シンプラル法律事務所
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論点整理(「子の引渡し請求」関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

■子の引渡し請求
規定 民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
家事事件手続法 第244条(調停事項等)
家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。
家事事件手続法  第257条(調停前置主義)
第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。
2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。
3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。
家事事件手続法 第266条(調停前の処分)
調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。
2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。
3 調停前の処分は、執行力を有しない。
4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。
家事事件手続法 別表2B
家事手続法 第157条(婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分)
家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる
一 夫婦間の協力扶助に関する処分
二 婚姻費用の分担に関する処分
三 子の監護に関する処分
四 財産の分与に関する処分
人事訴訟法 第32条(附帯処分についての裁判等)
裁判所は、申立てにより、夫婦の一方が他の一方に対して提起した婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分、財産の分与に関する処分又は厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十八条の二第二項の規定による処分(以下「附帯処分」と総称する。)についての裁判をしなければならない。
2 前項の場合においては、裁判所は、同項の判決において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。
人事訴訟法  第30条(民事保全法の適用関係等)
人事訴訟を本案とする保全命令事件については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)第十一条の規定は、適用しない。
2 人事訴訟を本案とする保全命令事件は、民事保全法第十二条第一項の規定にかかわらず、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する家庭裁判所が管轄する。
3 人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とを一の訴えですることができる場合には、当該損害の賠償に関する請求に係る保全命令の申立ては、仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。
方法 @子の監護に関する処分としての「子の引渡し」
A@に附随する審判前の保全処分としての「子の引渡し仮処分」
B調停のために必要であると認める処分
C離婚訴訟に附帯請求する子の引渡請求(人訴32条1項1項)
DCを本案とする保全処分(人訴30条1項)
E離婚後、親権あるいは監護権に基づく妨害排除請求(民事訴訟)
FEを本案とする保全処分(民事保全法)
G人身保護請求(人身保護法)
H刑事告訴による方法
AGが多いが、原則はA。
子の監護に関する処分 ●離婚前の場合 
離婚に至るまでの暫定的な処分として子の監護者を決定すると同時に、子の引渡しが命じられる。
東京高裁H15.1.20:
夫(父)の不貞と暴力から不和になり、心神の衰弱もあって、単身で家を出た妻(母)から、3名の子(中学生、小学5年、小学3年)の引渡しを求めた事案:
・・・
父と子の面接交渉に柔軟に対応する意向を示している母に子らを監護させ、父母双方との交流ができる監護環境を整えて、子らの情緒の安定、心神の健全な発達を図ることが望ましい
⇒母を監護者として子の引渡しを命じた原審を支持し、夫からの即時抗告を棄却。
●離婚後の場合 
離婚後も、子の監護に関する処分として、引渡しを求めることができる。
実際の紛争形態としいては、相手方からは、対抗する形で親権者あるいは監護者の指定・変更を申し立て、監護の正当な権限を求めることが多い。
非親権者・非監護者から引渡請求をする場合にも、自分への親権者の変更またあh監護者の指定の申立てと併せて請求することが多い。
どちらの場合も、引渡しを認める基準は、親権・監護者の決定・変更の場合と同様。
東京高裁決定H15.3.12:
離婚後、母が2名の子(7歳男子、5歳女子)の親権者になったが、事情で父が2名を引き取ったため、母が子の引渡しを求めた事案。
原審:
男子が父を慕っていること、父母の間でこの環境に優劣はないことなど⇒女子の引渡しのみを認めた。
抗告審:
離婚後親権者になった者が、非親権者であって監護者でもない者に対して、子の引渡しを求める場合には、他方には子の引渡しを拒絶する法律上の根拠はない。

「子の福祉を実現する観点から、本件申立てが子の福祉に反することが明らかな場合等特段の事情が認められない限り、本件申立てを正当として認容すべき」とし、兄弟そろって母が養育監護することが今後の成長にとって好ましく、男子も小学1年である可塑性があることから、2人について引渡しを認めた。
●親権者の適格性 
■場合   @別居中の夫婦間で申立てられる場合(民法766A類推)
A離婚の際又は離婚後に夫婦間で申し立てられる場合(民法766A)
B未婚の父母間で申し立てられる場合
@の別居中の夫婦間の場合、監護者の指定が併合して申し立てられるのが通常
■調停段階での保全処分 規定  家事事件手続法 第105条(審判前の保全処分)
本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。
2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。
第244条(調停事項等)
家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。
第39条(審判事項)
家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。
別表第2
3 子の監護に関する処分
民法第七百六十六条第二項及び第三項(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十
一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)
民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
■審判前の保全処分   ■審判前の保全処分(家手法157@(3))(要件事実Xp167〜)
●例
@別居中の夫婦間で、子の監護者指定の審判申立てを本案とし、保全処分として子の引渡しを請求
A別居中の夫婦で既に監護者の指定があったり、これまで申立人による監護が黙認されてきた場合には、監護権に基づく子の引渡し請求を本案として、保全処分として子の仮の引渡しを請求
B離婚後、親権者または監護者から、親権または監護権に基づく子の引渡しの申立てを本案として、保全処分として子の引渡しを請求する。
C離婚後、非親権者・非監護者から、親権者・監護者の変更の申立てを本案として、保全処分として子の引渡しを請求する。 
●主文・申立ての趣旨 
相手方は、申立人に対し、未成年者を仮に引き渡せ。
●要件 
引渡しの強制行為が子にダメージを与える⇒「仮」にすぎない引渡しを安易に認めるべきではない。
A:被保全権利につき本案審判と同レベルの存在を必要とする見解:
保全の必要性に加え、本案が認容される蓋然性が発令の要件となる(梶村・吉村)⇒実質的審理が必要(梶村)。
保全処分と本案審判の結論が逆になることは絶対に避けるべき(中山)。
B:保全の必要性を厳格に解する見解:
以下の諸事情と、子をめぐるその他の事情を総合的に検討し、引渡しの強制執行がされてもやむを得ないと考えられるような必要性がなければ、保全の必要性は認められない(東京高裁H24.10.18)。
@監護者が子を監護するに至った原因が強制的な奪取又はこれに準じたものであるかどうか
A虐待の防止、生育環境の急激な悪化の回避、その他の子の福祉のために子の引渡しを命ずることが必要かどうか
B本案の審判の確定を待つことによって未成年者の福祉に反する事態を招くおそれがあるといえるかどうか
●執行期間の制限
子の仮の引渡しの審判が債権者に送達された日から2週間を経過したときは、その執行をすることができなくなる(家手109B、民保43A)。
●その他 
子の仮の引渡しの執行により生じた状態(例えば債権者に引き取られた後の子の状況)を本案審判において判断資料にすることも許される(判例)。
監護者指定・子の引渡しの審判がされた後に、事情の変更が生じた場合、相手方は事情変更を理由に、監護者を相手方に仮に変更すること及び子の引渡しの強制執行を許さないことを求める審判前の保全処分を得ることが考えられる。
●保全が認められた例 
・・・・外部的には急迫、危険な状態はみとめられないとしたが、子が1歳3か月足らずの乳幼児であること、「年齢的にみてその精神的発達上ことのほか母親の監護養育が緊要である年代であり、かつその機会を逸することは子にとり将来の発育上重大な禍根を残すことになりかねない」こと、出生依頼母の許で監護養育されていたところを、突然母親の許から引き離され、育児の不得意な父の実母に養育されていること、子の情緒の安定性を確保する必要があること
⇒子の仮の監護者を母と定めたうえ、父に対し子の引渡仮処分を命じた。
(神戸家審昭和59.11.27)
男子(4歳)につき、同居時は父母が協力して養育にあたり、父母間で愛情および熱意などどの点においても差がなかったが、母が父の承諾なく子らを連れて家を出た後、調停で面接交渉のルールを決めて面接交渉を行ったところ、面接交渉中に父が衝動的に子を連れ去り、1か月ほど経過したという事案で、衝動的連れ去り行為からして、父は子の福祉を一番に据えて行動できるか疑問であり、きょうだいは別々に育てることは好ましくない
父に子の引渡しの仮処分を命じた
■申立て   子の引渡しの法的性質は、親権(監護権)を行使するにつきその妨害の排除を求めるもの(判例)。 
●子に意思能力がない場合 
子に意思能力なし⇒子の直接の引渡しを求めることができる。

子の引渡しを、妨害排除請求にとどまらず、引渡請求としての性質も有すると解するもの。
8歳未満の子は定型的に意思能力なし。
8歳以上の子は、親子の支配関係を個別に判断すべき。
but
7歳の子の意思を尊重した例もある。
●子に意思能力がある場合 
子に意思能力がある場合
@権利者が、子が拘束されている場所に立ち入って子を連れ出すのを、義務者が妨害しないこと
A子が権利者のもとに自ら赴くのを権利者が受容するが、義務者がこれを妨害しなこと
を求めることができる。
◎記載例等
■子の引渡しの判断基準    ■子の引渡しの判断基準 
●判断基準 
いずれの親に監護させた方が子の福祉に適するかという実質的観点から判断(比較衡量基準)(東京高裁H15.1.20)
◎監護者の適格性 
子に、物質的及び精神的安定性を保証できるかが判断基準
監護意欲、監護能力(健康、性格、経済力、愛情等)、監護実績、居住環境、看護補助者の援護態勢の有無等が考慮
それは、将来を見通した態勢が検討される。
◎子の事情 
従来の環境への適応状況、環境への変化への適応能力等が考慮される
◎子の意思 
15歳以上の子の陳述を聴かねばならない(家手法152A)が、15歳未満でも、子の意思が考慮されるべき。
10歳前後から、ある程度考慮される。(7、8歳以降から考慮されるとする見解もある。)
子の意思が明らかになったが、それが子の自由意思によるものではないとした例(最高裁昭和61.7.18)(11歳、監護親の言動に強く影響)。
◎乳幼児期における母性優先の原則 
従前の実務では、「母親」優先の原則が有力な原則
but
次第に、「母親」優先の原則の機械的適用は好ましくないとされるようになった。
母親であることを理由にするのが性差別にあたるとの見解。
(米国でも、母性優先の原則は連邦憲法平等保護条項違反とされる。)
◎監護の継続性維持の原則・主たる養育者優先の原則 
子が一方の親の下で一定期間以上平穏に生活⇒現状を尊重するのが原則。
but
出生から現在に至るまでの全体から検討されるべきであり、従前の主たる養育者が現在の監護者ではない場合、主たる養育者を優先すべき場合もある。
現在の監護の継続性のみを重視⇒子の奪い合いを助長しかねない(松本)
主たる養育者の監護に問題がある場合や、監護態勢や生活環境が顕著に劣る場合など
主たる養育者であることを重視しない(松本)。
一般に、母が主たる養育者となる場合が多い⇒主たる養育者優先の原則を絶対視するのは相当ではない(母親優先と同じことになる)(山口)。
子の現在の環境への適応状況も考慮されるべき(松原)。
子の年齢が高くなると、本原則の重要性は低くなり、代わって、子の意思が重要度を増す。
◎きょうだい(=兄弟姉妹)不分離の原則
総合判断の中の考慮要素となる。
◎その他 
面会交流の拒否(米国でも、面会交流を認める親を適格とする「フレンドリーペアレントルール」が採用)
不貞行為の存在:子に好ましくない影響を与えるものであれば、考慮要素となり得る。
DV等
●違法な監護の開始の場合 
非監護親が、監護親から子を奪取して自らの元で監護を開始した場合や、面会交流後に監護親に子を戻すことなくそのまま自ら監護を続けた場合など、違法に監護を開始した場合。
公園などで、監護親が目を離した隙に幼児である子を連れて帰ってしまうような場合も、有形力の行使はないものの、違法性が強いといえる(大阪高裁H17.6.22)。
子を電話で呼び寄せた場合や、監護親の不在の間にその同居者の了解を得て子を連れて出た場合のように、穏当な方法による場合でも、監護親の法的利益を侵害するものとして違法とされる場合がある。
but
別居中の夫婦の場合、非監護親も親権者であるし、いまだ監護者が指定されていない段階であれば、その態様や状況によっては、違法と評価されない場合もある。
◎従来の実務 
違法な監護が開始された場合であっても、家庭裁判所の審判では、比較衡量基準
⇒監護の開始の違法のみを理由にこの引渡しを認めるのではなく、それは、その者の監護者としての適格性を評価する一事情と考えるべきである。
ex.違法に監護が開始された場合であっても、その余の事情との総合衡量により、引渡しを認めなかった例(大阪高裁H21.9.17)
◎近時の傾向 
待ち伏せをして子を奪取するなど、監護開始の違法性が強い場合について、厳しい態度をとる裁判例が多い。
〇子の仮の引渡しを認めるもの 
子の仮の引渡し(審判前の保全処分)と本案である子の引渡しとで判断基準を区別し、前者では、監護の開始が違法であることを理由に子の仮の引渡しを認めるが、後者では、比較衡量基準を貫徹するもの
形式上は比較衡量基準を貫徹するもの 
違法な監護開始が、監護者としての適格性を疑わせる事情に当たると解することで、形式上は比較衡量基準をとりつつも、結果として子の引渡しを肯定するもの(大阪高裁H17.6.22)。
vs.
違法な監護開始と監護者としての適格性は必ずしも直結しない
〇比較衡量基準によらず、端的に、違法な監護開始を理由に、子の引渡しを認めるもの 
現状容認では違法行為の追認になりかねないとして、特段の事情がない限り、子の引渡しを認めるべきとした例(東京高裁H17.6.28)
面会交流後に子を監護親に戻さなかった場合に、面会交流の際の約束違反を理由に、子の引渡しを認める見解(松本)
■強制執行   ■強制執行 
●直接強制 
「引き渡せ」タイプの主文⇒子の引渡しの直接強制を認めるのが、近時の実務。
執行機関:子の現在地を管轄する地方裁判所所属の執行官。
執行の際、債権者又はその代理人の立会が必要(民執法163B類推)。
●間接強制 
 
 
刑事手続 刑法 第224条(未成年者略取及び誘拐) 
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
別居中の妻が監護していた男子(2歳)を父が無断で連れ去った行為が、父に親権があったとしても未成年者略取罪にあたるとされた例(青森地裁八戸支部H16.3.9)

DVがあり、妻の申立てにより、夫に対する保護命令が2度出されており、鼠形ヘルニアにかかっている男子の手術が必要であるにもかかわらず、夫は同居していた別の女性に依頼して、この男子を保育園から連れ出させ、沖縄県へ行って暮らしていた。
⇒夫は逮捕され、処分保留のまま釈放
⇒再度、保育園からの帰途、男子を奪取して車で逃走
⇒懲役1年、執行猶予4年
人身保護請求 人身保護法 第2条〔救済の請求権者〕
法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されている者は、この法律の定めるところにより、その救済を請求することができる。
A何人も被拘束者のために、前項の請求をすることができる。
ある者が法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されているときに、被拘束者自身または他の誰からでも、裁判所に対して、自由を回復させることを請求することができる制度。 
  ★特別抗告・許可抗告
特別抗告   規定 家事事件手続法 第94条(特別抗告をすることができる裁判等)
家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。
説明 高等裁判所の家事審判事件についての決定に憲法上の解釈の誤りがある場合、その他憲法の違反がある場合、特別抗告をすることができる(法94条)。 
許可抗告  規定 家事事件手続法 第97条(許可抗告をすることができる裁判等)
高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。
説明 高等裁判所の家事審判事件についての決定に対し、当該決定をした高等裁判所(=原裁判所)が許可した場合に限り、最高裁判所(=抗告裁判所)に抗告をすることができる(法97@)。 
上記許可がされるのは、原決定に、最高裁判所の判例(これがない場合は、大審院(又は上告・抗告裁判所である高等裁判所)の判例)と相反する判断があるなど、法令の解釈に関する重要な事項を含むと原裁判所が認めた場合(法97A)。