シンプラル法律事務所
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論点整理(民事執行)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

メモ 
規定 民執法 第172条(間接強制)
作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。
3 執行裁判所は、前二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。
4 第一項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。
5 第一項の強制執行の申立て又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6 前条第二項の規定は、第一項の執行裁判所について準用する。
 間接強制の裁判に対して執行抗告ができる(172条5項)

事情変更⇒変更できる民執法172条2項

執行抗告:抗告状提出から1週間以内に抗告理由書を提出

執行抗告⇒執行手続停止効はない。
but

執行抗告をすることができる裁判のなかには、執行手続の安定又は債権者若しくは債務者その他の利害関係人の利益を害するおそれがあるものについては、確定しなければその効力を生じないとされるものがある。(実務)

実行停止の効力はない⇒裁判を求めることができる。

支払予告命令の不奏功という事情をもって、事情変更と認めるべき。
注解p144
執行手続き上の決定のうち、確定前に効力を生じることとしては、手続の安定、債権者・債務者若しくはその他の関係人の利害を害するおそれがあるものについては、個別の規定により、決定であっても、確定によって初めて効力が生じるとした。

判決による上訴と同じく、確定遮断の効力によって、結果的に決定の効力の発生を停止する効果をもつにすぎない。
  ■支払を命じられた金銭の取立て(実務下p865)
執行法 第22条(債務名義) 
強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
三 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
執行法 第27条
請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
間接強制に際して一定の金員の支払を命ずる決定は債務名義(民執法22条1項3号)。
債務者が作為義務を履行しない

@一定の金銭の支払を命ずる決定の部分に執行文の付与を受けたうえ、
Aその正本に基づき債務者の責任財産に対し金銭債権執行の申立てをし
Bその間か代金から上記の金員の支払を受けることができる。
債務履行の有無は債務者の立証すべき事項⇒執行文は単純執行文。 
but
金銭支払債務が不作為義務違反(侵害行為)によって生ずる場合は、侵害行為の立証責任は債権者が負担すべき
⇒債権者は侵害行為のあったことを証する文書を提出して条件成就執行文の付与(民執27条1項)を求めるべき。
   


不動産引渡等
■  ■第1 総説
規定 民執法 第168条(不動産の引渡し等の強制執行)
不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
2 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
3 第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
4 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
5 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。
6 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
7 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
8 第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
9 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。
  引渡し:不動産等の直接支配を債権者に移転させること
明渡し:引渡しの一態様であり、特に債務者等が居住し、又は物品を置いて占有しているときに、目的物の中の物品を取り除き、かつ居住者を退去させ、債権者に完全な支配を移転すること
  ■第2 不動産引渡等の執行の対象物 
  ■第3 不動産引渡等の執行機関 
  ■第4 不動産引渡等の執行の申立て 
  ■第5 不動産引渡等の執行の方法 
■    ■第6 不動産引渡等の強制執行における執行目的外動産の処理 
  ■第7 不動産等退去の執行 
  ■第8 不動産引渡等の強制執行の終了 


民事執行関係(総論)
執行力 形式的執行力 もはや債権者がそれ以上の裁判を求める必要なしに強制執行をなしうる、執行に熟した状態。
実質的執行力 債務名義に表示された給付請求権の強制執行による実現をもとめること。
根拠 当該名義に基づいて強制執行をすることを認めた法律にあり、憲法上の基礎(憲法29条@A)に立つ。
客観的範囲 債務名義に表示された請求権の内容として執行機関が強制的に実現すべき給付利益の範囲・限度。
執行方法 @直接強制 執行機関がその権力作用により(債務者の積極的協力をまたないで)直接に執行の目的たる利益状態を実現する方法。
為す債務の場合直接強制はとれない。→A代替執行・B間接強制
A代替執行 代替的作為債務(建築物の取壊しなど)等につき、債権者が自らまたは第三者により作為内容を実現できる旨の授権およびその費用を債務者から取り立てうる旨の授権を執行機関たる裁判所より受けて、これに基づき債権者または第三者が権利内容を実現し、要した費用を債務者から取り立てるという方法。(執行法171、民法414AB)
裁判所の授権を媒介として債務名義上の債務内容たる作為を金銭支払に切り替えて執行する、一種の代償的執行。
B間接強制 規定 民執法 第172条(間接強制)
作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
内容 作為義務の中で代替性のない場合(不代替的作為義務)の強制執行について認められ、債務を履行しない債務者に対し、債務の履行を確保するために相当とン認められる一定の金銭を債権者に支払うべきことを命じて債務者に心理的な強制を加えてその意思により請求権内容を実現させる方法。(民執法172条1項)
補充性 直接強制のできる債務については代替執行・間接強制を許さず、直接強制・代替執行ともに機能しえない債務についてのみ間接強制が認められる。
判例:物の引渡債務の間接強制を否定(大判昭和5.10.23)
法規定:168条〜172条
権利実現の実効性確保を図る観点から間接強制の補充性に伴う執行の非効率性を緩和。 
物の引渡債務や代替的作為債務・不作為債務については、債権者の申立てがあるときは、間接強制の方法によることも可能(法173)
申立    代替執行の申立と同様、民執法33条2項の1号及び6号に定める裁判所に対し執行力のある債務名義の正本に基づいて間接強制の決定を求める申立てをする。

間接強制については、具体的事情を考慮して裁量的判断を必要とするので、債務名義を形成する手続をした裁判所に判断させるのが適当。 
規定 民執法 第172条(間接強制)
6 前条第二項の規定は、第一項の執行裁判所について準用する。
民執法 第171条(代替執行)
2 前項の執行裁判所は、第三十三条第二項第一号又は第六号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所とする。
民執法 第33条(執行文付与の訴え)
第二十七条第一項又は第二項に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第三項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
2 前項の訴えは、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が管轄する。

 第二十二条第一号から第三号まで、第六号又は第六号の二に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち次号及び第六号に掲
げるもの以外のもの 

第一審裁判所

一の二 第二十二条第三号の二に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち損害賠償命令並びに損害賠償命令事件に関する手続における和解及び請求の認諾に係るもの

損害賠償命令事件が係属していた地方裁判所

 第二十二条第七号に掲げる債務名義のうち和解若しくは調停(上級裁判所において成立した和解及び調停を除く。)又は労働審判に係るもの(第一号の二に掲げるものを除く。)

和解若しくは調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所若しくは家庭裁判所(簡易裁判所において成立した和解又は調停に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)又は労働審判が行われた際に労働審判事件が係属していた地方裁判所
強制執行のための書類 @債務名義の正本
A執行文(債務名義によっては不要)
B送達証明
債務名義(22) 種類     ■判決
1 確定判決
2 仮執行の宣言を付した判決
仮執行宣言なり本案判決を取り消しまたは変更する裁判があれば、その正本を提出して仮執行の停止・取消しを求めることができる(法39@(1)、40@)が、仮執行の完結後は、当事者間に不当利得・損害賠償の問題を残すにすぎない。
上級審で本案判決が変更される場合、裁判所は、被告の申立てにより、その判決において、仮執行宣言に基づき被告が給付したものの返還および仮執行により又は仮執行を免れるため被告の受けた損害の賠償を原告に命じなければならない。(民訴260AB)
■  ■抗告に服する決定・命令
3 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
ex.裁判所が特定金額を掲げて訴訟費用・執行費用等の負担または額を定め、あるいは費用額等の償還を命ずる決定。(民訴69、83B、84、85、192、法42C、非訟31)
不動産の保全のための処分または引渡命令(法55、77、83等)
代替執行の費用前払決定や間接強制の強制金決定(法171C、172@)
抗告に服する決定・命令は、告知と同時に効力を生じる(民訴119)。
3の2 仮執行の宣言を付した損害賠償命令〔本号の施行は、一年六月内政令日〕
■仮執行宣言付支払督促
4 仮執行の宣言を付した支払督促
支払督促(民訴382)の送達を受けた日から2週間内に債務者が異義(民訴386)を申し立てない場合には、債権者の申立てにより支払督促に仮執行の宣言が付され(民訴391)、この仮執行宣言付支払督促が債務名義となる。 
■  ■費用額確定処分
4の2 訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)
■  ■執行証書
5 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
不当執行の可能性を考慮し、その損害を金銭賠償により回復できる性質の請求権についてのみ公正証書の債務名義性を認める。
不当執行に対し債務者は請求異義の訴えをもってその排除を図る。
but執行債権の存否確定のための起訴責任を、当初から債務者が負う。 
6 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
6の2 確定した執行決定のある仲裁判断
■確定判決の同一の効力を有する文書
7 確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)
「確定判決と同一の効力を有する」「給付を命ずる反j欠と同一の効力を有する」「裁判上の和解と同一の効力を有する」等と規定。
(1)裁判上の手続における当事者の意思にかかるものとして、和解調書、請求認諾調書、調停調書、和解に代わる決定、調停に代わる決定・審判、労働審判書・労働審判調書。強制的実現に親しむ特定の給付義務の表示を含むものに限る。
(2)倒産手続に関するものとして、破産債権者一覧表における確定債権の記載(破産124B)、更生債権者表・更生担保権者表における確定した更生債権・更生担保権者表における確定した更生債権・更生担保権の記載(会更150B)、民事再生手続や株式会社の特別清算・会社更生の手続おける役員等に対する損害賠償請求権の査定の裁判(会社545@、899D、民再147、会更103)、査定を認可し変更する判決(会社858D、民再146C、会更102D)、否認の請求を認容する決定(破175C、民再137C、会更97C)など。
(3)その他、確定した支払督促(民訴396)、借地非訟手続において財産上の給付を命ずる裁判(借地借家50、民訴267)、罹災地借地借家関係につき財産上の給付の返還等を命ずる裁判(罹災都市25、民訴267)等
■  執行力のある債務名義と同一の効力を有する文書
明文上「執行力のある債務名義と同一の効力を有する」ものと規定
単純な執行文の付与を要しないと解すべきものが多く、明文上、強制執行開始前の送達を要しないとされるものが多い。
金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判(家事事件手続法75条)、国庫の立替費用・猶予費用の取立て等の裁判(民訴費15@、16、17)、財産刑、過料その他の制裁を科する裁判の執行命令(刑訴490@、民訴189、民調36@、家審29@、非訟208@、法定秩序7C)、その他の裁判。(特許170、船主責任22B等)
家事事件手続法 第75条(審判の執行力)
金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
債務名義の解釈 当該名義に基づく強制執行を担当する執行機関が執行にさいしてこれおを解釈認定する権限と職責を有する。
その債務名義に基づいてどのような種類・内容・範囲の執行がなされるべきかを明確にすること。
債務名義が当事者の合意を基礎とする場合(和解調書・調停調書・執行証書)には、その合意自体の解釈と無関係ではないが、区別を要する。
福岡高裁唱和38.11.13
「公正証書も当事者の契約内容を表示するものである以上、公正証書に表示されている契約当事者の真意を合理的に探究し、法22条5号の規定に反しない範囲において、できるかぎり債務名義として適法有効なものと解釈すべきであり、かつ解釈に当たっては公正証書の各条項各別に捕えて解釈せず、前後の条項を相関脈絡ある統一体としてその本体に迫って理解しなければならない」
解釈の資料は、債務名義ないし執行分(執行正本たる文書の全体)に限られ、原則として、それ以外の資料は参酌されない。
←債務名義の機能は、執行手続を債務名義作成手続から分離し、執行機関をして実態上の給付義務の存否・内容を調査することなく執行を実施させるにあり、債務名義の解釈のために債務名義の記載以外の事実や証拠の収集を要するのでは、執行要件として債務名を義要求した趣旨が没却される。
執行機関の解釈の誤り⇒執行当事者は、なされた執行処分に従い、執行抗告または執行異議を申し立てることができる。
解釈によって債務名義の内容を明確にできない⇒その債務名義は執行力を欠き、これに基づく執行申立や却下される。
債権者としては、同一の請求原因に基づいてあるいは和解や調停で定められた給付義務の履行を求めるために、給付の訴えを提起するなどの方法により新たな債務名義を得る必要がある。
 執行文 執行文の必要性(原則) 規定 第25条(強制執行の実施)
強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。
ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。
民事執行法 第26条(執行文の付与)
執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。
説明 強制執行は、原則として執行文が付与された債務名義の正本に基づいて実施される(法25条)。
民事執行法は、債務名義作成機関と執行機関とを分離し、
執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官
執行証書についてはその原本を保存する公証人
執行力の有無を審査し、これが存在する場合には債務名義の正本の末尾に執行文を付与する(法26条1項)。
執行機関は、執行文が付された債務名義の正本に基づく強制執行の申立てがあった場合には、その債務名義につき執行力があるか否かについて実質的に判断することなく、形式的かつ画一的に判断して執行を実施。
執行文を要しない債務名義 (1)債務名義自体が通常以上に執行の簡易迅速性が認められる場合、
(2)債務名義に表示された債権が通常以上の要保護性を有する場合
(3)執行力が明白である場合
執行文の付与を要しないものがある。
@仮執行宣言付支払督促(法25但書)
A少額訴訟における確定判決又は仮執行宣言付督促(法25但書)
B金銭の支払を命じる旨の家事審判(家審15条)
C家事審判法9条1項乙類所定の事項に関する調停調書(家事審判法21条1項)
D金銭の仮払いを命じる仮処分命令(民保52条2項)
but
条件成就執行文及び承継執行文(法27条)については、性質上、その原因たる事実の有無を執行機関に直接判断させるのは適当ではない
⇒その付与が必要。
執行文必要 @執行証書(公正証書)
A確定判決
B仮執行宣言付判決
C認諾調書
D和解調書
E調停調書
F調停にかわる決定
G訴訟費用額確定決定
H代替執行費用前払決定
I間接強制のための金銭支払命令
J引渡命令
手続 執行証書以外の債務名義⇒(事件の記録の存する裁判所の)裁判所書記官が
執行証書⇒執行証書(公正証書)の原本を保管する公証人が
執行文を付与。
種類 @単純執行文
A条件成就による執行文(法27条1項)
〜債務者がやるべきことをやった場合などに付与されるもの
B承継執行文(法27条2項)
〜相続や会社の合併などで当事者の権利義務を承継した場合に必要なもの
債務者に不動産・銀行預金などいくつかの財産があって、同時に執行したい場合
執行文数通付与申立て
執行文を紛失⇒再度付与の申立て(民執法28条)
送達(証明) 規定 民事執行法 第29条(債務名義等の送達)
強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。
公正証書の場合 公正証書謄本の送達申立ては執行証書の原本を補完している公証役場で行う。
手数料:現金1400円、郵券1080円
扶養料等の定期金債権による予備差押え 原則 債権執行でも、債務名義上、給付が確定期限の到来にかかる場合には、執行債権の期限が到来した後でないと差押えによる執行開始はできず(法30@)、執行債権が定期金債権である場合には、執行を開始できるのは、すでに期限が到来した部分の強制執行に限られる。
予備差押え 規定 民事執行法 第151条の2(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)
債権者が次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる。
一 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
二 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
三 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
四 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
2 前項の規定により開始する債権執行においては、各定期金債権について、その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみを差し押さえることができる。
説明 平成15年の新担保・執行法により、例外として、養育費その他の扶養義務等に係る定期金債権の強制執行につき、この執行開始要件に特則を設け、期限到来に先だって差押えを行うこと(予備差押え)が認められた(法151条の2)。

@そられの定期金債権は、少額なのが通常である各定期金につき、それぞれの確定期限の到来ごとに執行申立てを反復する負担に耐えられない。
A債権の適時の満足が債権者の生計維持に不可欠。
予備差押えの執行債権 @夫婦間の協力義務(民法752条)
A婚姻費用分担義務(民法760条)
B子の監護費用分担義務(民法766条、749条、771条、788条)
C扶養義務(民法877条〜880条)
に係る定期金債権であって、確定期限の定めのあるものに限る。
これらを執行債権とする予備差押えには、定期金債権の一部にすでに期限が到来し未だ履行のないものがあることを必要とする。
予備差押えの対象財産 執行債権である各定期金債権について、その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他の継続的給付に係る債権に限る(法151条の2第2項)。

各定期金債権の満足とそのための引当財産の発生を時期的に同調させる趣旨。
予備差押後 予備差押え後の手続きについての特例はない。
被差押債権の取立権を取得するが(法155条1項)、第三債務者は、被差押債権の弁済期ごとに、これに対応する執行債権定期金についての取立に応ずれば足りる。
差押禁止財産 差押禁止動産(法131)
(p597)
生存の保障 1 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
2 債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
3 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
(66万円(民事執行令1))
13 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
個人的生業の維持 4 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
5 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
6 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
私的専用の確保 7 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
8 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
9 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
10 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
11 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
その他 12 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
14 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
差押禁止債権(法152) 規定 民執法 第152条(差押禁止債権)
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
3 債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。
民執法 第151条の2(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)
債権者が次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる。
一 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
二 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
三 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
四 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
2 前項の規定により開始する債権執行においては、各定期金債権について、その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみを差し押さえることができる。
●給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権(中野p633)

雇用その他の継続的役務に対する報酬としての給与を総合的に規定したものであり、個別の名称や計算方式をとわず、また、今日の給与体系のもので多様化の著しい各種の手当をひろく含む。
●国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権(中野p636)

給与債権と同じ範囲で差押禁止に服する。
ex.民法上の扶養請求権(民法881条参照)、生命保険・銀行等との私的年金契約による継続的収入なども、生計維持に必須なものは、その限度で、現に年金として支給が開始されているものに限って、ここに含まれる。
 <差押禁止範囲>
@「支払期に受けるべき給付」の4分の3に相当する部分(源泉徴収される給与所得税・住民税・社会保険料を差し引いた手取額。)
A@の額が「標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額」(=月払の場合33万円)を超えるときは、超える部分は差押可能範囲に入る。

手取月額が44万円以下なら、手取額の4分の1しか差押えはできない。
44万円を超えるばあいは、33万円を超える部分の全部を差押えることができる。
退職手当(中野p636):給付の4分の3が差押禁止 
相殺禁止  規定 民法 第510条(差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止)
債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。
   
特別法上の差押禁止 @社会保険給付の請求権(国民年金24、国公共済49、健保68、国健保67、雇保11等)
A公的扶助・援助の請求権(生活保護58、児手15、母子保護24、老人保健45、障害福祉45等)
B災害補償・損害賠償等の請求権(労基83A、労災12の5A、国公災7A、自賠18等、刑補22等)
Cその他の請求権(恩給11B、簡保81等)
建物収去土地明渡しの執行
(中野p758)
方法 「建物を収去して土地を明け渡せ」との債務名義に基づき、
1.建物収去執行の実施(作為義務の強制執行として@代替執行又はA間接強制)
2.地上に建物のなくなった土地の引渡し執行(物引渡義務の強制執行として@直接強制又はA間接強制)
 執行債務者 収去される建物の所有者あるいは登記上の所有名義人。
債務名義の執行力の拡張を受ける建物取得者等に対しては、承継執行文の付与を受けて執行できる。(法27条A)
収去すべき建物に執行債務者あるいはその家族等が居住している場合には、建物収去の前提として建物からの退去を求めることができ、退去についての格別の債務名義は必要ではない。
目的外動産の処理  収去される建物内にある動産でも、執行官が保管・売却できる。
債権者としては、建物収去の代替執行に必要な費用の予定額をあらかじめ債権者に支払うべき旨の命令(法171C)を得るとともに、別に動産執行の申立てをしておき、建物収去の執行現場において搬出された目的外動産や建物残骸等の差し押さえをすることができる。
債権執行 取立て  概説 債務者に対する債権差押命令送達日の翌日から1週間経過すれば、第三債務者に対して直接取立てることができる。(民執155@)
(第三債務者に連絡し、意向や取立に必要な書類等を確認)) 
送達通知 債権差押命令が債務者および第三債務者に送達されたときは、裁判所書記官は、差押債権者にその旨および送達の年月日を通知する。(民執規134条)
「送達通知書」を債権差押命令の正本に同封して送付することにより行う取扱いをしている執行裁判所が多い。

★★強制執行における救済
★執行抗告(実務、新版、下p509)
  ◆第1 概説 
規定 民執法 第10条(執行抗告)
民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。
2 執行抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
3 抗告状に執行抗告の理由の記載がないときは、抗告人は、抗告状を提出した日から一週間以内に、執行抗告の理由書を原裁判所に提出しなければならない。
4 執行抗告の理由は、最高裁判所規則で定めるところにより記載しなければならない。
5 次の各号に該当するときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならない。
一 抗告人が第三項の規定による執行抗告の理由書の提出をしなかつたとき。
二 執行抗告の理由の記載が明らかに前項の規定に違反しているとき。
三 執行抗告が不適法であつてその不備を補正することができないことが明らかであるとき。
四 執行抗告が民事執行の手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであるとき。
6 抗告裁判所は、執行抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで原裁判の執行の停止若しくは民事執行の手続の全部若しくは一部の停止を命じ、又は担保を立てさせてこれらの続行を命ずることができる。事件の記録が原裁判所に存する間は、原裁判所も、これらの処分を命ずることができる。
7 抗告裁判所は、抗告状又は執行抗告の理由書に記載された理由に限り、調査する。ただし、原裁判に影響を及ぼすべき法令の違反又は事実の誤認の有無については、職権で調査することができる。
8 第五項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
9 第六項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
10 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三百四十九条の規定は、執行抗告をすることができる裁判が確定した場合について準用する。
民執法 第11条(執行異議)
執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。
2 前条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による申立てがあつた場合について準用する。
  民事執行の手続きに関する裁判(決定、命令)に対しては、
執行抗告ができる旨の特別の定めがある場合に限り執行抗告をすることができる(10@)。
その旨の規定がない場合の不服申立ては、執行異議の申立て(法11)によることになる。
執行異議:執行裁判所の処分と執行官の処分とを通じて原則的に認められる。
執行抗告:執行裁判所の処分に対し、特別の定めがある場合に限り、認められる。
いずれも、執行機関の執行手続上の各個の処分に対する不服申し立て。
不服対象外執行機関の個別処分に絞られる。
vs.
執行債権・執行担保権の存否や執行文付与の要件の存否を争って執行自体の排除を図る一連の救済手段(請求異議の訴え(法35条)、執行文付与に関する異議(法32条)、執行文付与の訴え(法33条)、執行文付与に対する異議の訴え(法34条)、担保権不存在確認の訴えなど)と異なる。
執行申立てに始まる執行手続上の執行処分に対する救済として、執行申立前の処分あるいは執行手続外の処分に及ばない(船舶執行申立前の船舶国籍証書等引渡命令に対しては即時抗告(法115条5項)、執行罰としての過料の裁判に対しても即時抗告(法206条、207条、非訟162条3項))。
  ◆第2 執行抗告をすることができる裁判 
執行裁判所の民事執行の手続に関する裁判のうち法が特に定める場合に限る(法11@)。
この「裁判」というのは、裁判所又は裁判官の判断行為を指し、それは執行処分の性質をもつものであるとそれ以外の行為であるとを問わない。
「民事執行の手続」とは、民事執行の申立てによって始まる具体的な執行手続をいうのであって、その準備のための手続を含まない。
執行手続の開始前になされる船舶執行における執行申立前の船舶国籍証書等の引渡命令に対しては、執行抗告によるべきではなく、これに対する不服は民訴法上の即時抗告(民訴332条)によることになる(民執115D)。
執行手続終了後の裁判(民執207A)についても同様。
法律が執行抗告を許しているのは、

民事執行手続の取消決定(民執12@)、不動産強制競売の申立ての却下決定(民執45B)、配当要求却下の裁判(民執51A、105A、154B)などその裁判が、手続の終了をもたらす最終的なものであるときや、

売却の許可又は不許可の決定(74@)、転付命令(159C)、売却のための保全処分(55E)、買受けの申出をした差押債権者のための保全処分(68の2C)、買受申出人等のための保全処分(77A)、引渡命令(83C)、担保不動産競売の開始決定前のj保全処分(187D)などのように、民事執行の本体の手続から派生して独立してなされる処分で、その段階で抗告を認めなければ利害関係人の権利変動に重大な影響を及ぼすものなど。
執行抗告の対象は、執行手続に関する裁判

請求異議の訴え(35)、配当異議の訴え(90、142A、166A)に対する判決などは、執行手続に関する裁判ではないので執行抗告の対象とはならない。
  ◆第8 執行抗告に伴う執行停止の裁判
  ◆第9 抗告裁判所による審理、裁判
  ◆第10 抗告裁判所の裁判に対する不服申立て
     
  ★第2節 執行異議(実務、新版、下p538)
  ◆第1 執行異議の対象
     
★第3節 執行抗告の取消決定等に対する執行抗告(実務、新版、下p549)
執行手続の取消決定等に対する執行抗告
 ★第4節 執行文の付与等に関する異議の申立て(実務、新版、下p552)
執行文の付与等に関する異議の申立
★第5節 執行文付与の訴え(実務、新版、下p574)
執行文付与の訴え 概説 執行文の付与を求める債権者が、付与の特別要件であるいわゆる条件成就とか、承継の事実について文書により証明することができないとき(その証明手段は文書に限られる)は、債務者を被告として執行文付与の訴えを提起し、付与すべきことを命ずる判決に基づいて執行文の付与を受けることができるとしている(法33@)
  ★第6節 執行文付与に対する異議の訴え(実務、新版、下p589)
執行文付与に対する異議の訴え 概説 債務名義に表示された請求が、債権者の証明すべき事実の到来に係るときに、その事実が到来したものとして執行文が付与される場合又は執行当事者の承継その他債務名義に表示された当事者以外の物のため若しくは当事者以外の者に対して執行力をゆすることにより、執行文が付与される場合には、原則として執行文の付与を求める債権者は、証明文書をもってこれらの事実を証明しなければらない(法27)
その事実について証明があったとして執行文が付与された場合において、その事実が存在しないことを争い、もってその執行文の効力を排除するために認められた訴えが、執行文付与に対する異議の訴え。(法34条)
★第7節 請求異議の訴え(実務、新版、下p605)
請求異議の訴え 規定 第35条(請求異議の訴え)
債務名義(第二十二条第二号、第三号の二又は第四号に掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
2 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。
3 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。
制度趣旨 請求異議の訴え:
債務者が特定の債務名義(裁判たる債務名義と裁判以外の債務名義とをとわない)につき、それに表示された請求権(ないし責任)の存在・内容についての異議、または裁判以外の債務名義につきその成立についての異議を主張して、執行不許の判決による執行力の排除を求める訴え。 
実体法上の権利状態と一致せず実体法秩序の容認しない強制執行を手続法が容認するわけではない。
but
法は、債務名義の制度的論理を貫いて、かかる不適合は、債務者のイニシアティブにより開始される裁判上の手続において主張させ、その結果として得た反対名義の執行機関への提出を待って強制執行の停止・取消しを導く構成をとる。

債務名義制度の採用とともに、債務者の側に、債務名義に表示された請求権の存在または内容についての異議を主張し、その債務名義の執行力の排除を求める独立の訴えとして、請求異議の訴えが認められた。
(実体権の存否・内容の確定がされなければならない⇒必要的口頭弁論に基づき判決で裁判。)
判例・実務は、執行調書・和解調書・調停調書等の成立過程に存した瑕疵を請求異議の訴えによって主張することを認めてきた。
明文規定法35条1項後段。

@裁判以外の債務名義には、上訴・異議の手段がないのが普通であり、再審規定の準用ないし類推の可否についても見解が分かれ、準用・類推を認めるにしても判決についての再審規定の内容は、手続と性質を異にする執行証書・和解調書・調停調書等には必ずしも符合しない。
A裁判以外の債務名義の成立についての瑕疵の審理が債務名義表示の請求権の存在・内容に関するそれと密接に関連・共通し、決定手続による決着に委ねるのは当を得ない場合が多い。
・実体法上、特定範囲の財産につき債務名義の執行力の排除を求める訴えにつき請求異議の訴えに関する規程の準用を明文で認めているもの(船主責任制限35条)。
・定期金賠償を命じた確定判決の変更を求める訴え(民訴117条)において定期金の減額が請求されるときは、その訴えは、実体法上の権利状態との不一致を主張して債務名義の執行力の一部排除を求める点で、請求異議の訴えと性質を同じくする。
目的 債務名義に表示された請求権の存在又は内容並びに裁判以外の債務名義についてはその成立について異議がある場合には、そのことをも主張して債務名義の執行力を排除して不当な執行の現実的解放を求めることを目的とするもの。(法35@)
管轄 執行文付与の訴えの管轄裁判所の規定が準用される
第1審裁判所で成立した和解及び調停調書が債務名義⇒その和解・調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所、家庭裁判所。
異議事由 請求の存在・内容についての異議事由(35条1項前段) @請求権の発生を妨げる事由:
通謀虚偽表示、意思表示の要素の錯誤、公序良俗違反、代理権の欠缺など

A請求権を消滅させる事由:
弁済、更改、免除、相殺、詐欺・強迫による取消し、消滅時効の完成、解除条件の成就、契約の解除など

B請求権の効力を停止・制限する事由ないし責任の制限・消滅を生ずる事由:
弁済期限の猶予、停止条件の付加、モラトリアム
相続の限定承認、破産・会社更生における免責(破産法253条、会社更生法204条等)

C請求権についての主体を変動させる事由:
債権譲渡、交替的債務引受等

債務名義に表示された請求権に対し第三債権者(執行債権者の債権者)による差押えまたは仮差押えの執行があった事実は、??には含まれず、請求異議の事由とならない。
裁判以外の債務名義の成立についての異議事由(35条1項後段) 執行証書・和解調書など、裁判でない債務名義については、それらの適式な成立によって執行力を生じるが、名義自体の取消し・変更を求めるための上訴・異議・再審等の制度がなく、その成立のついての瑕疵も請求異議事由となる。
(準再審に代わる請求異議の転用)
裁判以外の債務名義の成立過程に存する瑕疵であっても、法が訴え以外の手段によらせる趣旨と認められるものは、請求異議の事由とならない。
債務名義の執行力の発生を妨げる事由で、執行文付与に関する異議(法32条)により主張することを要するものを除く。
?債務名義の要件を形式的・手続的に充足するに至らず、適式な成立を欠く
⇒執行文付与に関する異議事由
?要件を形式的・手続的に充足し適式に成立した債務名義につき実態関係的な無効原因がある場合
⇒請求異議事由
請求異議による場合:
執行文付与に関する異議による場合:
異議事由の時的制限 債務名義が既判力を伴う場合、その標準時によって、それ以前に生じた異議事由の主張は、原則として許されない。
確定判決ならば、その訴訟の事実審の口頭弁論終結後に生じた事由でなければならない(法35条2項)。
規範力を伴わない債務名義については、請求権の不成立・無効その他名義成立前に存した事由も主張できる。
訴えの提起 債務名義がすでに成立して有効に存在するなら、執行文の付与前または執行開始前でもできる。
債務名義に基づく強制執行が完結した後は、訴えの利益がなくなる
⇒訴えを損害賠償請求なり不当利得返還請求等に変更しない限り、不適法として却下となる。
訴えが提起されても、その債務名義に基づく強制執行の開始・執行を妨げない
⇒意義訴訟の係属中に強制執行が実施・完結されてしまい、提訴の目的が失われることのないように、執行停止等の仮の処分が認められている。
@提訴に伴く仮の処分(民執36)と終局判決中の仮の処分(民執37)がある。
同一の債務名義につき数個の異議事由を主張しても、攻撃方法としての主張が重なるだけで請求の併合(民訴136)はない。
but
債務名義である単一の書面に数個の請求権が表示されていれば、正確には数個の債務名義があるわけで、それらに対する請求異議の訴えは請求の併合であり、訴えの一部取下げや一部判決ができる。
同時主張強制 同一の債務名義につき請求「異議の事由」が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない(民執35B、34A)。
「同時に」といっても、「同一の訴訟」において出せばよく(民訴156参照)、違った異議事由を持ち出して別訴を重ねることは許さないという意味。
★第8節 第三者異議の訴え(実務、新版、下p648)
第三者異議の訴え 概説 執行にあたっては、債務者の責任財産に属しない財産が、あたかも債務者の責任財産であるかのような外観を呈して、債務者の事実上の支配下に置かれていることがある。そのため、第三者の財産に対して強制執行がされることがある。
このような権利を侵害された第三者をして、執行に対して異議を主張させる機会を与えてその保護を図っている。(法38)
執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判
民事執行の停止・取消し

(過払金の)判決後の回収
銀行預金口座の差押え 現状 現金を長期間預金口座に届けておかない。
電子メールによる振込通知サービス等⇒振込通知があると、数分後にはインターネットバンキング等を利用して、別の預金口座に移動。
預金残高がなく空振りに終わることが多い。
差押えが成功しても、すでに競合する差押えが複数あることがほとんどで、時には10件以上先行する差押がある。
調査 銀行振り込みを受けていた口座や企業情報などで公開されている取引先銀行を調査
作成書類 @債権差押命令申立書
A当事者目録
B請求債権目録
確定利息は、判決主文で認められた全額と内金額の差額を記入
「被告は原告に対し、金3万3629円及び内金3万3538円に対する平成17年1月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」

元金:3万3583円
確定利息:91ね
C差押債権目録
〜書式通り
D陳述催告の申立書
@〜Cをホチキス留めし、1部作成。
各目録の欄外に捨て印を押す。
ABCについては、裁判所の決定用に複数部提出(3〜5)
裁判所の債権執行係に確認
必要資料 @判決文:
送達を受けた判決文でOK.
原告が複数で、それぞれの原告が同時期に債権差押命令申立⇒判決文の数通付与申請。
(判決文の枚数に応じて印紙が必要)
A執行文の付与
執行文:
執行力の存在を公証するために債務名義の末尾に付記する公証mのん後ン
判決を下した裁判所に、判決文と300円分の印紙を貼った執行文付与申請書を提出。
B送達証明
印紙150円
C資格証明(商業登記事項証明書)
債権者と第三債務者の資格証明
D郵券、封筒
必要となる郵券(切手)の額と種類は裁判所により異なる。
返信用封筒や第三債務者の陳述催告書の送付用の封筒の提出を求める裁判所もある。

切手と封筒を確認。
申立 債務者の本店を管轄する裁判所。
遠隔地⇒書留郵便で申立て。
決定書と陳述催告の送付 債権差押命令⇒第三債務者(銀行)に債権差押命令決定書と陳述書が送達。
銀行:
差押決定を受け取ると、当該預金口座からの預金債権等の払戻しを停止。
陳述書に差押えの対象となる債権があるかどうかを記載し、裁判所と申立人に送付。
裁判所は、第三債務者からの陳述催告書が届いた後、債権差押決定書を債務者および申立人に送付。
(申立人には)差押決定書と送達通知書が同時に送付。
取立 陳述書に債権金額が記載され、弁済の意思が「ある」
⇒銀行から取立。
必要書類を確認して、銀行に郵送。
取立完了届 取立完了
⇒裁判所に金額を記入した取立完了届を裁判所に提出。
回収未了 全額回収できない⇒取下げ所、債務名義等還付請求書を提出し、送達証明と判決書を返してもらう。
(東京地裁の場合、債権差押決定書とともに、取立完了届、取下書、債務名義等還付請求書が送られてくる)
競合の場合 差押えが他の債権者と競合

銀行は、差押当時存在した貸金業者の預金等を全額法務局に供託。
その後、裁判所によって、差押債権者への配当手続が行われる。
(債権計算書提出⇒配当金)
動産執行による回収 何を押さえるか? 事務用品⇒資産価値がない
パソコン⇒
リースで債務者の所有でない
仮に債務者の所有物でも、パソコン内の個人情報を移動させる費用として裁判所から高額の予納金の納付を求められる。
実際には、動産執行の申立てをして、貸金業者の本社や支店に臨場し、貸金業者からいくらかの現金の支払を受ける。
貸金業者が、貸金業以外にホテルや飲食店を経営⇒動産執行によりその売上金を差し押さえる方法。
必要書類 債権執行と同じ
@判決文、A執行文の付与、B送達証明、C資格証明
申立書 各裁判所執行官室に定型のものがある。
請求債権目録(請求金額計算書)も定型のものを利用。
申立て 動産執行を行う場所(債務者の本店・支店)を管轄する執行官。
(管轄区域は地方裁判所の管轄と同じ。)
実際には、地方裁判所内にある執行官室に申立書を持参。
提出書類は、@強制執行の申立書、A判決正本(執行文付き)、B送達証明、C債務者の資格証明、D委任状
執行費用の予納 申立て⇒執行費用の予納の連絡があり、予納金の金額が記載された提出用紙が送付。
予納金を、裁判所の会計課に納付。
予納金の連絡と同時に、実際に動産執行を行う日時を打合せ。
申立てから1週間以内に執行を行わなければならない(民事執行規則11条2項)。
民事執行規則 第11条(執行官が民事執行を開始する日時の指定)
執行官は、民事執行の申立てがあつたときは、速やかに、民事執行を開始する日時を定め、申立人が通知を要しない旨を申し出た場合を除き、これを申立人に通知しなければならない。
2 前項の規定により定める日は、やむを得ない事由がある場合を除き、申立てがあつた日から一週間以内の日としなければならない。
債権者が立ち会う必要はないが、立ち会うことで、緊張感をもって動産執行が行われる⇒
立ち会った方がいい。
執行当日 執行官が任意弁済するよう催告し、促す。
貸金業者が数十万円の現金を持参し、それを執行官が受領して、動産執行を終了。
形式的には、債務者の机や椅子を、現場で競り売りしてもらうことも可能。
bu
t買い取る業者がおらず執行不能となることは明白
⇒事務用品の競り売りが行われることはほとんどない。
執行調書 動産執行終了⇒、執行官から、執行調書が送付され、判決正本、送達証明も返還される。


債権執行
手続 @債権差押命令の申立⇒内容を審査(規則133条)⇒発令(法143条)
A陳述催告の申立は申立てと同時に行う必要(法147@)
B原則として、発令日に第三債務者に差押命令正本を発送し、その2日後に債務者に発送。
C第三債務者に差押命令が送達されると差押の効力が生じ(法145C)、債務者に送達された1週間が経過すると取立権が発生する。(法155@)

債務者に差押命令が送達されない限り、第三債務者に弁済の意思があっても取立ることはできない。
D第三債務者及び債務者に差押命令が送達されると債権者に差押命令正本送達通知書(規則134条)を送付。
債権者は、原則として、この2通の書類を第三債務者に提示して取立を行う。
E第三債務者から供託(法156条)がされたり、債権等の売却命令(法161条)による売却がされると配当手続に移行する(法166条)。
F債権差押は、取立が完了したり、取下げによって終了する。
申立手数料 債権者1名、債務者1名、債務名義1通につき4000円。
上記のいずれかが増えた場合には、原則として、1名または1通について4000円づつ加算される。
郵券については、債権者1名、債務者1名、第三債務者1名で2560円。
(執行費用としては、2360円のみ請求できる)
当事者目録 管轄等 債務者の住所地を管轄する地方裁判所の専属管轄(法144@)
債務者が2名で管轄が異なる⇒それぞれの管轄裁判所へ別々に申し立てる必要。
住所地は債務名義に表示されている住所が基準となり、送達場所は住所地とはならない。
法人⇒代表者事項証明書または履歴事項証明書(原本)が必要。
商号・本店・代表者が特定できればいい。
当事者目録作成時には、債務名義及び住民票どおりに記載する。
債務名義上の住所(所在地)と現在の住所(所在地)が異なる(変更されている)ときは、現住所とは別に「債務名義上の住所」を併記する必要。
また、旧住所等と新住所等のつながりを示す証明書(住民票、履歴事項証明書等)の原本が必要。
申立書提出時に同封する当事者目録等の写しは、命令書作成に使用⇒印鑑を押さない。
債権者 債務名義成立後に法人の代表者が変更⇒新代表者のみ記載すればよく、つながり証明は不要。
商号変更や吸収合併された場合、そのつながりある履歴事項証明書等が必要。
管理組合が債権者の場合、定款又は管理規約及び代表者を証する書面(議事録)が必要。
代理人の表示には、事務所の所在地だけでなく、。電話番号等も記載。
債権者が複数の場合、債権者ごとに請求債権目録を作成する必要。(債務者も同様)
債務者 自然人は住所と氏名で特定⇒債務名義上の住所が変更されていない限り、住民票の提出は不要。
送達場所について、債務名義上記載があっても、原則としてまず住所に宛てて送達するので、再送達の際に上申すればいい。(上申の際、住民票は不要。)
第三債務者 銀行の場合、本店、本店所在地、代表者だけでなく、送達先として支店を明記する必要。
(本店と取引がある場合は、送達場所として本店営業部の記載が別途必要。)
給料差押えの場合、給料の支払者の関係で、送達先の記載は慎重にする必要。
大阪市交通局の場合、代表者は市長ではなく交通局長となり、交通局所在地も市役所所在地とは異なる。
請求債権目録 債務名義 原則として執行文が付与される必要。(法25条)
強制執行ができるのは債務名義及び執行文に記載された債権者のみであり、強制執行を受けるのは債務名義及び執行文に記載された債務者だけ。

債権者又は債務者に承継があった場合には、承継執行文の付与と、執行文及び承継を証する文書の謄本の送達証明書が必要。(法27A、29後段)
表示 債務名義の表示は「第1回口頭弁論調書(判決)正本」のように正確に記載する。
執行力ある債務名義を、債務名義作成機関名、事件番号(公正証書番号)、債務名義の種類(法22条各号参照)によって特定する。
少額訴訟の確定判決、仮執行宣言付きの少額訴訟判決、仮執行宣言付きの支払督促、家事審判書等の執行文付与を要しない債務名義(法25条、家審15条等)については、「執行力ある」との記載はしない。
執行費用を請求しない場合には、「及び執行費用」の記載は不要。
元金・損害金 元本(元金と債務名義上の確定遅延損害金(利息)を合算してもよい)・損害金は主文に記載されているものが差押えの根拠になる。
債務名義上損害金の記載がなければ、執行申立時に損害金につき執行を申し立てることもできない。
計算については別表参照
元金の表示 ●請求元金の特定 ●請求元金の特定
請求債権の内容は債務名義に表示されている⇒原則として、債権の種類、発生原因等を記載する必要はなく、金額のみの記載で足りる。
判決主文で「金120万円及び内金100万円に対する平成○○年○月○日から支払済みまで年5分の割合による金員」のように、給付条項中の確定金額が元金(100万円)、確定利息及び損害金(20万円)を含んだ合計額で表示されていて、債権の性質の記載がない場合でも、合計額である120万円を請求「元金」として記載すればいい。
(確定利息及び損害金を別項に分けて記載する必要はない。)
担保権実行事件⇒債権の種類及び請求原因を記載して特定する。
●給付条項が複数ある場合
債務名義に給付条項が複数ある場合には、どの給付条項に基づいて執行するのかを明らかにする。
金額の下にただし書として、「ただし、和解条項○項記載の金員」と記載。
●債務名義が執行証書(公正証書)の場合
債務名義が執行証書(公正証書)の場合、その作成に債務者が直接立ち会っていない場合もあり、債務名義の表示のみでは債務者が執行債権を確知するのに不十分なことがある。
⇒債権の種類及び発生原因を記載する扱い。
ex.
「元金○○円
ただし、平成○○年○月○日付け金銭消費貸借契約に基づく貸付金」
●一部請求の場合
債務名義表示の請求債権又は被担保債権の一部を請求債権とする場合は、一部請求である旨及びその範囲を記載する。(規則133条1項、21条4号、170条1項4号)
また、残金か内金かの区別も明確にする。
ex.
「元金 金250,000円
ただし、金100万円の残金50万円の内金」
抵当権の物上代位による賃料債権差押えが競合し、競合して行使された抵当権が同順位jの場合において、一部請求に係る差押命令があるとき、
@案分計算の基礎を被担保債権全額とする考え方(被担保債権説)と
A一部請求である請求債権とする考え方(請求債権説)がある。
東京地裁民事執行センターでは@被担保債権説によっているが、請求債権説による実務もある。
附帯請求の表示 利息と損害金に分け、対象元本、期間、利率及び金額を記載する。
残金又は内金請求の場合には、その旨記載する。
期間の終期は申立ての日までに限定して請求金額を確定させるのが実務の一般的な取扱い。
他方、ゴルフ会員権、電話加入権等の差押えのように、額面額がなく裁判所の換価手続が予定されているものは、終期を「支払済みまで」とすることになる。
年利の場合、起算日から計算して、年に満つる期間を年利計算し、年に満たない期間は日割計算する。
「年365日の日割りによる。」旨の特約がある場合(債務名義上に記載されていることを要する。)には、年利を365で除した利率に全日数を乗じて計算。
計算の過程で円に満たない端数が出た場合は切り捨てて計算する(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律によれば、円未満の端数計算は、原則として四捨五入となっているが、計算の便宜、債務者に有利にとの考慮から、実務上、切捨て計算とする取扱いが多い。)。
例1:元金10万円、利率年1割8分、平成15年8月2日から併セ17年7月15日(申立日)の損害金を請求する場合(基本形)
@100,000×18/100×1=18,000(H15.8.2〜H16.8.1)
A100,000×18/100×152/366=7,475.4(H16.8.2〜H16.12.31)(閏年)
B100,000×18/100×196/365=9,665.7(H17.1.1〜H17.7.15)(平年)
C@+A+B=35,141.1⇒35,141
年に満たない期間に閏年が含まれている場合には、閏年の部分は年366日として計算。
例2:年365日の日割り計算による旨の特約がある場合
100,000×18/100×714/365=35,210.9⇒35,210
執行費用 @本申立手数料
A本申立書作成及び提出費用
B本命令正本送達費用等
C資格証明書交付手数料
D送達証明書申請手数料
E執行文付与申立手数料
期限の利益喪失 弁済期の到来は執行開始要件(法30条)
⇒債務名義上、請求債権に弁済期の定めがある場合又は期限の利益喪失が条件にかかる場合は、弁済期の到来又は期限の利益の喪失を主張する。
ex.弁済期が到来した場合
「元金 金100万円
ただし、平成○○年○月○日付け金銭消費貸借契約に基づき貸付金(弁済期 平成○○年○月○日)」
ex.分割払いの約定があるが、最終弁済期が到来した場合
「ただし、和解条項○項記載の金員(最終弁済期 平成○○年○月○日)」
ex.
「なお、債務者は平成○○年○月○日及び同年○月○日に支払うべき分割金の支払を怠り、かつ、その額が金○○万円に達したので、同日の経過により期限の利益を喪失した。」

債務名義上の期限の利益喪失文言に合わせた表現で記載。
充当記載等 債務名義に奥書が付された場合、債務名義上の請求債権が減少しているため、取立(配当)額を前事件の請求債権のどの項目に充当したかを記載する。

ex.△地方裁判所平成○○年(ル)第○○○号事件(又は(リ)第○○○号事件)において取り立てた(配当を受けた)金○○円は、同事件の執行費用、遅延損害金、及び元金の内金△△円にそれぞれ充当した。
((リ)事件が多いときは(ル)の事件番号で特定しても良い。)
差押債権目録 差押債権の特定・超過差押の禁止 特定の必要性 規則 第133条(差押命令の申立書の記載事項)
債権執行についての差押命令の申立書には、第二十一条各号に掲げる事項のほか、第三債務者の氏名又は名称及び住所を記載しなければならない。
2 前項の申立書に強制執行の目的とする財産を表示するときは、差し押さえるべき債権の種類及び額その他の債権を特定するに足りる事項並びに債権の一部を差し押さえる場合にあつては、その範囲を明らかにしなければならない。
@差押債権について、債務者に対し処分を禁止するとともに、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する効果を有する
⇒差押債権が、債務者及び第三債務者にとって他の債権と識別できる程度に特定されていなければならない(執行目的の特定)
A執行裁判所は、債権差押命令に先立ち、差押債権が差押禁止債権に当たるか否か、超過差押えになるか否か等を判断する必要
⇒差押債権の特定が必要(執行の適格性)
差押債権の特定がされない場合には、不適法として却下されることとなり、差押債権が不特定な差押命令は無効。
特定の程度 (1)債務者と第三債務者の契約関係と無関係である債権者にとっては、その内容を正確に把握することは困難
⇒債権者に差押債権の過度な特定を要求することは、債権執行の実効性確保の観点から適当ではない。
(2)差押債権の特定が不十分である場合には、債務者及び第三債務者が、差し押さえられた債権を認識することができず、特に、第三債務者が債務の弁済を躊躇し、債務不履行責任を負担する危険、あるいは、二重払いの危険を負担する可能性がある。
(1)(2)の要請を考慮しつつ、具体的な事案に応じて個別に判断。
@差押債権の種類(規則133条2項)
A発生原因
B発生年月日
C弁済期
D給付内容
E債権の金額等
の全部又は一部を表示することにより行う。
E債権の金額は、券面額がある債権の差押えでは、債権額が債権特定の要素としては重要な場合が多いので、可能な限り特定するのが望ましい。、
第三債務者が識別できる(自分の債務を認識できる)程度の特定は必要。
「第三債務者の債務者に対する貸金請求権」だけでは発生原因が不明⇒債権としては特定しているとはいえない。
差押債権の合計は請求債権の範囲内であることが必要。(法155@但書)
差押禁止債権 給料等は、債務者の生活権の保護等のため、原則として4分の3の部分の差押を禁止。(法152条)
公的年金は全額差押禁止。
債権が扶養義務等に係る債権(養育費、婚姻費用等)の場合、その2分の1が差押禁止となる。(法152B)
給料や公的年金の振込口座が差し押さえられた場合は、外形上は預金として存在するため、差押えは有効。
際し長禁止債権の範囲変更の申立て(法153条)は可能。
目録の定型化 目録は、一般に使用されているものに手を加えないで、書式通りに作成する。
預金(郵便貯金)の差押えの場合も同様。
給料や敷金など大阪地裁独自の書式もある。
仮差押からの本移行 債権差押え(本差押え)に先行して仮差押命令を取得している場合には、その旨を差押債権目録の末尾に記載する。
(この記載がないと、仮差押えと本差押えが競合したものとして扱われ、配当手続に移行することがある。)
この記載をする必要がある場合、仮差押命令の写しをあわせて提出する。
記載例:
<仮差押額と本差押額が同額>
本件は、大阪地方裁判所平成○○年(ヨ)第○○号事件についての本差押えへの移行である。

<仮差押額より本差押額が多額の場合>
本件は金○円につき、大阪地方裁判所平成○○年(ヨ)第○○号事件についての本差押えへの移行である。

<仮差押額より本差押額が少額の場合>
本件は上記金額につき、大阪地方裁判所平成○○年(ヨ)第○○号事件についての本差押えへの移行である。
個別 保険解約返戻金請求権 簡易生命保険法の改正で、平成3年4月1日以降の契約に基づく解約返戻金については差押可能であるが、それ以前のものについては、同法附則第2条5項による改正前の簡易生命保険法50条によって、差押禁止の取扱いになる。
最高裁H11.9.9
生命保険契約の解約返戻金請求権を差し押さえた債権者は、これを取り立てるため、債務者の有する解約権を行使することができる。」とする。
一般の生命保険の事例であるが、簡易保険の場合も同様に考えて差し支えない。
請負代金 「債務者が第三債務者に対して有する平成○○年○○月○○日に支払をうくべき(1)A市の上下水道工事(2)B市の上下水道工事の下請負代金の合計150万円のうち60万円」とした場合、上記(1)(2)の工事は1個の請負契約に基づくものと認められず、それぞれ別個の契約で報酬を一括して支払を受ける約束をしたものではないから、債権の範囲が特定されていないため差押えは無効である(最高裁昭和46.11.30)。
金○○円
ただし、債務者が第三債務者に対アして有する第三債務者会社との間の下記物件についての電気工事請負契約に基づき平成○○年○○月○○日から同年○○月○○日までの間に施工した前記工事の請負代金にして頭書金額に満つるまで。
金○○円
ただし、債務者と第三債務者との間の株式会社○○ビルの清掃及び廃棄物処理業務請負契約に基づき毎月末日締切り翌月20日支払いの約定で債務者が第三債務者から平成○○年○○月○○日から同年○○月○○日までの間支払いをう受けるべき請負代金債権のうち頭書金額に満つるまで。
金○○円
ただし、債務者と第三債務者との間のトラック運送請負契約に基づき、債務者が平成○年○月○日から同年○月○日までの間にトラック運送をしたことにより、債務者が第三債務者に対して有する運送代金債権のうち、支払期の早いものから頭書金額に満つるまで。

注@契約日、契約目的(仕事の内容、例えば、運送区間、運送品目、運送時期)、運送代金等をできるだけ具体的に記載して、運送契約を特定する。ただし、代金額や運送品目が判明しない場合には、債権者が把握できる範囲の時効で特定することで足りる場合もある。
注A債権発生年月日の始期及び終期を明示する。終期が将来にわたる場合には、原則として申立日から6か月間に限る。
売掛代金債権 債務者と第三債務者間の取引関係からして、他と紛らわしい債権が数種類又は同種のものであったえも数口存する場合には、目的物の表示、契約成立日まで表示しないと特定されないことがある。
継続的取引の場合は、差押当時その取引総額が不明確であっても、取引日時を限定する等して、それ以降分で納期の早い順で頭書金額にみつるまでとすれば特定される。
ex.
金○○円
債務者が第三債務者に対して有する平成○○年○○月○○日から同○○年○○月○○日までに売りわたした○○の売掛代金債権にして支払期の早いものから頭書金額に満つるまで。
差押の効力 客観的範囲 差押命令においてとくに限定しない限り、差押発効時における目的債権の全額に及び、かつ、従たる権利にも及ぶ。(担保権や、差押発効後に生じまたは支払時期が到来する利息・損害金の債権など。)
●継続的給付債権の特則
民執法 第151条(継続的給付の差押え)
給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ。
給料その他の継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権および執行費用の額を限度として、差押え後に受けるべき給付に及ぶ。

同一の基本関係から時を隔てて継続的に現実化する多数債権につき、包括差押えを認めて個別的差押えの煩を避けるとともに、各債権が現実化した際に逸早く債務者がそれを処分したり他の債権者が差押え・転付を受けてしまう危険から差押債権者を保護する趣旨。
@単一の債務原因ないし法律関係に基づくことを要せず、支払期・支払額の一定を要せず、給付の継続する基本関係が社会通念上(継続的な観点に従い)同一であれば足りる
(特定不動産の賃料・地代などのほか、会社の役員報酬、弁護士顧問料、継続的実績をもつ保険医の支払基金に対する診療報酬請求権などを含む)
A差押えの効力は、既発生の給付債権でも未払のものには及ぶし(履行期到来の有無をとわない)、同一の基本関係が存続する限り、その具体的内容に変更(昇給・昇任・配置転換・休職・復職、リン量等の改訂など)があっても、変更後の給付債権に及ぶ。
B継続的給付債権の差押え後、さらいに差押えまたは仮差押えの執行がされた場合には、各執行債権・被保全債権・執行費用の合算額の限度まで差押えの効力は拡張する(法149条)。

民執法 第149条(差押えが一部競合した場合の効力)
債権の一部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その残余の部分を超えて差押命令が発せられたときは、各差押え又は仮差押えの執行の効力は、その債権の全部に及ぶ。債権の全部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その債権の一部について差押命令が発せられたときのその差押えの効力も、同様とする。
C右は差押えの特則に止まり、換価や配当については、複数の債権を差し押さえた場合と同じく、各個の支分債権ごとにあるいは適宜に併合して手続を実施する。(配当等を受けるべき債権者の範囲や債権額などについても各支分債権ごとに定まる)。
取立訴訟において支分債権の元本のみを請求し、差押えの効力の及ぶ遅延損害金は請求しないことも当然に許される(処分権主義)。
将来債権の差押え 将来債権の意義等 将来債権:差押えの時点では存在していないが、将来発生することが予想される債権。
債権自体は既に発生していて、ただ弁済期が未到来にすぎないものは現在債権であり、これに当たらない。
債権差押命令を発するに当たっても、債務者が現に有すると主張される債権を対象とすべき。

本来差押えは、その時点における債務者の責任財産に対してなされるのが原則。
but
差押えの時点では存在していない債権であっても、「すでにその発生の基礎となる法律関係が存在して、近い将来における発生が確実に見込めるために財産価値を有するもの」であれば、「その債権を特定だけいる限り、執行対象となる」とするのが通説。
将来債権については、その性質上、金額の確定は困難なので、差押債権の特定に当たり金額を確定するまでの必要はないが、他の要素により、第三債務者が他の債権と区別できる程度には具体的に特定する必要があることに変わりはない。
継続的給付債権 同一の法律関係に基づいて継続的に発生する将来債権。
賃料債権、給料債権(賞与等を含む)、取締役等の役員報酬債権、議員報酬債権、保険医の診療報酬債権等。

賃貸借契約、雇用契約、委任契約、議員たる地位等の同一の法律関係に基づき、ある程度定期的に発生する債権。
その他の将来債権 総論 基礎となる法律関係が明確性、安定性等が必ずしも十分ではなく、将来になればなるほど発生が不確実になっていく。

継続的給付債権のような包括的な差押えを認めると、第三債務者は、長期間、極めて不安定な地位に置かれることになりかねない。

既にその発生の基礎となる法律関係が存在し、近い将来における発生が相当程度に見込めるものは、独立の財産的価値を有するとして、一定限度で差押えの対象とされている。
@単発的な将来債権
A継続的な将来債権
●単発的な将来債権
ex.
(強制)競売における配当金交付請求権又は剰余金交付請求権
保険契約に基づく解約返戻金請求権等
差押債権者は取立権の行使として、保険契約を解約し、解約返戻金を取り立てることができる(最高裁H11.9.9)。
●継続的な将来債権
ex.
売買、運送、請負等の反復する取引から生じる債権等
継続的取引に係る契約(基本契約)が存する場合にも、具体的な債権は各個別契約により生じると解される

この点において、継続的給付債権と区別される。
(債権者において、債務者と第三債務者との間に相当程度具体的な継続的取引に係る契約があることを特定でき、当該契約に基づき(個別契約を待たず)直接具体的な債権が発生するのであれば、継続的給付債権として取り扱うこともできるが、そのような事例は実務上多くない。)
このような将来債権については、実務上、その発生の確実性等にかんがみ、発令時から6か月先までに発生するものまで差押えを認めている
尚、保険医の診療報酬債権については、保険医たる地位から当然に発生するものではなく、個々の診療行為による発生するものであり、また、発生額も変動幅が大きいことなどから、従来、実務上は継続的給付債権と区別されてきたが(もっとも、診療報酬債権は、性質上、給料債権等に類した側面を有するとともに、反復取引から生じる将来債権よりは発生が確実であるといえるため、発令時から1年先までに発生するものについては差押えを認めるのが実務の運用となっていた。)、最高裁H17.12.6は、関係諸法令を掲げて法律関係を分析した上、診療報酬債権は基本となる同一の法律関係に基づき継続的に発生する性質のものでああるから、法151条の2第2項の「給料その他継続的給付に係る債権」(同項の「給料その他継続的給付に係る債権」は法151条のそれと同義と解されている。)に該当すると判示してこれが継続的給付債権である旨を判断。)
差押えの範囲 規定 第146条(差押えの範囲)
執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。
2 差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、他の債権を差し押さえてはならない。
複数の債権を差押 請求債権を超える1つの債権の全額を差し押さえることができる(民執法146条1項)
超過差押えとならない限り、1つの債務名義で数個の債権を差し押さえることもできる(法146条2項)が、この場合は、すべての被差押債権を個別に特定する必要がある。
ex.複数の賃借人が居住している共同住宅の賃料を差し押さえる場合、それぞれの賃借人が賃借している号室等を特定して、どの賃借人がどの部分を賃借することで支払うべき賃料を差し押さえるのかを明示する必要がある。
それぞれの賃料債権は独立した数個の債権⇒超過差押えの禁止との関係で、各被差押債権金額の合計が請求債権額以下となるように請求債権を割り付ける必要がある。
ex.1000万円で2人の賃借人の賃料を差し押さえるときに、一方の被差押債権金額を100万円、他方を900万円とする。
but
差押債権金額は債権差押命令後に変更することはできない⇒差押債権金額を900万円とした賃借人が債権差押命令正本発令前に既に退去していたり、送達後に退去したとしても、その被差押債権金額の残額を他方の賃借人のそれに上乗せすることはできない。
陳述催告の申立て 規定 民事執行法 第147条(第三債務者の陳述の催告)
差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
2 第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
  陳述催告の申立て(法147条)は、債権差押命令申立てと同時に行う必要がある。
発令後申し立てることはできない。
(別途申立書を作成しなくても、差押命令申立書の表紙に記載していれば申立てがあったものと扱われる。)
上申書(超過差押え等) 債務名義が複数付与されている場合(債務名義の末尾の執行文の下欄に「2度目1通」等と記載されている)は、請求債権を超えて差押えされるおそれがある。

「請求債権を超えて取り立てしない」旨及び他の債務名義の使用状況について記載した上申書の提出が必要となる。
送達  規定 民事執行法 第20条(民事訴訟法の準用)
特別の定めがある場合を除き、民事執行の手続に関しては、民事訴訟法の規定を準用する。
⇒民訴法の送達の規定。
民執法 第16条(送達の特例)
民事執行の手続について、執行裁判所に対し申立て、申出若しくは届出をし、又は執行裁判所から文書の送達を受けた者は、送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)を執行裁判所に届け出なければならない。この場合においては、送達受取人をも届け出ることができる。
2 民事訴訟法第百四条第二項及び第三項並びに第百七条の規定は、前項前段の場合について準用する。
3 第一項前段の規定による届出をしない者(前項において準用する民事訴訟法第百四条第三項に規定する者を除く。)に対する送達は、事件の記録に表れたその者の住所、居所、営業所又は事務所においてする。
4 前項の規定による送達をすべき場合において、第二十条において準用する民事訴訟法第百六条の規定により送達をすることができないときは、裁判所書記官は、同項の住所、居所、営業所又は事務所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるものに付して発送することができる。この場合においては、民事訴訟法第百七条第二項及び第三項の規定を準用する。
告知方法 差押命令←当事者に告知。
この告知は、差押債権者には相当の方法で、債務者および第三債務者には送達の方法で行う。(民室法145条3項、20条、民訴119条)
債務者と第三債務者には、特別送達郵便で告知(法145B)。
送達 送達を受けるべき者の住所、居所、営業所または事務所においてする。
法定代理人に対する送達は、本人の営業所または事務所においてもすることができる(民執20、民訴103@)。
受送達者が正当な理由なく書類の受領を拒む⇒送達場所に書類を差し置くことができる(民室20条、民訴法106B)。
送達を受けるべき者の住所等および就業場所で交付による送達ができない
⇒「書留郵便等による送達」「付郵便送達」

発送のときに送達があったものとみなされる(民執20条、民訴法107B)。

民事執行では、送達場所の届出がない者に対する送達は、事件の記録に現れたその者の住所、居所、営業所または事務所においてすることができ(民執16条3項)、この場所で交付送達ができないときにも、これらの場所にあてて書類を書留郵便等に付して発送することができる(民執16条4項)。
送達を受けるべき者の送達場所が知れないとき、書留郵便等に付する送達ができないとき等⇒公示送達(民執20条、民訴法110条111条)。
再送達 執行手続において不送達になれば、一から再送達の手順を踏むことになる。
その場合は特別送達用の郵券が必要。
判決等が公示送達によって終了した場合判決言渡日から1か月以内であれば申し出により第一回目から公示送達が可能
(この場合、債務者への送達費用は執行費用から除外される⇒請求債権目録の執行費用中、送達費用から控除(債務者1名につき1100円))
取立て 手続 債務者及び第三債務者に差押命令が送達⇒債権者に対し、裁判所から差押命令正本と送達通知書(規則134条)が送付される。
それが届いたことを前提として、債務者に差押命令が送達されて1週間経過後に第三債務者に支払を求めることができる
取立てについては、裁判所は関与しないので、債権者と第三債務者との直接交渉となる。
第三債務者からの支払について振込を選択した場合、振込手数料は債権者負担となる。(取立債務のため、義務履行地が第三債務者の住所地となる)
発生時期 債権差押が債務者に送達されてから1週間を経過⇒差押債権者は差押えに係る債権の取立てをすることができる。(民執法155@)
(差押えの効力自体は第三債務者に生じた時に生じる(法145C))
要件 @ @差押命令の効力発生(=債権差押命令の第三債務者への送達)
A A差押命令が債務者に送達されて1週間が経過していること:
債権差押命令と同時に転付命令の発令を受けたときは、転付命令の確定前であっても、債権差押命令が債務者に送達されて1週間が経過すれば取立権が発生
⇒差押債権者は取立てをすることができる。
B B差押えに係る債権が取立てになじむものであること:
差押えに係る債権が金銭債権であっても、条件付き、期限付き、反対給付に係る等の理由により取立てになじまないものであるときは、取立てをすることはできない。
⇒条件が成就し、期限が到来しまたは反対給付を債権者がするするのを待つか、民事執行法161条に定める譲渡命令等の申立てをして、その旨の執行裁判所の命令によって換価することになる。
C C債権者が競合していないこと:
債権者平等主義⇒差押えの競合または配当要求によって債権者が競合したときは、第三債務者に差押えに係る債権の供託を義務付け(民執法156A)、差押債権者の取立てを禁止。
第三債務者は、差押の競合を債権差押命令の送達または配当要求の通知により知ることができる。
債権者の強豪を知りながら、または知ることができたとに失念等により、差押債権者の1人に差押債権の取立てに応じたときは、改めて供託をしない限り他の債権者との関係では免責れないことになる。
D D執行停止その他の障害事由がないこと:
ex.執行抗告の提起等に伴い執行が停止、債権者の破産、民事再生、会社更生等による執行障害自由がある場合等。
執行供託 支払による免責 金銭債権を差押えた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から1週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる(法155条1項本文)。
第三債務者は差押債権額を限度に債権者に支払うことにより免責されるが、そのためには、
@有効な差押命令が存在し、効力が存続していること
A債務者に対して差押命令が送達されて1週間が経過していること
A差押えの競合等が生じていないこと
の3要件を具備することを要する。
第三債務者が債権者からの取立てに応じる場合、差押債権額を超える部分については債権者に取立権がないから債権者に支払ってはならず、債務者に弁済しなければならない。
供託による免責 差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生じ(法145条4項)、第三債務者は処分禁止効により、債務者へ弁済することができない(同条1項)。
but
差押債権者が取立権を行使しない場合や取立権をもたない場合(差押の競合等が生じている場合、強制執行が法39条により停止している場合、法155条による取立権発生前の場合等)には、第三債務者は早期に自己の債務を消滅させることができず、履行遅滞に陥るなどの不利益を被ることがある。

民執法は、第三債務者のこのような不利益を回避するため、
@差押えの競合等がない場合(仮差押えの執行のみの場合を含む。)には、第三債務者に供託する権利を認め(権利供託。156条1項)。
A差押えの競合等がある場合には、債権者間の公平な配当を確保するため、第三債務者に対し強制執行手続に対する協力外務を課し、供託すべきことを義務付けている(義務供託。法156条2項)。
これらの第三債務者の供託により換価手続が終了し、第三債務者は供託額の範囲でその債務の免責を得ることができる。
権利供託 規定 民執法 第156条(第三債務者の供託)
第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。次項において同じ。)の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
義務供託 規定 民執法 第156条(第三債務者の供託)
2 第三債務者は、次条第一項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
民執法 第157条(取立訴訟)
差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。
要件 供託する義務を負う場合:
@差押え等が競合する場合(差押えと仮差押えの執行とが競合する場合を含む。)
A差押えと配当要求とが競合する場合。
B強制執行による差押えと滞納処分による差押えとが競合し、強制執行による差押えが先行する場合(滞調36条の6第1)
配当要求 意義 債権執行の対象としたい債権が既に差し押さえられている場合、自らその債権を差し押さえるのではなく、その債権執行事件が係属している執行裁判所に対し、自己に対する配当等を求める旨を申し立てること。
重複差押え 既に差し押さえられている債権について配当等にあずかろうとするときは、債権差押命令の申立て又は配当要求の申立てのいずれをしてもよい。
配当要求の資格 執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者。
配当要求の時期 配当等手続において配当等を受けるべき者を確定する必要がある
⇒時間的限界(配当要求の終期)がある。
金銭債権に関する民事執行の場合、配当要求の終期は、重複差押えによる配当加入の終期と同じ。
@第三債務者が法156条1項又は2項の規定による供託をした時
A取立訴訟の訴状が第三債務者に送達された時
B売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時
のいずれかの場合に到来(法165条)。
配当要求の方式 執行裁判所に対し、
@事件の表示(事件番号)
A配当要求をする旨
B請求債権(利息その他の附帯の債権を含む)の原因及び額(規則145条、26条)
を記載した書面を提出
債権の原因及び額は、債務名義又は先取特権を表示し、その請求金額を債権執行申立てにおける請求債権の表示と同様に計算根拠とともに記載。
その原因となる執行力のある債務名義の正本又は先取特権を証する文書の原本(執行裁判所の審査が終了すれば返還される。)及びその写しを
各1通並びに配当要求申立書副本を基本事件の当事者の数だけ添付する。
申立手数料(500円の収入印紙)・郵便切手
配当要求の効果 ●配当要求の効力発生時期
配当要求書が執行裁判所に提出された時に生じる。
(差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生じる(法145条4項))
●差押えの範囲の拡張の有無
配当要求は、差押債権者が差し押さえた債権に対して配当を求めて参加するもの。
(二重差押の場合と異なる。)

債権の一部について差押えがされている場合には、配当要求の効果も差押えの範囲にとどまる。
●供託義務
差押え後に配当要求⇒第三債務者は、差押えに係る債権を供託する義務を負う(法156条2項)。
事情届 意義 差押命令(差押処分を含む)を受けた第三債務者が、差押えに係る債権について執行供託をしたことを、執行裁判所に届け出ること。
配当手続と弁済金交付手続 概説 第三債務者が執行供託(法156条1項、2項)⇒事情届(法156条3項)提出

執行裁判所は、この供託金(「配当財団」)を各債権者に分配するため、配当又は弁済金交付の手続を実施(法166条1項)。
配当又は弁済金交付の手続は、法157条5項による供託がされた場合、売却命令による売却がされた場合及び法163条2項により売得金が提出された場合にも実施される(法166条1項)。
配当手続:
債権者が2人以上あって、配当財団で各債権者の債権(執行費用を含む。)と手続費用の全部を弁済することができないときの手続(法166条2項、84条1項)。
弁済金交付手続:
債権者が1人であるとき、又は債権者が2人以上であっても配当財団で各債権者の債権の手続費用の全部を弁済することができるときの手続(法166条2項、84条2項)。
配当手続
取下げ等 差押債権の取立により、請求債権が弁済⇒差押債権者は裁判所に取立届を提出する必要。
完済⇒取立完了届
完済されなかった場合場合⇒取下書。
債務名義の還付は特定記録、簡易書留、書留による送付となる⇒還付が必要な場合は郵券が必要。
取下書の提出 取下げをするのに、他の当事者等の同意を必要としない。
記載等 債権差押命令申立書に使用した印鑑を使用して取下書を作成
全部又は一部についてすることができる。
一部取立てをした後又は一部配当を受けた後、残余について取下げをする場合には、一部取下げとなる。
「ただし、既に取り立てた分を除く。」
「既に配当を受けた分を除く。」
「取下げ書が受理されるまdねい事情届が提出された分を除く。」
関係人に対する通知に必要な郵便切手(普通郵便料金×債務者、第三債務者及び滞納処分庁の数)を添付。
その他の財産権で権利の移転に登記等を要するものについて差押登記等がされている場合
〜抹消登記等の手続に要する登録免許税に相当する収入印紙、郵便切手の添付も要する。
差押債権が登記された先取特権、抵当権等によって担保されるもので、差押登記がされている場合には、郵便切手、登録免許税に[相当する収入印紙のほか、抹消登記嘱託の申請書も必要。
取下通知 取下書提出⇒
執行裁判所の裁判所書記官は、債務者及び第三債務者に対して差押命令の申立てが取り下げられた旨を通知。
取下げの効果等 取下げは、差押命令の送達の前後を問わず、執行裁判所に提出されて受理された時に確定的に生じる。
but
取下げ時までにした取立ての効果、第三債務者のした供託の効果は失われることはない。
◆転付命令      ◆転付命令
規定 民執法 第159条(転付命令)
執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
2 転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
3 転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
4 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
6 転付命令が発せられた後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。
民執法 第160条(転付命令の効力)
差押命令及び転付命令が確定した場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。
概要 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて、差し押さえられた金銭債権をその券面額で差押債権者に転付する命令を発することができる(法159@)。
その確定により、転付命令の送達時に遡って、被転付債権はその同一性を保ちながら債務者から差押債権者(転付債権者)に移転し、差押債権者の請求債権及び執行費用は、被転付債権が存在する限り、その券面額(名目額)に相当する範囲で代物弁済されたものとみなされる(法160条)。
⇒他の債権者は、被転付債権を差し押さえたり、配当加入することができなくなる。
被転付債権の弁済が確実なものであれば、債権者は、他の債権者に優先して債権の弁済を受けられることになる。
but
第三債務者が無資力又は不誠実なため、現実に弁済が受けられない場合でも、請求債権は消滅してしまうので、事実上、債権回収ができない危険性を伴う。
被転付債権(差押債権)が存在しなかったときは、請求債権は消滅しないことになる。
再度執行の申立てをするときは、第三債務者作成の差押債権が存在しない旨の証明書が必要l。
要件 @ @差押えが有効であること
A A被差押債権が転付に適するものであること
B B被差押債権が券面額を有するものであること

転付命令が、被転付債権を執行費用及び請求債権の支払に代えて転付債権者に移転させ、請求債権の弁済を擬制することによって債権者と債務者間の債権債務関係を決済しようとする換価方法なので、被転付債権は請求債権と即時に決済できる必要がある。
「券面額」とは、一定の額で表示される金銭債権の名目額であり、債権の実質的な価額又は現存額ではなく、第三債務者の資力の有無、債権回収の難易等を問わない。
C C被差押債権について債権者の競合がないこと
効果 ●概要
被転付債権が執行債権者に移転することにより、執行債権と執行費用は、券面額の範囲で弁済されたものとみなされる。
執行正本に転付命令が発令された旨の記載をなし、これを執行債権者または執行債務者に交付する(規則145条、62条)
転付命令の確定の時点で被転付債権が全部または一部存在しない場合には、その限りで弁済効は発生しない。
転付命令確定後の相殺・取消権・解除権の行使により転付命令の確定時前に遡及して被転付債権が消滅する場合、したがって第三債務者から執行債権者への弁済がありえない場合も、これに含まれる。

被転付債権者は、転付の無効を主張して、執行債務者の他の財産に対する執行を申し立てることができる。この場合に、実務は、執行債権者は第三債務者の被転付債権の不存在証明書等を添付して執行正本の再度付与を申し立て、再付与された執行正本により再度の強制執行を申し立てうるものとしている。
●  ●転付債権者に対する関係 
◎被転付債権の移転
◎  ◎執行債権の消滅
転付命令は、被転付債権が不存在であったり事後に遡及的に消滅したりした場合には効力を生じず、実態上無効であり、執行債権消滅の効力を生じない。
but
このような場合に再執行しようとする債権者は、転付命令確定による形式的効果として前の事件の申立てを取り下げることができない⇒再執行が過剰執行にならないことを証明する必要(その証明は必ずしも容易でない)。
●債務者に対する関係 
転付命令の確定により、被転付債権につき債権者たる地位を失う⇒被転付債権につき訴訟が係属していたときは、転付債権者は当該訴訟手続に権利承継人として参加(民訴47条)。
●第三債務者に対する関係
差押え前に債務者に対して生じていた被転付債権に関する取消し、解除、相殺等のすべての抗弁を転付債権者に対抗できる。
 相殺に関しては、@転付債権者に対する債権を自働債権とし、被転付債権を受働債権とする相殺も当然にできるし、A債務者に対する債権を自働債権とし、被転付債権を受働債権とする相殺もできる。
Aの場合は、被転付債権が相殺適状時に遡って消滅(民法506条2項)⇒転付命令は実質的に無効となる。
@転付債権者と第三債務者との間の債権債務の相殺適状がA第三債務者と債務者との間の債権債務の相殺適状より後に生じたとしても、転付債権者による@の相殺の意思表示が、第三債務者によるAの相殺の意思表示より先にされた場合、Aについての相殺の意思表示は効力を生じない(最高裁昭和54.7.10)。

相殺の遡及効(民法506条2項)といえども、先にされた相殺の効果として消滅した債権を復活させることはできない。
効力発生時期等 ●転付命令の確定 
転付命令に対しては執行抗告できる⇒転付命令は確定しなければその効力を生じない(法159条4項、5項)。
債務者が転付命令の送達を受けた日から1週間以内に執行抗告の申立て(法10条2項、3項)、執行抗告についての裁判があるまで転付命令は確定せず、その効力も生じない。
転付命令が確定した場合は、転付命令が第三債務者に送達された時に遡って効力を生じる(法160条)。
●差押命令及び取立権と転付命令の関係 
転付命令は、差押えにより把握した差押債権の処分権に基づく換価方法⇒転付の効力が生じるためには、有効な差押命令の確定が必要(法159条1項、160条)。
差押命令に基づく取立権(法155条)と転付命令は、相互に排斥しない。
●  ●執行停止文書の提出と執行抗告 
@執行停止文書の提出(法39条1項7号、8号)は、差押命令に基づく取立権能を停止する効力は有するが、転付命令の確定を遮断する効力は有しない。
A転付命令未確定の間に同命令に対する執行抗告の申立てがされた場合、転付命令の確定を遮断することはできるが、差押命令の執行を停止する効力はない⇒転付債権者(差押債権者)が取立権を行使することは妨げられない。

民事執行法は、執行停止文書を提出するとともに、その執行停止文書を提出したことを理由とする執行抗告の申立てをすること認める。

この場合、転付命令を取り消すこととすると、執行停止中に債権者の競合を生じて、差押債権者の転付による独占的満足を受ける機会を奪ってしまう
⇒転付命令の発令後に執行停止文書が提出されただけでは、転付命令の確定遮断効を認めず、執行停止文書を提出したことを理由として執行抗告の申立てをした場合に限り、転付命令の確定遮断効を認め、かつ、停止に係る本案の裁判の結果が出るまで執行抗告に対する裁判を留保(法159条6項)。
差押命令に対する執行抗告⇒差押命令に基づく取立権の行使を阻止することはできないものの、差押命令の確定は遮断される。
⇒転付命令は、ほかに転付命令に対する執行抗告がないため形式上確定しても、実質的には確定していない状態にある。
●競合債権者と転付命令 
転付命令:債権者平等主義の例外として添付債権者に独占的な満足を与える制度⇒転付命令が第三債務者に送達される時までに差押え等の競合が生じた場合、原則である平等主義の要請が働き、転付命令はその効力を生じない(法159条3項)。
but
転付債権者が競合する債権者に優先する権利(質権、抵当権等)を有している場合、転付債権者に独占的満足を与えることができる⇒転付命令は有効(最高裁昭和60.7.19)。
●  ●債権譲渡と転付命令 
@債権の譲受人と、A同一債権につき債権差押・転付命令を申し立てた単プ債権者との間の優劣は、確定日付のある譲渡通知が債務者に到達した日時又は確定日付のある債務者の承諾の日時と、差押・転付命令が第三債務者に送達された日時の戦後により決せられる。
効力障害事由  転付命令は、転付債権者に被転付債権の独占的満足を認める⇒転付命令が第三債務者に送達されるまでに、被転付債権について(仮)差押えが競合した場合、転付命令はその効力を有しない(法159条3項)。
転付命令が第三債務者に送達されるまでに転付命令等に係る債権について滞納処分による差押えがされあっときは、転付命令は効力を生じない(滞調36条の5)。
破産、会社更生等の手続きが開始される等の執行障害事由が発生⇒転付命令を発することはできない。
but
倒産法上の特殊保全処分(破産法28条など)として弁済禁止命令が発せられていても、それは債務者に対して任意の弁済を禁止しているにすぎない⇒その命令によっても強制執行を阻止することはできない⇒転付命令の発令を妨げない(東京高裁昭和59.3.27)。
差押命令について、強制執行停止文書(執行法39条)が執行裁判所に提出された後に転付命令の申立てがあったとしても同様に転付命令を発することはできない。
被転付債権の不存在 ●転付命令の効力と差押債権の不存在又は消滅 
転付命令は、これが確定した場合に第三債務者への送達時に遡って効力を生じ、債権者の請求債権及び執行費用は、被転付債権の券面額(名目額)に相当する範囲で代物弁済されたものとみなされる(法160条)。
転付命令の実体的効果は、被転付債権が存在する限りで認められる⇒@被転付債権が不存在であったりA事後に遡及的に消滅⇒転付命令は効力を生ぜず、実体上無効⇒請求債権は消滅しない。
@(差押債権(被転付債権)が存在しない)の場合:
預金債権につき該当する口座がない、該当口座はあったが残高がゼロ
売買代金債権につき既に債務者に対する弁済済
転付命令正本が第三債務者に送達される前に債権譲渡の対抗要件が具備

A(事後的に遡及的に消滅)の場合:
相殺、取消し、解除等
●   ●転付命令確定時の処理 
差押債権・転付命令が確定⇒執行裁判所は、規則145条、62条3項の取扱いに準じ、債務名義正に奥書(転付奥書)を付記。
(東京地裁民事執行センターでは、転付命令正本が債務者及び第三債務者に送達された日を記載した署名を債務名義正本末尾に綴った上で契印)
債務名義に表示された全額を請求債権として転付命令が発令され確定していたとしても、直ちに債務名義の執行力が失われたとは断定できない⇒転付債権者は、転付奥書の付された債務名義正本の交付を受けることができる(規則145条、62条2項)。
被転付債権の不存在又は事後的消滅により執行債権の満足が得られなかった場合、実体法上、執行債権は消滅しない⇒添付債権者は、同一の債務名義により、債務者の他の財産に対し強制執行(再執行)することができる。
@執行文の再度付与を受ける方法(法28条)
A前の事件で使用した債務名義正本を用いる方法 
●再執行 
◎  ◎執行文の再度付与を受ける方法 
債務名義作成機関と執行機関とを分離し、執行機関は債務名義の実質的内容に立ち入ることなく、形式的審査により、画一的かつ迅速に事件を処理しようという民事執行法の理念の強調。

債務名義正本に転付奥書が付され、債務名義正本の執行力が失われている可能性⇒これをこのまま執行機関で利用することはできず、債務名義作成機関において、債務名義について再度執行力の存在が公証される必要がある。

転付債権者は、債務名義作成機関(裁判所書記官又は公証人)から執行文の再度付与を受けなければならない。
求められる証明の程度としては、執行債権(請求債権)の存否に関する立証よりは緩やかなもので足り、必ずしも確定判決までは要しない。
ex. 
前の債権差押・転付命令の申立ての際にされた第三債務者に対する陳述催告(法147条1項)に対する第三債務者の陳述書の写し
第三債務者作成の実印が押捺された被転付債権不存在証明書(印鑑登録証明書月)

but
これらによっても再度付与が受けられない⇒確定羽kつにより債権の不存在を証明する必要が生じることもあり得る。
◎前の事件で使用した債務名義正本を用いる方法
債務名義正本に転付奥書が付されていても、執行力が失われていない可能性⇒あえて迂遠な方法である執行文の再度付与までは求めず、執行機関にその正本自体を提出するとともに、直接、執行力の残存等を証明して、再執行する方法。
東京地裁民事執行センターではこの方法を許容
差押えの効力が残存し、転付命令確定による形式的効果として前の事件の申立てを取り下げることもできない⇒再執行が過剰執行にならないことを明らかにする趣旨。
ex.
前の債権差押・転付命令の申立ての際にされた第三債務者に対する陳述催告(法147条1項)に対する第三債務者の陳述書の写し
第三債務者作成の実印が押捺された被転付債権不存在証明書(印鑑登録証明書月)
確定判決
   
破産・個人再生に伴う執行取消し 破産手続開始決定⇒執行手続きは失効。(破産法42A)
破産管財人が執行手続の続行を希望しない場合、@執行手続を続行しない旨の上申書、A破産管財人選任証明(原本)、B破産手続き開始決定正本(写し)の提出が必要。
同時廃止⇒執行手続きは中止(破産法249@)
中止を求める場合は、@執行中止の上申書、A委任状、B破産手続開始決定正本(写し不可)の提出が必要。

免責確定⇒執行手続が失効。(破産法249A)
失効を求める場合は、@執行上申書、A免責許可決定正本(原本)、B免責許可決定確定証明書(原本)の提出が必要。
個人再生の場合も、中止(民再39@)を求める場合は、@執行中止の上申書、A委任状、。B再生手続開始決定正本(原本)が必要。

再生手続認可決定確定中止された手続はその効力を失う(民再184条)
失効を求める場合は、@失効上申書、A再生認可決定正本(原本)、B同決定確定証明書の提出がそれぞれ必要。
いずれの場合も、債務者、第三債務者への送付用切手として80円が人数分必要。

請求債権について
利息・損害金の計算 遅延損害金については、元金が完済されるまで請求できる場合でも、申立ての当日までに限定して金額を算出し、請求債権を確定させるのが実務の取扱い。
閏年に関する特約の記載がない場合 ルール @起算点から計算して年に満つる期間は、年利計算する。
A年に満たない期間は、日割計算する。
B@とAを合算して、円未満を切り捨てる。
Aに閏年なしの場合 元本10万円 損害金年18%
起算日:H3.8.2
申立日:H5.8.15
@H3.8.2〜H5.8.1:2年間
AH5.8.2〜H5.8.15:14日
@100,000円×18/100×2=36,000円
A100,000円×18/100×14/365=690.4円
B36,000+690.4円=36,690.4⇒36,690円
Aに閏年ありの場合 元本10万円 損害金年18%
起算日:H3.8.2
申立日:H5.7.15
平成4年が閏年
@H3.8.2〜H4.8.1:1年間
AH4.8.2〜H4.12.31:152日
BH5.1.1〜H5.7.15:196日
@100,000円×18/100=18,000円
A100,000円×18/100×152/366=7,475.4円
B100,000円×18/100×196/365円=9,665.7円
C18,000+7,475.4+9,665.7=35,141.1⇒35.141円
閏年に関する特約の記載がある場合 「年365日の日割りによる」旨の記載 元本10万円 損害金年18%
起算日:H3.8.2
申立日:H5.7.15
起算日から申立日までを、1年を365日とする日割計算をする。
100,000円×18/100×714/365=35,210.9⇒35,210円
「1年に満たない期間につき年365日の日割りによる」 元本10万円 損害金年18%
起算日:H3.8.2
申立日:H5.7.15
@起算日から計算して年に満つる期間は、年利計算する。
A次に、年に満たない期間は、1年を365日とする日割計算をする。
B@とAを合算して、円未満を切り捨てる。
@100,000円×18/100×1=18,000円
A100,000円×18/100×348/365=17,161.6
B18,000+17,161.6=35,161.6⇒35,161円
訴訟費用 狭義 裁判費用 @申立手数料:
訴額等を基準として定められ(民訴費3・別表第1)、原則として収入印紙貼付の方法によって納付される(民訴費8)。
A@以外の原因にもとづいて納付する費用:
証人・鑑定人の旅費、宿泊料、日当、裁判外における証拠調べの場合の裁判官の出張費、郵便による送達の場合の郵便料金など(民訴費11・18以下)。
当事者費用 当事者が訴訟の準備および追行のために自ら支出する費用のうち、訴訟費用として法定されているもの。
当事者や代理人が期日に出頭するための旅費等の費用、訴状その他の書面の書記料など。(民訴費2CE)
弁護士費用は、民訴法155Aなどによって弁護士の付添いが命じられる場合のみ。(民訴費2I)
金額 確定 負担の裁判が執行力を生じた後に、申立てにもとづいて第一審の裁判所書記官によって定められる。(法71@〜B)
規定 民訴法 第71条(訴訟費用額の確定手続)
訴訟費用の負担の額は、その負担の裁判が執行力を生じた後に、申立てにより、第一審裁判所の裁判所書記官が定める。
2 前項の場合において、当事者双方が訴訟費用を負担するときは、最高裁判所規則で定める場合を除き、各当事者の負担すべき費用は、その対当額について相殺があったものとみなす。
3 第一項の申立てに関する処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
4 前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
5 前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
6 裁判所は、第一項の規定による額を定める処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において、訴訟費用の負担の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。
7 第四項の異議の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民訴規則 第24条(訴訟費用額の確定等を求める申立ての方式等・法第七十一条等)
法第七十一条(訴訟費用額の確定手続)第一項、第七十二条(和解の場合の費用額の確定手続)又は第七十三条(訴訟が裁判及び和解によらないで完結した場合等の取扱い)第一項の申立ては、書面でしなければならない。
2 前項の申立てにより訴訟費用又は和解の費用(以下この節において「訴訟費用等」という。)の負担の額を定める処分を求めるときは、当事者は、費用計算書及び費用額の疎明に必要な書面を裁判所書記官に提出するとともに、同項の書面及び費用計算書について第四十七条(書類の送付)第一項の直送をしなければならない。

民訴規則 第25条(相手方への催告等・法第七十一条等)
裁判所書記官は、訴訟費用等の負担の額を定める処分をする前に、相手方に対し、費用計算書及び費用額の疎明に必要な書面並びに申立人の費用計算書の記載内容についての陳述を記載した書面を、一定の期間内に提出すべき旨を催告しなければならない。ただし、相手方のみが訴訟費用等を負担する場合において、記録上申立人の訴訟費用等についての負担の額が明らかなときは、この限りでない。
2 相手方が前項の期間内に費用計算書又は費用額の疎明に必要な書面を提出しないときは、裁判所書記官は、申立人の費用のみについて、訴訟費用等の負担の額を定める処分をすることができる。ただし、相手方が訴訟費用等の負担の額を定める処分を求める申立てをすることを妨げない。

民訴規則 第26条(費用額の確定処分の方式・法第七十一条等)
訴訟費用等の負担の額を定める処分は、これを記載した書面を作成し、その書面に処分をした裁判所書記官が記名押印してしなければならない。
執行費用 説明 金銭債権に対する民事執行で要した執行機関や当事者等が支出した費用のうち、法律で費用として認められているもの。
@執行準備費用とA執行実施費用があるが、いずれもその手続内で要した費用であれば債務名義を要せず同時に取り手照ことができる。
規定 民事執行法 第42条(執行費用の負担)
強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。
2 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行にあつては、執行費用は、その執行手続において、債務名義を要しないで、同時に、取り立てることができる。

財産開示制度
趣旨 勝訴判決等の債務名義を得た債権者が債務者財産に関する情報を主とするための制度(民執法196条〜)。
  ■管轄・当事者
  ●管轄 
民執法 第196条(管轄)
この章の規定による債務者の財産の開示に関する手続(以下「財産開示手続」という。)については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
民執法 第19条(専属管轄)
この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
債務者の普通裁判籍(民訴法4条)所在地を管轄する地方裁判所(法196条)
専属管轄(法19条)
  ●執行債権者
金銭債権者に限られる。
金銭債権についての執行正本=執行力のある債務名義の正本を有し、その執行正本において債権者と表示された者。
but
有する債務名義が仮執行制限付判決(法22条2号)、執行証書(同5号)、支払督促(同4号、7号)である債権者は除かれる。
債務者の財産について一般先取特権を有する債権者にも認められる(同条2項)。
■      ■要件 
規定 民執法 第197条(実施決定)
執行裁判所は、次のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本(債務名義が第二十二条第二号、第三号の二、第四号若しくは第五号に掲げるもの又は確定判決と同一の効力を有する支払督促であるものを除く。)を有する金銭債権の債権者の申立てにより、債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
一 強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。
二 知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。
◎執行不奏功
強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より6か月以上前に終了したものを除く)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかったこと、
又は
「配当等の手続」を「配当又は弁済金の交付」(法84条3項)の手続と狭く限定する必要はなく、先行した執行の不奏功として、不動産執行が無剰余等の理由で手続取消しとなった場合、あるいは動産執行が執行不能で終了した場合や、他の債権者の申し立てた強制執行手続に配当要求をしたが完全な弁済を受けられなかった場合なども含まれる。
but
債務者が承継した債務につき被承継人に対して先行した今日絵師執行が不奏功に終わっているというような責任財産を異にする場合は含まれない。
不奏功に終わった執行の目的財産以外に債務者が他の財産を有するかどうかをとわないが、容易に奏功しうる他財産の存在を無視して故らに執行不奏功を招けば、開示手続申立権の濫用となりうる。
◎  ◎弁済が得られないであろうことの疎明
知れている財産に対し強制執行(担保権の実行)を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済が得られなかったことの疎明があったこと
債権者に知れている範囲の債務者の財産を差し押さえても不奏功に終わることが確かだという場合、それにもかかわらず強制執行の実施を強いるのは無意味。
⇒不奏功の見込みをもって補充性に代える趣旨。 
債権者は、通常行われる程度の調査を行ったうえ、知れた範囲の債務者の財産についての評価結果が自己の金銭債権の完全な弁済に至り得ないことを疎明する必要。
財産開示手続の申立ての日に先立つ3年以内に財産開示期日において債務者がその財産について陳述したものであるときは、財産開示手続を実施することができないのが原則(法197B)。 
例外:
@先施の財産開示期日において債務者が一部の財産を開示しなかったとき
A先施の財産開示期日後に債務者が新たに財産を取得したとき
B先施の財産開示期日後に債務者と使用者との雇用関係が終了したとき

再施によって債務者の財産についての新たな情報が期待できる
    ■手続
債権者から申立て

申立てが要件を満たしている場合には財産開示手続の実施決定をし、債務者に送達する(法197C)

決定確定

財産開示期日を指定し、申立人及び債務者を呼び出す(法198条)。 
開示義務者(債務者)は、財産開示期日の指定の際に定められる期限までに、財産開示期日における陳述の対象となる債務者の財産を記載した財産目録を、執行裁判所に提出する必要(法199A、規則183条)。
財産開示は非公開で行われる(民執法199E)
出頭した開示義務者は、金銭債権の強制執行又は担保権実行の申立てをするのに必要となる事項や、債務者の財産が動産である場合にはその所在場所ごとに主要な品目、その数量および価格等の事項を明示する必要(民執法199A、規則184条)。
裁判所及び申立人は、財産開示期日において、開示義務者に対して質問を発することができる。
但し、申立人が質問を発することができるのは、債務者の財産を明らかにするために必要があるものとして、裁判所の許可を得た事項に限られる(民執法199BC)。