シンプラル法律事務所
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東日本大震災関係研修まとめ

東日本大震災の被災者の生活再建支援と災害法制
(ベースは山崎栄一氏(大分大学教育福祉科学部 准教授)の講演)
状況 特徴 @津波災害
A原発事故
B行政機構の機能不全(行政壊滅の地域がある)
C超広域災害
D全j国規模での支援活動
E県外避難者の存在(3万人以上)
県外避難者 被災地との距離がある

@もといた市町村(県)に申請しなければならない場合どうするか。
A最終的な生活再建をどうするか。
生活手段を持っていない

避難中の生活保障をどうするか。
医・職・習の関わりを再構築しないといけない。

相談に応じる場合、被災者の生活領域に深く関わる必要。
弁護士の役割 (1)相談業務
@被災者支援制度
A医療・福祉制度
B教育・就労制度
Cその他の法制度

内閣府HP(被災者支援に関する各種制度の概要)
(2)支援業務の改善要求(対行政)
憲法規定 @13条:自己決定権・個人の尊重
A25条:社会権
B14条:平等権
災害法制 特徴 災害が生じる都度制度ができる。
法制度 基本法:
@災害対策基本法
A大規模地震対策特別措置法など
応急対応:
@警察法、消防法、自衛隊法、水防法など
A海岸法(津波)河川法
B災害救助法
都市再建:
@地震防災対策特別措置法
A地震財特法
B密集市街地整備法
C耐震改修促進法
D都市計画法・建築基準法
Eインフラ関連法
F公共土木施設国庫負担法、各種整備法
G激甚災害法
経済再建:
@民法を始めとする私法(契約、土地利用)
A各種公庫・保険・補償法
B債務・小切手処理 破産・会社整理、関連法
C資金調達(金融・融資)、雇用維持、関連法
生活再建:
@災害弔慰金等法
A被災者生活支援法
B社会福祉・医療関連法
支援の全体像 自助・共助 @ボランティア
A義援金
B火災保険・共済
C地震保険
公助 現物 災害救助法(応急対応)
避難所・仮設住宅・応急修理
公営住宅
現金 災害援護資金貸付金
税・公共料金の減免等
住宅金融支援機構(災害復興融資)
被災者生活再建支援制度(被災者生活再建支援法)
地方公共団体単独の生活再建支援制度
雇用保険の失業等給付
各種事業制度の活用(土地区画整理事業等)
り災証明書等の発行 重要性 @被災者支援制度の受給には、被災していることを要件としている制度が大半
A生活再建支援は、り災証明の受給から始まる
B被災直後は、融資・保険・学費の減免に必要
C被災者であることを社会的に認知されたという心裡的安心感
Dり災証明は(被災)市町村が発行
Eり災証明書の発行にあたっては「被害認定」が行われる
住宅の被害認定 基準 内閣府「災害の被害認定基準について」(通知)
内閣府「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」(通知)
@損壊基準判定:
住家の損壊、焼失、流失した部分の床面積の延床面積に占める割合
全壊:70%以上
半壊:大規模半壊(50%以上70%未満)、その他(20%以上50%未満)
A損害基準判定
住家の主要な構成要素の経済的被害の住家全体に占める損害割合
全壊:50%以上
半壊:大規模半壊(40%以上50%未満)、その他(205以上40%未満)
調査方法 地震による住家被害に係る調査:
第1次調査(外観目視調査)⇒第2次調査(外観目視調査+内部立入調査)

水害又は風害による住家被害に係る調査:
外観目視調査及び内部立入調査
but今回は簡素化される⇒関係省庁のHPで確認
現状 住民票・り災証明書を発行すること自体困難な市町村がある

総務省(2011年3月22日)「東北地方太平洋沖地震等に伴う住民票の写し等の交付に係る本人確認について」
社会的インフラの破壊や原発事故に伴う避難をしている場合、それを証明するにあたって特別措置がとられている。

総務省(2011年3月22日)「東北地方太平洋地震等に伴う福島県からの避難者の被災証明について」
大震災+原発事故について、「誰が被災者なのか」という定義付けの問題が起きている。
自首避難者は被災者か?
本人確認 総務省自治行政局(平成23念3月22日)

東北地方太平洋沖地震等により、被災した住民が身分証明書等本人確認書類を滅失した場合、住民票の写し等の交付請求時に本人であることを確認できる書類がない

以下の場合には住民票の写し等を交付
@同一世帯の住民基本台帳の記載事項(世帯構成、同一世帯の者の生年月日、世帯の構成員が1人である場合はその旨、戸籍の表示等)その他の本人のみが了知していると考えられる事項について口頭で陳述させ、請求者が本人であることを確認できる場合
A住所地市区町村の職員が請求者と面識があり、請求者が本人であることを確認できる場合
いずれも本人確認を行った担当者の氏名等や口頭陳述内容等について記録
災害救助法 意義 災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に必要な救助を行い、災害にかかつた者(罹災者)の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とする。
@実際には、救助の多くは市町村が実施。
A救助に要する費用が100万円以上になる場合、その額の都道府県の普通税収入見込額に応じ、国が負担することになっている(法36条)。通常、都道府県と国が2分の1ずつ負担。(特例措置の可能性)
B災害救助法が適用⇒被災した市町村長は費用の心配をすることなく災害救助に専念できる。
C災害救助法は、被災者の救助に要する財源に関する法律。
実施体制・適用基準 適用基準:
災害救助法による救助は、災害により市町村の人口に応じた一定数以上の住家の滅失がある場合等(例人口5000人未満住家全壊30世帯以上)に行う。
実施体制:
災害救助法による救助は、都道府県知事が行い(法的受託事務)、市町村長がこれを補助する。
必要な場合には、救助の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととすることができる。
応急救助の実施:
@県直接実施
A被災市町村による実施(委任による実施)
流れ:
@被害状況の把握と情報提供(市町村)⇒A災害救助法の適用を決定(都道府県)⇒B市町村長への救助の委任(都道府県)⇒C応急救助の実施⇒D救助実施状況等の報告⇒E「必要に応じ」特別基準の設定⇒F救助完了についての情報提供⇒G災害救助費国家負担金の申請
支援内容 支援メニュー @避難所、応急仮設住宅の供与
A炊き出しその他による食品及び飲料水の供給
B被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与
C医療及び助産
D災害にかかった者の救出
E災害にかかった住宅の応急修理
F生業に必要な資金、器具又は資料の給付又は貸与
(災害援護貸付金等の各種貸付制度に充実により現在運用されていない)
G学用品の給与
H埋葬
I死体の捜索及び処理
J災害によって住居又はその周辺に運ばれた土石、竹気等で日常に著しい支障を及ぼしているものの除去
一般基準 救助の程度、方法及び期間は、応急救助の必要は範囲内において、厚生労働大臣が定める基準に従い、あらかじめ、都道府県知事がこれを定める(災害救助法施行令9条1項)
災害救助法による救助の程度、方法及び期間ならびに実費弁償の基準(平成12年3月31日厚生省告示第144号)
一般基準の具体例(2010年4月):
@避難所 1人1日当たり 300円以内
A応急仮設住宅 1戸 29.7u 238万7000円以内
B炊き出し等 1人1日当たり 1010円以内
C住宅の応急修理 52万円以内
D学用品の給与 小学校児童 1人当たり4100円以内
問題点 現金支給ができるにもかかわらず、実際には現物支給のみとなっている。
(県外避難者 食料や生活必需品は現金支給すべき)
資力要件が付加された支援メニューがある
ex.
応急仮設住宅:「自らの資力では住宅を得ることができないもの」
応急修理:「応急修理を行う資力がない者」
暫定的にみて、限定的な支援
(厚生労働省社会・援護局が所轄)
特別基準 特別基準の存在:

厚生労働大臣が定めた一般基準によっては救済の適切な実施が困難な場合には、都道府県知事は、厚生労働大臣に協議し、その同意を得た上で、救助の程度、方法及び期間を定めることができる(災害救助法施行令9条2項)。

特別基準については、文書をもって協議することになっているが、緊急やむを得ない場合には、電話やファクスにより申請し、事後速やかに文書をもって処理することとなっている。
(厚生労働省「災害救助事務取扱要領 平成20年6月)
東日本大震災における各種通知 特別基準

(1)平成23年東北地方太平洋沖地震に係る災害救助法の弾力運用について(現在(その4)まで出されている)
(2)県域を超えた避難者の旅館ホテル等への受入れについて
(3)避難所の生活環境の整備について

@被災地以外の都道府県による積極的受入れを促進
A民間旅館・ホテル等について 1人1日5000円(食事込み)
B避難所の開設期間/食事については7日以内⇒2か月まで(さらに延長可)
C応急仮設住宅は寒冷地仕様
D民間賃貸、空き室の借り上げ 1戸月額6万円
Eパーティション 冷暖房 仮設洗濯場 シャワー トイレ
F食事については、高齢者・病弱者に対する配慮
G福祉避難所の設置
特別基準の設定を求める際のポイント

@被災地・被災者のニーズを的確に把握し、一般基準によって充足ができるのかを判断し、できない場合は、特別基準の設定を検討する。
A市町村・都道府県の職員がどこまで被災者のニーズを把握できるのか、そして、ニーズを特別基準として設定することの必要性・合理性をどこまで説明できるかがポイント。
B弁護士が自治体に特別基準の設定を要求する際も、上記の視点に立って要求。
C特別基準の設定が当たり前という認識。
(応急仮設の238万7000円は最低限。福祉避難所となると当然特別基準の設定となる。))
これから求めるべき特別基準とは

@それぞれの地域において特別基準が実現されているかを確認
(受入れ先の自治体が法に基づく支援をしているかも含め)
A避難所・仮設住宅における絵死活環境の改善
(高齢者・障害者・女性への配慮 安全 バリアフリー)
B県外避難者に対する現金支給の実現
(食事 生活必需品 学用品 など 現実的な生活保障)
C仮設住宅/応急修理に資力要件を求めない
D生業資金の給付を検討する
県外避難者 県外避難者の受入れと災害救助法:

@災害救助法35条(費用の求償)
都道府県は、他の都道府県において行われた救助につきなした応援のため支弁した費用について、救助の行われた他の都道府県に対し、求償することができる。
Aこの規定により、広域に避難者が出た場合でも、受け入れ先の自治体は災害救助法に沿った救助(実質無償)が可能。
B2011年3月19日厚生労働省による通知(「災害救助法の弾力運用について」)により、このことが確認された。
手続き:

@A県による要請⇒Ab市による救済⇒b市のB県に請求⇒B県からA権に求償
費用負担の流れ:

@市区町村が避難者お受け入れた場合、救助の費用を管轄都道府県に全額請求
A当道府県が避難者を受け入れた場合は、救助の費用(管下市町村支出分も含め)を被災県に全額請求
B被災県に国(厚生労働省)から災害救助法の国庫負担が
被災者生活再建支援法 内容 基礎支援金100万円 被害の程度に応じて
加算支援金200万円 再建方法に応じて
使い道は限定せず 年齢制限・所得制限なし
全壊・大規模半壊・一定以上の被災遅滞
対象となる自然災害
対象となる被災世帯 改正可能性あり
支援金の支給額 改正可能性あり
支給申請 申請窓口:市町村
申請時の添付書面:
@基礎支援金 り災証明書、住民票 等
A加算支援金 契約書(住宅の建設・購入 賃貸(公営住宅以外)

遠距離避難先においてどのように申請するか?)
申請期間と申請回数 申請期間:
基礎支援金:災害のあった日から13月の間
加算支援金:災害のあった日から37月の間
申請回数:
1回:基礎支援金と加算支援金を同時に申請
2回:基礎支援金を申請したあと、加算支援金を申請
3回:基礎支援金を申請したあと、2回目に「賃借」を申請、そのあと「建設・購入」「補修」を申請
支援法の問題点 財源の問題:
都道府県が設立した基金に対して国が補助をする。
22年度末、約536億円+国が同額の補助=約1072億円
全壊4万6000世帯×300万円=1380億円で、現在の基金では支払不可能
発動要件:
同一災害であるのにかかわらず、適用されない場合がある。
支援対象・内容:
半壊世帯・一部損壊世帯に対する救済
地盤災害は?
住宅再建のみに支援を限定。
追加情報 役場に窓口ができる。住宅被害認定には再調査が行われることが多い。
災害弔慰金等法 実施主体 市町村
対象となる災害
災害弔慰金の支給 支給遺族:配偶者、子、父母、孫、祖父母
支給金額:
@生計維持者が死亡した場合:500万円
Aその他の者が死亡した場合:250万円
問題:
死亡認定は?
遠距離避難先からの申請は?
災害障害見舞金の支給 支援対象:
重度の障害
両眼失明、要常時介護、両上腕ひじ関節以上切断等
労災1級相当、あるいは、重い重複障害
支援金額:
生計維持者:250万円
その他の者:125万円
障害認定をどうするのか?
遠距離避難先からの申請は?
災害弔慰金等法の問題点 発動要件:
1人でも自然災害で死亡/障害なら支給すべきでは
障害見舞金の支援対象が限定
自然災害による障害が社会的に認識されていない
その他の論点 自治体による独自施策 大震災以前から、自治体は独自施策を展開
現段階における独自施策の実例(県外避難者への支援)
徳島県:世帯30万円の生活支援ならびに県民から届けられた生活用品の供与
島根金:自宅が全半壊した世帯等に1世帯30万円の生活資金支援
岡山県高梁市:生活支度金(1人=1万5000円程度)や文具・ランドセルの購入費用を全額補助し、農家や農協の協力で米を1年間無料提供
自治体間でのばらつきの問題
今後のアクションのあり方 被災者の自己決定やニーズに応じた相談業務・支援の展開
今後の特別立法(法改正)や各省庁の通知に注目
(現状はあくまで過渡期)
特別基準の設立ならびに、独自施策を自治体の求めていく
各地の弁護士同士の情報交換が重要
支援法制の改正に向けての運動を展開

阪神淡路大震災での法律相談
(津久井弁護士のレジュメがベース)
「法」という壁
神戸新聞特集
補修か建て替えか訴訟に・・未熟な「マンション法」
同じ家なのに損壊判定が違った・・すべて決めた罹災証明
国に何度も突っぱねられた・・・支援はほとんど特例で
日本の「安全神話」が崩れた・・・原因と責任追及へ提訴
保険金はなぜ出ないのか・・・免責条項への疑問深く
地主も借家人も被災者だった・・・権利保護に時代とずれ
家を失いローンだけが残った・・・抜本的な救済策もなく
復興本部が2月でなくなる・・・薄れる国の姿勢に危機感
具体的な事件 借地借家をめぐる問題 全体の7割が借地借家の問題
@ 滅失の有無:
物理的、、経済的、機能的に目的を達し得ない場合(最高裁昭和42.6.22)
建物被害のモノサシいろいろ ● 「被害認定」 全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊
〜罹災証明。
自治体が行う調査。
各種公的給付の条件に直結。
●「応急危険度判定」 危険(赤)・要注意(黄)・調査済(緑)
〜建築士が被災直後に危険度を調査して、ステッカーを貼る。
●「被災後区分判定」 不急不要・要復旧・復旧不能
〜任意に建築士に依頼して判定を得て、今後の復旧方針を検討する。
●「損害判定」 全損・半損・一部損
〜保険会社が保険金の支払を決めるための基準
●「滅失」 滅失・一部滅失
〜目的物の状態を表す民法上の概念
A 当事者の行方:
認定死亡制度(官公署による推定/戸籍法89条)
失踪宣告(民事上の見なし死亡(1年))
捜索の困難、資料の収集困難、連絡困難、相続問題
B 建物滅失時の借地契約への影響:借地関係は残る。
土地自体が滅失した場合の借地契約への影響
C 借家契約の存続:
滅失により当然終了(最高裁昭和32.12.3)
D 借家契約への影響(補修請求、退去請求、賃料減額、敷金返還)
罹災都市借地借家臨時措置法 もともと、戦争直後の戦災復興のための法律。
but
東日本大震災でも適用の可能性がある。
(新潟中越地震では、調停手数料免除のために罹災法を適用した。)
@ 優先借地権、借地権優先譲受権
〜借家人が借地人に昇格する。
阪神淡路大震災では、制限的に適用。成功例は少ない。
A 優先借家権
〜新しい建物に借家権を有する。
本来は有益。阪神では借家人層を支える制度がなく成立例は少ない。
B 借地の特則(対抗要件、期間延長、消滅請求制度)
(1)借地権は、建物の登記なくして対抗できる(10条)
(2)借地権の期間が10年以内のものは一律10年後まで延長(11条)
(3)地主の2年以内の存続意思の申出催告により、借地権が消滅(12条」)
C 借地非訟
論点:訴訟事項である権利の得喪を非公開手続で行うのは憲法82条違反か
特徴:簡易迅速、裁判所の裁量大、鑑定委員会
D 改廃の動き
日弁連は罹災法の早期改正を求めて意見書を提出(2010年10月20日)
地震火災保険訴訟 保険の種類 生命保険:今回全ての生保会社が免責約款を適用しないと発表
簡易保険:そもそも免責約款がない(=保険金支払可)
火災保険:免責約款により不払い
地震保険:地震保険法により政府が保険。津波も対象。
損害保険:事案による。
JA保険:建物更生共済(自然災害共済金)がこれまでも復興に寄与
車両保険:地震・噴火・津波特約がなければ不払い
その他(船舶保険、政府の農業災害補償制度、漁業災害補償制度等)
いずれも約款の内容による⇒各保険会社に確認が必要。
問題点 一般的な損保会社の免責規定:
@地震・噴火・津波による火災
A地震・噴火・津波による火災の延焼または拡大
B発生原因を問わず地震・噴火・津波による延焼または拡大
神戸市市民共済は「原因が直接であると間接であるとを問わず、地震又は噴火によって生じた火災等による損害」(@+Aのみ)
争点:
@地震免責条項の有効性
A火災原因の立証責任+事実認定
B情報提供義務・説明義務違反
判例:
@地震免責条項は有効
A事実上の推定は認めず、保険会社に立証責任
B情報提供義務違反による慰謝料は否定(最高裁)
不可効力 @ 高速道路東海訴訟:
棄却⇒高裁で和解
A ガス漏れ土地工作物責任訴訟:
勝訴的和解
B 欠陥建物訴訟:
原則として不可抗力だが、何もかも不可抗力で決するわけではない。
瑕疵の放置は過失の余地あり。
割合的因果関係論による救済。
震災直後の写真等、欠陥についての証拠を残しておく必要。
労働 @ 訴訟等:
解雇不当(神戸市営バスガイド事件)
パート雇止め(そごう神戸店、パート従業員訴訟)
退職金カット無効(神戸の港湾会社)
A 労働の特別の措置:
失業手当の弾力的運用
マンション @ グランドパレス高羽 神戸地裁H11.6.21
「費用の過分性」は多数意見を尊重
A 宝塚第3コーポラス 神戸地裁伊丹支部H13.10
「費用の過分性」は多数意見を尊重
⇒再建は15年後の2010年3月21日。元住民は1世帯のみ。
B 東山コーポ 神戸地裁H13.1.31
議決権の数え方・・区分所有者の5分の4の意味
二重ローン 住宅ローンを抱えたまま被災し、自宅を再建し、二重ローンに苦しむ。
新たにローンを組んで住宅を再建・購入する被災者には、復興基金から利子補給がある。
ローンすら組めない被災者への支援策は今もない。
返済条件の緩和措置を受けると、月々の返済額は減るが、期間が延び、総額は増える。
震災に伴う制度や事業に関する事件 @ 災害弔慰金不支給決定取消請求:
集中治療室で治療中に機器の停止により死亡したのが震災による死か?
神戸地裁H9.9.8×⇒大阪高裁H10.4.28○
A 被災者自立支援金不支給訴訟:
基準日が3年後とされ、世帯主要件を満たさなかった女性の請求
神戸地裁H13.4.25○ 合理的理由のない差別と判断。(憲法14条)
B 復興土地区画整理事業の計画許可の取消請求訴訟
(1)区画整理・・・罹災法との関係、減歩、不換地
(2)再開発(市街地再開発事業)・・罹災法との関係
(3)収容・・・震災による補償額の影響、罹災法との関係、営業補償
C 避難所、公園の明け渡し訴訟
震災に伴う悪意行動 @ 刑事事件(義援金詐欺、建築詐欺、窃盗、避難所での暴行等)
オーバーステイの外国人の被災
A 地域外事業者による地元産業の食い荒らし
B 風評被害(・・・悪意ではないが、影響大)
チェーンメールでの混乱情報
震災関連の制度 災害のフェーズ @防災(耐震などの減震の取り組み)

A災害発生

B救助 直後〜2週間:避難所 社会の注目→二次災害

C復旧 2年週間〜2年 :仮設住宅 問題現出・対応、混乱

D復興 2年〜 :恒久住宅 :問題蔓延、復興災害、立法提言

@へ
災害対策基本法
災害救助法 別の一覧へ
災害弔慰金法
被災者生活再建支援法
阪神・淡路大震災での経過 1995年 1月17日:被災各市町で災害救助法適用指定
2月
6日:罹災都市借地借家臨時処理法を適用
17日:所得税・住民財等の減免措置を盛り込んだ緊急特別立法3法案が初の震災立法として成立 貝原知事、復興特別措置法を提唱
24日:阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律施行
26日:被災市街地復興特別措置法が施行
3月
1日:財政援助など関連5法が施行
13日:選挙期日等の臨時特例法施行
17日:調停申し立て手数料の特例法施行
24日:被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法などが施行
4月4日 神戸市営のバスのガイドが「震災解雇は不当」と仮処分申請
6月
9日:災害対策基本法改正案と地震防災対策特別措置法案が成立
14日:そごう神戸店がパート従業員に雇用関係不存在を求めて提訴
28日:火災保険の支払いを求めた初提訴明らかに
8月23日:震災関連で初の集団提訴。火災保険の支払求める。
9月7日:マンション補修費用の分担金めぐる初提訴明らかに。
11月27日:@東灘・魚崎北町の73人が火災保険金の支払いを求めて集団提訴。
1996年 2月
1日:地震保険の支払をめぐる初提訴明らかに
5日:神戸地裁が罹災法に基づき、借家人に優先借地権認める決定
7月11日:震災翌日の中毒死で遺族がガス会社提訴
8月9日:「欠陥建築で圧死」と遺族がマンション所有者など相手に提訴
9月17日:芦屋市の復興区画整理で住民が認可取り消し求め提訴
12月18日:神戸市の小学校避難者に退去求め、市が提訴
1997年 1月16日:阪神高速倒壊事故死で遺族が初提訴
3月2日:神戸市のの小学校避難者に退去命令
4月28日:灘区のマンションで建て替え決議めぐり提訴
6月30日:震災を受けて災害救助法の運用基準改正
8月26日:東灘区の全壊住宅の欠陥認定、販売会社に賠償命令
9月8日:芦屋市の弔慰金不支給決定で遺族の請求棄却
10月
25日:芦屋市のマンションで補修派住民に明け渡しを強制執行
31日:芦屋市のマンションで補修派住民が決議無効を訴え提訴
11月17日:芦屋市の区画整理認可で反対住民の訴え却下
1998年 2月24日:震災後の盗難被害保険金、支払請求を棄却
3月19日:特定非営利活動促進法(NPO法)成立
4月
13日:震災当日の火事、大阪地裁の保険金請求明らかに
27日:震災6日後の火事、共済金支払命令の判決
29日:芦屋市の弔慰金不支給決定で地裁判決を取り消し、大阪高裁が震災死として支払を命じる
5月15日:被災者生活再建支援法が成立
6月16日:震災倒壊死、ホテル増築欠陥で神戸地裁が初の賠償命令
8月25日:芦屋市のマンションで補修派住民の区分所有権買取請求認める
9月3日:借家倒壊で敷金を全額返還すべきとする最高裁判決
1999年 3月30日:長田区の被災仮店舗、撤去を命令
6月21日:灘区のマンションで建て替え決議は有効と認定する判決
7月1日:神戸地裁が、避難先の公園から立ち退き命令
8月3日:被災者自立支援金却下に対し、神戸市長を提訴