既に当該人事訴訟の係属する家庭裁判所にも提起することができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
3 第八条第二項の規定は、前項の場合における同項の人事訴訟に係る事件及び同項の損害の賠償に関する請求に係る事件について準用する。
原告の請求 離婚請求と併合提起される場合が多い。 
いわゆる関連請求(人訴17@)に含まれる。
離婚交渉過程における名誉毀損を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求は、関連請求とはいえない。
離婚訴訟が先行しており、本請求を事後的に追加する(人訴17A)場合や、離婚自体は調停等により成立しており、本請求だけがされることもある。
被告の請求 離婚請求の被告が、反訴として、離婚請求及び本請求を併合提起することがある。 
離婚請求の被告が、離婚請求の反訴はせずに、本請求のみを、予備的反訴(原告の離婚請求が認容されることを条件とする反訴)として提起することもある。
控訴審んで、これらの反訴を提起する場合、原告の同意(民訴法300@)は不要。
裁判離婚の機能 @相手が離婚に同意しない場合
A離婚には同意するが、財産分与やこの監護の問題で意見が食い違う場合
B離婚には異存がないが、相手の主張する離婚原因には承服できない場合
最高裁昭和39年9月17日:
妻⇒夫「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると主張
夫⇒妻「妻の態度こそ「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる」
裁判は、妻からの請求は棄却され、夫からの請求が認容されて、結局離婚が成立。
いずれの理由による離婚であるかは、慰謝料の金額に影響。
規定 第770条(裁判上の離婚) 
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
離婚原因と訴訟物 判例:各号ごとに訴訟物が存在する⇒4号を理由とする離婚請求に対して、裁判所が5号を理由に離婚判決をすることはできない。(最高裁昭和36年4月25日)
⇒1号で敗訴しても5号に基づく離婚訴訟を別訴で提起できそうだが、それは不可。
人事訴訟法 第25条(判決確定後の人事に関する訴えの提起の禁止)
人事訴訟の判決(訴えを不適法として却下した判決を除く。次項において同じ。)が確定した後は、原告は、当該人事訴訟において請求又は請求の原因を変更することにより主張することができた事実に基づいて同一の身分関係についての人事に関する訴えを提起することができない
2 人事訴訟の判決が確定した後は、被告は、当該人事訴訟において反訴を提起することにより主張することができた事実に基づいて同一の身分関係についての人事に関する訴えを提起することができない。
@不貞行為 不貞行為とは「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのあって、この場合、相手方の自由な意思に基づくものであるか否かは問わない」(最高裁)⇒夫が強姦した場合も「不貞行為」。
A悪意の遺棄 「遺棄」とは、752条が定める同居・協力義務を履行しないことであり、経済的な困窮に陥れることが必要なわけではない。
「悪意」とは、「知っていること」とは違い、倫理的な意味を持つ、故意と等しい。
D「婚姻を継続し難い重大な事由」   D「婚姻を継続し難い重大な事由」
民法770条1項1号ないし4号は、同項5号の例示に過ぎない(一元説)(通説)
⇒結局は、離婚原因の当否は、婚姻が破綻しているか否かに帰着する。
岡口p533 5号は、婚姻関係が不治的に破綻している場合。 
破綻とは、
@夫婦としての信頼、絆が完全に切れたこと(主観的側面)
A回復の見込みがないこと(客観的側面)
の2つが認められる夫婦の状態。 
具体的には
長時間の別居
暴行
重大な侮辱、不労・浪費
犯罪行為
過度な宗教活動
精神障害
性交不能
性格の不一致
長期間の別居について:
婚姻の破綻・形骸化と見ることができる程度えあれば、それだけで離婚原因となる。
別居期間の長さは、両当事者の年齢及び同居期間の長さと対比して考慮される(東京地裁H17.5.23は、同居期間1年3か月、別居期間2年半で離婚認容)。
別居の継続が当事者双方の諸事情に与えた影響も考慮すべき。

他に
@別居の理由、別居に至った経緯(円満回復するために当該別居したような場合は別居していても破綻とはいえない)、
A相手方配偶者の、婚姻継続の意思(継続のために、いかなる努力を払ったか、具体的な行為の存在が必要)、
B離婚により相手方配偶者や子の置かれる状況
C修復可能性の有無など
が考慮。
婚姻が長期間継続した夫婦の別居期間の長さ:
A:特別な事情がない限り、別居期間が5年続けば、婚姻関係が破綻したとしてよいとする見解
B:3,4年では破綻を認めにくいとする見解
C:10年を適当する見解
2種の類型 @1,2号(不貞行為・悪意の遺棄)に匹敵する有責主義的離婚原因であり、1,2号の列挙に含まれていないもの。
ex.
配偶者の重大な犯罪行為(殺人等)や重大な侮辱・虐待など。
Aいわゆる「破綻」

夫婦が婚姻継続の意思を実質的に失っており婚姻共同生活を回復することが不可能であると客観的に判断できるような状態のこと。

原因は、浪費癖や怠惰など夫婦の一方に責任がある場合もあるし、何らかの病気や性的欠陥、性格の不一致など必ずしも責任を問えない場合もある。
破綻と客観的に認定できるためには、一定の時間の経過が不可欠なファクターといえる。
婚姻法改正要綱「5年以上継続して婚姻の本旨に反する別居をしている」ことを離婚理由に。
〜同様の法制をもつ欧米の立法を参考にしたもの。
but
欧米では日本のような協議離婚が認められていない⇒当事者が合意しても離婚に別居が要求される法制。
日本は、合意が成立すれば直ちに離婚可能⇒一方当事者の意思に反する離婚を認めるのに5年の別居で十分について議論の余地がある。
★離婚判例ガイド (52頁〜)
総論 ●判例 
社会観念からみて配偶者に婚姻生活の継続を強いることがひどすぎるといわねばならないほど婚姻関係が破綻せられた場合」(最高裁昭和27.2.19)
●説明
「破綻」の認定は、全体としては、時代とともに緩やかな方向に向かっている(判例ガイド2版p46)。
「破綻」は規範的要件事実
⇒婚姻関係の破たんを示すいろいろな具体的な事実を摘示し、それらを総合して「破綻」という法的評価を加える。
一般的な用語として使う「破綻」よりも、認定は厳格。
不和による別居は破たんを示す証拠の1つ。
but
何年別居していうれば破たんが認められるという明確な基準はない。
逆に、別居していなくても、破たんが認められる場合もある。
双方の意思、言動、別居あるいは家庭内別居の有無とその期間の長さ、会話や交流の有無、口論・けんかの有無と程度、性的関係の有無、婚姻期間、円満であった期間の長さ、不和となった原因、信頼関係の破壊の程度、未成熟子の有無と年齢、子との関係、子の離婚についての意見、訴訟態度などにより総合的に判断。
要素   原告の離婚意思(判例ガイド3版p53)
原告の離婚意思が強固であれば破綻が認められるというわけではない
but
一方の強固な離婚意思は、回復の見込みのないことを裏付ける重要な一要素。
「思いやりのない夫と生活することは死んでもいや」と妻が述べている事案で、
「これまでの経緯及び原告の意思にてらし回復の見込みは望みえない」としたり(東京地裁昭和61.10.22)
「原告において夫婦関係の修復の意思がなく強く離婚を望んでいることに照らすと」として(大阪地裁H14.6.19)離婚請求を認容。
被告の離婚意思を推測する言動(判例ガイド3版p53)
被告が裁判上は離婚請求の棄却を求めていても、他の言動から実際には婚姻継続の意思がないことが推測され、破綻の根拠とされている場合。
@被告夫が妻を文書偽造等で刑事告訴をしたことは、配偶者として認めないことを宣言したも同然である⇒妻からの離婚請求を認容。
A妻がエホバの証人の信者であり10数年にわたり夫婦間の争いが続いた事案で「被告においてもいったんは原告との離婚を了承したこともあった経緯」
B被告妻が夫名義の不動産に処分禁止の仮処分の執行をしたこと
C被告は夫婦関係修復のための具体的な方策の提示をしないこと
等を破綻あるいは離婚認容の一事情とした例。
D訴訟において非難を繰り返している場合もこれにあたる。
「被告は、その本人尋問において、原告との婚姻の継続を希望する旨表明しているが、その理由は多分に打算的であり、本件訴訟において原告を激しく非難している事実に鑑みると、原告に対する信頼や愛情を窺うことはできないのであって、真に婚姻を継続させようとの意思があるとは思われない」とするもの(仙台地裁H9.12.10)。
●重大な病気や障害のある場合 
被告が重病にり患していたり障害がある場合
@離婚を求める原告に病者に対する誠意ある行動があるかどうか
A離婚を求められる病者である被告に有責性があるかどうか
◎原告の誠意ある行動
原告夫に特に有責性がなく、看病をするなどの誠意を尽くしてきたが、それ以上の負担を原告に強いることが酷であるような場合⇒離婚請求肯定
原告に被告の病気についての誠意ある行動がみられない⇒離婚請求棄却
◎被告の有責性 
被告の有責性⇒離婚肯定の方向へ
・被告の粗暴で家庭的でない言動に破たんの原因あり⇒5号に該当
・不貞行為のあった夫が交通事故により身体障害者となり、自活能力を喪失した事案で、4号の精神病離婚の具体的方途の法理を準用して離婚請求が制限されるか否かが争点となったが、破たんの原因はもっぱら夫にあるとして、妻からの離婚請求を忍容
・夫の躁うつ病はかなり回復しているので、4号の「強度の精神病」にはあたらないが、夫の乱暴な態度と妻の冷淡な態度から、5号による離婚を肯定。
◎病者への配慮 
夫婦の関係は客観的には破たんしているといわざるを得ないような場合でも、離婚を求める原告に翻意と努力を求め「破綻していない」とした例。
◎アルツハイマー病を理由とする離婚請求が認められた例
「婚姻関係は、妻がある附帯まー病に(又は同時にパーキンソン病にも。)罹患し、長期間に亘り夫婦間の協力義務を全く果せないでいることなどによって破綻していることが明らかであり、右の各事実(夫が見舞いを続けていること、再婚を希望していること、離婚すればホームの費用を全額公費負担となることなど)をも併せて考慮すると、夫の民法770条1項5号に基づく離婚請求はこれを認容するのが相当である。」
◎妻のうつ病の治癒やうつ病に対する夫の理解が深まれば、婚姻関係の改善も期待できるとして、婚姻の破綻を認定しなかった事例。 
●宗教活動 
夫婦の一方が宗教活動に過度に専念するあまり、夫婦としての協力義務違反が続き、他方の不信・嫌悪感を招き、破たんする場合がある。
信仰は人格の核心部分にかかわる事柄であるが、そうした根源的部分で相容れない価値観を持っていることは、婚姻の本質である精神的な結びつきを困難にする。
東京地裁H9.10.23:
信仰の異なることは「根源的な問題の対立」であり、それが「今後とも解消し得ないものと認められる結果、それはどたりの側が悪いというようなものではないのであり、原告(夫)のみが宗教的寛容さを欠いた有責者であると断ずることはできないというべきである」として離婚請求を認容。
最近の傾向?
●虐待・暴力・性暴力 
配偶者の虐待・暴力・性暴力は、婚姻を継続したがたい重大な事由に該当する。
「そのなした暴行行為を強く非難されるべきである」等として、暴力の違法性を重視。
DV防止法は、配偶者からの暴力が犯罪行為も含む重大な人権侵害であると位置づけている。
◎暴力をふるった夫からの離婚請求 
・修復の余地があるとして棄却した例
・夫の暴力が、妻との不和および夫婦喧嘩の中で偶発的に発生したものであることを考慮すると、離婚請求を否定しなければならないほどに非難されるべきものではないとして認容する例
●怠惰な性格・勤労意欲の欠如・多額の借金 
・生活能力がなく怠惰な生活をずるずると続ける夫に、妻は愛情を喪失し不信感が決定的となった
●親族との不和 
夫婦の一方と他方の親族の不和は、それだけでは5号にはあたらない。
but
配偶者の一方がその親族に加担したり、配偶者が親族との不和を解消する努力を怠った場合には、夫婦間の不和に発展し、5号に該当することがあり得る。
●性交不能・性交渉拒否 
●同性愛 
●性格の不一致・愛情の喪失・価値観の相違・思いやりのなさ (判例ガイド3版p61)
暴力・不貞等の典型的な離婚原因はないが、性格の不一致や価値観の相違が原因である場合も、「回復の見込みのない程度に破綻」しているときには、5号により離婚が認容される。
別居あるいは家庭内別居の有無とその期間、会話の有無、性的関係の有無、口論・けんかの有無・程度、双方の感情、修復の意思や行動の有無、未成熟子の有無、子らとの関係、子の離婚についての意見、訴訟態度などの総合判断により「破綻」の有無が判断。
未成熟子を監護中の配偶者(多くは妻)からの請求に比して、子を監護中の配偶者に対する請求の方が認められにくい傾向がある。
   
@暴力等で離婚 夫と女性の交際を妻が問いただすと、かえって夫は激怒して殴打したため妻は家を出たが、夫は生活費も入れなかった。(東京高裁昭和50.6.26)
夫が単身赴任し別居10年に及んでいたところ、夫は長男であるため、妻子だけでも早く夫の両親とともに距離に住んで欲しいと考え、これを妻に強要しようとし、妻の方はそれは妻子が犠牲になることだと考え、夫には冷淡な態度をとり、次第に夫婦仲が悪くなり、夫が暴力までふるうようになったという事案について、破綻について双方に責任があるが、妻の精神的苦痛は夫のそれより大きいとした。(宇都宮地裁真岡支昭和62.5.25)
1級の身体障害者である夫が、妻に対してテーブルを傾けスリッパを投げつけるなどの暴力をふるってきたという事案で、一審判決は夫に自省の機会を与えて妻からの離婚請求を棄却したが、控訴審の和解の席においても夫には自省の跡がないため、「自らの苦しみを妻に対する暴力でしか解消することができず、その行為の妻に与える影響等などに対する推察ができなかった夫・・・の責任が重」いとした。(東京高裁H8.7.30)
夫が妻に対して日常的に暴力をふるったことによって夫婦関係は破綻し、妻には肩関節及び脊柱に運動障害を残した。
1回の暴力でも離婚原因にあたるとしたものとして、心身項弱下で殴打し、障害を与えたのは1回だけであるが、それが相手に将来の暴行を予想させ恐怖心を抱かせる場合には5号の離婚原因になるとした。(福井地裁昭和31.8.27)
@-2 暴力をふるった夫からの離婚請求
暴力をふるった側からの離婚請求については、修復の余地があるとして棄却した例(東京地裁H10.1.30)
原告(夫)の暴力が、被告(妻)との不和および夫婦喧嘩の中で具初的に発生したものであることを考慮すると、離婚請求を否定しなければならないほどに非難されるべきものではないとして認容する例。(仙台地裁H9.12.10 別居3年強、4歳および6歳の子を妻が監護している)
「婚姻を継続し難い重大な事由」の有無、ないし婚姻破綻の有無の判定は、結局のところ、裁判官の裁量に委ねるほかない。
具体例 @暴行・虐待
A重大な侮辱
B訴訟の提起、強制執行、告訴・告発
C犯罪行為
D家庭の放置
E配偶者の親族との不和
F性格の相違
G性生活の異常
H疾病・身体障害
抗弁    離婚請求が信義則に反すること 

立証責任は被告にある。
 ● 有責配偶者(夫婦関係の破綻に専ら又は主として責任のある配偶者)からの離婚請求が信義則に反する場合。
■有責配偶者からの離婚請求   ■有責配偶者からの離婚
★離婚判例ガイド(3版)65頁〜 
  ●昭和62年の判例変更までの経緯 
  最高裁昭和27.2.19:
夫からの離婚請求に対し、「もしかかる請求が是認されるならば、妻は全く俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくの如き不徳義勝手気ままを許すものではない」
⇒有責配偶者からの離婚請求を棄却。
離婚請求をする側に有責性があっても、 
@相手方により多くの有責性がある場合(家出した妻からの離婚請求、しかしDVあり)
A夫婦双方が同じ程度に破たんについて席インがある場合(女性と同居する夫からの離婚請求、but妻も家を出た後、男性と同居していた)
について離婚を認容し、
その破綻につき「もっぱらまたは主として」原因を与えた当事者は、自らの離婚の請求をなしえない(最高裁昭和38.10.15)とうい法理を明らかにした。
ex.
妻の不貞行為以前に夫の暴力があった事案で、妻は主たる責任を有しない
夫の行為は妻の有責性をかなり上回る高度の有責性を帯びる
等として、離婚請求を認容。
「破綻」後に男女関係が生じた場合には、有責配偶者の離婚請求を否定する法理を適用しない。
〜夫が妻の両親や妻から侮辱を加えられ、家を出て別居し、別居から6年9か月後に他の女性同棲し子をもうけた事案。
その同棲は、被上告人(夫)と右上告人(妻)との間の婚姻関係を破綻させる原因となったものではないから、これをもって本訴離婚請求を排斥すべき理由とすることはできない」(最高裁昭和46.5.21)
●    ●有責配偶者からの離婚請求認容の考慮要因 
最高裁昭和62.9.2:
婚姻が破たんしている場合には、戸籍上の婚姻を存続させることは不自然であるとしながら、一方で「離婚は社会的・法的秩序」としての婚姻を廃絶するものであるから、離婚請求は、正義・公平の概念、社会的倫理観に反するものであってはならないことは当然で・・・信義誠実の原則に照らしても容認されうるもの」でなければならないとし、具体的には、次の3点を有責配偶者からの離婚請求認容の考慮要因とした。
@別居期間が両当事者の年齢および同居期間との対比において相当の長期間に及ぶこと
A未成熟の子が存在しないこと
B相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めてか国な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められないとき。
当該事案は、
@夫婦とも70歳を超え、同居12年に対し別居35年余りに及び
A子については、不貞の相手方の実施を養子に迎えたがその養子も既に成人
B夫は妻に対し、1950年(昭和25)年に建物を渡していた。
差戻審は、
@Aの要件を満たすとして離婚を認め、
Bの要件については、財産分与または慰謝料により解決されるべきものとし、離婚後の生活費としての財産分与1000間念、慰謝料1500万円の支払を命じた。
@〜B¥までのいずれの要因についても緩和されてきている。
  ●婚姻の破綻 
被告の抗弁である「信義則違反」の審理の以前に、婚姻の破綻の有無がまず審理されなければならない。
破綻せず⇒有責配偶者からの離婚請求であるか否かにかかわらうz、5号にあたらない。
●    ●有責性 
  有責行為のほとんどが、不貞行為。
◎離婚否定例(最高裁H16.11.18)
原判決が:夫の不貞が婚姻破綻の原因であるが、妻にも極端な潔癖好きの傾向があり、これを夫に強要するなど破綻について一半の責任がある⇒夫からの離婚請求を認容。
最高裁:不貞行為のあった夫を有責配偶者として、別居期間2年4か月、同居期間6年7か月、夫・妻は30第前半、子は7歳、妻は子宮内膜症にり患し就職が困難
⇒3つの考慮要因を充たさず、離婚請求は信義則に反し棄却。
◎離婚肯定例 (東京高裁H26.6.12)
別居期間2年1か月であるが、有責配偶者である妻(フランス人)からの離婚請求を肯定。
夫から離婚を切り出し、妻の電話やメールを使えないようにしたり、クレジットカードをキャンセルなどしたため、妻が夫に対する信頼を失い、離婚を決意し、2か月ほどBと交際後、Cと交際を始め、子2人を連れて別居。
最高裁昭和62.9.2の理由の1つは、離婚請求される妻側が経済的に不安定な状態に追い込まれ、著しく社会正義に反する結果となる自体を回避するという目的があったものと解される。
⇒実質的にそのような結果がもたらされない場合には、離婚請求に認容されうる。
本件では、
@婚姻関係破綻の責任の一端は夫にあり、A妻によるこの養育監護状況等には問題がなく(子と夫の面会交流も継続)、B離婚によって子の福祉が害されるとは認め難く、C夫はもともと離婚を求めており、D相当の年収があり、E離婚によって精神的・社会的・経済的に著しく不利益な状態に至るわけでもないと考えられる。

妻の責任の態様・程度、夫の婚姻継続手についての意思および妻に対する感情、離婚を認めた場合の夫の精神的・社会的・経済的状態および子の監護・教育・福祉の状況、別居後に形成されている相互の生活関係等を勘案しても、妻からの離婚請求は社会正義に照らして到底許容することはできないというものではなく、夫婦としての信義則に反するものではない。
妻の不貞に至る原因の1つとして妻の人格を否定するような夫の行動があったことが指摘されており、相互有責に近い事案であるが、最大半の示した信義則の判断について柔軟な解釈を示した。
◎不貞以外の理由で有責配偶者とした事例(東京高裁H20.5.14) 
婚姻当初から妻は夫の母の嫌がらせに悩まされ、長男が障がいを持って出生した後は、夫及び夫の母の長男に対する冷たい仕打ちに悩まされた末に、自ら家を出たものであり、その後も夫は自宅への妻の出入りを許さない。
⇒婚姻は破たんしたと認定し、その原意は妻は長男に対する夫の姿勢にあったものであり、夫を有責配偶者とした。
  ●別居期間(要因@) 
  ●未成熟子の不存在(要因A) 
  ●特段の事情 
@有責配偶者が、相応の生活費を負担してきたか
A評価できる内容の離婚給付の申出がなされているか
B離婚を拒否している側の生活、収入状況
C離婚の拒否が、報復、憎悪などにすぎないものか、被告側が関係修復のために真摯かつ具体的な努力をしているか
 
★ 
説明 有責配偶者:夫婦関係の破綻に専ら又は主として責任のある配偶者(岡口5p534)
異性関係は「有責行為」とみられやすいが、それに限らない。 
適用範囲  ●相手方に離婚意思あり⇒有責配偶者からの離婚請求でも否定されることはない
離婚原告に対する報復的感情から離婚に反対しているにすぎない場合にも、離婚意思がある場合に準じて、離婚を認める判例(高裁レベル)
●有責配偶者として離婚を拒否されるのは、、その者の「有責行為」と婚姻破綻との間に因果関係がある場合にかぎられる(最高裁昭和46.5.21) 
⇒「有責行為」(異性関係はそうみられやすい)前にすでに婚姻破綻が生じていた場合、因果関係なし⇒「有責」者からの離婚請求も認められる(最高裁昭和46.5.21)。
●原告の有責行為が婚姻破綻の原因だとしても、それが唯一の、または主たる原因でないとしたら、離婚は否定されない(最高裁)。

相手方が原告と同等またはそれ以上に有責であれば、離婚請求は認められる。
有責性の比較の問題。
相手方よりも有責性の低い原告は離婚を拒否されるべき有責配偶者にはあたらない。
判例 「夫婦の別居が@両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、Aその間に未成熟子が存在しない場合には、B相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況におかれる等離婚請求を許容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り」離婚が認容される。(最高裁昭和62.9.2判決)
3要件 @別居期間が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及ぶこと
(上記判例では、夫婦とも70歳以上で、同居期間が12年、別居期間が36年)
A夫婦間に未成熟の子どもがいない
(経済的に独立していない)
B苛酷条項
(相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれるなど、離婚請求を許容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の存否)
別居期間と判例の流れ @最高裁昭和63.12.8
○離婚認容
同居期間:17年、別居期間:22年
A最高裁昭和63.12.8
○離婚認容
同居期間:1年弱、別居期間:10年3か月
B最高裁H1.3.28
離婚棄却
×同居期間:22年、別居期間:8年
夫が60歳、妻が57歳
C最高裁H2.3.6
離婚棄却
×同居期間:10年、別居期間:11年
夫も綱も47歳
婚姻関係が回復の見込みがない程度にまで破綻するに至っていない
D最高裁H2.11.8
○離婚認容
同居期間:23年、別居期間:8年
E最高裁H5.11.2
○離婚認容
同居期間:17年、別居期間:9年8カ月
夫婦破綻の主たる原因は妻にあるけれども、夫にも少なからざる責任がある。
F最高裁H6.2.8
○離婚認容
同居期間:15年、別居期間:13年11月
夫からの離婚給付として700万円の申出がなされている。
G東京高裁H14.6.26
○離婚認容
同居期間:22年、別居期間5年
H最高裁H16.11.18
×離婚棄却
同居期間:6年7カ月、別居期間:2年4か月
2人とも30代前半
苛酷要件 @有責配偶者が相応の生活費を負担してきたどうか
A評価できる内容の離婚給付の申出がなされているか否か
B離婚を拒否している側の生活や収入状況
C離婚の拒否が、報復、憎悪などにすぎないものか、被告側が関係修復のために真摯かつ具体的な努力をしているか。
東京高裁H19.2.27判決:
別居9年以上以上(同居約14年)の夫婦間の長男は、四肢麻痺の重い障害を有するため、日常生活全般にわたり介護を必要とする状況にあり、成人に達していても未成熟の子とみるべくその子の世話をする相手方配偶者は、その年齢(54歳)からしても就業して収入を得ることが困難な状況にあり、また、住居明渡しの問題もあり、離婚により直ちに経済的困窮に陥ることが十分予想されるとして、離婚請求を棄却。
離婚手続  規定 戸籍法 第77条〔裁判上の離婚、離婚の取消し〕
第六十三条の規定は、離婚又は離婚取消の裁判が確定した場合にこれを準用する。
A前項に規定する離婚の届書には、左の事項をも記載しなければならない。
一 親権者と定められた当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名
二 その他法務省令で定める事項
戸籍法 第63条〔裁判による認知〕
認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
家事事件手続法 第268条(調停の成立及び効力)
調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。
2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。
3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。
4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。
調停 調停離婚
判決 判決確定後、10日以内に判決謄本(および確定証明)を添付した報告的性格を持つ離婚届の提出が必要(戸籍法77条、63条、同法規則57条)。 
和解 裁判上の和解離婚 
名前の変更 規定 民法 第767条(離婚による復氏等)
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する
2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる
戸籍法 第77条の2〔離婚の際の氏を称する場合〕
民法第七百六十七条第二項(同法第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定によつて離婚の際に称していた氏を称しようとする者は、離婚の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
離婚 原則:離婚⇒復氏
but離婚の日から3カ月以内の届出で離婚時の氏を選べる。
子供 原則:離婚でも、離婚の際の氏
親権者が復氏⇒子供が15歳未満での場合裁判所の許可を得て親権者の氏に変更できる。
(親権者でないと、子供の名字を変更できない。)
子供が15歳になれば、家庭裁判所の許可を得て、一方の親と同じ名字に変更できる。

■親権
規定 民法 第818条(親権者)
成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
民法 第819条(離婚又は認知の場合の親権者)
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
民法 第820条(監護及び教育の権利義務) 
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
民法 第821条(居所の指定)
子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
民法 第822条(懲戒)
親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
民法 第823条(職業の許可)
子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
2 親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
親権とは    財産法的な権利・義務では捉えきれない。
●親の配慮の3類型
@独立の社会人として社会性を身に付けるために(立派な大人になるために)、子を肉体的に監督・保護し(「監護」)、また精神的発達を図るために配慮をする(「教育」)
A子が財産を有するときに、その財産管理をしてやり、また子の財産上の法律行為につき子を代理したり同意を与えたりする
B子の生活費や養育費の経済的負担を負う。(「扶養」)
以上のうち、@(身上監護権)A(財産管理権)が親権。
●身上監護権
@居所指定権(821条)
A懲戒権(822条)
B職業許可権(823条)
C第三者に対する妨害排除権
D身分上の行為の代理権
共同行使   親権は共同行使が原則。

子の監護教育、財産管理、子の法律行為の代理や同意など、親権の内容の行使が、父母の共同の意思によって決定されること。
居所指定権   居所指定その他のについて、父母間の意見の一致しない場合の最後の決定については、家庭裁判所の決定に委ねられているものと解すべき。
親権者指定の基準 判断基準 民法は規定なし。
もっぱら家事審判官の裁量に委ねられることになるが、子の利益・福祉が基本になる。
父母側の事情:監護能力、子に対する愛情の程度、経済力、生活環境など、
子の側の事情:年齢・性別、心身の状況、現状における適応状況、新しい養育環境への順応性、意思などを総合的にう考慮

子の利益の観点から父母のいずれが親権者として適格かを判断。
裁判例の傾向 @監護の継続性ないし現状維持を重視し、特別の事情のない限り、現実に子を間が養育している者を優先。
(心理学的にみた親子間の情緒的結びつきを重視する考え方。)
vs.実力による子こ奪い合いの結果を追認せざるをえないくなる。
A子が乳幼児の場合は母を優先させる。
vs.子の養育について父母の役割が徐々に変化していることを考えると、安易に母優先を認めることには問題がある。
B子が分別能力を備えている限り(15歳未満であっても)その意思を尊重する。
ex.小学5年生
C兄弟姉妹はなるべく同一親権者のもとに置く。
vs.子がある程度の年齢に達すれば、その望ましさは必ずしも大きいものではない。
D不貞行為などの有責行為があっても、当然に親権者に値しないと判断することはできない。

■算定表(養育費・婚姻費用)
年収の算定   ●給与所得者:
源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収。
給与明細書⇒変動、賞与・一時金を考慮。
他に確定申告していない収入あり⇒その収入額を支払金額に加算。
●年金 
年金収入の給与収入への換算:
値金収入には職業費を要しない⇒職業費に相当する2割を割り戻して給与収入に換算。 
ex.年金収入106万1180円
⇒(106万1180円÷(1−0.2)≒132万円)⇒132万円に
●自営業者の場合 
確定申告書の「課税される所得金額」が年収に該当。
「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果⇒実際に支出されていない費用(例えば、基礎控除、青色申告控除、支払がされていない専従者給与など)を「課税される所得金額」に加算して年収を定める。
●児童扶養手当等 
児童扶養手当や児童手当は子のための社会保障給付⇒権利者の年収に含める必要なし。

■養育費   
■養育費 規定 民法 第877条(扶養義務者) 
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
意義  養育費とは、民法766条1項所定の「子の監護に必要な事項」として、裁判所が、非監護親から監護親に支払を命じる未成熟子の養育に要する費用。 
養育費の根拠と内容 根拠 養育費を父母が負担する法的根拠は扶養義務(民法877条)にある。
離婚後父母は、未成熟子に対して扶養義務を負う(民法877条)。

親子という身分関係に基づいて生じる義務⇒親権の有無、同居の有無にかかわらない。
扶養義務の順位について、親権者と非親権者間に差異はない。
扶養の程度 未成熟子に対する扶養義務の内容は、自己と同程度の生活を保障する「生活保持義務」であり、他の親族扶養(生活扶助義務)よりも程度の高いもの。
生活保持義務:
夫婦間の扶養、夫の未成熟子に対する扶養であり、権利者の生活の一部として自己と同程度の水準まで扶養する義務
生活扶助義務:
その他の場合の扶養であり、権利者が生活難に陥った場合に、義務者に余力があれば権利者の健康で文化的な最低限度の生活を援助すれば足りる。
養子縁組 未成熟子が養子縁組

養親に第一次的に扶養義務が発生し、基本的には非親権者(実親)に対して扶養請求をすることはできない。
離婚後、親権者母が再婚し、子と後夫が養子縁組をそ、母から非親権者父に対して養育費を請求した事案で、父は親権者および養親に劣後する扶養義務を負担するにすぎないとして、申立てを却下した例(神戸家姫路H12.9.4)。
請求方法 2つの方法 @扶養料請求:
子自身が別居親に扶養料を請求する方法(民法877条〜880条、家審9条1項乙類8号)
子が未成年であれば親権者が法定代理人として申し立てる。
A養育費請求:
監護親が、この監護に関する処分として、別居親に監護費用を請求する方法。
(一般に養育費と呼ばれる。民法766条、家審9条1項乙類4号)
@の権利主体は子、Aのそれは監護親。
Aは親自身の権利として請求⇒親が親権を有する期間、つまり子が成年に達するまでに限定される(大阪高裁決定昭和57.5.14)。
子が成年に達したが大学生であるような場合には、子自身が申立人となって、@の方法を用いる。
Aの養育費支払を命じる審判がある場合に、子が養育費の増額を求めて、@の扶養請求を申し立てた事案で、審判で定められた養育費の額を超える場合について扶養義務を形成するのが相当であるとして、子からの扶養請求を認めた例(東京家審54.11.8)。
経緯 従前 養育費の算定は、子が義務者と同居していると仮定すれば子のために費消されていたはずの生活費がいくらであるのかを計算し、これを義務者と権利者の収入の割合で按分し、義務者が支払うべき額を定めるというもの。 
具体的には、
@義務者・権利者の基礎収入を認定する(総収入から、所得税・住民税・社会保険料等の公租公課、職業費(給与所得者の場合の必要経費、多くの場合10〜20%)、住居費・医療費等の特別経費を差し引く。)
A義務者・権利者及び子のそれぞれの最低生活費を認定する(例えば、厚生労働省が毎年告示する生活保護基準による。)
B義務者・権利者の分担能力を認定する(義務者の収入が義務者の最低生活費を下回っている場合には、分担能力がないとして、支払義務はないとする。)
C子に充てられるべき生活費を認定する(子が義務者と同居していると仮定し、義務者の基礎収入を義務者と子の各最低生活費等の割合により按分する。)
D義務者の負担分を認定する(子の生活費を義務者・権利者双方の基礎収入の割合で按分する。)。
  vs.
@の作業において公租公課や特別経費を実額で認定。
何を特別経費として認めるか、その金額の認定を巡って主張や資料の応酬⇒審理の長期化。
算定表  従前の家庭裁判所の実務において採用されていた基本的な手法はそのまま維持しながら、
@について、公租公課が総収入に占める割合は税法等で理論的に算出された標準的な割合により、特別経費は実務上一般的に特別経費と認められている項目に限り、統計資料に基づいて推計された標準的な割合により、標準的な基礎収入率を設定して認定(例えば、給与所得者の場合、34〜42%となる)。
A〜Dについて、各自の按分割合を生活保護基準及び教育費に関する統計から導き出される標準的な生活費指数によって算定(親を100とし、14歳までの子は55、15歳から19歳までの子は90となる。)、簡易で迅速な養育費の算定を可能にした。 
算定方法 計算式 義務者が分担すべき養育費の額=
子の生活費(?)×義務者の基礎収入/(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)
? ?基礎収入=
総収入×0.34〜0.42(給与所得者の場合)
総収入×0.47〜0.52(自営業者の場合)
いずれも、高額所得者の方が割合が小さい。
「基礎収入」は、税込収入から「@公租公課」、「A職業費」及び「B特別経費」を控除した金額であり、「養育費を捻出する基礎となる収入」のことをいう。
「A職業費」とは、「給与所得者として就労するために必要な出費(被服費、交通費、交際費等)」
「B特別経費」とは「家計費の中でも弾力性、伸縮性に乏しく、自己の意思で変更することが容易ではなく、生活様式を相当変更させなければその額を変えることができないもの」
「@公租公課」は、「税法等で理論的に算出された標準的な割合」をもって、それぞれその額を推計する。
@給与所得者の基礎収入の割合:
総収入から公租公課、職業費及び特別経費を控除した結果、総収入の概ね34%〜42%(高額所得者の方が割合が小さい)の範囲内になる。
A自営業者の基礎収入の割合:
総収入:課税される所得金額。
自営業者の基礎収入は、総収入から税金及び特別経費を控除した結果(自営業者の必要経費及び社会保険料は総収入においてすでに控除されている。)、総収入の概ね47%〜52%(高額所得者の割合の方が小さい)の範囲となる。
? ?子の生活費=
義務者基礎収入×(55or90(子の指数))/(100+55or90(義務者の指数+子の指数))
成人の必要とする生活費を100とした場合の子の生活費の割合(指数)を定める。
生活費の指数化については、生活保護法第8条に基づき厚生労働省によって告示されている生活保護基準のうち「生活扶助基準」を利用して積算される最低生活費に教育費を加算して算出。
親を100とした場合、年齢0〜14歳までの子供については55、年齢15〜19歳までの子供については90
子供が複数の場合:
@15歳未満の子が2人の場合
義務者の基礎収入×(55+55)/(100+55+55)
A15歳以上の子が1人と15歳未満の子が2人の場合
義務者の基礎収入×(90+55+55)/(100+90+55+55)
留意点 算定表は標準的な養育費を簡易迅速に算出することを目的とするもの。
最終的な分担額は各事案の個別的要素をも考慮して定める。
個別的事情も、通常の範囲のものは標準化されるに当たって算定表の額の幅の中で既に考慮されている。⇒この幅を超えるような額の算定を要する場合は、この算定表によることが著しく不公平となるような特別な事情がある場合に限られる。
養育費の変更 ●父母間の養育費不請求の合意と子からの扶養請求
父母間の養育費不請求の合意について、判例は、父母間で養育費不正きぃううの合意をしても、それは父母間の分担に関しての合意であり、この扶養請求権を処分することはできないことから(民法881条)、子からの扶養請求には影響を与えない(判例)。
「それが子の親権者として子を代理し、父に対して生ずる将来の扶養請求権の放棄であれば民法881条によりその効力がないことは明らかであり、又、仮に前記母が負担す()る養育費を父に求償しないことを定めたにすぎないものであれば、右競技は両扶養義務者間でいわば債権的な効力をもつにすぎないから、扶養権利者がその具体的必要に基づいて扶養料の請求をすることはなんら妨げられない」(札幌高裁決定43.12.19)
不請求の合意は法律上有効とはいえないとする例(名古屋家審昭47.3.9)
民法 第881条(扶養請求権の処分の禁止)
扶養を受ける権利は、処分することができない。
●子に不利益な父母間の合意
父母間の養育費の合意を一応有効とし、ただ、
@その内容が著しく子に不利益で子の福祉を害する結果に至るときは、この扶養請求権は、その合意に拘束されることなく行使でき、また、
A合意後事情の変更があり、合意内容を維持することが実情に沿わず、公平に反するに至ったときは、扶養料の請求や増額ができるとする例(宇都宮家裁昭和50.8.29)。
●養育費合意についての合理的解釈
明示の意思表示がなくても、一定期間、継続的に送金・受領していた事実によって、黙示の意思表示による合意の成立を認める例
妻が子2人の親権者であり、夫は養育費の合意の成立を否定したが、夫が離婚後約2年半の間おおむね20万円ずつ妻に対し送金したことを重視し、「夫は・・・その養育料として毎月1人あたり10万円を支払う旨の黙示の意思表示をし、妻も暗黙のうちにこれに応じたものと解するのが相当である」として、合意の成立を認め、給付を命じた(東京高裁昭和62.3.30)。
養育費に関する合意に合理的な解釈を加え、子の権利を保障すると同時に、義務者に過重な負担が及ばないよう配慮することがある。
養育費につき「物価の変動に伴い、母が増額を請求したときは、父は、これに応じることとする」という合意をしたが、このような増額認諾条項は、一方的な意思表示で客観的に相当な金額の扶養料に増額されるとの形成権を定めたものとまで認めるのは、疑問であるとし、当事者間で具体的な扶養の程度、方法について合意のない場合として、家庭裁判所がいっさいの事情を効力して審判で判定すべきものとした(東京地裁H4.2.28)。
養育費の他に、「その他一切の教育に関する費用」を支払う旨の調停条項について、給食費、子が個人的興味に基づいて行う活動費(この事案ではピアノのレッスン代)は、これに該当しないとした(広島地裁H5.8.27)。
●事情の変更
扶養の程度または方法は、権利者の需要、義務者の資力その他一切の事情を考慮して定められるものであり(民法879条)、いったん取り決められたり、あるいは審判が下されても、その後に失業・病気・事故などにより父母の経済状況に変動があったり、子の教育費が増加したなど事情に変更が生じたときは、家庭裁判所は変更または取消しをすることができる(民法880条、東京高裁H10.4.6等)。
●事情の変更と請求異議の訴え
扶養の権利義務は、協議あるいは調停・審判によって形成される。
⇒当事者の収入・健康・勤務状況・教育・家庭環境(再婚など)その他、養育費・扶養料の額を定める前提の事情に変更があっても、それだけでは当然に養育費・扶養料が変更したり、消滅したりしない。
⇒養育費・扶養料の変更の協議あるいは審判を得る必要がある。
これを経ないで提起された請求異議の訴えは認められない(養子と養父の間の扶養義務に関する事案につき、大阪高裁昭和52.2.3)。
ただし、この判決は、一方当事者の死亡、離婚その他基本的扶養義務を成立させる身分関係の消滅事由があった場合は別であるとしており、養育費・扶養料についても身分関係の消滅の場合には、新たな協議・審判は不要である。

■婚姻費用
規定  第752条(同居、協力及び扶助の義務)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
第760条(婚姻費用の分担) 
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
意義等 婚姻家庭が、その資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を維持するために必要な費用であり、民法760条により夫婦が互いに分担するものとされている。
この分担義務は「生活保持義務」とされている。

婚姻費用の分担額の算定は、「生活保持義務」としての適正妥当な金額を求めること
生活保持義務
夫婦間の扶養、夫の未成熟子に対する扶養であり、権利者の生活の一部として自己と同程度の水準まで扶養する義務
期間 始期  過去にさかのぼって婚姻費用分担の審判をすることができる。(最高裁昭和40.6.30)

実体法上の問題として、生活保持義務の具体的不要請求権発生の要件は、扶養権利者について扶養必要性、扶養義務者について扶養可能性。
そのような要件が備わっていれば、扶養請求権は発生しているはず。
@必要発生時(別居時)説
vs.義務者に酷な面がある。
A請求時以降説
B審判時以降説
vs.婚姻費用分担義務を果たさない義務者のいわば「ゴネドク」を許すことになる。
A請求時説(多くの裁判例)
申立人が分担義務者に対して請求がなされたときから(東京高裁決定昭和60.12.26)
夫婦喧嘩の末、無収入の妻が子を連れて実家に戻った事案で、分担義務者において、申立人が婚姻費用分担に関する支払を受けるべき状態にあることを知り、または知ることをうべかりし時に生じるとして、別居時以降の婚姻費用の分担を命じた例(大阪高裁決定昭和58.5.26)

後に突然遡って扶養料を請求させると多額になることがあり、妥当性を欠く事態もある。
終期 別居の解消又は離婚に至るまで。
含まれる費用  婚姻当事者を中心とする世帯の生活を、夫婦双方の財産、収入、社会的地位に応じて保持するに要する費用
衣食住の費用
出産日・医療費・葬祭費・交際費
子(未成熟子)の養育費
標準算定方式 考え方 従前、義務者・権利者及び子が同居しているものと仮定し、双方の基礎収入の合計額を世帯収入とし、その世帯収入を権利者グループの最低生活費と義務者グループの最低生活費で按分し、義務者が権利者に支払う婚姻費用の額を定めていたが、このような基本的な手法は維持しながら、養育費と同様標準的な割合や生活費指数を用いて、簡易で迅速な算定を行うようにしたもの。(判タ1209p4)
婦の基礎収入(=実収入(総収入)から、婚姻費用に優先して支払うべき公租公課、職業費、特別経費を控除したもの)の合計額を、夫(プラス同居の子)と、妻(プラス同居の子)のそれぞれの最低生活費で按分するというもの。
標準的算定方式による算定は、時として公平さを大きく欠く結果になる
⇒分担額を算定した後、それを夫婦それぞれの収入に加減して、夫婦間に大きな不公平がないかを確認する作業をする必要。
計算式 義務者・権利者が別居し、権利者が2人の子(いずれも15歳未満)と同居し、義務者が単身で生活しており、義務者の基礎収入(X)の方が権利者の基礎収入(Y)よりも大きい場合:
@権利者世帯に割り振られる婚姻費用:
Z=(X+Y)×(100+55+55)/(100+100+55+55)
A義務者から権利者に支払うべき婚姻費用の分担額=Z-Y
総収入の認定は、養育費の算定と同様。
留意点 無職 無職で収入なし⇒原則として収入は「0」
働こうと思えば働ける場合、収入を推計して算出
ex.パートタイム労働者の性別・年齢別年間収入
援助 実家からの援助は、実家の好意に基づく贈与⇒収入に加算することは相当ではない。
住居費 住居費を支払っていない場合、求められた幅の範囲内で、このような事情を考慮して具体的に金額を決めるべきもの。
負債について 基本的には、求められた幅の中で考慮されるべき事情と考えられる。
一般的には生活保持義務に基づく養育費・婚姻費用の支払に優先するような夫妻は考えにくく、負債があるというだけでは、特別な事情があるとはいえない。
義務者が婚姻費用を維持するためにやむを得ず借り入れたと認定される場合には、権利者は返済額の何割かを負担すべき。

算定表によって求められた金額から、権利者が負担すべき額を控除した残額を、実際に義務者が支払うべき婚姻費用の分担額とするのが公平であり、相当である。
債務の負担額については、権利者と義務者の基礎収入で按分するという方法が考えられるが、最終的には裁判官の判断に委ねられる。
私立の学費J 算定表は、公立中学校・公立高校学校に関する学校教育費を指数として考慮しており、私立学校の学校教育費等は考慮していない。
義務者が当該私立学校への進学を了解していた場合や、その収入及び資産の状況等からみて義務者に負担させることが相当と認められる場合には、算定表によって求められた額に権利者と義務者の収入に応じて不足分を加算することを検討。
私立学校の入学金、授業料、交通費や塾代等のうち、義務者がどのような費用を負担すべきかについては、担当裁判官の判断に委ねられる。
加算額について、例えば、高等学校の場合には、実際に支払うべき授業料等を権利者と義務者の基礎収入で按分した額から公立高等学校の学校教育費年額33万3844円を控除した額を目安にすることも考えられる。
義務者の収入が、公立中学校・公立高等学校の子がいる世帯の平均収入(公立中学校については828万4332円、公立高等学校については864万4154円)を上回る場合には、結果として公立中学校・公立高等学校の学校教育費以上の額が考慮されていることになる。
⇒不足分の算定にあたっては留意する。
●権利者が夫婦共有財産の一部を持ち出した場合
この持出しは、離婚訴訟における財産分与において解決されるべき問題であるから、原則として、婚姻費用の支払には影響しない(最高裁H23.9.21)。
■      ■婚姻費用分担額の増減額調停・審判事件 
概要 婚姻費用分担金又は養育費の額(及び支払期間)が、当事者間の合意、調停、審判等によって定められたが、その後、事情の変更が生じたときは、調停又は審判により、従前の合意等を変更して、金額の増減額をすることができる(民法880条類推)。 
規定 民法 第880条(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
変更の始期 変更の請求をした時から。
原則として、本件調停の申立時(いきなり審判を申し立てたときは本審判の申立時)からとするのが公平 
要件事実   @従来の額の決定の際に基準とした事情に、顕著かつ重要な変更が生じたこと
A@が、従前の協議等の際に予測し得なかったものであること
B従来の額が実情に適合せず不合理であること
C変更すべき額 
@ 事情の変更は、顕著かつ重要なものである必要。 
ex.
再婚等による被扶養者の増加
失業による収入の減少
従前の合意に基づく額が支払継続が困難なほど高額であった場合に減額を認めた例(東京家審H18.6.29)
A 事情の変更は、通常予見し得なかったものでなければならない。
収入の減少等が従前の合意等の際に予測できた場合、これを利用する増減額の申立てが認められないことがある。
ex.
ある程度の期間が経過した時に、新たに子が生まれた場合
再婚した場合

予測可能であったとまではいえない。
判断を下した裁判所は年収〇〇〇万円であることは予測していない。
正式な金額を主張して認められなかった⇒「予測」は問題となり得ない。

■婚姻費用変更の際の類推規定
扶養関係の変更又は取消し(注釈民法)
規定 民法 第880条(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
概説    わが法は、
@あらゆる事情に対応する具体的に妥当な内容を実現すべく、事前に一切の事情を考慮させる一方で(したがって、将来の変動が確定しているものないし確実に期待しうるものは事前に考慮すべきである。)、
A安定した履行の前提として望まれる固定性を確保すべく、結果としての競技・調停・審判に一定の場合に執行力を与えるなどして迅速確実な履行を保障することで、両者のバランスを図ろうとしている。 
本条では、さらなる弾力性を求めて、扶養関係が定まった後に事情の変更が生じたときに家庭裁判所がその変更又は取消の審判をすることができる旨規定。
審判による変更・取消についてのみ規定しているが、協議による変更・取消ももとより可能である。

扶養関係の決定は、実質的には、協議・調停・審判当時の扶養関係の確定にとどまり、将来のそれを確定する効果を有するものではない 
協議の存在は、前の審判の実質的執行力を排除する⇒この審判に基づき強制執行を受けた義務者は協議の存在を理由に請求異議の訴えをなし得る。
本条により変更・取消をすることができる場合のいわゆる事情:
元の協議・調停・審判の際に既に存在し判明していた事情(⇒いかなる事情を基準として考慮したか、または、その範囲を明確に示すのが望ましい。)。 

元の協議・調停・審判の時に既に存在し判明していた事情はもとより、当事者にとって当然予見しえた事情もそこに含まれる。⇒予見しえた事情がその後現実化したにすぎない場合は、原則として事情の変化があったとみることはできない。
本条の目的は、通常予見し得ない事情変更への対応であって、誤った予見の修正は、本条の対象とするところではない。
本条の審判手続において、元の協議・調停・審判の、当時における内容の当否は審査の対象とならない。
A:事情判明の場合(事情変更の場合に限定されず、元の協議・調停・審判の時に存在しながら知り得なかった事情が後に判明した場合)をも含む。
B:本条で対応すべきであるのは、元の協議・調停・審判の後に生じた、つまり後発的事情であって、事情判明の場合を後発的事情とみることはできない。
vs.
これを固持すれば、非訟事件の構造に矛盾する。
鈴木忠一:非訟事件の裁判の既判力(100頁〜):
非訟事件の裁判は既判力を有しない⇒消極的内容の裁判即ち申立却下(棄却)の裁判の確定している場合に、再び同一内容の申請を為そうとするときは、敢えて原判決を遡って廃棄するまでもなく、新たな事件として申立をなせば足りる⇒再審事由があっても再審手続を借りる必要はなく、事情変更による取消変更と解する必要もない。
積極的内容の裁判が確定しており、再審事由が付着している場合:
非訟事件において事情変更による裁判の取消変更を認める以上、非訟事件の目的、手続の構造等から見て所謂事情変更を裁判の告知後に生じたものに限り、告知前に存在していた事情の主張を許さないとすることは、非訟事件の本質と矛盾する。
非訟事件の判決は民訴の確定判決と異なり既判力を持ちえないのが原則
⇒事情変更による裁判の取消変更は、裁判の告知後の事情変更に因り当該裁判が実情に合致せず不当となった場合のみに制限されず、裁判の告知前に存在し・・之が裁判所知られていたならば当該裁判がなされなかったであろうと認められる如き事情が、裁判の確定後に判明した場合も含むものと解すべきである。

右の如き重大な事情が裁判宣告後乃至確定後に至って初めて裁判所に明らかとなったことは、法律上の評価としては、宣告後に事情変更が生じた場合と同視すべきものと解し得る。

確定の判決ある場合に、1は宣告後の客観的事情の変更に因り、他は宣告前に存した客観的事情が裁判の確定後に初めて判明したことに因り、それぞれ確定判決を維持すべからざるに至ったのであって、宣告後初めて発生したことと、宣告後初めて存在の判明したこととは、職権主義を採る手続上は同価値であるからである。
元の協議・調停・審判により定められた扶養関係をそのまま維持することが相当でないと認められる程度に重要性を有するもの、また事情の判明については、それが元の協議・調停・審判の際に知られていたならば扶養の内容は異なっていただろうと認められる程度に重要性を有するものでなければならない。 
重要性の判断は、一般的固定的ではなく、元の協議・調停・審判の内容、当事者の資産収入、その他個々の事案の事情によって異なる。
幼稚園入園に伴う費用の増加を認めた例もあれば、小学校入学に伴う増加分について認めなかった例もある。
権利者又は義務者の一身に生じることもあれば、物価の変動、貨幣価値の変動等一般的事情に生じることもある。
面倒見的扶養の義務者が面倒見から解放されるためには、特に重要な事情の変更を要しない。「気が変わった」だけであっても、事情の変更を認めざるを得ない。
非訟事件手続にあっては、継続的法律関係につき、民訴手続では例外的に認められるにすぎない事情変更による変更・取消が、規定の有無にかかわらず認められ、本条のような規定を欠く婚姻費用分担事件においても、監護費用分担事件においても認められる。 
変更の始期   変更の請求をした時から⇒原則として、調停の申立時(いきなり審判を申し立てたときは本審判の申立時)から
変更事由が生じた時を変更の始期と解する見解もある。



■夫婦財産
規定 民法 第762条(夫婦間における財産の帰属)
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
 
判例の考え方 ●まとめ(内田p33〜)
◎対外的には、共有の主張を認めない(最高裁昭和36.9.6)。
◎内部的には、婚姻中夫の収入で得た財産は(妻の名義で登記しても)夫の特有財産であるという理解(最高裁昭和34.7.14)。
名義人の財産というわけではない。
潜在的にせよ、共有制論はとっていない。
最高裁昭和34.7.14:
夫は父母の代から旅館を妻名義で経営し、妻に家計・家業経理の一切を任せていたが、夫婦協議のうえ旅館経営の収益で土地を購入し、妻名義で所有権移転登記をした。
判断:
夫Hの特有財産である旅館の収入から購入資金を支出⇒本件土地はHの所有物であると認定し、登記名義が妻W名義になっていても、762条1項で妻の特有財産になるわけではない
夫婦の合意で夫の買い入れた土地の登記簿上の所有名義人を妻としただけでは、その土地を妻の特有財産と解すべきではないとして、夫の請求を認容した原審を支持した。

婚姻中夫の収入で得た財産は夫の特有財産であるという理解。
●  ●注釈民法p462〜
●夫婦共働きの場合:
@夫婦が共働きで得た収入で取得した不動産は、夫婦の一方の単独名義になっていたとしても、夫婦の共有に属すると推定する。
A夫名義の預金債権についても、本条2項により夫婦の共有に属すると推定し、妻は預金債権につき準共有者として夫に対し2分の1の持分を主張できる。
●共働きでない場合:
判例は内助の功を評価することをしない
@夫が自己の単独名義で購入した不動産について、その資金の獲得に妻の内助の功があったとしても、自己の収入および信用をもとに借り入れた資金で購入された以上、名義人の単独所有となり、夫婦の共有財産とはならない。(大阪高裁昭和48.4.10)
A夫婦間の財産について、名義が自己であるだけでなく、それを取得するための事情や対価などからして自己のものであって実質的にも自己に属することが挙証されないかぎり、その特有財産にはならない
専業主婦の場合は、対価として拠出すべき資金がないため、夫が自己の資金や借入金でもって自己名義で買い受けた財産は夫婦の共有にはならず、夫の特有財産とみる。
●夫が妻に手渡した生活費を蓄積した場合
これらの剰余金は夫婦共同生活の基金としての性格をもち、夫婦の共有財産になる。(東京地裁昭和46.1.18、昭和59.7.12)
夫婦が婚姻費用分担として金銭を拠出し、それが家計費に充てられて剰余金が生じた場合、その拠出自体は夫婦共同生活の基盤を構成する目的でなされるから、剰余金は拠出者の特有財産である性質を失って夫婦共同生活のために使用される特別の財産と解するのが本条2項の法意に照らし相当であって、剰余金は夫婦の共有財産になる。
専業主婦について、今日の裁判例で共有財産が認められる唯一のケース。)
ごく普通のサラリーマン家庭では、夫の給料は全部妻に手渡され、家計に充当されているのが現状。⇒その場合に、剰余がでたとすれば、共同生活のために使用される特別の財産としての性格をもち、夫婦の共有になるとみるのが妥当。
判例 最高裁昭和36.9.6:
民法762条1項の規定をみると、夫婦の一方が婚姻中の自己の名で得た財産はその特有財産とすると定められ、この規定は夫と妻の双方に平等に適用されたものであるばかりでなく、所論のいうように夫婦は一心同体でありかつ一つの協力体であって、配偶者の一方の財産取得に対しては他方が常に協力・寄与するものであるとしても、民法には、別に財産分与請求権、相続権ないし扶養請求権等の権利が規定されており、右夫婦相互の協力・寄与に対しては、これらの権利を行使することにより、結局において夫婦間に実質上の不平等が生じないよう立法上の配慮がなされているというべきである。
東京地裁昭和46.1.18:
夫婦が婚姻費用の分担として金銭を拠出し、それが家計費に充てられて剰余金を生じた場合には、その拠出自体夫婦共同生活の基礎を構成する目的でなされるのだから、右剰余金は、拠出者の特有財産たる性質を失って、夫婦共同生活のために使用される特別の財産となることが、民法762条2項の法意に照らし相当である。

右剰余金は、実質的に夫婦の共有財産(潜在的持分は夫婦平等)となる。そして、右剰余金によって不動産、預金その他の財産が取得され、その名義が夫婦の一方に属しても、夫婦間に名義人の特有財産とする旨の特段の約束がない限りは、名義のいかんにかかわらず、夫婦共同財産たる性質を失わない。
また、右剰余金そのもの、あるいは、観念的には他の潜在的持分を侵害したことになるけれども、通常の共有関係とは異なり、それは、財産分与の手続によって清算されるべき問題であって、夫婦間において損害賠償の方法で求償することは、法律上許されない。
東京地裁昭和59.7.12:
前記50万円の定期預金は、前記のとおり被告が夫から渡された生活費の余剰を預金したものであり、被告が生前夫から生活費の余剰分は自由につかってよい旨を言われていたことも認められる。しかし、夫が被告に渡していた生活費の法的性質からすると、被告が生活費の余剰から自己固有の財産を取得した場合には、右財産を被告の特有財産とみることはできても、単に生活費の余剰を夫名義の定期預金としたに過ぎない場合には、右預金は未だ夫婦共同生活の基金としての性格を失わないと考えられるのであり、右預金も友雄と被告の共有財産と解される。従って・・50万円の定期預金は、その2分の1の金25万円が、夫の相続財産に帰属すべきものということができる。

★財産分与(X(4)p129〜)
規定 第768条(財産分与)
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
3つの要素 @夫婦財産の清算:
夫婦の協力によって築き上げた財産を、離婚に際して清算すること。
A離婚後の扶養:
離婚後、生活に困る配偶者に対して、扶養を継続すること。
B離婚慰謝料:
離婚されたこと自体を原因として生じる精神的損害の賠償
◆     ◆清算的財産分与(総論)
分与の対象 夫婦別産制⇒稼働所得およびそれにより購入した不動産・株・預金など、同居中自己の名で得た財産は、すべて夫婦それぞれの特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産)となり(民法762条1項)、実際に対価を提供した者に帰属する(最高裁昭和34.7.14)。
@夫婦の共有財産(名実ともに夫婦共有財産であるもの)及び
A実質的共有財産(名義は一方に属するが、実質的には、婚姻中、夫婦の協力によって形成された財産)
B共有財産(又は実施うってき共有財産)の変形物(ex.分与対象となる退職金で不動産を購入した場合など) 
分与対象とならない財産:
@婚姻前から有する財産
A婚姻後でも相続や親族からの贈与により得た財産
B別居後の所得
特有財産であっても、その維持に他方配偶者が貢献⇒分与対象とすることができる。(京都地裁H5.12.22)
夫婦共通の養母の遺産を遺産分割協議によって妻に取得させた場合、実質的に夫の持分権を妻に贈与したとみることができるとして夫の法定相続分を限度として、清算対象に組み入れた例(東京高裁H5.9.28)
特有財産 A:結婚当時は存在していたが、その後、消費して、清算的財産分与の請求に当たり、その全額の返還を認めるという主張。
vs.
@過去の特有財産は基準時に存在しない
A夫婦の実質的共有財産といっても、元来は、各当事者の有していた特有財産が、いわば元手として出資されて形成されたもの

現存しない過去の特有財産の出資もまた分与対象財産の問題としてではなく、財産分与の基準としての寄与度の問題として理解すべき。
分与対象財産の問題としては、基準時に実在する預貯金残高の全額を分与対象財産として評価すべきであるし、現存しない持参金は分与対象財産を構成しないのは当然として、財産分与に名を借りてその返還を求める根拠もない。
(体系@p489)
東京高裁H7.4.27:
「特有財産の換価代金と婚姻中に蓄えられた預金等を併せて取得した財産も夫婦の共有財産に当たるもので、財産分与の対象となるものでり、ただ、財産分与の判断をするに当たって、その財産形成に特有財産が寄与したことを斟酌すれば足りるものと言うべきである。」 
 清算割合 特段の事情がない限り、2分の1ずつ。 
but
不動産が多数あり、それぞれの購入代金等に特有財産や実家からの援助等が充てられているような場合、個々の積極財産ごとに寄与度を考慮。
基準時   ●対象財産の確定の基準時
原則として別居時(=夫婦の協力関係終了時)
その後の財産変動を考慮して、妥当な解決を図るべき。
●別居の際の夫婦共有財産の持ち出し
基準時(別居時)に現存⇒財産分与において当然い考慮。
●評価の基準時
個々の財産の価値評価の基準時は裁判時

土地・株式など、夫婦の協力とは無関係に価格が変動するものについては、裁判時とするのが公平
分与方法  @代償金を支払う方法
A現物を共有する方法
主文例:
@相手方から申立人に対し○円を財産分与する。
A相手方は、申立人に対し、○円を支払え。
付随処分 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。
家事事件手続法 第154条(給付命令等)
2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。
四 財産の分与に関する処分の審判
  ◆清算的財産分与各論その1(財産の種類別)
■    ■不動産 
●評価
不動産の価格は、不動産業者の査定書によって評価(売却手数料予定額は控除しない)例が多い。
別居後裁判時までに売却された場合、その売却額から売却手数料等を控除した額。
●住宅ローンが付着
ローン名義人が当該不動産を取得⇒不動産取得額からローン残額を控除した価額
ローンの額の基準日:
原則として裁判時
別居後のローンの返済につき夫婦の他方の寄与が全くない⇒別居時
オーバーローン⇒分与の対象とならない。 
  ■預貯金 
  別居時の残高を分与の対象とする。
  預貯金債権には譲渡禁止特約が付され、名義人以外の者に取得させることができない⇒名義人にそれぞれ取得させた上で、清算。
  金融機関に対する調査嘱託は、基準時の残高に限って認められるのが原則。
財産隠しが明らかであるといった事情がある場合でも、基準時前1,2年程度の履歴について嘱託するのが限度。
判明している預貯金額が確実に認定できる収入及び支出に照らして明らかに少ない場合、一定額の預貯金額を推定することも考えられるが、かかる推定は困難。
■     ■債務
ギャンブル等個人的に負担した債務は分与の対象にならない。
夫名義の積極財産と債務がある場合、夫がこの債務を負担することを前提に、積極財産の総額から債務額を控除して、その残額を分与対象財産とする。 
@夫名義預金300万円と夫名義債務200万円のみ
⇒分与対象は100万円で、清算割合が2分の1であれば、夫が妻に50万円を支払う。
A夫名義預金300万円と妻名義債務200万円、清算割合2分の1
夫が妻に250万円(=300万円ー(ー200万円))÷2)を支払う。
B夫婦共有財産が、妻名義債務100万円を被担保債務とする抵当権が付着している夫名義不動産300万円のみである場合、清算割合が2分の1であれば、当該不動産を夫婦共有とし、夫の持ち分を3分の1、妻の持ち分を3分の2とする(妻名義の債務を夫が人的保証している場合でも同様)。
〜夫は300万円×1/3、妻は300万円×2/3−100万円。
C資産と負債で寄与分が異なる場合、個別に寄与率を乗じて算定する。
ex.資産は6対4、債務は5対5
資産と負債で寄与率が異なる場合、個別に寄与率を乗じて算定する。
トータルでマイナスの場合:
従来の実務では、マイナス超過部分のの調整はしていなかった
(ex.夫婦共有財産が、夫名義預金300万円と妻名義債務400万円のみである場合、夫が妻に300万円を支払う)。
but
近時、債務負担者を対内的に定める審判例がいくちか現れた。

債務の分与は、債権者には効果を生じないから、実効性に乏しいが、当事者間では効力があるから、これを分与の対象とするもの。
      ◆清算的財産分与各論(財産の取得過程、取得態様別) 
◆        ◆清算敵財産分与各論(特有財産との関係) 
    ■婚姻に先立つ内縁期間中に形成した財産 
分与の対象とする見解もある
    ■夫婦の一方の特有財産であるが、婚姻中に夫婦で維持したもの 
夫婦で、その維持に積極的に寄与し、散逸を防止したなどの特段の事情
⇒分与の対象とすることができる。
but
維持された額の認定は困難であり、裁判所が裁量で判断するしかないであろう。
    ■夫婦の医峰の特有財産を用いて取得した夫婦共有財産 
ex.夫の固有の財産を頭金として夫婦で購入した不動産等。
全部を共有財産とした上で、寄与度の問題とすべき。
    ■夫婦の一方の親族から贈与された財産 
原則として特有財産となるが、
実質的には夫婦双方に対する贈与であるとして分与対象財産とすべき。
       
     
清算的財産分与 分与の対象
土地・建物 不動産の時価を評価し、他の資産と合算し、寄与度を乗じて各自の取得額を算出し、具体的分与方法を定める。
妻子が係属して居住することを希望し、妻への財産分与が不動産価額に満たない場合⇒持分の分与あるいは使用借権の設定などで調整することもある。
不動産購入資産に固有資産が混在している場合、共有の場合、ローン残が不動産時価を上回る場合、婚姻中に不動産の買替えをしている場合⇒複雑な計算が問題。
@ 不動産取得側が他方に現金を支払う方法
A ローン残のある場合
不動産の評価方法:
不動産の時価からローンの残元金を控除した残額を当該不動産の現在価値と評価し、この現在価値に各自の寄与割合を乗じて分与額を決定する。
ローン残が時価を上回る例:
ローン残が時価を上回る事案において、「(当該不動産の)価値はゼロであって、右返済の結果は積極財産として存在していない・・・清算すべき資産がないのであるから、返済した住宅ローンの一部を財産分与の対象とすることはできない」とされている(東京高裁H10.3.13)。
退職金  ■受給済み退職金 
同居期間(実質的婚姻期間)のみを寄与期間として算定。
退職金額×同居期間÷在籍期間×寄与度
より正確には、退職金額×婚姻中に増加した支給率÷退職時の支給率×寄与度
■  ■将来の退職金 
退職金が支給される高度の蓋然性が認められれば、分与の対象となる。
定年退職が相当先(遅延絵が6年後)であるのに、定年退職金を分与の対象としている例もある。
but
退職まで勤務するかどうかもわからず、
支給制限事由に該当すれば支払を受けられない上、退職事由の如何によっては手当額にも差異がある
⇒離婚時において、その存否及び内容が確定しているとはいい難く、これを現存する積極財産として分与の対象とすることはできないとする例もある。

定年まであと数年であり、退職給付金額が判明している場合に限り、分与対象とする例が多い。
債務 @一般的扱い 夫婦財産に資産と負債がある場合、資産総額から負債総額を差し引いた残額に分与割合を乗じて清算額を決する
債務についてその責任割合を決めた上で、分与すべき積極財産から責任割合の債務を引いた額の分与を命じるものもある。
ex.妻が生活費の足しに夫に無断で消費者金融業者から多額の債務を負った事案で、膨大化した借金の責任は夫3割、妻7割と認定し、これを考慮に入れて財産分与額を決定した事例
債務を財産分与の対象とする判例:
「債務についても夫婦共同の中で生じたものについては、財産分与にあたりその債務発生に対する寄与の程度(受けた利益の程度)に応じてこれを負担させることができる」とし、その負担割合は、財産形成に対する寄与の場合と同様、特段の事情がない限り平等と解するべきとした例。

各自の財産額から各自の負担すべき債務を差し引いて財産分与額を計算し、債務が夫名義であることから、判決主文で、債務を夫に負担させる旨命じている。
夫婦共同生活と無関係な個人的な債務は、本来分与対象ではない。
but、妻の債務約1400万円が妻個人の投資の失敗に基づくものが大半であるにもかかわらず、その3分の1の500万円の債務を、清算対象の全財産に算入する(実際にはマイナス計算をする)例がある。

夫に会社経営上の債務があり、この債務を控除した財産を分与の対象としており、公平の見地から、妻固有の債務も考慮したものと推測。
A負債>資産 共同生活の中で生じた共同債務であれば、債務の財産分与も可能であり、夫婦双方がそれぞれの寄与度に応じて、債務の内部的負担割合を定めるということはあり得る。
but
債務は、裁判の当事者ではない第三者(債権者)に対するもの⇒判決が、一方の債務を他方が免責的履行引受けすることを命じたり、債務についての負担割合を定めたりすることは一般的にはない。
寄与度(分割割合) 原則 現在、妻が専業主婦であったか否かを問わず、ほとんど原則平等
特別事情 特別の事情のある例(一方の寄与度の高い例):
夫が医者として病院を開業し、1969年当時の年収が1億円を超え、かつ1億円を超える資産を保有している事案で、2分の1を基準とすることは妥当性を欠くとして、妻に2000万円の財産分与を認めた。
夫が画家、妻が作家でお互いの収入からそれぞれ婚姻費用を拠出し、約18年間妻がもっぱら家事労働に従事してきた事案
⇒生活費の負担割合、収入等を総合考慮して、妻の寄与度を6、夫のそれを4とした。
妻が家計を助けるために始めた石油の外交販売から、その努力によってプロパンガス販売業にまで発展。夫は酒色におぼれ、暴力をふるって妻子を追い出し、妻は夫と別居後、独力で2人の子供を大学まで進学させた。⇒営業財産を含め財産の7割を妻に分与。
有責性 清算的財産分与は、婚姻中に築いた財産を公平に分配するもの⇒破綻の原因とは無関係。(東京高裁H3.7.16)
離婚後扶養としての財産分与では、有責性が考慮される。
扶養的財産分与
財産分与と税金 する側 譲渡所得税 @ @金銭または預貯金等の金銭債権
課税されない
←キャピタルゲインを生じない。
A A金銭等以外の財産
「資産の譲渡」(所得税法33条1項)にあたり、譲渡所得税の課税対象とされる。(所税基本通達33-1の4)
分与の時価で譲渡したものとして、譲渡所得税の課税対象とされる。
最高裁昭和50.5.27:
譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税する趣旨のものであるから・・・「資産の譲渡」とは、有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいう」⇒財産分与もこれに該当する。
最高裁H1.9.14:
予期していなかった多額の譲渡所得税がかかることとなり、当該財産分与について錯誤無効が問題となる場合あり。
B B居住用不動産についての譲渡所得税の特例
個人が居住用の家屋及び土地等を譲渡⇒
一定の要件の下で、@譲渡所得の金額から3000万円の特別控除
A所有期間が10年超の居住用資産であれば、軽減税率の特例
上記の@Aの特例は「配偶者その他の当該個人と特別な関係にある者」への譲渡には適用されない。
譲渡した時点で判定(租税特別措置法通達31の4-20、35-5)
離婚届の後に財産分与すれば、特例が受けられる。
C C居住用不動産についての贈与税の配偶者控除
婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはそれを取得するための金銭の贈与
⇒基礎控除110万円のほかに最高2000万円までの配偶者控除。
離婚前に夫婦間贈与で2110万円まで無税で贈与を受けていた妻は、離婚後にBの特例を使うという方法でさらに節税が可能に。
受ける側 原則として、贈与税や所得税は課税されない
例外として
@「その分野に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を項k慮してもなお過当であると認められる場合における当該過当である部分」(相続税基本通達9-8)、または
A「離婚を手段として贈与税若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価額」
については贈与と見なされる。
@は調停・審判・判決の場合は問題ない。
協議の場合でも、極端な場合でなければ問題ない。
分与を受けた不動産を後日譲渡とする場合:
@譲渡所得算定の「取得日」⇒協議・調停の成立、審判、判決の日。
A「所得価格」⇒分与時の時価。
登記 不動産の分与を受け移転登記をする場合、「所有権移転の形式」⇒原則として不動産取得税が課される。

婚約
婚姻と婚約 通常:
婚約(エンゲージリングの交換や結納の授受)⇒結婚式・披露宴、婚姻届
婚約の成立 合意で成立。
婚姻契約の予約。
最高裁(昭和38.9.5):
たとえ当事者がその関係を両親兄弟に打ち明けず、世上の習慣に従って結納を取りかわし或いは同棲しなかったとしても、婚姻予約の成立を認めた原判決の判断は肯認しうる

不当破棄者に慰謝料の支払義務があるとした。
婚約の効果 @一定の債務を発生
A当事者は互いに誠意をもって交際し、やがて夫婦共同体を成立させるよう努める義務 
but
一方がいっこうに結婚しないという場合も、現実的履行の強制を請求することはできない。
不当破棄の扱い 不当破棄⇒債務不履行として損害賠償の請求。 
当事者の義務内容は、絶対に結婚するというものではなく、結婚の成立に向けて誠実に努力するという道徳的色彩の強いもの。

正当な理由のない破棄でないと損害賠償義務は生じない。
損害賠償の範囲 @結婚披露の費用
A仲人への礼金
B結婚準備のため有利な勤めをやめたことによる損害など
C慰謝料 

婚前の性的交渉があった当事者間で男性が不当に破棄した場合は相対的に大きくなる。
通常の場合、内縁の破棄に比べ少額。
結納 婚姻が調ったときに、男性側の親から女性側の親に金銭などを贈与する慣行。 
最高裁:
「婚約の成立を各証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家の情誼を厚くする目的で授受される一種の贈与」

証約手付と目的的贈与を合わせたような理解。
法的効果としては、婚姻が不成立になった場合(破断の場合)には返還を認めるべき金員の授受
⇒法律上、解除条件付贈与
故意に条件を成就させた当事者はそれによる利益を得ることはできない(民法130条類推)。
民法 第130条(条件の成就の妨害)
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
内縁まで至った場合 内縁関係まで入ったが法律上の婚姻には至らなかった場合に、破たんを理由に結納の返還請求ができるか? 
法律婚の成立にまで至らなくても贈与の目的は達せられた(解除条件は不成就に確定)と判断される場合もある。
1年間の内縁で返還請求を否定したもの。
2か月間の融和を欠いた内縁が解消したケースで返還請求を認めたもの。

契約取消権(内田Wp47〜)
規定 第754条(夫婦間の契約の取消権)
夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない
立法理由 @妻が「夫に威圧せられて」契約を結んでしまうことがある
vs.取消権は夫にもある

A「夫は妻の会いに溺れて」不知の間に意思の事由を奪われる
vs.根拠の現実性に疑問

B夫婦間の問題を裁判の力を借りて解決することは夫婦の円満を害する 
判例 契約の締結時期を問わず、婚姻が破綻してからの取消しはできない。 
取消権の再評価 ex.結婚が円満なうちに夫が甘言によって妻名義の不動産を自分に贈与させ、その後妾をつくって婚姻を破綻させたような場合は、妻から取消しができないのはおかしい。

問題となっている契約の目的・内容(離婚の際の財産分与かどうか等)、婚姻破綻に至るまでの当事者の態度、取消権行使の意図等を考慮して判断すべき。
破綻前に契約がなされ、その後破綻して取消権が問題となるときには、やや慎重な考慮が必要。


日常家事債務についての代理権
規定 民法 第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
要件事実 @:甲による法律行為
A:甲と乙が@の時に婚姻関係にあったこと
B:
A:@が日常の家事に関するものであること
B:(民法110条類推)
@の行為の相手方が、@が日常家事に関するものであると信じたこと
A@について正当な理由があること 
■「日常の家事」に関して生じた債務(内田W42頁)
日用品の購入や保健・娯楽・医療・教育上の債務等のほか、
夫婦の共同生活に必要な範囲で借金することも含まれる
ただ、その範囲は、各夫婦の社会的地位・収入・資産などによって異なる。
単に夫婦の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきでなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等をも十分に考慮して判断すべき(最高裁昭和44.12.18)。(マニュアル2、612頁)
認められた例:
・34万円あまりの教育機器(幼児ワークセット)の購入のためのクレジット契約
・妻が転売による現金めあてに電子レンジを購入し、間もなく家でしてしまったケース
否定された例:
・妻に暴力をふるい、仕事にもつかない夫がクレジット契約をしてふとんを購入
・夫の収入に比して著しく高額な太陽温水器を妻が購入
  ■借財について (新版注釈民法21、446頁〜)
金額、目的、実際の使途等によって、裁判上も判断が分かれる。(百選V19頁)
単純な消費貸借については、認めた例もあるが、否定例は多い。
借財については、さして高額でなくても否定されている。
借財は多くの論点を提供
←行為自体が日常的または非日常的性格を客観的に有すると判断することが困難
●婚姻関係が破たんしての別居中の行為 ⇒日常家事性を否定
日常の家事の範囲を限定的に解釈することを前提としつつ、
夫婦が別居中であるときにつき相手方が悪意である場合や、善意でも同居中ないし一時的別居にすぎないと信じたことに相手方の過失がある場合には、本条が適用されない。
●借財の名目と実際の使途の不一致 
A:名目上は日常の家事の範囲に属する目的を示した借財であっても、実際にその目的に充当されていなければ本条による責任は生じないとするもの。
B:名目や使途はどうあれ当該借財行為自体が日常の家事に属しなと判断したもの
C:民法110条の適用・類推
◎  行為の名目を表見法理適用の文脈において考慮するなら、本条適用の可否自体の判定においては名目を考慮する必要はなく、ここでは専ら行為の客観的性質を問題にすればいい。

@名目からして日常の家事に属しない行為から生じた債務には本条は適用されない。
Aいかに適当に名目を示していても、その金額・利率・実際の使途等から日常の家事の範囲外と判断されることもあり得る。
but
代理行為であってもなくても、夫婦の一方と契約した相手方が日常の家事の範囲内と信じたことに正当性が認められるならば、このような相手方との関係において他方配偶者の連帯責任を否定することが信義則に反する場合に限り、相手方保護のため、民法110条を類推適用すべき。
■      ■日常家事代理と民法110条(百選V、G)
  ●最高裁昭和44.12.18: 
民法761条は、「そのj明文上は、単に夫婦の日常の家事に関する法律行為の効果、とくにその責任のみについて規定しているにすぎないけれども、同条は、その実質においては、さらに、右のような効果の生じる前提として、夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定しているものと解するのが相当」
民法761条にいう日常の家事に関する法律行為は
 
夫婦の一方が他の一方に対しその他何らかの代理権を授与していない以上、当該越権行為の相手方である第三者においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、民法110条の趣旨を類推適用して、その第三者の保護をはかれば足りるものと解するのが相当である。
     


内縁関係
意義 婚姻の社会的実体はあるが婚姻届の出されていない男女の関係 
認められる効果 @同居・協力・扶助義務(752)
A貞操義務
B婚姻費用分担義務(760)
C日常家事債務の連帯責任(761)
D夫婦別産制と帰属不明財産の共有推定(762)
E財産分与(768)と不当な破棄への救済(慰謝料)
F第三者の不法行為に対する救済(内縁の配偶者に対する生命侵害、第三者との性的関係)
G契約取消権(754)
認められない効果  @氏の変更
A成年擬制
B子の嫡出性
C親権の所在(非嫡出子の親権者は原則として母)
D姻族関係の発生
E相続

親権
規定 第819条(離婚又は認知の場合の親権者)
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
親権者指定の基準 判断基準 民法は規定なし。
もっぱら家事審判官の裁量に委ねられることになるが、子の利益・福祉が基本になる。
父母側の事情:監護能力、子に対する愛情の程度、経済力、生活環境など、
子の側の事情:年齢・性別、心身の状況、現状における適応状況、新しい養育環境への順応性、意思などを総合的にう考慮

子の利益の観点から父母のいずれが親権者として適格かを判断。
裁判例の傾向 @監護の継続性ないし現状維持を重視し、特別の事情のない限り、現実に子を間が養育している者を優先。
(心理学的にみた親子間の情緒的結びつきを重視する考え方。)
vs.実力による子こ奪い合いの結果を追認せざるをえないくなる。
A子が乳幼児の場合は母を優先させる。
vs.子の養育について父母の役割が徐々に変化していることを考えると、安易に母優先を認めることには問題がある。
B子が分別能力を備えている限り(15歳未満であっても)その意思を尊重する。
ex.小学5年生
C兄弟姉妹はなるべく同一親権者のもとに置く。
vs.子がある程度の年齢に達すれば、その望ましさは必ずしも大きいものではない。
D不貞行為などの有責行為があっても、当然に親権者に値しないと判断することはできない。

親権と監護権
親権 身上監護権 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。(820条)
@居所指定権(821条)
A懲戒権(822条)
B職業許可権(823条)
C第三者に対する妨害排除権
D身分上の行為の代理権
財産管理権  
監護者の必要性 親権者とは別に「監護すべき者」を定めることができる。 (民法766条)
必要性 @親権には財産管理権も含まれるので、母親が財産管理能力を欠いているような場合には、父に親権を与え母に監護権を与えるメリットがある。
A監護権は両親以外の第三者に与えることも可能だから766条はメリットがある。
B夫婦が離婚に関しては異存がないのに、子をいずれが引き取るかで意見が合わず、離婚の紛争が長引くケースで、妥協を図るためにメリットがある。


養子
普通養子 要件 実質的要件 主観的要件 縁組意思の合致(802条1号) 
客観的要件 @養親は成年者でなければならない(792)
A尊属または年長者を養子とすることはできない(793)
B後見人が被後見人を養子とするには家庭裁判所の許可が必要(794)
C配偶者のある者が養子縁組をする場合の要件(795、796)
D未成年者を養子とするには、原則として家庭裁判所の許可が必要(798)
形式的要件 届出  婚姻届出に関する739条が準用。(799)
戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生じる。(739@)
当事者双方及び成年の証人2人以上から、口頭又は署名した書面でする。(739A)
外国にいる日本人間で縁組をする場合には、その国に駐在する日本の大使・公使または領事にその届出をすることができる。(801)
夫婦共同縁組 共同型  夫婦が未成年者を養子とする場合に限る。(795)
同意型  795で共同縁組を要求されている場合以外の夫婦の縁組については、養子縁組をする一方配偶者が他方配偶者の同意を得なければ成らない(796)。
@養親が夫婦で成年を養子とするとき
A配偶者の未成年嫡出子を養子とするとき
B養子が夫婦のとき
効果  縁組の日から養子は養親の嫡出子となり(809条)
養親の血族との間に法定血族関係が発生する(727条)
縁組前に存在した養子の血族(ex.養子の子供)は、養親と血族関係になるわけではない。 
養子が未成年者であれば養親が親権者になる。(818A)
実親との親子関係は存続する→養子は、養親の相続人となると同時に、実親の相続人でもある。
特別養子  理念 @育ててくれる親のない子の福祉。
A実子として育てたいという養親の心情。 
要件 養親となる者の請求により家庭裁判所の審判によって成立する。(817の2)
その場合の要件は以下のとおり。
@夫婦共同縁組 
A養親の年齢
B養子の年齢
C父母の同意
D必要性等 
E試験養育期間
効果 養子縁組の一般の効果とは別に、養子と実方の父母およびその血族との親族関係は、婚姻障害を除いて、終了する。(817の9、連れ子養子の場合を除く(同条但書)) 
戸籍上の工夫←
@養子であることを知られたくないという養親の心情
A近親婚を避けるため、何らかの形で実方との関係が判明しておく必要性
B養子が将来、自分の出自を知るという権利の尊重


DV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)
保護命令を申立られる場合 @
被害者(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫(被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫をいう。)を受けた者に限る。)が、

A
配偶者からの身体に対する暴力を受けた者である場合にあっては配偶者からの更なる身体に対する暴力(配偶者からの身体に対する暴力を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力。)により、

配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた者である場合にあっては配偶者から受ける身体に対する暴力(配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力。)により、

その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき
(法10条)
保護命令 @接近禁止命令:
6か月間、被会社の住居やその他の場所で被害者の身辺につきまとい、又は、被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいすること、を禁止する命令。
同じ期間、被害者と同居している子の住居、就学する学校その他の場所、その子の身辺につきまとい、又は、当該子の住居、就学する学校その他通常所在する場所の付近をはいかいすること、を禁止する命令。

A退去命令:
2か月間、被害者とともに生活の本拠としている住居から退去することを命ずる命令
申立の管轄裁判所 @相手方の住所地を管轄する地方裁判所
A申立人の住所または居所の所在地を管轄する地方裁判所
B過去の暴力が行われた土地を管轄する地方裁判所
(法11条)
事前相談の必要性 事前相談の先、時期、相談内容等について記載することが求めらる。(法12条@(5))

@警察かA配偶者暴力相談支援センターの職員に対し、受けた暴力について相談し、一時援助などの保護や援助を求める必要。
(事前相談がない場合には、公証人の認証のある宣誓供述書の添付が必要(法12A))
情報開示の留意点 保護命令の裁判で提出した書類は相手方が閲覧謄写可能。
⇒相手方に知られて不都合な事項について配慮する必要がある。
住所欄は、住民票の住所を書くことで足りる。
連絡先は、相手方に知られても構わない場所(「○○法律事務所気付」)を記入する。
相手方に知られても構わない連絡先がない場合、裁判所に告げて、裁判記録以外の事務連絡簿など非開示の記録に書き留めてもらうようにする。
罰則 保護命令違反⇒1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(法29条)
虚偽記載による保護命令申立⇒10万円以下の過料(法30条)