シンプラル法律事務所
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論点整理(刑事公判)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)


流れ
■人定質問 第196条(人定質問)
裁判長は、検察官の起訴状の朗読に先だち、被告人に対し、その人違でないことを確めるに足りる事項を問わなければならない。
裁判長が「氏名」「本籍」「住所」「職業」を尋ねる。
~被告人が人違いでないことを確かめるための手続き。
起訴状朗読
■被告事件について陳述

冒頭陳述(規定・内容)
規定 刑訴法 第316条の30〔被告人・弁護人の冒頭陳述〕
公判前整理手続に付された事件については、被告人又は弁護人は、証拠により証明すべき事実その他の事実上及び法律上の主張があるときは、第二百九十六条の手続に引き続き、これを明らかにしなければならない。この場合においては、同条ただし書の規定を準用する。
刑訴法 第296条〔検察官の冒頭陳述〕
証拠調のはじめに、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。但し、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない
刑訴規則 第198条(弁護人等の陳述)
裁判所は、検察官が証拠調のはじめに証拠により証明すべき事実を明らかにした後、被告人又は弁護人にも、証拠により証明すべき事実を明らかにすることを許すことができる。
2 前項の場合には、被告人又は弁護人は、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない


MKA論点
起訴状 規定 第256条〔起訴状、訴因、罰条〕
公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない。
②起訴状には、左の事項を記載しなければならない。
一 被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
二 公訴事実
三 罪名
公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。
④罪名は、適用すべき罰条を示してこれを記載しなければならない。但し、罰条の記載の誤は、被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞がない限り、公訴提起の効力に影響を及ぼさない。
⑤数個の訴因及び罰条は、予備的に又は択一的にこれを記載することができる。
⑥起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない。
公訴事実 公訴事実 審判の対象を起訴状に記載された「訴因」に限定し、これを超える犯罪事実を認定する必要がある場合には、訴因変更の手続を要する(刑訴法312条)。
訴因 社会的事実を犯罪構成要件にあてはめて法理的に構成した具体的意事実。
訴因として明示すべきは「罪となる事実」とこれを特定するための「日時・場所・方法等」
犯罪構成要件に該当するすべての事実をもれなく記載しなければならないと同時に、それに該当しないもの(ex.犯罪の動機や量刑事実としての前科等)は記載する必要はない。
必要:
目的犯における目的
結果的加重犯における結果
常習累犯窃盗のける前科
未遂・共同正犯・共済・従犯たる事実
不要:
違法性・有責性に関する要件

犯罪構成要件そのものが違法かつ有責行為を定型化したものであり、その記載がなくとも、これを満たしていると解されている。

犯罪の成立を阻却する事由
訴因の特定 公訴事実は、裁判所に対して審判請求の範囲を特定するとともに、被告人に対して防御の範囲を特定することを目的とするもの。
⇒事実を特定して明確に記載する必要。
①だれが(主体)
②いつ(日時)
③どこで(場所)
④何を、または誰に対し(犯罪の客体)
⑤どのような方法で(犯罪の方法)
⑤何をしたか(犯罪の行為と結果)
犯罪の日時、場所、方法は、これらの事実が犯罪を構成する要素になっている場合を除き、本来は罪となるべき事実そのものではなく、訴因を特定する一手段として、できる限り具体的に表示することを要請される。(最高裁昭和37.11.28)
「できる限り」は、幅のある表示にするにしても、被告人に対する防御に支障を来さないようにしなければならない。
起訴状への釈明 範囲 被告人および弁護人が被告事件に対する意見陳述をなすのに必要または有益な事項に限られるべき。⇒基本的に公訴事実に対するものに限られる。
必要的な範囲は、訴因の明示に必要な事項
A:特定説
訴因の記載は他の犯罪事実からの識別、特定でたりる。
B:防御権説
被告人の防御権の十分な行使ということを加味して考えるべき
方法 公判前整理手続(316の5①等)
検察官の証明予定事実記載書面 規定 第316条の13〔証明予定事実記載書面の提出〕
検察官は、事件が公判前整理手続に付されたときは、その証明予定事実(公判期日において証拠により証明しようとする事実をいう。以下同じ。)を記載した書面を、裁判所に提出し、及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、当該書面には、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、裁判所に事件について偏見又は予断を生じさせるおそれのある事項を記載することができない。
②検察官は、前項の証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない。
③前項の規定により証拠の取調べを請求するについては、第二百九十九条第一項の規定は適用しない。
④裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第一項の書面の提出及び送付並びに第二項の請求の期限を定めるものとする。
証明予定事実 公判期日において証拠により証明しようとする事実。
冒頭陳述における、「証拠により証明すべき事実」(296)と基本的に同義。
検察官が公判期日において証拠により証明しようとする事実であって、審理計画を立てるために重要なものは必ず記載されなければならない。
検察官の主張する犯罪構成要件事実だけでなく、それを立証するための間接事実や補助事実、情状に関する事実も、「公判期日において証拠により証明しようとする事実」である限り、これに当たる。
検察官は、事件の争点および証拠の整理に必要な事実を具体的・簡潔に明示することとされている。(規則217の19)
具体的には、主要事実、その立証のために重要な間接事実及び量刑上重要な事実その他審理予定策定のために必要な事情を具体的、簡潔に記載。

「その審理予定策定のために必要な事情」としては、
記載された事実相互の関係、すなわち、どの間接事実がどの主要事実を推認されるものとして主張されているのかについての説明が考えられる。
←被告人側は防御の対象が明確にならないし、裁判所も、どの点に重点をを置いて争点や書庫の整理を行ったら良いか判断できない。

例えば、虚棒の成否が争点となる事案においては、検察官が主張する事実の経過が記載されているだけではたりず、どの事実が共謀の成否を基礎づける間接事実として主張されているかを明らかにする必要がある場合がある。
記載の禁止 「当該書面には、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、裁判所に事件について偏見又は予断を生じさせるおそれのある事項を記載することができない」

証拠に基づかず、裁判所に偏見、予断を与えることを防止しようとするもの。
(冒頭陳述に関する296条但書と同趣旨)
検察官請求証拠への対応 規定 法 第316条の16〔被告人・弁護人の証拠意見〕
被告人又は弁護人は、第三百十六条の十三第一項の書面の送付を受け、かつ、第三百十六条の十四及び前条第一項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けたときは、検察官請求証拠について、第三百二十六条の同意をするかどうか又はその取調べの請求に関し異議がないかどうかの意見を明らかにしなければならない。
②裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、前項の意見を明らかにすべき期限を定めることができる。
規則 第190条(証拠決定・法第二百九十八条等)
証拠調又は証拠調の請求の却下は、決定でこれをしなければならない。
2 前項の決定をするについては、証拠調の請求に基く場合には、相手方又はその弁護人の意見を、職権による場合には、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
法 第326条〔当事者の同意と書面・供述の証拠能力〕
検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り、第三百二十一条乃至前条の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
②被告人が出頭しないでも証拠調を行うことができる場合において、被告人が出頭しないときは、前項の同意があつたものとみなす。但し、代理人又は弁護人が出頭したときは、この限りでない。
法 第316条の13〔証明予定事実記載書面の提出〕
検察官は、事件が公判前整理手続に付されたときは、その証明予定事実(公判期日において証拠により証明しようとする事実をいう。以下同じ。)を記載した書面を、裁判所に提出し、及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、当該書面には、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、裁判所に事件について偏見又は予断を生じさせるおそれのある事項を記載することができない。

②検察官は、前項の証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない。

法 第316条の14〔検察官請求証拠の必要的開示〕
検察官は、前条第二項の規定により取調べを請求した証拠(以下「検察官請求証拠」という。)については、速やかに、被告人又は弁護人に対し、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、当該各号に定める方法による開示をしなければならない。
一 証拠書類又は証拠物 当該証拠書類又は証拠物を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄写する機会)を与えること。
二 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人 その氏名及び住居を知る機会を与え、かつ、その者の供述録取書等(供述書、供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音声を記録することができる記録媒体であつて供述を記録したものをいう。以下同じ。)のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの(当該供述録取書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄写する機会)を与えること。

法 第316条の15〔請求による類型証拠の開示
検察官は、前条の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて、次の各号に掲げる証拠の類型のいずれかに該当し、かつ、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められるものについて、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、その重要性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに、同条第一号に定める方法による開示をしなければならない。この場合において、検察官は、必要と認めるときは、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。
・・・・
検察官請求証拠に対する意見 公判前成立手続において、検察官から①「証明予定事実を記載した書面」の送付と②請求証拠等の開示を受け、さらに③類型証拠開示がなされた場合。
⇒被告人側は、検察官請求証拠について、第326条の同意をするかどうか又はその取調べの請求に関し異議がないかどうかの意見を明らかにしなければならない。(法316条の16)

公判前整理手続において、裁判所が証拠決定を行うことが予定されており(同条の5第7号)、そのために証拠調請求に対する相手方の意見が明らかにされる必要がある。、
裁判所の証拠決定をするについて、請求の適法性、証拠能力の有無などについて主張するもの。
関連性がない」「必要性がない」「(自白調書について)任意性がない」「違法収集された証拠であり、証拠能力が否定されるべきである」などの主張が含まれる。
「326条の同意」は、伝聞証拠に証拠能力を付与する訴訟行為。
視点 裁判員に理解してもらえる審理を実現するには、証拠の厳選、直接主義・口頭主義の実質化などにより、大量の書証に依存した従来の証拠調べのあり方を変更する必要。
公判前整理手続は、「充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行う」ために実施されるものであるが、集中的な審理は、直接主義・口頭主義の実質化を要請。

検察官請求証拠に対する意見表明において、証拠調べの必要性や直接主義の実質化という視点から検討する必要。
直接主義・口頭主義の実質化の観点からの改正・規定等

規則 第189条の2(証拠の厳選・法第二百九十八条)
証拠調べの請求は、証明すべき事実の立証に必要な証拠を厳選して、これをしなければならない。

規則 第198条の2(争いのない事実の証拠調べ
訴訟関係人は、争いのない事実については、誘導尋問、法第三百二十六条第一項の書面又は供述及び法第三百二十七条の書面の活用を検討するなどして、当該事実及び証拠の内容及び性質に応じた適切な証拠調べが行われるよう努めなければならない。

規則 第198条の4(取調べの状況に関する立証
検察官は、被告人又は被告人以外の者の供述に関し、その取調べの状況を立証しようとするときは、できる限り、取調べの状況を記録した書面その他の取調べ状況に関する資料を用いるなどして、迅速かつ的確な立証に努めなければならない。

規則 第199条の4(反対尋問・法第三百四条等)
反対尋問は、主尋問に現われた事項及びこれに関連する事項並びに証人の供述の証明力を争うために必要な事項について行う。
2 反対尋問は、特段の事情のない限り、主尋問終了後直ちに行わなければならない。
3 反対尋問においては、必要があるときは、誘導尋問をすることができる。
4 裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。

第199条の13(証人尋問の方法・法第三百四条等)
訴訟関係人は、証人を尋問するに当たつては、できる限り個別的かつ具体的簡潔な尋問によらなければならない。
2 訴訟関係人は、次に掲げる尋問をしてはならない。ただし、第二号から第四号までの尋問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一 威嚇的又は侮辱的な尋問
二 すでにした尋問と重複する尋問
三 意見を求め又は議論にわたる尋問
四 証人が直接経験しなかつた事実についての尋問

第199条の14(関連性の明示・法第二百九十五条)
訴訟関係人は、立証すべき事項又は主尋問若しくは反対尋問に現れた事項に関連する事項について尋問する場合には、その関連性が明らかになるような尋問をすることその他の方法により、裁判所にその関連性を明らかにしなければならない。
2 証人の観察、記憶若しくは表現の正確性その他の証言の信用性に関連する事項又は証人の利害関係、偏見、予断その他の証人の信用性に関連する事項について尋問する場合も、前項と同様とする。
被告人側の予定主張明示 規定 刑訴法 第316条の17〔被告人・弁護人の主張明示〕
被告人又は弁護人は、第三百十六条の十三第一項の書面の送付を受け、かつ、第三百十六条の十四及び第三百十六条の十五第一項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けた場合において、その証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張があるときは、裁判所及び検察官に対し、これを明らかにしなければならない。この場合においては、第三百十六条の十三第一項後段の規定を準用する。
②被告人又は弁護人は、前項の証明予定事実があるときは、これを証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない。この場合においては、第三百十六条の十三第三項の規定を準用する。
③裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第一項の主張を明らかにすべき期限及び前項の請求の期限を定めることができる。
趣旨 公判前成立手続において、検察官から①「証明予定事実を記載した書面」の送付と②請求証拠等の開示を受け、さらに③類型証拠開示がなされた場合。
⇒被告人側は、「証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張」を明らかにしなければならない(刑訴法316条の17第1項)
被告人側は、「証明予定事実」があるときには「これを証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない(同条2項)。
「継続的、計画的かつ迅速」な審理(刑訴法316条の2)を実施するためには、公判前に「審理予定」(刑訴規則217条の2)が規定されていることが必要⇒そのためには、被告人側においても必要な範囲で予定主張を明示し、証拠調べ請求を行うこととされた。
「予定主張」明示は、主張関連証拠開示(刑訴法316条の20)の前庭として位置付け。
明示すべき主張 「証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張」
「証明予定事実その他・・・事実上の主張」

Ⅰ:「証明予定事実」
(狭義の)証拠調べ請求を行って証明しようとする事実

Ⅱ:それ以外の「事実上の主張」
①積極的に事実を主張して争点を提示する主張
・犯罪阻却事由となる事実
・検察官主張主張主要事実等の不存在の根拠となる重要な間接事実(アリバイ等)
・任意性を争う根拠となる事実
・量刑上重要な事実
など

②検察官主張事実に対する争点を提示する主張
・主要事実・重要な間接事実を否認する主張
×「間接事実や補助事実を含め、検察官の明示した個別の証明予定事実について否認する主張」
vs.
実際には検察官証明予定事実について「認否」を義務づけるのと同様の結果をもたらすものであって、自己負罪拒否特権ないし黙秘権保障の趣旨に抵触するおそれがある。

×(被告人の公判供述による場合も含め)「証拠の証明力や証拠能力に関する事実(補助事実)などの訴訟的事実」
vs.
反対尋問における弾劾予定の事前開示をも義務付けることになり防御権を侵害するおそれがある。
「法律上の主張」:

刑法の解釈・適用に関する主張など。
ex.事実上の出張を伴わない法律上の主張としては、検察官が主張する事実によっても共謀共同正犯は成立せず幇助にとどまるなどの主張。
留意点 ①「被告人供述予定」の開示ではない
法316条の17が求めているのは、審理予定策定に必要な争点提示であり、被告人供述予定の開示ではない。
(同条の18は被告人については、証言予定内容記載書の開示を義務付けていはない)
法 第316条の18〔被告人・弁護人の請求証拠の開示〕
被告人又は弁護人は、前条第二項の規定により取調べを請求した証拠については、速やかに、検察官に対し、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、当該各号に定める方法による開示をしなければならない。
・・・
二 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人 その氏名及び住居を知る機会を与え、かつ、その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの(当該供述録取書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧し、かつ、謄写する機会を与えること。
②審理予定策定に必要な「争点整理」

被告人側の予定主張明示は、証明予定事実を示すとともに、「争点」を明確にすることで検察官側において追加立証の要否などの検討を可能にするために行われるもの。
自白の任意性を争う場合 自白の任意性を争う根拠となる事実の主張の明示

自白の任意性を争う場合、任意性を争う根拠となる事実の主張(例えば、「認めれば起訴猶予処分にする」という利益誘導を受けたとの主張)を公判で予定する場合は、刑訴法316条の17により明らかにする。

検察官が立証すべき対象を特定できる程度に、具体的な事実が示される必要がある。
取調べにおける不当な言動を根拠とする場合には、取調官や時期の特定、言動の概括的内容などについて主張する必要。

「乙○号証被告人検察官調書が作成された3月10日もしくは前日の取調べで、A検察官は、「認めれば起訴猶予す分にする」などと言い、利益誘導を行った」といった具体的な事実を主張する。
審理

(公判前整理手続)
①被告人側:
「任意性を争う根拠となる事実」を予定主張として明示

②検察官:
「証明予定事実(自白調書作成までの取調べ状況等)」の追加、証拠調べ請求(取調官の証人尋問など)、取調官の「証言予定内容記載書面」開示

③被告人側:
検察官証拠調べ請求に対する意見、検察官「証明予定事実」(取調べ状況等)を受けた証明予定事実など追加主張がある場合はそれを明示、証拠調べ請求(被疑者ノートなど)

④証拠決定

(公判)
①書証、証拠物の取調べ(取調状況等報告書、被疑者ノートなど)
②取調官の証人尋問
(反対尋問に際しては、「証言予定内容記載書面」が資料となる)
③被告人質問
弁護人が任意性を争う根拠となる事実を主張
⇒任意性につき立証責任を負う検察官は、具体的な取調べ状況を「証明予定事実」として追加主張(刑訴法316条の21第1項)、その立証のために取調官の証人尋問を含む証拠調べ請求(同条第2項)を行う。
検察官は、取調官の証人尋問を請求する場合、証言予定内容開示書面を開示しなければならない(同条4項で純y法される刑訴法316条の14第2号)。

特別抗告
刑訴法 規定 刑訴法 第433条〔特別抗告〕
この法律により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、第四百五条〔憲法違反・判例違反〕に規定する事由があることを理由とする場合に限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
②前項の抗告の提起期間は、五日とする。
憲法 規定 第13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第31条〔法定手続の保障〕
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
18◎本条は、国民の私生活上の自由が警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定し、警察官が正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、本条の趣旨に反し許されないが、右の自由も公共の福祉のため必要のある場合には相当の制限を受ける。(最大判昭44・12・24刑集23-12-1625)
20◎個人の生命・身体の安全、精神的自由は、人間の存在に最も基本的なことがらであって、法律上絶対的に保護されるべきものであることは疑いがなく、また、人間として生存する以上、平穏、自由で人間たる尊厳にふさわしい生活を営むことも、最大限度尊重されるべきものであって、本条はその趣旨に立脚するものであり、二五条も反面からこれを裏付けているものと解することができる。このような、個人の生命、身体、精神および生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体を人格権ということができ、このような人格権は何人もみだりにこれを侵害することは許されず、その侵害に対してはこれを排除する権能が認められなければならない。-大阪空港公害訴訟控訴審-(大阪高判昭50・11・27判時797-36)

規定
規定 規則 第199条の3(主尋問・法第三百四条等)
主尋問は、立証すべき事項及びこれに関連する事項について行う。
2 主尋問においては、証人の供述の証明力を争うために必要な事項についても尋問することができる。
3 主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。
一 証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だつて明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
二 訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。
三 証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
四 証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
五 証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
六 証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その供述した事項に関するとき。
七 その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。
4 誘導尋問をするについては、書面の朗読その他証人の供述に不当な影響を及ぼすおそれのある方法を避けるように注意しなければならない。
5 裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。

規則 第199条の10(書面又は物の提示・法第三百四条等)
訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。
2 前項の書面又は物が証拠調を終つたものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。

規則 第199条の11(記憶喚起のための書面等の提示・法第三百四条等)
訴訟関係人は、証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、書面(供述を録取した書面を除く。)又は物を示して尋問することができる。
2 前項の規定による尋問については、書面の内容が証人の供述に不当な影響を及ぼすことのないように注意しなければならない。
3 第一項の場合には、前条第二項の規定を準用する。

規則 第199条の12(図面等の利用・法第三百四条等)
訴訟関係人は、証人の供述を明確にするため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、図面、写真、模型、装置等を利用して尋問することができる。
2 前項の場合には、第百九十九条の十第二項の規定を準用する。
規則 第192条(証拠決定についての提示命令)
証拠調の決定をするについて必要があると認めるときは、訴訟関係人に証拠書類又は証拠物の提示を命ずることができる。
第199条の4(反対尋問・法第三百四条等)
反対尋問は、主尋問に現われた事項及びこれに関連する事項並びに証人の供述の証明力を争うために必要な事項について行う。
2 反対尋問は、特段の事情のない限り、主尋問終了後直ちに行わなければならない。
3 反対尋問においては、必要があるときは、誘導尋問をすることができる。
4 裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。
刑訴法 第326条〔当事者の同意と書面・供述の証拠能力〕
検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り、第三百二十一条乃至前条の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
②被告人が出頭しないでも証拠調を行うことができる場合において、被告人が出頭しないときは、前項の同意があつたものとみなす。但し、代理人又は弁護人が出頭したときは、この限りでない。.
刑訴法 第305条〔証拠書類の取調方式〕
検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠書類の取調をするについては、裁判長は、その取調を請求した者にこれを朗読させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させることができる。
②裁判所が職権で証拠書類の取調をするについては、裁判長は、自らその書類を朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させなければならない。
③第二百九十条の二第一項又は第三項の決定があつたときは、前二項の規定による証拠書類の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。
④第百五十七条の四第三項の規定により記録媒体がその一部とされた調書の取調べについては、第一項又は第二項の規定による朗読に代えて、当該記録媒体を再生するものとする。ただし、裁判長は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、当該記録媒体の再生に代えて、当該調書の取調べを請求した者、陪席の裁判官若しくは裁判所書記官に当該調書に記録された供述の内容を告げさせ、又は自らこれを告げることができる。
⑤裁判所は、前項の規定により第百五十七条の四第三項に規定する記録媒体を再生する場合において、必要と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、第百五十七条の三に規定する措置を採ることができる。


第306条〔証拠物の取調方式〕
検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠物の取調をするについては、裁判長は、請求をした者をしてこれを示させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させることができる。
②裁判所が職権で証拠物の取調をするについては、裁判長は、自らこれを訴訟関係人に示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させなければならない。
第324条〔伝聞供述の証拠能力〕
被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第三百二十二条〔被告人の供述書面の証拠能力〕の規定を準用する。
②被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人以外の者の供述をその内容とするものについては、第三百二十一条第一項第三号〔被告人以外の者の供述書面の証拠能力〕の規定を準用する。


■尋問
原則 規定 第304条〔人的証拠の取調方式〕
証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人は、裁判長又は陪席の裁判官が、まず、これを尋問する。
②検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問することができる。この場合において、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の取調が、検察官、被告人又は弁護人の請求にかかるものであるときは、請求をした者が、先に尋問する。
③裁判所は、適当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、前二項の尋問の順序を変更することができる。
規則 第189条の2(証拠の厳選・法第二百九十八条)
証拠調べの請求は、証明すべき事実の立証に必要な証拠を厳選して、これをしなければならない。

規則 第198条の2(争いのない事実の証拠調べ
訴訟関係人は、争いのない事実については、誘導尋問、法第三百二十六条第一項の書面又は供述及び法第三百二十七条の書面の活用を検討するなどして、当該事実及び証拠の内容及び性質に応じた適切な証拠調べが行われるよう努めなければならない。

規則 第198条の4(取調べの状況に関する立証
検察官は、被告人又は被告人以外の者の供述に関し、その取調べの状況を立証しようとするときは、できる限り、取調べの状況を記録した書面その他の取調べ状況に関する資料を用いるなどして、迅速かつ的確な立証に努めなければならない。
規則 第199条の2(証人尋問の順序・法第三百四条)
訴訟関係人がまず証人を尋問するときは、次の順序による。
一 証人の尋問を請求した者の尋問(主尋問)
二 相手方の尋問(反対尋問)
三 証人の尋問を請求した者の再度の尋問(再主尋問)
2 訴訟関係人は、裁判長の許可を受けて、更に尋問することができる。

規則第199条の3(主尋問・法第三百四条等)
主尋問は、立証すべき事項及びこれに関連する事項について行う。
2 主尋問においては、証人の供述の証明力を争うために必要な事項についても尋問することができる。
3 主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。
一 証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だつて明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
二 訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。
三 証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
四 証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
五 証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
六 証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その供述した事項に関するとき
七 その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。
4 誘導尋問をするについては、書面の朗読その他証人の供述に不当な影響を及ぼすおそれのある方法を避けるように注意しなければならない。
5 裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。

第199条の4(反対尋問・法第三百四条等)
反対尋問は、主尋問に現われた事項及びこれに関連する事項並びに証人の供述の証明力を争うために必要な事項について行う。
2 反対尋問は、特段の事情のない限り、主尋問終了後直ちに行わなければならない。
3 反対尋問においては、必要があるときは、誘導尋問をすることができる。
4 裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。

規則第199条の5(反対尋問の機会における新たな事項の尋問・法第三百四条)
証人の尋問を請求した者の相手方は、裁判長の許可を受けたときは、反対尋問の機会に、自己の主張を支持する新たな事項についても尋問することができる。
2 前項の規定による尋問は、同項の事項についての主尋問とみなす。

規則第199条の6(供述の証明力を争うために必要な事項の尋問・法第三百四条)
証人の供述の証明力を争うために必要な事項の尋問は、証人の観察、記憶又は表現の正確性等証言の信用性に関する事項及び証人の利害関係、偏見、予断等証人の信用性に関する事項について行う。ただし、みだりに証人の名誉を害する事項に及んではならない。

規則第199条の7(再主尋問・法第三百四条等)
再主尋問は、反対尋問に現われた事項及びこれに関連する事項について行う。
2 再主尋問については、主尋問の例による。
3 第百九十九条の五の規定は、再主尋問の場合に準用する。

規則第199条の8(補充尋問・法第三百四条)
裁判長又は陪席の裁判官がまず証人を尋問した後にする訴訟関係人の尋問については、証人の尋問を請求した者、相手方の区別に従い、前六条の規定を準用する。

規則第199条の9(職権による証人の補充尋問・法第三百四条)
裁判所が職権で証人を取り調べる場合において、裁判長又は陪席の裁判官が尋問した後、訴訟関係人が尋問するときは、反対尋問の例による。

規則第199条の10(書面又は物の提示・法第三百四条等)
訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。
2 前項の書面又は物が証拠調を終つたものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。

規則第199条の11(記憶喚起のための書面等の提示・法第三百四条等)
訴訟関係人は、証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるときは、裁判長の許可を受けて書面(供述を録取した書面を除く。)又は物を示して尋問することができる。
2 前項の規定による尋問については、書面の内容が証人の供述に不当な影響を及ぼすことのないように注意しなければならない。
3 第一項の場合には、前条第二項の規定を準用する。

規則第199条の12(図面等の利用・法第三百四条等)
訴訟関係人は、証人の供述を明確にするため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、図面、写真、模型、装置等を利用して尋問することができる。
2 前項の場合には、第百九十九条の十第二項の規定を準用する。

規則第199条の13(証人尋問の方法・法第三百四条等)
訴訟関係人は、証人を尋問するに当たつては、できる限り個別的かつ具体的で簡潔な尋問によらなければならない。
2 訴訟関係人は、次に掲げる尋問をしてはならない。ただし、第二号から第四号までの尋問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一 威嚇的又は侮辱的な尋問
二 すでにした尋問と重複する尋問
三 意見を求め又は議論にわたる尋問
四 証人が直接経験しなかつた事実についての尋問

規則第199条の14(関連性の明示・法第二百九十五条)
訴訟関係人は、立証すべき事項又は主尋問若しくは反対尋問に現れた事項に関連する事項について尋問する場合には、その関連性が明らかになるような尋問をすることその他の方法により、裁判所にその関連性を明らかにしなければならない。
2 証人の観察、記憶若しくは表現の正確性その他の証言の信用性に関連する事項又は証人の利害関係、偏見、予断その他の証人の信用性に関連する事項について尋問する場合も、前項と同様とする。
★調書を示す反対尋問(判時2323)  
  ■1 はじめに
  裁判員制度の開始⇒調書を示す反対尋問を積極的に活用すべきとの機運
刑訴規則199条の10を根拠に、証人の自己矛盾調書を証人に示し、又は証人をして供述調書の事故矛盾部分を読み上げさせるという弾劾手法
but
刑事裁判官は否定的

①解釈に無理がある
②証人への不当な圧力、記憶喚起への影響、裁判員の誤った心証形成等の弊害
日弁連の3C手法:
①Commit:先ほどこう証言しましたね
②Credit:捜査段階に話したことも本当ですか
③Confront:捜査段階であなたはこう言っていたのではないですか(=調書を示す)
■     ■2 調書を示す反対尋問に関する従来の議論の概要 
●肯定説 
刑訴法 第328条〔証明力を争うための証拠〕
第三百二十一条乃至第三百二十四条の規定により証拠とすることができない書面又は供述であつても、公判準備又は公判期日における被告人、証人その他の者の供述の証明力を争うためには、これを証拠とすることができる
①刑訴法328条の「証拠とすることができる」とは、「法廷にその内容を顕出することができる」という意味。
②自己矛盾供述を法廷で顕出する最も端的でわかりやすい方法は、その供述者である証人本人にその事実を確認してもらうこと。
③調書を示された際の証人の反応を確認することで、証言の真摯性、誠実性を推し量ることもできる。
④このような反対尋問は、書面や物の成立や同一性又はこれらに「準ずる事項」についての尋問⇒規則199条の10に基づき、裁判長の許可を受けないで行うことができる。
⑤これは「証言がモノを助ける」場合であって、「モノが証言を助ける」場合ではない。
⑥記憶喚起のために供述書面を提示するものでも、法廷外供述の内容どおりの事実があったことを立証するものでもない⇒規則199条の11第1項による規制を受けない。
⑦自己矛盾調書による弾劾尋問は、法廷外における自己矛盾供述の存在を証人に示せば目的を達するが、証人の法廷外でも法廷と同じ供述をしたと証言させた上で自己矛盾供述の存在を示すことができれば、反対尋問の効果は増幅する。
⑧供述変遷の理由を尋ねても言い逃れをされて反対尋問の効果を減殺するだけ⇒変遷理由は弁護人から尋ねてはならない。
●否定説 
①規則は、書面の朗読を証人の供述に不当な影響を及ぼす尋問方法として位置づけ(199条の3第3項)、記憶喚起のために調書を示すことを原則的に禁じている(199条の11第1項)
②証人に調書を示したり朗読させたりする反対尋問は、暗示性・誘導性が強く、証人ぬい無用の緊張を強いて証人を動揺させたり、調書の記載内容を押し付ける不当な圧力となる可能性がある。
③証人が一見確たる記憶を有するように見えても、それが誤解や思い込みに基づくものである場合、記憶喚起のための尋問をせずに調書を示せば、証言が調書によって影響を受ける可能性を否定できない上、信用性の判断要素として最も重要な供述変遷理由に関する弁明の機会を失わせかねない。
④証人の調書の記載内容はその外形から明らかであって、調書を示す反対尋問が証人の過去の計得kンを問うという本来の尋問に当たるのか疑問であるし、調書の記載内容が証言によって「助けられる」必要性があるとも考えられない。
⑤自己矛盾供述を指摘された際の証人の反応を見る必要があるとしても、調書の内容を口頭で指摘すれば尋問の目的は達する。
⑥証人の調書を示すという手法は、裁判員をして、証言と法廷外供述を混同させ、証言の内部に自己矛盾が存するかのような誤解を与えかねない。
  ■3 自己矛盾調書を示すことに関する本質的な問題点 
  ●(1) 自己矛盾を示す際の要証事実は「自己矛盾供述の存在」であることを取り違えた議論をしている。 
①「A」が真実であること
②捜査段階の調書に「A」という記載があること
③証人取調べ時に「A」という供述をしたこと
自己矛盾供述を根拠に公判証言を弾劾する場合には「自己矛盾供述があったこと自体(=③)」が要証事実。
but
反対尋問を行おうとする者は、この事実を端的に聞くことを意図的に避け、「捜査段階で話したことも本当か。」という2番目のC(Credit)の質問をした後、直ちに調書の記載を示したり、調書の該当箇所を読み上げさせるという尋問に移ることが推奨⇒目的を達成する手段に問題がある。
①「A」
  ●(2) 調書を示す反対尋問の実務上の弊害が大きいこと 
  ●(3) 核心的でない変遷について調書を示す反対尋問が行われることが少なくないこと 
  ●(4) 「欠落による変遷」においては上記の問題性より顕著に表れること 
  ■4 終わりに 
     

証人尋問での書面や物の利用 「迅速でわかりやすい」公判審理をする必要。
書面や物の利用についての分類 絶対的な禁止:
主尋問において誘導するためにする書面の朗読(規則199の3④)
記憶喚起のための供述録取書の提示(規則199の11②)
裁判所の許可があれば行える:
記憶喚起のための呈示(規則199の11)
④供述を明確にするための利用(規則199の12)
裁判長の許可なしに行える:
書面又は物の成立同一性その他これに準ずる事項について尋問するための提示(規則199の10)
誘導・記憶関係・明確化のモノの利用⇒モノによって証言の証拠価値を明確にしたり増減する。(「モノが証言に影響」)
~証言が不当に歪められる危険性がある。

モノの成立や同一性を明らかにするための尋問⇒モノの証拠価値を明確にしたり増減する(「証言がモノに影響」
~証言が不当に歪められる危険性はない。
書面や物の成立、同一性等に関する尋問 証拠の許容性を証明するための尋問:
①関連性
②業務の通常の過程で作成された書面であること(刑訴法323(2))
法廷で取り調べられるべき証拠は、訴訟の帰趨に影響を与える事実の存在の蓋然性を高めあるいは低める傾向を持たなければならない。
この傾向のことを「関連性」という。
関連性のない証拠は、証拠能力を持たない。
「甲7号証として申請した包丁を示します。これは何ですか。」
「弁9号証として申請しているレジ・ペーパーを証人に示します。これは何ですか。」
「レジ・ペーパーはどのようにして発効されるのですか。」
「レジ・ペーパーに刻印された日時と実際の買い物の日時との関係を説明してください」
証拠の内容を説明するための尋問:
この包丁の刃の一部がこぼれていますが、それについて説明してください。
(レジペーパーの)1980というのは何ですか。
証人が、成立や同一性を超えて書面や物の内容に言及できるのは、そのモノの許容性が証明されている場合に限られる。
(許容性のない証拠の内容が事実認定者に伝えられることは許されない。)
「甲7号証の包丁を証人に示します。刃の部分にある赤黒いしみは何ですか。」
「異議があります。甲7の関連性はまだ証明されていません。」
「異議を認めます。検察官はまず関連性を立証してください。」
証人尋問において、ある書面や物の許容性が証明された段階で、尋問者はその書面や物を証人に呈示してその内容の説明を求めることができる。
刑訴法規則199条の10②はこのことを前提にした規定。
×誘導尋問:
「鈴木さんのがきているものの様子は見ましたか。」
「はい」
「甲4のカッターシャツを示します。」

「当時鈴木さんんはどんなものを着ていたのですか」
「はい、ブルーの縦縞の入ったカッターシャツでした」
「甲第4号証のカッターシャツを示します。これは何ですか。」
「私が見た鈴木さんのシャツです。」
物で証言を誘導しない。
証言を先に出しつくしてから、物を呈示する。
自己矛盾供述での弾劾 規定 刑訴法 第328条〔証明力を争うための証拠〕
第三百二十一条乃至第三百二十四条の規定により証拠とすることができない書面又は供述であつても、公判準備又は公判期日における被告人、証人その他の者の供述の証明力を争うためには、これを証拠とすることができる。.
証人は許容性が証明された証拠の内容を語ることができる。
自己矛盾供述をした証人はそれを体験した本人⇒その内容を語る資格がある。
尋問者は、証人の自己矛盾供述を記録した書面(供述書、供述録取書など)を証人に呈示して、その内容を尋問者が朗読するか、証人に朗読させるなどして、その内容を法廷に顕出させることができる。
法廷外供述の内容どおりの事実があったことを立証するために行われるのではない伝聞法則に違反しない。
書面に記載されている出来事について証人の記憶を喚起しようとするものでもない呈示するものが供述録取書であっても規則199条の11①に違反しない。
証人に、彼の供述がその調書に正確に記録されていることを確認させたうえで、「ここに・・・と書いてありますね」と問い彼から「はい」とう答えが得られればそれで良い
証人は、その書面や物が独立の証拠として取り調べられているかどうかにかかわらず、許容性の証明された物の内容を証言することができる。
規則199条の10はそのことを認めている。
「欠落による矛盾」
証人自身に法廷で調書を黙読させて、「・・・・のことが書かれていますか」と問い、「いいえ、書かれていません」と答えさせる必要がある。
調書内容はあらかじめ相手方に開示されている(規則199条の10②)⇒自己矛盾供述とは言えない部分が朗読されようとしたら相手方は異議を述べて阻止することができる。
当事者の意見を聞いただけでは裁定できない場合には、裁判所は調書の内容を確認して(規則192)、朗読部分が自己矛盾供述かどうかを判断すればよい。
そもそも、伝聞証拠であっても当事者が異議を述べなければ証拠能力をもつ。(刑訴法326)
当事者が異議を述べていないのに、裁判所が「自己矛盾じゃないのではないか」と疑って尋問に介入するのは、公正な裁判所の態度とはいえない。
平成21年11月24日に検察官の取調べを受けていますね。
検察官に事件のいきさつを話しましたね。
自分の記憶のとおりに話しましたね。
検察官はあなたの話を聞きとって調書を作りましたね。
鈴木証人の平成21年11月24日付検察官調書末尾の署名・捺印部分を示します。鈴木さん、この調書の末尾の署名捺印はあなたがご自身でなさったのですか。
署名捺印の前に、調書の内容は読んで聞かせてもらいましたか。
あなたが検事に述べた通りのことが記載されていることを確認して、署名捺印したのですね。

証人がこの検察官調書に記載された法廷外供述をしたことが証明された。
調書の4ページ3行目以下をご覧ください。
そこにこう書かれています。「    」そう書かれていますね。
佐藤さんに体当たりされる前に彼が包丁を持っていることに気づいたという趣旨のことが調書に書かれていますか。
体当たりされる前に自分で身体を左にひねったということが書かれていますか。
他の矛盾証拠による弾劾 あらかじめ証拠調べが行われていなくても、許容性の認められた証拠の内容を証人に語らせることができる。
公刊された暦に記録された月齢は「公知の事実」あるいは刑訴法323条3号の書面として許容性が認められる。

あらかじめ相手方に閲覧の機会を与えておけば、裁判長の許可なしに暦に表示された月齢を証人に語らせることができる。
一般的な特信文書のほか、専門家証人に対して定評のある学術書や定期刊行物に掲載された論文を呈示して弾劾することも同様に許される。
第316条の32〔証拠調べ請求の制限〕
公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件については、検察官及び被告人又は弁護人は、第二百九十八条第一項の規定にかかわらず、やむを得ない事由によつて公判前整理手続又は期日間整理手続において請求することができなかつたものを除き、当該公判前整理手続又は期日間整理手続が終わつた後には、証拠調べを請求することができない。
②前項の規定は、裁判所が、必要と認めるときに、職権で証拠調べをすることを妨げるものではない。
相手方証人の証言を弾劾する資料を反対尋問の前にあらかじめ相手方に開示しなければならないとしたら、弾劾はほとんど失敗するか効果の少ないものとなる。
弾劾証拠を反対尋問中に提出することは常に「やむを得ない事由」がある。
誘導尋問のための利用 主尋問 原則として誘導尋問は許されない(規則199条の3③)

証人申請者と証人とは有効的な関係にあるのが普通であり、証人申請者が一定の答えを示唆する尋問をすると、証人はたとえそれが真実に反している場合でも安易にそれに同調していしまう危険が大きい。
誘導尋問:
尋問の形式がどうであり、尋問者がある答えを欲しているという印象を証人に与えるような尋問。
主尋問で誘導尋問が許される場合:
一 証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だつて明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
二 訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。
三 証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
四 証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
五 証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
六 証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その供述した事項に関するとき。
七 その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。
以上の場合でも「書面の朗読その他証人の供述に不当な影響を及ぼすおそれのある方法」によることは許されない。

刑訴規則199条の11と同様、伝聞法則を潜脱して書面の内容が法廷に検出されることを防止しようとするもの。
自己矛盾供述の存在を示す必要があるためにその部分を朗読することは許される。
反対尋問 誘導尋問が許される。(規則199条の4③)
記憶喚起のために供述録取書を示して誘導する場合(規則199条の11①)を除いて、誘導尋問の方法について個別的な規制はない。

どのような方法で誘導しても良く、「書面の朗読」も許される。
but
「相当でない」と判断されるときは禁止される。(規則199条の4第4項)



■供述証拠
被告人以外の者(321)の供述書・供述録取書
(共犯者や共同被告人も含む)
裁判官面前調書 検面調書 その他 検証調書・鑑定書
㋐供述不能
㋑不一致供述
㋐供述不能
㋑不一致供述
㋑の場合、
①供述が相反するか実質的に異なることと、
②前の供述を信用すべき特段の情況があることが必要。
①供述不能
②犯罪事実の存否の証明に対する不可欠性
③特別の信用性
が必要
被告人の供述書・供述録取書(322) 不利益事実の承認(but任意にされたものでない疑がある場合は不可)
㋑特信状況下でのもの
特信書面(323) ①戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員(外国の公務員を含む。)がその職務上照明することができる事実についてその公務員の作成した書面
②商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面
③前2号に掲げるものの外特に信用すべき情況の下に作成された書面
無条件に許容


■証拠法
原則 規定 第318条〔自由心証主義〕
証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。
第319条〔自白の証拠能力・証明力〕
強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
②被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
③前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。
定義 供述証拠:言語又はこれに代わる動作によって表現された供述(認識・判断の叙述)が証拠となるもの。
非供述証拠:物の存在、状態などを証明するためのそれ以外の証拠
供述証拠は、人の記憶に残っている犯罪の現象を再現する証拠であるから、それが法廷に達するまでに、知覚して記憶し、その後表現し叙述する各段階において誤りが入りこむ危険がある
⇒相手方の反対尋問にさらすなどして誤りの有無と程度を確かめた上でなければ証拠にできない。
伝聞証拠:反対尋問の経ない供述証拠
伝聞法則:「伝聞証拠は反対尋問によるチェックを経ておらず、誤りが含まれている危険があるので、証拠になし得ない」という原則。
証拠裁判主義 規定 第317条〔証拠裁判主義〕 
事実の認定は、証拠による。
証明の種類 ①厳格な証明:
証拠能力があり、かつ適式の証拠調を経た証拠による証明。
②自由な証明:
証拠によるが証拠能力および適式な証拠調の2つの要件を必要としない証明。
事実 ①刑罰権の存否および範囲を定める事実
=本条の「事実」
訴因として示されるところの構成要件に該当する具体的事実であり、犯罪事実あるいは主要事実と呼ばれる。
既遂・未遂の別、共犯であればその形式とそれに見合う事実、違法性・有責性を基礎づける事実も含まれる。
犯罪の成立を妨げる自由、処罰阻却事由、処罰条件、法律上の刑の加重減免の自由についても厳格な証明を有する。
これらの事実を立証する過程で必要とされる間接事実および補助事実(証拠の証明力の判定に役立つ事実)も証明の対象となり、かつ厳格な証明を必要とする。
②その他の事実一般
①に述べた以外の事実については、原則として厳格な証明を必要としない。
訴訟条件や証拠能力に関する事実など訴訟法的事実と呼ばれるものは、すべて自由な証明で足りる。
③量刑に関する事実
犯罪事実それ自体に属する情状(いわゆる「犯情」)は、当然厳格な証明を必要とするが、それ以外の単なる情状は、自由な証明でたりる。
but
実務においては、厳格な証明とほとんど同様の扱いが一般的。
④法規・経験則
法規とくに当該事件において適用されるべき実体刑罰法規は、本条にいう「事実」ではなく、証明の対象とならない。
経験則も、それ自体は1個の法則であり、事実ではない。
その経験則が公知のものでなく、一定の社会における特定の事実を前提とする特殊なものであるときは、その前提となる事実はもとより証明の対象となる。
それが犯罪事実の証明のために必要なものであれば、厳格な証明を要する。
証明を要しない事実 事実それ自体の性質から類型的に証明の必要のない場合。
①公知の事実
一般人がその事実の存在について疑いをもたない程度に知れわたっている事実をいう。
②裁判所に顕著な事実
③法律上推定される事実
④事実上証明を要しない事実
伝聞証拠と証拠能力(法320条) 規定 第320条〔伝聞証拠排斥の原則〕
第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。
②第二百九十一条の二〔簡易公判手続によって審判する旨〕の決定があつた事件の証拠については、前項の規定は、これを適用しない。但し、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。
趣旨 伝聞証拠の証拠能力を原則として否定。
←相手方当事者による反対尋問を経ない供述証拠は本来的に信頼性に欠ける。
伝聞証拠:「要証事実を直接に知覚した者の供述(原供述)を内容とする供述証拠で、その原供述の内容をなす事実の証明の用に供される証拠」
例外規定 法321~328条
供述代用書面 「公判期日における供述に代えて書面を証拠とする」
~書面に記載されている人の供述(事実報告)をその報告された事実の存在の証明の用に供するため、その供述を法廷に伝達する手段(証拠方法)として、当該書面を使用すること。
書面の本来の用途、種類、形態、性格等を問わない。
証拠として使用される目的において供述代用性が認められるものはすべて、ここにいう書面。
①供述書:供述者本人がその内容を書面にしたもの。
②供述録取書:第三者が供述者から聞き取った供述内容を記録した書面。
②は供述書と同じ伝聞性+内容的にも録取者が供述者から聞いたことを記載しているという点で2重の伝聞構造をもつ再伝聞証拠。
供述代用性の有無 ある書面が供述代用書面であるかどうかの区別については、要証事実との関係において定まる。
その書面に記載された供述の内容をなす事実の証明のための証拠⇒供述代用書面
②特定の記載のある書面の存在自体が要証事実⇒これにあたらない。
要証事実 書面の供述代用性の判断基準となる要証事実を考えるにあたっては、一応表面的には特定の記載のある書面の存在事地亜を要証事実とするようにみえる場合であっても、その存在と言う事実が終局的に目的とする事実(当該事件で立証を要する主要事実)に対しどのようなどのような関係に立つか検討を要する。
供述代用書面に当たらない例 ①その書面の存在が主要事実そのものの場合:
ex.文書偽造における偽造文書、名誉棄損における中傷記事を掲載した新聞、脅迫や恐喝の手段に使われた脅迫状、不実の登記をするための登記申請書、脱税のために数字に改ざんを施した表帳簿等
当該書面の作成や交付が実効行為ないしその直前の準備行為である場合、その存在が要証事実。
②書面の存在が間接事実であるときに、これから主要事実を推認する過程(再間接事実であれば、これから間接事実さらに主要事実と進む推論課程全部)でその記載内容の真実性を前提とする必要のない、すなわち、当該書面の作成者以外の者がその書面を見聞きしたことによって、一定の認識、動機、感情を持った事実。さらには、そのため一定の行動をとるに至った事実を認定する場合。
ex.選挙事犯において被饗応者が候補者の立候補したことを知った事実を立証する証拠としての新聞記事、殺人の動機のあったことを立証するための被害者から被告人にあてた侮辱的な手紙、集団暴力事件で相対立する両派がそれぞれの相手方の絶滅を主張する記事を掲載した機関紙、犯罪の共謀を立証するためのAからBにあてた特定の犯罪に関する通信文(この場合、その通信文の存在によって立証できるのはBがAにそのような意思があると認識した事実までであり、Aがその内容のような犯罪を計画していた事実ではない)
③記載内容の真実性が問題となる書面であっても、それによって記載された内容をなす事実を証明するための証拠でない場合、非供述証拠。
ex.被告人の手帳に犯人しか知り得ないはずの被害者宅や被害者の身体の特徴等についてメモがある場合、その記載内容が他の証拠によって真実であると立証されれば、このメモの存在は被告人と犯行との結びつきを示す間接事実となる。
~これによって犯行そのものを直接立証するのではなく、逆に真実に合致する記載であることによって初めて証拠としての意味をもつ⇒要証事実はその存在。
④書面によってその記載内容をなす事実を立証する場合であるのに、なおかつその書面の存在自体を要証事実と解してよい場合。
~書面によって一定の行為ないし意思表示をしたと法律上または社会的に見られる場合、および書面の記載が他の外部的行為と一体になることによりその行為に意味を与える場合。
~書面を作成した者の認識を通じて事実を知るのではなく、その者が一定の記載をしたという事実に意味がある。
ex.A代理人Bとして文書を偽造したとされている事件で、AからBにあてた代理関係の解除を告知する通知書、横領における委託関係の立証のための、本人から目的物を被告人に送付する際にそえられていた寄託の趣旨を告げる手紙等。
任意性 根拠 任意性のない自白の証拠能力を否定
←①虚偽排除と②人権擁護
平野 趣旨 ①虚偽排除:
被告人に対し、強制・拷問・脅迫などを加えると、嘘の自白をするおそれがあり、無実の者を処罰する危険がある。⇒任意性がないとして排除される。
任意性とは、自発性という意味ではなく、嘘を言うおそれのある状況がないということ。
②黙秘権の侵害:
供述の義務を課すことによって供述を強要することを禁止。
③違法な方法による自白の排除:
①②③のどれからにあたれば、自白は排除される。
身体に対する暴行⇒それ自体が違法⇒それだけで任意性がない。
脅迫すなわち審理的拷問⇒その程度が強ければ、それだけで任意性がない。
約束による自白(虚偽排除説)
自白 犯罪事実の全部または本質的部分を認める被告人の供述
犯罪事実の一部を認める供述は、直ちに本条にいる自白には当たらない。
(ただし、不利益な事実の承認についても、322条により任意性が必要とされる。)
心理的強要
理詰めの質問等
各書面 診断書 鑑定人の作成した書面に関する法321条4号が準用

作成者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは証拠能力を有する。(最高裁昭和32.7.25)
手紙 被告人以外の者が作成した手紙⇒法321条3号書面として証拠能力を考えるべき。
but
服役中の共犯者がその妻に出した手紙を法323条3号書面に当たるとした判例(最高裁昭和29.12.2)
vs.
法323条3号は、同条1,2号と同程度の高度の信用性を具備することが書面自体から明かであるとともに、一般的に信用性の高いものとしてある程度類型化されたものであることを要すると解されていることから、疑問。
被告人が単独犯という従前の全面自白を翻し、共同正犯として加功したことを自認する旨の弁護人あての手紙が法322条1項前段に該当するとして認められた裁判例。(浦和地裁昭和58.5.25)
メモ、日記、手帳 法321条1項3号(被告人以外の者が作成したもの)あるいは法322条1項(被告人が作成したもの)によって証拠能力を判断。
表題は日記、手帳などとなっていても、商業帳簿の実質を備えているものは、法323条2号書面として証拠能力が認められる。(米穀小売販売業者が備忘のため記入した未収金控帳を同号書面としたもの(最高裁昭和32.11.2)、漁船団の取決めに基づき各漁船から定時に発せられる操業位置等についての無線通信を他船の通信業務担当者がその都度機械的に記録した書面(最高裁昭和61.3.3))
証人尋問等によってメモ等の作成時期、作成者、作成の事情等により法323条1号、2号に準ずる高度の信用性の情況が立証された場合に、同条3号書面として証拠能力を認めた裁判例がある。(犯罪の嫌疑を受ける前にこれと関係なく貸金関係を備忘のためその都度記載した手帳について(仙台高裁昭和27.4.5)、銀行支店次長が業務のため個人的に記載していた日誌について(東京地裁昭和53.6.29)、犯罪の嫌疑を受ける前にこれと関係なく備忘のためカレンダーの裏面に記載した馬券申込みのメモについ(東京高裁昭和54.8.23))
上申書・嘆願書・示談書 情状証拠として、被告人の身分、経歴、性格、素行、生活環境、犯行後の事情等につき、量刑上有利な事情を述べて寛大な処分を求める旨の上申書、嘆願書又は被害者との示談書等の取調べを請求することが多い。
量刑の資料としての上場の立証は、自由な証明で足りるとするのが多数説であるが、実務上は、厳格な証明ないし公判廷における適正な証拠調べの手続によるのが普通。
証拠物たる書面 その内容のみが証拠となる書面が証拠書類であり、内容に加えて書面の存在及び形状も証拠となるものが証拠物たる書面(法307条)であるとし(最高裁昭和27.5.6)、証拠物たる書面については証拠書類に準じて証拠能力を判断すべきである。(最高裁昭和31.3.27)
不同意への対応 供述録取書等(供述調書、上申書等供述書、録音媒体等) 弁護人が、検察官証人に接触して、被告人に有利な供述をしてくれたため、供述録取書等を作成。
弁護側証人の供述録取書。
不同意⇒原則通り証人請求
証人が不出頭の場合や公判廷で異なる供述⇒書面に応じて321条1項2号準用、3号による請求、328条(弾劾証拠)による請求を検討。
再現実験等の実況見分 弁護人が、独自に現場を見分したり、再現実験をして報告書を作成して証拠請求。
不同意⇒作成者を証人尋問請求をした上で、その内容を立証し、作成の真正も尋問し、321条3項準用により証拠を請求し直す。
被害者ノート 任意性に関して証拠請求して不同意⇒322条後段(特信状況下)に該当するとして採用を求める。
日々の取調べをその都度記載する定型的なノート⇒特信性が認められることを被告人質問や接見メモ等で疎明。
取調べの経過に立証趣旨を限定して非供述証拠や証拠物として請求。
任意性についての資料として自由な証明で足りると主張。
自白事件の情状証拠 家族から上申書をもらったり、被害者から嘆願書をもらったりして、証拠請求。
検察官によって、法廷に来ない人の上申書は全て不同意とか、その真意が確認できないなどという理由で、形式的に不同意。
⇒しつこく検察官と交渉し、連絡先等を教えて家族等に事前に意思確認してもらって構わないこと、法廷に来れない事情を説明するなどして、同意に意見を変更させるようねばり強く交渉。
供述録取書の証拠能力 被告人以外 の供述書面 被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面
(ア)裁判官面前調書(1号) ex.証人尋問調書、た事件の公判準備調書、公判調書、民事事件の証人尋問調書、少年保護事件の審判調書
供述不能のとき(前段)、又は
②供述者が公判準備若しくは公判期日における前の供述と異なった供述(相反供述)をしたとき(後段)
のいずれかに該当すれば証拠とできる。
(イ)検察官面前調書(2号) 供述不能の時(前段)、又は
②公判準備若しくは公判期日における前の供述と異なった供述(相反供述)をした場合で
公判期日等における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況(相対的特信性)の存するとき(後段)
のいずれかに該当すれば証拠とすることができる。
(ウ)その他の書面(3号) 伝聞法則例外の原則型
ex.員面調書や警察官作成の捜査報告書など
供述不能、②不可欠性、③特信性(2号後段の相対的特信性ではなく絶対的特信性が必要)の3要件が全て充足されることにより証拠とすることができる。
弁護人が不同意とすれば、もはや3号書面自体は、内容の真実性を立証する目的の証拠として採用されない。
法328条の弾劾証拠としてしか活用の道は残されていない。
検察官が当該書面の内容を立証したいと望めば、供述者又は作成者を証人請求して証言させるしかない。
規定 第321条〔被告人以外の者の供述書面の証拠能力〕
被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(第百五十七条の四第一項に規定する方法による場合を含む。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき。但し、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、且つ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。但し、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
③検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。
第321条の2〔前条に対する特則〕
被告事件の公判準備若しくは公判期日における手続以外の刑事手続又は他の事件の刑事手続において第百五十七条の四第一項に規定する方法によりされた証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体がその一部とされた調書は、前条第一項の規定にかかわらず、証拠とすることができる。この場合において、裁判所は、その調書を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければならない。
②前項の規定により調書を取り調べる場合においては、第三百五条第四項ただし書の規定は、適用しない。
③第一項の規定により取り調べられた調書に記録された証人の供述は、第二百九十五条第一項前段並びに前条第一項第一号及び第二号の適用については、被告事件の公判期日においてされたものとみなす。
被告人の供述書面 規定 第322条〔被告人の供述書面の証拠能力〕
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
被告人の公判準備又は公判期日における供述を録取した書面は、その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、これを証拠とすることができる。
第319条〔自白の証拠能力・証明力〕
強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
②被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
③前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。
その他の書面 規定 第323条〔その他の書面の証拠能力〕
前三条に掲げる書面以外の書面は、次に掲げるものに限り、これを証拠とすることができる。
一 戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員(外国の公務員を含む。)がその職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面
二 商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面
三 前二号に掲げるものの外特に信用すべき情況の下に作成された書面
第324条〔伝聞供述の証拠能力〕
被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第三百二十二条〔被告人の供述書面の証拠能力〕の規定を準用する。
②被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人以外の者の供述をその内容とするものについては、第三百二十一条第一項第三号〔被告人以外の者の供述書面の証拠能力〕の規定を準用する。
第325条〔供述の任意性の調査〕
裁判所は、第三百二十一条から前条までの規定により証拠とすることができる書面又は供述であつても、あらかじめ、その書面に記載された供述又は公判準備若しくは公判期日における供述の内容となつた他の者の供述が任意にされたものかどうかを調査した後でなければ、これを証拠とすることができない。
同意の意義 趣旨 伝聞証拠に対して証拠能力を付与することを承認する当事者の行為

証拠能力と証明力は別問題であるから、供述証拠等に同意したうえで当該供述者を尋問し、調書の証明力を争うこともできる。
but
当該供述者の尋問を請求が必ずしも認められる保障はない⇒当該書証の信用性を争う場合には、原則としてこれを不同意とし、当該供述者の尋問を請求すべき。
「相当性」について、当事者の同意があれば相当性が推認され、相当性の不存在を疑うべき特別の事情があるときに調査の必要を生じる。
規定 第326条〔当事者の同意と書面・供述の証拠能力〕
検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り、第三百二十一条乃至前条の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
②被告人が出頭しないでも証拠調を行うことができる場合において、被告人が出頭しないときは、前項の同意があつたものとみなす。但し、代理人又は弁護人が出頭したときは、この限りでない。
合意書面 規定 第327条〔合意書面の証拠能力〕
裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人が合意の上、文書の内容又は公判期日に出頭すれば供述することが予想されるその供述の内容を書面に記載して提出したときは、その文書又は供述すべき者を取り調べないでも、その書面を証拠とすることができる。この場合においても、その書面の証明力を争うことを妨げない。
弾劾証拠 規定 第328条〔証明力を争うための証拠〕
第三百二十一条乃至第三百二十四条の規定により証拠とすることができない書面又は供述であつても、公判準備又は公判期日における被告人、証人その他の者の供述の証明力を争うためには、これを証拠とすることができる。

■証拠調べ
書証 規定 刑訴法 第305条〔証拠書類の取調方式〕
検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠書類の取調をするについては、裁判長は、その取調を請求した者にこれを朗読させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させることができる。
②裁判所が職権で証拠書類の取調をするについては、裁判長は、自らその書類を朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させなければならない。
刑訴規則 第203条の2(証拠書類等の取調の方法・法第三百五条等)
裁判長は、訴訟関係人の意見を聴き、相当と認めるときは、請求により証拠書類又は証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調をするについての朗読に代えて、その取調を請求した者、陪席の裁判官若しくは裁判所書記官にその要旨を告げさせ、又は自らこれを告げることができる。
2 裁判長は、訴訟関係人の意見を聴き、相当と認めるときは、職権で証拠書類又は証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調をするについての朗読に代えて、自らその要旨を告げ、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記官にこれを告げさせることができる。

公判手続
公訴事実を争わない場合
J ①開廷します。
②被告人前へ
③人定質問
④起訴状送達の確認
⑤Pが起訴状を朗読するから聞いておくように
⑥P起訴状を朗読してください
P 「公訴事実、Aは・・・ものである。」「罪名及び罰条・・・」以上です。
J ①Aに黙秘権の告知
②Aに対し「Pが今読んだ事実は間違ないないですか」
 A・・・その通りです。
 B・・・公訴事実は争いません。

③証拠調べに入ります。
④P冒頭陳述をどうぞ。
P ①冒陳とカードを廷吏に渡す。
②「検察官が証拠によって証明しようとする事実は、以下のとおりであります。」
 「まずAの身上、経歴等について・・・・・・その他情状など本件に関連する事項」
以上の事実を立証するため、証拠関係カード記載の各取調を請求いたします。
J ①弁護人、証拠に対するご意見は
 B・・・すべて同意します。
それでは証拠を採用します
③P要旨の告知をどうぞ
P 要旨の告知・・・以上であります。
(廷吏に)記録と物を渡す。
J ①Bの立証は何か(情状証人など)ありますか。
 B・・・証拠調べ請求書と証拠を廷吏に渡す。
     情状証人としてAの父○○を申請します。
②(Pへ)それに対しての意見は
 P・・・書証については同意します。証人についてはしかるべく。
③採用します。
④「証人は前へ」・・・・宣誓してください。
  偽証罪の告知・・・(証人尋問)
尋問 ①証人尋問(B⇒P⇒J)
②被告人質問(B⇒P⇒J)
J (Pへ)「検察官、意見を述べてください。」
P 検察官の意見を述べます。
(論告)
①まず、事実関係についてでありますが、「本件公訴事実は、当公判廷で取調べられた・・証明は十分であると思料します。」
②次に情状関係でありますが。「本件は・・・・」
③以上、諸藩の事情を考慮し(求刑)と思料します。
B 弁論
J ①(Aに)「最後に言っておきたいことがありますか」
  A・・・・

②以上をもって弁論を終結します。
③次回、判決期日を指定。
④(A前へ)次回公判期日を言う。
⑤○月○日、この法廷において判決を言い渡します。
⑥閉廷

情状事由
犯罪自体の情状 ①実害がない
②未遂
③事案軽微
④悪質でない
⑤犯罪による利得がない・少ない
⑥余罪
⑦心神耗弱
⑧知能低級
⑨身体障害
⑩同情しうる動機
⑪飲酒の上での犯行
⑫生活苦からの犯行
⑬環境不良に基づく犯行
⑭私欲のためでない犯行
⑮偶発的犯行
⑯従属的犯行
⑰被害者にも一端の責任がある
⑱被害者と親族または知人の関係にある
犯罪後の情状 ①改しゅんの情が明らかである
②被害の全部が弁償済み
③被害の一部が弁償済み
④被害弁償の見通しがある
⑤示談成立
⑥示談成立の見通しがある
⑦慰藉の方法を講じている
⑧被害品が還付(または回復)されている
⑨被害者が宥恕している
⑩自首
共犯者との関係に関するもの ①共犯者との刑に権衡
将来の予測に関するもの ①再犯のおそれが少ない
②更生の意欲がある
③まじめに働いている
④勤労意欲がある
⑤飲酒を慎むことを誓っている
⑥不良交友を絶つことを誓っている
⑦技術をもっている
⑧性格善良
⑨素行良好
⑩常習性がない
⑪確かな身元引受人があり指導監督を誓っている
⑫近親者が指導監督を誓っている
⑬定職についている
⑭就職の予定である
⑮家庭環境良好
⑯近く結婚の予定
刑の執行により本人又は家族に過大な苦痛ないし悪影響を与える ①病弱
②老齢
③若年
④被告人がいなければ一家が支柱を失う
⑤家族の養育、看護等に支障をきたす
⑥妻(または本人)が妊娠中である
前科関係等 ①犯罪歴がない
②前科がない
③懲役または禁錮の前科がない
④長期(または相当期間)勾留されている
その他

最高裁H18.11.14
事例 期日間整理手続における刑訴法316条の15第1項8号該当書面の証拠開示請求に関する検察官の特別抗告が棄却された事例
規定 刑訴法第316条の13〔証明予定事実記載書面の提出〕
検察官は、事件が公判前整理手続に付されたときは、その証明予定事実(公判期日において証拠により証明しようとする事実をいう。以下同じ。)を記載した書面を、裁判所に提出し、及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、当該書面には、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、裁判所に事件について偏見又は予断を生じさせるおそれのある事項を記載することができない。
②検察官は、前項の証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない。
③前項の規定により証拠の取調べを請求するについては、第二百九十九条第一項の規定は適用しない。
④裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第一項の書面の提出及び送付並びに第二項の請求の期限を定めるものとする。
第316条の14〔検察官請求証拠の必要的開示〕
検察官は、前条第二項の規定により取調べを請求した証拠(以下「検察官請求証拠」という。)については、速やかに、被告人又は弁護人に対し、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、当該各号に定める方法による開示をしなければならない。
一 証拠書類又は証拠物 当該証拠書類又は証拠物を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄写する機会)を与えること。
二 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人 その氏名及び住居を知る機会を与え、かつ、その者の供述録取書等(供述書、供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音声を記録することができる記録媒体であつて供述を記録したものをいう。以下同じ。)のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの(当該供述録取書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄写する機会)を与えること。
第316条の15〔請求による類型証拠の開示〕
検察官は、前条の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて、次の各号に掲げる証拠の類型のいずれかに該当し、かつ、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められるものについて、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、その重要性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに、同条第一号に定める方法による開示をしなければならない。この場合において、検察官は、必要と認めるときは、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。

八 取調べ状況の記録に関する準則に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が職務上作成することを義務付けられている書面であつて、身体の拘束を受けている者の取調べに関し、その年月日、時間、場所その他の取調べの状況を記録したもの(被告人に係るものに限る。)
犯罪捜査規範 第182条の2(取調べ状況報告書等)

被疑者又は被告人を取調べ室又はこれに準ずる場所において取り調べたとき(当該取調べに係る事件が、第百九十八条の規定により送致しない事件と認められる場合を除く。)は、当該取調べを行つた日(当該日の翌日の午前零時以降まで継続して取調べを行つたときは、当該翌日の午前零時から当該取調べが終了するまでの時間を含む。次項において同じ。)ごとに、速やかに取調べ状況報告書(別記様式第十六号)を作成しなければならない。
2 前項の場合において、逮捕又は勾留(少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第四十三条第一項の規定による請求に基づく同法第十七条第一項の措置を含む。)により身柄を拘束されている被疑者又は被告人について、当該逮捕又は勾留の理由となつている犯罪事実以外の犯罪に係る被疑者供述調書を作成したときは、取調べ状況報告書に加え、当該取調べを行つた日ごとに、速やかに余罪関係報告書(別記様式第十七号)を作成しなければならない。
3 取調べ状況報告書及び余罪関係報告書を作成した場合において、被疑者又は被告人がその記載内容を確認したときは、それを証するため当該取調べ状況報告書及び余罪関係報告書の確認欄に署名押印を求めるものとする。
4 第百八十一条の規定は、前項の署名押印について準用する。この場合において、同条第三項中「その旨」とあるのは、「その旨及びその理由」と読み替えるものとする。
事案 期日関整理手続において、弁護人が行った、刑訴法316条の15第1j項8号の取調べ状況記録書面の証拠開示請求に関する検察官からの特別抗告の事案。
まず、検察官が、公判期日において証拠により証明するする予定の事実を書面で明らかにするとともに、その証明に用いる証拠の取調べを請求しなければならず(刑訴法316条の13)、その証拠については、刑訴法316条の14の方法により開示しなければならない。

検察官の主張立証の全体像が明らかになったところで、被告人側がどのような主張立証をするかを決めることができるようにし、ひいては、十分な争点等の整理及び被告人の防御の準備が行われるようにするため、刑訴法316条の15は、検察官請求証拠の証明力を判断するために重要な一定類型の証拠の開示について定めた。
その開示要件として、①類型該当性、②重要性(特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であること)、③相当性(「重要性の程度その他被告人の防御の準備のために当該証拠を開示することの必要性の程度」並びに「当該開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度」を考慮し、開示が相当と認められること)、④被告人側からの開示請求を定めている。
本件においては、検察官hが③の相当性の要件ががないとして、その開示を拒んだ。
取調べの書面による記録制度 平成14年3月19日閣議決定された「司法制度改革推進計画」により、「被疑者の取調べの適正を確保するため、その取調べ過程・状況につき、取調べの都度、書面による規則を義務付ける制度を導入することとし、平成15年半ばころまでに、所要の措置を講ずる。」とされた。

犯罪捜査規範182条の2が新設され、検察においては、「取調べ状況の記録等に関する訓令」が発出されて、記録制度の内容が定められ、いずれも平成16年4月1日から施行されている。
記録制度の設計に当たっては、組織的な背景のある犯罪において、供述者が報復や信用失墜を恐れて供述を躊躇するような結果を招かないようにする必要がある
⇒被害者又は被告人が、特定の供述調書の存在及び内容を、捜査機関以外の第三者に明らかにしないことを希望する場合には、その旨の書面を提出させるとともに、取調状況報告書面に不開示希望調書の有無及び通数を記録することとされ、8号書面は、このような経緯で作成されることとなった取調状況記録書面が類型証拠化されたもの。
原決定 開示の必要性について、取調べ状況等報告書は、不開示希望調書欄を含めて開示されなければ、作成された調書の通数その他取調べの外形的全体像を確認点検できないのであって、弁護人が、特定の供述調書の信用性等判断のために必要があると主張していれば、必要性の主張としては十分であり、検察官は、不開示を相当とする具体的な弊害を主張しなければならないのに、これをしていない。


公判前整理手続
規定 刑訴法316条の2第1項~同法316条の3第1,2項
趣旨 証拠開示手続で証拠開示が可能
危険性 拙速になる危険性
付される事件 規定 法316条の2
1 裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため必要があると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いて、第一回公判期日前に、決定で、事件の争点及び証拠を整理するための公判準備として、事件を公判前整理手続に付することができる。
類型 ①裁判員裁判対象事件
②争点が複雑であったり、証拠の数が多く、その整理をする必要がある事件
・・・
④検察官が被告人に有利な証拠を開示していないことが予想される場合に、証拠開示を有効利用する必要があると考えられる事件
期日 実務上ほぼ期日は開かれている。
正式な期日以外に別途協議期日が指定される場合もある。
期日間の感覚は2~3週間程度は必要。
記録謄写・検討・被告人と打合せ・書面作成
第1回 第1回公判前整理手続期日までに、検察官は証明予定事実とその事実を証明する証拠を提出。
単なる進行協議期日⇒証明予定事実および証拠開示から2週間程度でよい
類型証拠開示請求⇒1か月から1か月半程度の期間が必要な場合もある。
訴状・証明予定事実記載所に対する求釈明
証拠に関する質問等

類型証拠開示請求をする否かを決定。
①証明予定事実に対する認否は不要(←すべての事実について検察官に立証責任)
②証拠に対する認否を行う必要はない
←類型証拠の開示を受け、検察権提出証拠の信用性を言検討した後に、証拠の認否をすべき。
期日にできること 刑訴法316条の5に掲げる事項を行うことができる。
①訴因・罰条の明確化(1号)
②訴因・罰条の追加・撤回・変更の許可(2号)
③争点の整理(3号)
④証拠調請求(4号)
⑤立証趣旨、尋問事項の明確化(5号)
⑥証拠調の請求に関する意見の確認(6号)
⑦証拠の採否の決定(7号)
⑧証拠調の順序・方法を定めること(8号)
⑨異議申立てに対する決定(9号)
⑩証拠開示に関する裁定(10号)
⑪被害者等手続参加の申出に関する決定(11号)
⑫公判期日の指定・変更等(12号)
⑬決定の告知
⑦について ⑦の証拠の採否の決定
証拠の採用決定または証拠調べ請求の却下決定をすること。
請求された証拠の採否を留保することもできる。
←事案の内容と当該証拠の位置付けによっては、公判審理での証拠調の帰趨をみなければ取調の必要性が判断できないこともある。

裁判所は、公判整理手続においても、証拠決定をするに当たり必要がある場合には事実の取調をすることができる⇒証拠能力の有無を判断するための事実の取調も可能。
but
事実の真相は公判廷における証拠調によって明らかにされるべきという公判中心主義の要請。
検証調書や鑑定書の作成の真正が争われた⇒公判前整理手続において当該検証調書等の作成の真正についての証人尋問を行い、真正が立証されれば、321条3項、4項に基づき採用決定をすることができる。
自白の任意性立証のための証拠調~
多くの場合被告人の自白の信用性とも密接に関連⇒公判中心主義の要請からも、訴訟経済の要請からも、こうした証拠調は公判審理で行うべき。
類型証拠開示請求手続 規定 法316条の15
趣旨 検察官が請求する証拠の信用性を検討するために必要な証拠のうち、法定の類型に該当するものを開示させる制度。
検察官請求証拠の信用性を十分検討するには、類型証拠開示請求で開示させることのできる証拠はすべて開示させることが重要。
手続 刑訴法316条の15第2項のとおり、
㋐条文所定の各類型に該当すること
㋑当該証拠を識別するに足りる事項
検察官の証拠の証明力を判断するために必要であること
㋓被告人の防御の準備のために当該開示が重要である理由
を明らかにする必要がある。
弁護人において類型証拠開示請求書を作成し、これを検察官に提出。
裁定手続の可能性をにらみ、その写しを裁判所にも提出し、裁判所に何を開示請求したかを明らかにしている例が多い。
㋐類型該当性 刑訴法316条の15第1項
①証拠物(同項1号):
その存在または状態が事実認定の資料となる証拠方法。
いわゆる証拠物たる書面(307条)も含まれる。
ex.
○事件発生の過程で作成された会議の模様を記録したメモ
○携帯電話の通信履歴や預貯金口座の入出金明細を記載した書面

電話会社や金融機関において作成された原資料データと実質的に同一のものと認められる場合は証拠物。

×被留置者出入簿(留置人出入簿)
~その存在または状態そのものではなく、その記載内容が証拠資料となるy。
①携帯電話の通信履歴
②取調べ状況を撮影したビデオテープ
② 刑訴法321条2項に規定する裁判所または裁判官の検証調書(同項2号)

①と同様、客観的証拠として、開示対象類型とされる。
③ 刑訴法321条3項に規定する「検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面」またはこれに準ずる書面(実況見分調書等、同項3号)
ex.
収税官吏が作成した臨検顛末書など
④ 刑訴法321条4項に規定する、裁判所または裁判官が鑑定を命じた鑑定人作成に係る鑑定書またはこれに準ずる書面(鑑定書等、同項4号)
ex.
捜査機関から鑑定の嘱託を受けた者の作成した鑑定書など
⑤(イ)検察官が証人として尋問を請求した者の供述録取書(同項5号イ)

検察官請求に係るこれらの証人等の供述の証明力を判断する上で、当該証人等の従前の供述、すなわち、その供述経過を検討し、変遷、自己矛盾の有無や、その内容を確認することは、一般的に、類型的に必要性が高い。
⑤(ロ)検察官が取調べを請求した供述録取書等の供述者であって、当該供述録取書等が刑訴法326条の同意をされない場合には、検察官が証人として尋問を請求することを予定している供述録取書(同項5号ロ) ①西原の供述録取書
②山中の供述録取書
⑥ ⑤に掲げるもののほか(検察官において証人尋問を請求する予定のない参考人の教授鶴録取書等であって)、被告人以外の者の供述録取書等であって、検察官が特定の検察権請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とする供述録取書等(同項6号)
⑦被告人の供述録取書等(同項7号) 被告人の供述録取書
⑧ 取調状況の記録に関する準則に基づき、検察官、検察事務官または司法警察職員が職務上作成することを義務づけられている書面であって、身体の拘束を受けている者の取調べに関し、その年月日、時間、場所その他の取調べの状況を記録したもの(同項8号)

被告人に係るものに限られる
参考人や共犯者に係る取調状況記録書面は、主張関連証拠としての要件を備えた場合に開示されることになる。
当該証拠を識別するに足りる事項:
請求する証拠と他の証拠が区別できれば足りる。
ex.
「犯行現場の目撃者の供述を録取した書面」
「犯行現場を撮影した写真撮影報告書」等
検察官の証拠の証明力を判断するために重要であること
「重要性」を明らかにするには、「開示の請求に係る証拠と当該検察官請求証拠との関係」から、当該開示が特定の「検察官請求証拠の証明力判断」と実質的に関連するすることを示せばよい。
法は一定の重要な証拠を類型化⇒類型に該当すれば原則として重要性は示されている。
被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由:
基本的に上記重要性が明らかとなれば必要性も明らかとなる。
開示請求後 検察官の対応 被告人側から証拠開示請求を受けた場合に、開示に応じないときはその理由を告知しなければならない。(規則217条の24)
⇒必要に応じて求釈明する必要がある。
「該当なし」「法所定の該当書面は不存在」
⇒理由を明確にするため求釈明。
裁定請求 裁判所は、必要と認めるときは被告人または弁護人の請求により、決定で開示を命じたり、当該証拠の開示の時期もしくは方法を指定し、または条件を付することができる。(刑訴法316条の25,26)

十分理由があるにもかかわらず検察官が証拠を開示しなかったり、開示の条件に不当な点がある場合、裁判所に対し証拠の開示あるいは条件の取消し、変更を求める裁定を請求。
上記裁定には即時抗告でき(同条3項)、即時抗告に対する決定に対しては特別抗告できる(刑訴法427条、433条)。
証拠決定 検察官証拠に対し認否をし、これに基づき裁判所の証拠決定がされる。
予定主張の明示 規定 第316条の17〔被告人・弁護人の主張明示〕
被告人又は弁護人は、第三百十六条の十三第一項の書面の送付を受け、かつ、第三百十六条の十四及び第三百十六条の十五第一項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けた場合において、その証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張があるときは、裁判所及び検察官に対し、これを明らかにしなければならない。この場合においては、第三百十六条の十三第一項後段の規定を準用する。
②被告人又は弁護人は、前項の証明予定事実があるときは、これを証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない。この場合においては、第三百十六条の十三第三項の規定を準用する。
③裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、第一項の主張を明らかにすべき期限及び前項の請求の期限を定めることができる。
第316条の18〔被告人・弁護人の請求証拠の開示〕
被告人又は弁護人は、前条第二項の規定により取調べを請求した証拠については、速やかに、検察官に対し、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、当該各号に定める方法による開示をしなければならない。
一 証拠書類又は証拠物 当該証拠書類又は証拠物を閲覧し、かつ、謄写する機会を与えること。
二 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人 その氏名及び住居を知る機会を与え、かつ、その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの(当該供述録取書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧し、かつ、謄写する機会を与えること。
弁護人側から証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上および法律上の主張を明らかにし、証拠を提出。(刑訴法316条の17,18)
①(狭義の)証拠調請求を行って証明しようとする事実
②その他の事実上および法律上の主張
検察官の訴状記載の訴因について争う場合、①違法性阻却事由、②責任阻却事由、③自白の任意性、および④これらに関する事実関係等について記載。
自白の任意性に関しては、単に任意性を争うとの記載だけではなく、審理の計画を策定する限度で具体的な記載が必要。
重要な間接事実や重要な情状事実に関しても、必要に応じて主張する必要。
検察官が証明予定事実で主張する間接事実についてまで争うかを記載するかどうかについては、明らかにする義務があるとまではいえないが、被告人に有利であれば主張すべき。
主張関連証拠開示請求 心構え 類型証拠開示請求と異なり、類型に縛られることなく主張に関連する証拠を請求できる。

弁護人の主張に関連する証拠は、たとえ検察官の手元になくとも、検察官にとって取得可能であれば、それを検察官に取得させてでも開示を求める積極的な姿勢が重要。
要件・手続 主張に関連すると認められるものについて検察官に証拠開示を請求でき、検察官は原則的にこれに応じる義務がある(刑訴法316条の20)。
弁護人は
①開示の対象となる証拠を識別するに足りる事項
②自らの主張との関連性を明らかにする事項
③被告人の防御の準備のために必要な理由
の3点を述べることにより、証拠の開示を求めることができる。
類型による制限はなく、証拠の種類を問わず検察官に開示請求できる。
要件 ①証拠の識別:
「犯行現場の目撃者の供述を録取した書面」
「犯行現場を撮影した写真撮影報告書」等
②証拠と主張との関連性
「前記証拠は、本件現場での被告人がいかなる行動をとったかを示すものである」
③被告人の防御の準備のために必要な理由
関連性が明らか⇒必要性を示したことになる。
裁定手続 類型証拠開示請求と同様
警察官の取調べメモの開示 最高裁H19.12.25:
①刑訴法316条の26第1項の証拠開示命令の対象となる証拠は、必ずしも検察官が現に保管している証拠に限られず、当該事件の捜査の過程で作成され、又は入手した書面等であって、公務員が職務上現に保管し、かつ、検察官において入手が容易なものを含むと解するのが相当である。
②取調警察官が、同条に基づき作成した備忘録であって、取調べの経過その他参考となるべき事項が記録され、捜査機関において保管されている書面は、個人的メモの域を超え、捜査関係の公文書ということができる。これに該当する備忘録については、当該事件の公判審理において、当該取調べ状況に関する証拠調べが行われる場合には、証拠開示の対象となり得るものと解するのが相当である。
弁護人としては、この決定を踏まえ、検察官が保管していなくとも、捜査の過程で警察官が収集したと考えられる証拠については積極的に開示を要求できる。
弁護人の証拠請求 弁護人から証拠請求をし、これに対する検察官の意見を得、裁判所により証拠決定がなされる。
証拠請求に関する問題 証拠請求についての原則 検察官、弁護人いずれも証拠請求をする際には、
①証拠書類、証拠物を閲覧する機会を相手方に与えなければならない。(刑訴法316条の18第1号)し、
②証人、鑑定人、通訳人または翻訳人については、その氏名および住所を知る機会を与え、かつ、
③その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日おいて供述すると思料する内容が明らかになるものを閲覧し、謄写する機会を与えなければならない。(刑訴法316条の18第2号)
予定供述内容の開示 証人請求をなす際に、証人等の公判期日においえる供述内容が明らかになるものを閲覧し、謄写する機会を与えなければならない。
~ある程度証人等の供述内容の概要がわかるように記載する必要。
請求証拠 やむをえない事由によって公判前整理手続において請求することができなかったものを除き、公判前整理手続が終った後には証拠調べを請求することはできない(刑訴法316条の32)。
⇒公判前整理手続において請求できる証拠はすべて証拠請求しておく必要。
新たな主張については制限されていないが、新たな証拠調べが制限される以上、新たな主張を展開することも困難。
刑訴法328条の供述調書等の弾劾証拠については、公判での尋問を経なければ提出の必要があるかどうかわからない。??
第1回公判期日まで 整理手続終結 弁護人請求証拠の証拠決定が終れば、裁判所により事件の争点および証拠の整理の結果が確認され、公判期日を指定し、公判前整理手続は終了。
公判期日指定 刑訴法が予定しているのは連日「的」開廷。
尋問終了後から相当期間を開けて論告・弁論期日を入れるよう要求すべき。
争点整理結果の顕出 裁判所は、公判期日において当該公判前整理手続の結果を明らかにする。(刑訴法316条の31)
裁判員裁判ではこれにより、裁判員が公判前整理手続の内容等を知ることになる。
弁護人にとって顕出の内容が不十分⇒弁護側の冒頭陳述で補充して述べる必要がある場合もある。
できる限り早い段階で公判前整理手続調書を確認し、公判で裁判所が誤った調書を作成している場合等は、必要に応じて訂正を求める等しておく必要。
(誤った調書の記載を前提に公判手続を進められると、思わぬところで弁護人として対応困難に陥る場合もある得る。)
被告人の冒頭陳述 公判前整理手続に付された事件については、被告人側も、第1回公判期日において冒頭陳述(「証拠により証明すべき事実その他の事実上及び法律上の主張」)をしなければならない。(刑訴法316条の30)
主張予定事実を用いるか若干手を加えれば足りるとも考えられるが、冒頭陳述の目的は争点整理にとどまるものではなく、弁護人の公判廷における最初の主張であるから、予定主張に縛られず、被告人に有利な主張は積極的になすべき
その他 保釈の傾向 公判前整理手続に付され、しかも、第1回公判期日開廷前の否認事件でも、保釈が認められる事例が報告されている。
謄写費用 証拠開示によりその量が膨大となる。
期日間整理手続 第1回公判期日後に、事件の争点および証拠を整理する必要が生じた場合、裁判所は決定で期日関整理手続に付することができる。

各事犯共通
番号 証拠 作成者 各号該当性 参考事項 本件
1 総括捜査報告書 K 5,6 KからPへの事件送致時に作成されるものであり、捜査経緯・証拠関係等をまとめた上でK段階での事実認定・処理方針を記載したもの。証拠関係が複雑な事件や否認事件で作成されることが多い。
2 捜査の端緒に関する捜査報告書 K 5,6 内偵状況、情報提供状況等(Kによる事件認知経緯)
3 事件認知報告書 P 5,6 Pが独自に事件を認知した場合に作成するもの(Kからの送致事案で余罪を独自に立件する場合等も含む)
4 110番通報受理状況報告書 K 5,6 通報者から通信指令室への受理状況、通信指令室から各警察官への転送状況等(電話聴取書の形式であることが多い)
5 110番通報内容に関する捜査報告書 K 1,5,6 通報内容(文言)自体を報告書化したもの。通信指令室における受理用紙自体を証拠化することもある。
6 119番通報受理状況報告書 K 5,6 119番通報を受理した消防からKへの転送状況に関する報告書(電話聴取書の形式であることが多い)
7 通報者の供述調書 K 5,6
8 現場臨場状況に関する捜査報告書 K 5,6 Aの初期言動に関する報告も含む。現逮・緊連事業の場合には逮捕手続書のみの作成にとどまる場合が多い。
9 被害届、被害訂正書、告訴状、被害答申書等 K,V 5,6
10 被疑者の割出経過に関する捜査報告書 5,6 指紋、足跡、DNA、防犯ビデオ、車輛ナンバー、Nシステム、携帯電話通信履歴、関係者の供述等によるA割出経過をまとめた報告書
11 指紋採取報告書 3,5,6 指紋採取状況・地点を明らかにした報告書(遺留指紋が不鮮明で対照不能であることが多い)
12 指紋送付書・回答書 K 4,5,6 採取した指紋を指紋管理部門に送付した報告書及びその送付された指紋と保管されている指紋データと対照した結果(一致or一致指紋なし)の報告書
13 指紋対照に関する鑑定嘱託書・鑑定書 K 1,4,5,6 正式鑑定の嘱託書及び鑑定書(科捜研作成)。鑑定書には採取した遺留指紋が添付されて一致点が明らかにされているのが一般的
14 別機会に指紋が遺留された可能性の有無に関する報告書 K 5,6 犯人性立証のための価値を高めるため、犯行時以外にAが指紋遺留場所に立ち入る可能性や指紋遺留物に触れる可能性の有無を裏付ける捜査をすることが多い
15 足跡痕採取報告書 K 3,5,6 足跡痕採取状況・地点を明らかにした報告書(遺留足跡痕が不鮮明で対照不能であることが多い)
16 足跡痕対照に関する鑑定嘱託書・鑑定書 K 1,4,5,6 正式鑑定の嘱託書及び鑑定書(科捜研作成)。鑑定書には採取した遺留指紋が添付されて類似点が明らかにされていることが多い。対照結果については、「同一」と判定されるのは稀で、通常は「矛盾しない」にとどまる。
17 足跡痕の元となった靴の製造・販売状況に関する報告書 K 5,6 犯人性立証のための価値を高めるため、靴の製造期間、製造数、販売期間、販売数、販売場所等を絞り込む裏付け捜査をすることが多い
18 筆跡対照に関する鑑定嘱託書・鑑定書 K 1,4,5,6 遺留された犯人の筆跡とAの筆跡を対照して、その類似性を明らかにするもの(同一人によるものであることを完全に立証できるものではない)
19 DNA型採取に関する報告書 K 3,5,6 遺留血液、遺留精液等の身体組織の採取状況・採取場所に関する報告書
20 DNA型採取に関する鑑定嘱託書・鑑定書 K 1,4,5,6 正式鑑定の嘱託書及び鑑定書(科捜研作成)。鑑定書には対照の基礎となるDNAバンドの写真が添付されることあり。
21 DNA対照鑑定結果に関する一致確率算定の報告書 K 4,5,6 DNAの一致の確率が何分の1であるかを確認する報告書(DNA一致の度合いは事案によって異なる。科捜研技術吏員からの電話聴取書の形式をとるることもある)
22 Aから対照DNAを採取した手続書類 K 3,5,6 Aから血液等を採取する際の鑑定処分許可状、身体検査令状、採取状況報告書等
23 防犯ビデオテープの入手報告書・手続書類 K 5,6 防犯ビデオの管理者から防犯ビデオテープを入手した状況に関する報告書および任意提出書・領置調書等の手続書類
24 防犯ビデオの設置状況に関する報告書 K 3,5,6 防犯ビデオの設置状況を写真撮影するなどして明らかにしたもの
25 防犯ビデオテープの解析報告書 K 1,3,5,6 録画内容を写真化して報告書化したもの。
26 Aと防犯ビデオに録画された人物を対照する鑑定書等 K 3,4,5,6 防犯ビデオに録画された人物の写真とAの写真とを3次元に解析して●の類似を確認する鑑定(実施されるのは稀)や、Aを防犯ビデオ撮影場所に引当てして撮影することによって同一条件による撮影での類似性を確認する見分等
27 車輛ナンバーに基づく名義人割出に関する報告書、車両登録事項証明書等 K 5,6 車輛ナンバーから登録事項証明書を取り寄せて名義人を割り出す捜査に関する書類
28 車当たり捜査に関する報告書等 K 5,6 目撃されたのが不完全ナンバーである場合、その地域における該当車両の割出及び犯行時点での該当車両の利用状況(名義人からの事情聴取等)に関する裏付け捜査を行うことが多い。
29 Nシステム解析報告書 K 1,5,6 記録化されず、手持ち参考資料とされることあり。
30 高速道路料金所の通行状況報告書 K 1,3,5,6 高速道路の料金所で自動撮影される車輛ナンバー等に基づいて当該車輛の運行状況を解析したもの。
31 携帯電話等のデータ解析報告書 K 3,5,6 押収した携帯電話等を解析して着発信歴・メール着発信内容・電話帳内容等を明らかにした報告書等(既に消去されたデータも復元することが可能)
32 携帯電話等の通信履歴、その解析報告書 通信会社、K 1,3,5,6 携帯電話の発信歴(発信場所、発信日時、通話時間)の履歴を通信会社から証拠物として押収し、これをKが解析する(着信歴はない)。
33 各鑑定結果に関する電話聴取書 K 4,5,6 正式な鑑定書を作成するのには時間がかかるため、結果が出た時点で、便宜的に電話聴取書でその結果を明らかにすることが多い。
34 割り出したAに関する行動確認報告書 K 3,5,6 張り込み・尾行等にやって、Aの日常の行動や居住場所を確認して報告化したもの。
35 面割写真台帳及びさの作成報告書 K 1,5,6
36 面割状況・面通し状況に関する報告書 K 5,6
37 任意同行状況報告書 K 5,6
38 出頭状況報告書 K 5,6
39 各種令状請求書 K 5,6 逮捕状、捜索差押許可状、検証令状、鑑定処分許可状等の各請求書
40 各種令状請求の必要性に関する報告書 K 5,6 令状請求に当たって、それまでの捜査経緯・証拠関係をまとめた上で強制処分の必要性があるという意見を付した報告書
41 各種令状請求に際しての疎明書類 K 5,6 嫌疑を裏付ける証拠書類等(Pへの送致記録には綴られないものもある)
42 各種令状 J 1,5,6 令状の記載に誤記がある等の事情で手続の違法性が問題になるような場合には、令状自体が証拠物となる、1号での請求が可能。
43 各種令状執行の手続書 K 5,6 逮捕手続書(通達)、捜査差押調書等
44 各種令状執行時の写真撮影報告書 K 3,5,6 令状執行時には、令状を対象者に提示している状況や、押収物等を対照者が確認している状況等を写真撮影するのが一般的
45 現逮・緊逮手続書 K 5,6
46 任同・逮捕手続に関する報告書・電話聴取書 K,P 5,6 手続の違法性・相当性に疑義がある場合には、手続の詳細につき、Kが報告書化したり、PがKからの電話聴取書を作成することがある。
47 任意提出書。領置調書・所有権放棄書 K,P 5,6
48 各種証拠物 1 凶器、盗品、薬物、偽造物件、着衣、遺留物等
49 押収品目録 K,G 5,6 証拠押収品の一覧表
50 犯行現場・関係場所の写真撮影報告書・実況見分調書・検証調書 K 3,5,6 簡易なもの(略図、ポラロイド・デジタルカメラ写真)を早急に作成し、その後、正式なものを作成することが多い。
51 各種捜査報告書・電話聴取書 K,P 5,6 供述の裏付け・排斥に関わる事情、犯罪事実の特定に関わる事情等につき広く証拠を収集
52 借財状況に関する照会書・回答書 K,金融機関 5,6 Aの借財状況を明らかにするために金融業者からAとの取引履歴を開示を受けるもの(財産犯での動機・使途先の裏付けで行われることが多い)
53 犯行供用物件の入手先特定、処分先特定報告書 K 5,6 当該物件の製造・販売・購入状況の裏付け、処分場所での拾得届出状況の裏付け等
54 各種資料入手報告書 K,P,G 1,5,6 入手した資料の原本又は写しを添付した報告書
55 各種写真撮影報告書・計測報告書 K,P,G 3,5,6 証拠物の写真撮影・計測の報告書類(実況見分調書の形式であることも多い)
56 各種実験報告書・見分書 K,P,G 3,5,6 犯行現場・時間帯の人通り、明暗状況等関係者の供述を裏付け・排斥する事情につき、各種実験を行うことが多い。
57 酒気帯び・酒酔い鑑識カード K 3,5,6 飲酒していたAについては、交通事犯でなくても、飲酒検知が行われることが多い。
58 Vの供述調書 K,P 5,6 被害状況を録取した調書のほか、現逮事案以外では別調書で面割り・面通しによりAを特定した状況を録取することが多い。供述の変遷については別調書で変遷理由を録取していることがある。
59 関係者の供述調書 K,P 5,6 供述要旨を記載した捜査報告書にとどめることあり。供述の変遷については別調書で変遷理由を録取していることもある。共犯者、親族等公判で供述を覆す可能性が高い関係者については2号書面用にPSを作成することが多い。
60 引当捜査報告書 K 3,5,6 実況見分調書の形式であることが多い。犯行現場のほか、秘密の暴露の発見のため、前足・後足等(特に凶器等の投棄場所等)につき広く引当てを行うことが多い(個別に作成されている場合あり)。V等関係者の引当てを行うこともあり。
61 再現見分調書 K 3,5,6 A・Vによる再現のほか、重要なWについては目撃状況に関する再現を行うことあり。
62 精神鑑定依頼書・鑑定書 P,Dr 4,5,6 責任能力に疑義がある場合、勾留中において、精神鑑定を行うことあり(いわゆる簡易鑑定)。その依頼書にはPが問題点を簡潔に記載していることあり。
63 精神鑑定嘱託書・鑑定書 P,Dr 4,5,6 責任能力に疑義があり、簡易鑑定でも処分方針を決定しがたい場合、数か月鑑定留置をして、正式鑑定を実施する場合あり
64 Aの病状に関する裏付け資料 K,金融機関 5,6 責任能力に疑義がある場合、従前の治療記録・投薬状況を可能な限り遡って明らかにするほか、親族・近隣住人・近隣住人等からの聴取を行う(これらの裏付け資料は、精神鑑定の参考資料ともなる)
65 留置状況報告書 K 5,6 責任能力に疑義がある場合、留置場内での言動・投薬状況等について、留置責任者による報告書を作成することがある。
66 弁解録取書 K,P 7 外国人事件の場合、K段階では通訳人の即時手配が困難なことが多いので、最初に通訳人が電話で通訳した弁録を作成し、通訳人が到着した時点で改めて弁録を作成することあり(K弁録が2通)。
67 勾留請求書 P 5,6
68 接見禁止請求書 P 5,6
69 勾留質問書 J 7
70 勾留状 J 1,5,6
71 接見禁止決定書 J 1,5,6
72 上申書 A 7 Kは、否認から自白に転じた場合や余罪についての事白等の重要な供述について、Aに直筆の上申書を作成させることが多い。
73 AKS K 7 否認の場合や供述内容があいまいで裏付けもない等の場合には供述要旨を記載した捜査報告書にとどめることあり。自首事案の場合は最初に「自首調書」の表題でKSを作成する。身柄事件の場合は、Pへの送致前に、身上KS・簡潔な概要のKSを作成し、勾留延長事案の場合には勾留後延長前に少なくとも1通は作成する。
74 APS P 7 KSと同じく供述要旨を記載した捜査報告書にとどめることあり。供述に変遷がある場合には別調書で変遷理由を録取していることが多い。身柄事件で勾留延長事案の場合、勾留後延長前に少なくとも1通はPSないしは供述要旨を記載した捜査報告書を作成する。
75 取調状況報告書 K,P 8 取調べのたびに必ず作成される。なお、類型証拠の開示に当たり「不開示希望調書の有無及び通数」欄を不開示とした処分を適法とした裁判例あり(大阪高裁H18.6.26、判示1940号164p)。
76 取調メモ(手控え)、K・P間の連絡文書 K,P,G 1,5,6 事実上作成するもので、記録に綴られることは少ない。

薬物事犯
番号 証拠 作成者 各号該当性 参考事項 本件
1 取扱状況報告書 K 5,6 薬物事犯では、職質・任同等の経緯等において、Kの行為の違法性が問題にされることが多いため、その状況に関する取扱Kによる報告書が作成されることがある。
2 採尿状況報告書 K 5,6 Aの説得から採尿に至るまでの採尿経過を明らかにするもの
3 採尿状況の写真撮影報告書 K 3,5,6 採尿前に紙コップを洗う状況、実際の採尿状況、採尿容器に封印する状況等を撮影
4 強制採尿の必要性に関する報告書 K 5,6 薬物使用の嫌疑を根拠付ける事情とともに、任意採尿を拒絶した経過を記載し、強制採尿の必要性を疎明する。
5 強制採尿状況の報告書 K 3,5,6 医師による強制採尿状況について、写真撮影するなどしてその経過を明らかにするもの
6 薬物予試験結果報告書 K 3,5,6 薬物を当初発見した時点において、その場で簡易に判定できる器具を用いてその違法薬物性を確認し、その予試験結果に基づいて現逮等に至る。
7 尿中薬物濃度に関する報告書・電話聴取書 K,P,G 4,5,6 使用事犯において、最終使用から長期間経過している旨弁解するなどしたときに、科捜研技術吏員から、鑑定時の尿中濃度を確認した上で、その濃度から帰納できる合理的試用期間等に関する意見を聴取する。
8 薬効に関する報告書 K,P 5,6 性交時に相手方女性が陰部に薬物を塗布していたために自己の尿中から薬物が検出された等とAが不合理な弁解を弄するときに、その供述に基づく態様では尿中から薬物が検出されることがないことを明らかにする専門家意見や文献等を収集したもの
9 注射痕の写真撮影報告書 K 3,5,6 Aの体表に残る薬物使用の痕跡を証拠化するもの。なお、真に注射痕であるか否かやその形成時期の新旧に争いがある場合には、検証調書や医師による意見書等が作成されることあり。
10 押収手続書類・写真撮影報告書 K 3,5,6 Aの所持品、自宅・車中保管物等のAの身の回りのものにつき、薬物・注射器等のほか、紙くず、爪楊枝、ティッシュ片等に至るまで、あらゆるものを押収して写真撮影する。
11 無資格事実に関する照会書・回答書 K,地方自治体 5,6 薬物取扱資格がないことの確認
12 入手先の特定に関する資料 K 5,6 薬物等の入手先の特定のため、携帯電話のデータ解析やAの立ち回り先の捜査等を行う。

公判
第1回公判期日前の準備 規定 刑訴法 第299条〔証人等の氏名等開示と証拠等の閲覧〕
検察官、被告人又は弁護人が証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の尋問を請求するについては、あらかじめ、相手方に対し、その氏名及び住居を知る機会を与えなければならない。証拠書類又は証拠物の取調を請求するについては、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。但し、相手方に異議のないときは、この限りでない。
②裁判所が職権で証拠調の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
規則 第178条の2(第一回公判期日前における訴訟関係人の準備)
訴訟関係人は、第一回の公判期日前に、できる限り証拠の収集及び整理をし、審理が迅速に行われるように準備しなければならない。

規則 第178条の5(審理に充てることのできる見込み時間の告知)
裁判所は、公判期日の審理が充実して行なわれるようにするため相当と認めるときは、あらかじめ、検察官又は弁護人に対し、その期日の審理に充てることのできる見込みの時間を知らせなければならない。

規則 第178条の6(第一回公判期日前における検察官、弁護人の準備の内容)

検察官は、第一回の公判期日前に、次のことを行なわなければならない。
一 法第二百九十九条第一項本文の規定により、被告人又は弁護人に対し、閲覧する機会を与えるべき証拠書類又は証拠物があるときは、公訴の提起後なるべくすみやかに、その機会を与えること。
二 第二項第三号の規定により弁護人が閲覧する機会を与えた証拠書類又は証拠物について、なるべくすみやかに、法第三百二十六条の同意をするかどうか又はその取調の請求に関し異議がないかどうかの見込みを弁護人に通知すること。

2 弁護人は、第一回の公判期日前に、次のことを行なわなければならない。
一 被告人その他の関係者に面接する等適当な方法によつて、事実関係を確かめておくこと。
二 前項第一号の規定により検察官が閲覧する機会を与えた証拠書類又は証拠物について、なるべくすみやかに、法第三百二十六条の同意をするかどうか又はその取調の請求に関し異議がないかどうかの見込みを検察官に通知すること。
三 法第二百九十九条第一項本文の規定により、検察官に対し、閲覧する機会を与えるべき証拠書類又は証拠物があるときは、なるべくすみやかに、これを提示してその機会を与えること。

3 検察官及び弁護人は、第一回の公判期日前に、前二項に掲げることを行なうほか、相手方と連絡して、次のことを行なわなければならない。
一 起訴状に記載された訴因若しくは罰条を明確にし、又は事件の争点を明らかにするため、相互の間でできる限り打ち合わせておくこと。
二 証拠調その他の審理に要する見込みの時間等裁判所が開廷回数の見通しをたてるについて必要な事項を裁判所に申し出ること。

第178条の7(証人等の氏名及び住居を知る機会を与える場合)
第一回の公判期日前に、法第二百九十九条第一項本文の規定により、訴訟関係人が、相手方に対し、証人等の氏名及び住居を知る機会を与える場合には、なるべく早い時期に、その機会を与えるようにしなければならない。

第178条の8(第一回公判期日における在廷証人)
検察官及び弁護人は、証人として尋問を請求しようとする者で第一回の公判期日において取り調べられる見込みのあるものについて、これを在廷させるように努めなければならない

第178条の9(検察官、弁護人の準備の進行に関する問合せ等)
裁判所は、裁判所書記官に命じて、検察官又は弁護人に訴訟の準備の進行に関し問い合わせ又はその準備を促す処置をとらせることができる。

第178条の10(検察官、弁護人との事前の打合せ)
裁判所は、適当と認めるときは、第一回の公判期日前に、検察官及び弁護人を出頭させた上、公判期日の指定その他訴訟の進行に関し必要な事項について打合せを行なうことができる。ただし、事件につき予断を生じさせるおそれのある事項にわたることはできない。
2 前項の処置は、合議体の構成員にこれをさせることができる。
証拠調べ請求 規定 規則 第188条の2(証拠調を請求する場合の書面の提出・法第二百九十八条)
証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の尋問を請求するときは、その氏名及び住居を記載した書面を差し出さなければならない。
2 証拠書類その他の書面の取調を請求するときは、その標目を記載した書面を差し出さなければならない。

規則 第188条の3(証人尋問の時間の申出・法第二百九十八条)
証人の尋問を請求するときは、証人の尋問に要する見込みの時間を申し出なければならない。
2 証人の尋問を請求した者の相手方は、証人を尋問する旨の決定があつたときは、その尋問に要する見込みの時間を申し出なければならない。
3 職権により証人を尋問する旨の決定があつたときは、検察官及び被告人又は弁護人は、その尋問に要する見込みの時間を申し出なければならない。

規則 第189条(証拠調の請求の方式・法第二百九十八条)
証拠調の請求は、証拠と証明すべき事実との関係を具体的に明示して、これをしなければならない。
2 証拠書類その他の書面の一部の取調を請求するには、特にその部分を明確にしなければならない。
3 裁判所は、必要と認めるときは、証拠調の請求をする者に対し、前二項に定める事項を明らかにする書面の提出を命ずることができる。
4 前各項の規定に違反してされた証拠調の請求は、これを却下することができる。

第189条の2(証拠の厳選・法第二百九十八条)
証拠調べの請求は、証明すべき事実の立証に必要な証拠を厳選して、これをしなければならない。

判決につき
判決 詳細なメモをとる
(判決謄本の交付は時間がかかる。)
公判立会書記官に、判決謄本交付申請書を手交。
保釈 第1審で保釈されていて実刑判決⇒保釈の効力は失効するため、新たな保釈決定がないかぎり、被告人は判決直後に法廷から連れ去られ、そのまま収容される。(刑訴法343条、同法98条)
再保釈の場合は、権利保釈の規定が適用されない。(刑訴法344条)
再保釈を申し立てる先は、控訴提起前および控訴提起後訴訟記録が控訴裁判所に到達する前は、原裁判所(刑訴規則92条2項)。
準備 弁護人選任届・控訴申立書。
再保釈請求のため、保釈請求書、身元引受書、陳述書を準備。


判決
準備 執行猶予 判決後すぐには釈放されず、いったん拘置所等の勾留場所に連れ戻される。
被告人が釈放後居住場所を確保できない場合には、あらかじめ生活保護申請をしておく。
保護カードに因る更生緊急保護の制度もあるが、十分な保護が受けられないこともある。
実刑判決 保釈中に実刑判決⇒保釈が効力を失い(刑訴法343条)、収容される。
刑訴法 第343条〔禁錮以上の刑の宣告と保釈等の失効〕
禁錮以上の刑に処する判決の宣告があつたときは、保釈又は勾留の執行停止は、その効力を失う。この場合には、あらたに保釈又は勾留の執行停止の決定がないときに限り、第九十八条〔収容〕の規定を準用する。
上訴の準備のため、弁護人選任届、控訴申立書を準備しておく。
判決後の保釈 控訴提起前及び控訴提起後訴訟記録が控訴裁判所に到達する前は、原裁判所。(刑訴規則92条2項)
第92条(上訴中の事件等の勾留に関する処分・法第九十七条)
上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて勾留の期間を更新すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。
2 上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈若しくは勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合にも、前項と同様である。
3 勾留の理由の開示をすべき場合には、前項の規定を準用する。
4 上訴裁判所は、被告人が勾留されている事件について訴訟記録を受け取つたときは、直ちにその旨を原裁判所に通知しなければならない。
判決 保釈保証金の還付 無罪、執行猶予等の裁判の告知⇒勾留状はその効力を失い、保釈保証金の取戻しができる。(刑訴法345条、規則91条1項1号)
禁固以上の刑に処する判決の宣告⇒保釈はその効力を失い、被告人が収容されれば保釈保証金の取戻しができる。

刑罰
刑の執行猶予 規定 刑法 第25条(執行猶予) 
次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。
意義 刑の言渡に際して、犯情が軽く、現実に刑を執行する必要が認められない場合に、犯人に対して一定の期間その刑の執行を猶予し、その期間を無事経過すれば刑の言渡がなかったものとみなす制度。
有罪判決そのものの効力が失われるという点で、「条件付有罪判決」
要件 初度の執行猶予:
前に禁錮以上の刑に処せられたことのない者、あるいは禁錮以上の刑に処せられたことがあってもの、その執行を終りまたは執行の免除のあった日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことのない者が、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言渡を受けたとき、情状によって、裁判確定の日から1年以上5年以下の期間刑の執行が猶予され得る場合。(刑法25条1項)
再度の執行猶予:
前に禁錮以上の刑につき執行を猶予された者が、1年以下の懲役または禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがある場合について、同じく1年以上5年以下の期間その執行を猶予され得る場合。
ただし、保護観察付執行猶予の言渡を受けた者が猶予期間内にさらに罪を犯した場合は除かれる。(刑法25条2項)
効果 言渡された猶予判決が取り消されることなく猶予期間を経過すれば、刑の言渡はその効力を失う。(刑法27条)
刑の言渡に基づく法的効果が将来に向かって消滅するという趣旨であり、受刑の事実は次の猶予判決の欠格事由ではなくなり、また猶予期間中うけていた職業資格等の制限もなくなる。
執行猶予の取消 必要的取消(刑法26条):
①猶予の期間内にさらに罪を犯し禁錮以上の実刑に処せられたとき、
②猶予の言渡前に犯した他の罪について禁錮以上の実刑に処せられたとき
③猶予の言渡前に他の罪ついて禁錮以上の実刑に処せられたことが発覚したとき
裁量的取消(刑法26条の2):
①猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
②第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき。


簡易な手続
簡易公判手続 意義 比較的軽微な事件(法定刑が短期1年未満の懲役又は禁固にあたる罪)について、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述をしたときには、裁判所の決定により、簡略化された証拠調手続により審理を行う手続き。
刑訴法 第291条の2〔簡易公判手続の決定〕
被告人が、前条第三項の手続に際し、起訴状に記載された訴因について有罪である旨を陳述したときは、裁判所は、検察官、被告人及び弁護人の意見を聴き、有罪である旨の陳述のあつた訴因に限り、簡易公判手続によつて審判をする旨の決定をすることができる。ただし、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。
手続 検察官の冒頭手続が省略され、証拠調べの方法も適当と認める方法で行うことができ(法307条の2)、証拠とすることに異議を述べない限り伝聞法則も適用されない(刑訴法320条2項)。
弁護活動 供述調書の内容に問題がある場合には、簡易公判手続に付すべきではなく、付されたとしても簡易公判手続によることが相当でないとして決定の取消しを求める。(刑訴法291条の3)
問題のある証拠調べに異議を述べる(異議を述べると伝聞法則が復活する)。
即決裁判手続 規定 第350条の2〔即決裁判の申立手続〕
検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、書面により即決裁判手続の申立てをすることができる。
ただし、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。
②前項の申立ては、即決裁判手続によることについての被疑者の同意がなければ、これをすることができない。
③検察官は、被疑者に対し、前項の同意をするかどうかの確認を求めるときは、これを書面でしなければならない。この場合において、検察官は、被疑者に対し、即決裁判手続を理解させるために必要な事項(被疑者に弁護人がないときは、次条の規定により弁護人を選任することができる旨を含む。)を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げなければならない。
④被疑者に弁護人がある場合には、第一項の申立ては、被疑者が第二項の同意をするほか、弁護人が即決裁判手続によることについて同意をし又はその意見を留保しているときに限り、これをすることができる。
⑤被疑者が第二項の同意をし、及び弁護人が前項の同意をし又はその意見を留保するときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。
⑥第一項の書面には、前項の書面を添付しなければならない。
意義 事案が明白であり、軽微で争いがなく、執行猶予が見込まれる事件について、速やかに公判期日を指定して相当な方法により審理を行い、原則として即日に執行猶予判決を言い渡す手続。
2004年の刑訴法改正により新設。
要件 ①事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれるなど、即決裁判手続で審理するのが相当と認められる事件であること(刑訴法350条の2第1項)
②死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮にあたる罪でないこと(刑訴法350条の2第1項但書)
③被疑者の書面による同意があること(刑訴法350条の2第3項)
④被疑者に弁護士人があるときは、弁護人の書面による同意があるか、少なくとも意見を留保していること(刑訴法350条の2第4項5項)
以上①~④の要件を満たす場合に、検察官による即決裁判手続の申立てが行われる。(刑訴法350条の2第1項本文)
略式手続 意義 被告人の書面での同意を条件として、検察官による簡易裁判所への略式請求の申立てにより、公判手続を経ることなく検察官が提出した証拠のみにより100万円以下の罰金又は科料を課す裁判(略式命令)を言い渡す手続き。(刑訴法461条)