シンプラル法律事務所
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論点整理(国賠請求)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

行政法概説U(宇賀)   
第21章 公権力の行使に関する国家賠償   
    ◆1 国賠法1条の意義
    ◆2 公権力の行使 
◆      ◆3 国または公共団体 
◆      ◆4 公務員 
    ◆5 職務行為関連性 
◆      ◆6 違法性 
    ■(1) 意義 
  ■    ■(2) 法律上の争訟 
    ■(3) 学説・判例の概況
    ●1) 過失と違法性 
    ●2) 違法性についての基本的学説 
    ●3) 従前の裁判例の一般的傾向 
    ●4) 違法性相対説
  ●    ●5) 逮捕・起訴等の違法 
    ◎結果違法説と職務行為基準説 
職務行為基準説:
検察官は合理的な嫌疑があれば公訴を提起することが許される⇒無罪判決が確定したからといって起訴が当然に違法となるわけではない。
最高裁H1.6.29:「公訴の提起時において、検察官が現に収集した証拠資料及び通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば、右公訴の提起は違法性を欠くものと解する。」
結果違法説:
無罪判決が確定した以上、基礎や逮捕は国賠法上当然に違法となる。
    ◎公権力発動要件欠如説としての「職務行為基準説」 
この場合のいわゆる「職務行為基準説」は、起訴や逮捕という公権力発動要件の欠如をもって違法とする「公権力発動要件欠如説」。
    ●6) 裁判の違法
  最高裁昭和57.3.21:
「裁判官がした争訟の裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在したとしても、これによって当然に国賠法1条1項の規定に言う違法な行為があったものとして国の損害賠償責任の問題が生ずるわけのものではなく、右責任が肯定されるためには、当該裁判官が違法又は不当な目的をもってこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である」
担当裁判官が当事者の主張を取り違えたというだけでは、特別の事情があるものとはいえない⇒違法性を否定し、国賠請求を認めなかった。

公権力発動要件欠如説と区別された意味での職務行為基準説を採用。
違法性限定説。
行政法学的には、前記最高裁判決の見解は、国賠法上の違法事由を故意がある場合に限定したものととらえている。
◎違法性限定説の根拠(論点体系 判例行政法3 p371)) 
最判解説民事編(平成元年度)門口正人
「法治国家においては、行政も司法も立法権の定立した法規を執行する点において共通の面を有するが、前者が、結果を意欲しその実現を図ることを目的としていることから、関係人に不服がある場合に行政機関の自己判断に最後の決定権を認めることを留保しているのに対し、後者は、本来的に対立する当事者を前提として法律のみを基準に最終的な判定を与えるものであって自己完結的な判断作用を営むものである点に違いを見出すことができる。・・・・更にいえば、司法は、法秩序の維持と安定を確保し、民主政治の基盤たる法の支配を確立するために、裁判官のした事実の認定、法令の解釈適用及び具体的事案に対する判断について、上訴制度等を設けて当該訴訟手続内において是正されることを予定し、それによって得られた最終的判断は覆し得ないものとして尊重すべきものとし、また、裁判を担う裁判官は、その良心に従い独立して職権を行うこととされている。

裁判所又は裁判官のする職務行為は、民事・刑事事件に対する判決による処理から行政処分に類する事務手続にまで及ぶものの、仮にその職務行為に法規範に違背する瑕疵が存在したとしても、直ちに国家賠償法上の違法を問うべきではなく、同法上の違法をいうためには、当該職務行為の性質や内容のほか、不服申立手続の有無当該手続への当事者の参画の程度等の諸事情を考慮に容れた上、その違反が著しく不当あるいは不法であって、およそ裁判官としての誠実な権限行使と評価し難い程度に合理性を欠くものでなければならないということができよう。・・・前記昭和57年の判例の背景にある思想は、争訟の裁判に限らず広く裁判官の職務行為一般に妥当するといってよいであろう」。

違法性限定説は、
@司法が自己完結的な判断作用を営むものであること
A裁判上の瑕疵の是正は上訴・再審等によって是正されることが制度上予定されていること
B国家賠償請求の後訴において前訴の裁判上の瑕疵を是正することは、憲法上保障された裁判官の職権行使の独立との関係で問題が生じ得ること
を根拠とする。
◎遅延関係 
最高裁昭和47.12.20:高田事件

そもそも、具体的刑事事件における審理の遅延が右の保障条項に反する事態に至つているか否かは、遅延の期間のみによつて一律に判断されるべきではなく、遅延の原因と理由などを勘案して、その遅延がやむをえないものと認められないかどうかこれにより右の保障条項がまもろうとしている諸利益がどの程度実際に害せられているかなど諸般の情況を総合的に判断して決せられなければならないのであつて、たとえば、事件の複雑なために、結果として審理に長年月を要した場合などはこれに該当しないこともちろんであり、さらに被告人の逃亡、出廷拒否または審理引延しなど遅延の主たる原因が被告人側にあつた場合には、被告人が迅速な裁判をうける権利を自ら放棄したものと認めるべきであつて、たとえその審理に長年月を要したとしても、迅速な裁判をうける被告人の権利が侵害されたということはできない。

ところで、公訴提起により訴訟係属が生じた以上は、裁判所として、これを放置しておくことが許されないことはいうまでもないが、当事者主義を高度にとりいれた現行刑事訴訟法の訴訟構造のもとにおいては、検察官および被告人側にも積極的な訴訟活動が要請されるのである。しかし、少なくとも検察官の立証がおわるまでの間に訴訟進行の措置が採られなかつた場合において、被告人側が積極的に期日指定の申立をするなど審理を促す挙に出なかつたとしても、その一事をもつて、被告人が迅速な裁判をうける権利を放棄したと推定することは許されないのである。本件の具体的事情を記録によつてみるに、

 (一)本件は、第一審裁判所である名古屋地裁刑事第三部で、検察官の立証段階において、被告人朴鐘哲ほか二五名については昭和二八年六月一八日の第二三回公判期日、被告人趙顕好ほか三名については昭和二九年三月四日の第四回公判期日を最後として、審理が事実上中断され、その後昭和四四年六月一〇日ないし同年九月二五日公判審理が再び開かれるまでの間、一五年余の長年月にわたり、全く審理が行なわれないで経過したこと、
 (二)当初本件審理が中断されるようになつたのは、被告人ら総数三一名中二〇名が本件とほぼ同じころに発生したいわゆる大須事件についても起訴され、事件が名古屋地裁刑事第一部に係属していたため、弁護人側から大須事件との併合を希望し、同事件を優先して審理し、その審理の終了を待つて本件の審理を進めてもらいたい旨の要望があり、裁判所がこの要望をいれた結果であること、
 (三)大須事件が結審したのは、昭和四四年五月二八日であつたが、本件について審理が中断された段階では、裁判所も訴訟関係人も、大須事件の審理がかくも異常に長期間かかるとは予想していなかつたこと、
 (四)昭和三九年頃被告人団長および弁護人から、大須事件の進行とは別に、本件の審理を再び開くことに異議がない旨の意思表明が裁判所側に対してなされたこと、
 (五)本件被告人中大須事件の被告人となつていたもののうち五名が被告人として含まれていた、いわゆる中村県税事件、PX事件および東郊通事件が名古屋地裁刑事第二部に係属しており、本件と同様大須事件との併合を希望する旨の申立が昭和二七年頃弁護人からなされたが、右刑事第二部においてはこの点についての決定を留保して手続を進め、昭和三一年頃、全証拠の取調を完了したうえ、論告弁論の段階で大須事件と併合することとして、次回期日を追つて指定する措置をとつたこと、
 (六)本件審理の中断が長期に及んだにもかかわらず、検察官から積極的に審理促進の申出がなされた形跡が見あたらないこと、
 (七)その間、被告人側としても、審理促進に関する申出をした形跡はなく消極的態度であつたとは認められるが、被告人らが逃亡し、または、審理の引延しをはかつたことは窺われないこと、
 (八)その他第一審裁判所が本件について、かくも長年月にわたり審理を再び開く措置をとり得なかつた合理的理由を見いだしえないこと、の各事実を認めることができる。これら事実関係のもとにおいては、検察官の立証段階でなされた本件審理の事実上の中断が、当初被告人側の要望をいれて行なわれたということだけを根拠として、一五年余の長きにわたる審理の中断につき、被告人側が主たる原因を与えたものとただちに推認することは相当ではない。

次に、本件審理の遅延により、迅速な裁判の保障条項がまもろうとしている前述の被告人の諸利益がどの程度実際に害せられたかをみるに、記録によれば、
 (一)本件のうち、いわゆる高田事件、民団事件については、第二二回公判期日に行なわれた最後の証拠調までの間には、関係被告人らの具体的行動等についての証拠調はなされておらず、また同じくいわゆる大杉事件、米軍宿舎事件については未だ何らの証拠調もなされていなかつたこと、
 (二)検察官がかねてより申請していた高田事件の共謀場所であるとする旧朝連瑞穂支部事務所や民団事件の犯行現場である大韓民国居留民団愛知県本部事務所の検証について、その後右両事務所消滅のゆえをもつてその申請が撤回されており、その他地理的状況の変化、証拠物の滅失などにより、被告人側に有利な証拠で利用できなくなつたものもあるのではないかと危倶されること、
 (三)長年月の経過によつて、目撃証人やアリバイ証人はもとより被告人自身の記憶すら瞬味不確実なものとなり、かりに証人尋問や被告人質問をしたとしても、正確な供述を得ることが非常に困難になるおそれがあること、
 (四)各被告人の検察官に対する各供述調書につき、被告人らは当初よりすべてその任意性を争い、ことに多数の被告人らにおいて、右任意性の有無の判断の一資料として取調警察官による暴行脅迫の事実があつたと主張しているのであるが、取調当時から長年月を経過した時点において警察官の証人尋問を行なつても果してどの程度真実を発見し得るかは甚だ疑わしく、その争点についての判断が著しく困難になるおそれがあること、などの事実が認められる。したがつて、もし、本件について、第一審裁判所である名古屋地裁刑事第三部が、前記刑事第二部と同じ審理方式をとり、全証拠を取り調べた後、論告弁論の段階で大須事件との併合を予定し、次回期日を追つて指定することとしていたならば、右の被告人側の不利益も大部分防止できたものと思われるが、かかる措置がとられることなく放置されたまま長年月を経過したことにより、被告人らは、訴訟上はもちろん社会的にも多大の不利益を蒙つたものといわざるをえない

以上の次第で、被告人らが迅速な裁判をうける権利を自ら放棄したとは認めがたいこと、および迅速な裁判の保障条項によつてまもられるべき被告人の諸利益が実質的に侵害されたと認められることは、前述したとおりであるから、本件は、昭和四四年第一審裁判所が公判手続を更新した段階においてすでに、憲法三七条一項の迅速な裁判の保障条項に明らかに違反した異常な事態に立ち至つていたものと断ぜざるを得ない。したがつて、本件は、冒頭説示の趣旨に照らしても、被告人らに対して審理を打ち切るという非常救済手段を用いることが是認されるべき場合にあたるものといわなければならない。刑事事件が裁判所に係属している間に迅速な裁判の保障条項に反する事態が生じた場合において、その審理を打ち切る方法については現行法上よるべき具体的な明文の規定はないのであるが、前記のような審理経過をたどつた本件においては、これ以上実体的審理を進めることは適当でないから、判決で免訴の言渡をするのが相当である。
広島高裁H15.6.13:

民事事件の審理を担当する裁判官は,すべての事件について2か月以内に判決を言い渡すべき法的義務を負うものではないが,法2条の趣旨に違背することのないよう,できる限り迅速に判決言渡しをするように努めなければならず,事件が複雑である場合その他特別の事情がある場合でも,裁判官としての客観的良心ないしは職業倫理に従い,誠実に職務権限を行使しなければならないのであって,その判決言渡しについて,当該裁判官が違法又は不当な目的をもってこれを遅延したなど,裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような特別の事情がある場合には,当該裁判官の職務行為は,国家賠償法上違法の評価を受けるものというべきである。

この点,判決言渡しの遅延については,当事者に不服申立ての方途が認められていないことから,訴訟手続内で不服申立制度が確立している裁判内容や手続に関する違法や過誤を理由として国家賠償を求める場合とはいささか場面を異にするとも考えられる。しかしながら,判決書の完成の時期を左右する要素としては,当事者の主張や証拠評価の難易(記録や論点の多寡を含む。),判例・参考文献等の調査・入手の難易,他事件の審理・判決との時間調整の難易,合議の難易(合議事件の場合)等が考えられるところ,これらのうちのいかなる要素が判決書の早期作成に障害どなったかの点を,国家賠償請求の可否を審理する裁判所が,証拠に,よって,あるいは当該事件の受訴裁判所を構成する裁判官の証人尋問によって明らかにするというようなことは,裁判官の自由な心証や合議の秘密を害するおそれがあり,許容されないことは明らかである。

そうすると,判決言渡しの遅延を理由とする国家賠償請求においても,裁判内容の過誤等を理由とする国家賠償請求と同様,国家賠償責任が肯定されるためには,「当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判したなど,裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とする」(昭和57年3月最高裁判決参照)との,極めて例外的,かつ,裁判官の自由心証や合議の秘密を離れても立証可能な明確な基準によらざるを得ないと考えられる。
東京地裁昭和51.5.31:

国家賠償法一条一項にいわゆる違法とは、厳密な法規違反のみを指すのではなく、当該行為(不作為を含む)が法律、慣習、条理ないし健全な社会通念等に照らし客観的に正当性を欠くことをも包含するものと解するのが相当である。ただし、不法行為責任が元来損害の公平な分担を目的としているのみならず、今日では公務員が法令に基づかないで事実上職務行為を行っている場合(例えば行政指導等)が少なくないからである。
 ところで、本件における争点事項である民事訴訟において判決言渡をなすべき時期については、民事訴訟法一九〇条一項が「判決の言渡は口頭弁論終結の日より二週間内にこれをなす。但し、事件繁雑なるときその他特別の事情あるときはこのかぎりにあらず。」と規定しているが、右規定但書にも明示されているように、具体的事案の内容の難易によって判決言渡につき遅速が生ずることは当然であり、わが国における裁判実務の現況に照らすと、民事事件の判決言渡を口頭弁論終結後原則として二週間以内になすことは事実上不可能というべきであるから、右法条本文の規定はいわゆる訓示規定であると解せざるをえない。そして、この点について他に何らの規定も存しないから、民事訴訟において判決言渡をなすべき時期の決定は、一応担当裁判官の裁量に委ねられているものと解すべきである。
 
しかしながら、民事訴訟制度の本来の目的は私的紛争の解決にあり、迅速な裁判なくして権利保護の実現が著しく困難であることは多言を要しない。そして、わが国においても民事訴訟手続において当事者主義が採用されているが、口頭弁論終結後判決言渡がなされるまでの間に原則として当事者の訴訟行為が介在する余地はない。右に述べた民事訴訟制度の目的および機能、判決言渡行為の性質等に鑑みると、民事事件を担当している裁判官が口頭弁論終結後判決言渡を著しく遅延させ、右遅延が客観的に正当性を欠くと認められる程度に至った場合には、国家賠償法一条一項にいわゆる違法の要件が充足されたものと解するのが相当である。
 
そして、右遅延が客観的に正当性を欠くか否かは 単に遅延の期間のみならず、当該遅延の原因および理由のほか、当事者の被侵害利益の内容、当該事件の種類および内容等諸般の状況を総合的に考量して判断すべきものと解すべきである。
◎強制執行手続における救済手続の懈怠
最高裁昭和57.2.23:
不動産の強制競売手続における執行裁判所の処分は、債権者の主張、登記簿の記載その他記録にあらわれた権利関係の外形に依拠して行われたものであり、その結果、関係人間の実体的権利関係との不適合が生じることがありえる。
これについては、執行手続きの性質上、強制執行法に定める救済手続により是正されることが予定されている⇒権利者が当該手続による救済を求めることを怠ったため損害が発生しても、その賠償を国に対して請求することはできない。

損害を回避するための法的手段が付与されていれば、まずそれを用いるべきで、その行使を懈怠した者に対しては国賠請求を認めないという思考。
but
本判決の射程は、強制執行法上の救済手段の懈怠に限定され、上訴の懈怠、抗告訴訟の提起の懈怠にまで及ばないと解される。
◎レペタ訴訟 
公判を傍聴する際にメモをとることを許可されなかったレペタ氏が、精神的損害の賠償を求めて国賠請求訴訟(レペタ訴訟)を提起。
最高裁H1.3.8:
法定警察権の目的、範囲を著しく逸脱し、またはその行使が甚だしく不当であるなどの特段の事情がない⇒拡売法1条1項の違法性は認められない。
but
傍論で、法廷における筆記行為は、特段の事情がない限り、傍聴人の自由に任せるべきであり、それが表現の自由を保障した憲法21条1項の規定の精神に合致する⇒法廷における傍聴人によるメモは解禁。
    ●7) 立法の違法
    ●8) 行政処分の国家賠償法上の違法 
    ●9) 権力的事実行為の違法 
    ●10) 非権力的事実行為の違法 
    ●11) 規制権限の不行使の違法
  ●    ●12) 申請に対する不作為の違法 
    ■(4) 検討 
◆      ◆7 故意過失 
◆      ◆8 損害 
◆      ◆9 公務員の個人責任 


国家賠償法
法律の構成 1条〜6条まで
公務員の不法行為と賠償責任・求償権(1条) 国又は公共団体の公権力の行
使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
A前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
営造物の設置管理の瑕疵と賠償責任、求償権(2条) 規定 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
A前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
権力的な活動ではない⇒民法が重畳的に適用され得る。
営造物の設置又は管理に瑕疵があったか否かについては、当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的個別的に判断すべき。(最高裁昭和53.7.4)
賠償責任者・求償権(3条) 前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
A前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。
4条 国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。
民法の特別法⇒民法が補充的に適用。
5条 国又は公共団体の損害賠償の責任について民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。
6条 この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。
国家賠償制度 確立 違法な行政活動によって生じた損害を国家が賠償するもの。
確立は、フランで1900年代、kアメリカやイギリスで1940年代、日本では第二次体制後。
憲法 憲法 第17条〔国及び公共団体の賠償責任〕
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
判例:国賠法が成立するまでの空白期間の間、国に対する損害賠償責任はできないという立場。(同条から直接に損害賠償請求権が発生するのではなく、同条は立法の指針(プログラム規定))
最高裁H14.9.11:
郵便事故に関して国の免責を定める郵便法の規定につき、書留郵便については郵便業務従事者に故意又は重過失があった場合、特別送達郵便物についてはさらに軽過失があった場合にまで、それぞれ国の沿ない賠償責任を免除・制限している部分が、憲法17条に違反し無効であるとした。

特別法による国家賠償責任の軽減につき、憲法17条が単なるプログラム規定にとどまらず、立法府の裁量にしばりをかけ、合憲性判断の基準として一定の規範性を有することを示す。
機能 行政事件訴訟法が定めるようなタイトな訴訟類型が問題とならず、損害賠償請求という単純な法律構成で出訴して訴訟追行が可能
⇒法律実務家にとって使い勝手が良い。
行政訴訟が機能不全に陥っていることとあいまって、事実上その代替機能を果たしている。
■国賠法1条 ■国賠法1条
責任の性質 国賠法1条:国または公共団体の公権力の行使に基づく損害賠償責任を規定。
A:代位責任説(通説・判例):
1条の本質について、本来責任を負うべき者が公務員であることを前提に、その責任を国・公共団体が当該公務員に代位して負担することを定めたもの。

@1条1項が公務員個人の主観的要件(故意・過失)を賠償責任成立の要件としている。
A同条2項が公務員に対する求償権を定めている。

B:自己責任説
代位責任説⇒加害公務員・加害行為の特定が必要。l
but
加害公務員・加害行為の特定は原則的に要求されているにとどまり、被害者に角の立証責任を負わせることにならないよう、厳密な特定性は要求されないと解されている。
最高裁昭和57.4.1:
役所内の定期健診における診断ミスが争われた事例において、公務員による一連の職務上の過程において他人に被害を生ぜしめた場合:
@具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、
A一連の行為のいずれかに行為者の故意・過失による違法行為があったのでなければ被害が生ずることはなかったであろうと認められ、
Bどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者に属する国・公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するとき、
国家賠償責任が成立し得ることを認めた。

一連の行為を組成する各行為がすべて同一の行政主体の公務員の職務上の行為である場合に限定され、一部にそうでない行為が含まれる場合には妥当しない。
規定 第1条〔公務員の不法行為と賠償責任、求償権〕
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
A前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
■賠償の要件
■賠償の要件 ●国・公共団体
「国又は公共団体」の範囲は、基本的に「公権力の行使」の解釈に従属し、「公権力の行使」をした者が帰属する団体がこれに該当する。
●公権力の行使
広義説(通説・判例):
国または公共団体の作用のうち、純粋な私経済作用(私人の活動と全く同じ性質の活動)と2条にいう営造物の管理作用を除くすべての作用を、「公権力の行為」に含まる見解。

国家賠償法を広く非権力的活動も含めた行政作用に関する被害者救済法として扱う。
ex.
公立学校での教育活動(最高裁昭和62.2.6)、行政指導(最高裁H5.2.18)、公表(東京高裁H15.5.21)。
●公務員
公務員法制(国家公務員法・地方公務員法等)によってその法的身分が定められている身分上の公務員に限定されず、公権力の行使を委ねられている者を広く含む。
解釈のポイントは「公権力の行使」概念。
行政事務の民間委託との関係で国賠法1条1項の適用が争われる事例:
  • 指定確認検査機関(指定法人)が行った建築確認につき、建築主事による確認の事務と同様に地方公共団体の事務⇒その事務が帰属する行政主体は当該建築物につき確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体。(最高裁H17..6.24)
  • 児童福祉法27条1項3号に基づいて県が行った入所措置により、社会福祉法人が設置運営する児童養護施設に入所した児童との関係で、施設の長は本来都道府県が有する公的な権限を委譲されてこれを都道府県のために行使⇒施設職員等による養育監護行為は都道府県の公権力の行使にあたる公務員の職務行為であるとして、国賠法1条1項の適用を肯定。(最高裁H19.1.25)
  • 特別区による家庭福祉員によるお幼児虐待の事例において、家庭福祉員は区の公務員・被用者ではないとしつつ、区長・担当職員は家庭福祉員の調査を怠り、虐待が続発するのを放置し、制度運営要綱に所定の権限をを行使しなかった点に過失を認め、その権限不行使が著しく合理性を欠く違法なものであるとして、告場義責任を認めた。(東京地裁H19.11.27)
●職務行為
「職務行為」を厳密に解釈すると、被害者の救済という見地から問題が生じる。

外形標準説(通説・判例):
職務行為を、客観的に見てその外形が職務行為と認められる場合
最高裁昭和31.11.30:
職務質問を装って金を奪うことを企図した警察官が相手を射殺した事案について、1条は、公務員が主観的に権限行為の意図をもつ場合に限らず、事故の利を図る意図でする場合でも、客観的に職務行為の外形をそなえる行為をして、これによって他人に損害を加えた場合には、国・公共団体に損害賠償の責を負わしめ、広く国民の権益を擁護する趣旨。
●故意・過失と違法性
●過失の客観化
過失の認定にあたって、行為者がなすべきことをしなかった行為(予見可能な結果に対する結果回避義務違反)を把握し、これに対応する内心の注意義務違反の存在を想定。
●違法性の意義
A:結果不法説:
行政活動によって生じる被害(結果)に着目し、被侵害法益の側から、法の許されない結果を発生したことにつき違法性を認定する見解。

B:行為不法説(判例)
公務員の違法な行為に着目し、侵害行為の態様の側から、法に違反する行為をしたことにつき違法性を認定
スピード違反でパトカーに追跡された車が逃走し、それが原因となって起きた事故で第三者が負傷した事案について、パトカーの追跡行為が違法であるというためには、追跡が職務目的を遂行する上で不必要であるか、具体的状況において追跡の開始・継続・方法が不相当であることを要する。(最高裁昭和61.2.27)
判例は、行為不法説を前提に、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたか否かによって違法性を判断する考え方(職務行為基準説)

公務員の行為が結果として特定の規範に反することがあったとしても、行為当時の状況を基準として当該公務員がなすべきことをしていたかという観点から違法性が否定される場合があり得る。
所得税の更正処分について、当該処分が所得金額の過大認定を理由に取消訴訟で一部取り消され、処分の違法が判決により確定しているとしても、そのことから直ちに1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り違法となる。(最高裁H5.3.11)
市町村町が住民票に法定の事項を記載する行為は、たとえ記載の内容につき記載に係る住民等の権利・利益を害するとことがあったとしても、そのことから直ちに1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、市町村町が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と行為をしたと認め得るような事情がある場合に限り違法となる。(最高裁H11.1.21)
違法な通達により在外被爆者の健康管理手当支給が打ち切られた事例において、通達を作成・発出し、これに従った失権取扱いを継続した国の担当者の行為は、公務員の職務上通常尽くすべき注意義務に違反するものとして1条1項の適用上違法であり、当該担当者に過失があることも明らかである。(最高裁H19.11.1)

通達の発出につき、担当者には「相当程度に慎重な検討を行うべき職務上の注意義務」があったとし、職務行為基準説によりつつ違法性を認め、さらに過失も認定して国家賠償責任を肯定。
●違法性と過失の二元性
違法性について行為不法説に立ち、職務行為基準説を前提⇒違法性は、当該公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたかが検討されることになるが、その判断は、客観化した過失と概ね重なる。

判例のとる職務行為基準説に立つと、違法性と過失の二元性が失われ、両者の判断内容が実質的に重複する結果、過失があるときには常に違法性があり、過失なないときには違法性もない、ということになる。
国賠法において違法性と過失が一元化すると、国賠法上の違法性取消訴訟上の違法性乖離する。
行政処分以外の行政活動について、たとえば学校被害者の国賠請求事件などでは、教師の行為に注意義務違反があったかという一元的判断により、違法性と過失が認定されている。(最高裁昭和58.2.18)

学校事故のようなケースでは、教師の行為が厳密な行為規範に基づいているかが問題なのではなく、被外の発生について一般的な予見可能性・回避可能性が主要な争点となるため、民法上の不法行為法との違いは小さい。
●取消訴訟と国家賠償の関係
行政処分の取消訴訟における違法性は、その処分に係る特定の条項への違反を想定している。⇒国賠法上の違法性につき職務行為基準説(判例)にたつととすると、同じ「違法性」という言葉が取消訴訟と国家賠償請求訴訟で異なる意味で用いられることになる。(違法性二元論)
法概念の相対性ということからすれば、両制度のもとで違法性の内容が異なっても理論上の問題はない。
違法性一元論⇒国賠法1条の適用場面で、違法性と過失の二元的判断の必要性を強いる。
違法性と過失の二元的判断をする判例:
担当公務員が結果的に誤った解釈により処分をしてしまった場合、国会賠償請求訴訟でも当該処分は違法とされる一方、担当公務員には過失がなかったとしたもの。(最高裁H16.1.15)
在監者の幼年者との接見禁止を定めた旧監獄法施行規則を無効と判断しつつ、接見を許さなかった拘置所長の過失を否定した判例。(最高裁H3.7.9)

行政処分が法定要件を満たす適法なものであれば、国民の権利利益の制約を法律が許容していると解されるため、裁判所は、国家賠償の事案であっても、まず取消訴訟と同一の法制判断を行い、その後あらためて事案に即して過失要件につき判断したもの。
●特殊な公務員の違法
●行政の不作為
●  ●申請に対する不作為
最高裁H3.4.26:
水俣病認定の遅延につき、不作為の違法確認訴訟でこれを違法とする判決が確定した後、さらに不作為状態が継続したため、認定遅延に精神的苦痛に対する慰謝料等が請求された事件について、不作為の違法確認訴訟における違法と、国賠法における違法性を峻別するという判断を示した。

処分遅延という状態での不作為が申請者に対する不法行為として成立するためには処分庁の作為義務言いが必要としつつ、行政手続上の作為義務が直ちにこれに対応するものではないとする。
その上で、「一般に、処分庁が認定申請を相当期間内に処分すべきは当然であり、これにつき不当に長期間にわたって処分がされない場合には、早期の処分を期待していた申請者が不安感、焦燥感を抱かされ内心の静穏な感情を害されるに至るであろうことは容易に予測できることであるから、処分庁には、こうした結果を回避すべき条理上の作為義務がある」とし、この作為義務に違反したといえるには、「客観的に処分庁がその処分のために手続上必要と考えられる期間内に処分できなかったことだけでは足りず、その期間に比して更に長期間にわたり遅延が続き、かつ、その間、処分庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに、これを回避するための努力を尽くさなかったことが必要」と判示。」

現在では、平成16年の行政事件訴訟法改正によって新設された義務付け訴訟の活用により紛争を処理することが適切。
国賠法1条と民法との差異 民法715条1項但書⇒使用者が免責される条件について規定
国賠法1条1項は免責条項なし。
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民法715条による使用者の免責はほとんど認められないので、実際上の差異は小さい。
民法715条で国・公共団体の責任を求める場合、709条などを適用して担当公務員個人に対する損害賠償責任を追及することができる。
国賠法1条について、判例は、被害者たる原告の側は公務員個人に対して直接損害賠償を請求できない(最高裁昭和30.4.19)。
国賠法1条1項について「国又は公共団体がその被害者に対して賠償の責めに任ずることとし、公務員個人は民事上の損害賠償責任を負わないこととしたもの」とし、この趣旨からすれば、国・公共団体以外の者の被用者が第三者に損害を加えた場合であっても、国・公共団体が1条1項に基づく損害賠償責任を負う場合には、被用者個人が民法709条に基づく損害賠償責任を負わないのみならず、その使用者も同法715条に基づく損害賠償責任を負わないと解するのが相当と判示(最高裁H19.1.25)。