シンプラル法律事務所
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新版注釈民法

★★1:総則(1) 1〜32の2条  
★第1編 総則  
☆序説  
     
☆1条(基本原則)  
     
     
  ◆V 信義誠実の原則(p73) 
   
     
  ◇(5) 信義誠実の原則の具体的適用事例
  ■(ア) 序説 
  ■(イ) 権利ないし地位の主張と信義誠実の原則 
 
     
  □(c) 禁反言の法理(p98) 
    権利の行使または法的地位の主張が、
先行行為と直接矛盾する故に、または
先行行為により惹起された信頼に反する故に、
その行為を認めることが信義則に反するというされる場合。 
    先行行為に矛盾する当該行為が信義則に反するかどうかの判断は、かかる行為をめぐる当事者間での事情を総合的に考慮してななされなくてはならない
but
考慮されるべき主要な事情は次のようなもの。
    @先行行為の内容がいかなるものであるか、その際の行為者の主観的な態様がどのようなものであるか。
ex.
ある種の無効原因があることを知りつつ法律行為をなしたなどの事情⇒後にその無効を自己に有利に援用することが許されないなどの判断に結びつきやすい
but
正当に存する権利の行使が単になされないでいたにすぎない⇒たとえ相手方がもはや権利の行使(たとえば無効の主張)がなされていないと信頼しても、それを基礎づける特別の事情(不行使がかなり長期間に及ぶとか、追認的な行為があるなど、信頼がもっともとされる事情)がないと、権利の行使を信義則違反と断じることはできない。
A矛盾的行為により不利益を被る者が、先行行為を信頼していること。とりわけ、それを前提にしてその後に自分の地位を変更したなどの事情があること。

相手方の先行行為の内容・性質によりその程度が異なることが考えられる。
先行行為と矛盾するという要素が主となって権利の行使が許されないと判断される場合⇒相手方の信頼という要素が希薄化する場合もある(ex.125条(法定追認)、705条(債務の不存在を知っての弁済)
惹起された信頼を裏切ることが権利行使を許さないことに結び付く場合は、信頼(を支える客観的な事情)の比重が増大。(ex.権利失効の原則の適用の場合)
     
  ●(i) 先行行為抵触型(p99) 
     
  ●(ii) 信頼惹起型(p102)
  ◎@時効の援用 
  その態度・言動により、弁済が確実になされるであろうとの信頼を惹起させ、債権者に時効中断の措置を執ることを怠らせたのに、時効期間が経過するや態度を変じてh時効を援用することは、相手方に生ぜしめた信頼を裏切ってはならないという意味で信義則に反する。
     
  ◎A時効完成後の債務承認 
    時効完成後に債務者が債権者に対し債務の承認(一部の弁済、弁済延期、減額等を懇請)をした場合⇒時効完成の事実を知らなかったときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用が許されない。
     
  ◎B無効の主張 
     
  ◎C無効の主張 
     
  □(d) 権利失効の原則(p104) 
     
  □(e) 配信的悪意者排除法則(p106) 
     
  ■(ウ) 契約関係と信義誠実の原則(p110) 
     
     
     
     


★★3:総則(3) 90〜98条  
★第1編 総則  
☆序説  
     
☆95条(錯誤)(p385)  
  ◆T 総説 
     
     
     
  ◆U 本条の適用範囲 
◇    ◇(1) 民法上の問題 
     
■    ■(イ) 和解と錯誤との関係(p396)
規定 民法 第六九五条(和解)
 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
民法 第六九六条(和解の効力)
当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。
  □(a)  695条と95条との関係
  ●@争いの対象についての錯誤 
  ●A争いの対象外についての錯誤 
  ●B 
  ●C検討 
     
     
  □(c) 訴訟上の和解
     
     
     
     
     
     
     
     
     



★★7:物権(2) 180〜294条  
     
     
     
  ☆183条(占有改定)
    第183条(占有改定)
代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。
  ◆T 本条の意義 
  ◇(1) 占有改定 
    占有改定:自己の占有物につき、他人の自主・間接占有を承認し、自主占有を他主・直接占有に改めること。
ex.売買において、売主が売買の目的物を買主に引き渡さず、賃借人、使用者人、受寄者等として引き続き所持する場合。
     
  ◇(2) 「代理人」の語義 
     
  ◇(3) 占有代理関係の成立 
    占有改定:自己占有から他主・直接占有への合意による改定を内容とするもの。
    譲渡人(自己占有者(「自主占有者」が「直接占有」すうる場合))が合意によって譲受人の単なる占有機関となる場合:
譲受人が自己(=自主・直接)占有者となるにとどまり、代理占有関係は成立しない。
but
占有改定に準じて一種の観点的引渡しと見て、対抗要件としての効果等を認めるべきであろう。
    占有改定の合意=「以後本人のために占有する」旨の合意。
but
賃貸借や寄託契約がなされる場合に限らず、広く、代理占有関係(自己の占有を本人の占有から引出し、終局的に物を本人に返還すべき事実上の、かつ、客観的な関係)の成立を結果する合意であれば足りる。
     
  ◇(4) 事案 
    @農地の売買において契約成立の当時1年間だけ売主が借りて耕作することとした場合⇒占有改定による引渡しがあったという主張を包含するものと見ることができる。
A会社が取締役に物件を譲渡した際に同取締役が会社に当該物件を賃貸⇒その譲渡行為が無効であっても占有改定の成立に変わりはない。
B小切手の取立を弁護士に委任but支払を拒絶されたため、弁護士に訴えの提起を依頼して小切手をそのまま弁護士の手にとどめた⇒依頼者は占有改定の方法によって小切手の占有を取得する。
     
  ◆U 動産物権変動の対抗要件と占有改定 
  ◇(1) 引渡しの態様 
     
  ◇(2) 判例 
    占有改定をもって178条の「引渡し」が成立することを承認。
     
    売渡担保ないし譲渡担保契約によって外形上物件の授受なく目的物を譲渡するとともに使用貸借によって引き続き使用ときは、占有改定の意思表示がなされたものとし、それをもって動産物権変動の公示方法を具えたものと解される(東京地裁)。
譲渡担保契約成立後は担保権設定による目的物の占有は他主占有となり、担保権者は、債務者が引き続き目的物を占有するときは、自主・間接占有者となる(名古屋高裁)。
    構成部分の変動する集合動産:
集合財産も目的物の範囲が特定される場合には一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。
担保権設定契約の締結にあたって「債務者(=設定者)がその構成部分である動産の占有を取得したときは債権者が占有改定の方法によってその占有権を取得する」旨の合意に基づき、債務者が同集合物の構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、債権者は、当該集合物を目的とする譲渡担保権につき対抗要件を具備したことになり、その効力は、その後構成部分が変動したとしても、集合物として同一性が損なわれない限り、新たにその構成部分となった動産を包含する集合物に及ぶ(最高裁)。
     
  ◆V 即時取得と占有改定 
     
    判例:
占有改定を動産物権動産物権変動の対抗要件に関しては肯定、
即時取得の成立要件としては否定
     
     
     
     
☆186条  
    第186条(占有の態様等に関する推定)
占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
2 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。
  ◆T 占有の態様 
  ◇(1) 所有の意思の有無 
  ■(ア) 自主占有・他主占有 
    占有:自己のためにする意思をもってすることを要する(180条)
そのうち「所有の意思」をんもってする占有⇒「自主占有」
「所有の意思」を有しない占有⇒「他主占有」
   
     
     
     
★第3節 共有  
 ☆前注(249条〜264条) 
   
     
     
☆249条(共有物の使用)  
   
  ◆T 総説
     
  ◆U 共有物の使用 
     
     
    ただし、不動産の共有者の一部の者が単独で占有していることにより持分に応じた使用が妨げられている他の共有者は、占有者に対し、持分割合に応じて占有部分に係る地代相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求できる(最高裁)。 
この場合、他の共有者協議に応じない場合には、裁判所で使用方法を決定する手続が定められていない⇒協議に代わる決定を求めることはできない
⇒結局、使用方法に不満のある共有者は後述の共有物分割を請求する外はない。
     
     
     
     
     
     
     

★★13: 債権(4) 521条〜543条  
★第2章 契約
     
☆☆第1節 総則  
☆☆序説  
   
☆U 契約の解釈(p27)  
     
  ◆(3) 契約の解釈の方法
  ◇(ア) 当事者の意思の探求
     
  ◇(イ) 契約の解釈の基準
    当事者が契約によって達成しようとしていた経済的・社会的目的を考慮し、これに適合するように契約を解釈しなければならない。

@契約に使用された文字に拘泥してはならない
A矛盾するような条項を含むときは、統一するように解釈すべきこと
Bなるべく内容が有効、可能になるように解釈すべきこと
     
  ●第1 当事者が契約時にどのような目的を意図していたかを考慮すべき
   
@当事者が達成しようと意図していた社会的・経済的目的に適合するように契約を解釈すべき
A当事者の意思の探求を重視すべき
     
  ●第2 契約に使用される言葉や契約の内容に慣習がある場合には、それに従った解釈がなされなければならない
     
  ●第3 契約に欠けている部分、不明瞭な部分がある場合⇒任意規定に従って、その意思を補充したり、解釈したり 
     




★★15: 債権(6) 587条〜622条  
     
     
     
     
     
☆597条 使用貸借の返還時期  
    (借用物の返還の時期)
第五九七条 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。
2当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。
3当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。
  ◆T 総説 
  ◆U 返還時期の特約 
  ◆V 当事者が返還の時期を定めていないが、契約目的が定められている場合の返還時期 
  ◇(1)
  ◇(2) 
    当事者が返還の時期を定めなかった⇒借主は契約に定めた目的に従い使用収益の終わった時点で返還義務を負う。
当事者間に、目的に従っての使用収益が終わったか否かについて争い⇒
契約締結の事情、
目的物が何か、
契約がなされた目的、
契約後にどのくらい期間が経過したか
その他諸般の事情
を総合考慮して、
契約締結後相当期間が経過したときは、借主の使用収益は終わったものとみなす。
⇒本条2項本文は、目的物を無償で「相当期間」貸した場合の規定。
契約締結後の事情により、2項本文の「相当期間」よりも早く、使用貸借を終了させるべきだと考えられる場合⇒2項但書が規定。
but
その但書は、その一場合である「ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したとき」の場合だけを明文に表現。
    建物の使用貸借:
確定期限や不確定期限の定めあり⇒本条1項
認定により相当の期限の定めあり⇒本条2項本文の適用
契約締結後の事情より2項本文の相当期間より、更に短い相当期間の認定がされる場合⇒2項但書
    宅地の使用貸借:
宅地に建物を築造して使用するという目的の約定がなされていると解すべき。
その場合、建物の朽廃の時までと解すべきかいなか?
賃貸借⇒借地法の適用⇒朽廃の時と認められる場合ある
使用貸借⇒無償⇒同一には論じられない
朽廃までとした裁判例(東京地裁昭和31.10.22):
兄弟甲乙の父が自己所有の土地に建物を建築、これを乙に贈与するとともに敷地を期間を定めず無償で貸与。
父死亡⇒甲が家督相続して上記土地の所有権と敷地の使用貸主の地位を承継⇒乙に対し、本使用貸借には期間の定めがないとして、本条3項により本件土地の返還を請求。

判断:
亡父は、乙がその財産として本件建物を朽廃するまで保存し、これを貸家にして賃料を取得することにより、生活の一助とし、または乙が将来事業に失敗したようなときでも、本件建物を一過の住宅として事業の再建を図ることができるようにという目的で、乙に本件建物を贈与し、かつ本件土地の無償使用を認めたものであることが認められる。
but
使用貸借契約はもっぱら
     
  ◆W 返還の時期または使用および収益の目的の約定がない場合 
     
     
     
     
     
☆599条  
     
    貸主の死亡にかかわらず、使用貸借の存続を認めた判例:
東京地裁昭和56.3.12:
建物所有の目的での土地使用貸借であり、
借主が死亡し、病臥中のその妻を借主の三女夫婦が面倒をみつつ2人の子とともにその建物に居住
判例時報解説:
建物所有を目的とする土地の使用貸借においては、本条の規定するような、「個人的考慮を重視する必要はないし、また、特段の事情のない限り、建物所有の用途にしたがって使用を終わった時にその終期が到来するとされている(最高裁)ことからすと、建物の使用が終わらない間に借主が死亡しても土地の使用貸借が当然に終了するものではなないといえよう(同旨:大阪高裁判例)」
    借主その人を考慮して貸したのでないと認められる場合は本条の適用を認むべきではない。
     
     
     
     

★★16:債権(7) 623〜696条  
     
     
     
☆644条(受任者の注意義務)  
    民法 第644条(受任者の注意義務)
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
  ◆T 受任者の事務処理義務の位置づけ 
  ◇1 委任の無償性/有償性と本条の意味 
  ◇2 事務処理義務の内容・程度 
  ◇3 委任上の善管注意義務と忠実義務の関係 
  ■(1)  
  ■(2) 
会社法 第三五五条(忠実義務)
 取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
最高裁昭和45.6.24:
取締役の義務との関連において、忠実義務に関する規定が「644条に定める善管義務を敷衍し、かつ一層明確にしたにとどまるのであって、・・・通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものとは解することができない。」
  ■(3) 信託法上の受託者の忠実義務との対比 
受託者の忠実義務:
@信託財産の利益と受託者個人の利益とが衝突するような地位に身を置いてはならない(第1原則)
A信託事務の処理に際して自らの利益を得てはならない(第2原則)
B信託事務の処理に際して第三者の利益を図ってはならない(第3原則)

A:信任関係に基づく他人の財産管理制度を根本に据え、前述のような忠実義務が、善管注意義務の内容として、すべての受任者に認められるべきであるとする見解(道垣内)
B:本条所定の「委任の本旨に従い」とは、「受任者は、委任者の信頼に応えて、誠心誠意、忠実に、委任者のために委任事務を処理すべきであって、委任の目的に反する行動をしてはならない」との意味を含む広範なものと捉え、善管注意義務への忠実義務の包摂を説く見解(潮見)
   
  ◆U 善管注意義務の内容 
  ◇1 委任の本旨に従った履行1・・・専門的・職業的な善管注意義務 
     
  ◇2 委任の本旨に従った履行その2・・・ボランティアと善管注意義務 
     
     
     
     
     
     
     
     
★★(18)債権(9)  
     
     
     
     
     
☆704条  
     
     
  ◆「利息」の付加返還義務 
  ◇(1) この義務の性質 
    通常かつ最小限の損害賠償をさせる趣旨