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論点整理(面会交流(面接交渉)関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

梶村太市(裁判例からみた面会交流、調停・審判の実務)
規定 民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
   第1章 問題の所在
  ■1 改正民法766条の意義 
規定 民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
  ■2 原則的実施論の台頭と弊害の発生 
  原則的実施論
@子を連れ去るおそれがある、
A子を虐待するおそれがある、
BDV等配偶者への虐待のおそれがある、
等の3原則に類型化し、これらに該当しない限り、原則的に面会交流を認める方向で運用するというもの。

平成20年前後頃から、東京家裁を中心に唱えられ初め実際に実務で採用され始めた。
   
  ■3 原則的実施論は明白基準説=抗弁説 
  原則的実施論⇒
「面接交渉の権利性については諸説が提唱されており、また、抽象的には子の福祉の観点から実施の可否を判断することになると思われるが、実務上は、基本的に、非親権者との面接交渉が実施されることが子の福祉に資するとの考え方の下で、面接交渉の実施により子の福祉が害されるような事情がない限り(回数や時間等の条件は調整するとしても)これを実施すべきであるとの考え方をとる審判例が多くなっているものと思われる

監護者である相手方が子の利益に反することを明白に主張立証しない限り、原則として面会交流を実施すべきであるというもの。
  最高裁H12.5.1:
面会交流は監護者の監護教育内容と調和する方法と形式において決定されるべきものであり、子の利益の観点から非監護親と監護親双方の事情を総合的・相対的に比較考量していずれが子の利益に適うかを審理判断すべきもの。
  ■4 最高裁決定・実施の主流は比較基準説=請求原因説 
  ■5 原則的実施論の問題点
  ■6 検討対象の論文 
第2章 裁判例   
     
     
第3章 裁判例の分析と原則的実施論の問題点   
     
     
第4章 調停・審判の在り方   
     
     

判例(面接交渉)  
  間接強制 (最高裁H25.3.28)
    規定  民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
  否定@
H24(許)41号
子を監護している監護親と子を監護していない非監護親との間で、非監護親と子との面会交流について定める場合、子の利益が最も優先して考慮されるべきであり(民法766条1項)、面会交流は、柔軟に対応することができる条項に基づき、監護親と非監護親の協力の下で実施されることが望ましい。
給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する(廃止前の家事審判法15条、現家事法75条)。
監護親に対し、非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判は、少なくとも、監護親が、引渡場所において非監護親に対して子を引き渡し、非監護親と子との面会交流の間、これを妨害しないなどの給付を内容とするのが一般であり、そのような給付については、性質上、間接強制をすることができないものではない。

監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において、
@面会交流の日時又は頻度、
A各回の面会交流の長さ、
B子の引渡しの方法が具体的に定められているなど
監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合には、
上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。
1か月に2回、土曜日又は日曜日に面会交流
1回につき6時間面会交流

面会交流の頻度や各回の面会交流時間の長さは定められている
but
長男及び二男の引渡しの方法については何ら定められていない

本件審判においては、相手方がすべき給付が十分に特定されているとはいえない
⇒本件審判に基づき間接強制決定をすることはできない。
  否定A
H24(許)47号
本件調停条項(ア)における面会交流をすることを「認める」との文言の使用によって直ちに相手方の給付の意思が表示されていないとするのは相当ではない。
調停条項(ア)は、面会交流の頻度について「2か月に1回程度」とし、各回の面会交流時間の長さも、「半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)」としつつも、「最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。」とする

必ずしも特定していない。
調停条項(イ)において、
「面会交流の具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、抗告人と相手方間で協議して定める」

本件調停条項は、抗告人と長男との面会交流の大枠を定め、その具体的な内容は、抗告人と相手方との協議で定めることを予定。
⇒相手方がすべき給付が十分に特定されているとはいえない
⇒本件調停調書に基づき間接強制決定をすることはできない。
  肯定@
H24(許)48号
  子の面会交流に係る審判は、子の心情等を踏まえた上でされているといえる。

監護親に対し非監護親が子との面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判がされた場合、子が非監護親との面会交流を拒絶する意思を示していることは、これをもって、上記審判時とは異なる状況が生じたといえるときは上記審判に係る面会交流を禁止し、又は面会交流についての新たな条項を定めるための調停や審判を申し立てる理由となり得ることは格別、上記審判に基づく間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではない。
  その他  
大阪高裁H22.7.23 子の監護に関する処分(面接交渉)審判に対する抗告事件 
判示 面会交流について頻度及び一回当たりの面会時間を段階的に増加させる内容を定めた事例
要旨 長期間にわたり非監護親との面会交流が実現しなかったこと、未成年者が幼少であることなど判示の事情の下においては、段階を踏んで面会交流を実施し、店稲hさとの信頼関係を醸成すべきであるから、面会交流について頻度及び一回当たりの面会時間を段階的に増加させる内容を定めるのが相当である。 
主文  原審判を次のとおり変更する
抗告人兼相手方Bが抗告人兼相手方Aに対し、本決定添付別紙面会要領記載の内容で、未成年者を抗告人兼相手方Aと面会させる義務があることを定める。
抗告人兼相手方Bは上記義務を履行せよ。
抗告人兼相手方A及び抗告人兼相手方Bのその余の抗告をいずれも棄却する。
手続費用は各自の負担とする。
  ●面会要領 
◎面会交流の日時 
ア 平成22年8月、10月、12月、平成23年2月の各第2日曜日の午前10時から午前11時
イ 平成23年4月以降平成24年2月までの偶数月の各第2日曜日の午前10時から午後零時
ウ 平成24年3月以降平成25年2月までの各月の第2日曜日の午前10時から午後2時
エ 平成25年3月以降毎年各月の第2日曜日の午前10時から午後4時
◎面会交流の方法 
ア 相手方又はその指定する親族等は、面会交流の開始時刻に〇〇駅改札口付近において、未成年者を申立人に引き渡す。
イ 申立人は、面会交流の終了時刻に同所において、未成年者を相手方又はその指定する親族等に引き渡す。
ウ 相手方又はその指定する親族等は、未成年者が小学校に入学するまでの間、未成年者と申立人との面会交流に立ち会うことができる。
◎予定日の変更 
未成年者の病気その他やむを得ない事情により上記1のアないしエの日時を変更するときは、当該事情の生じた親は、他方に対して速やかに連絡して、双方協議の上、振替日時を定める。ただし、振替日時は、原則として、予定日の1週間後の同時刻とする。
申立人と相手方とは、未成年者の福祉に慎重に配慮し、申立人と未成年者との面会交流の円滑な実施につき互いに協力する。
申立人と相手方とは、申立人と未成年者との面会交流との面会交流の日時、方法等について変更を要するときは、互いに誠実に協議する。

梶村太市(判例時報2177号) 
  親子の面会交流原則的実施論の課題と展望
規定 民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
●最大決昭和40.6.30 非公開家事審判合憲決定 
憲法 第82条〔裁判の公開〕
裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
非公開手続で審理判断される同居審判手続(民法752条)が憲法82条1項の対審判決公開主義に反しないかどうかの問題に関して、同審判手続は夫婦の同居義務自体を終局的に確定する本質的民事訴訟事項についてのものではなく、審判はその具体的内容を定める本質的非訟処分であるから憲法82条等に違反しない。
コメント 面会交流に関する審判が面会交流権という実体的権利の確定手続であれば、それは民事訴訟事項であって、非公開の家事審判手続で審理判断することは憲法に違反。
これをクリアするには、面会交流権なるものは実体的権利=実体的請求権ではないと性質決定しなければならない。

面会交流原則的実施論はこの課題を背負わされた。
要件事実の規定のない非訟事件の性質を有する同居の審判等の乙類審判は、例えば夫婦同居の義務等の実体的権利義務自体を確定する趣旨のものではなく、家庭裁判所が後見的立場から、合目的の見地に立って、裁量権を行使してその具体的内容を形成する裁判であって、公開の法廷によける対審・判決によることを要しない。
いわば非訟事件は、実体的権利義務の確定とは異なる一種の司法的行政処分であって、権利義務の存在を前提とはしない。
●     ●平成8年改正要綱試案説明 
欧米各国や韓国民法など諸外国の立法には「親子の権利」として規定する例が多い。
「監護について必要な事項」の一内容にとどめ、面接交渉の権利性を明確にしなかった。
「諸外国の立法例には、面接交渉を親の「権利」として規定するものもみられるが、現在の我が国の社会環境、家庭の状、国民の意識などを考慮すると、面接交渉の権利性を強調することは適当ではなく、かえって実務の混乱を招くおそれがある」
  ●最高裁H12.5.1 
別居中の非監護親も、民法766条の規定を類推適用して、子との面会交渉を求めることができる旨判示。
担当調査官は
「面接交渉の内容は監護者の監護教育内容と調和する方法と形式において決定されるべきものであり、面接交渉権といわれるものは、面接交渉を求める請求権というよりも、この監護のために適正な措置を求める権利である」と解すべき。
●     ●平成23年改正法の立法趣旨
韓国民法837条の2第1項:「子を直接養育しない父母の一方と子は、お互いに面接交渉できる権利を有する」
韓国民法のように、「親子が面会交流する権利」であると規定しなかったのは、「それが権利として認められるのか。認められるとして親の権利か子の権利化、その法的性質はどのようなものかなどについて、なお議論が分かれている」から、「この監護について必要な事項の例示として面会交流を明記するにとどめた」 

意識的明確に実体的権利説を採用しなかった。
見解  規定 民法 第877条(扶養義務者) 
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
●面会交流の非権利性
面会交流も養育費も法的権利ではない。 
民法877条から子自身の親に対する扶養請求権は導かれるが、両親同士が互いに養育費請求権を有するとは民法766条は法的構成していない。
扶養義務がある者同士の分担に関する適正協議請求権があるに過ぎない。
同じ子の監護に関する処分の類型である子の引渡し請求は、それを親の監護権などに基づく引渡請求権(妨害排除請求権)を訴訟物とする場合であれば、それは民事訴訟事項であって、審判事項としての子の監護に関する処分の範疇に属しない。
この監護に関する処分の一類型としての子の引渡請求が請求権の行使でないのと同様に、面会交流の申立ても請求権の行使ではない。
もし請求権の行使ではないとするのであれば、それは本質的民事訴訟事項であるから、非公開の決定で審理判断する家事審判手続きは憲法82条1項に違反し無効となる。
●調停規範と説得(説明)基準 
調停は判決等の裁判と異なり、法規範だけでなく「条理」がその規範となる。
調停規範は強行規定や効力規定に違反してはいけないという制約を受けるけれども、それ以外では法規範からは相対的独自性を有する。 
面会交流は、それについて適正な協議を求める権利であるに過ぎず、協議やそれに代わる調停・審判がなければ権利として成立せず、最初から相手にそれを請求できるというような実体的請求権ではないにしても、子の利益の観点から見てそれを実施すべきであると事情があれば、面会交流を実施する方向で調停を進めることはできる。
調停では、所詮は合意による解決であるから、権利として成熟していなくても、規範に取り入れて説得(説明)の基準とすることができる。それは権利である必要はなく、法的保護に値する利益であればよい。
端的に「子の利益を最も優先して考慮」した結果であればよい。
●    ●審判規範と判断基準 
〇  家事事件手続法別表第2事件は、当事者の協議(調停)に代わる処分として、調停規範の延長線上にある。
家事審判の手続は非訟事件手続であって、その判断基準は裁量性・自由処分性が顕著であり、要件事実の存在が確認されれば、裁判前・裁判外で客観的に権利の中身が確認される訴訟手続とは本質的に異なる。
審判規範は、具体的な法や正義の宣言としての機能あるいは関係当事者の行為規範設定の機能がある。
しかし他方、審判は当事者の協議に代わる審判であるから、調停規範と審判規範とは、前者が当事者の合意を前提とするのに対し、後者は裁判所の一方的裁断であるところに違いがある。
審判規範は当事者間の協議・調停での議論の延長線上にある⇒審判に至るまでの具体的事情が当然に考慮されるべき。 
当事者が当該具体的な事情のもとに合理的に判断したならば当然に成立したはずの合意内容によって構成されるべきもの。
それが「協議に代わる処分」の意味。
協議に代わる処分の手続の構造は
@まず当事者の協議で決める
A協議が調わないとき、あるいはできないときに、はじめて家庭裁判所が関与する。
B関与の仕方は当事者の協議・調停のプロセスを考慮・尊重して、その線上で決める。

家庭裁判所は、当事者の立場に立って、これまでのプロセスをたどればこういうことになるのではないか、という提案をするのが審判。
大阪高裁決定平成21.1.16
子と非監護親との面会交流は、子が非監護親から愛されていることを知る機会として、子の健全な成長にとって重要な意義があるから、面会交流が制限されるのは、面会交流をすることが子の利益を害すると認められる例外的な場合に限られる(明白基準)。

合意を調達するための調達規範としてはともかく、調停で合意が成立しなかった場合の審判規範としては、このような立言は成立しない(梶村)。 
  ●間接強制規範 
規定 民事執行法 第172条(間接強制)
作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。
3 執行裁判所は、前二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。
4 第一項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。
5 第一項の強制執行の申立て又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6 前条第二項の規定は、第一項の執行裁判所について準用する。
面会交流が調停条項や審判主文どおりに任意に履行されなかったときは、強制執行の一類型である「間接強制」(民執法172条)が可能とするのが、最近の判例実務の傾向。 


面接交渉(面接交流)
規定 民法 第818条(親権者)
成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
民法 第820条(監護及び教育の権利義務) 
親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
2 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
3 前二項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
家事審判法 第9条〔審判事項〕
家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。

 乙類
四 民法第七百六十六条第一項又は第二項(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他子の監護に関する処分
権利性 面接交渉の権利性は、現在ほぼ認められている。(手続法p500)
@自然権説
A監護に関連する権利説
B親としての自然権であるとともに監護に関する権利説
C親権の一権能説
D子の権利説
「父母の婚姻中は、父母が共同して親権を行い、親権者は、子の監護および教育をする権利を有し、義務を負うものであり(民法818条3項・820条)、婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合であっても、子と同居していない親が子と面接交渉することは、子の監護の一内容であるということができる。そして、別居状態にある父母の間で右面接交渉につき協議が調わないとき、または、協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法766条を類推適用し、家事審判法9条1項乙類4号により、右面接交渉について相当な処分を命ずることができると解するのが相当である」(最高裁H12.5.1)
面接を認めることによる子の福祉に反する事情が具体的に存在し、かつ、その蓋然性が高い場合には認められない。
ex.
面接交渉を望む親が扶養義務を果たさない場合
子や子と監護親との関係に悪影響を及ぼすおそれのある場合
暴力を振るうおそれがある場合
子を奪取するおそれのある場合
子が望まない場合

離婚で壊れる子どもたち(棚瀬一代)
米国での運用 米国の面接交渉:隔週末に1回の交流は、金曜日の夕方5時ぐらいから日曜日の夕方7時時ころまでの2泊3日。泊りがけ⇒生活を共にする。p36
米国では、別居親には「相当なる面会交流権」(多くの場合、月2回金曜日の夜から日曜日の夜まで2泊3日での面会交流)が非常に強い法的権利として与えられている。
別居段階で、70〜80%の子どもたちが、少なくとも隔週ごとに別居親と接触していることが分かる。しかも裁判所の感如なしに自発的にである。さらに月1回あるいは休暇や特別の日、あるいは不規則な接触をも含めるなら別居親と子どもの交流は、95〜97%という高率になる。
こうした数字は、両親が別れても、別居親には「相当なる面会交流権」が与えられるという法規範が、人々の意識に深く浸透していることを示しているといえる。p147
米国では、別居親のみならず、祖父母にも孫と面会交流する権利が与えられることが多い。
これは、親が離婚しても、子どもにはできるだけ多くの人たちから愛されるチャンスを与えていくことが、子どもが親の離婚による傷を癒し、健康な人生を生きていく上で欠かせないとの認識。p40
離婚・別居の影響 女の子の場合、必ず「自分のお父さんは、どんなお父さんだったのだろう?」と気にかかりだす。青年期になり異性との親密性を求める段階になって、同世代の異性には全く興味が湧かず、父親世代の異性に父親像を追い求めるという問題となって現れてくることが多い。p51
女の子は、一般的には、男の子よりも適応が良いが、親密な関係性をもつような年ごろになって、親の離婚の影響が遅延効果となって現れる可能性があると指摘されている。p105
3歳〜5歳:
「三つ子の魂百まで」といわれるように、この時期に自分および世界をどう認識するかは生涯にわたって子どもに影響を与え続ける。
基本的に道徳的な判断をしないのが特徴であり、離婚の事実を知っても、どちらの親が悪いかの判断をしない。
よほど同居親が他方の親の悪口を言うとか、子ども自身が両親間のDVを目撃したり、暴力被害を受けたりということがない限り、この時期の子どもは、普通は中立的なスタンスをとる。p53
記憶のスパン:5歳ぐらいまでは記憶のスパンが非常に短い⇒会わないと記憶から親が消えていしまう。
米国では、面接交流を週2〜3回は行っていた。p56
離別家庭の子どもは平均的に適応が悪い:p77
より多くの問題を抱え、その身体的・心理的・社会的適応度が低くなる。
離別家庭および再婚家庭の子どもは、反社会的な行動や、権に社へのより直接的な攻撃的行動、仲間との対人関係の困難さ、抑うつ状態や学習困難、中途退学者が多い。
親の離婚を経験した成人は、心理的安寧感が少なく、行動上の問題が多く、教育程度や生活水準が低く、結婚生活での満足感かが少なく、離婚する危険性が高く、心理的に不健康であることが多いという報告。
非離別家庭の子どもでも、環境に問題がある場合は、深刻な悪影響を被る。(p80)
両親がともに子どもをとても可愛がっている場合には、離婚は葛藤からの解放であるという意味では救いとなるが、その後に片方の親と会えなくなったり、母親が急に働き出して不在になったりすると、そう単純に、離婚が子どもにとって救いであるとはいえない。p85
離婚で子どもの心が壊れていく実例 葛藤の多い離婚事例において、「子どもの福祉」の名のもとに、いかにして子どもと別居親が互いに疎外されているか、その過程でいかに子どもの心が壊れていくの具体例。p163〜
@面会交渉の拒否⇒5年後「パパには会いたくない。顔も知らない人だし・・」と意思表明。
「お父さん嫌い!」「面会交流の時間がもったいない!」「1年に1回会うだけで充分!」「私たちに私たちに関わらないで!」という言葉を吐き続けた。
D母親が、子どもたちに、父親が母親と子どもたちを「迫害する存在」であると妄想を吹き込み、「○○さん」とよぶようになる。子どもの目には母親は「100%善人」父親は「100%悪人」である。
事例の特徴@(p173)
夫婦の一方が相手との話し合いもせず子どもを連れて勝手に別居。
〜米国では子どもの「拉致」に当たり、犯罪行為となる。
(日本では、母親が子どもを連れて勝手に家を出ることは、違法行為とみなされないどころか、その後の親権・監護権の争いにおいて、「監護の継続性」という視点から、母親に継続的に親権・監護権が付与されることになる。)
米国で、片親が勝手に子どもを連れて家を出て、その後、別居親と子どもの面会交流を妨害し続けるということがあれば、別居親が面会交流を求めた時点で、この勝手に家を出た親は、「友好的親条項」、つまり「離婚後の子どもの監護について争いがあるときんは、別居親に対してより友好的である親、つまり別居親に子どもをより頻繁かつ継続的に会わせるであろう親に監護権を与えることにする」という条項から判断して、監護親としてふさわしくないとの判断がなされ、親権・監護権は別居親へ付与されることになる。

祖父母の離婚への介入の問題も、別居親と子どもが疎外され、かつ子どもが壊れていくプロセスに寄与する1つの大きな要因になっている。
特徴Ap176
別居親と子どもとの接触を嫌って、面会呼応龍に理不尽に抵抗している。
自分の全配偶者に対する思いと、子どもの父親に対する思いが、別であるかもしれないということへのイマジネーションが見人も働かないほどの、親子の境界がなくなってしまっている。
親と子どもとの境界のない癒着した状態は、子どもの思いへの共感力の欠如であり、子どもの思いを自分の思いで支配し、子どもを親の思いに服従させてしまう行為。
心理的虐待に該当する行為であり、「共有精神病性障害」に該当する「片親疎外という病」である。
母親の悪意⇒
その血の半分を受け継ぐ子どもたちに、父親に対する尊敬の念をもたせないように仕向ける行為もまた、子どもたち自身の自尊感情を深く傷つけていく行為であり、「心理的虐待行為」である。p183
こうした深刻な片親疎外の情況に置かれた子どもは、監護親の愛情を失わないために大きな代償を払っている。
@認知のゆがみ⇒パラノイア的パーソナリティーとして固まっていく可能性がある。
実は誰よりも自分たちを愛している父親を、自分たちを迫害する恐ろしい人物であると信じて、その姿を視野に入れることすら拒否し、泣き叫ぶ姿に顕著に表れる。
A監護親に見捨てられないために、監護親の思いを100%鵜のみにして生き、結果として「無自己」で生きることを強いられる。「支配ー服従関係」に生きることを強制。

明らかに「心理的虐待行為」である。
乳幼児期から「無自己」で生きた者が長じたとき、深刻な抑うつ感や希死念慮といった悲惨な後遺症を引きずることになる。
父親との関係の重要性 離婚後の子どもと別居親である父親との頻繁かつ継続的な接触の重要性、特に、別居親である父親との良い関係を継続することが、子どもの精神的な健康にとって決定的に重要であることを指摘。p135
面接された子どもたちは、「もっともっと父親と会いたい」との思いを吐露。p136
子どもに虐待などの危害が及ぶような例外的な場合を除いて、子どもの権利条約に謳われているように、こどもには両親との継続的かつ直接的な接触を保証すべき方向に向かうべき。p129
面接交渉の権利性 子どもの権利条約:
1994年に子どもの権利条約を批准
9条3項
「締結国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する。」
日本の現状 日本では、別居親を子どもから排除していこうとする際にDV申立てがされることが非常に多い。
日本の場合、家庭裁判所が独自の調査を行うことなく、申立人の言葉そのままに「監護親や子どもが未だに怯えている」からという理由で、面会交流を禁止する判例が多い。
⇒DVを理由として離婚し申請し、別居親と子どもとの面会交流を排除していこうとする事例が繰り返される。p181
どう考えるべきか 米国の裁判官の意見:
「両親が別居・離婚して、監護権が一方の親に委ねられている時は、面会交流権は注意深く保護されなくてはならない。なぜなら、監護権を持つ親は自分の有利な地位を利用して、他方の親に対する子ども愛情を遠ざける危険性があるからだ」p134
日本:「両者間の葛藤のはざまに立たせることは、子どもの福祉に反する」という基準。
監護親が強く面会交流に反対するときには、それに抗して面会交流を実現していくことは、「子どもの福祉に反する」ということになる。p177
米国でも、離婚後に子どもの発達に最も大きな害を与えるのは「離婚後の両親間の長引く葛藤のはざまに子どもを立たせることである」との共通認識があるが、だからといって面接交流を制限する方向には向かわない。
子どもを別居親から疎外していくことは「子どもの福祉」に反することであるとの揺るぎない認識があるからである。p178
父親が怒るのは至極当然のことであると私は思う。p187
「僕には「2つのいえ」があるんだよ。「パパの家」と「ママのいえ」が。でもね、ぼくは「1つのいえ」のほうがすきなんだ。いつもパパとママのりょうほうにあえるから・・・」」この子どもたちの思いに最大限近づくことこそが「子どもの最善の利益」に適うことであるとの思いが、共同監護への法改正への動きの背後にある。p137
どこまでいっても父親と母親だ。子どもの取り合いをしてるんではなしに、子どものkとだけ考えなあかん。父親と母親が一緒を子どもは願っている。その気持ちを汲んで、自由に行き来できるようにしたい。父親がいなくても母親がいなくても子どもはダメだ!p75