シンプラル法律事務所
〒530-0047 大阪市北区西天満2丁目6番8号 堂島ビルヂング823号室TEL(06)6363-1860
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP−TOP |
論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
平成22年度株主総会の動向 | ||||||
招集通知の発送日 | 法定期限の日(中2週間)ぎりぎりに発送する会社は15.3%。(前年比3.4%減) 中3週間以上あけて発想する会社は23.0%。(前年比3.1%増) ← 外国人投資家の存在。 助言会社も求めている。 |
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総会開催日 | 東証上場会社での、集中日開催企業は、42.6%。(前年比6.7%減) | |||||
総会所要時間 | 平均50分 | |||||
出席株主数 | 出席株主は増加傾向 発言は平成20年を境にやや減少傾向 |
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電子投票 | 電子投票を採用した会社は24%(前年比1.3%増)と微増に。 | |||||
名義株主に隠れた実質株主が議決権行使できる。 機関投資家保有率が高い会社は既に採用している。 |
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WEB開示 | 44社(前年比30社増)。高い伸び率。 | |||||
第一生命保険:137万人 株主が10万人超⇒印刷コスト削減効果がある。 |
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株主提案 | 株主提案がなされた会社は24社(前年比4社増) | |||||
定款変更、剰余金の処分、取締役解任、取締役選任等 全て否決。 |
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エコ総会 |
機関投資家・助言機関の議決権行使スタンスと議案に対する反対票 | ||||||
立場 | 年金等の資金を中心に運用するインデックス運用の投資家は、TOPIXあるいは日経225採用銘柄といったベンチマークに基づいて投資しており、銘柄を自由に選択する余地がない⇒業績や株価パフォーマンスが悪いからといって即座に売却することができない。 | |||||
ISSなどの議決権行使助言会社は、このような長期保有株主の視点から議決権行使の助言を行っている。 〜 投資対象会社に対するパフォーマンス改善や企業価値向上を求める。 |
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役員選任議案 | 独立性のな社外監査役に反対票が集まる傾向。 | |||||
ISSの議決権行使基準: @独立性のない社外取締役には反対推奨せず、独立性のない社外監査役には反対推奨。 A社外役員の再任議案について、取締役会への出席率が75%未満であれば反対推奨する。 B親会社や支配株主が存在する会社において、独立取締役が2名以上いない場合は、経営トップの再任に反対推奨する。 |
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退職慰労金贈呈議案 | 退職慰労金は、廃止の流れが続いており、反対票が集まりやすい。 特に、社外役員への支給を含んだ議案については、社外役員の独立性を損ねるとして反対票が集まった。 |
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ISSの議決権行使基準: 金額開示をしない退職慰労金贈呈議案については、透明性が無いことを理由に反対推奨する。 | ||||||
買収防衛策 | ISSの議決権行使基準: 買収防衛策の賛成基準として、独立取締役が最低でも20%かつ2名以上という高いハードル⇒結果としてほとんど反対推奨。 |
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一度廃止すれば再導入する理由付けは難しい。 | ||||||
・情報提供期間の上限(30〜60日) ・評価検討期間の上限(120日) ・金銭補償の可能性を削除 ・株券電子化(株主名簿の名簿書換なし)⇒文言修正 |
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機関投資家・助言機関の要望事項 | @提案理由を具体的にわかりやすく記載すること A招集通知の早期発送 B招集通知のウェブサイトにおける掲示 C議案を1頁にまとめること D招集通知を分冊にしないこと E新任候補者にマークをつけて明示すること F社外役員の出席比率の明示 G役員候補者の氏名に読み仮名を記載すること H独立役員については参考書類の事業報告にその旨記載すること Iストックオプションにおいて希薄化の計算ができるようにすること |
平成23年総会対応(開示布令・証券取引所規則の改正への対応) | |||||||
改正の背景事情 | 平成21年6月17日に、金融庁・金融審議会の「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」による「上場会社等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて」の公表や、経済産業省の企業統治研究会による「企業統治研究会報告書」の公表 ⇒これを受けて東京証券取引所規則や内閣府令の改正がなされた。 |
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内閣府令の改正 | @ | ● | 議決権行使結果の臨時報告書における開示 | ||||
決議事項に対する賛成、反対及び危険の議決権の数、可決要件、決議の結果を臨時報告書に記載して、遅滞なく開示することを義務付けた。 | |||||||
● | but 事前に提出された議決権行使書面分はともかく、当日委任状を含め出席した株主の賛否の正確な票数など算出は不可能 ⇒事前に集計した分に当日行使分の概数を加えての報告にとどまらざるを得ない。 |
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A | ガバナンス体制の有価証券報告書における開示 | ||||||
ガバナンス体制の有価証券報告書における開示につき、有価証券報告書に以下の事項を記載いして開示することが求められる。 @:コーポレート・ガバナンス体制の概要及び当該体制を採用する理由 A:内部監査及び監査役監査の組織、人員(財務及び会計に関する相当程度の知見を有する監査役が含まれる場合にはその事実)及び手続き B:内部監査、監査役監査及び会計監査の相互連携ならびにこれらと内部統制部門との関係 C:社外役員の人数及び社外役員と会社との人的関係、資本的関係または取引関係その他の利害関係 D:社外役員がコーポレート・ガバナンスにおいて果たす機能及び役割(独立性に関する考え方も含む)並びに社外役員の選任状況についての考え方 E:社外取締役を選任していない場合には、それに代わる社内体制及びその体制を採用する理由 |
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B | 役員報酬の有価証券報告書における開示 | ||||||
役員報酬につき、有価証券報告書に以下の事項を記載して開示することが求められることになった。 @:役員の報酬等が1億円以上の場合には当該役員の個別の報酬額 A:社外取締役を除く取締役、社外監査役を除く監査役、執行役及び社外役員の4つの区分ごとの報酬等の種類別の総額及び員数 B:役員の報酬等の額またはその算定方法に係る決定に関する方針の有無及び当該方針を定めているときは当該方針の内容及び決定方法 |
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C | 保有株式の有価証券報告書における開示 | ||||||
株式保有状況につき、有価証券報告書に以下の条項を記載することが求められることとなった。 @:政策投資目的で保有する投資株式については、まず、その銘柄数及び貸借対照表計上額の合計額を総額開示。 次に、その投資株式のうち上場株式について、当該事業年度とその全事業年度のそれぞれについて、貸借対照表計上額が資本金額の1%を超えるものを30銘柄まで、銘柄・株式数・貸借対照表計上額・具体的な保有目的を開示する。 A:純粋投資目的で保有する投資株式については、上場株式と非上場株式に区分し、当該事業年度及びその前事業年度における貸借対照表計上額の合計額ならびに当事業年度における受取配当額・売却損益・評価損益の合計額を記載。 |
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D | 有価証券報告書の株主総会前における提出 | ||||||
有価証券報告書を株主総会前に提出することを可能にした。 | |||||||
証券取引所規則の改正 | @ | 独立役員の確保義務 | |||||
独立役員を1名以上確保すべき旨を企業行動規範の「遵守すべき事項」として定めるとともに、平成22年3月31日までに「独立役員届出書」を提出することとなった。 公表措置等の実効性確保手段の適用対象は、平成23年3月1日以後終了する事業年度に係る定時株主総会以後とされている。 |
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A | 招集通知の取引所HPへの掲載 | ||||||
平成22年3月期決算の定時株主総会から適用 |
平成21年改正関係 | ||||||
法務省令改正(H21.4.1施行)の影響 | 事業報告関係 | 株式会社の支配に関する基本方針(118(3)) | 株式会社の支配に関する基本方針を定めている場合に事業報告に記載する「基本方針の内容」、「取組みの具体的な内容」について、いずれも「内容の概要」を記載すればよい旨明記。 | |||
会社役員及び会計監査委任の解任及び辞任に関する開示(121(6)) | いったん事業報告に理由等が記載された場合でも、株主総会では事業報告に記載されたのとは異なる理由等が述べられた時は、実際に当該株主総会で述べられた理由等を次の事業報告に記載すべきことが明確に。 | |||||
会社役員の兼職等の状況に関する開示(121(7)) | 他の法人等の代表者の場合も含めて、重要な兼職があればすべて会社法施行規則121(7)で開示。 社外役員が他の法人等の業務執行取締役等または社外役員を兼職している場合に、当該兼職が「重要な兼職」に該当する場合は、会社と当該他の法人等との関係を開示(124(1)(2)) |
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株式に関する事項 | 上位10名の大株主の氏名又は名称、保有する株式の数と持株比率を記載(122(1)) | |||||
新株予約権に関する事項 | 会社役員の範囲を「当該事業年度の末日において在任している者に限る」旨の限定を付して明確化(123(1)) | |||||
株主総会参考書類関係 | 議案の提案の理由 | 株主総会参考書類に記載すべき事項に「提案の理由」が含まれることが明確化された(73@(2)) | ||||
取締役、監査役の選任議案 | 代表状況を含め「重要な兼職」に該当するものがあれば、これを開示。(74A(2)、76A(2)) | |||||
監査役候補が現に当該会社の監査役であるときの記載事項から、当該会社における「担当」が削除(76A(3)) ←監査役が独任制であるため「担当」という概念が馴染まない。 |
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社外取締役候補者、社外監査役候補者の親族関係等(74C(6)、76C(6))について、「重要でないものを除く」という限定が付された⇒事業報告における同趣旨の規定(124(3))との整合性が図られた。 | ||||||
その他 | 資本組入れの原資拡大 | 資本組入れには株主総会の決議が必要(法448、450) 利益及び利益準備金の資本組入れが可能になった。(計算規則25@) |
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条数変更 | 条文引用の際に注意 | |||||
金融商品取引法関連の省令改正 | 有価証券報告書等の提出 |
有価証券報告書等の定時総会前の提出が可能に。 有価証券報告書の添付書類について、定時株主総会において承認を受けた、または報告した計算書類・事業報告に加えて、定時株主総会において承認を受け、または報告しようとする計算書類・事業報告を添付することが可能になった。(開示府令17条1校1号ロ) |
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有価証券報告書等が提出可能となるのは、監査人の監査が終了したタイミング⇒あらかじめ監査日程等について監査人と相談する必要。 | ||||||
有価証券報告書等を定時株主総会前に提出した場合に、その決議事項が修正・否決⇒臨時報告書でその旨及び内容を記載。 | ||||||
上場規則の改正(東証) | 招集通知等の提出 | 株主と上場会社の対話のための環境整備として、上場会社が株主宛に発送する株主総会少数通知及び添付書類を、発送日までに電磁的方法により提出するとともに、当該書類を公衆の縦覧に供する。 | ||||
企業行動規範関係 | いわゆる企業行動規範を各証券取引所が制定済。 | |||||
監査役会(又は委員会)及び会計監査人の設置、内部統制システムの整備(取締役会の決議)、書面投票制の採用が義務付け。 監査役会の設置に際しては、監査役の半数以上が社外監査役でなくてはならない。 |
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上場制度整備の実行計画関連 | 東証は、上場会社のコーポレート・ガバナンス向上に向けた環境整備と環境変化を踏まえた適時開示に係る制度及び実務の整備を最重点課題として上場制度の整備に取り組むこととし、「上場制度整備の実行計画2009」を公表。 @速やかに実行する事項 A具体策の実施に向け検討を進める事項 B検討を継続する事項 @については、平成21年12月30日に上場規定を改正済。 |
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独立役員の異同が生じる場合は、原則として変更が生ずる日の2週間前までに変更内容を反映した「独立役員届出書」を提出しなければならず、当該届出書の内容は公衆の縦覧に供される。 | ||||||
「速やかに実施する事項」 | @取締役会 | 株主・投資家などからの信認を確保していくうえでふさわしいと考えられるコーポレート・ガバナンスのモデルをスタディグループ報告において示された考え方に沿って提示し、それぞれのガバナンス体制の内容とその体制を選択する理由について、コーポレート・ガバナンス報告書において開示。 | ||||
A監査役の機能強化 | 監査役監査を支える人材・体制の確保(このための内部監査・内部統制部門との連携)、独立性の高い社外監査役の選任及び財務・会計に関する知見を有する監査役の選任などの監査役の機能強化に係る取組みの促進を図るべく、これらを上場会社コーポレート・ガバナンス原則において望ましい事項と位置付けるとともに、各上場会社の取組み状況についてコーポレート・ガバナンス報告書において開示。 | |||||
B社外取締役、監査役の独立性 | 社外取締役・監査役について、コーポレート・ガバナンス報告書において、会社との関係に関するより具体的な内容の開示を求めるとともに、当該者の独立性に関する会社の考え方についても適切な開示を求める。 | |||||
C独立役員の選任 | 上場会社に対し、一般株主保護のため、一般株主と利益相反が生じるおそれのないものと上場会社が判断する「独立役員」が存在することを求める。 | |||||
D議決結果の公表 | 株主総会議案の議決結果について、単に可決か否決かだけでなく、賛否の票数まで公表するよう、上場会社に対して要請を行う。 | |||||
D企業グループ化への対応 | 親会社単体だけではなく企業グループ全体としてコーポレート・ガバナンスの充実を実現させる観点から所要の環境整備を図る。 ・上場企業のコーポレート・ガバナンスは、上場会社の企業グループ全体として実現されるべきものであることが明確になるよう、上場会社コーポレート・ガバナンス原則の見直しを行う。 ・中核子会社を有する上場会社には、当該子会社経営上の重要事項を決定する際などに、企業グループとしての説明責任を果たすよう、当該子会社の経営陣の見解を、親会社の見解とあわせて、親会社の株主に対して適切に開示するよう求める。 |
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株主総会議決結果の公表 | 自主的に株主総会の議決結果について賛否の票数までの公表するよう要請を行う。 |
不祥事が発生した場合の総会運営 | |||||
事業報告・参考書類の作成 | 事業報告における記載 | (1) | (1)会社としての姿勢・対応について | ||
事業報告は、当該事業年度における当該株式会社の状況に関する重要な事項、内部統制システムの決定または決議の内容の概要、会社の支配に関する基本方針など株主に対し報告するもの。(会社法施行規則118条) ⇒ 当該事業年度中に当該株式会社の業績やレピュテーションに影響を及ぼし得るような重大な不祥事が発生した場合には、事業報告の中のいずれかの箇所でその事実を記載し、その原因・再発防止策などを含めた会社としての姿勢・取組みについて株主に対して報告する必要 |
招集手続・日程 | |||||
全体主家ジュール | 上場会社のスケジュール | 開催日の決定 過去の集中日開催の批判を受けて、分散化(前倒し)が進んでいる。 |
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招集通知発送日も、法定期限ぎりぎりではなく、早めに発送する動き。 (外国人株主の持株比率が高い会社でその傾向が強い。) ← 議案の内容が常任代理人や名義株主を経て議決権行使指図権者である実質株主に伝達された後、実質株主の指図が名義株主や常任代理人を経て実際に議決権行使に反映されるまでの時間が、法定の2週間では厳しい。 |
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開催日・招集通知発送日の前倒し⇒計算書類等の作成、監査を前倒しする必要。 | |||||
非上場会社のスケジュール | 基本的には上場会社とかわらない。 | ||||
通常会計監査人が設置されていない⇒計算書類等の監査の日程は監査役との調整で足りる。 連結計算書類の作成も不要⇒計算書類等の作成にかかる負担も少ない。 |
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株主が少数でその了解が得られるのであれば、開催も省略可能。 招集手続きの省略または発送期限の短縮も可能。(非公開会社は、そもそも1週間前で足りる。(法299@)) |
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緩やかな規制の中で選択可能な、いずれの制度に則って株主総会を開催するか(あるいは株主全員の同意をもって株主総会の開催を省略するか(法319、320))が重要。 | |||||
基準日(一般に3月31日)までの事前準備 | スケジューリング 総会会場予約(社外の場合は1年前から予約) |
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辞任した監査役や会計監査人への通知 ← 当該辞任者は、その株主総会に出席して辞任した旨およその理由を述べ得ることができる。(法345) この場合、辞任者が株主総会で述べる理由があるときは、その理由を事業報告書に記載。(会施規121条6号) |
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少数株主権等の行使対応 | 少数株主権等 | 法124@に規定する権利を除いた株主の権利(振替法147C)とされており、法124@により基準日を定めて付与される議決権や配当受領権、株式分割を受ける権利等以外の株主の権利を意味する。 | |||
行使手続 | 株主が少数株主権を行使する場合、証券会社等(口座管理機関)を通じで、証券保管振替機構に個別株主通知の申出を行い、機構が発行会社(株主名簿管理人)に対して個別株主通知を行った後4週間以内に、行使する必要。(振替法154) | ||||
さらに、発行会社の株式取扱規定により、発行会社に対する権利行使に際しては、個別株主通知の申出をしたうえ、署名または記名押印した書面により行うものと定められているので、これに従う必要。 発行会社は、株主本人からの権利行使であることを確認するため、株式取扱規定にもとづいて権利行使者に本人確認資料の提出を求めることが可能。 (代理人による権利行使の場合は、委任状と代理人の本人確認資料の提出も求めることができる。) |
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少数株主権等の行使への対応 | 全株懇の「少数株主権等行使対応指針」 @請求の方法、様式、添付書類等について定款・株式取扱規程に定めを置いている場合には、当該要件を確認 A請求書及び本人確認資料の提出を確認 B請求者が個別株主通知に記載された株主本人であることを確認 (代理人による場合は正当な授権行為の有無、代理人の本人確認を含む) C所有株式数の保有期間等の法定要件を確認。 |
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全株懇の「株主本人確認指針」 個人が請求者の場合 @請求書への印鑑の押印と当該印鑑にかかる印鑑証明書 A運転免許証、各種健康保険証、国民年金手帳等(非対面の場合は写しでも可) B官公庁発行書類等で氏名、住所の記載があり、顔写真が貼付されているもの が例示されている。 |
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個別株主通知の申出を行っていない株主の場合 | 株主が証券会社等に個別株主通知の申出の取次請求をしてから会社(株主名簿管理人)に個別株主通知がされるまで、最短でも4営業日かかる。 | ||||
例えば、閲覧・謄写請求については、対象書類によってはこれを認めることも考えられる。 | |||||
定款の場合、HPに掲載する会社も増えているし、証券取引所のHPにも掲載されている⇒株主であることを確認するまでもなく、希望する者すべてに定款を閲覧させる対応が考えられる。 | |||||
計算書類は事業報告についても、有価証券報告書の添付書類として公衆縦覧に供されている。 | |||||
株主総会の直前のタイミングで附属明細書の閲覧等を希望する株主がいる場合、株主総会での発言等の準備を行う趣旨と考えられる⇒議決権を有する株主であれば請求を認めるという対応も考えられる。 | |||||
役員退職慰労金内規の閲覧請求は、少数株主権等の行使ではなく、議決権行使の一部。 ⇒議決権を有する株主であることを確認して請求を認めることになる。 |
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株主提案権の行使への対応 | 株主提案権の行使期限は、総会日の8週間前まで。(法303、305) | ||||
行使期限までに株主提案権の行使(株式取扱規則に定める方法での行使)があった場合、個別株主通知時点での法定要件(持株要件と保有期間要件)、当該請求が株主であること等の確認を行ったうえで、請求を受け付ける。 発行会社が情報提供請求を行う場合もあり得る。 |
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株主提案の議案の内容が法令または定款に違反しないか、実質的に同一の議案について株主総会でそうか分水の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していないかを確認。 これらに該当する場合には、株主提案を拒絶することが可能。 |
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議決権の確定 | 議決権を行使できない株式 | ● | ●単元未満株式(法189@) | ||
● | ●自己株式(法308A) 発行会社自身が保有する自己株式。 例外的に、子会社が親会社の株式を保有している場合。 |
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● | ●相互保有株式(法308@、会施規67) | ||||
総株主の議決権の4分の1以上を保有していることその他の事由を通じて会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主は、その会社に対して議決権を行使できない。 親会社と子会社の保有分を合算して適用。 |
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株式会社以外の株主でも適用になる。 ex.組合その他これに準ずる事業体、外国法人等 |
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● | ●特別利害関係を有する株主の所有する株式(法160C等) 株主総会の議決権行使について、議案に特別の利害関係を有する株主は、議決権を行使できない。 ex.上場会社の場合、特定株主から自己株式を取得する議案における当該特定の株主。 |
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相互保有株式の判断時点 | 判定時点は基準日。 | ||||
以下の場合は、それぞれ定める日に相互保有株式に該当するかどうかを判断。 (会施規67B) @基準日後に、その会社または子会社が株式交換や株式移転その他の行為により対象法人等の議決権のすべてを取得した場合には、その行為の効力が発生した日 A基準日後、株主総会の招集事項のすべて(法298@各号)が取締役会で決定されるまでの間に、対象法人等の議決権の総数が増加または減少して、相互保有株式に該当しなくなり、または該当するようになることをその会社が知った時は、当該事実を会社が知った日 ⇒ 基準日後に@またはAに該当するようなことがあれば、相互保有株式に該当するかどうかをその時点で判断。 |
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株主総会の招集事項のすべてを取締役会が決定した日から株主総会の日までの間に生じた事情(上記?または?を含む)は、会社の裁量により勘案することができる。(会施規67C) | |||||
基準日後に新株発行 | 基準日制度を採用⇒株主総会の議決権は基準日現在の株主に与えられる。 | ||||
株主総会の議決権については、「基準日現在の株主の権利を害さない限り」、基準日後の株式取得者に議決権を付与することができる。(法124C) | |||||
「基準日現在の株主を害する場合」: 基準日現在の株主が、基準日後に所有する株式株式を譲渡し、その株式を譲り受けた者を会社が議決権を行使することができる者と定め、基準日現在の株主が議決権を行使できなくなるような場合。 ⇒新株発行の場合は、基準日現在の株主を害することはない。 |
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会社法は、基準日後に発行した新株に議決権を与えるための手続きを定めていない。 具体的な手続きとしては、新株発行の取締役会決議または株主総会招集の取締役会決議において、新株に議決権を与える旨を定めればよい。 定款で基準日後に発行した新株に議決権を与える場合には公告を行う旨定めているときは、定款の定めによって公告する必要。 |
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基準日後に合併の効力発生 | 合併に伴う新株発行についても、通常の新株発行の場合と同様に、基準日後に株式を取得した株主に対して議決権を付与することが可能。 | ||||
基準日後に自己株式を処分 | 基準日現在の株主が発行会社自身である場合、当該自己株式には議決権がない ⇒基準日現在の株主の権利を害することはなく、自己株式の処分により株式を取得した者に対して議決権を付与することが可能。 |
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保管振替機構名義の株式 | 従前: 保振法29Bは、機構は機構名義株式につき、株主名簿の記載または記録及び株券に関してのみ、株主としての権利を行使できると規定。 ⇒いわゆる機構名義の失念株式については、議決権や配当金の受領権はない取扱い。 |
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株券電子化に伴い、保振法が廃止⇒機構名義の失念株式についても、議決権や配当金の受領権が与えられるが、機構名義の失念株式は、実質的に機構が所有する株式ではない⇒機構として議決権を行使したり、配当金を受領したりすることは考えられない。 | |||||
結局、機構の要請に基づいて、株主総会招集通知等の株主宛通知物の発送を差し止める取扱い。 | |||||
監査日程 | 「監査役・監査関係」を参照のこと | ||||
会計監査人・監査役への提出書類 | 計算書類として、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表を作成し、さらにはその附属明細書を作成して、監査のために会計監査人および監査役に提出。(法435、436、会計則125) | ||||
大会社かつ有価証券報告書提出会社では、連結計算書類を作成。 連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結注記表を作成して、監査のために会計監査人および監査役に提出。(法444、会計則125) |
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事業報告書並びにその附属明細書を作成して、監査のために監査役に提出。(法435、436) | |||||
計算書類の確定手続 | 監査結果が一定の要件を満たす場合には、取締役会の決議によって計算書類が確定。 | ||||
会社法のもとでは、監査提出前の取締役会は不要。 but実務上は、取締役会等の機関で承認または報告してから計算書類を監査に提出することが多い。 |
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事業報告およびその附属明細書は、取締役が作成し、監査役(会)に監査のために提出、監査役(会)の監査終了後、取締役がこれを承認することで確定。 | |||||
特定取締役・特定監査役 | 役割 | 特定取締役の役割: ・会計監査人の会計監査報告に関する内容の通知の受領(会計則130@) ・監査役会の監査報告に関する内容の通知の受領(会計則132@、会施規132@) ・特定監査役、会計監査人との間での会計監査報告通知日に関する合意(会計則130@) ・特定監査役との間で監査報告通知日に関する合意(会計則132@、会施則132@) |
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特定監査役の役割: ・会計監査人の会計監査報告に関する内容の通知の受領(会計則130@) ・監査役会の監査報告の内容の通知(会計則132@、会施則132@) ・特定取締役、会計監査人との間での会計監査報告通知日に間する合意(会計則130@) ・特定取締役との間での監査報告通知日に関する合意(会計則132@、会施則132@) 尚、日本監査役協会のひな型では、計算関係書類や事業報告の受領ならびに他の監査役への当該書類の配布または会計監査報告の内容の通知を特定監査役の職務として定めている。(1項1号、4号) |
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行う者 | <特定取締役> 計算関係書類関係(会計則130C): @会計監査報告の通知を受ける者を定めた場合は、その者 A特に定めなかった場合は、計算関係書類の作成に関する職務を行った取締役 事業報告関連(会施則132C): @監査報告の通知を受ける者を定めた場合は、その者 A特に定めなかった場合は、事業報告およびその附属明細書の作成に関する職務を行った取締役 |
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<特定監査役> 計算関係書類関係(会計則130D): @監査役会が会計監査報告の通知を受ける監査役を定めた場合は、その監査役 A特に定めなかった場合は、すべての監査役 事業報告関係(会施則132D): @監査役会が監査報告の内容の通知をすべき監査役を定めた場合は、その監査役 A特に定めなった場合は、すべての監査役 |
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(会計)監査報告通知期限 | 会計監査人 | 計算書類に関する会計監査報告の通知期限は、次のいずれかの遅い日(会計則130@(1)) @計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日 A計算書類の附属明細書を受領した日から1週間を経過した日 B特定取締役、特定監査役および会計監査人の間で合意により定めた日があるときは、その日 連結計算書類(附属明細書はない)に関する会計監査報告の通知期限は、@を原則とするが、Bを定めた場合はその日。(会計則130@(3)) |
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監査役会 | 計算書類に関する監査報告の通知期限は次のいずれかの遅い日 @会計監査報告を受領した日から1週間を経過した日 A特定取締役および特定監査役の間で合意により定めた日があるときは、その日 連結計算書類に関する監査報告の通知期限は@またはAをさだめた場合はその日 (会計則132@) |
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事後報告に関する監査報告の通知期限は次のいずれか遅い日(会施則132) @事業報告を受領した日から4週間を経過した日 A事業報告の附属明細書を受領した日から1週間を経過した日 B特定取締役および特定監査役の間で合意した日 |
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監査役会の監査報告の作成 | 各監査役が作成した監査報告を基に作成。(会計則127、128、会施則129、130) ⇒各監査役はそれぞれ監査報告を作成。 |
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監査役会は1回以上、会議を開催する方法または情報の送受信により同時に意見の交換をすることができる方法により監査報告の内容を審議する必要。(会社則128B、会施則130B) | |||||
各監査役の作成した監査報告は、株主宛に送付する対象から外されてる(会計則133@、会施則133@)が、本店に備置する必要はある。(法442@) | |||||
監査報告の作成方法については規則はない。 | |||||
取締役会で計算書類が確定できる要件 | 監査を受けた計算書類は取締役会で承認した後、定時株主総会に提出つして承認を受ける。(法436B、438A) ただし、会計監査人設置会社は、取締役会の承認を受けた計算書類が一定の要件を満たす場合には、報告事項とすることができる。(法439) |
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「一定の要件」は次のとおり(会計則135) @計算関係者類についての会計監査報告の内容に無限定適正意見(監査の対象となった計算関係書類が一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に準拠して、当該計算関係書類に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示していると認められる旨)(会計則126@(2)イ)またはこれに相当する事項が含まれていること A会計監査報告に係る監査役会の監査報告の内容として会計監査人の監査の方法または結果を妥当でないと認める意見がないこと B会計監査報告に係る監査役会の監査報告に付記された内容がAの意見でないこと C計算関係書類が会計則132Bの規定により監査を受けたものとみなされたものでないこと |
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総会招集の取締役会 | 決議事項 | 法298、会施則63 @株主総会の日時及び場所 A株主総会の目的事項 B書面投票制度を採用するときはその旨(ただし、議決権を行使できる株主が1000人以上である場合は、採用しなければならない) C電磁的方法による議決権行使(電子投票制度)を採用するときはその旨 D定時株主総会開催日が前事業年度の定時株主総会開催日に応当する日と著しく離れた日である場合は、その日時を決定した理由 E公開会社がいわゆる集中日の開催とする場合は、その日時を決定した理由(特に理由がある場合に限る) F株主総会の場所が過去に開催した株主総会のいずれの場所とも著しく離れた場所であるときは、その場所を決定した理由(定款で定めた場所である場合または株主総会に出席しない株主全員の同意がある場合を除く) G書面又は電子投票制度を採用したい場合は、株主総会参考書類に記載すべき事項(一定の事項を除く) H●書面または電子投票制度を採用した場合に、特定の時をもって議決権行使期限とするときは、その特定の時(それぞれ異なる時を定めることも可能) I●書面または電子投票制度を採用した場合に、議決権行使書面の賛否の欄に記載がない場合の取扱いを定めるときは、その取扱いの内容 J書面または電子投票制度を採用した場合に、WEB開示を採用して株主総会参考書類に記載しないものとする事項 K●書面および電子投票制度を採用した場合に、招集通知の電磁的方法による発信に同意した株主の請求があった時に当該株主に対して議決権行使書面の交付をすることとするときは、その旨 L●書面および電子投票制度を採用した場合に、双方の議決権行使が重複して行われ、その行使内容が異なるものであるときにおける議決権行使の取扱い(優先順位)に関する事項を定めるときは、その事項 M●書面または電子投票制度を採用した場合に、同一の議決権行使が重複して行われ、その行使内容が異なるものであるときにいおける議決権行使の取扱い(優先順位)に関する事項を定めるときは、その事項 N●代理人による議決権行使について、代理権を証明する方法、代理人の数その他代理人による議決権の行使に関する事項を定めるときは、その事項 O●議決権不統一行使の事前通知の方法を定めるときは、その方法 P書面または電子投票制度を採用しない場合において、一定の事項が株主総会の目的事項であるときは、当該事項にかかる議案の概要(議案が確定していない場合にあっては、その旨) |
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●は定款に定めることにより、取締役会の決議は不要 HIは取締役に決定を委任することも可能 Nは定款に定めることが多い |
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一般に取締役会で決議されることが多いのは、@ABGI 電子投票制度を採用する場合には、Lについても取締役会で決議しておくのが望ましい。 |
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Oは、不統一行使の事前通知を行う主体である常任代理人または株主(いずれも銀行等の金融期間)は、通常、書面で通知するものと想定されるか、仮に口頭等で事前通知がなされるとしても、不統一行使そのものは書面または電磁的方法でなされることから、実務上、取締役会で決議しなくても支障はない。 | |||||
招集の取締役会で決議した事項については、招集通知に記載することを要する。(法299C)。 但し、招集通知に記載すべき事項のうち、議決権行使書面に記載している事項がある場合には、当該事項は招集通知に記載する必要はない。 Iは通常、議決権行使書面に記載されるので、その場合は招集通知に記載する必要なし。 |
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以後の株主総会においても同様に取り扱うことになる事項は、特段の決議がない限り、以後も同様とするとする旨を包括的に決議しておけば、その都度、招集の取締役会で決議する必要はない。 | |||||
書面投票制度のメリット | 書面投票制度: 総会に出席できない株主が、会社から送付された議決権行使書面に賛否の意思表示をして会社に返送することで、株主総会の決議に参加する制度。 |
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議決権行使書面が会社に到達したことをもって、議決権が行使されたこととなる⇒いわゆる委任状制度のように代理人が受任したうえで株主総会に出席して議決権を行使するのと比べると、株主の議決権行使がより強力に保障される点がメリット。 (ただし、総会場での修正動議が提議された場合には、必ずしも株主の意見が反映されないことがある。) |
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議決権を行使することができる株主が1000人以上いる場合には、義務付け。 | |||||
電磁的方法による議決権行使を採用するメリット | パソコンまたは携帯電話等を通じて、インターネットによる議決権を行使できる制度。 現在のところ、採用しているのは上場会社の約2割。 |
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議決権電子行使プラットフォーム(株主である機関投資家の背後にいる実質株主(年金基金等の投資主体)が直接議決権を行使することができる制度)が稼働⇒プラットフォームを通じて機関投資家が議決権を行使することが多くなった。 これにより、機関投資家の議決権行使動向の早期把握と電磁的方法による議決権行使比率の向上が期待される。 |
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東証は実行計画において「議決権電子行使プラットフォームの利用促進に向けた方策について、一定の上場会社に対する利用義務化の検討等を含め検討を行う」とする。 ⇒今後の動向に留意する必要。 |
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書面投票・電子投票の議決権行使期限 | 書面投票制度を採用した場合の議決権行使期限: 原則として、株主総会の日時の直前の営業時間終了時(会施則69) 電子投票制度を採用した場合の議決権行使期限: 原則として、株主総会の日時の直前の営業時間終了時(会施則70) |
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上記の原則と異なる時を特定の議決権行使期限として定めることが可能。 その場合、招集の取締役会で決議することが必要で、当該特定の議決権行使期限は招集通知の記載事項とされる。(法299C、会施則63@(3)ロハ) |
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特定の議決権行使期限を定める場合 | 21年6月総会会社では、33.1%が特定の議決権行使期限を定めている。 | ||||
会社の営業時間終了時が広く株主に認知されていることはあまりない ⇒ 特定の行使期限を定めない場合でも、招集通知に議決権行使期限を記載して株主に周知する取扱いが望ましい。 |
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特定の議決権行使期限は、株主総会の日時以前の時であって、招集通知を発送した日から2週間を経過した日以降の日でなくてはならない。(会施則63@(3)ロハ) ⇒ 原則的な取扱いと同様に総会日の前営業日に特定の議決権行使期限を定める場合でも、招集通知の発送期限は1日繰り上がる。 |
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代理人による議決権行使についての制限 | 実務上「株主は、議決権を行使することができる他の株主1名を代理人として、その議決権を行使することができる」旨を定款で規定し、以後の株主総会では、招集の取締役会における決議を省略する会社が圧倒的に多い。 | ||||
株券電子化で会社に対する届出印制度が廃止 ⇒ 代理権を証明する方法として委任状の提出とともに、株主本人の議決権行使書面や運転免許証のコピーなどの本人確認資料の提出を求める旨取締役会で決議し、招集通知にもこれを記載する(法298@(5))事例が増えつつある。 |
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議決権行使書面に賛否の表示がない場合の取扱い | 議決権行使書面に賛否の表示がない場合、各議案について賛成、反対または棄権のいずれかの意思表示があったものとして取り扱う旨を取締役会の決議で定めることができる。(会施則63(3)ニ、66@(2)) | ||||
定款で定めがある場合または決定を取締役に委任する旨を決定した場合は、 招集の取締役会で議決権行使書面に賛否の表示がない場合の取扱いを決議する必要はない。 but 代理人による議決権行使とは異なり、定款でこのような事務的な取扱いを規定している事例は稀。また、決定を取締役に委任するほどの対応のバリエーションはない。 ⇒ 通常は、議決権行使書面に賛否の表示がない場合には会社提案には賛成、株主提案がある場合には反対の議決権行使があったものとみなす旨を招集の取締役会で決定。 特段の決議がない限り以後の株主総会でも同様に取り扱う旨を確認しておけば、株主総会の招集の都度取締役会で決議する必要はない。 (招集通知または招集通知に代わる議決権行使書面への記載はその都度必要。) |
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WEB開示 | 利用できる範囲 | 株主総会参考書類、事業報告、個別注記表および連結計算書類など、株主総会の招集通知に添付して株主に提供する書面等の一部を、インターネットのホームページに掲載するとともに、当該ホームページのアドレス等を株主に通知することにより、ホームページに掲載した情報が株主に提供されたものとみなし、物理的な書面等による提供の省略を試みるもの。 | |||
21年6月総会では14社が採用。 WEB開示を利用した書類の範囲は、連結注記表および個別注記表とするパターンがもっとも多かった。 |
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手続き | ● | ●定款の定め | |||
(株主総会参考書類等のインターネット開示とみなし提供) 第●条 当会社は、株主総会の招集に関し、株主総会参考書類、事業報告、検査院書類および連結計算書類に記載または表示すべき事項に係る情報を、法務省令に定めるところに従い、インターネットを利用する方法で開示することにより、株主に対して提供したものとみなすことができる。 |
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● | ●取締役会決議 | ||||
株主総会参考書類に記載すべき事項についてWEB開示を行うときは、株主に提供する株主総会参考書類から記載を省略する事項につき、招集の取締役会で決議する必要。(会施則63(3)ホ) 監査役がWEB開示の対象とする事につい異議を述べている事項についてWEB開示は行えない。(会施則94@(4)) |
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事業報告、個別注記表、連結計算書類についてWEB開示を行う場合は、招集の取締役会において特段の決議を要さない。 招集の取締役会終了後、招集通知の校了間際で発生した事情によりWEB開示を行いたいような場合であっても、株主総会参考書類に記載すべき事項以外であれば、機動的な対応が可能になる。 ただし、事業報告に記載すべき事項については、株主総会参考書類と同様に、監査役が異議を述べている場合はWEB開示を行うことができない。(会施則133B(2)) |
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● | ●招集通知への記載 | ||||
WEB開示を行う場合は、招集通知にホームページのアドレスを記載。 実務上、あわせてWEB開示する事項を招集通知で特定。 |
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監査役や会計監査人は、株主宛に送付した書類は監査対象の計算書類等の一部である旨を株主に通知すべきことを請求できる。(会施則133D、会計則133E、134E) →この請求があった場合には、招集通知にその旨を反映する必要。 |
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留意事項 | @WEB開示事項を含めた招集通知の完全版をPDFファイル等で掲載する方法 A株主宛に送付する招集通知のPDFファイル等とWEB開示事項のPDFファイル等を別々に開示する方法 B招集通知の完全版のPDFファイル等とWEB開示事項のPDFファイル等をそれぞれ掲示する方法 |
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掲載時期 | 招集通知を発送する時から株主総会の日後3カ月を経過する日までの間(会施則94、133B、会計則133C、134C) 〜株主総会の決議取消の提訴期間にあわせたもの。 |
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電子公告のように開示の中断等についての制限はない。 but 開示の中断が長期間に及び、実質的にWEB開示がなされたといえないような場合には、招集手続が法令違反と判断される可能性がある。 |
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WEB修正 | 株主総会参考書類、事業報告、計算書類、連結計算書類の記載に印刷ミスその他の事情で誤りがあった場合や、招集通知発送後の事情変更等があった場合に、修正後の事項を株主に周知させる方法を、招集通知とあわせて通知することができる制度。 修正事項をホームページに掲載。 |
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特段の手続は規定されていない⇒招集通知に修正事項を掲載するホームページアドレスを記載すれば足りる。 | |||||
99%がWEB修正の利用に関する文言を招集通知に記載し、そのうち18.8%が実際にWEB修正を利用。 |
上場会社(大会社) | ||||
主要事項 | 期間の定め | 規定 | 備考 | |
取締役会(定時総会日・会場の内定) | 法298@(1) | 自社会場でない場合、早めの会場設定が必要 | ||
総会議決権等基準日公告 (定款の公告方法による) |
基準日の2週間前 | 法124B | 定款に基準日の定めがある場合は不要 | |
3/31 | 事業年度末日(議決権) | 法124@ | 一般に議決権及び配当基準日 | |
総株主通知の受理(株主名簿管理人) | 基準日の翌営業日から起算して3営業日目 | 振替法151条、保振業務規程149条、同施行規則182,186条 | 証券保管振替機構から株主名簿管理人へ基準日目現在の総株主通知データが通知。 通知内容は、銘柄コード、株主等照会コード、株主等の氏名、住所、株数等。 |
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基準日株主の確定(株主名簿管理人) | ||||
計算書類・その附属細書を作成し、監査役・会計監査人に提出 | 法435A、436A(1) 会計規125 |
会計監査人の監査期間は原則4週間を経過した日まで。監査役会の監査期間はその後原則1週間を経過した日まで。? | ||
事業報告・その附属明細書を作成し、監査役に提出 | 法435A、436A(2) 会施規129 |
監査役会の監査期間は原則4週間を経過した日まで | ||
連結計算書類を作成し、監査役・会計監査人に提出 | 法444BC 会計規125 |
?と同じ | ||
株主提案権の行使期限 | 総会日の8週間前まで | 法303A、305@ | 定款で短縮することも可能。 | |
会計監査人から会計監査報告(連結分を含む)受領 | 原則として計算関係書類受領後4週間を経過した日まで | 会計規130 | 特定監査役・特定取締役への通知期限 | |
監査役会から計算関係書類および事業報告の監査報告(連結分を含む)を受領 | 原則として会計監査報告受領後1週間を経過した日まで | 会計規127、132 会施規132 |
特定取締役・会計監査人への通知期限 | |
原則として事業報告受領後 4週間を経過した日まで |
||||
決算取締役会(計算書類、事業報告、付属明細書、連結計算書類の承認、定時株主総会招集事項および総会付議議案決定) 株主提案に対する取締役会の意見を決定。 |
法298、436B、444D 会施規63、93 |
監査を受けた計算書類等の承認(会計監査人および監査役会における全員の意見が適法・適正意見であるときは、計算書類はこの段階で確定)。 総会招集事項および付議事項の決定。 株主提案がある場合は取締役会の意見の決定。 |
||
決算発表 | 決算短信を証券取引所へ提出 | |||
招集通知発送 | 株主総会の2週間前 (議決権行使期限を特定の時と定めたときは行使期限の属する日の2週間前) |
法299、301、302 会施規65、66、73、94 |
招集通知、計算書類、事業報告(監査報告を含む)、連結計算書類、株主総会参考書類、議決権行使書面の添付 定款の定めがある場合は、連結計算書類等一定の書類・記載事項についてWeb開示も可能 上場証券取引所に対し、招集通知等を電磁的記録で提出 |
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退職慰労金内規の備置等の措置 | 会施規82A、84A | 株主総会参考書類に退職慰労金額の基準を記載しない場合には株主が当該基準を知ることができるよう適切な措置が必要 | ||
計算書類・事業報告・附属明細書・監査役会および各監査役の監査報告ならびに会計監査人の会計監査報告を本・支店に備置き | 総会日の2週間前の日から備置き | 法442 | 原本を5年間本店に、写しを3年間支店に備置き。 連結計算書類の備置きは不要。 |
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書面投票または電子投票による議決権行使の期限 | 原則として株主総会日の前日の営業時間終了時 | 法311、312 会施規63(3)ロ・ハ・ニ、69,70 |
招集通知発送から2週間経過した日以降であれば取締役会で別途特定の時を決議可 | |
定時株主総会 | 基準日より3か月以内 | 法124、296、309、438、444、454 | 事業報告と連結計算書類、適法監査意見の付された計算書類は報告事項 | |
取締役会 | 法362 | 代表取締役の選定等 | ||
監査役会 | 法335、387、390 | 常勤監査役の選定等 | ||
決議通知等の発送 | 総会終了後、決議通知・報告書(株主通信)配当金関係書類を全株主に発送 (剰余金の配当を取締役会決議事項とする会社の場合は、招集通知の発送時に配当関係書類を同封することも可) |
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有価証券報告書提出 (EDINET) |
事業年度開始の日から3か月以内 | 金商法24@、27の30の2以下、193条の2 開示府令15以下 |
有価証券報告書提出会社は決算公告不要 | |
配当金支払開始 | 効力発生日以降、株主の住所または通知した場所において支払い(持参債務) | 法457 | ||
委任状・議決権行使書の備置き(電子投票を含む) | 定時株主総会終了後本店に3か月間備置き | 法311等 | ||
定時総会の議事録作成完了・備置き | 株主総会終了後、原本を本店に10年間、写しを支店に5年間 | 法318 会施規72 |
出席取締役および監査役の署名(記名押印)義務はない。 株主および債権者は営業時間内に閲覧・謄写可。 |
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取締役会の議事録作成完了・備置き | 本店に10年間備置 | 法369、371 会施規101 |
出席取締役および監査役の署名(記名押印)。 閲覧・謄写は裁判所の許可が必要。 |
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監査役会の議事録作成完了・備置き | 本店に10年間備置き | 法393、394 会施規109 |
出席監査役の署名(記名押印)。 閲覧・謄写は裁判所の許可が必要。 |
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本店における変更登記 | 定時総会の決議後2週間以内 | 法915 | 登記すべき事項がある場合 |
議事進行シナリオ | ||||||
傾向と方針 | IR・PRの場として位置付け。 ⇒一般株主を想定したシナリオ。 |
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@質疑応答はできる限り株主からの質問に丁寧に回答する。 A集中日を回避。 B事業報告等においてビデオを上映したりスライドを用いたビジュアル化を進める。 C総会終了後に株主懇親会。会社の商品の提供。 |
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@一般株主を主に想定した進行手順にしつつ A総会屋等が質問・議事妨害等をした場合については個別の対応シナリオ・マニュアルを準備 |
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シナリオの目的 | 総会の「適法」な運営。 =株主総会取消の訴え(法831条)の対象となる事由に該当しないこと =「決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき」に該当しないような総会運営を行うこと。 |
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@取締役および監査役等が法314条、会施則71条所定の説明義務を尽くすこと A議案について、定足数も含めて会社法上の適法要件を充足 B議事運営が公正なものであること C会場運営が総会参加者の人数等を勘案して相当なものであること |
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第831条(株主総会等の決議の取消しの訴え) 次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより取締役、監査役又は清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。 一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。 二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。 三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。 2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる |
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上程方式 | A:一括上程方式 | 議長が開会宣言をした後、監査報告、事業報告、貸借対照表および損益計算書の報告を行い、決議事項(議案)を一括して上程し、質疑応答(動議も同様)を全ての報告事項・議案について一括して行う。 質疑応答の時間が終了すれば、第1号議案から最後の議案まで、順次採決をとり、裁決が全て終了すれば閉会宣言がなされる。 |
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B:個別上程方式 | 議案ごとに上程・質疑応答・裁決を行う運営方式。 | |||||
評価 | ABは、質疑応答および採決をまとめて行うか、議案ごとに1つずつ行うかの違い。 | |||||
@質問内容がどの議案に対応するものか整理されていない場合も多い。 A1人の株主が複数の質問を用意する場合。 ⇒ 一般株主の総会における質問の実態および便宜から考えて、質疑応答を議案の区別なくまとめて行う一括上程方式が適している。 |
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シナリオ | (1)開会宣言 | 開会宣言 議長就任およびその根拠(定款規定) |
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(2)議題提出・議事進行方法確 | 総会の目的事項(議題)を提出 株主総会の議事進行方法を確認 質疑応答の時間まで発言禁止 |
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(3)監査報告 | 常勤監査役1名が監査役会を代表して監査報告 | |||||
(4)出席株主数 議決権個数 |
集計結果の発表(目的は定足数充足の確認) 定足数充足を宣言 |
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(5)事業報告、計算書類の報告 | 法438B(計算書類の内容報告)、444F(連結計算書類の内容報告) | |||||
近時株主の関心は連結ベースでの収益状況にあるという観点⇒単体の計算書類の議場での説明は短縮ないし省略し、連結計算書類についてのみ概要を説明するという工夫も、法的には問題ない。 | ||||||
A:議長がシナリオを読み上げる方法 B:スライド、パワーポイントで要点を示しながら議長がシナリオを読み上げる C:ナレーション付きのスライドまたはビデオで報告(議長の労力をセーブし、質疑応答に備える) |
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(6)議案説明 | わかりやすい言葉を用い、一般の株主が理解しやすいように心がける。 | |||||
(7)質疑応答 | 報告事項および全ての決議事項について、株主の質問、意見および動議を含めた審議に関するすべての発言を受ける。 | |||||
事前の書面質問に対する回答を行う場合もある。(これを行わず、質疑応答の時間の質問に任せる会社も多い) | ||||||
説明義務の範囲外の事項について回答しない旨を述べる場合、会社法・会施則における説明義務(法314条、会施則71条)の規定内容に合わせた用語を用いる必要。 | ||||||
質疑応答について、質問の機会を株主に十分保障する必要。 第2会場の株主への配慮。 |
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株主総会の場での株主による議案提出権(法304条) | ||||||
(8)採決 | 株主総会の決議は、その議案に対する賛成の議決権数が決議に必要な数に達したことが明白になったときに成立 ⇒必ずしも賛否の数を議場に報告する必要はない。 |
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議決権行使書面による賛成株数または賛成の議決権を行使する委任状の数により過半数(通常の場合)を超えたことが明らかなときは、このことを説明すれば足りる。 | ||||||
臨時報告書で各議案ごとの賛否の票数等の公表を求めている(開示府令19条2項9号の2 but 事前に提出された議決権行使書面分はともかく、当日委任状を含め出席した株主の賛否の正確な票数など算出は不可能 ⇒事前に集計した分に当日行使分の概数を加えての報告にとどまらざるを得ない。 |
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(9)閉会 | 閉会宣言 | |||||
ポイント |
株主総会 | ||||||
株主総会が決議できる事項 | 取締役会設置会社においては、会社法に規定する事項及び定款に定められた事項に限り決議することができ(法295条1項)、万能の機関ではない。 | |||||
定足数株主総会の決議事項 | 普通決議 (309@) (過半数+過半数) |
定足数:議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主 決議要件:出席株主の議決権の過半数 |
||||
定足数は定款で軽減・排除できる⇒多くの会社では定足数を完全排除。 | ||||||
@会計監査人の選任(329)、解任(339)、不再任(338A) A役員の報酬等(361,379,387) B剰余金の配当(454 金銭分配請求権を与えない現物配当を除く) C自己株式の取得(156 特定の株主(160@からの取得を除く)) D定時株主総会における欠損を額を超えない資本金の額の減少(447)の決議 E準備金の額の減少(448) F剰余金の額の減少(450、451) G剰余金についてのその他の処分(452) H競業取引等の承認(356@) |
||||||
特則普通決議(341) | 定足数の定款による引き下げは、議決権を行使することができる株主の3分の1までしかできない。 | |||||
@取締役、会計参与、監査役の選任(329) A取締役(累積投票により選任された者を除く)、会計参与の解任(339) |
||||||
特別決議 (309A) (過半数+3分の2) |
定足数:議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主 決議要件:出席株主の議決権の3分の2 |
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定足数は、定款で3分の1まで軽減でき、決議要件の3分の2は定款で引き上げることができ、一定数以上の株主の賛成を要する等を定款で定めても良い。 | ||||||
@譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式の買取り(140A) 指定買取人の指定(140D) A特定の株主から株主との合意による自己株式取得(156@、160@) B全部取得条項付種類株式の取得(171@) 相続人等に対する売渡しの請求(175) C株式の併合(180A) D募集株式の募集事項の決定(199A) 募集事項の決定の取締役会への委任(200@) 譲渡制限会社において取締役・取締役会への委任がない場合における株主に株式の割当てを受ける権利を与える決定(202B4号) 譲渡制限株式の割当て(204A) E募集新株予約権の募集事項の決定(238A) 募集事項の決定の取締役会への委任(239@) 譲渡制限会社において取締役・取締役会への委任がない場合における株主に新株予約権の割り当てを受ける権利を与える決定(241B4号) 非取締役会設置会社における譲渡制限株式を目的とする新株予約権・譲渡制限新株予約権の割当て(243A) F監査役・累積投票(342)で選任された取締役の解任(339@) G役員等の損害賠償責任等の一部免除(425@) H資本金の額の減少(定時総会で欠損の額を超えないものを除く)(447@) I金銭分配請求権を与えない現物配当の決定(454C) J定款の変更、事業の全部・重要な一部の譲渡、事業の全部の譲受け・賃貸・事後設立、解散 K組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転 |
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特殊決議 (309B) (株主の半数+議決権の3分の2) |
定足数:議決権を行使できる株主の半数 決議要件:議決権を行使できる株主の議決権の3分の2 |
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定足数・議決要件ともに、定款で厳しくできる。 | ||||||
@その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更 A消滅会社・株式交換をする会社が公開会社で対価が譲渡制限株式等である場合における当該貸会社の吸収合併契約・株式交換契約の承認(783@) B消滅会社・株式の移転をする会社が公開会社で対価が譲渡制限株式等である場合における当該会社の新設合併・株式移転の承認 |
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特別特殊決議 (309C) (総株主の半数+議決権の4分の3) |
定足数:議決権を行使できる株主の半数 決議要件:議決権を行使できる株主の議決権の4分の3 |
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定足数・議決要件ともに、定款で厳しくできる。 | ||||||
譲渡制限会社における株主ごとに異なる取扱いを行う旨の定款の定め(109A)について定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く) | ||||||
株主全員の同意 | @発起人、役員等、業務執行者等の責任の免除(55、120D、424、462B但、464A、465A) A種類株式発行会社以外の会社が発行する全部の株式について取得条項(107@3号)を設定する定款の変更(110) B株式の発行語に定款を変更して当該株式についても特定の株主からの取得する場合に他の株主が特定の株主に自己をも加えたものを株主総会の議案とすることの請求等に関する規定(160AB)を適用しない旨の定款の定めの設定・変更(164A) C株主総会の招集手続(300@)、決議(319@)、株主総会への報告(320@)の省略(議決権を有する株主の全員の同意) D組織変更(776@) E種類株式を発行していない会社の合併、株式交換の対価の全部又は一部が持分等である場合(783A、804A) |
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議題・議案提案権 | 株主提案の要件・手続 | @議題提案権(法303条):一定の事項を株主総会の目的とすることを請求する権利 A議案提案権(法304条):株主総会の目的事項につき議案を提案する権利 B議案の通知請求権(法305条):株主総会の目的事項につき当該株主が提案しようとする議案の要領を株主に通知することを請求する権利 |
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取締役会設置会社の株主総会の招集通知には議題を記載する必要(法299C)⇒その議題だけが当日決議できるということで、それ以外の議題の決議はできない。 | ||||||
書面投票制度を採用する会社は、議決権行使、賛否の意思形成に必要な情報として株主総会参考書類を交付する必要(法301条、会施則73条以下)。 | ||||||
株主は8週間前に議題提案権を行使することと(法303条)、当日の議案提案権(同304条)が認められる。 〜 議題自体を提案するのであれば8週間前にすることを必要とする一方、会社提案にかかる議題に関し、その内容の変更を求める議案提案は当日できる。 |
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修正動議と議案提案権 | 議案提案権については、既に会社が会議の目的事項と定めた議題に関して総会の議場で「修正動議」を提出するという形で行使することができる。 but 修正動議は、既に会議の目的事項となっている議題(会社提案に係る議題)に対してしか提出できず、一般株主が通常予測しうる範囲を超えた修正あるいは一般株主にとって不利な内容への修正を提案することはできない。 ⇒ 会社提案とは異なる新たな議題および議案を株主総会に提出し、一般株主に対して賛否を問いたい場合は、議題提案権、議案提案権および議案の通知請求権を行使して「株主提案」を行うことになる。 |
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株式保有要件 | 議題提案権(法303条)及び議案通知請求権(法305条)について、 株式保有要件: @総株主の議決権の1%またはA300個以上の議決権を 株主提案の行使日から遡って6ヶ月の間株式を保有していること。 |
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単独で満たす必要はなく、複数の株主が共同して行使することもできる。 | ||||||
株主提案の期限 | 議題提案権(法303条)及び議案通知請求権(法305条)について、株主総会の8週間前までに請求する必要。 (8週間をきっての請求⇒来年の株主総会でも維持されるかどうかの意思確認が必要。) |
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株主提案の方式・手続 | 会社法は書面による提案に限定していない⇒メールや電話の可能性⇒定款変更により「行使手続は株式取扱規定による」⇒書面による提案に限定すべき。 | |||||
提案理由の参考書類への記載(施93@) (第三号又は第四号に掲げる事項が株主総会参考書類にその全部を記載することが適切でない程度の多数の文字、記号その他のものをもって構成されている場合(株式会社がその全部を記載することが適切であるものとして定めた分量を超える場合を含む。)にあっては、当該事項の概要) ⇒定款変更⇒株式取扱規定による⇒字数制限(通常400字) |
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拒否事由 | @当該議案が法令もしくは定款に違反する場合 A実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合 のいずれかに該当する場合は、採用する必要なし。(法304条但書、305条4項) 〜 濫用的な株主提案権の行使を防ぐための規定。 |
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定款違反の株主提案(たとえば定款の取締役の員数上限が10名と定められている会社において12名の取締役の選任を提案する場合)については、定款変更議案と併せて提案し、その承認可決を条件として株主提案を行うことは可能。 | ||||||
招集通知・参考書類・議決権行使書面における取扱い | 会社提案との関係 | 株主提案は内容次第で、会社提案とは全く別個独立の議案となることもあれば、二者択一の関係にたつこともある。 ⇒株主提案と会社提案の関係を検討・整理しておく必要。 |
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全く別個独立の議案となる場合: ・役員改選期でない株主総会において「取締役2名選任の件」(定款違反とならない場合) ・役員改選期で、取締役の員数上限は10名、株主から「取締役2名選任の件」、会社提案は「取締役8名選任の件」 |
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両立しない議案として一括審議されるべき場合: ・役員改選期で、取締役の員数上限は10名、株主から「取締役2名選任の件」、会社提案は「取締役10名選任の件」 |
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招集通知の記載方法 | 議案の内容によって特に付議すべき順序が決まっている場合を除き、先に会社提案に係る議案を記載し、その後に株主提案に係る議案を記載するのが一般。 | |||||
会社提案と株主提案が二者択一の関係に立つ場合: ?会議の目的事項としては別個の議題として記載しておき、審議・採決のみ一括して行う方法。 ?会議の目的事項として同一の議題として記載し、その下に会社提案に係る議案と株主提案にかかる議案を記載する方法。 |
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参考書類の記載方法 | 記載内容(会施則93条1項) @議案が株主の提案に係るものである旨 A議案に対する取締役会の意見があるときは、その意見の内容 B株主が議案の通知請求に際して会社に対して提案の理由を通知したときは、その理由(ただし、当該提案の理由が明らかに虚偽である場合またはもっぱら人の名誉の侵害もしくは侮辱する目的によるものと認められる場合を除く) C議案が取締役・会計参与・監査役・会計監査人の選任に関するものである場合において、株主が議案の通知請求に際して会社に対して会社法施行規則74〜77条に定める事項(役員選任議案における参考書類記載事項) を通知したときは、その内容(ただし、当該事項が明らかに虚偽である場合を除く) |
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B提案理由、C役員選任議案における参考書類記載事項については、株主から通知された内容が参考書類にその全部を記載することが適切でない程度の多数の文字・記号その他のものを使って構成されている場合には、概要を記載すれば足りる。 また、会社がその全部を記載することが適切であると考える分量を定めておくこともできる。(社内規程(定款および株主取扱規程、あるいは株式取扱規程)において字数制限を設ける会社も多く、400字と定める例が多い。) |
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2以上の株主から同一の趣旨の提案が提出されても、参考書類にその議案を各別に木足する必要はない。 2以上の株主から同一の趣旨の議案があった旨を記載すれば足りる。 (会施則93条2項) 提案理由も同じ。(会施則93条3項) |
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議決権行使書面 | @各議案についての賛否を記載する欄、 A賛否の欄に記載がない議決権行使書面の取扱い、 B書面投票・電子投票の重複行使についての取扱い、 C議決権の行使の期限、 D議決権を行使すべき株主の氏名・名称および行使することができる議決権数 を記載(会施則66条1項) |
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総会当日の対応 | 運営シナリオ | @事前の集計結果で会社提案可決・株主提案否決と判明 A事前の集計結果で会社提案否決・株主提案可決と判明 B事前の集計結果で会社提案・株主提案の「いずれが可決されるか判明しておらず、議場での投票・集計作業を行う場合 上記3パターンのいずれになるかを検討し、それに応じたシナリオを用意。 |
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審議の順序 | 特に制約なし⇒各社の採用する審議方法で、審議しやすいように順序をきめれば良い。 | |||||
会社提案と株主提案が二者択一の関係にたつ場合、一方の提案への賛成票は他方の提案への反対票として取り扱わなければならない。 ⇒一括して審議した方がわかりやすい。 |
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株主提案による趣旨説明 | 報告事項の報告終了後、付議議案の上程・説明を行う。 株主提案でも会社から付議している以上、会社の側でその内容および提案理由を説明する必要。 |
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提案株主から補足説明をしたいという要求がある場合、提案株主を指名して提案理由の説明をさせるという方法が考えられる。(法律上の義務はないが、公平性を担保するため検討すべき。) | ||||||
趣旨説明が不当に長時間に及んだり、虚偽を含むなど不適切な説明がされた場合には、議長の権限に基づき説明時間・発言を制限することができる。 | ||||||
会社は、提案株主に対する取締役の意見を定めることができる。(会施則93条1項2号) ⇒ 株主提案による趣旨説明に続けて、それに対する取締役会の意見を説明することは当然に認められる。 |
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会社提案の撤回 | 事前の集計結果から会社提案が否決される見込み⇒?会社提案の撤回か?付議して否決 | |||||
株主総会の目的事項とされた議案については、招集通知の発送後は勝手に撤回できない。 but株主総会の議場で撤回の動議を提出し、それが承認可決されれば撤回できる。 「多数の株主様から積極的なご支持を頂いていなという状況にあり、本議案を総会にお諮りすることは株主様の総意にかなうものではないと考え、撤回を申し出たものです。」 |
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総会での文句への対応 | 株主からの文句⇒「ご意見として承ってよろしいでしょうか」 動議(議案の提案)⇒裁決が必要 |
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プロキシーファイトとなった場合 | 議決権行使書面と委任状の取扱い | プロキシーファイト⇒会社側も提案株主に対抗して、会社に対する賛成票を集めなければならない。 会社は、書面投票制度に基づき議決権行使書面によって自らへの賛成票を集める。 提案株主は、委任状勧誘を行って自らへの賛成票を集める。 |
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議決権行使書面の取扱いや代理権を証明する方法などに関して会社が予め定めることができる。(施行規則66条、63条5号)⇒会社としては、法律で認められた範囲で、自らへの賛成票を確保するために必要な定めを置く必要。 | ||||||
賛否の記載がない場合 | 賛否の欄に記載のない議決権行使書面が提出された場合、それを各議案についての賛成・反対・危険のいずれの取扱いにするかを決めることができる。(施行規則63条3号ニ)
⇒ 白紙の議決権行使書面は、会社提案に賛成、株主提案の反対として取り扱う旨をあらかじめ定めておくべき。?? |
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重複行使の場合 | 株主が重複行使をした場合についても、どの議決権行使の意思表示があったものとして取り扱うのかを決めることができる。(施行規則63条3号ヘ、4号ロ) 集計の方法はできるだけ明快にしておいた方がよく、重複行使の取扱いについてもあらかじめ定めておくべき。 |
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議決権行使書面と委任状が重複行使された場合は、委任状が優先する。 ←書面投票制度は総会に出席しない株主に対して議決権行使を認めるための制度であり、総会への出席があればそちらが優先される。 |
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代理権を証明する方法の取り決め | 代理人による議決権の行使について、代理権(代理人の資格を含む)を証明する方法、代理人の数その他代理人による議決権の行使に関する事項を定めることができる。(施行規則63条5号) | |||||
多くの会社は、定款で代理人を「当社の株主1名」に限ると定めるが、代理権を証明する方法について定めを置いていない。⇒証明資料等を定めるべき。 | ||||||
平成21年1月5日より株券電子化⇒届出印の制度がなくなる。 | ||||||
全株懇の株主本人確認指針では、株主本人確認資料として犯罪収益移転防止法に定める資料が例示列挙されており、 @実印押印と印鑑証明書の提示 A運転免許証等の原本またはコピーの提示等 |
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書面投票の勧誘と利益供与 | 株主の権利行使に関する利益供与(法120条)⇒決議取消事由に該当する可能性 | |||||
平時であれば問題視されない行為(書面投票を促進するための優待策や株主説明会におけるおみやげ・軽食の提供など)であっても、プロキシーファイトの下では相当性を欠くとして「株主の権利の行使に関する利益供与」に該当すると判断されるおそれがある。 | ||||||
プロキシーファイトを戦っている中で、会社が株主に対し書面投票を促進するための優待策(議決権行使書面または委任状を提出した株主に対してクオカードを進呈する)を実施したことが「会社の権利行使に関する利益供与」に該当すると判断され、会社提案の役員選任議案を承認可決した決議が取り消された例。(モリテックス判決 東京地裁H19.12.6) | ||||||
手続的動議対応(委任状勧誘の併用の是非) | 議決権行使書面と委任状では、手続的動議に対する意思表示につき授権できるかどうかの点で違いがある。 ?委任状⇒包括的な白紙委任は認められないものの、手続き的動議に対する意思表示を代理人に委任することは認められる。 ?議決権行使書面⇒手続き的動議について代理権を授与したとは認められない。 |
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総会の議場で手続的動議が出された場合には、事前に提出された議決権行使書面をカウントできない ⇒委任状で手続的動議についても受任を受けている提案株主の側が過半数の賛成を獲得し、当該動議が承認可決される可能性が高い。 (議長不信任などの動議が提出されればそれらがみな承認可決されることになる。) ⇒総会当日の議場での過半数も獲得できるように準備する必要。 |
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委任状勧誘規制の適用除外になる範囲(会社またはその役員のいずれでもない者が10人未満の者から委任状を集める方法)で大株主から包括委任状を集め、その委任状で議場の過半数を獲得できるかどうかをまず確認すべき。 大株主10人未満の者から包括委任状を集めたとしても、議場での過半数を獲得できない場合には、会社の側でも書面投票制度と並行して委任状勧誘規則に則り委任状勧誘を行うべきか検討すべき。 |
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議決権を行使できない場合 | @ | @単元未満株式(法189条1項) | ||||
A | A議決権制限株式: 制限された事項につき議決権を行使することができない。 種類株主総会については、議決権制限株式についても議決権が認められる。 |
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B | B自己株式(法308条2項): 子会社が親会社株式を取得することは原則禁止されているが、例外的に子会社が親会社株式を保有している場合も、議決権は行使できない。 |
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C | C相互保有株式(法308条1項、施行規則67条): 総株主の議決権の4分の1以上を保有していることその他の事由を通じて会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主は、議決権を行使できない。 親会社と子会社の保有分を合算して規定が適用。 |
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D | D特別利害関係を有する株主の所有する株式(法160条4項等): 会社が自己株式を取得する一定の場合には、自己株式取得を承認する株主総会決議において、取得の相手方となる株主は議決権を行使することができない。(法140条3項、160条4項) |
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規定 | 会社法 第140条(株式会社又は指定買取人による買取り) 株式会社は、第百三十八条第一号ハ又は第二号ハの請求を受けた場合において、第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(以下この款において「対象株式」という。)を買い取らなければならない。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。 一 対象株式を買い取る旨 二 株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類及び種類ごとの数) 2 前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。 3 譲渡等承認請求者は、前項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、当該譲渡等承認請求者以外の株主の全部が同項の株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。 |
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会社法 第160条(特定の株主からの取得) 株式会社は、第百五十六条第一項各号に掲げる事項の決定に併せて、同項の株主総会の決議によって、第百五十八条第一項の規定による通知を特定の株主に対して行う旨を定めることができる。 2 株式会社は、前項の規定による決定をしようとするときは、法務省令で定める時までに、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、次項の規定による請求をすることができる旨を通知しなければならない。 3 前項の株主は、第一項の特定の株主に自己をも加えたものを同項の株主総会の議案とすることを、法務省令で定める時までに、請求することができる。 4 第一項の特定の株主は、第百五十六条第一項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、第一項の特定の株主以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。 |
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E | E基準日後に発行された株式 会社側からそのような株主の議決権行使を認めることは、基準日株主の権利を害さないかぎり、さしつかえない。(法124条4項) 基準日現在の株主を害する場合:基準日現在の株主が、基準日後に所有する株式を譲渡し、その株式を譲り受けた者を会社が議決権を行使することができる者と定め、基準日現在の株主が議決権を行使できなくなるような場合。 |
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★議事進行 | 議事進行に関する権限は議長にあり、取締役や監査役にはない。 | |||||
取締役が議長であっても、議事進行を主宰する議長の資格において説明義務はない。 | ||||||
議事の進行については、第一次的には議長の判断、最終的には司法判断に委ねられるべきもの。 | ||||||
★動議への対応 | ★動議への対応 | |||||
動議 | 会議体の構成員が会議に付議することを求めて提議する事項。 | |||||
手続的動議と実質的動議 | 手続的動議 | 議事進行など手続きに関する動議 | ||||
議決権行使書面による株主の議決権は出席者にカウントされず、現実の出席株主(代理人による出席を含む)によって賛否を決する。 | ||||||
手続的動議はそれ自体の違法では決議取消請求の訴えの利益がないとして却下した判決例(札幌高裁H9.1.28)。 | ||||||
実質的動議 | 議案の内容に関し原案を修正する動議 | |||||
議決権行使書面による株主も出席者として算入されるが、修正動議には賛成しない株主として(原案に賛成の株主は修正案に反対、原案に反対する株主は修正案に賛成か反対か不明であるので賛否を表示しない株主として結果的には修正案に反対と同様となる。)計算し、おおむね修正案は過半数を得られないとして否決される。 | ||||||
必要的動議・裁量的動議・不適法動議 | 必要的動議 | 必ずこれを取り上げて議場に諮らなければならないもの。 | ||||
規定 | 会社法 第317条(延期又は続行の決議) 株主総会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第二百九十八条及び第二百九十九条の規定は、適用しない。 |
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会社法 第316条(株主総会に提出された資料等の調査) 株主総会においては、その決議によって、取締役、会計参与、監査役、監査役会及び会計監査人が当該株主総会に提出し、又は提供した資料を調査する者を選任することができる。 |
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会社法 第398条(定時株主総会における会計監査人の意見の陳述) 2 定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計監査人は、定時株主総会に出席して意見を述べなければならない。 |
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● | 延期(議事に入らないで総会を延期)・続行(議事に入ったが審議が終わらないで総会を後日に継続)(法317条)、調査者選任(法316条)、会計監査人の出席要求(法398A) | |||||
議長不信任の動議。 原案に対する適法な修正動議。 |
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● | 原案修正の動議が提出されたにもかかわらず、これを無視して議事を進行した場合には決議取消の理由となるとする判例。(最高裁昭和58.6.7) ⇒このような修正動議が提出された場合には、一応議場に諮って決議する必要。 |
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総会前日までに会社に送付された議決権行使書面により原案が賛成多数で確実に可決されることが明らかで、原案修正の余地のない場合: @議長は修正動議が提案されたことを報告の上、修正動議の内容の賛否に先立ち、まず修正動議を議案として取り上げるかどうか、これを取り上げないで原案を先議するかどうかを議場の諮る、 ⇒ A原案先議が可決(これには議決権行使書面は利用できない) ⇒ B原案を先議し、原案が可決されたときにはそれをもって当該議題は議了したことなり、修正案審議の必要はなくなる。 |
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議長不信任の動議 | 総会の議長たるべき者を定款で規定 ⇒定款の定めに従って会長または社長が総会の議長を務める。 総会はこの規定に反してこれを排除することはできないから不信任の決議そのものができない。 ⇒不信任動議を取り上げる必要はないと考えられる。 |
|||||
議長として公正な議事進行ができないと客観的に認められるような特段の事情があるときは、議長そのものの適格を欠き、定款に規定されている「議長に差し支えあるとき」に該当し、定款の定めによって次順位の者が議長となる。 | ||||||
議長が取締役としての責任を追及され、刑事告訴を受けていて議長として公正な議事進行ができないと客観的に認められるような特段の事由があるときは(大阪高裁昭和42.9.26)、議長そのものの適格を欠き、一般に定款に定められている「議長に差し支えあるとき」に該当 ⇒定款の定めによって次順位の者が議長となる。 |
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多数で不信認動議が可決されるおそれがない場合、大事をとり、法律上の争いを避け、また議事を円滑に進行するため、議長が議場に諮って不信認動議を否決し、再三の動議は一時不再理の原則により却下するのが実際的なやり方。 | ||||||
剰余金の配当に対する修正動議 | 修正案が提出されたことを議場に明らかにした上、 @採決の順序につき原案を先議することを議場に諮り、 A可決された時は原案を付議して、 B原案が多数決をもって可決されたときは剰余金配当の議事は終了。 |
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定款変更議案に関する修正動議 | 取締役会設置会社の株主総会の招集通知には議題を記載(会社法299条4項) 〜 取締役会設置会社ではその議題だけが当日決議でき、それ以外の議題の決議はできない。 |
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株主は、8週間前に議題提案権を行使することと(会社法303条)、当日の議案提案権が認められている(同304条)。 〜 議題自体を提案するのであれば8週間前にすることを必要とする一方、会社提案にかかる議題に関し、その内容の変更を求める議案提案は当日できる。 |
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会社法では、議題はあくまで「定款一部変更の件」 ⇒当日会社提案の条文以外の条文を変更すべきだとする議案提案が、適法な提案、動議となる。 |
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質疑打ち切りの動議 | @報告事項に関する質疑を打ち切って、決議事項の審議に入ろうとする動議。 A決議事項の審議に際して質疑や討議を打ち切り、採決しようという動議。 @は決議取消の問題は生じないが、Aは決議取り消しの問題が生じ得る。 |
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@について、報告事項について十分に質問、説明が行われ、客観的に見て通常人が報告事項の内容について十分理解し得たと認められた段階になれば、報告事項についての質疑を打ち切ることができる。 | ||||||
Aについて、決議事項についても、十分な質疑応答や討論がなされ、採決する機が熟したものと認められたときは、まだ発言希望者がいても、質疑を打ち切り、採決をなし得る。 | ||||||
このような段階に達したと認められるかは、客観的に判断されるべきものであり、多数決によって決定されるべきものではなく、最終的には司法判断によるほかない。 but 第1次的には議長が判断して議事を進めるべき。 議長がこれを独断で決定せず、議事に諮って多数の株主の意見を聞いて議事進行を決定することは、総会の民主的な運営として望ましい。 多数が質疑打ち切りを望んでいることが明らかとなれば、一般には客観性も有する。 ⇒ 時機をみて議長自らが議場に諮るか、あるいは動議の提出を待ってこれを議場に諮り、議事進行を決することが実務上適切な方法。 |
||||||
★取締役等の説明義務(法314条) | ★取締役等の説明義務(法314条) | |||||
説明義務 | 規定 | 会社法 第314条(取締役等の説明義務) 取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。 |
||||
内容 | 取締役・会計参与・監査役・執行役は、総会において株主が質問した特定の事項について説明義務を負う(法314条) ⇒一般的な法解釈や経営論を討議する場ではない。 |
|||||
趣旨 | 議題に関する質疑応答の機会を保障するという会議体の一般原則を規定したに過ぎず、株主に投資判断資料を得る等の特別の情報開示請求権を付与したものではない。 | |||||
説明を拒否できる場合 | @ | @その事項が総会の目的事項(決議事項と報告事項を含む)と関係がない場合 | ||||
株主が説明を求めた事項が議題と何の関連性があるかの観点のほか、たとい関連性はあっても、議題に関し株主が判断をなすためにそこまで詳しい説明が客観的に必要か否かの観点から判断される。 | ||||||
株主総会において退任取締役に支給する退職慰労金の具体的金額、支払時期・方法を明示せず、会社所定の基準に従い金額等を決定すべきことを取締役会に一任する退職慰労金の具体的金額、支払時期・方法を明示せず、会社所定の基準に従い金額等を決定すべきことを取締役会に一任する決議をなす場合には、株主は、決議の賛否を決する必要上、当該所定の基準につき説明を求めることができる。(東京地裁昭和63.1.28) しかし、退職慰労金の具体的金額を明示した決議がなされる場合には、株主は、退任する取締役の略歴・功績に関する情報が与えられれば議案への賛否の判断が可能であるから、右金額がいかなる計算式・基準に基づき算出されたかの説明を求めることはできない(大阪高裁H2.3.30) |
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A | 説明することが株主共同の利益を著しく害する場合: 技術情報、新製品に関する情報、販路の開拓等の企業秘密等 |
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Bその他正当な理由があるとして法務省令で定める場合 | (1)説明をするために調査が必要な場合(会社則71条1号) ただし、当該株主が総会の会日より相当の期間前に当該事項を会社に対し通知したとき(質問状の提出)、または、調査が著しく容易であるときは、説明を拒絶できない。 株主による質問事項の事前通知は、総会における質問に代替するものではない⇒株主が総会の場で実際にその質問をしない限り、取締役等に説明義務は生じない。(東京地裁H1.9.2) |
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(2)当該質問事項につき説明をすることにより会社その他の者の権利を侵害することとなる場合(会社則71条2号) | ||||||
(3)株主が当該総会において実質的に同一の事項について繰り返して説明を求める場合(会社則71条3号) | ||||||
(4)その他株主が説明を求めた事項について説明をしないことにつき正当な事由がある場合(会社則71条4号) | ||||||
説明義務の限界 | @機関の性格・株主の権利 | 貸借対照表、損益計算書等の計算書類、事業報告を株主総会の招集通知に際して株主に提供する。またこれらの書類と附属明細書は定時総会の会日の2週間前から本店で5年間、支店ではその謄本を3年間備え置いて、株主の請求があったときには閲覧させ、または費用を徴して謄本を交付しなければならない(会社法437条、442条)。 事業報告は株主総会において報告し、また監査役、会計監査人のいわゆる適法意見があるときには貸借対照表、損益計算書等の内容を株主総会において報告しなければならない(439条)。 これらの書類の内容は法務省令によって法定されており、その内容が必要にして十分でありかつ適切な開示と報告がされるならば、会社の事業や計算についての株主に対する取締役・監査役の開示の義務は履行されたことになり、株主はこれと別個にこの内容以外の情報の開示を請求する独立の権利を有するわけではない。 |
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会社法314条に規定される取締役会や監査役の説明義務は、株主の会社情報の開示請求権とみるべきでなく、「決議事項については株主の議案の賛否の合理的判断のために必要な具体的情報提供を義務付け、株主の総会参与権の実質化をはかる趣旨」であり、「説明義務の範囲乃至内容も無限定ではなく、合理的制約が課せられ・・・議案の賛否の合理的判断のために必要な限度で説明すれば説明義務を尽くした」というべきである。(大阪高裁H2.3.30) | ||||||
A会計帳簿閲覧権との権衡 | 総株主の議決権の100分の3以上の株式を有する株主には理由を付した書面を会社に提出して会計帳簿や書類の閲覧・謄写を求める権利が認められている。(法433条) その行使にあたっては、調査目的や理由を明示し、これに必要な帳簿や書類を具体的に特定して閲覧を求めなければならない。(最高裁H2.11.8) ⇒ そのような要件を満たしていない1単元株主に、会計帳簿閲覧請求権と同様、またはそれ以上の詳細な事項にわたる質問権があると解すべきではない。 |
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B取締役会議事録との権衡 | 取締役会の議事録を閲覧するには、株主の権利の行使のため必要であることを証明して裁判所の許可を得て初めて可能となる。(法371B) しかも、そこで得られる情報はあくまで議事の概要。 ⇒総会当日の質問でそれ以上の詳細なことまで説明すべき理由はない。 |
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報告事項の説明の程度 | 報告事項として記載されている不明な点をただし、これらの内容を若干補足し、より一層の理解を深めるに必要で合理的な範囲にとどまるべきものであり、「株主が会議の目的事項を合理的に判断するのに客観的に必要な範囲」で足りる。 | |||||
決議事項の説明の程度 | 法は、議決権の行使をするためには株主総会参考書類に記載すべきものとされた程度の内容によって議決権行使の意思決定が可能との前提に立っており、議決権行使の意思決定に際して必要な参考事項の内容はこれで足りる。 ⇒ 決議事項に関する株主の質問権および役員の説明義務は、法務省令で定められた株主総会参考書類を基準として、これを多少補足する程度をもって足りる。 |
株主総会終了後の実務 | ||||||
◆ | ◆ 株主総会決議通知等、配当関係書類の送付等 | |||||
■ | ■1 株主総会決議通知等の送付 | |||||
■ | ■2 配当菅家書類の送付 | |||||
■ | ■3 源泉徴収税の納付 | |||||
源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、その徴収の日の属する月の翌月10日までに国に納付。 | ||||||
■ | ■4 配当金支払調書へのマイナンバーの記載 | |||||
国内において配当等の支払いをする者は、その支払いを受ける者の住所、氏名、株式数、配当金額等を記載した「配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書」およびその合計表を作成し、支払いの確定した日より1か月以内に所轄税務署長に提出(所得税法225条1項)。 | ||||||
平成28年1月1日以降の支払いに係る配当金支払調書からいわゆるマイナンバーが支払調書の記載事項として通知されている。 | ||||||
◆ | ◆ 株主総会後に開催される取締役会 | |||||
■ | ■1 代表取締役および役付取締役等の選定等 | |||||
■ | ■2 株主総会・取締役会の招集者および議長となるべき取締役の順序の決定 | |||||
■ | ■3 取締役の競業取引、利益相反取引の承認 | |||||
■ | ■4 取締役の報酬の配分決議等 | |||||
■ | ■5 その他 | |||||
◆ | ◆ 株主総会終了後の監査役会 | |||||
@監査役会議長(招集者)の選定 A常勤監査役の選定および解職(会社法390条2項2号、3項) B特定監査役の選定、特別取締役による取締役会決議制度(会社法373条)がある場合における特別取締役会に出席する監査役の選定(同法383条1項) C監査役の報酬等の協議(退任監査役の退職慰労金支給額の協議)(会社法387条2項) |
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◆ | ◆株主総会の議事録の作成・備置き | |||||
■ | ■1 株主総会議事録の作成 | |||||
■ | ■2 株主総会議事録の備置きおよび閲覧謄写請求への対応 | |||||
◆ | ◆ 議決権行使書等の備置き | |||||
◆ | ◆ 登記関係 | |||||
◆ | ◆ 有価証券報告書および臨時報告書の提出 | |||||
■ | ■1 有価証券報告書 | |||||
事業年度経過後3か月以内に提出 | ||||||
■ | ■2 臨時報告書 | |||||
決議の結果や賛成・反対・棄権の議決権数等を記載した臨時報告書を、遅滞なく提出。 | ||||||
◆ | ◆ コーポレート・ガバナンス報告書の提出等 | |||||