シンプラル法律事務所
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論点整理(年金関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

離婚と年金
◆    ◆離婚後の年金 
■ア 離婚に伴う変更
  ■イ 保険料の免除・納付猶予制度
◆    ◆離婚給付と年金の関係 
離婚した場合、年金分割の手続きを取ることができる。
分割対象年金:
「被用者年金部分」(厚生年金及び共済年金。おわゆる「2階部分」)に限られ、
国民年金(基礎年金。「1階部分」)、企業年金等(厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等。「3階部分」)には及ばない。
年金分割の請求:
@離婚後2年以内、又は
A審判等により2年を経過した場合には、審判等が確定した日から1か月以内
に手続きをする必要。
■ア 婚姻期間中の年金分割制度(離婚分割) 
●分割方法 
夫婦の婚姻期間中(婚姻から離婚まで)のそれぞれの厚生・共済年金の保険料納付記録(=厚生年金の場合、その保険料の算定の基礎となった「標準報酬<標準報酬月額と標準賞与額>」を指す)の合計額を当事者間で分割。

年金自体を分割するわけではなく、分割を受けた側は、分割された分の保険料を納付したとして扱われ、それに基づき算定された老齢厚生年金を将来受給することになる。
按分割合(=婚姻期間中の保険料納付記録の夫婦合計額のうち、分割を受ける側の分割後の持分割合)は@上限を50%、A下限は分割を受ける側の持分相当割合とし、その範囲内で按分額を決定。
ex.
婚姻期間中の標準報酬総額が9000万円の夫と、3000万円の妻の間で年金分割(離婚分割)を行う場合の分割割合下限は、
3000万/(9000万+3000万)=0.25(25%)と算出され、この夫婦においては25%〜50%の範囲内で分割割合を決める。
●按分割合の決定
●年金分割改定請求手続 
●分割の効果 
■イ 第3号被保険者期間の年金分割制度(3号分割)
平成20年4月以降の第3号被保険者(サラリーマンの配偶者など)を有する第2号被保険者が負担した厚生・共済年金保険料は夫婦が共同して負担してという理解に基づいて創設。
●分割方法 
夫婦の平成20年4月以降の第3号被保険者期間につき、施行日(平成20年4月1日)以降に離婚が成立した場合、当事者の一方からの請求により、第2号被保険者の厚生・共済年金の保険料納付記録を自動的に2分の1に分割する。
●年金分割改定請求手続 
■ウ 離婚分割(ア)と3号分割(イ)との関係 
平成20年4月以降に離婚した場合で、平成20年3月以前の対象期間を含めて離婚分割の分割改定請求⇒同時に3号分割請求をしたものとみなされる。

@平成20年4月以降の特定期間について3号分割を行い保険料納付記録の改定をし、
Aこの改定後の保険料納付記録に基づいて平成20年3月以前の期間につき離婚分割
平成20年4月以降に離婚した場合で、3号分割の分割改定請求
⇒平成20年4賀うt以降の特定期間についてのみ3号分割。
   

年金関係
社会保険 国民が生活する上での老齢・障害・生計維持者の死亡、疾病・負傷・出産、労働災害、失業、要介護などのリスクに備えて、事前に強制加入の保険に入ることによって、リスク(保険事故)が起こった時に現物給付又は現物給付により生活を保障する仕組み。
私保険との違いは、強制加入であることや、保険原理(給付・反対給付均等の原則、収支相当の原則)が修正されていること。
@年金保険・・老齢・障害・生計維持者の死亡
A医療保険・・疾病・負傷・出産
B労災保険・・労働災害
C雇用保険・・失業
D介護保険・・要介護状態
公的年金制度 日本の年金制度は3階建て
1階部分:国民年金(基礎年金)
2階部分:共済年金、厚生年金保険、国民年金基金
3階部分:職域相当部分、厚生年金基金(プラスアルファ部分)
主体別 (1)自営業者など
1階部分:国民年金(基礎年金)
2階部分:国民年金基金
(2)第2号被保険者の被扶養配偶者
1階部分:国民年金(基礎年金)
(3)民間サラリーマン・OLなど
1階部分:国民年金(基礎年金)
2階部分:厚生年金保険
3階部分:厚生年金基金(プラスアルファ部分)
(4)公務員など
1階部分:国民年金(基礎年金)
2階部分:共済年金
3階部分:職域相当部分
国民年金の被保険者 @「第一号被保険者」
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(被用者年金各法に基づく老齢給付等を受けることができる者を除く) 
A「第二号被保険者」
被用者年金各法の被保険者、組合員又は加入者
B「第三号被保険者」
第二号被保険者の配偶者であって主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの(第二号被保険者である者を除く)のうち20歳以上60歳未満の者
国民年金の保険料  保険料 月額1万5040円(平成25年度)
・平成29年まで毎年4月に280円づつ引き上げられ、平成29年度以降は月額1万6900円になる予定。
・1年分まとめて前納すれば割引有り。
・申請によって、保険料の免除、納付猶予の制度がある。
・学生については、「学生納付特例制度」がある。
・DV被害者については、「特例免除制度」がある。
年金との関係 (1)納付 
受給資格期間への参入:〇
年金額への反映:〇
(2)全額免除
受給資格期間への参入:〇
年金額への反映:国庫負担分のみ反映
(3)一部納付
受給資格期間への参入:〇
年金額への反映:一部納付分+国庫負担分のみ反映
(4)学生納付特例
受給資格期間への参入:〇
年金額への反映:×
(5)未納
受給資格期間への参入:×
年金額への反映:×
厚生年金の保険料  保険料=標準報酬月額×保険料率
保険料は労使折半
保険料率は徐々に上昇していく
年金の給付 老齢給付 @老齢基礎年金
A老齢厚生年金
障害給付 @障害基礎年金
A障害厚生年金
遺族給付 @遺族基礎年金
A遺族厚生年金
老齢給付  老齢基礎年金 65歳に達したことを保険事故とする給付 
受給要件:
受給資格期間が25年以上で、65歳に達していること
受給資格期間=保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間
合算対象期間:制度の変遷等のため、かつて被保険者でなかった等の期間について、年金額の計算に算入しないが、受給資格期間には算入するもの。
給付額:
20歳から60歳までの40年間の全期間について保険料を納付した場合(フルペンション)、満額(年額78万6500円)の老齢基礎年金が支給される。
786,500円×(保険料納付済月数+全額免除月数×4/8+4分の1納付月数×5/8+半額納付月数×6/8+4分の3納付月数×7/8)/(40年(加入可能年数)×12月)
老齢厚生年金 受給要件:
厚生年金保険者期間がある人が老齢基礎年金の受給権を得たとき
但し、当分の間は、60歳以上で、
@老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たしていること
A厚生年金の被保険者期間が1年以上あることにより受給資格を満たしている人には、65歳になるまで、特別支給の老齢厚生年金が支給される
給付額:
定額部分+報酬比例部分
障害給付   受給要件  @納付期間:
保険料納付期間(保険料免除期間を含む)が被保険者期間の3分の2以上あること 
A障害要件
障害認定日(初診日から1年6月経過又は症状固定日)において、国民年金法施行令別表の障害等級に該当すること
給付額 障害基礎年金:
1級:786,500円×1.25+子の加算
2級:786,500円+子の加算
子の加算:第1子、第2子 各226,300円 第3子以降 各75,400円   
障害厚生年金:
1級:報酬比例の年金額×1.25+廃部ウ社の加給年金額(226,300円)
2級:報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(226,300円)
3級:報酬比例の年金額
裁定補償額:589,900円
障害等級 1級、2級 国民年金法施行令別表
3級 厚生年金保険法施行令別表

詳細は、日本年金機構のHP参照
「国民年金・障害年金保険 障害認定基準」 
20歳前初診の障害基礎年金 受給要件:
20歳未満のときに初めて医師の診療を受けた者が、障害の状態にあって20歳に達したとき
(所得制限あり) 
@全額支給の場合(2人世帯の場合所得が398.4万円まで):
1級=983,100円(月額81,925円)
2級=786,500円(月額65,541円)

A所得が398.4万円〜500.1万円(2人世帯)

半額支給

B所得が500.1万円〜
全額支給停止
遺族給付  遺族基礎年金  受給要件:
@被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。(ただし、死亡した者について、保険料の納付期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上あること。)
A死亡した者によって生計を維持されていた
(1)子のある妻
(2)子
子とは、
18歳到達年度の年度末を経過していない子、
20歳未満で障害年金の等級1級または2級の子
給付額:
786,500円+子の加算
遺族厚生年金 受給要件:
@
ア:被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。)
イ:老齢厚生年金の資格期間を満たした者が死亡したとき
ウ:1級・2級の障害厚生年金を受けられる者が死亡したとき
A
死亡した者によって生計を維持されていた
(1)妻
(2)子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
(3)55歳以上の夫、父母、祖父母(60歳から支給)
給付額:
報酬比例
 企業年金 主に正規雇用者に対して適用され、いわゆる3階建ての年金構造での第2号被保険者に対して、公的年金2階建てに加えて、企業が掛け金を負担し(拠出し)行う。(勤労者は掛金を出さない。)