シンプラル法律事務所
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論点整理(民事手続)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

訴訟事件と非訟事件
■1 争訟性
民事訴訟:私人間の紛争の解決を目的とする
非訟事件:@非争訟的非訟事件A争訟的非訟事件
司法権の本来的作用が紛争の解決にある⇒@(甲類の人事関係事件)は司法権の本来的守備範囲に属するものではなく、行政権の範囲に含まれるもの。
これが裁判所が主催する手続とされているのは、沿革的な理由に基づくもの。
Aは、人事関係事件(乙類事件)と借地借家法41条以下に規定される借地条件変更事件

非訟事件の第1の特徴は、必ずしも紛争性をもたない非争訟的事件と、紛争性の明らかな争訟的事件の両者が含まれる。
■2 裁量性 
●非訟事件の審判の対象は、実体法上の権利務の存否とは区別される。
借地権のような権利義務にかかわる場合であっても、非訟事件は、権利の存否内容を確定するものではなく、借地条件のような権利の具体的態様を定めるもの
⇒その判断は確定力をもたない。
民事訴訟における裁判所の判断:
最終的に要件事実、およびそれにんもとづく権利義務の存否の判断に集約され、それ以外に裁判所の裁量的判断をいれる余地はない。
非訟事件の場合:
権利義務の確定を目的とせず、要件時事の確定の必要もない。
厳格な要件事実の認定や法律要件に拘束されずに裁判所が法律関係を形成しうる。
●裁量の方式の違い 
訴訟手続権利義務の確定を目的⇒公開の法廷において両当事者に対等な主張・立証の機会が与えられなければならないという考慮。
非訟事件は権利義務の確定を目的とするものではない⇒審理手続を公開の口頭弁論によって行う必要はない。
■3 訴訟事件の非訟化 
 


視点
記載 A要件事実の枠組み 主張・立証すべき概念
B事実 @時系列(接触・背景事情がある場合)
A項目(単発の事故)
Aが必要不可欠な事実を規定する(数学)。
Bが要件事実に該当する事実に命(納得+真実性)を吹き込む。
裁判所はまず事実を知りたい。

期間計算
期間計算例  民訴法 第332条(即時抗告期間)
即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
即時抗告を例に取ると、「決定」「命令」が、送達された日の翌日から起算して(民事訴訟法95条1項、民法140条)、週においてその起算日に応当する日の前日に満了(143条1項)。
期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月31日までの日に当たる期間は、その翌日に満了
仮に、平成20年5月31日(土)に決定が送達されたとすると、6月1日(日)から起算し、6月7日(土)が「即時抗告」期間満了時点ですが、土曜日なので、6月9日(月)中に、「即時抗告の抗告状」を原裁判所に提出すればセーフです。
特別抗告・許可抗告:
決定又は命令の謄本を受け取った日の翌日から起算して5日以内に,書面が裁判所に届くことが必要です(FAXによる書面提出は認められません)。(裁判所)
規定 民訴法 第95条(期間の計算)
期間の計算については、民法の期間に関する規定に従う
2 期間を定める裁判において始期を定めなかったときは、期間は、その裁判が効力を生じた時から進行を始める。
3 期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日、一月二日、一月三日又は十二月二十九日から十二月三十一日までの日に当たるときは、期間は、その翌日に満了する。
民訴法 第96条(期間の伸縮及び付加期間)
裁判所は、法定の期間又はその定めた期間を伸長し、又は短縮することができる。ただし、不変期間については、この限りでない。
2 不変期間については、裁判所は、遠隔の地に住所又は居所を有する者のために付加期間を定めることができる。
民訴法 第97条(訴訟行為の追完)
当事者がその責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合には、その事由が消滅した後一週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為の追完をすることができる。ただし、外国に在る当事者については、この期間は、二月とする。
2 前項の期間については、前条第一項本文の規定は、適用しない。
民法 第140条
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
民法 第141条(期間の満了)
前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
民法 第143条(暦による期間の計算)
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。


書面の記載
訴状 記載事項 規定 民訴法 第133条(訴え提起の方式) 
訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。
2 訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 請求の趣旨及び原因
民訴規則 第2条(当事者が裁判所に提出すべき書面の記載事項)
訴状、準備書面その他の当事者又は代理人が裁判所に提出すべき書面には、次に掲げる事項を記載し、当事者又は代理人が記名押印するものとする。
一 当事者の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及び住所
二 事件の表示
三 附属書類の表示
四 年月日
五 裁判所の表示
2 前項の規定にかかわらず、当事者又は代理人からその住所を記載した同項の書面が提出されているときは、以後裁判所に提出する同項の書面については、これを記載することを要しない。
当事者 住所 住所なしor不明⇒居所を記載
居所なしor不明⇒「住居所不明」+最後の住所地
人訴 人事訴訟の訴状では、住所のほかに本籍も記載すべき。
←判決の結果が戸籍の記載に影響を及ぼす場合が多い。
名称 戸籍上の記載と異なる通称、屋号、芸名等
⇒「何某(通称・屋号・芸名)こと何某(戸籍上の氏名)」と記載
法人等 商号又は名称と、本店又は事務所の所在地を記載。
登記簿上の本店又は所在地に実在しない

「登記簿上の本店又は事務所所在地 東京都・・」に並べ、
「実際上の本店又は事務所 東京都・・・」
と表示。


特別手続
督促手続 意義 金銭のその他の代替物または有価証券の一定数量の給付を目的とする請求権について、簡易迅速な確定を行うための手続。(民訴法382条以下)
管轄 債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
特色 @手続の第1段階としての裁判所書記官による支払督促に際しては、債務者に対する審尋がなされない(法386@)。
A支払督促に対して債務者が異議を申し立てなければ、仮執行宣言が付される(法391条)
B債務者の異議によってはじめて手続が通常の判決手続に移行する(法395条)。
手形・小切手訴訟 意義 手形金などの請求についての特別手続。(法350〜)
第350条(手形訴訟の要件)
手形による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
2 手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴状に記載してしなければならない。
特色 口頭弁論の方式によって審理される


■民事訴訟の管轄
管轄 事物管轄 訴額が140万円を超えない請求⇒簡易裁判所(裁判所法33条1項1号)
それ以外⇒地方裁判所(裁判所法24条1号)
価額算定困難⇒140万円を超えるものとみなす。(法8条2項)
●合意による変更 
事物管轄は専属管轄ではない⇒当事者の訴訟行為、すなわち当事者の合意(11)や被告の応訴(12)によって変更されうる。
ex.
訴額が140万円を超える請求の場合であっても、合意や応訴⇒簡易裁判所が管轄権を行使することはありうるし、またその逆もありうる。
民訴法 第11条(管轄の合意)
当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。
民訴法 第12条(応訴管轄)
被告が第一審裁判所において管轄違いの抗弁を提出しないで本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、その裁判所は、管轄権を有する。
●  ●併合請求の場合の価額の算定(法9条)
第9条(併合請求の場合の価額の算定)
一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする。ただし、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでない。
2 果実、損害賠償、違約金又は費用の請求が訴訟の附帯の目的であるときは、その価額は、訴訟の目的の価額に算入しない。
1つの訴えをもって数個の請求がなされているとき、すなわち請求が併合されているとき、その訴額が合算される。
ここでいう「請求の併合」とは、136条にいう訴えの客観的意併合と、38条にいう主観的併合、すなわち共同訴訟の双方を含む。
弾力化 事件によって、なお地方裁判所での審理が適当な場合もあるし、当事者がそれを望む場合がある。
⇒簡易裁判所から地方裁判所への移送を可能とし、また、事物管轄違背にかかわらず地方裁判所が審理を行うことを可能にする。(法18条、19条、16条2項)
●  ●法16条(管轄違いの場合の取扱い)
裁判所は、訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。
地方裁判所は、訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、前項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。
ただし、訴訟がその簡易裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属する場合は、この限りでない。
●法18条(簡易裁判所の裁量移送)
簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる
法19条
(必要的移送)
第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者の申立て及び相手方の同意があるときは、訴訟の全部又は一部を申立てに係る地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない。ただし、移送により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき、又はその申立てが、簡易裁判所からその所在地を管轄する地方裁判所への移送の申立て以外のものであって、被告が本案について弁論をし、若しくは弁論準備手続において申述をした後にされたものであるときは、この限りでない。
簡易裁判所は、その管轄に属する不動産に関する訴訟につき被告の申立てがあるときは、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送しなければならない
。ただし、その申立ての前に被告が本案について弁論をした場合は、この限りでない。
土地管轄 裁判籍 土地管轄の発生原因となる、事件と特定地域との連結点。
管轄区域内に裁判籍が存在する裁判所に土地管轄が認められる。 
@普通裁判籍:事件の種類・内容を問わず一般的に認められる。
A特別裁判籍:限定された種類・内容の事件についてのみ認められる。
普通裁判籍 被告の普通裁判籍所在地が管轄裁判所。(法4条1項)
@ 自然人:
@住所⇒A居所⇒B最後の住所
住所:生活の本拠(民法22条)
A 法人等の団体:
@主たる事務所または営業所の所在地(法4条4項)⇒A主たる業務担当者の住所
B 国:
法務省の存在する東京都千代田区
特別裁判籍(法5条) @ 義務履行地
財産上の訴えについて義務履行地
持参債務の原則(民法484条)⇒債権者の住所地の裁判所
民法 第484条(弁済の場所)
弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。
商法 第516条(債務の履行の場所)
商行為によって生じた債務の履行をすべき場所がその行為の性質又は当事者の意思表示によって定まらないときは、特定物の引渡しはその行為の時にその物が存在した場所において、その他の債務の履行は債権者の現在の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)において、それぞれしなければならない。
支店も営業所⇒支店の営業上の活動について、営業所としての効果が結び付けられる。
原告主張の契約上の義務履行地を被告が争い、応訴管轄が生じる余地がなくなった場合においては、契約の存在に争いがないときや原告の立証によって契約の存在が一応証明されるときは(その効力・内容等につき争いがあっても)、管轄を認め、本案の審理に入るべきである(札幌高裁昭和56.11.30)。
D 事務所・営業所所在地
被告の当該事務所または営業所における業務に関するもの。
「業務に関する」:業務遂行から派生する一切の紛争を含み、財産上の請求に限定されない。 
B 不法行為地
不法行為に関する訴えについての不法行為地。 
弾力化 19条の規定に基づいて、ある簡易裁判所から他の簡易裁判所へ、ある地方裁判所から他の地方裁判所へなど移送も認められることになり、と自社の意思を尊重してい土地管轄の弾力化が図られるようになった。
関連裁判管轄(p51) 第7条(併合請求における管轄)
一の訴えで数個の請求をする場合には、第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)の規定により一の請求について管轄権を有する裁判所にその訴えを提起することができる。
ただし、数人からの又は数人に対する訴えについては、第三十八条前段に定める場合に限る。
1個の訴えによって数個の請求がなされる場合には、その中の1個の請求について4条ないし6条の2までの規定に基づいて認められる裁判籍が、他の請求についての裁判籍と認められる。(法7条)  
共同訴訟への適用 共同訴訟の場合、上記7条が適用されるのは、38条前段の場合に限られる。(法7条後段)
38条前段:
訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。
38条後段:
訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。
合意管轄   職分管轄:裁判権の合理的分担という視点に基づいて法律によって定められる⇒当事者の意思によって変更することは許されない。
but
土地管轄: 審理の便宜又は当事者の公平を考慮して規定⇒合意による法定管轄の変更を認めても差し支えない。
事物管轄:少額の事件について簡易裁判所における簡易迅速な審理を期待する当事者の利益を考慮したもの⇒合意による変更を認める余地がある。

11条1項は、第1審に限って、当事者が合意に基づいて管轄裁判所を定めることを認めている。
規定 民訴法 第11条(管轄の合意)
当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。
2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
民訴法  第13条(専属管轄の場合の適用除外等)
第四条第一項、第五条、第六条第二項、第六条の二、第七条及び前二条の規定は、訴えについて法令に専属管轄の定めがある場合には、適用しない。
2 特許権等に関する訴えについて、第七条又は前二条の規定によれば第六条第一項各号に定める裁判所が管轄権を有すべき場合には、前項の規定にかかわらず、第七条又は前二条の規定により、その裁判所は、管轄権を有する。
民訴法 第15条(管轄の標準時)
裁判所の管轄は、訴えの提起の時を標準として定める。
●(1) 合意の要件 
@第一審の管轄裁判所に関するものに限定(11@)。

合意の対象は、事物管轄と土地管轄。
土地管轄であっても専属管轄の場合には、合意の効力は認められないが(13@)、特許権等に関する訴えについての東京地裁および大阪地裁の専属管轄の場合には、両地裁の範囲で合意管轄の効力が認められる(13A)。
A一定の法律関係について合意がされなければならない。
×当事者間に生じる一切の紛争に関する合意。
売買契約あるいは賃貸借契約などの法律関係を特定すればよいので、それらの法律関係から生じうる個別的な紛争を特定する必要はない。
B合意は書面(電磁的記録を含む)でなされなければならない(11AB)。

合意が管轄の決定という重大な効果を生じるから、要式行為とされた。
but
両当事者の意思が同一の書面に表示されている必要はない。
C合意の時期:
管轄の合意は、15条との関係で、起訴前にされる必要がある。
D管轄裁判所を特定。
法定管轄裁判所以外の裁判所を特定するものでも、
法定管轄裁判所のうち1つを特定するものであっても、
差し支えない。
  ●(2) 合意の内容 
専属的合意:他の法定管轄を排除して
付加的合意:法定管轄に付け加えて特定の裁判所に管轄権を生じさせるもの
このうちいずれかかは、合意の意思解釈の問題。
@合意の中で特定の裁判所のみを管轄裁判所とする旨の意思が明示
⇒専属的合意
A当事者間の法律関係について法定管轄がいくつか存在する場合に、その中の1つについて合意⇒専属的合意 
B法定管轄裁判所以外の裁判所を管轄裁判所とする合意
A:付加的合意
B:専属的合意
 
  ●(3) 合意の効力 
  ●(4) 合意管轄の主観的範囲 
  @当事者の一般承継人:合意に拘束される。
ex.相続人や合併会社などの一般承継人は、当事者の権利義務を包括的に承継する者⇒管轄の合意にもとづく義務を引き継ぐ。
A破産管財人:破産者が当事者となっている契約関係、およびそれに付随する管轄の合意にもとづく義務を承継。
B合意の対象となっている法律関係から発生する特定承継人:
債権:当事者間で権利の内容を自由に変更しうる⇒承継人は管轄の合意を内容として含む権利を承継したものとみて、合意に拘束される。
物権:権利内容を当事者が変更しえない⇒合意の拘束力は認められない。
手形債権:内容が定型化⇒後者に属する。
 
管轄の争い 規定 第14条(職権証拠調ベ)
裁判所は、管轄に関する事項について、職権で証拠調べをすることができる。

★忌避
忌避  規定 民訴法 第24条(裁判官の忌避)
裁判官について裁判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。
2 当事者は、裁判官の面前において弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
民訴法 第25条(除斥又は忌避の裁判)
合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、決定で、裁判をする。
2 地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。
3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。
4 除斥又は忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない。
5 除斥又は忌避を理由がないとする決定に対しては、即時抗告をすることができる。
説明 当事者が口頭弁論期日に裁判官の面前で弁論をしたときは、原則として、その裁判官を忌避する権利を失う。

@当事者が、裁判官が事件について審理することを知りながら、その事件の弁論をするのは、裁判官をして裁判を受けるという態度を示したといえる。
Aいつまでも忌避の申立てを許すと、そのために訴訟が遅延するおそれがある。
本案前の答弁、例えば、訴訟要件の欠缺を理由として訴え却下の判決を求める申立てをした場合にも、その裁判官を信頼したとう当事者の態度がうかがわれる⇒本項にいう弁論をしたことになる。
口頭弁論期日前の期日変更の申立て⇒そうした意思・態度の推測等は認められないから忌避権を喪失しない。
口頭弁論期日において期日延期申請⇒弁論をしたことに当たり、忌避申立権を失う。
「その裁判官の所属する裁判所」:除斥・忌避の原因ありと当事者が主張する裁判官が補職されている裁判所(裁判所法47条)。
2以上の裁判所の裁判官に補職されている場合には、除斥・忌避が問題とされた事件が係属する裁判所。
裁判官が他の裁判所の職務の代行が命じられている場合、他の裁判所に係属している事件において除斥・忌避が問題となるときに限り、その裁判所が所属の裁判所となる。
裁判所法 第47条(補職)
下級裁判所の裁判官の職は、最高裁判所がこれを補する。

★決定
  決定は、受訴裁判所の裁判であり、命令は、裁判長などの裁判官による裁判。
決定による
決定の方式による裁判をもって完結すべき事件は、口頭弁論を開くかどうかは、裁判所の裁量によって決められる。 
  ■判決についての規定の準用
規定 民訴法 第122条(判決に関する規定の準用)
決定及び命令には、その性質に反しない限り、判決に関する規定を準用する。
民訴法 第253条(判決書)
判決書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 主文
二 事実
三 理由
四 口頭弁論の終結の日
五 当事者及び法定代理人
六 裁判所
2 事実の記載においては、請求を明らかにし、かつ、主文が正当であることを示すのに必要な主張を摘示しなければならない。
法253条及び規則157条は、決定および命令について書面を作成した場合には準用される。
理由は簡単に記載される場合が相当多いが、不服申立ての対象となる決定等については、理由を記載することが望ましい。
     


★民事訴訟
当事者 本人の死亡 訴訟代理権 民訴法 第58条(訴訟代理権の不消滅)
訴訟代理権は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
一 当事者の死亡又は訴訟能力の喪失
二 当事者である法人の合併による消滅
三 当事者である受託者の信託に関する任務の終了
四 法定代理人の死亡、訴訟能力の喪失又は代理権の消滅若しくは変更
民法上任意代理権は消滅(民法111条)。
but
訴訟代理権は本人の死亡により消滅しない。

訴訟代理人は原則として弁護士であって、代理人としてなす訴訟行為によって本人が予想外の不利益を受けにくいこと、および訴訟行為を円滑かつ迅速に進行させる日通用性があることなどの理由から、訴訟代理権の消滅事由を限定。
以上は、訴訟代理権を承継人のために擬制する趣旨を含む。
中断 当事者の死亡は訴訟手続の中断自由であるが(法124@)、訴訟代理権が存続する限り訴訟行為も中断しない(法124A)。

これらの事由の発生とかかわりなく訴訟代理人は、本人のために訴訟行為をなすことができる。
死亡や合併によって当事者の地位自体は承継人に移転

それらの事実が判明すれば、裁判所は、承継人を当事者として扱い、判決にも当事者として表示すべき。
訴訟要件 意義  裁判所が、訴えを適法として本案判決をするうえで当該訴えが具備しなければならない要件 
@適式の訴状による訴えの提起行為が存在し(133条)、かつ、被告に訴状が適法に送達(138条)されること(訴訟係属の適法性)
A当事者が我が国の裁判権に服すること
B受訴裁判所が管轄権(国際裁判完結権をも含む)を有すること
C事件が法律上の争訟にあたり、裁判所の裁判権の範囲に属すること
D当事者が実在し、かつ、当事者能力および訴訟能力を有すること
E当事者に訴訟能力がないときは法定代理人により代理されること
F当事者がその請求につき当事者適格を有すること
G
H請求に訴えの利益が認められること
I
J二重基礎の禁止(142条)、再訴の禁止(262条2項)、別訴の禁止(人訴25条)等法律により訴え提起が禁止されていないこと
K
訴訟要件は、本案判決をするのに必要な要件。
訴訟手続が開始した後、訴訟要件の欠缺が判明⇒裁判所は本案の審理に立ち入りあるいは続行する意味はないため、審理を打ち切って訴え却下判決をすべき。
判断の基準時  事実審の口頭弁論終結時(通説)
本案要件(判決)の判断の基準時と同じ。

訴訟要件が本案判決要件であって、訴訟要件と本案要件が並行して審理される建前とも整合。

訴訟要件は、訴え提起の時点で欠缺があっても、基準時に具備されていれば、本案判決は適法。
訴え提起の時点で具備されていても、基準時に欠缺していれば、訴えは不適法却下される。
例外:
管轄は売って提起の時点を基準に判断(15条)。
民訴法 第15条(管轄の標準時)
裁判所の管轄は、訴えの提起の時を標準として定める。
訴え 訴えの利益 意義 民事訴訟は、権利関係をめぐり紛争を解決するためのもの。
⇒紛争の対象が権利関係として認められない場合、または、たとえ権利関係を対象とするものであっても、本案判決によって当該紛争を解決することが期待できない場合には、裁判所が本案判決をなす要件に欠ける。

訴訟要件として訴えの利益。
種類 2種類の訴えの利益
@訴えによって定立されている請求が本案判決の対象となりうるものかどうかを問題にするもの(権利保護の資格)。
A権利保護の資格が満たされていることを論理的前提とした上で、当該事件の事実関係を考慮して、本案判決によって訴訟物についての争いがい解決されるかどうかを問題とするもの(権利保護の利益)。
●権利保護の資格
●権利保護の利益
○訴えの提起の必要性および許容性
請求について本案判決を得る必要性が存在する必要。
確認の訴えの利益 確認の対象 民事訴訟は、法律上の争訟を解決するもの⇒確認の対象となり得る訴訟物も、権利関係に限られるのが原則。
権利関係については、訴訟当事者がその主体となっている場合に限らず、他人間の権利関係の確認も権利保護の資格を認められる。その場合、確認の利益が問題となる。
過去の事実関係にあっても、その確認が現在の法律関係をめぐる紛争の抜本的解決に適切、かつ、不可欠であるような場合には、確認の対象として差し支えない。
ex.国籍訴訟
最高裁昭和32.7.20 日本国籍の取得が自己の意思にもとづくものではなく、日本人を父とする出生によるという過去の事実の確認が、アメリカ国籍の回復を求める地位と言う法律関係をめぐる争いの解決に不可欠のものとして、確認の対象性を認められた。
宗教上の地位も確認の対象となりえないのが原則であるが、宗教上の地位が法律上の地位を内包している場合、または宗教法人についての法律上の地位、もしくはそれに関連する権利義務をめぐる紛争の包括的解決の前提となっている場合であれば、適法と認められる余地がある。
確認の利益 一般的に、現在(口頭弁論書終結時)の権利関係でなければならない。
but過去の権利関係や法律行為の効力の確認が、かえって現在の権利関係をめぐる紛争の解決にとって適切である場合には、確認の利益を認めて良い。
ex.株主総会決議不存在確認の訴え・無効確認の訴え
行政処分の無効確認の訴え(行訴36)
遺言無効確認の訴え。
必要性:
被告が訴訟物たる権利関係の存否を争っていること
時効中断の必要があること
公募の記載の訂正を求めなければならないこと等
適切性:
@将来の権利関係は適切ではない。
(←将来において変動が生じ得る。)
A積極的確認および消極的確認の双方が可能であるときには、消極的確認を求める訴えは即時確定の利益を欠く。
(ex.原告の使用権原の有無が争われているときには、原告は、被告の所有権の不存在確認ではなく、自己の使用権原の確認を求めるべき。)
B形成権や請求権の存在確認訴訟も即時確定の利益を欠く。
(←形成権の場合であれば、それを行使した結果として生じる法律効果を前提として給付訴訟や確認訴訟を提起することが紛争解決にとって適切であるし、請求権の場合には、端的にそれを訴訟物として給付の訴えを提起することが求められる。)
整理 確認の利益は、原告の権利または法律的地位に不安が現に存し、かつその不安を除去する方法として原告被告間でその訴訟物たる権利または法律関係の存否の判決をすることが有効適切である場合に認められる。
@解決手段として確認の訴えを選ぶことの適否(他の手段との分担)として、給付の訴えが可能な請求権についいては、確認の利益がない。
A確認対象(訴訟)としてどのようなものを選択するかの適否として、事実の確認ではなく法律関係の確認を、過去の法律関係ではなく現在の法律関係の確認を、消極的確認ではなく積極的確認を求めるべき。
B解決すべき紛争の成熟性の観点(即時確定の現実的必要)として、原告の地位に対する現実的な不安・危険が必要。
(金融商事判例1369p9)
訴訟物 意味 原告の訴え、具体的には訴状の請求の趣旨および原因によって特定され、裁判所の裁判の対象となる権利関係を指す。
旧訴訟物理論(判例) 訴訟物の特定に関しては、実体法上の請求権を基準とすべき。
紛争の分断については、裁判所による適切な釈明権の行使や訴訟上の信義則による遮断効により、実際上の解決を図る。
二重起訴の禁止については、法142条の「係属する事件」の解釈を柔軟にすることによって、訴訟物より広い範囲での禁止の効果を生じさせることが可能。
効果の決定 二重起訴の禁止(法142条)
訴えの変更(法143条)
請求の併合(法136条)
再訴の禁止(法262A)
既判力の客観的範囲(法114条)
共同訴訟 意味 1つの訴訟手続における原告または被告、もしくはその両者が多数人によって構成される訴訟形態。 
できる場合
(法38条)
A:訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき:
共同訴訟人が主張する権利、または共同訴訟人に対して主張される相手方の権利が、その内容において同一の場合。
B:同一の事実上及び法律上の原因に基づくとき。
C:訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくとき。
関連裁判籍 上記ABの場合⇒関連裁判籍が認められ、1つの請求について管轄権を有する裁判所に訴訟提起できる。(法7条) 
一部請求 意義 金銭その他の不特定物の給付を目的とする債権に基づく給付訴訟において、原告が債権のうちの一部の数額についてのみ給付を申し立てる行為。
訴訟物 給付が求められている部分が債権全額の一部であることが明示されているときは、その一部のみが訴訟物になる。(最高裁昭34.3.20) 
時効中断 一部であることが明治されているときは、その一部についてのみ時効中断が生じる。(最高裁昭34.2.20)
取下げ 規定 民訴法 第261条(訴えの取下げ) 
訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
2 訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。
3 訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)においては、口頭ですることを妨げない。
4 第二項本文の場合において、訴えの取下げが書面でされたときはその書面を、訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされたとき(相手方がその期日に出頭したときを除く。)はその期日の調書の謄本を相手方に送達しなければならない。
5 訴えの取下げの書面の送達を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす。訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは訴えの取下げがあった日から、相手方がその期日に出頭しなかったときは前項の謄本の送達があった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。
民訴法 第262条(訴えの取下げの効果)
訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
2 本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。
要件 判決の確定に至るまで訴えを取り下げることができる(法261@)。
判決確定⇒訴訟終了⇒訴えを取り下げる余地はない。
被告が本案について弁論等の訴訟行為を行っている場合⇒被告の同意が必要(法261A)。
←被告が本案判決を受ける利益を保護する趣旨。
被告による反訴の取り下げについても同様の取扱い。
but
反訴の取下げについては、すでに原告が本案に関する訴訟行為をなしているときでも、原告の同意を要しない(法261A但書)。
←反訴の基礎となった本訴を取り下げながら、原告が反訴の取り下げを拒絶する余地を認めるのは、公平に反するとの判断。
効果 @訴訟係属の遡及的消滅およびこれに付随する効果
A再訴の禁止
@訴訟係属の遡及的消滅
A再訴の禁止
〜終局判決がなされた後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。
判決書 記載事項
(法253条)
主文
事実 請求を明らかにし、かつ、主文が正当であることを示すのに必要な主張を摘示。(法253A)
「事実」とは、訴訟物たる権利金いに関連する法律交換の基礎として当事者から主張された主要事実、およびそれに関連する間k説事実を意味する。
理由 「主文」の結論を引き出すための事実上および法律上の根拠を記載する。
新様式判決においては、中心的な争点について事実上・法律上の判断が示される。
経験則上証拠力が高いと考えられる証拠を採用しない場合、または特別な理由からある間接事実にもとづく事実上の推定を否定する場合などにおいては、その理由を示すことが、当事者の立証活動に対する裁判所の適正な評価を示し、裁判に対する信頼を確保する上でも望ましい。
経験則上一般に証明力が高いものとされている書証を排斥するときには、その理由を示さなければならない(最高裁昭和32.10.31)
人証については、証拠方法としての性質上、一般にはそのような必要はないが(最高裁昭和37.12.17)、例外も認められる。(最高裁昭和38.12.17)
間接事実についても同様。(最高裁昭和36.8.8)★★
証拠の採否や事実上の推定の可否について理由を付すべき場合であるにもかかわらず、これがなされなかったことは、理由不備または理由の食違いとして上告理由となる。(法312A(6))★★
控訴    規定 民訴法 第286条(控訴提起の方式)
控訴の提起は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない。
2 控訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 第一審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨
裁判所法 第16条(裁判権)
高等裁判所は、左の事項について裁判権を有する。
一 地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決及び簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴
・・・・
裁判所法 第24条(裁判権)
地方裁判所は、次の事項について裁判権を有する。
三 第十六条第一号の控訴を除いて、簡易裁判所の判決に対する控訴
・・・
民訴法 第296条(口頭弁論の範囲等)
口頭弁論は、当事者が第一審判決の変更を求める限度においてのみ、これをする。
2 当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない。
民訴法 第304条(第一審判決の取消し及び変更の範囲)
第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。
  不服の範囲 @控訴裁判所は、不服の限度においてのみ、第一審判決の取消し・変更をする(民訴法304条)。(上告でも準用)
A不服の申立ての範囲は控訴状に貼用する手数料額を定めるために必要(民訴法288、289、規則176)。

不服の範囲を控訴状に記載するのが普通(控訴状の任意的記載事項) 
不服の範囲を明示する場合に第一審判決で敗訴した部分の全部を不服にするのではなく、一部に限定すること(質的限定・量的限定)も可能。
取消・変更の範囲 第一審判決の取消し・変更のできる範囲は、不服申立ての限度(民訴法304条)。

民訴法の基本原則である処分権主義
●利益変更の禁止
〜不服を申し立てた控訴人または附帯控訴人に、その申立てた範囲以上に利益な裁判はできない。
●不利益変更の禁止
〜控訴人に不利益に第一審判決を変更することは、相手方の控訴または附帯控訴のない限りできない。
附帯控訴 規定 第293条(附帯控訴)
被控訴人は、控訴権が消滅した後であっても、口頭弁論の終結に至るまで、附帯控訴をすることができる。
2 附帯控訴は、控訴の取下げがあったとき、又は不適法として控訴の却下があったときは、その効力を失う。ただし、控訴の要件を備えるものは、独立した控訴とみなす。
3 附帯控訴については、控訴に関する規定による。ただし、附帯控訴の提起は、附帯控訴状を控訴裁判所に提出してすることができる。
意義 被控訴人によって控訴審手続においてなされる申立て。
控訴権を放棄するなど、控訴権が消滅している場合にも附帯控訴は許される。(法293@)
法的性質 全部勝訴者による請求拡張のための附帯控訴を適法と認め、附帯控訴は不服の利益を前提とする控訴の性質をもたないとする。(判例)
方式 被控訴人は、控訴審の口頭弁論終結まで控訴の方式に準じて附帯控訴を提起することができる。(法293@B本文、民訴規則178)
附帯控訴条の提出先は、控訴の場合(法261)と異なり、控訴裁判所への提出も認められる。
不服申立てによって附帯控訴人が利益を主張⇒手数料納付が要求される。
控訴審の審理  規定 民事訴訟法 第296条(口頭弁論の範囲等)
口頭弁論は、当事者が第一審判決の変更を求める限度においてのみ、これをする。
2 当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない。
民事訴訟法 第297条(第一審の訴訟手続の規定の準用)
前編第一章から第七章までの規定は、特別の定めがある場合を除き、控訴審の訴訟手続について準用する。ただし、第二百六十九条の規定は、この限りでない。
民事訴訟法 第298条(第一審の訴訟行為の効力等)
第一審においてした訴訟行為は、控訴審においてもその効力を有する。
説明  控訴:原判決に対する不服を基礎とした原判決の取消し・変更の申立て
⇒控訴審の審判の対象は、第一次的にこの申立ての当否であり、審理もその限度で行われる(法296@)。
原判決が取消し⇒請求についての審判義務が復活。
審判の対象についての裁判資料の範囲:
A:覆審主義:
B:事後審主義:新たな裁判資料の提出を認めず、第一審におい提出された資料のみにもとづいて控訴審が第一審判決の当否を判断するもの(原刑訴法が採用)
〇C:続審主義:
@第一審の裁判資料に加えて控訴審において新たに資料を収集した上で、第一審判決の当否を判断し、
A第一審判決取消しによって必要が生じれば、請求の当否についても控訴審が自ら判断する。

請求についての裁判資料も控訴審の口頭弁論終結時までに提出されたものを含むことになる。
控訴審の手続については、第一審の訴訟手続に関する規定が一般的に準用される。
上告   意義 最上級審に対する上訴。
規定 民訴法 第312条(上告の理由)
上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
2 上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
二の二 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
三 専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
五 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
六 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
3 高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。
上告理由 憲法違反 判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするとき。(法312条1項)
絶対的上告理由 判決との関係を問題にすることなく上告理由とするもの。
@ 判決裁判所の構成の違法
A 判決に関与できない裁判官の判決関与
B 専属管轄規定違反
C 法定代理権等の欠缺
D 口頭弁論公開規定の違反
E判決の理由不備または理由の食違い 判決には理由を付すことが要求され(法253@(3))、理由不備・理由の食違いは上告理由となる。(法312A(6))
理由不備:
理由がまったく付されていない場合ばかりではなく、理由たるべきものの一部が欠け、主文の根拠づけが不足している場合も含む。
理由の食違い:
旧法において理由齟齬と呼ばれたもの。
理由としての論理的一貫性を欠き、主文における判断を正当化するに足りないと認められる場合を指す。
実質的には証拠に基づく事実認定そのものは事実審の専権に属するものであり、上告審は、認定された事実が判決主文の論理的前提たりうるかどうか、また認定された事実相互間に矛盾が存在しないかっどうかの限度で、理由不備および理由の食違いを判断する。
書証特に処分証書、例えば借用証書のように、貸借契約の事実を一応認定できる証書が提出されているのに、貸借契約の事実がないというように、反対の事実を認定する場合には、その証書を排斥する合理的な理由を解明しなければ理由不備、とするのが判例。(菊井・村松Vp255)
証言についても、ある証言を信用する以上上告人の主張事実を肯認すべきであるのに、その証言を排斥しないで、その証言に因っても上告人の主張事実を確認することができないとして、上告人の主張を排斥した場合は、理由不備。(菊井・村松Vp257)
証言に基づいて認定した事実がその証言と相反するのに、どんな理由でその証言が認定の資料となったかを明示していない場合も理由不備。(菊井・村松Vp257)
経験則違反の事例
「右鑑定の結果ならびに右関東初の記載を措信できるか否か、および買戻の特約があるために特に代金を低廉に定めたものであるか否かなど一般取引通念上是認できる特段の事情について審理判断を加うべきであるにかかわらず、原判決は上記事実を認定しただけで、たやすく、本件家屋の売買は代金が低廉に過ぎ仮想のものであるとのXの主張を排斥したのは、審理不尽、理由不備の違法があるといわなければならない。(最高裁昭和36.8.8)
相対的上告理由 判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反
(最高裁に対するものはできないが、高等裁判所に対する上告では許される。)
規定  民訴法 第318条(上告受理の申立て)
上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。
2 前項の申立て(以下「上告受理の申立て」という。)においては、第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由を理由とすることができない。
3 第一項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる
4 第一項の決定があった場合には、上告があったものとみなす。この場合においては、第三百二十条の規定の適用については、上告受理の申立ての理由中前項の規定により排除されたもの以外のものを上告の理由とみなす。
5 第三百十三条から第三百十五条まで及び第三百十六条第一項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。
上告受理申立理由 原判決に判例違反等の法令の解釈に関する重要な事項が含まれていること。
(判例違反がない場合でもも、新たに法令解釈について最高裁判所としての判断訴を示す必要があるときには、上告受理申立理由が認められる。)

判例の一般的拘束力は認められていないので、下級審が最高裁判所などの判例に示された法令解釈と異なった判断を示すことがあり得るが、法令解釈の統一の責任を負う最高裁判所としては、このような下級審判決に対して、判例の解釈を維持すべきか、それとも変更すべきかを判断する必要がある。
経験則違反が法令解釈に準じて上告受理申立理由になりうるかどうかについて、通常人の常識の属する経験則の適用を誤ったり、または採用すべき専門的経験則の採用を怠ったりした場合に限って、自由心証主義(法247条)に違反したものとして、法令違反と同様の取り扱いを受ける。
重要な法令解釈の「法令」の中には、外国法、経験則、採証法則、釈明義務なども入り、銀行取引約款や普通保険約款などの約款の解釈も法令解釈に準じるものと解される。
準用  規定 民訴法 第313条(控訴の規定の準用)
前章の規定は、特別の定めがある場合を除き、上告及び上告審の訴訟手続について準用する。
民訴規則 第186条(控訴の規定の準用・法第三百十三条)
前章(控訴)の規定は、特別の定めがある場合を除き、上告及び上告審の訴訟手続について準用する。
282 民訴法 第282条(訴訟費用の負担の裁判に対する控訴の制限)
訴訟費用の負担の裁判に対しては、独立して控訴をすることができない。
285 民訴法 第285条(控訴期間)
控訴は、判決書又は第二百五十四条第二項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない。ただし、その期間前に提起した控訴の効力を妨げない。
293 民訴法 第293条(附帯控訴)
被控訴人は、控訴権が消滅した後であっても、口頭弁論の終結に至るまで、附帯控訴をすることができる。
2 附帯控訴は、控訴の取下げがあったとき、又は不適法として控訴の却下があったときは、その効力を失う。ただし、控訴の要件を備えるものは、独立した控訴とみなす。
3 附帯控訴については、控訴に関する規定による。ただし、附帯控訴の提起は、附帯控訴状を控訴裁判所に提出してすることができる。
297298 民訴法 第297条(第一審の訴訟手続の規定の準用)
前編第一章から第七章までの規定は、特別の定めがある場合を除き、控訴審の訴訟手続について準用する。ただし、第二百六十九条の規定は、この限りでない。
民訴法 第298条(第一審の訴訟行為の効力等)
第一審においてした訴訟行為は、控訴審においてもその効力を有する。
2 第百六十七条の規定は、第一審において準備的口頭弁論を終了し、又は弁論準備手続を終結した事件につき控訴審で攻撃又は防御の方法を提出した当事者について、第百七十八条の規定は、第一審において書面による準備手続を終結した事件につき同条の陳述又は確認がされた場合において控訴審で攻撃又は防御の方法を提出した当事者について準用する。
304
296 
民訴法 第304条(第一審判決の取消し及び変更の範囲)
第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。
民訴法 第296条(口頭弁論の範囲等)
口頭弁論は、当事者が第一審判決の変更を求める限度においてのみ、これをする。
2 当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない。
★       ★附帯上告・附帯上告受理申立て
規定  民訴法 第313条(控訴の規定の準用)
前章の規定は、特別の定めがある場合を除き、上告及び上告審の訴訟手続について準用する。
民訴法 第293条(附帯控訴)
被控訴人は、控訴権が消滅した後であっても、口頭弁論の終結に至るまで、附帯控訴をすることができる。
民訴法 第318条(上告受理の申立て)
5 第三百十三条から第三百十五条まで及び第三百十六条第一項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。
概要 上告受理申立てが受理されなかった場合、附帯上告受理の申立ては、独立の上告受理の申立ての要件を備えるものではない限り(=上告受理申立期間経過後の申立等)、効力を失う。 
提出期間 附帯上告が、上告理由と別個の理由に基づくときは、当該上告についての上告理由書提出期間内に、附帯上告をする必要。
附帯上告受理の申立ても同様。 

被上告人への通知書の送達(民訴法197B)から50日以内。

特別抗告・許可抗告  (コンメンタール)
★    ★特別抗告
規定 民事訴訟法 第336条(特別抗告)
地方裁判所及び簡易裁判所の決定及び命令で不服を申し立てることができないもの並びに高等裁判所の決定及び命令に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
2 前項の抗告は、裁判の告知を受けた日から五日の不変期間内にしなければならない。
3 第一項の抗告及びこれに関する訴訟手続には、その性質に反しない限り、第三百二十七条第一項の上告及びその上告審の訴訟手続に関する規定並びに第三百三十四条第二項の規定を準用する。
民事訴訟規則 第208条(特別抗告・法第三百三十六条)
法第三百三十六条(特別抗告)第一項の抗告及びこれに関する訴訟手続には、その性質に反しない限り、法第三百二十七条(特別上告)第一項の上告及びその上告審の訴訟手続に関する規定を準用する。
趣旨 下級審裁判所の決定・命令に憲法違反があるとされる場合に、最高裁判所に対する特別抗告を可能として、最高裁による憲法判断を受ける機会を当事者に保障したもの。 
■特別抗告の対象となる裁判 
■特別抗告の理由 
「その裁判に憲法の誤りがあることその他憲法の違反があること」⇒特別上告の説明参照
最高裁H21.6.30:
特別抗告の理由に形式的には憲法違反の主張があるがそれが実質的には法令違反の主張にすぎない場合であっても、最高裁が当該特別抗告を棄却することができるにとどまり、原裁判所が却下することはできない。

まったく憲法違反の主張がされていなければ、原裁判所は特別抗告を不適法として却下できるが、憲法違反の主張はあると認められれば、それが仮に憲法違反に名を借りた濫用的なものであっても、原裁判所は記録を最高裁に送付すべきであり、最高裁は317条により決定で抗告を棄却。
■特別抗告提起の効果 
決定および命令に対して本条による抗告が申立て=判決に対する特別上告の場合と同様に、すでに確定している裁判に対する不服申立てであり、本来の意味での上訴ではない

特別抗告は、原決定・命令の確定を遮断するものではないし、当然に原裁判の執行を停止る効果もない。
■特別抗告の抗告期間 
裁判の告知を受けた日から5日(不変期間)。
特別抗告の理由書は抗告提起と同時に提出する必要はなく、特別抗告提起通知書の送達から14日の期間が付与(規則210条1項)。
■上告・特別上告の準用規定および特別抗告審の手続 
特別上告およびその上告審の訴訟手続に関する規定の準用がある。
特別抗告状提出⇒特別抗告提起通知書を当事者に送達。
抗告理由書には、憲法の条項を記載し、憲法に違反する事由・事実を示さなければならず、抗告の理由を具体的に記載しなければならない。
原審の抗告理由書の理由や再抗告状の記載を引用することはできない
特別抗告人が期間内に特別抗告理由書を提出せず、またこの理由書に憲法違反があることを記載していないときは、原裁判所は決定で特別抗告を却下(316条2項)。
職権調査事項以外は、特別抗告理由によって不服申立てのあった限度で審理(320条)。
最高裁は、憲法違反がない場合であっても、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるときは、原裁判所を破棄することができる(法325条2項)。
★      ★許可抗告
規定 民事訴訟法 第337条(許可抗告)
高等裁判所の決定及び命令(第三百三十条の抗告及び次項の申立てについての決定及び命令を除く。)に対しては、前条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。ただし、その裁判が地方裁判所の裁判であるとした場合に抗告をすることができるものであるときに限る。
2 前項の高等裁判所は、同項の裁判について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、決定で、抗告を許可しなければならない。
3 前項の申立てにおいては、前条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。
4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告があったものとみなす。
5 最高裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原裁判を破棄することができる。
6 第三百十三条、第三百十五条及び前条第二項の規定は第二項の申立てについて、第三百十八条第三項の規定は第二項の規定による許可をする場合について、同条第四項後段及び前条第三項の規定は第二項の規定による許可があった場合について準用する。
民事訴訟規則 第209条(許可抗告・法第三百三十七条)
第百八十六条(控訴の規定の準用)、第百八十七条(上告提起の場合における費用の予納)、第百八十九条(上告提起通知書の送達等)、第百九十二条(判例の摘示)、第百九十三条(上告理由の記載の仕方)、第百九十五条(上告理由を記載した書面の通数)、第百九十六条(補正命令)及び第百九十九条(上告受理の申立て)第一項の規定は、法第三百三十七条(許可抗告)第二項の申立てについて、第二百条(上告受理の決定)の規定は、法第三百三十七条第二項の規定による許可をする場合について、前条(特別抗告)の規定は、法第三百三十七条第二項の規定による許可があった場合について準用する。この場合において、第百八十七条及び第百八十九条中「上告提起通知書」とあるのは、「抗告許可申立て通知書」と読み替えるものとする。
趣旨 最高裁判所の負担を可及的に避けながら、法令解釈の統一の要請に応えるために現行法で設けられたもの。 
■許可抗告の対象 
「高等裁判所の決定及び命令」に限られる。
@再抗告(330条)についての決定
抗告裁判所としての地方裁判所、再抗告裁判所としての高等裁判所の判断を経て、3審級の保障がすでに尽くされており、さらに重ねて上訴を認める必要はない。
A許可抗告において抗告許可の申立て(本条2項)
←許可の申立てが無限に繰り返される結果になりかねない。
Bその裁判が地方裁判所の裁判であるとした場合に抗告をすることができないもの(本条1項但書)は対象とならない。
ex.当事者の申立てを認容する決定で、即時抗告をすることができる旨の規程がないもの。
■許可抗告の性質 
原決定の確定を防止する効果はなく、本来の意味での上訴ではない
■許可抗告事由 
「最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる」こと

上告受理事由(318条1項)と基本的に一致
@法令の解釈自体に疑義はないが、個別事件における事実認定や要件への当てはめの判断が問題となっている場合や、
A論点自体は法令の解釈に関する重要な事項に当たるが、当該事案の解決に影響しない場合は、この要件を満たさない。
but
各高等裁判所が許否の判断をすることから、実際には相当数の事件でそのような許可がされているとされる。
判例変更の可能性・・・・。
■抗告許可の申立て 
■抗告許可の決定 
抗告許可申立書の提出⇒原裁判所は当事者に対し、抗告許可申立通知書を送達⇒この通知書の送達を受けた日から14日以内に抗告許可申立ての理由書を原裁判所に提出(規則210条2条)。
抗告許可申立ての理由は具体的に記載。
判例違反を主張する場合、その判例を具体的に摘示。
抗告許可申立人が上記期間内に抗告許可申立ての理由書を提出しない⇒不許可決定。
抗告許可申立てについて、許可の理由あり⇒決定で抗告を許可。
原裁判所は、抗告許可の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
この場合、排除する理由を明らかにしなければならない。
抗告許可⇒最高裁による調査の範囲は抗告の理由に基づくが、抗告許可申立ての理由のうち、前記によって排除されたもの以外のものが抗告理由とみなされる。
■特別抗告との関係 
同一の裁判に、憲法違反とは別個に判例違反その他法令の解釈に関する重要な事項が含まれていれば、両者の要件を同時に満たすことになる、当事者は、特別抗告と抗告許可申立ての双方を同時にすることができる。

いずれ一方について申立手数料を納めれば、他方との関係でも納めたものとみなされる。(民訴費3条3項後段)
but
1通の抗告状で特別抗告と抗告許可申立てをすることは、手続の明確性の観点から許されない。
■職権破棄 
高裁が許可に際して重要でないとして排除した理由以外の理由についてのみ、最高裁は調査義務を負う。
最高裁は、判例に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるときは、原裁判を破棄することができる。
高裁が許可に際して排除した理由に基づき破棄することは許されない。
調査義務を負う抗告理由が理由なし⇒抗告棄却
それが理由ある場合およびそれ以外でも明らかな法令違反がある倍⇒原決定を破棄して、事件を原裁判所に差し戻すか、同等の裁判所に移送するか、自判する。
■上告・上告受理・特別抗告の規定の準用 

■民事訴訟・・訴訟の審理
送達 送達場所 基本 (1) ●住所、居所、営業所又は事務所
住所:
その者の生活の本拠(民法21条)
客観的にみて、その者が現実にそのい場所を本拠として生アk津市、訴訟書類を受領し得る場所。
住所は複数存在し得る。
居所:
ある程度の期間継続して居住している一定の場所。
ex.夏季等に滞在する別荘地、学生の下宿先、長期入院中の病院等
営業所又は事務所:
自然人、法人、国、地表公共団体又は法人でない社団・財団の、独立して取引をし得る営業所又は事務所(登記の有無や名称に拘泥されない。)。
事務所:
営業とはいえない範囲の業務が継続的に行われる中心的場所で住所ではないもの。
ex.
会社の本・支店は営業所。
医師の診療所、弁護士事務所、建築士事務所は事務所。
(2) ●法定代理人又は法人等の代表者に対する送達場所の特則
訴訟無能力者又は法人等若しくは法人でない社団、財団に対する送達

法定代理人又は代表者若しくは管理人が受送達者となり(法37、102@)
その従送達者の住所等が送達場所になる。
but
本人(法人等)の営業所・事務所において送達して差し支えない(法103@ただし書)。
実務上、法人を当事者とする訴訟では、これが一般的。
(3) ●受送達者の就業場所
就業場所:
受送達者が雇用、委任その他の法律上の行為に基づいて就業する他人の住所
(4) ●届出に係る送達場所
送達の方法 送達の目的 名宛人に対して訴訟書類の内容を了知させ、または了知する機会を与えること。

法は、送達の方法として、書類の謄本を名宛人に交付する、交付送達を原則とし、それができない場合に他の送達方法をもって代えることにしている(法101条)。
(1)交付送達 規定 第101条(交付送達の原則)
送達は、特別の定めがある場合を除き、送達を受けるべき者に送達すべき書類を交付してする。
意味 名宛人に対して現実に送達書類の謄本を交付する送達方法を意味する(法101条)。
@送達場所、A送達受領者、B送達実施機関によって、いくつかの類型によって区分。
●就業場所における送達
名宛人の住所などにおいてなされるのが原則。
補充的な送達場所として、就業場所が認められている(法103A)。
就業場所における送達が認められる場合:
@住所等の本来の送達場所が知れないとき
A本来の送達場所における送達に支障があるとき
B名宛人が就業場所における送達を申し出たとき
Aは、昼間不在、長期不在、名宛人が受領を拒絶し、差置送達も行うことができない場合等。
要件の存否については、送達事務取扱者たる裁判所書記官が判断する。
就業場所における送達についても、補充送達および名宛人に対する差置送達が許されるが、補充送達の相手方が受領を拒絶した場合の差置送達は許されない(法106AB)。
←差置送達は、相手方が書類の受領義務を負うことを前提としているが、106条2項の場合には、この受領義務が存在しない。
●出会送達
交付送達の一種であるが、送達場所による区別。
本来の送達場所ではなく、送達実施機関が名宛人と出会った場所において書類を交付する方法。
出会送達がなされる場合:
@名宛人が日本に住所などの送達場所を有することが明らかでないとき(法105条前段)。
外国の住所等が判明している場合であっても、名宛人の日本における立回り先が判明していれば、裁判所書記官は、送達実施機関に対イsてこの方法による送達を指示できる。
A日本において住所等を有することが明らかであるか、または送達場所の届出をしている名宛人であっても、送達を拒まなければ、出会送達が許される(法105後段)。
but受領義務不存在⇒差置送達は許されない。
●裁判所書記官送達
送達機関および送達場所による区別。
その所属する裁判所の事件について出頭した者に対しては、裁判所書記官が送達を行うことができる(法100条)。
●補充送達
送達受領者による区別。
送達場所において名宛人に出会わないときには、使用人その他の従業員、または同居者で、送達の受領について相当のわきまえのある者に対して送達言実施機関が書類を交付することができる(法106@)。

法が送達の実施を円滑に行うために、名宛人のために事務を処理する者、または生活を共にする者に送達書類の受領義務を課したもの。
「相当のわきまえのある」=事理弁識能力は、年齢および精神的能力などから判断される。
法律上は、送達受領についての法定代理人としての性格をもつ。
就業場所における送達の場合は、受領義務は課されず、任意に受領する代人に対してのみ補充送達がなされる(法106A)。
●差置送達
105条後段や106条2項の場合を除いて、送達の名宛人や代人は、送達書類を受領すべき義務を負う。
⇒これらの者が正当な理由なく受領を拒んだ場合には、法は、送達実施機関が送達場所に書類を差し置くことを認めている(法106B)。
送達の円滑、かつ、迅速な実施を目的とする制度であり、差置きにより送達の効力が生じる。
受領を拒絶する正当事由:
名宛人の表示が異なる
名宛人が在監中であるにもかかわらず住所において送達がなされる(法102B)。
代人の資格がない者に対して補充送達がされる。
(2)付郵便送達 付郵便送達:
裁判所書記官が名宛人の住所等本来の送達場所に対して書留郵便によって送達書類を発送し、発送の時に送達の効力を生じさせる方法(法107条)。
付郵便送達は、書類の到達とはかかわりなく送達の効力を生じさせる(法107B)。

当事者など関係人に対して訴訟書類の内容を了知させ、または了知する機会を与えるとうい送達制度の趣旨に照らすと、補充的な送達方法。
就業場所に対する付郵便送達は不可。
付郵便送達が認められる場合:
@本来の送達場所および就業場所における交付送達、補充送達および差置送達ができなかったとき(法107@(1))。
A届け出られた送達場所における送達について同じく交付送達等ができなかったとき(法107@(2))。
B送達場所届出義務が懈怠され、かつ、104条3項に定める場所における交付送達等ができなかった場合(法107@(3))。
ABの場合、その後送達すべき書類についても引き続き付郵便送達によることができる(法107A)。
付郵便送達を行うか否かは、送達事務取扱者たる裁判所書記官の判断に委ねられる。
(3)公示送達 裁判所書記官が送達書類を保管し、名宛人が出頭すればいつでもこれを交付する旨を裁判所の掲示場に掲示して行う送達方法。
公示送達は、私法上の意思表示の相手方が特定される、またはその所在が不明の場合に、意思表示の方法としても用いられる(民法97条の2)。
法113条は訴訟関係書類の公示送達の手続をとることによって、意思表示到達の効力を認めることとした。
要件 公示送達が認められる場合(法110@):
@当事者の住所、寄与所、その他の送達場所が不明のとき。
「不明」:申立人が主観的に不知であるというだけでは足らず、出会送達のための所在も含めて、通常の調査方法によっては送達場所が判明しないことを意味する。
A法107条1項に基づく付郵便送達ができない場合。
補充的送達場所としての就業場所が判明していても、付郵便送達が許されないために、公示送達を認める必要がある(法110@(2))。
B外国における送達について、法108条に基づく嘱託が不可能な場合、または嘱託しても送達の目的を達する見込みがないと認められる場合(法110@(3))。
C外国の管轄官庁に嘱託がなされた後6か月を経過しても送達報告書の送付がない場合(法110@(4))
手続 当事者または参加人などそれによって訴訟上の利益を受ける者が申立てをなし、裁判所書記官によって行われるのが原則(法110@)。
いったん公示送達が認められると、同一の事件および名宛人について、また同一の審級においては、法110条1項4号の場合を除いて2回目以降の送達も公示送達によることが許される(法110B)。
効力 公示送達は、原則として、掲示がされてから2週間が経過することによってその効力を生じる(法112@本分)。
同一の当事者に対して2回目以降職権によってなされる公示送達については、猶予期間を設ける意味がない⇒提示等をした翌日に効力を生じる(法112@但書)。
外国にいる者に対する公示送達については6週間の猶予期間が置かれる。
救済 公示送達の事実を知らずに訴訟行為をする機会を逸した名宛人に対する救済:
@97条に基づく訴訟行為の追完。
ただし、名宛人は、公示送達を受けたことが自己の責めに帰すべき事由によるものではないという特別の事情を主張・立証しなければならない。
A申立人が公示送達の要件の欠缺を知りながら申立てをなしたことを理由として、名宛人たる当事者が再審の訴えを提起する方法。
法338@(5)の再審事由。
審理方式に関する諸原則 口頭主義 審理における当事者および裁判所の訴訟行為を口頭によって行わせる原則。
直接主義 事実認定のための弁論の徴収や証拠の取調べを受訴裁判所の裁判官自身が行う原則。
口頭弁論 意義 公開法廷において両当事者が対席し、受訴栽培所に対する口頭の陳述によってそれぞれの主張事実を提出する審理の方式。
必要的口頭弁論 裁判所が当事者による訴えまたは上訴について裁判するためには、原則として口頭弁論を開いて審理を行わなければならない(法87@B)
必要的口頭弁論が妥当する範囲では、口頭弁論に顕出される事実以外の事実は訴訟資料とならない。もっとも、法が口頭弁論を擬制する場合は別。(法158、277)
弁論制限・分離・併合 1個の訴訟手続において審理されている事件について、裁判所は、適正かつ、迅速に審理を進行させる目的のために、請求又は争点ごとに審理の範囲を制限し、または審理を分離し、また別の手続によって審理されている数個の事件を1個の手続出審理するために、弁論の併合を命じることができる(法152@)
規定 第152条(口頭弁論の併合等)
裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる。
2 裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。
弁論の制限 審理の整序のため、裁判所は、弁論や証拠調べを1個の請求や争点に限定できる。
損害賠償請求事件について、責任の有無と損害額の双方が争点になっているとき、弁論をまず責任に限定し、損害額の審理と切り離したり、本案の審理を行う前に範囲を訴訟要件に制限した弁論を行わせる。
責任なし⇒損害額の審理を行うまでもなく請求棄却の終局判決
責任が存在⇒中間判決もできる。(法245条)
審理の順序は区別されるが、同一の手続きにおいて審理される⇒訴訟資料・証拠資料、弁論の全趣旨(法247)は共通。
弁論の分離
口頭弁論の懈怠 時期に後れた攻撃防御方法の却下(法157条1項) 規定 弁論準備手続などの争点整理段階において、請求の成否の基礎となる事実およびそれに関連する間接事実や証拠が整理され、その中で当事者間で争いになり、証拠調べを要する事実が明らかにされ、それについて証拠調べが実施される。
適正かつ迅速な審理を実現するため適時摘出主義の原則。(法156条)
口頭弁論の準備がされ、裁判所が争点を整理した上で証拠調べを実施する目的を実現するためには、適時提出主義の発現として、当事者による資料の提出時期または順序について一定の制限を設ける必要がある。
第157条(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
趣旨 争点整理の段階で別の請求原因事実の追加や変更がなされたり、証拠調べがある程度進んだ段階において再抗弁事実が付加され、または相手方の立証に対応して、新たな証拠の申出をなす必要が生じうることは否定できない。
but
新たな攻撃防御方法を許せば、
一方で、すでに行われた主張や証拠調べが無駄になり、相手方当事者や裁判所に無用の負担をかけることになるとともに、
他方で、新たな主張や証拠申出が続出することは、さらにそれに対応する相手方の主張や立証を誘発することとなり、審理を遅延させ、迅速な紛争の解決に対する当事者や社会の期待を裏切る結果となる。
攻撃防御方法 事実主張、証拠申出のほかに、否認、自白の撤回など、それにもとづいて審理の必要を生じさせる当事者の訴訟行為を含む
要件 @時期に後れて提出されたものであること。

当該攻撃防御方法が提出されるまでの審理の進行状況を考慮して、より早く、かつ、適切な時期にその提出が期待できたか否かを基準として判断される。
弁論準備手続などの争点整理手続が行われたときには、そこにおいて提出されなかった攻撃防御方法については、特段の事情が認められない限り、時期に後れたものとみなされる。
Aそれが当事者の故意または重大な過失にもとづくものであること

後れて提出されたことについて何らかの合理的理由が認められなければ、重過失が推定される。
法167条や301条2校による理由説明義務が懈怠されたときには、何らの合理的理由がないものとして差し支えない。
Bそれについての審理によって訴訟の完結が遅延すること

新たな証拠調べを要しない主張の追加や、直ちに証拠調べが可能な証拠の申出は、訴訟の完結を遅延させるものには該当しない
趣旨不明瞭な攻撃防御方法の却下(法157条2項) 第157条(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
2 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。
当事者双方の欠席 事件の読み上げによって口頭弁論期日が開始されても(民訴規則62条)、呼び出された当事者双方が出頭せず、また出頭しても弁論をなすことなく退廷したときには、裁判所は、期日の終了を宣言する。
証拠調べおよび裁判の言い渡しについては、当事者の在廷を要しないので(法183・251A)、当事者の欠席にもかかわらず行うことができる。
期日終了とともに裁判所は、事件が裁判に熟したと認めれば(法243@)、弁論を終結することができる。その状態に至っていなければ、審理を続行する。
欠席当事者が1カ月以内に期日指定の申立てをなさないときは、訴えの取り下げが擬制されて、訴訟が終了する。(法263条)
当事者双方が連続して2回、口頭弁論期日に出頭せず、または弁論をしないで退廷したときにも同様に取り扱われる(法263条後段)。
一方の欠席 最初の期日の欠席 説明 訴状・答弁書・準備書面の陳述擬制。(法158条)

口頭弁論の要請から、訴状の陳述がなされないと、請求の定立が認められず、裁判所の審判の対象が定まらない。
そのこととの公平上、欠席の被告についても認められる。
出席当事者の事実主張は、あらかじめ提出された準備書面記載のものに限定(法161B)。
それが、欠席当事者が提出した準備書面の中で明らかに争われない擬制自白の成立(法159B)。
準備書面の上に積極的に自白の意思が記載⇒擬制自白ではなく、自白の成立。
争われている⇒審理が続行され、証拠調べの上で裁判所が本案判決をする。
当事者が口頭弁論に欠席したり、出席しても弁論をしない場合⇒159条1項が準用(法159条3項)
⇒欠席者が提出した書面で、陳述したものとみなされるもの(法158条、277条)の記載から争うことが明らかといえない相手方主張事実については、擬制自白が成立。
⇒被告が欠席したことにより請求原因事実が全て自白されたことになり、これを理由として原告の請求を認容する判決がされることがある(欠席判決)。
but
あらかじめ相手方に送達された、または直送されて受領された準備書面に記載していなかった事実については、相手方が欠席したままでは口頭弁論で主張することができない(法161B)
⇒それらの事実については擬制自白は成立しない。
●例外:公示送達の場合
公示送達による呼出しを受けながら、口頭弁論期日に欠席
⇒法159@の準要はない(3項ただし書)
(←公示送達による呼出しを受けた場合に、本条1項の準用を認めてしまうと、欠席当事者に不当に不利な結果となる。)

被告が答弁書その他準備書面を提出しないで口頭弁論に欠席した場合でも、原告は、請求原因事実を証拠等により証明しなければならない。
規定 民訴法 第277条(続行期日における陳述の擬制)
第百五十八条の規定は、原告又は被告が口頭弁論の続行の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしない場合について準用する。
民訴法 第158条(訴状等の陳述の擬制)
原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
民訴法 第159条(自白の擬制)
当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
民訴法 第161条(準備書面) 
口頭弁論は、書面で準備しなければならない。
2 準備書面には、次に掲げる事項を記載する。
一 攻撃又は防御の方法
二 相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述
3 相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面(相手方に送達されたもの又は相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出されたものに限る。)に記載した事実でなければ、主張することができない。
続行期日での欠席 擬制陳述は適用されない。
簡易裁判所の手続については、続行期日においても陳述擬制が認められる。(法277条)
←裁判所への出頭の負担を軽減する趣旨。
従前の弁論の結果と当該期日における出席当事者の弁論などを総合し、裁判に熟すると判断すれば、弁論を終結する。
審理が必要であると判断すれば、続行期日を指定する。
審理の現状および当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、裁判所が出頭した当事者の申出にもとづいて終局判決をすることを認める。(法244条)
弁論準備手 意義 口頭弁論期日外の期日において、受訴裁判所または受命裁判官が主催し、当事者双方が立ち会って行われる争点整理手続。(法168、169@)
争点整理の目的を考えれば、当事者および裁判所が事実および証拠については緊密に意見を交換しながら争点整理を進めることが望ましい
⇒(口頭弁論ではなく)弁論準備手続きが原則的な争点整理の方式。
規定 第168条(弁論準備手続の開始)
裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができる。
当事者の欠席 当事者一方の欠席 欠席者から準備書面が提出⇒その内容が陳述されたものとみなされて審理が審理が行われる。(法170Dによる158の準用)
2回目以降の期日の欠席については、158条の準用はない。
このような場合または準備書面等提出義務の懈怠の場合には、裁判所は、弁論準備手続を終結し(法170D、166)、または弁論準備手続きに付する裁判を取り消すことができる。(法172)
当事者双方の欠席 当事者双方が期日に欠席したときは、@訴えの取下げの擬制(法263)、A新期日の指定、B弁論準備手続の終結または弁論準備手続に付する裁判の取消しの3つの方法の中から適切なものを裁判所が選択する。これは裁判長の訴訟指揮権の行使に属する。(法170D、148)
当事者にも取消しの申立権が認められるし、当事者双方の申立てがあるときは、弁論準備手続きに対する裁判を取り消すことを裁判所が義務付けられる。(法172但書)
電話会議 当事者が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、いわゆる電話会議装置の方法によって弁論準備手続を行うことができる。
ただし、当事者の一方は期日に出頭していなければならない(法170B)。
期日に出頭せずこの手続に関与した当事者は、期日に出頭したものとみなされる(法170C)。
弁論準備手続の終結 争点整理の目的が達せられた場合、またはそれが期待できないことが明らかになった場合には、裁判所は弁論準備手続を終結する。(法170D、165、166)
★弁論主義   ★弁論主義
意義 訴訟物たる権利関係の基礎をなす事実の確定に必要な裁判資料の収集、すなわち事実と証拠の収集当事者の権能と責任に委ねる原則。
@権利関係を直接に基礎づける事実(主要事実)については、当事者による主張がなされない限り、裁判所は、これを判決の基礎とすることはできない。
主張責任
主要事実権利の発生・変更・消滅という法律効果を判断するのに直接必要な具体的事実。実体法の定める法律要件に直接該当する具体的事実のことであり、「直截事実」、「要件事実」ともいう。
A主要事実について当事者の自白の拘束力が認められる。
Bいわゆる職権証拠調べの禁止であり、事実認定の基礎となる証拠は、当事者が申し出たものに限定される。
根拠 本質説:
訴訟物たる私人間の権利関係は、私的自治の原則に服し、当事者の自由な処分に委ねられる。弁論主義は、その権利関係の判断のための裁判資料の収集について私的自治の原則が適用されることを根拠としたもの。
@主要事実についての当事者の提出責任
←その事実に基づく権利関係について私的自治が認められる。
A自白の拘束力
←いかなる主要事実について裁判所の判断を求めるかという点についての当事者の支配権を認める。
B職権証拠調べの禁止
←私的自治に服する権利関係存否の判断は、当事者が提出する証拠に基づいて行えば足り、裁判所が職権によって証拠を収集する必要はない。
真実義務との関係 裁判を受ける権利の保障に内在するものとして、争いとなる事実について、裁判所の真実発見の努力が要請される。
裁判所としては、釈明権の行使を通じて当事者に対して証拠の提出を促し、真実発見につとめるべき。
当事者の側にも真実義務が課される。
弁論主義の下でも真実発見の要請は妥当する。
ここでの「真実義務」とは、当事者が、ある事実について真実と信じるところに反する陳述をしたり、虚偽の陳述を基礎づける証拠を提出することを禁じ、あるいは逆に、真実を基礎づける証拠の提出を要求すること

主観的真実に反する事実の陳述および証拠の提出を禁止するもので、当事者に証拠提出の責任を委ねる弁論主義と矛盾しない。
争点整理手続において完全陳述義務を根拠にして裁判所が当事者に対して開示を求めたとしても、弁論主義と矛盾が生じるものではない。
(主張責任などを負う当事者が、開示された事実および証拠の中から自己の側にとって有利なものを口頭弁論において主張・提出することになる。)
事実に関する弁論主義の適用対象 弁論主義の根拠は私的自治⇒その対象も権利関係の発生・消滅・変更の原因となる主要事実に限られる
いったん弁論に上程され、相手方によって争われる主要事実についての裁判所の認定は、247条に基づいて自由な心証によってなされる。
裁判所が証拠調べなどの中で知った間接事実であっても、それが当事者によって弁論に上程されない限りは、主要事実認定の資料とすることができないとするのは、自由心証主義を不当に制約する。

弁論主義の適用対象は、主要事実に限定される。
一般条項についての弁論主義の適用 過失や正当事由など、法律要件事実が具体的事実そのものではなく、具体的事実についての評価を前提としたものとして規定されている場合には、主要事実は、評価の対象となる具体的事実とみなされ、弁論主義もそれについて適用される。
権利濫用および信義則については、それぞれの評価の前提となる具体的事実が主要事実として弁論主義に服する。
公序良俗違反の評価は、高度の公益性を含むものであるから、この場合は、その内容たる事実が弁論において主張されないときであっても、裁判所は他の事実から主要事実の存在を推認し、公序良俗違反を認定しうる。
権利抗弁 留置権や同時履行の抗弁権などの権利抗弁の場合には、それを基礎づける客観的事実だけではなく、権利を行使する旨の当事者の意思表示が要求される。
民法418条または722条2項に基づく過失相殺の抗弁は、権利抗弁ではなく、当事者による過失相殺の主張がなされなくても、裁判所は、それをは、それを判決の基礎とすることができる。
法規ないし法的観点 法令の解釈適用については、裁判所が責任を負う。⇒法規に関しては、弁論主義の適用はない。
当該当事者及び相手方の攻撃防御方法に影響が生じる。
⇒裁判所は、釈明権を行使して、法的観点の内容を当事者に対して指摘する必要。(法的観点摘示義務
事実の同一性 主張される事実と裁判所により認定される事実との間に、完全な同一性が欠ける場合でも、社会的事実としての同一性が認められれば、弁論主義違反の問題は生じない。
ex.契約の成立日時や過失の内容である医療行為が行われた日時。
診療上の過失が問題となっているときに、注射器の消毒不完全という主張事実に代えて、注射液の不良を認定することは弁論主義違反。
事実の主張 裁判所が認定しうる事実は、当事者によって口頭弁論において主張されたものに限定される。
事実主張が欠けていると判断するときには、裁判所は、釈明権の行使によりその主張を促す。(法149条)
弁論の全趣旨(法247条)を考慮すると、ある事実が主張されていると認められるときには、明示的な主張が欠ける場合でも、それを認定することは許される。
主張責任と事案解明義務 主張責任 弁論主義⇒ある事実が口頭弁論において主張されない場合には、裁判所はその事実を認定することが許されず、その事実に基づく法律効果の発生が認められない⇒その法律効果を自己に有利に援用しようとす当事者は不利益を受ける。
ある事実について、いずれの当事者が主張責任を負うかは、当該事実についての証明責任の所在によって決定される。
(その事実について証明責任を負う当事者が、あわせて主張責任を負う。)
事案解明義務
●●
製造物責任訴訟などにおいて、証拠の偏在などの事情によって、主張責任をそれを負担する当事者にとって過大になる場合がある。

争点整理の手続きなどにおいて裁判所が、釈明権や釈明処分の手段を通じて、主張責任を負わない相手方当事者に対して事実や証拠の所在を明らかにするよう求めることが望ましい
相手方当事者は、訴訟上の信義則にもとづく義務として、それに応じる義務を負い、裁判所は、それに応じなかったことを弁論の全趣旨として評価することが許される
弁論主義の適用範囲 訴訟要件 訴訟法律関係にかかわるものであり、公益性をもち、一般に私的自治になじむものでないから、弁論主義の適用は排除される。
人事訴訟 人事法律関係の特質から、弁論主義が制限ないし排除されている。
以下の規定が不適用(人訴19@)
・時期に後れた攻撃防御方法の却下(法157条)
・審理計画にもとづく提出期間徒過による攻撃防御方法の却下(法157条の2)
・当事者本人の不出頭等に基づく真実擬制(法208条)
・文書提出命令違反にもとづく真実擬制(法224条)
・筆跡等の対照用文字筆記命令不服従にもとづく真実擬制(法229C)
・審理の現状にもとづく裁判(法244条)
・自白(法179条)
職権探知主義の採用(人訴20条前段)
行政事件訴訟 民訴法の規定が準用され(行訴7)、基本的に弁論主義が妥当する。
主張責任および自白の拘束力は行政事件訴訟でも認められる。
行政事件訴訟法24条は、職権証拠調べを規定するが、これは職権探知主義を採用したものではなく、弁論主義を職権証拠調べによって補充する趣旨。
株主総会決議取消訴訟等 団体的法律関係の性質および判決の対世効を根拠に、弁論主義が排除される。(通説)
団体的法律関係の発生・変更・消滅といえども、基本的には当事者の意思にゆだねられており、また対世効を受ける利害関係人は、訴訟参加の方法によりその利益を守ることができる。
⇒原則として弁論主義の適用が認められる。
★釈明権     ★釈明権
意義  釈明とは、裁判所が、当事者に対し、訴訟関係を明確にするため、事実上又は法律上の事項に関する問いを発し又は立証を促すこと。 
正確には、裁判所がするのは「求釈明」であるが、実務上、「釈明」の語は、求釈明の意味で用いられることが多い。
釈明権の行使の範囲 @不明瞭な主張を明確にさせること(消極的釈明)にとどまらず、
A他の主張や証拠資料から合意理的に予測される主張や証拠の提出を促したり、
B事案の適正な解決に資する法的構成を指摘して、当事者の法的構成について議論する(法的観点指摘義務)などの積極的な意味(積極的釈明)も含む。 
法的観点義務についての釈明権の行使を必要としたもの(最高裁H22.10.14)。
証拠の偏在がある場合に、一方当事者に事実の解明を促す義務を認める見解。
釈明に応じない場合    当事者が釈明に応じない⇒裁判所は、当該釈明の対象事項に係る攻撃防御方法を却下して、審理を打ち切ることができる(民訴157A)。
規定 民訴法 第157条(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
2 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。
手続   ■  ■期日における釈明(岡口1p232〜)
規定 民訴法 第149条(釈明権等)
裁判長は、口頭弁論の期日又は期日外において、訴訟関係を明瞭にするため事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すことができる。
2 陪席裁判官は、裁判長に告げて、前項に規定する処置をすることができる。
3 当事者は、口頭弁論の期日又は期日外において、裁判長に対して必要な発問を求めることができる。
4 裁判長又は陪席裁判官が、口頭弁論の期日外において、攻撃又は防御の方法に重要な変更を生じ得る事項について第一項又は第二項の規定による処置をしたときは、その内容を相手方に通知しなければならない。
釈明権は裁判長が行使(民訴149@)
陪席裁判官は、裁判長に告げてこれを行使することができる(民訴149A)。 
当事者は、裁判長に対し、釈明権の行使を求めることができる(民訴149B)。
相手方への発問を裁判長にしてもらうというものであり、求問権とうい。
求問権の行使に対し、裁判長の発問を待たず相手方が直ちに答弁することもあり、双方の応答に任せれば足りる場合もある。
■     ■期日外における釈明
 
当事者は、裁判長に対し、期日外釈明をすることもできる(民訴149B)。 
攻撃防御方法に重要な変更を生じ得る釈明の場合、
@裁判長は、反対当事者にも釈明内容を通知しなければならず(民訴149C)
A裁判所書記官は、釈明内容を訴訟記録上明らかにしなければならない(民訴規則63A)。
  ■異議
釈明権の行使について当事者が異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その意義について裁判する(民訴150)。
釈明処分
(法151条)
類似点 裁判所が、訴訟関係を明瞭にするために行う。
違い 当事者本人またはその法定代理人に対して口頭弁論期日への出頭を命じ、当事者の事務処理者や補助者に陳述をさせ(法151条@(1)(2))
当事者の所持する文書等の提出を明示、留置し(法151@(3)(4))
検証をし、もしくは鑑定を命じ(法151@(5))
必要な調査を食卓する(法151@(6))
などの方法を通じて、裁判所自身の行為によって事実関係を明らかにする手段。
釈明権の行使 合議体においては、裁判長がこれを行使し(法149@)、陪席裁判官は、裁判長に告げて行使することができる。(法149A)
当事者は、裁判所に対して釈明権の行使を求めることができる。(法149B)
重要な事実に関する期日外釈明については、その内容が裁判長などから相手方に通知される。(法149C)
釈明権の行使に対して当事者が異議を述べたときには、裁判所は、決定の形式をもって異議について裁判を行う。(法150条)
当事者が釈明に応じず、または釈明をすべき期日に欠席したことに対する制裁として、釈明の対象たる事項についての攻撃防御方法の却下を規定。(法157A)
釈明義務 釈明権を行使すべきであるにもかかわらず、裁判所がこれをお炬燵怠るときは、釈明義務違反として上告または上告受理申立理由になる。(法312B、318@)
具体的訴訟の状態に照らして、釈明権が行使されなければ不合理な結果が生じる場合であって、かつ、適切な申立てや主張をなさなかった当事者が釈明権不行使の違法を主張することが訴訟上の信義則に反しない場合に、はじめて釈明義務違反が肯定される。
申立てに関するもの @主張事実を前提とすれば、他の種類の請求権を訴訟物とするのが適当な場合、または原告の主張を善解すれば、請求の趣旨を改めることが適当な場合。
ex.
不法行為に基づく請求を不当利得に基づく請求に改めるべき場合
売買無効確認の訴えを現在の権利関係の確認の訴えに改めるべき場合
原告数に応じて分割された給油請求を分割債権の割合に応じた給付請求に改めるべき場合
一般に訴えの変更を促す釈明権行使も許され、かつ、当事者の訴訟追行能力や訴えの変更を余儀なくされる事情などを考慮して裁判所に釈明権行使が期待される場合には、釈明義務が肯定される。
事実および証拠に関するもの 現に主張されている事実が、それ自体不明瞭であったり、また申立てや証拠との関係が明らかでなかったりするときは、裁判所は、その不明瞭を正す釈明をすべき。
弁論の趣旨に照らしたときに、合理的通常人を前提とすれば、現に主張されている以外の事実主張が規定される場合には、釈明権の行使を通じて、新しい事実主張をする意思の有無を確認すべき。
抗弁を基礎づける事実が弁論に現れている場合の、抗弁提出の意思の有無についての釈明。
同時履行や留置権の抗弁。
時効の援用。
職権探知・職権調査 訴訟要件の中で、公益性が強い要件、すなわち裁判権、専属管轄、除斥原因、当事者能力、訴訟能力、あるいは二重起訴の禁止などについて、弁論主義が全面的に排除され、主張責任や自白の拘束力が否定されるだけでなく、職権証拠調べまで行われる。
調査嘱託 第186条(調査の嘱託)
裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。
裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。(法186条)

■証拠
証拠 証拠方法 人証 @証人、A鑑定人、B当事者本人
物証 C文書、D検証物
証拠資料 証拠方法が取り調べられた結果として形成される判断資料。
証言、鑑定意見、文書の記載内容、検証物の形状等
証明妨害

コンメンタールWp47
意義 証明責任を負わない当事者が、故意または過失により証明責任を負う当事者の立証を失敗させまたは困難にさせること。 
規定  ●書証
民訴法 第224条(当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果)
当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
2 当事者が相手方の使用を妨げる目的で提出の義務がある文書を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたときも、前項と同様とする。
3 前二項に規定する場合において、相手方が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるときは、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
民訴法 第229条(筆跡等の対照による証明)
文書の成立の真否は、筆跡又は印影の対照によっても、証明することができる。
2 第二百十九条、第二百二十三条、第二百二十四条第一項及び第二項、第二百二十六条並びに第二百二十七条の規定は、対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件の提出又は送付について準用する。
3 対照をするのに適当な相手方の筆跡がないときは、裁判所は、対照の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができる
4 相手方が正当な理由なく前項の規定による決定に従わないときは、裁判所は、文書の成立の真否に関する挙証者の主張を真実と認めることができる。書体を変えて筆記したときも、同様とする
5 第三者が正当な理由なく第二項において準用する第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
6 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
●検証 
民訴法 第232条(検証の目的の提示等) 
第二百十九条、第二百二十三条、第二百二十四条、第二百二十六条及び第二百二十七条の規定は、検証の目的の提示又は送付について準用する。
2 第三者が正当な理由なく前項において準用する第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないときは、裁判所は、決定で、二十万円以下の過料に処する。
3 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
●当事者尋問 
民訴法 第208条(不出頭等の効果)
当事者本人を尋問する場合において、その当事者が、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓若しくは陳述を拒んだときは、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
民訴法 第2条(裁判所及び当事者の責務)
裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。
裁判例  自動車の保険代理店において、遅滞分割保険料等の支払に対し、受領日時を記載しないまま弁済受領書を交付したことが保険料支払の日時についての証明妨害に当たるかが争われた事案で
「このような証明妨害があった場合、裁判所は、要証事実の内容、妨害された証拠の内容や形態、他の証拠の確保の難易性、当該事案における妨害された証拠の重要性、経験則などを総合考慮して、事案に応じて、
@挙証者の主張事実を事実上推定するか
A証明妨害の程度等に応じて裁量的に挙証者の主張事実を真実として擬制するか
B挙証者の主張時jちうについて証明度の軽減を認めるか
C立証責任の転換をし、挙証者の主張の放ち事実の立証責任を相手方に負わせるか
を決すべきである」(東京高裁H3.1.30)
考え方 証明妨害は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行すべき義務(2条) に反するものであることは明らか
⇒信義則を重視する現行民訴法の下では、信義則違反の程度に応じた訴訟上の制裁が考慮されるべきであり、その態様によっては、単に自由心証の範囲内で考慮するにとどまらず、少なくとも証明度の軽減の効果が認められるべき。
裁判所が、民訴法223条6項に基づき、文書提出命令の申立てに係る文書が220条4号イから二までの除外事由に当たるかどうかをいわゆるイン・カメラで判断する場合において、所持者が合理的理由なく提示命令に従わないときは、証明妨害の一種と考えて文書提出命令を発令し、当事者が文書提出命令に従わなければ224条を適用することができるとする見解もある。
証拠調べを要しない場合 

コンメンタールWp77
規定 民訴法 第181条(証拠調べを要しない場合)
裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない。
2 証拠調ベについて不定期間の障害があるときは、裁判所は、証拠調べをしないことができる。
民訴法 第249条(直接主義)
判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がする。
2 裁判官が代わった場合には、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない。
3 単独の裁判官が代わった場合又は合議体の裁判官の過半数が代わった場合において、その前に尋問をした証人について、当事者が更に尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない。
■趣旨 当事者が申し出た証拠のうち、裁判所が取調べの必要がないと判断したものは、取り調べることを要しないこととした

証拠の採否が裁判所の取調べの必要性の判断に委ねられていることを明らかにした。
弁論主義⇒当事者間に争いがある事実については、裁判所は当事者が申し出た証拠によって認定。
他方、証拠の価値評価については裁判所の自由心証に委ねられる。

当事者の提出した証拠の採否は、当該証拠が唯一の証拠方法でない限り、原則として裁判所の裁量に委ねられたもの。
文書提出命令の申立ての採否も、証拠の採否⇒証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない(最高裁H12.3.10)。
当事者の申請する証拠方法の取調べ範囲、順序、時期も、裁判所の訴訟指揮に属し、その裁量に任せられる。
本条2項は、証拠調べを行うことに障害があり、その障害が除かれるかどうかが不明で、いつ証拠調べを行うことができるかどうかの見通しがつかない場合には、訴訟遅延を防止するために、仮に唯一の証拠方法であっても、裁判所は証拠調べを行わないことができることを定めたもの。
■       ■証拠の採否
●唯一の証拠方法についての証拠法則 
証拠の採否は原則として裁判所の取調べの必要性の判断に基づいた裁量に委ねられる。
but
争点となっている特定の主要事実を立証するために当事者が申し出た唯一の証拠方法は特段の事情のない限り必ず取り調べなければならないとする証拠法則(「唯一の証拠方法の法則」)

特定の争点について、唯一の証拠方法を取り調べることなくその申出をした当事者に不利な認定をすることは、当該当事者に予断に基づく認定ではないかとの不信感・不公平感を抱かせることになるし、実際に事実誤認をもpたらすおそれもあり、事実認定の適正を確保することができない。
判例上、職権で証拠調べができる場合については、証拠調べは裁判所の責務←唯一の証拠方法の法則の適用が否定。
●唯一の証拠方法を取り調べなくてもよい特段の事情。 
●本条1項の例外 
民訴法249条3項の場合
  ●証拠の採否の判断 
証拠の採否の判断は原則として裁判所の裁量に委ねられている。
but
適切な裁量が行われる必要。
←その判断は、事実認定につながり、判決の結論を左右する。
最高裁H20.11.7:痴漢の虚偽申告を理由とする損害賠償請求訴訟において、目撃証人に準ずる立場にある唯一の人物の証人尋問を実施しないで痴漢行為があったものと認定したことには、審理不尽の結果、結果に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある(最高裁H20.11.7)。
民事訴訟は弁論主義を基礎⇒当事者に争いのある事実については、裁判所は当事者が申し出た証拠によって認定することを求められる⇒基本的には、当事者の申し出た証拠は採用されるべき。
◎採用する必要がない場合
○証拠の申出が不適法である場合
○取り調べる必要がないことが明らかな場合 
○十分な心証を得てる場合 
●採否の決定
  ■証拠調べの障害
証明と疎明 ■証明 ■証明
ある事実の存在または不存在が証明の対象となる場合に、裁判官は、当該事項に関して「確信」に至る程度の心証を形成することが要求される。
←訴訟制度の最終目的が権利関係を確定することにあり、したがって、その前提となる事実の認定に関しては、真実発見の要請が妥当することを反映。
因果関係の証明に関して、「一点の疑義も許されない自然科学的な証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、それで足りる」(最高裁昭和50.10.24)

単なる裁判官の主観的確信ではなく、事実に関する高度の蓋然性が証拠によって基礎づけられたかどうかが、通常人による確信を基準として決定されなければならないとされている。
高度の蓋然性および確信は、証明主題たる事実の性質、およびそれを証明するために用いられうる証拠の範囲によって決定される相対的なものであり、絶対的基準が存在するわけではない。
公害や独禁法違反行為にもとづく損害賠償請求など現代型訴訟において、原因行為と損害との間の因果関係を証明する方法として、統計学的証明や疫学的証明の利用が説かれることがあるが、因果関係の証明手段としてこれらの方法によらざるをえない場合には、その方法によって高度の蓋然性についての確信が形成される。
■疎明 ■疎明
実体的権利関係確定のための前提事実を認定するのではなく、その保全のための一応の処分をするとか、手続上の事項に関する裁判をなす場合。
←そのような場合にまで証明を要求すると、裁判所が迅速に手続を進めて裁判をなすことができず、制度の目的を実現することが妨げられる結果となる。
「疎明」の概念を立てて、高度の蓋然性についての確信にまで至らなくても、相当程度の蓋然性があれば、ある事項を裁判所が認定できるものとする。
疎明のための証拠方法についても、このような目的を達するために、裁判所が即時に取調べうるものに限定される(民訴法188条)。
即時性をもつ証拠とは、法廷に在廷する証人(在廷証人)や、疎明を行う当事者が現に所持する文書等。
厳格な証明と自由な証明 ■厳格な証明 ■厳格な証明
法律が規定する方式によって行われる証明。
当事者から申出がなされた証拠について裁判所がその採否を決し、採用された証拠について両当事者対席の下に公開法廷で所定の方式にしたがってその取調べが行われるのが原則。
■自由な証明 ■自由な証明
職権調査事項たる訴訟要件に関する事実、経験則、あるいは決定手続によって判断すべき事項に関して、上の方式によらない証明が許されると説かれる。
     
証明を要しない事実 規定 民訴法 第179条(証明することを要しない事実) 
裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
■外国法規等 ■外国法規等
基本的には外国法といえども、法規範の一種として、裁判所が職権によって探知する責任を負う。

@外国法が適用されるのは、わが国の抵触法である法令の適用の結果。
Aかりに適用されるべき外国法の内容が不明であっても、証明責任による解決には適さない
裁判所は、当事者に対して書証や鑑定の方法によって外国法の内容を証明するよう求めることができる。自由な証明で足りる。
■経験則 ■経験則
裁判所がその私知にもとづく経験則を事実認定に用いることは許されず、書証または鑑定などの証拠方法にもとづいてこれを認定する必要
←経験則については、事実に関する判断法則として、原則として事実と同様の取扱いがなされるべき。
合理的通常人であれば、誰しも疑いを差し挟まないような日常的経験則については、公知の事実(法179条)に準じるものとして証明を要しない。
■争いのない事実   ■争いのない事実
規定 民訴法 第159条(自白の擬制)
当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない
 ● 当事者が相手方の主張事実を争うことを明らかにしない場合には、自白と同様に取り扱う(擬制自白)(=肯認摘争点決定主義)。 
相手方の主張した事実を知らない旨の陳述は、争ったものと推定。
当事者が口頭弁論期日に出頭しない場合もこの考え方を及ぼす。
but
公示送達による呼出しの場合は除外。
主張を認める⇒自白⇒その主張が主要事実と主張であれば、裁判所もこれに拘束される。
争う⇒相手方はその主張事実を立証する必要。
  ●相手方の主張を争うことを明らかにしない場合の犠牲自白 
  当事者の主張する事実の中には、主要事実、間接事実(徴憑)および補助事実(書証の成立その他証拠に関する適格性や信用性に関する事実)があるが、これらは全て認否の対象。
主要事実について擬制自白が成立⇒裁判所はこれに拘束(最高裁昭和32.12.17)
間接事実(徴憑)や補助事実について擬制自白が成立しても裁判所はこれに拘束されない。
  ●弁論の全趣旨による争ったものとの判断 
各口頭弁論期日を一体とみた場合の当事者の弁論内容を意味する。
原告歩は、争点及び証拠の整理手続を整備するなどして、争点中心審理を目指し、これを受けて、現行規則も、準備書面において相手方の主張を否認する場合には、その理由を記載しなければならないと定め(規則79条3項)、文書の成立を否認するときは、その理由を秋kらかにしなければならないと定めている(規則145条)

本来、当事者が相手方の主張事実に対して明白な答弁をしないという訴訟態度は許されないこと。
明白な答弁をしないのに弁論の全趣旨によって争ったものと認められる場合は、その主張事実を認めることとは矛盾するような主張や立証をしているような場合に限定される。
  ●不知の陳述の効果
不知⇒事実を争ったものと推定される⇒その事実について立証責任を有する当事者が立証する必要。
自己の直接関与した事実について不知と答えることは、それが非常に古い事実忘れるのがもっともと認められるなど合理的な理由がある場合のほかは、争ったものと推定される効果は非常に弱く、むしろ不知と述べて争った推定されること自体が弁論の全趣旨として、かえってその事実の存在を認定させる一資料となることもある
 
自由心証主義(法247条) 意義 裁判所が判決の基礎となる事実を認定するにあたって、口頭弁論の全趣旨および証拠調べの結果を自由な心証にしたがって評価することを認める原則。
証拠調べの結果 原則 自由心証主義は、証拠方法の内容、すなわちいかなる証拠方法をを証拠調べの対象ととするかについて特別の制限を加えず、証明力の有無・程度も裁判官の自由な判断に委ねられる。
何をもって証拠原因(確信の基礎を形成するに足る証明力をもつ証拠資料)とするかどうかの判断も、裁判官の自由な心証に基づいて行われる。
例外 法定代理権または訴訟代理権の書面による証明
弁論の全趣旨
◆        ◆2 証明責任(伊藤5版p365)
証明責任:
法令適用の前提として必要な事実について、訴訟上真偽不明の状態が生じたときに、その法令適用にもとづく法律効果が発生しないとされる当事者の負担。
証明責任は、その定義上、法律効果の発生などを直接に基礎づける主要事実について成立するものであり、間接事実や補助事実、また経験則や法規について証明責任を考える余地はない。
■  ■(1) 証明の必要と証明責任
■(2) 証明責任の分配
証明責任の分配:法律効果発生の基礎となる特定の法律要件事実について、いずれの当事者が証明責任を負うかを定めること。
通常は、法規の解釈によって分配が定められる。
法律効果を@権利発生、A権利障害、B権利阻止または権利消滅の3つに大別。
訴訟物たる権利関係を基準として、それぞれの法律効果が自己に有利に働く当事者が、その法律効果を基礎付ける要件事実の証明責任を負う。
その際、ある事実が権利発生など、いずれの法律効果を基礎づけるものであるかは、実体法の解釈によって定まる。
B:証拠との距離、立証の難易、および事実の存在・不存在の蓋然性等の実質的要素を考慮して分配を決すべき。

ある事実を権利発生事実として構成すべきか、それとも権利障害っ実として構成すべきかという点に関する実体法規の解釈に際して、上記の事情も考慮に入れるべきであるというのであれば、法律要件分類説の基本的考え方と矛盾するものではない。
■      ■(3) 証明責任の修正
そのような結果が社会的正義や当事者間の公平の見地から肯認されないときには、いくつかの方法により、証明責任分配の修正が図られる。
●ア 証明責任の転換  
◎実体法の一般規定に基づく法律要件の分類を特別法において立法者が変更。
加害者の過失に該当する事実は、民法709条による権利発生事実として債権者の証明責任。
自賠法3条但書により、権利障害事実として、債務者たる加害者の諸運命責任。
◎  ◎証明妨害 
民訴法224条は、文書の不提出などの事実を基礎として、裁判所が文書に課する相手方の主張または文書によって証明すべき事実を真実と認めることができる旨を規定。
A:証明妨害の法理:これを一般化して、当事者が故意に訴訟上の義務に違反して証明妨害行為をなしたときには、その効果として立証主題たる事実についての証明責任が妨害者に転換されると説く。
vs.
当事者の証明活動に関する事実から、証明責任転換の法律効果を導くのは困難。
〇B:一般的には、妨害行為によって確信が形成されないときでも、裁判所は、より低い心証度にもとづいて立証主題たる事実を認定できる(=証明度の軽減)とするのが、証明妨害の効果。
   
◆推定   ◆イ 推定(伊藤5版p372)
意義 事実認定の主体が、ある事実(前提事実)に基づいて別の事実(推定事実)について確信を形成すること。
@法律上の事実推定 法が、前提事実(甲)にもとづいて法規の構成要件事実(乙)が推定されるべきことを定めるとき。
乙事実について証明責任を負う当事者としては、甲事実について裁判所の確信を形成することによって、乙事実についての証明責任を果たしたものとして扱われる。
⇒相手方に証明責任が転換される。
ex.占有継続(民法186A)、賃貸借の更新(民法619@)、雇用の更新(民法629@)、嫡出(民法772@)、建物の設置または保存の瑕疵(建物区分9)、支払拒絶証書作成期間経過前の裏書(手20A)
ex.
民法 第186条(占有の態様等に関する推定)
2 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。

民法 第619条(賃貸借の更新の推定等)
賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる。

民法 第629条(雇用の更新の推定等)
雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百二十七条の規定により解約の申入れをすることができる。

民法 第772条(嫡出の推定) 
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

建物区分 第9条(建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定)
建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。
A法律上の権利推定 法が前提事実に基づいて直接に権利の推定を規定する場合
ex.民法188、229,250,762A
B意思推定 私人の意思表示の内容について法が一定の内容を推定する場合
ex.民法136@、420B、530B、569@A
C法定証拠法則 裁判所が一定の事実を認定する際に、その根拠とする事実が法定される場合。
@推定される事実が、実体法上の法律要件事実ではない
A⇒相手方は、推定を覆すために本証の必要がなく、反証で足りる。
ex.民訴228AC
D暫定事実 特定の法律効果の基礎となる複数の法律要件事実が存在するときに、法がある要件事実の証明に基づいて他の要件事実の存在を推定する場合。
前提事実と推定事実が同一の法律効果の要件事実を構成している。
ex.民法186@、商法503A
E事実上の推定 法律上の推定の主体が立法者であるのに対し、事実上の推定の主体は事実認定を行う裁判所。
証拠⇒主要事実(直接証明)
証拠⇒間接事実⇒主要事実の存在を推定(=事実上の推定)(間接証明)
事実上の推定が成立するかどうか:
@証拠および間接事実の証明力、ならびにA経験則の蓋然性との間の相対的関係によって決定される。
ex.
手元不如意の状態にある借主が、貸主が金銭授受が行われたと主張する日時の直後にそれに相当する金額をもって第三者に弁済⇒裁判所は、他に特段の事情が認められない限り、金銭授受の事実を確信することが許される。

反証の負担を負う借主としては、別の者から融資を得たなど、他の間接事実を裁判所に確信させない限り、上の事実上の推定を覆ることは困難。
×A:一応の推定・表面証明の概念:
不法行為などにもとづく損害賠償請求訴訟において、通常では生じえない事実の発生が認められるときに、過失や欠陥に該当する具体的事実の主張・立証がなくとも裁判所が過失などの要件事実の充足を認め、損害賠償請求権の発生を認めても差し支えないという考え。
一応の推定⇒相手方としては過失に該当する具体的事実の不存在について主張・立証の負担を負うことになるので、証明責任を負う者の主張・立証の負担軽減につながる。
vs.
@過失などの評価を前提とする抽象的要件事実に関しては、評価の対象となる具体的事実が主要事実となるという一般論を前提としながら、証明負担の軽減という目的のためにその前提を変更することは支持されない。
A立証の負担を軽減するたんめには、立証方法の充実を図るべきであり、また、主張の負担を軽減するためには、要件事実の内容を検討すべきである。
B最高裁昭和32.5.10でも、注射器の消毒不完全であれ、注射液の不良であれ、注射行為に際して細菌などを体内に侵入させたことが過失の評価の対象となる主要事実であるととらえれば、あえて一応の推定を援用しなくても、その結論を指示することができる。
調査嘱託  規定 民訴法 第186条(調査の嘱託)
裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。
説明 受訴裁判所が官公署、外国の官公署、又は学校、商工会議所、取引所、会社、研究所など公私の団体を利用して争いのある事実の真否の判断に必要な事実の調査報告を徴し、その結果を証拠資料とする手続。 
調査応諾義務 我が国の官公署や公私の団体は本条による嘱託に応ずることを義務付けられている。
⇒嘱託を受けた我が国の団体は、正当な理由がない限り調査報告を拒むことができない。

弁護士照会で目的を達し得ない場合でも、訴訟提起後において重ねて本条により申立てをして証拠収集の努力をすべきである
鑑定嘱託 規定  鑑定嘱託 第218条(鑑定の嘱託)
裁判所は、必要があると認めるときは、官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は相当の設備を有する法人に鑑定を嘱託することができる。この場合においては、宣誓に関する規定を除き、この節の規定を準用する。
2 前項の場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、官庁、公署又は法人の指定した者に鑑定書の説明をさせることができる。
説明 受訴裁判所が官公署、外国の官公署、又は相当の設備のある法人に鑑定を嘱託する手続。
鑑定は鑑定人によることもできるが、その内容によっては高度の学識経験と機械その他の設備を利用しないとできない場合があり、またそうした方がより適切な結果を挙げられる場合もあることから認められる。
嘱託先が比較的簡単に判断できる事項であることを前提とする調査嘱託と区別される。
文書送付嘱託 概要 裁判所が、 文書の所持者に対し、当該文書を裁判所に送付するよう嘱託するもの(民訴226)。
所持者が当該文書を任意に送付することが期待される場合に用いられる。
規定 民訴法 第226条(文書送付の嘱託)
書証の申出は、第二百十九条の規定にかかわらず文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。ただし、当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合は、この限りでない。
要件 @ 証拠調べの必要性(法181条1項)
A 当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができない場合(法226条但書)
趣旨 書証の申し出には、民訴法219条により
@挙証者が自ら所持する文書を提出する方法と、
A相手方又は第三者が所持する文書の提出命令を申し立てる方法
とが規定されているが、
本条は第三の書証の申出の方法を定めたもの。
A:条文上:は書証の申出の方法として定められている。
B:実務:文書の送付があった場合には、送付嘱託の申立人が送付された文書の中から必要部分を選定し、謄写のうえ、改めて書証として提出。
⇒証拠調べの準備行為として位置付けることが可能。
文書提出義務の有無にかかわりなく、第三者から文書の提出を求める簡易な手続として利用される。
but
不提出の場合の制裁規定は存在しない。
⇒不提出の場合は、必要があれば、改めて文書提出命令の申立て(法219条、221条)をすることになる。
手続 文書送付嘱託の申立てには民訴法221条1号ないし4号が準用され、@文書の表示、A趣旨、B所持者、C証明すべき事実を明らかにする必要。
but
A:実務においては、文書の特定、要証事実との関係において、文書提出命令の場合に比べて、より緩やかな記載でもその申立てを認めている。
ex.訴訟記録等については、送付jを求める文書を個別的に明らかにしないまま1冊全部の送付嘱託をし、送付後申立人が記録の必要部分を選定し書証として提出する取扱い。
vs.
B:送付嘱託の申立ても書証申出行為のひとつ
⇒当事者は申立に際してその対象とる文書を特定し、要証事実との具体的関連性を明確にすべき。
but
実務上の必要を考えれば、実務の取扱いを是認してよい。
文書送付の嘱託の申立においては、221条1項の準用はなく、それに代えて、@文書の所持者、A文書の(可能な限度における)特定、B証明すべき事実(規則99条1項)を明らかにすればよい。
嘱託の決定および申立てを不必要とする却下の決定は、いずれも証拠の採否の裁判
⇒これらの裁判に対しては独立して不服の申立てをすることができない(法181(2))。
申立ができない場合 当事者が文書の所持人に対し、法令によって文書の正本または謄本の交付を求めることができる場合。 
実務 実務上は、送付された文書を当事者が謄写し、それを提出して書証の申し出をする。
文書提出命令   ★文書提出命令
趣旨 裁判所が、文書の所持者(当事者又は第三者)に対し、当該文書を裁判所に提出するよう命令するもの(民訴223@)
任意提出が期待できれば、文書の送付嘱託(民訴226条)を申立てれば足りる。
規定
民訴法 第221条(文書提出命令の申立て)
文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一 文書の表示
二 文書の趣旨
三 文書の所持者
四 証明すべき事実
五 文書の提出義務の原因
2 前条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない。
民訴法 第222条(文書の特定のための手続)
文書提出命令の申立てをする場合において、前条第一項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることが著しく困難であるときは、その申立ての時においては、これらの事項に代えて、文書の所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を明らかにすれば足りる。この場合においては、裁判所に対し、文書の所持者に当該文書についての同項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることを求めるよう申し出なければならない
2 前項の規定による申出があったときは、裁判所は、文書提出命令の申立てに理由がないことが明らかな場合を除き、文書の所持者に対し、同項後段の事項を明らかにすることを求めることができる
要件 裁判所は
@申立書に必要的記載事項の記載があり、
A当該文書を取り調べる必要があり、かつ、
B当該文書の所持及び所持者の文書提出義務(民訴220)
が認められれば、文書の提出を命じる。 
■必要性について    ■必要性について
文書の存在と所持、証拠調べの必要性の主張・立証責任も、基本的に申立人に課される(理論と実務p72)。 
証拠調べの必要性の判断については、次の判断の枠組みが必要となる(理論と実務p421)。
@その立証命題そのものが当該事件の解決にとって関連性がないから、そのような立証そのものが不要と判断される場合。
A立証命題には問題がないが、それに対して、当該文書の関連性がないために、当該文書の取調べが不要であると判断される場合
Bその立証命題は、すれに他の証拠により証明十分であるから、もはや当該文書の取調べは不要である場合
@については、特別な審理を必要とするものではなく、通常の訴訟の進行によって、弁論準備手続等の手続において必要な主要事実、間接事実レベルの争点整理を行うことによって、証拠調べの必要性が判断できる。
Aについては、申立人は、その必要性に関して、当該立証命題との関連性があることを根拠づける事実の主張・立証をする必要がある。
過剰な立証は制約してベスト・エビデンスを取り調べるべきであるという考え方が背景にあるが、一方で、当該文書に何が書いてあるかは、実際に参照してみなければわからないということも考慮する必要がある。
その意味では、実務的には、文書提出命令の申立てに対する判断をしばらく留保して、他の立証方法による立証を重ねる中で、最終的な判断をする事例もある。
Bについても、基本的に何が書いてあるかは、参照してみなければわからない⇒文書の表示および趣旨から、明らかに関連性がないとされない限り、この点の関連性がないことを理由にして早期の段階で却下することは、少なくとも合理的な判断とはいえない。
実際に文書提出命令を発する際には、文書の表示および趣旨を特定したり、当該文書を所持しているか否かの判断をしたり、立証命題と当該文書の関連性について、所持人である相手方に明らかにすることを求める手続の過程で得られる情報から、証拠調べの必要性を判断できる事例がほとんど。
所持人が訴訟当事者である事例では、多くの事例で、当該文書の表示および趣旨が明らかになり、当該文書が上記の@Aの意味で必要があることを明らかにすれば、実務的には、対立当事者である文書の所持人が、任意に(または裁判所の勧告を受けて)可能な範囲で、当該文書を書証として提出し、文書提出命令の申立ては取り下げられることになる。
but
プライバシー保護等の要請から一部にマスキングをした写しを提出したり、所持者が別途、申立人の文書提出命令の立証命題に即して必要な情報を転記する等した文書を、任意の書証の提出として提出する場合もみられる。

当該文書(写し)作成の過程に疑義があるか否か、その文書(写し)の内容に照らして、文書提出命令に係る当該文書の証拠調べの必要性が後発的に失われた否かを検討することになる。
従来、文書を取り調べる必要性は、証拠調べの採否一般の問題として(法181条)、文書提出義務とは峻別された文書提出命令の別要件と論じられてきた。
文書提出義務は個別事件の証拠調べの必要性によって左右されないとの見解

提出義務存否の判断は即時抗告(法223条7項)により争うことができるのに対し、
証拠調べの必要性の判断は証拠の採否として受訴裁判所の専権に属し、終局判決と独立の不服申立てをすることはできないとするのが、通説・判例。
  文書の記載内容自体から提出義務判断をするのとは異なり、証拠調べの必要性は、個別事件の本案審理における当事者の主張・立証によって変動する。 
最高裁H20.11.25:
原告Xらが、その取引先であるA社に融資をしていたY銀行に対し、不法行為による損害賠償を請求する訴訟。
Xらは、AのメインバンクであったYが、平成16年3月以降、Aの経営破たんの可能性が大きいことを認識し、その意思はなかったにもかかわらずAを全面支援すると説明してXらを欺罔したため、あるいはAの経営状態についてできる限り正確な情報を提供すべき注意義務を負っていたのにこれを怠ったため、XらがAとの取引を継続し、その結果、Aに対する売掛金が回収不能となり損害が被ったと主張。

Xは、Yの上記欺罔行為および注意義務違反の行為の立証のために必要があるとして、Aの経営状況の把握、Aの貸出金の管理およびAの債務者区分の決定等を行う目的でYが作成し保管していた自己査定資料一式の文書提出命令を申し立てた。
■従わない場合     ■文書提出命令に従わない場合
●    ●相手方当事者が従わない場
裁判所は、当該文書の記載に関する申立人の主張を真実と認めることができる(民訴法224@)。
相手方が申立人の使用を妨げる目的で提出の義務がある文書を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたときも同様(民訴法224A)。

滅失等あっせた時にまだ紛争が現実化していなくてもよい。
過失による滅失は含まない。
「文書の記載に関する主張」:
文書の性質、内容、成立の真正についての主張。
当該文書により証明すべき事実まで真実と認めるものではない。
相手方当事者が文書提出命令に従わない場合で、申立人が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるとき。
裁判所は、当該文書により証明すべき事実に関する申立人の主張を真実と認めることができる(民訴法224B)。 

この規定は、立証事項の証明度を軽減したものであるが、裁判所は、なお、真実と認めることができないと判断すれば、この規定を適用しなくてもよい。
●第三者が従わない場合
決定で、20万円以下の過料に処する(民訴225@)。
■  
  ■申立書の必要的記載事項
申立書には、
@文書の表示、A文書の趣旨、B文書の所持者、C証明すべき事実、D文書の提出義務の原因を記載しなければならない(民訴法221@)。
●     @ @文書の表示:
売買契約書・領収書など文書の種別、作成名義者、作成日付、標題などによって目的の文書を特定するもの。
なお、特定のために必要であれば、原本・謄本・抄本の別も明らかにすべき。
×「本件係争の更正処分をなす根拠となった書類一切」 
but
申立人としては(222条による徳手のための手続を前提としてもなお)その程度の記載にとどまることがやむを得ないような事情があり、かつ、所持者においてその対象となる文書を明確に認識することができるような場合には、なお適法というべき。
第一次的には所持者にとって特定ができるかを考え、これに裁判所が取調べの必要性や文書提出義務を判断できるかという要素を加味して検討することになる。
特定の会計監査に関する監査調書と記載されていれば、個々の文書の表示・趣旨が命じされていなくても、対象文書の特定として附則するところはない(最高裁H13.2.22、財務諸表等の監査証明に関する省令に基づく監査調書の整理・備置義務を根拠とする)。 
A A文書の趣旨:文書の内容。
特定の程度は、所持者が形式及び内容から当該文書を識別できる程度で足りる。
B B文書の所持者:命令の相手方。
C C証明すべき事実:
裁判所が当該文書の証拠としての関連性を判断するために必要。
D D文書提出義務の原因:提出義務の根拠として複数のものが認められる。
■   ■文書特定のための手続
規定 民訴法 第222条(文書の特定のための手続)
文書提出命令の申立てをする場合において、前条第一項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることが著しく困難であるときは、その申立ての時においては、これらの事項に代えて、文書の所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を明らかにすれば足りる。この場合においては、裁判所に対し、文書の所持者に当該文書についての同項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることを求めるよう申し出なければならない
2 前項の規定による申出があったときは、裁判所は、文書提出命令の申立てに理由がないことが明らかな場合を除き、文書の所持者に対し、同項後段の事項を明らかにすることを求めることができる
●趣旨 
申立人としては、特定の要証事実に関する文書で一定のカテゴリーに属するものをそれらの者が所持していることは知ることができる(あるいは、少なくともそれらの者が通常所持しているであろうことが推測できる)としても、221条1項1号に規定される文書の表示や同項221条1項1号に規定される文書の表示や同項2号に規定される文書の趣旨を明らかにすることは必ずしも容易ではない。
⇒「文書の特定のための手続」
but
実際に利用されることは少ない。

@手続の実効性の問題
A文書提出命令手続の中で文書が任意に提出されたり、任意に提出されなくても当事者間のやり取りや裁判所の釈明によって文書の特定が図られたりする場合が多い。
  ●要件 
@文書提出命令の申立てがあること
A文書の表示(221条1項1号)または文書の趣旨(同条同項2号)を明らかにすることが著しく困難であること
B文書所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を申立人が明らかにすること
◎Aについて 
文書提出命令に際して、その適法要件を満たす程度に文書の表示・趣旨が明らかにされておらず、かつ、これを明らかにすることが著しく困難である事由。
   
   
     
★文書提出義務(法220条)がある文書   ★文書提出義務(法220条)がある文書
概要 従前の民訴法では、現行民訴法220条1〜3号所定の文書に限りその所持者に提出義務があるとされていた(限定義務)。
but
現行民訴法において、同条4号が新設され、国民は、同号イないしホ所定の例外事由がない限り、一般的に文書の提出義務を負う(一般義務)。

文書の提出義務は同条4号で認めれば足りることになったため、
同条1〜3号が適用される場面は、
@同条4号所定の例外事由(同号イ〜ホ)にあたる場合(=この場合は同条4号で提出義務が認められないため、同条1〜3号で提出義務が認められるか検討する必要がある)、又は
A文書提出命令によらずとも書証の申出ができる場合(=この場合は同条4号による申立てができない)に限られる。
規定   第220条(文書提出義務)
次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書
民訴法 第196条(証言拒絶権)
証言が証人又は証人と次に掲げる関係を有する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれがある事項に関するときは、証人は、証言を拒むことができる。証言がこれらの者の名誉を害すべき事項に関するときも、同様とする。
一 配偶者、四親等内の血族若しくは三親等内の姻族の関係にあり、又はあったこと。
二 後見人と被後見人の関係にあること。
民訴法 第197条
次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
一 第百九十一条第一項の場合
二 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
三 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合
2 前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には、適用しない。
@引用文書
(法220@(1))
趣旨 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するときは、当該当事者は、一般に、その引用文書に関する秘密保持の利益を放棄したものと解されるし、相手方にも、それを閲覧させて反論の機会を与えることが公平であるから、当該当事者に引用文書の提出義務を負わせたもの。
引用 口頭弁論や弁論準備手続等における主張に限られず、提出されたが弁論で陳述されていない準備書面での言及も含まれ、本人の陳述書や本人尋問に対する陳述における言及でも良い。(伊藤、5版p424)
当事者が自己の主張を正当化するために文書の存在および内容を積極的に援用する必要がある。
鑑定申請への反論中で、統一診断書の基礎資料としての投薬証明書の存在と内容を明らかにした投薬証明書は引用文書
文書の一部を書証として提出した場合に残余の部分が引用文書にあたるか否かについては、それが一体不可分であるなどの特別の事情がない限り、残余部分は引用文書にあたらない。(コメWp378)
当事者が文書の一部を隠蔽して提出した場合に、その秘匿部分につき本号の引用文書として提出義務を肯定したものがあるが、そのような場合には、隠蔽部分について積極的な援用があるとはいえず、提出義務を認めるべきではない
A引渡しまたは閲覧請求の対象となる文書
(法220@(2)) 
趣旨 挙証者が文書の所持者に対しその引渡しまたは閲覧請求をする権利を有する場合には、文書の記載内容については、挙証者も支配権があると考えられるし、文書の所持者の秘密を保護する必要性もないから、文書の提出義務を認めても良い。
引渡・閲覧請求権は、法令の規定によるものであれ、契約上のものであれ、文書提出義務が認められている。
引渡請求権 共有物の分割者の保存者に対する証書の使用請求権(民法262条4項)
弁済者の債権者に対する債権証書の返還請求権(民法487条)
閲覧請求権 株主および債権者の株主総会議事録の閲覧請求権(会社法318条4項)
B利益文書(挙証者の利益のために作成)
(法220@(3)) 
趣旨 挙証者の権利や法的地位を基礎づけるために作成された文書(利益文書)は、挙証者の利益のために作成されたものであるから、挙証者の利用を認めるべきである。
利益文書の例 ○挙証者である受遺者の法的地位を基礎づける遺言書。
○挙証者の代理権を基礎づける委任状。
○挙証者の弁済を証明するための領収書。
○診療録:医者と患者、医者を雇用する医療機関、患者の家族
○指定疾病認定過程文書(公害訴訟で被告企業側が申請)
○学長選考委員会の議事録・理事会会議議事録
×所持者がもっぱら自己使用の目的で作成した文書
×土地区画整理審議会の議事録(換地処分を受けた挙証者)
×事務局が作成した会議の進行及び内容に関するメモ
C法律関係文書(文書が挙証者と所持者との間の法律関係について作成されたとき)
(法220@(3)) 
趣旨 挙証者と所持者との間の法律関係について作成された文書(法律関係文書)は、法律関係がある以上挙証者にも当該文書を利用させるのが公平であるし、所持者の秘密を保護する必要性が乏しいから、挙証者に文書の内容の利用を認めるべきである。
法律関係文書には、法律関係それ自体を記載した文書のほかに、その法律関係に関連する事項を記載した文書も含まれる。
法律関係文書の例 ○両者間の法律関係の形成過程で作成されたものを含み、行政処分の取消訴訟では、その行政処分がなされるまでの所定の手続の過程で作成され、その処分の前提資料となった文書を含む。
○運転日報←賃金算定資料にする目的で作成されたもの。
○賃金台帳(挙証者と年齢、勤続年数がほぼ同一の非組合員の賃金台帳)
○警察官の勤務実績表。×活動記録。
○拘置所が所持する診療録
○金融機関の貸付元帳
○商品取引外務員の業務日誌
○航空事故調査報告書 
×法律関係の構成要件の一部を記載した文書でよいが、法律関係それ自体またはその法律関係の基礎や裏付けとなる事項を明らかにする目的をも有して作成されたことが必要であり、かつ、自己使用目的の内部文書は含まれない。
×人事記録
×河道計画調査報告書
D一般義務文書(法220@(4))   民訴法220条4号は、文書が同号イないしホの除外文書に該当しないときには、一般に文書提出義務を負うものと規定して、私文書のみならず公文書についても、原則として文書提出義務を負わせるという文書提出義務の一般義務化を実現。
●自己負罪拒否特権・名誉毀損文書(4号イ)
四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
民訴法 第196条(証言拒絶権)
証言が証人又は証人と次に掲げる関係を有する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれがある事項に関するときは、証人は、証言を拒むことができる。証言がこれらの者の名誉を害すべき事項に関するときも、同様とする。
一 配偶者、四親等内の血族若しくは三親等内の姻族の関係にあり、又はあったこと。
二 後見人と被後見人の関係にあること。
文書所持者又は所持者と親密な関係にある者(法196条1号・2号に掲げる者)について、自己負罪拒否特権が生じたり、名誉棄損の恐れがあったりする場合。
●公務秘密文書(4号ロ)
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
●秘密文書
@プロフェッション秘密文書(4号ハ前段)
A技術・職業秘密文書(4号ハ公団)
ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
民訴法 第197条
次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
一 第百九十一条第一項の場合
二 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
三 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合
2 前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には、適用しない。
●自己利用文書(4号ニ) 
ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
もっぱら所持者の利用に供するための文書。
挙証者に限らず、第三者の利用を予定するものは含まれない。
第三者の利用が予定されているかどうかは、
@法律上作成が義務付けられ、必要な場合に第三者に交付することが予定されているか、
A会議メモなど、文書額作成者の意思形成過程を記録したものか、事故調査など客観的事実を記録したものか、
Bもっぱら所有者の利用に供すると認めることが挙証者との公平に反しないか
などの視点から総合的に決せられる。
最高裁H11.11.12
「ある文書が、その作成目的、記載内容、これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯、その他の事情から判断して、専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は」自己利用文書に当たる。 
自己利用文書の要件:
@内部文書性(内部利用目的・外部非開示性)
A不利益性(看過し難い不利益)
B特段の事情の不存在
●刑事・少年事件関係文書
 ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書
利益考量の視点 提出を求められた文書が法律関係文書に該当するとしても、当該文書が自己利用文書に該当すれば、所持者は、当該文書の提出義務を負わないものと理解されている。
文書提出義務についての判断は、民訴法220条に基づいて、@挙証者の文書提出の必要性とA所持者の文書の秘密保持の必要性との比較考量を行うことに尽きる。
具体化すれば、@民事訴訟における事案解明(真実発見)の要請とA当事者間の公平維持の要請。
当事者が所持する文書(当事者文書)については、第三者が所持する文書(第三者文書)と比較すれば、当該訴訟の当事者であって事案解明義務を負担している以上関係文書を提出すべきであるから、一般的には秘密保持の必要性は乏しい。(最高裁H19.12.11)
国家の外交上の機密のごとき公益性が高い文書(公益文書)は、一般的には、第三者が所持する私的文書より秘密保持の必要性が高い。
出入国管理事件において、容疑者の本国政府への照会に際して法務省が外務省に交付した照会文書の控え等の文書提出義務についての判断に際しては、外国との信頼関係を考慮して監督官庁の意見(民訴法223条4項)を重視すべき旨判示。(最高裁H17.7.22)
■本人尋問    ■当事者本人尋問
規定 (当事者本人の尋問)
第二百七条 裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。

(不出頭等の効果)
第二百八条 当事者本人を尋問する場合において、その当事者が、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓若しくは陳述を拒んだときは、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる

(虚偽の陳述に対する過料)
第二百九条 宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
説明 挙証者たる当事者は、自己自身の尋問を申し立てることができるだけではなく、相手方の尋問も申し立てることができる
自己自身に対する尋問は、本人訴訟のときには、裁判長により行われる。
正当な理由のない当事者本人の不出頭、宣誓拒絶、陳述拒絶に対しては、尋問事項に関する相手方の主張についての真実擬制が規定される。(208条)

証拠方法が当事者本人であるという特質を踏まえ、当事者が所持する文書の不提出と類似の制裁を定めたもの。
■証人尋問     ■証人尋問
交互尋問制度 尋問の順序 第202条(尋問の順序)
証人の尋問は、その尋問の申出をした当事者、他の当事者裁判長の順序でする。
2 裁判長は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の順序を変更することができる
3 当事者が前項の規定による変更について異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
第210条(証人尋問の規定の準用)
第百九十五条、第二百一条第二項、第二百二条から第二百四条まで及び第二百六条の規定は、当事者本人の尋問について準用する。
偽証罪 法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。(刑法169条) 
質問の規制  規定 民訴法 第372条(証人等の尋問)
証人の尋問は、宣誓をさせないですることができる。
2 証人又は当事者本人の尋問は、裁判官が相当と認める順序でする。
3 裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、証人を尋問することができる。
 規則 第114条(質問の制限)
次の各号に掲げる尋問は、それぞれ当該各号に定める事項について行うものとする。
一主尋問 立証すべき事項及びこれに関連する事項
二反対尋問 主尋問に現れた事項及びこれに関連する事項並びに証言の信用性に関する事項
三再主尋問 反対尋問に現れた事項及びこれに関連する事項
2 裁判長は、前項各号に掲げる尋問における質問が同項各号に定める事項以外の事項に関するものであって相当でないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを制限することができる。
規則 第115条
質問は、できる限り、個別的かつ具体的にしなければならない。
2 当事者は、次に掲げる質問をしてはならない。ただし、第二号から第六号までに掲げる質問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一 証人を侮辱し、又は困惑させる質問
二 誘導質問
三 既にした質問と重複する質問
四 争点に関係のない質問
五 意見の陳述を求める質問
六 証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
3 裁判長は、質問が前項の規定に違反するものであると認めるときは、申立てにより又は職権で、これを制限することができる。
説明 ●「正当な理由がある場合」 
○誘導尋問
正当理由あり:
正しい表現を引き出したり、尋問時間を節約したりする働き⇒争いのない事実、争点に直接関わらない事項についての質問。
証人が特殊な理由で証言することをおそれていたり、進んで供述するだけの表現力や意思を欠いている場合。
記憶喚起の場合。
○重複する質問:
正当理由あり:
証言が誤解又は忘却に基づくものと思われるときにこの点を確認する場合
既に行われた証言の細部を聴く必要がある場合
反対尋問で主尋問での供述を維持していることを確認してからこれを弾劾する必要がある場合等
○意見の陳述を求める質問

正当理由あり:
直接経験した事実から普通人の常識として通常なし得る判断を聴く場合
(人又は物の同一性、人の筆跡・性質・能力・年齢等)

正当理由なし:
経験した事実に基づかない意見、資格がないものに専門的知見を必要とする意見を聴く
×事実を述べさせずに意見だけを述べさせる場合
○証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
正当理由あり:
真実発見のためにに特に必要な場合
伝聞であることによる証言の誤謬の危険性があまりない場合
直接経験者が死亡するなどして証人とすることが困難な場合
公文書その他特に信用すべき状況の下で作られた書面により知り得た事項
第三者が異常な状況の下で発した言葉など
●異議の例 
質問が抽象的に過ぎる
意見を求めるものである
誘導尋問である
誤導尋問である
証人を侮辱するものである
個人的プライバシーに関するものである
本件と関連性がない
重複質問である
証人の知らないことである
時期・主体が特定されていない質問である
仮定質問である
証人が認めていないことを前提とした質問である
陳述書 機能 @証言予定事項を相手方や裁判所に予告する予告機能
A尋問対象とされている事項について関係者の理解を促進する理解補完機能
B効果的な人証調べを可能にする尋問補完機能
■鑑定      ■鑑定
規定  民訴法 第212条(鑑定義務)
鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。
2 第百九十六条又は第二百一条第四項の規定により証言又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者及び同条第二項に規定する者は、鑑定人となることができない。
基礎知識    意義  特別の学識経験に属する経験法則その他の専門的知識や意見を事実認定の証拠資料とするための証拠調べ 
証拠方法:特別の学識経験を有する第三者(=鑑定人)
証拠資料:鑑定人の鑑定意見(=鑑定の結果)
ex.
@筆界確認訴訟で、土地家屋調査士を鑑定人に選任し、当事者の主張する境界線が現況のどこに当たるのか特定して記載した図面を作成させる場合
A賃料増減額訴訟で、不動産鑑定士に相当賃料額の鑑定を依頼する場合
B非上場株式の価格を算定するために、公認会計士に鑑定を依頼する場合 
C印影・筆跡の同一性、自動車事故の原因、DNA鑑定
対象 @裁判所の知らない経験則(又は法規)
A裁判所の知らない経験則を具体的に適用して得られる事実判断
手続     鑑定の申出 鑑定申出書に
@証明すべき事実(民訴180@、民訴規則99@)
A鑑定を求める事項(民訴規則129@)
を記載して提出し、相手方にも直送する(民訴規129A)。 
申出に当たり、鑑定人を指名する必要はない
鑑定申出の採用 鑑定の申出を採用する証拠決定においては、次のことも定める。
@具体的鑑定事項
A鑑定人の指定
B宣誓の方法
C鑑定意見の報告の方法
D鑑定書の提出期限 
一般には3か月以内の期限を区切って、鑑定書の提出を求めている事例が多い。
鑑定人 裁判所(又は受命・受託裁判官)は鑑定に必要な学識経験を有する者の中から鑑定人を指定する(民訴法212@、213)。
鑑定事項 相手方は、鑑定を求める事項について意見があれば、それを記載した書面を提出する(民訴規則129B)。 
鑑定事項は、裁判所が定める(民訴規則129C)が、当事者双方と十分に協議した上で定めるべき。
法律的判断(過失の有無等)を鑑定事項にすべきではない(法律的判断は裁判官の判断事項)。
鑑定費用 鑑定の申出をした当事者が、鑑定費用(旅費、日当、宿泊料、鑑定料及び鑑定に必要な費用)の概算額を予納。 
■書証     ■書証
証拠説明 規則 第137条(書証の申出等・法第二百十九条)
文書を提出して書証の申出をするときは、当該申出をする時までに、その写し二通(当該文書を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出するとともに、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書二通(当該書面を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。
2 前項の申出をする当事者は、相手方に送付すべき文書の写し及びその文書に係る証拠説明書について直送をすることができる。
●証拠力の構造   ●証拠力の構造(岡口上p260〜)
◎種類 @形式的証拠力とA実質的証拠力がある。
@形式的証拠力:文書の内容が、特定人(=挙証者が特定した人)の思想の表現であると認められること
ex.
原告が「Aの陳述書」として提出した文書は、それが真実Aによって作成された陳述書であることが認められれば、形式的証拠力を有する。
A実質的証拠力:文書によって要証事実が立証できること。
◎形式的証拠力の確定
形式的証拠力を書く文書は、その内容を事実認定の証拠資料とすることができない

まず、形式的証拠力を有することの確定がされ、その上で、事実認定に用いられる。
◎形式的証拠力があるための要件 
@文書が真正に成立したこと
A文書の記載内容が思想の表現であること
習字の目的で書いた文書は@を充たすがAを充たさない⇒形式的証拠力を有さない。
@の「真正に成立した」:特定人(=挙証者が特定した人)の意思に基づいて当該文書が作成されたこと。
ex.Aの作成であると挙証者が主張する文書
Aの作成⇒真正に成立
A以外が作成していた場合や作成者が不明⇒成立の真正が認められない。
文書の証拠力  意義 ある文書が立証事項たる事実に関する裁判所の心証に寄与する程度。 
@記載内容が真に作成者の思想を表現したものであるかどうかを確認(形式的証拠力)
Aその思想内容の真実性、すなわち立証事項に関する心証形成への寄与度を確認(実質的証拠力)
形式的証拠力 文書の記載内容が作成者の思想の表現であると認められること。 
文書の真正=作成者の意思に基づいて文書が作成
⇒形式的証拠力も肯定
作成者:記載内容たる思想の主体を意味するものであり、かならずしも媒体上に文字・記号などを直接記入した者を意味するものではない。
損害額の認定 規定 第248条(損害額の認定)
損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
制度趣旨 金銭債権たる損害賠償請求権の存在を認めるためには、裁判所は、その発生原因たる損害とともに、損害額を認定しなければならず、それについての証明責任は損害賠償請求権を主張する当事者が負う。⇒損害の発生そのものについては、証明がされたとしても、損害額についての立証がい証明度に達しなければ、損害賠償請求権は認められない。
but
このような場合に請求棄却判決をなすことは、当事者の公平にも合致せず、また社会の納得を得られない。

立法者は、証明度の特例として、確信に達していないときでも、相当な損額を裁判所が認定できるとした。(法248条)
要件 @損害発生自体の証明がなされたこと。
A損害の性質上その額の立証が極めて困難なこと。
該当する場合 個人が居住する家屋が焼失し、その中の家財が失われた場合:
裁判所が所有者の生活程度などから推認して、相当と認められる額の損害を認定。
幼児の死亡に基づく逸失利益:
推認の基礎となる資料について家庭的部分が多く、統計学的手法によっても到底証明度に達する心証が得られるとはいいがたい。
該当しない場合 慰謝料は、精神的苦痛そのものの填補ではなく、精神的苦痛を和らげるための金銭給付であるとされ、したがって、慰謝料の算定とは、認定された損害を証拠にもとづいて金銭的価値に転換するものではない。
その算定は裁判所の自由裁量にもとづくものとされてきたものであり、事実認定の領域に属するものではない。
証拠申出の時期  総論 規定  民訴法 第156条(攻撃防御方法の提出時期)
攻撃又は防御の方法は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならない。
民訴法 第157条(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
2 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。
民訴法 第63条(訴訟を遅滞させた場合の負担)
当事者が適切な時期に攻撃若しくは防御の方法を提出しないことにより、又は期日若しくは期間の不遵守その他当事者の責めに帰すべき事由により訴訟を遅滞させたときは、裁判所は、その当事者に、その勝訴の場合においても、遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。
説明 証拠の提出は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期にしなければならなず(法156条)、時機に後れた申出は却下されることもある(法157条)。
訴訟費用の負担の可能性もある(法63条)。 
各論 書証 規定 民訴規則 第55条(訴状の添付書類)
次の各号に掲げる事件の訴状には、それぞれ当該各号に定める書類を添付しなければならない。

2 前項に規定するほか、訴状には、立証を要する事由につき、証拠となるべき文書の写し(以下「書証の写し」という。)で重要なものを添付しなければならない。
民訴規則 第80条(答弁書)
答弁書には、請求の趣旨に対する答弁を記載するほか、訴状に記載された事実に対する認否及び抗弁事実を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載しなければならない。やむを得ない事由によりこれらを記載することができない場合には、答弁書の提出後速やかに、これらを記載した準備書面を提出しなければならない。
2 答弁書には、立証を要する事由につき、重要な書証の写しを添付しなければならない。やむを得ない事由により添付することができない場合には、答弁書の提出後速やかに、これを提出しなければならない。
民訴規則 第81条(答弁に対する反論)
被告の答弁により反論を要することとなった場合には、原告は、速やかに、答弁書に記載された事実に対する認否及び再抗弁事実を具体的に記載し、かつ、立証を要することとなった事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載した準備書面を提出しなければならない。当該準備書面には、立証を要することとなった事由につき、重要な書証の写しを添付しなければならない。
民訴規則 第102条(文書等の提出時期)
証人若しくは当事者本人の尋問又は鑑定人の口頭による意見の陳述において使用する予定の文書は、証人等の陳述の信用性を争うための証拠として使用するものを除き、当該尋問又は意見の陳述を開始する時の相当期間前までに、提出しなければならない。ただし、当該文書を提出することができないときは、その写しを提出すれば足りる。
説明 適示提出主義を具体化した規制の中で、いつ申し出るのが効果的かを考える。
不動産に関すr事件につき登記事項証明書
手形・小切手に関する事件につき手形・小切手の写し
その他立証を要する事由についての重要な書証の写しは訴状添付が要求されている(規則55条)。 
答弁書にも、立証を要する自由につき重要な書証の写しを添付する。
やむを得ず添付できない場合には、答弁書の提出後速やかに提出。
(規則80条2文)
尋問で使用予定の書証は、原則として、尋問開始の相当期間前に、原本又は写しを提出する必要。
but
相手方の人証に対する反対尋問のときまで保留しておりて、反対尋問の際に、証人等に突き付けて追及すると効果的な場合があるので、弾劾証拠の場合は例外とされる(規則102条)。
このような例外の場合、相手方代理人としては、少なくとも、後に書証を検討した結果、その証人等を更に尋問する必要が生じたときにはその再尋問を求めることを留保しておくべき。
人証 規定 民訴法 第182条(集中証拠調ベ)
証人及び当事者本人の尋問は、できる限り、争点及び証拠の整理が終了した後に集中して行わなければならない。
民訴規則 第100条(証人及び当事者本人の一括申出・法第百八十二条)
証人及び当事者本人の尋問の申出は、できる限り、一括してしなければならない。
説明 証人及び当事者本人の尋問は、できる限り、争点及び証拠の整理が終了した後に集中して行わなければならず(法182条)、尋問の申出は、できる限り、一括してしなければならない(規則100条)。 
申出すべき期間 規定 民訴法 第162条(準備書面等の提出期間)
裁判長は、答弁書若しくは特定の事項に関する主張を記載した準備書面の提出又は特定の事項に関する証拠の申出をすべき期間を定めることができる。
民訴規則 第139条(書証の写しの提出期間・法第百六十二条)
法第百六十二条(準備書面等の提出期間)の規定により、裁判長が特定の事項に関する書証の申出(文書を提出してするものに限る。)をすべき期間を定めたときは、当事者は、その期間が満了する前に、書証の写しを提出しなければならない。
民訴法 第167条(準備的口頭弁論終了後の攻撃防御方法の提出)
準備的口頭弁論の終了後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、準備的口頭弁論の終了前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない。
民訴法 第174条(弁論準備手続終結後の攻撃防御方法の提出)
第百六十七条の規定は、弁論準備手続の終結後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者について準用する。
民訴法 第178条(書面による準備手続終結後の攻撃防御方法の提出)
書面による準備手続を終結した事件について、口頭弁論の期日において、第百七十六条第四項において準用する第百六十五条第二項の書面に記載した事項の陳述がされ、又は前条の規定による確認がされた後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、その陳述又は確認前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない。
民訴規則 第87条(法第百六十七条の規定による当事者の説明の方式)
法第百六十七条(準備的口頭弁論終了後の攻撃防御方法の提出)の規定による当事者の説明は、期日において口頭でする場合を除き、書面でしなければならない。
2 前項の説明が期日において口頭でされた場合には、相手方は、説明をした当事者に対し、当該説明の内容を記載した書面を交付するよう求めることができる。
民訴規則 第90条(準備的口頭弁論の規定等の準用・法第百七十条等)
第六十三条(期日外釈明の方法)及び第六十五条(訴訟代理人の陳述禁止等の通知)並びに前款(準備的口頭弁論)の規定は、弁論準備手続について準用する。
民訴規則 第94条(法第百七十八条の規定による当事者の説明の方式)
法第百七十八条(書面による準備手続終結後の攻撃防御方法の提出)の規定による当事者の説明は、期日において口頭でする場合を除き、書面でしなければならない。
2 第八十七条(法第百六十七条の規定による当事者の説明の方式)第二項の規定は、前項の説明が期日において口頭でされた場合について準用する。
説明 裁判長は特定の事項に関する証拠の申出をすべき期間を定めることができ(法162条)、この場合には、その期間が満了する前に、書証の写しを提出しなければならない(規則139条)。 
準備的口頭弁論の終結後(法167条)、弁論準備手続の終結後(法174条)、書面による準備手続終結後(法178条)に証拠の申出をした場合、相手方の求めがあるときは、相手方に対しこれらの終了前に提出できなかった理由を説明しなければならない(規則87条、90条、94条)。
控訴審 規定 民訴法 第298条(第一審の訴訟行為の効力等)
第一審においてした訴訟行為は、控訴審においてもその効力を有する。
2 第百六十七条の規定は、第一審において準備的口頭弁論を終了し、又は弁論準備手続を終結した事件につき控訴審で攻撃又は防御の方法を提出した当事者について、第百七十八条の規定は、第一審において書面による準備手続を終結した事件につき同条の陳述又は確認がされた場合において控訴審で攻撃又は防御の方法を提出した当事者について準用する。
民訴法 第301条(攻撃防御方法の提出等の期間)
裁判長は、当事者の意見を聴いて、攻撃若しくは防御の方法の提出、請求若しくは請求の原因の変更、反訴の提起又は選定者に係る請求の追加をすべき期間を定めることができる。
2 前項の規定により定められた期間の経過後に同項に規定する訴訟行為をする当事者は、裁判所に対し、その期間内にこれをすることができなかった理由を説明しなければならない。
説明 控訴審でも説明義務(法298条2項)、期間の裁定(301条)がる。 
申出時期 規定 第180条(証拠の申出)
2 証拠の申出は、期日前においてもすることができる
説明 証拠申出は、期日にするのが建前であるが、期日前の申出もできる(法180条2項)。
相手方の出頭しない期日においては、準備書面に記載されたものか、あらかじめ証拠の申出書を相手方に送付したものでなければ申出ができない。 
反証の申出は、本証の証拠調べの結果を見た上でするのが通常であるが、これを見越して前もってする申出もあり得る。
特別案件 規定 民訴法 第147条の3(審理の計画)
裁判所は、審理すべき事項が多数であり又は錯そうしているなど事件が複雑であることその他の事情によりその適正かつ迅速な審理を行うため必要があると認められるときは、当事者双方と協議をし、その結果を踏まえて審理の計画を定めなければならない。
2 前項の審理の計画においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 争点及び証拠の整理を行う期間
二 証人及び当事者本人の尋問を行う期間
三 口頭弁論の終結及び判決の言渡しの予定時期
3 第一項の審理の計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間その他の訴訟手続の計画的な進行上必要な事項を定めることができる。
4 裁判所は、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、当事者双方と協議をし、その結果を踏まえて第一項の審理の計画を変更することができる。
民訴法 第156条の2(審理の計画が定められている場合の攻撃防御方法の提出期間)
第百四十七条の三第一項の審理の計画に従った訴訟手続の進行上必要があると認めるときは、裁判長は、当事者の意見を聴いて、特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間を定めることができる。
民訴法 第157条の2(審理の計画が定められている場合の攻撃防御方法の却下)
第百四十七条の三第三項又は第百五十六条の二(第百七十条第五項において準用する場合を含む。)の規定により特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間が定められている場合において、当事者がその期間の経過後に提出した攻撃又は防御の方法については、これにより審理の計画に従った訴訟手続の進行に著しい支障を生ずるおそれがあると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。ただし、その当事者がその期間内に当該攻撃又は防御の方法を提出することができなかったことについて相当の理由があることを疎明したときは、この限りでない。
  審理すべき事項が多数であり、又は錯綜している事件、審理に専門的知見を要する事件などで、裁判所が当事者と協議して審理計画を定めることがある(法147条の3)。
その計画で証拠方法を提出すべき期間を定めた場合(法147条の3第3項、156条の2)に期間経過後に提出した証拠の申出は却下されることがある(法157条の2)。

複数請求の原始的併合(岡口 民訴マニュアルTp154〜)
  ★原始的客観的併合 
■概要 
1人の原告が、1つの訴えで、1人の被告に対し、複数の請求を併合提起
極めて緩やかに認められ、複数の請求を併合審理することによる不利益が生じれば、弁論の分離(民訴法152@)により対処。
@選択的併合、A予備的併合の場合、弁論の分離は許されず、一部判決もできない。
■併合要件 
口頭弁論終結時に、以下の2要件さえ具備すれば足りる。
@各請求が同種の訴訟手続によって審判されるものであること(民訴136)
A各請求について受訴裁判所に管轄権があること
  ■種類 
●単純併合 
数個の請求について、全てが無条件に認容されることを求めるもの。
ex.@売買代金請求とA貸金返還請求を併合提起。
請求の趣旨:数個の金員請求であれば、その合計額の支払を求める旨記載すれば足りる。
単純併合であることは、@請求原因及びAよって書きで明らかにする。
請求の趣旨記載例:
被告は、原告に対し、〇円を支払え。
よって書き記載例:
よって、原告は、被告に対し、本件売買契約に基づき代金〇円の支払を求めるとともに、本件請負契約に基づき報酬〇円の支払を求める。
●選択的併合 
数個の請求のうちいずれかが認容されることを解除条件として他の請求について審判が申立てる場合の併合形態(伊藤)。
数個の請求のうちいずれかが認容されることを求めるもの

請求の趣旨が同一である複数の請求のうちいずれかの認容を求めるもの。
ex.医療事故により損害を被ったとして不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をする場合。
いずれの請求を先に審判・判断するかの選択は裁判所に任されており、当事者が順序を決めることは許されない。
請求の趣旨は、単一の請求と同様の記載で足りる。
選択的併合であることは請求原因及びよって書きで明らかになる。
請求の趣旨記載例:
被告は、原告に対し、〇円を支払え。
よって書き記載例:
よって、原告は、被告に対し、不法行為又は債務不履行に基づき、損害金〇円の支払を求める。
●予備的併合 
実体法上両立しない関係にある数個の請求について、あるものについて無条件に審判を求め、他のものについて、前者の認容を解除条件として審判を申し立てる併合形態(伊藤)。
主位的請求と、それが認められない場合に備えた予備的請求とを、併合提起するもの。

主位的請求が認容されることを解除条件として、予め予備的請求の申立てをする併合形態。
数個の請求が論理的に両立しない場合に限って許される。
ex.主位的売買が有効であるとして売買代金請求予備的当該売買が無効であるとして既交付目的物返還請求をする場合。
請求の趣旨において、主位的請求と予備的請求を併記。
主位的請求と予備的請求が全く同一⇒1つにまとめ、よって書きにおいてその旨を明らかにすればいい。
請求の趣旨記載例:
1(主位的請求)
被告は、原告に対し、〇円を支払え。
2(予備的請求)
被告は、原告に対し、×円を支払え。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
よって書き記載例:
よって、原告は、被告に対し、
主位的に、本件契約に元づき売買代金〇円の支払を求め
予備的に本件契約の解除に基づく原状回復として本件動産の引渡しを求める。
★    ★原始的主観的併合 
■概要 
複数の原告が、又は、複数の被告に対し、1つの訴えを提起する場合。
請求の趣旨記載例:
1 被告〇〇は、原告に対し、〇円を支払え。
2 被告××は、原告に対し、〇円を支払え。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
■併合要件 
■   ■必要的共同訴訟 
●概要 
共同訴訟人全部の請求について判決の内容が矛盾なく統一される(=合一確定される)べき場合
●固有必要的共同訴訟 
合一確定のために、共同訴訟人の全員が当事者にならなければ訴えが不適法となる場合。
ex.
共有物分割訴訟(共有者全員が当事者にならなければならない)
遺産確認の訴え(共有者全員が当事者にならなければならない)
共有権確認の訴え(共有者全員が原告)
第三者がする婚姻無効・取消しの訴え(夫婦双方を被告)
●類似必要的共同訴訟 
共同訴訟人の全員が当事者になる必要はなく、単独の提訴も許されるが、共同訴訟人らが訴訟を共同提起した場合には、必要的共同訴訟と扱われる場合。
ex.
複数の債権者が提起する債権者代位訴訟
複数の株主が提起する会社の組織に関する訴えや株主代表訴訟
複数の差押債権者による取立訴訟

複数請求訴訟(請求の客観的併合)
訴えの客観的併合 規定  民訴法 第136条(請求の併合)
数個の請求は、同種の訴訟手続による場合に限り、一の訴えですることができる。
人訴法 第17条(関連請求の併合等)
人事訴訟に係る請求当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは、民事訴訟法第百三十六条の規定にかかわらず、一の訴えですることができる。この場合においては、当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有する家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2 人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求を目的とする訴えは、前項に規定する場合のほか、既に当該人事訴訟の係属する家庭裁判所にも提起することができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
3 第八条第二項の規定は、前項の場合における同項の人事訴訟に係る事件及び同項の損害の賠償に関する請求に係る事件について準用する。
人訴法 第8条(関連請求に係る訴訟の移送)
家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第一審裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより、当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができる。この場合においては、その移送を受けた家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2 前項の規定により移送を受けた家庭裁判所は、同項の人事訴訟に係る事件及びその移送に係る損害の賠償に関する請求に係る事件について口頭弁論の併合を命じなければならない。
併合の要件 スタンス 併合の要件は比較的穏やかに規定。(法136条)

被告としては、併合請求について別訴を提起される場合と比較すると、重大な不利益は生じ得ない。
管轄については、併合請求の裁判籍(7条)が認められ、訴訟の遅延等併合審理による不利益が生じる場合には、弁論の分離(法152@)を求められる。
@ 数個の請求が同種の訴訟手続によって審理されうるものであること(法136条)
人訴法17条:人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求の併合
人訴法32条:附帯処分についての裁判等
行政訴訟法16条:取消訴訟には、関連請求に係る訴えの併合
A 法律上併合が禁止されていないこと
B 各請求につき受訴裁判所が管轄権をもつこと
併合請求の裁判籍が認められる(法7条)⇒管轄が否定されるのは、1の請求について法定専属管轄が成立する場合のみ。(法13条)
併合の態様 @ ●単純併合
単純併合:原告が特に条件を付することなく、数個の請求についての審判を申し立てる場合
ex.
売買代金請求と貸金返還請求(相互の実体法上の関連性なし)
賃料不払いによる解除を理由とする目的物返還請求と不払い賃料請求(実体法上併存関係にある請求)
裁判所は、原告の申立てに対応してかならず数個の請求全部について判決をなす義務を負う。
審理の進行状況に応じて必要があると認めれば、弁論を分離して、数個の請求について別個に訴訟手続を進めることができる。
A ●選択的併合
選択的併合:数個の請求のうちいずれかが認容されることを解除条件として他の請求について審判が申し立てられる場合の併合形態
ex.医療事故により損害を被ったとして不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をする場合。
請求の趣旨の例:
被告は、原告に対し、○円を支払え。
よって書きの例:
よって、原告は、被告に対し、不法行為又は債務不履行に基づき、損害金○円の支払をも求める。
他の請求の認容を内容とする解除条件が数個の請求のすべてに付され、無条件の審判を求める請求は存在しない。
数個の請求の審判について裁判所を拘束する順序は認められない
(棄却判決をする場合には、全ての請求について審判する必要。)
選択的併合は、その性質上数個の請求について統一的審理がなされることを予定している⇒裁判所が弁論を分離することは許されない。
B ●予備的併合
予備的併合:実体法上両立しない関係にある数個の請求について、あるもの(主位的請求)について無条件に審判を求め、他のもの(予備的請求)について、前者の認容を解除条件として審判を申し立てる併合形態。
ex.売買を前提として売買代金請求を主位的に、売買の無効を前提として目的物の返還を予備的に請求する場合。
請求の趣旨の例:
1 (主位的請求)
被告は、原告に対し、○円を支払え。
2 (予備的請求)
被告は、原告に対し、×円を支払え。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
よって書き記載例
よって、原告は、被告に対し、主位的に、本件契約に基づき売買代金○円の支払を求め、予備的に、本件契約の解除に基づく原状回復として本件動産の引渡しを求める。
訴えの目的たる利益の内容に差が存在⇒審理の順序について原告の選択権を認めることに合理性がある。
弁論の分離は不可。
■訴えの変更  ■訴えの変更 
規定  民訴法 第143条(訴えの変更)
原告は、請求の基礎に変更がない限り口頭弁論の終結に至るまで請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない。
2 請求の変更は、書面でしなければならない
3 前項の書面は、相手方に送達しなければならない。
4 裁判所は、請求又は請求の原因の変更を不当であると認めるときは、申立てにより又は職権で、その変更を許さない旨の決定をしなければならない。
意義     訴訟係属の発生後、請求の内容を変更する原告の申立て 
請求の趣旨または原因の変更を内容とする。
請求金額の変更は訴えの変更ではない。
←訴訟物たる権利の同一性に影響を及ぼさない。
当事者の変更は、ここでいう訴えの変更としては扱われない。
@追加的変更:
所有権確認請求訴訟係属中に所有権に基づく引渡請求を追加する場合のように、従来の請求に新たな請求を追加する行為。

客観的併合状態が発生。
A交換的変更:
特定物の引渡請求からその物の滅失を理由とする損害賠償請に変更するように、従来の請求に代えて新たな請求を定立する行為

新訴の提起と旧訴の取下げで、旧訴の取下げについての被告の同意(民訴261A)が必要。
被告が異議なく応訴すれば、旧訴取下げ同意があったとしてよい。
要件 ●請求の基礎に変更がないこと 
二重起訴禁止の要件である事実同一性(法142条)よりは広く、訴訟物たる権利関係を基礎づける事実が同一の社会生活関係に起因する場合だけではなく、これに密接に関連する社会生活関係に起因する場合も含まれる
〜主要事実や主要争点の共通性、事実資料の一体性
○賃借人が賃貸人に代位して不法占拠者に対して提起した土地明渡請求の請求原因を自己の所有権に変更する場合
○売買を理由とする所有権移転請求をすでに登記が第三者に移転されたことを理由として、損害賠償請求に変更
この要件が欠ける場合でも、被告が同意すれば訴えの変更は許される。

請求の基礎の同一性の要件は、被告の利益を保護することを目的としたもの。
被告が陳述した事実に基づいて訴えの変更がなされる場合には、請求の基礎の同一性や被告の同意の有無を問わず、変更が許される。
著しく訴訟を遅延させないこと 
●事実審の口頭弁論終結前であること 

★既判力
意義 その解決を目的とする終局判決が確定した場合には、給付判決であれ、確認判決であれ、または形成判決であれ、もはや両当事者が終局判決中の訴訟物に関する判断を争うことは許されず他の裁判所もその判断に拘束されなければならない。
訴訟物に関する確定判決中の判断の通用力または拘束力。
規定 民訴法 第114条(既判力の範囲) 
確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
2 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。
目的 紛争解決基準の安定
根拠 当事者に対する手続保障⇒既判力の時的限界、客観的範囲、主観的範囲に関する議論。
性質 既判力は、上記の目的と正当化根拠の下に認められた、後訴裁判所に対する前訴判決の訴訟法上の拘束力。
作用 前訴判決の後訴裁判所の判断に対する拘束力として現れる。
@ 積極的作用:前訴判決の訴訟物についての判断、たとえば所有権の存在の判断を後訴裁判所が覆すことはできず、逆にそれを前提として後訴の訴訟物、たとえば妨害排除請求権や登記抹消請求権の有無について判断しなければならないこと。
A 消極的作用:既判力ある前訴判決の判断と矛盾する権利関係を基礎づけるための主張・立証が当事者に許されず、したがって、裁判所もそれについて審判することが認められないこと。
ex.金銭給付を命ずる確定判決の執行力を覆滅するための請求異議訴訟において、既判力の基準前の弁済などの事実を主張することは許されない。
訴訟物が同一の場合 既判力の消極的作用により、これらの主張は遮断される。
既判力に抵触しない基準時後の事由が主張されない限り、請求棄却判決。
ex.
所有権確認の前訴で敗訴した原告が、再び所有権確認を求めて後訴。
金銭支払請求の前訴で敗訴した被告が、当該債務の不存在確認請求の後訴を提起。
原告がすでに確定した給付判決を有する場合、二重の給付判決を求める訴えの利益は原則的に否定される(コンメンタールVp95)。
ex.
金銭支払請求の前訴で勝訴した原告が再び同一内容の後訴を提起。
既判力ある判断と矛盾する主張をなすわけではない⇒既判力の拘束力は働かない。
「確定した給付判決のある債権について消滅時効が完成しそうになり、他にこれを中断する方法がないときは、時効中断のために訴えを提起する利益がある。」
(コンメンタールVp95)
(確認の訴えだけでなく)給付の訴えも許される(大判昭和6.11.24)。
先決関係にある場合 ex.既判力をもって確定された権利関係が前訴原告の所有権であり、その者がさらに所有権に基づいて目的物の明渡請求の後訴を提起する場合。
被告が基準時後の所有権喪失事由を主張・立証しない限り、訴訟物たる明渡請求権の存否を判断するにあたり、後訴裁判所は、原告の所有権の存在を前提としなければならない。(既判力の積極的作用)
矛盾関係にある場合 ex.前訴原告の所有権を確認した前訴判決に対して、前訴被告が同一の目的物についての自己の所有権の確認を求めて後訴を提起。
後訴原告(前訴被告)は、自己の所有権を基礎づける事由のうち基準時前のものを遮断される。
既判力の調査 既判力の存在は職権調査事項であり、その証拠資料についても、職権探知主義が適用。
裁判所が誤って既判力に抵触する判断⇒後訴判決は当然には無効ではないが、上訴および再審によって取り消される。(法312B、318@、338@(10))
★信義則等に基づく拘束力 (注釈民訴Up472〜)
背景 既判力:
客観的範囲は訴訟の対象である訴訟物によって画される。
訴訟物となっていない事項、訴訟物に関する判断以外の判決理由中の判断(相殺の抗弁に対する判断を除く)は、既判力とか関わりがない。 
vs.
紛争解決の実効性・一回性を確保することが民事訴訟における1つの重要な理念。
⇒判決の理由中の判断についても、後訴に対する拘束力を肯定しようとする見解。
A:既判力とは別個の争点効を認めようとする見解。 
@主要な争点について、A当事者が十分な主張立証を尽くした場合において、Bその争点について裁判所が実質的判断をしたときは、C係争利益がほぼ同一である後訴において、当事者はその争点についての裁判所の判断に拘束される。
判例等  争点効について but最高裁は、一般理論としてはこの理論を採用しない。
最高裁昭和44.6.24:
@甲が乙から建物とその敷地を買い受けその旨の登記を経由したが、乙が明渡しをしないので、甲が乙に対し建物の明渡しを求めた⇒錯誤による無効の主張を排斥して甲の請求を認容し確定
Aその後、乙の同じく錯誤による無効を理由とする所有権移転登記の抹消登記手続を求める後訴において、その無効の主張を認めて乙の請求を認容。

既判力に抵触するものではなく、前訴の所有権の存否についての理由中の判断に既判力およびこれに類似する効力、いわゆる争点効が生じるとはいえない。
最高裁昭和48.10.4、同昭和567.3:
当事者が前訴に争点として主張立証を尽くし、裁判所がこの争点について実質的審理を遂げている場合であっても、その判断に既判力類似の効力を認めることはできない
信義則 前訴と訴訟物を異にする後訴が信義則上許されないとする一連の判例が存在。 
最高裁昭和51.9.30:
@前訴で農地買収処分の無効を前提とする買戻契約に基づく所有権移転登記請求が棄却され、A後訴では買収処分の無効を前提とする所有権移転登記請求:
「前訴と本訴は、訴訟物を異にする」としつつ、「本訴は、実質的に前訴のむし返しというべきものであり、前訴において本訴の請求をすることに支障がなかったにもかかわらず、・・・本訴を提起することは、(相手方を)不当に長く不安定な状態におくことになる」ことを理由に、「信義則に照らして許されない」
⇒後訴を却下。
その後、上記判例と同様の枠組みによる判例も多いが、相手方を不当に長く不安定な地位におくこと等の事情を挙げることなく、「実質的にむし返しである」ことのみに着目する判例も散見される(最高裁昭和52.3.24)。
最高裁昭和59.1.19:
不動産について登記原因たる贈与を否定して所有権移転の抹消登記手続を求める前訴を提起して敗訴した者が、贈与の不履行を理由として贈与契約を解除したとして所有権移転登記手続を求める後訴を提起した事例:
実質的には蒸し返しであるとは当然にはいうことができず、また前訴で主張することが期待されていたとはたやすくいいがたく、相手方も紛争がすべて落着したと信頼しても無理からぬものであるということはできない⇒信義則に反するものではない。
請求レベルでの失権、すなわち訴え却下を導く判例が多いが、事実レベルでも、主張の判断を導くことは可能。
信義則は、禁反言ないしは矛盾挙動禁止という観点からも働きうる。
買主からの売買目的物引渡訴訟において売買契約の無効を主張し、請求棄却判決を得た被告売主は、その後買主が提起した代金返還請求訴訟において、買主の売買無効の主張を争うことは許されないと解すべき。

A:争点効⇒その拘束力が肯定される事例
B:信義則⇒前訴で、買主が売買契約の無効を自白していた場合においても、遮断効が働く(争点効は、自白の場合には働かないとされる)ことになろう。

訴訟の終了
当事者による終了 請求の放棄・認諾 意義 請求の放棄:
原告の訴訟行為の一種であり、訴訟物たる権利関係の主張についてそれを維持する意思のないことを口頭弁論期日、弁論準備手続期日、または和解の期日(以下「口頭弁論等の期日」)において裁判所に対して陳述する行為。(伊藤Bp418)
請求としての権利主張が不当であると自認する原告の訴訟上の陳述。
請求の認諾:
被告の訴訟行為の一種であり、訴訟物たる権利関係に関する原告の主張を認める旨を口頭弁論等の期日において裁判所に対して陳述する行為。(伊藤Bp418)
原告の請求の全部または一部がそのとおり正当である、との被告の訴訟上の陳述。
放棄・認諾は無条件になされなければならない。
要件 処分権主義を理念的基礎とするものであるが、それが調書に記載されることによって、確定判決と同一の効力が生じる。
⇒要件が求められる。
@ @訴訟物についての処分権限:
人事訴訟については、請求の放棄・認諾が排除される。(人訴19Aによる民訴266条の排除、人訴規則14による民訴規則95Aの排除)

離婚事件については、協議離婚の形で当事者意思の支配が認められていることを考慮し(民法763)、放棄及び認諾が許される。(人訴37@本文、人事規則30)

認諾に関しては、書面による認諾(266A)の排除(人訴37@本文)、子の監護者の指定、財産分与および親権者の指定について争いのない場合に限られること(同但書)、ならびに電話会議システムによる弁論準備手続期日における不出頭当事者による認諾の排除(同B)という制限がある。
会社などの団体関係訴訟に関しては、請求認容判決について対世効が認められていることを根拠としして(会社法838条)、請求の放棄は許されるが認諾は許されない。(通説)

認諾に基づいて訴訟物たる権利関係の存在が争いえないものとなると、判決効の拡張を受ける一般第三者の利益が害される。
A A訴訟物の内容
B B訴訟要件の具備

放棄・認諾に確定判決と同一の効力が認められる以上、訴訟要件に関する規定は、放棄・認諾について類推適用される。
手続 口頭弁論等の期日における当事者の口頭陳述によってなされるのが原則(法266@)
相手方の在廷の有無は問わない。
当事者が放棄または認諾の書面を提出したときんは、裁判所は、期日において陳述がなされたものとみなすことができる(法266A)
放棄または認諾は、いずれも原告による請求の定立を前提とするものであるから、最初の口頭弁論期日において原告が訴状を陳述した後に可能になる。

口頭弁論期日が開かれるまえに弁論準備手続期日などが開かれたときんは、その期日における放棄または認諾は認められない。
効果 第267条(和解調書等の効力)
和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
(放棄調書は請求棄却、認諾調書は請求認容の確定判決の同一の効力を生じる。)
@ 訴訟終了効:訴訟手続きは当然に終了する。
A 判決効:

抗告
即時抗告 規定 民訴法 第332条(即時抗告期間)
即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
準用 規定 民訴法 第331条(控訴又は上告の規定の準用)
抗告及び抗告裁判所の訴訟手続には、その性質に反しない限り、第一章の規定を準用する。ただし、前条の抗告及びこれに関する訴訟手続には、前章の規定中第二審又は第一審の終局判決に対する上告及びその上告審の訴訟手続に関する規定を準用する。
民訴規則 第205条(控訴又は上告の規定の準用・法第三百三十一条)
抗告及び抗告裁判所の訴訟手続には、その性質に反しない限り、第一章(控訴)の規定を準用する。ただし、法第三百三十条(再抗告)の抗告及びこれに関する訴訟手続には、前章(上告)の規定中第二審又は第一審の終局判決に対する上告及びその上告審の訴訟手続に関する規定を準用する。
提出先 規定 民訴法 第314条(上告提起の方式等)
上告の提起は、上告状を原裁判所に提出してしなければならない。
2 前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項の規定による裁判長の職権は、原裁判所の裁判長が行う。

再審
再審事由 規定 第338条(再審の事由) 
次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
三 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
四 判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。
五 刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。
六 判決の証拠となった文書その他の物件が偽造又は変造されたものであったこと。
七 証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと
八 判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。
九 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。
十 不服の申立てに係る判決が前に確定した判決と抵触すること。
2 前項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合においては、罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。
3 控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない。

多数当事者訴訟
  ●当事者の地位をもつ者が多数存在する場合
@共同訴訟
A独立当事者参加
●当事者以外の者であって、自己の名において訴訟行為をなす者が存在する場合 
@補助参加訴訟
■  ■当事者訴訟の成立原因による分類
●訴えの提起によって訴訟係属発生の時点から原始的に多数当事者訴訟が成立する場合 
@共同訴訟
●訴えの提起とは別の行為によって、後発的に多数当事者訴訟が成立する場合
@訴訟参加
A訴訟引受
B弁論の併合
★共同訴訟        ★共同訴訟
  請求はそれぞれの者によって、またはそれぞれの者に対して定立される。
共同訴訟人についての全請求が1の手続において審判される

1の共同訴訟人による訴訟行為の、または1の共同訴訟人に対する訴訟行為の効果が、他の共同訴訟人に及ぶ
  いかなる範囲で訴訟行為の効果が及ぶか:

@通常共同訴訟
A同時審判申出共同訴訟
B必要的共同訴訟
■ 通常共同訴訟   ■通常共同訴訟 
●  ●共同訴訟人独立の原則
ある共同訴訟人の訴訟行為(ex.事実主張や請求の放棄・認諾、訴えの取下げ、和解、上訴など)は他の共同訴訟人について効力を生いない。
1人の共同訴訟人について生じた審理の進行に関する法定の効果など(ex.中断等)も他の共同訴訟人に対して効力を及ばない。

裁判資料の共通性が確保されるものでなく判決内容の合一性や審理の進行の統一も保証されない。
裁判所も、審理の状況を考慮して、弁論の分離権限を行使し、共同訴訟関係を解消することが許される。
but
同時審判申出共同訴訟〜裁判所の分離権限否定
必要的共同訴訟〜共同訴訟人独立の原則が適用されない
●要件 
民訴法 第38条(共同訴訟の要件) 
訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。
@訴訟の目的である権利または義務が数人について共通であるとき

訴訟物が同一であること、または訴訟物の基礎となる法律関係について共通性が認められること。
ex.
数人の被告に対して目的物に関する自己の所有権確認を求める場合(訴訟物同一)
同一土地の数人の不法占拠者を共同被告とするとき(訴訟物たるそれぞれの占有者に対する明け渡し請求権の基礎となる原告の土地所有権が共通)
債権者が主債務者と保証人を共同被告とすること(主債務が共通する法律関係)
Aその権利義務が同一の事実上および法律上の原因にもとづくとき

権利関係の共通性が認められないときでも、共同訴訟の要件が満たされる。
ex.
同一の不法行為に基づく数人の被害者による損害賠償請求
売買の無効を原因として買主および転得者を被告とする売主の移転登記抹消請求
Bその権利義務が同種であって事実上および法律上同種の原因にもとづくとき
ex.
約束手形の振出人に対する請求
数通の手形振出し人に対する請求
数個の土地について所有者が占有者に対して明しを求める場合
  ●通常共同訴訟の審判・・・共同訴訟人独立の原則
規定 民訴法 第39条(共同訴訟人の地位)
共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。
共同訴訟人の1人の訴訟行為、共同訴訟人の1人に対する相手方の訴訟行為、および共同訴訟人の1人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。
ex.
請求の放棄・認諾、和解、訴えの取下げ、上訴、上訴の取下げなど訴訟係属にかかわる訴訟行為
事実の主張や自白など訴訟資料にかかわる訴訟行為の効力
主債務者が弁済の抗弁を提出、保証人は提出せず
主債務者による借入れの自白等
共同訴訟人の1人について生じた中断・中止の効果
通常共同訴訟の法律関係は、審判の統一を絶対的に保障しようとするものではない。

裁判所は、共同訴訟関係がかえって適正、かつ、迅速な審理の妨げとなるときは、弁論を分離し(法152T)、共同訴訟関係を解消できる。
  ●裁判資料の統一・・・証拠共通・主張共通の原則 
○証拠共通
共同訴訟人の1人が提出した証拠は、援用の有無にかかわらず、他の共同訴訟人についても証拠として裁判所の事実認定の資料とすることができる。
←裁判官の自由心証の確保 
自由心証主義⇒証拠調べの結果と同様に弁論の全趣旨の共通が認められる。
○主張共通・・・判例は否定
判例:補助参加の手続を経由しない限り、通常共同訴訟において共同訴訟人の1人の主張が他の共同訴訟人のための訴訟資料となることはありえない。
but
共同訴訟人の1人が主張する事実が他の共同訴訟ににも有利に働く場合、その者が矛盾する主張をすることなく、たとえその事実主張を積極的に援用することがなくとも、これを前提とする申立てや主張をなしている場合には、訴訟行為全体の解釈として援用がなされたものと扱ってよい。
■同時審判申出共同訴訟   ■同時審判申出共同訴訟 
  共同被告に対する原告の請求が相互に法律上併存しえない関係にある場合、原告の同時審判申出にもとづいて裁判所の分離権限が制限される。
〜同時審判申出共同訴訟
規定 民訴法 第41条(同時審判の申出がある共同訴訟)
共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
2 前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。
3 第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。
●    ●立法の趣旨・・・主観的予備的併合との関係
ex.
@本人に対する契約上の請求と無権代理人に対する請求(民法117T)
A工作物の占有者に対する損害賠償請求と所有者に対する請求(民法717T)
@の場合、代理権授与の事実が本人に対する契約上の請求権の発生原因事実であり、同じ事実が無権代人に対する請求権の権利障害事実。
〜両者の請求権が併存することは法律上予定されていない。
原告は、いずれかの請求権が認められると期待し、その期待は法律上保護すべきもの。
⇒2つの請求権を1つの手続で審判することが要請。 
×必要的共同訴訟
vs.原告の訴権行為を制約し、行き過ぎ。
×通常共同訴訟
vs.
@原告が一方で代理権の存在を立証し、他方で被告の立証に対抗して代理権の不存在を立証するなど矛盾する訴訟行為を行うこととの整合性が問題。
A弁論の分離により審理が別の手続によってなされる可能性
×学説上、主観的予備的併合の概念

原告が本人に対する請求について無条件に審判を求め、それが認容されることを解除条件として代理人に対する請求を定立。
vs.
@予備的被告の地位が不安定になる
(主位請求認容の場合には、判決を受けられず、その裁判を受ける権利が実質的に損なわれる)
A上訴との関係で統一審判が保障されない

○判例は、主観的予備的併合を認めていない。

同時審判申出共同訴訟
  ●同時審判申出共同訴訟の要件および手続 
原告が事実審の口頭弁論終結時までにその旨の申出をなす(法41TU)
共同訴訟の提起とともに申出をなすこともできるし、すでに共同訴訟関係が成立している場合に申出をなすことも妨げられない。
同時審判の申出は、控訴審の口頭弁論終結の時までは撤回することができ(民訴規19)、撤回されれば通常の共同訴訟関係に復する。
共同訴訟関係自体は通常共同訴訟
共同被告に対する請求は単純併合
⇒裁判所は、すべての請求について1個の判決で審判すべき。
裁判所の弁論の分離権限は否定。
(その限りで、通常共同訴訟関係の内容は変更される。)
控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に継続⇒控訴裁判所が弁論の併合を義務付けられる(法41V)。
  ●事実上併存しえない場合と主観的予備的併合の許否 
現行法上、主観的予備的併合の適法性を主張する余地はない

@立法者が旧法の下での考え方の対立を解決する意図の下に同時審判申出共同訴訟の制度を新設。
A主観的予備的併合には予備的被告の地位の不安定という決定的な難点がある。
Bそれを解決するための理論、たとえば順位的併合の考え方は、むしろこの制度と類似の性質をもっている。
■       ■必要的共同訴訟 
規定 民訴法 第40条(必要的共同訴訟)
訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4 第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。
  判決内容の合一確定が要請される類型
  共同訴訟人独立の原則が適用されない(法40)。
@固有必要的共同訴訟とA類似必要的共同訴訟の区別

共同訴訟としての訴え提起が強制されるかどうか。
共同訴訟人たるべき者全員が当事者となってはじめて訴訟追行権が認められるか、それとも、一部の者のんみでも訴訟追行権が認められるかの違い。
  ●必要的共同訴訟の成立要件 
「合一確定の必要性」(法40T)

訴訟物たる権利関係に関する判決の内容を矛盾なく統一すべき必要
@当事者適格の基礎となる管理処分権や法律上の利益が、多数人に共同で帰属し、その帰属の態様から判決内容の合一性が要請される場合 (固有必要的共同訴訟)
A訴訟物たる権利関係の性質から確定判決の既判力が他の訴訟追行権者に対して拡張される場合 (類似必要的共同訴訟)
  ●固有必要的共同訴訟
  〜当事者適格の基礎となる管理処分権または法律上の利益の帰属形態によって決定される。
@数人の訴訟担当者の場合 
A他人間の権利関係の変動を目的とする訴えの場合
Bその他の権利関係について管理処分権の共同
C共同所有関係における固有必要的共同訴訟の成否
  ●類似必要的共同訴訟 
当事者適格そのものは各当事者に認められるが、ある当事者に対する判決の既判力が他の当事者たるべき者に拡張される⇒合一確定の必要
  ex.
数人の提起する会社合併無効の訴え
会社設立無効の訴え
株主総会決議取消しまたは無効確認の訴え
数人の提起する人事に関する訴え
数人の債権者による債権者代位訴訟
数人の差押債権者による取立訴訟
数人の株主による責任追及等の訴え(株主代表訴訟)

法的と訴訟担当者たる適格者相互間に直接に判決の効力が拡張されるわけではないが、本人たる被担当者に拡張され(法115TA)、その反射的効果として、他の適格者に拡張される。
⇒類似必要的共同訴訟を認めてよい。
  ●必要的共同訴訟の審判 
   
■主観的追加的併合    ■主観的追加的併合 
〜2当事者間の訴訟係属を前提として、第三者に新たに共同訴訟人としての地位を取得させる手続。
@訴訟の係属途中から共同訴訟の関係に加入する第三者の手続的利益や、
A訴訟法律関係の複雑化による従来の訴訟当事者の利益などを考慮する必要。
⇒これを認めるべき合理的利益が存在する場合に限って、その利益の有無を判断できる手続にもとづいて許される。
●第三者の意思にもとづく主観的追加的併合・・・明文規定がある場合 
●第三者の意思にもとづく主観的追加的併合・・・明文規定がない場合 
●当事者の意思にもとづく主観的追加的併合・・・明文規定がある場合 
係属中の訴訟の当事者が新たなに第三者に対する請求を定立し、従来の請求との併合審判を求めること(「第三者の引込み」)。
民訴法 第50条(義務承継人の訴訟引受け)
訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
民訴法 第51条(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)
第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。
民執法 第157条(取立訴訟)
差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。
民再法 第138条(否認権限を有する監督委員の訴訟参加等)
否認権限を有する監督委員は、第百三十五条第一項の規定にかかわらず、否認権の行使に係る相手方(以下この条において「相手方」という。)及び再生債務者間の訴訟が係属する場合には、否認権を行使するため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。ただし、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る請求をする場合に限る。
2 否認権限を有する監督委員が当事者である否認の訴え(前条第一項の訴え及び第百四十条第一項の規定により受継された訴訟手続を含む。)が係属する場合には、再生債務者は、当該訴えの目的である権利又は義務に係る請求をするため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
3 前項に規定する場合には、相手方は、当該訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、再生債務者を被告として、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る訴えをこれに併合して提起することができる。
●当事者の意思にもとづく主観的追加的併合・・・明文規定がない場合
ex.
@連帯債務者の1人を被告として訴えを提起している原告が、他の連帯債務者に対する請求について併合審判を求める場合
A固有必要的共同訴訟において脱落していた共同被告に対する請求を追加して併合審判を求める場合

第三者に対する新訴の提起、および弁論の併合の方式によって主観的追加的併合を認める余地はあるが、従来の裁判資料を自己に不利に援用される可能性のある第三者の利益を損なわないよう、裁判所は弁論の併合に慎重である必要。
固有必要的共同訴訟の場合は、訴えの適法性を維持することについて原告の利益が第三者の利益に優越⇒裁判所は弁論の併合を認めるべき。
●その他の当事者引込みの可能性 
★訴訟参加      ★訴訟参加
意味  訴訟参加:第三者が新たに当事者またはこれに準じる主体として訴訟行為を行うために係属中の訴訟に加入する行為 
当事者の地位を取得⇒@独立当事者参加、A共同訴訟参加
補助参加人⇒B補助参加
■補助参加   ■補助参加 
規定 民訴法 第42条(補助参加) 
訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。
意味 補助参加:訴訟の結果について利害関係を有する第三者が、当事者の一方を補助するために当該訴訟に参加する行為
  ●補助参加の要件 
規定 民訴法 第42条(補助参加) 
訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。
@他人間の訴訟の存在 
共同訴訟人の1人は、他の共同訴訟人との関係では第三者とみなされ、他の共同訴訟人やその相手方のための補助参加人となり得る。
A訴訟の結果についての利害関係・・・補助参加の利益 
補助参加制度の目的主たる当事者の勝訴を通じて補助参加人自身の利益を守ること

補助参加人の利益は、財産法上のものであれ、組織法や身分法上のものであれ、また公法上のものであれ、法律上の利益でなければならず、感情的利益や経済的利益は含まれない。
(←民事訴訟の目的が権利関係や法律上の地位など、法律上の利益の保護にある)
「訴訟の結果によって補助参加人の法律上の利益が害される」
A:判決主文における訴訟物についての判断が補助参加人を当事者とする将来の訴訟においてその法律上の地位を裁判所が判断する上で不利に参考とされる場合
vs.
@補助参加人自身の法律上の地位が争われる場合に事実上不利な影響が生じるという点では、判決主文中の判断であろうと理由中の判断であろうと違いはない
A補助参加人を当事者とする後訴の審理の内容を考えると、事実上不利な影響を生じるのは、判決主文の判断ではなく、理由中の判断以外に考えられない。
(判決主文の判断が後訴において影響をもちうるのは、既判力が作用する場合に限られる。)
B:訴訟の結果における利害関係とは、補助参加人の法律上の地位に対する、判決理由における判断ぼ事実上の影響力を意味する。
補助参加の利益が肯定される例:
・主債務の履行請求訴訟における保証人の補助参加
保証債務履行請求訴訟における主債務者の補助参加
・団体決議にもとづく構成員の義務履行請求訴訟における他の構成員の補助参加
・不法行為に基づく損害賠償請求訴訟における同一原因による責任を負担する可能性のある者の補助参加
  ●補助参加の手続 
規定 民訴法 第43条(補助参加の申出)
補助参加の申出は、参加の趣旨及び理由を明らかにして、補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない。
2 補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる。
民訴規則 第1条(申立て等の方式)
申立てその他の申述は、特別の定めがある場合を除き、書面又は口頭ですることができる。
民訴法 第44条(補助参加についての異議等)
当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない。
2 前項の異議は、当事者がこれを述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後は、述べることができない。
3 第一項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
参加によって訴訟行為をなすべき裁判所に対して書面または口頭によって行う(法43@、民訴規則1@)
  ●補助参加人の訴訟行為 
規定 民訴法 第45条(補助参加人の訴訟行為)
補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。
2 補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。
3 補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。
4 補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。
補助参加人は、その名において攻撃防御方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、あるいは再審の訴えなど一切の訴訟行為を行うことができ、その効果は主たる当事者に帰属する(法45@)。 

補助参加人は、訴訟法律関係上、主たる当事者と独立の地位を有するものであり、その手続保障のために期日の呼出しや訴訟関係書類の送達も当事者とは別になされる。
  ●補助参加人の訴訟行為についての制限 
@独立の当事者でないこと、A主たる当事者の勝訴のために訴訟行為をなすことなど、訴訟関係人としての地位の特徴
⇒訴訟行為について制限(「補助参加人の地位の従属性」)。
@ @主たる当事者がすでになしえなくなった行為 
ex.主たる当事者が撤回できない自白、時機に遅れた攻撃防御方法、責問権の喪失、中間判決によって確定された事項など
A A主たる当事者の訴訟行為と抵触する行為
B B訴訟係属の発生・消滅にかかわる行為 
C C主たる当事者に不利益な訴訟行為 
D D主たる当事者に属する実体法上の権利行使 
●    ●判決の補助参加人に対する効力 
規定 民訴法 第46条(補助参加人に対する裁判の効力)
補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。
一 前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。
二 前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。
三 被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。
四 被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき。
訴訟行為を行った責任として主たる当事者敗訴の場合には、補助参加人に対しても裁判の効力が及ぶ。 
○@補助参加人に対する裁判の効力の性質
補助参加人に対する効力は、敗訴の場合における主たる当事者と補助参加人の公平な責任分担の考え方にもとづくもの
補助参加人の法的地位の前提となる訴訟上の事項について生じる
ex.
被告保証人の側に補助参加して、主債務の存在を争った主債務者、責任認容判決が確定した後、保証人から求償債務履行請求訴訟を提起された場合、前訴における敗訴責任の分担から主債務の存在を争うことは許されない。
既判力と参加的効力の違い:
@
既判力:当事者間で訴訟の勝敗とかかわりなく生じる
参加的効力:主たる当事者敗訴の場合において主たる当事者と補助参加人との間でのみ生じる。
A
参加的効力については、補助参加人の訴訟行為の内容との関係で、一定の除外事由が設けられる。
B
既判力:訴訟物たる権利関係について生じる
参加的効力:補助参加人の法律上の地位に対する前提となる、裁判所の判断について生じる。
(判決主文中の判断に限られず、判決理由中の判断も含まれる。)
C
既判力:職権調査事項
責任分担の趣旨に基づく参加的効力:当事者の主張をまって判断すれば足りる。
○A裁判の効力の客観的範囲 
補助参加人に対する参加的効力の客観的範囲:
補助参加の前提となっている、補助参加人の法律上の地位と訴訟における裁判所の判断事項との関係で決定される。
ex.
目的物の真の所有者であると主張する原告から引渡請求訴訟を提起された買主の側に、売主が補助佐奈したが、請求認容判決が確定。

被告買主が補助参加人売主を被告として提起する損害賠償請求訴訟(民法561)において、売主は目的物の所有権が自己に属していたことを主張できない。
(←補助参加人たる売主の法律上の地位、すなわち担保責任との関係で目的物の所有権の帰属が判決理由中で判断された以上、敗訴責任を分担する補助参加人は、その判断に拘束される。)
拘束する判断事項は、判決の論理的前提となっているものでなければならず、いわゆる傍論部分の判示には参加的効力はない。
法46条1号ないし4号に列挙される除外事由が認められる場合、当該事由にかかわる判断に関する限り、補助参加人は参加的効力の拘束力を免れる。
○B裁判の効力の主観的範囲 
補助参加人に対する参加的効力は、主たる当事者と補助参加人との間にのみ生じる。
既判力〜訴訟当事者について無条件に生じる。
参加的効力〜敗訴責任の分担の趣旨から、敗訴の原因となった事実上または法律上の事項にもとづき補助参加人が主たる当事者に対して一定の実体法上の責任を負担する場合にのみ問題となる。
ex.
求償債務を負担する主債務者、追奪責任として損害賠償債務を負担する売主などの補助参加人に限って参加的効力の拘束力が問題となる。
A(近時の有力説):相手方と補助参加人との間に既判力や争点効が拡張される。
B(伊藤):争点効の補助参加人への拡張も、補助参加人の訴訟行為が信義則上制限されるものとすることができるし、既判力の拡張としていわれる場合についても、これを信義則による制限とするのが合理的。
法46条各号の除外事由は、信義則不適用の例示と解すれば足りる。
(←伊藤は、争点効の考え方を信義則に置き換える立場。)
    ■共同訴訟的補助参加 
    ■人事訴訟における利害関係人の補助参加 
■訴訟告知     ■訴訟告知 
規定 民訴法 第53条(訴訟告知)
当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。
2 訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。
3 訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。
4 訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす
訴訟の係属中当事者が第三者に対して訴訟係属の事実を報告する訴訟行為。
告知者の意義は、補助参加の利益をもつ被告知人が参加しなかった場合にその者に対して参加的効力を及ぼすところにある(法53C)。
特別の場合には、当事者に対して告知が義務付けられる。
  ●訴訟告知の要件
@訴訟係属の存在
上告審における告知も可能。(←補助参加は上告審でも可能)
A告知者たる資格は、当事者の地位。
補助参加人も告知できる(法53A)。
ex.瑕疵担保責任に基づく損害賠償を買主から訴求されている売主がその前主に対して告知。
B被告知者:訴訟参加をなしうる第三者 
すでに自己の補助参加人となっている者についても、告知の効果として時効中断の必要があれば、告知が許される。
  ●訴訟告知の方式
告知の理由および訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してなされる(法53B)。
  ●訴訟告知の効果 
訴訟告知は、被告知者に参加の機会を与えるのみであり、その効果として被告知者が当然に告知者の補助参加人となるものではない。

被告知者としては、
@告知者の側に参加する
A相手方当事者の側に参加する
Bいずれも参加しない
という3つの選択ができる。 
被告知者は参加できた時に参加したものとみなされ、参加的効力によって拘束される(法53C)。 
主たる当事者に対して求償義務や損害賠償義務を負う補助参加人についてのみ参加的効力が問題となる

訴訟告知にもとづく参加的効力も、被告知人がこのような者の場合に限って認められる。
but
被告知者が告知者対して損害賠償責任などを負うときであっても、両者の間の利害関係が対立し、そもそも被告知者が告知者側に補助参加することが期待されないときには、敗訴責任の分担を意味する参加的効力を被告知者に及ぼすことはできない。
訴訟告知には、参加的効力という訴訟法上の効果のほかに、実体法上の事項中断の効果が認められる(手86@、小73@)。
訴訟告知は被告知者に対する裁判上の請求(民法149条)ではないが、訴訟告知の趣旨が被告知者に対する権利の保全を目的としているときには、催告(民法153)に類するものとして、訴訟終了後6か月以内に裁判上の請求などをなすことによって時効中断を生じる
■独立当事者参加     ■独立当事者参加 
  ●独立当事者参加の訴訟構造 
  ●独立当事者参加の要件 
@詐害防止参加 
A権利主張参加 
B独立当事者参加の時期 
C参加人による請求の定立 
  ●独立当事者参加の手続 
  ●独立当事者参加訴訟の審判 
  ●2当事者訴訟への還元 
@訴えまたは独立当事者参加の取下げ 
A訴訟脱退 
    ■共同訴訟参加 

和解
和解の種類 @ @訴訟上の和解:
口頭弁論等の期日(口頭弁論期日、弁論準備手続期日、和解の期日)における当事者の行為としてなされる。
A A私法上の和解(民法695条):
期日外に当事者間で行われる和解。
民法 第695条(和解) 
和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。

民法 第696条(和解の効力)
当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。
B B簡易裁判所における起訴前の和解(法275条):
民訴法 第275条(訴え提起前の和解)
民事上の争いについては、当事者は、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に和解の申立てをすることができる。
2 前項の和解が調わない場合において、和解の期日に出頭した当事者双方の申立てがあるときは、裁判所は、直ちに訴訟の弁論を命ずる。この場合においては、和解の申立てをした者は、その申立てをした時に、訴えを提起したものとみなし、和解の費用は、訴訟費用の一部とする。
3 申立人又は相手方が第一項の和解の期日に出頭しないときは、裁判所は、和解が調わないものとみなすことができる。
4 第一項の和解については、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定は、適用しない。
訴訟上の和解 要件 @ @合意の客体たる権利関係:
訴訟上の和解の構成要素として訴訟物たる権利関係についての私法上の合意が含まれる

その権利関係およびその他合意の対象となる権利関係が、当事者の処分に委ねられること、すなわち私的自治に服するものでなくてはならない。
人事訴訟一般について、訴訟上の和解が排除される。(人訴19Aによる民訴267の適用排除)
離婚や離縁を内容とする和解はその効力が肯定される。(人訴37@本文、44)
←協議離婚・離縁や調停離婚・離縁にみられるように、婚姻関係や養親子関係の消滅に関して当事者意思の支配ら認められている。

当事者の意思確認を慎重に行う必要がある
⇒和解条項案の書面による受諾(民訴264)及び裁判所等が定める和解条項(同265)は排除され(人訴37A、44)、電話会議システムによる弁論準備手続期日における不出頭当事者による和解(民訴170BC)も否定される。(人訴37B、44)
会社設立無効の訴え(会社828)や株主総会決議取消しの訴え(会社831)については、和解を否定する考えが有力
←請求認容判決に対世効が認められる。
A A合意の主体:
訴訟能力の存在や代理人への特別授権が必要。(法32A(1)、55A(2))
和解に第三者の加入を認める。
学説は、訴訟継続が存在しない第三者との関係においては、和解は、起訴前の和解としての性質をもつとする。
B B訴訟要件の具備:
当事者の実在、当事者能力、あるいは権利保護の資格など、判決効の不可欠の前提となる訴訟要件の具備は必要。
手続 @ @和解の勧試の規整
第89条(和解の試み)
裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる。
調停に代わる決定 民事調停法 第17条(調停に代わる決定)
裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。
受諾和解 民訴法第264条(和解条項案の書面による受諾)
当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官から提示された和解条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が口頭弁論等の期日に出頭してその和解条項案を受諾したときは、当事者間に和解が調ったものとみなす。
裁判所等が定める和解条項 第265条(裁判所等が定める和解条項)
裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な和解条項を定めることができる。
2 前項の申立ては、書面でしなければならない。この場合においては、その書面に同項の和解条項に服する旨を記載しなければならない。
3 第一項の規定による和解条項の定めは、口頭弁論等の期日における告知その他相当と認める方法による告知によってする。
4 当事者は、前項の告知前に限り、第一項の申立てを取り下げることができる。この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。
5 第三項の告知が当事者双方にされたときは、当事者間に和解が調ったものとみなす。


民事調停(民事調停法) 
管轄  事件の種類 原則的管轄  特別管轄  合意管轄 
一般調停
(ノ)
相手方の住所・居所・営業所・事務所の所在地を管轄する簡易裁判所(法3条前段) 当事者の合意した簡易裁判所・地方裁判所(法3条後段)
宅地建物調停
(ユ) 
  紛争の目的である宅地建物の所在地を管轄する簡易裁判所(法24条前段)  紛争の目的である宅地建物の所在地を管轄する地方裁判所(法24条後段)
農事調停
(セ)
  紛争の目的である農地等の所在地を管轄する地方裁判所(法26条前段)   紛争の目的である農地等の所在地を管轄する簡易裁判所(法26条後段) 
商事調停
(メ) 
相手方の住所・居所・営業所・事務所の所在地を管轄する簡易裁判所(法3条前段)   当事者の合意した簡易裁判所・地方裁判所(法3条後段)
鉱害調停
(ス) 
  損害の発生地を管轄する地方裁判所(法32条)  
交通調停
(交)
相手方の住所・居所・営業所・事務所の所在地を管轄する簡易裁判所(法3条前段) 被害者の住所または居所を管轄する簡易裁判所(法33条の2) 当事者の合意した簡易裁判所・地方裁判所(法3条後段) 
公害等調停
(公)
相手方の住所・居所・営業所・事務所の所在地を管轄する簡易裁判所(法3条前段) 損害の発生地または損害が発生するおそれのある地を管轄する簡易裁判所(法33条の3)  当事者の合意した簡易裁判所・地方裁判所(法3条後段)