シンプラル法律事務所
〒530-0047 大阪市北区西天満2丁目6番8号 堂島ビルヂング823号室 【地図】
TEL(06)6363-1860 mail:
kawamura@simpral.com 


新注釈民法(親族)

★★17 親族(1) 725条〜791条
 
 
     
     
     
     
     
☆762(夫婦間における財産の帰属)T 本条の趣旨  
    婚姻中の夫婦財産の帰属・管理および解消時の清算を規律する夫婦財産制の規定
     
  ☆762(夫婦間における財産の帰属)U 本条の解釈論  
  ◆1 別産制説 
     
  ◆2 共有財産の範囲拡大説 
  ◇(1) 実質的共有説(種類別帰属説) 
     
    夫婦財産
第1種:名義実質ともに各自の固有財産(婚姻前からの所有財産、婚姻中無償取得した財産が含まれる)
第2種:名義実質ともに夫婦共有財産(共同生活に必要な家財・家計などを含む)
第3種:名義は夫婦一方にあるが、実質的には共有に属する財産(婚姻中に夫婦が協力して取得した不動産や預金・株券などが含まれる)
     
   
     
  ◆ 
     
  ☆762(夫婦間における財産の帰属)U 裁判例(p262)
  ◆1 判例 
    本条が別産制を採用した規定であると解している。
     
     
  ◆2 下級審裁判例 
     
     
     
     
     
     
     
     
     
☆768(財産分与)U  財産分与の法的性質・内容(p397)
     
  ◆1 清算的要素=清算的財産分与 
  ◆2 扶養(補償)的要素=扶養(補償)的財産分与
  ◆3 慰謝料的要素=慰謝料的財産分与 
    相手方の有責行為により、「離婚をやむなくされた精神的苦痛」に対する損害賠償を、離婚慰謝料と呼び、判例・通説がことを認める。
    判例:
婚姻中の夫婦一方により、虐待・侮辱などの身体・自由・名誉など個別の違法行為による慰謝料とは別に
有責行為により「離婚をやむなくされた」ことによる離婚慰謝料が認められるとする。
(最高裁昭和31.2.21)
but
離婚慰謝料において、有責行為自体による精神的苦痛は考慮しないとする趣旨かは明らかではない。
  学説:
離婚原因となった夫婦一方による個別の有責行為(暴力・虐待・不貞行為・悪意の遺棄など)による慰謝料(離婚原因慰謝料)と、
離婚をやむなくされたこと自体による慰謝料(離婚自体慰謝料)
とを区別し、
A:多数説(峻別説):離婚慰謝料は後者の離婚自体慰謝料を指し、離婚原因慰謝料は離婚とは別個独立した不法行為に基づく損害賠償と捉えている。
B:一体説:離婚原因となった個別有責行為の発生から、離婚に至るまでの一連の経過を、全体として1個の不法行為と捉え、離婚慰謝料には、離婚原因慰謝料と離婚自体慰謝料が含まれる。
裁判実務:
離婚慰謝料の請求に関して、離婚原因となる有責行為により婚姻が破綻し、離婚を余儀なくされたことを認定したうえで、離婚慰謝料として一体説に近い一括処理がなされている。
but
広島高裁H19.4.17は、
前訴で不貞行為に基づく慰謝料請求が認められた事案について、後訴における離婚慰謝料とは訴訟物が異なり、既判力は及ばない。
  離婚自体慰謝料とは何か、これを認めるべきか 
離婚原因となった個別的有責行為による慰謝料については、不法行為に基づく損害賠償と考えられており(ただし、不貞行為や悪意の遺棄といった夫婦間での義務違反、特に不貞行為をめぐっては、不法行為として慰謝料を認めるべきかについてはは議論がある。)
判例・学説は離婚自体慰謝料についても不法行為に基づくとしている。
多数説:
被侵害利益として、
同居協力扶助等の権利義務によって守らている婚姻の永続性に対する期待や、
「配偶者としての地位」
をあげ、
相手方の有責行為による離婚によってこれらが侵害され、精神的苦痛が生じる。
そもそも、離婚による精神的苦痛の内容が離婚後の生活の不安や安定的地位を失ったことにある

清算的・扶養(補償)的財産分与でカバーすべきであり、離婚慰謝料を認める必要はなく、次の財産分与との関係という議論も生じない。
尚、離婚を余儀なくされたことによる精神的苦痛というのも、当初の個別有責行為により離婚に至ったという場合の、損害の範囲の問題にすぎず、個別的有責行為についての慰謝料を認めれば足りるとする見解もある(窪田)。
     
  ◆4 離婚慰謝料と財産分与との関係 
    財産分与の法的性質:
A:慰謝料的要素が含まれるとする包括説
B:清算・扶養(補償)摘要素のみであり、有責性を前提とする慰謝料は含まれないとする限定説
判例:
離婚慰謝料請求と財産分与請求とは一応別個としつつ、
財産分与において慰謝料請求を含めて決定することも、
別個独立した離婚慰謝料を請求することも認められる。
but
離婚慰謝料についての二重請求を認めるわけにはいかない。

離婚請求に財産分与の附帯処分申立て(人訴32条1項)と離婚慰謝料の併合請求(人訴17条)の2本立て請求が行われた場合について、最高裁は、2本立て請求を認めた上で、「その場合には裁判所は財産分与額を定めるにつき損害賠償の点をその要素として考慮することができなくなる」とした。
    現在の実務上、
離婚訴訟では、離婚慰謝料は、財産分与とは別個の訴訟物として申立てられることが通常であり、
判決においても、それぞれ別個の請求に対する判断が行われる。
また、
離婚後の財産分与の審判・調停申立てに関しても、財産分与と離婚慰謝料は、別個の申立てとして扱われている。
     
     
     
     
     
☆768(財産分与)W  財産分与の具体的決定基準(p408)
  ◆1 清算的財産分与の決定 
     
  ◇(1) 清算的財産分与の対象財産の範囲および基準時(p408) 
     
  ■(ア) 婚姻中に夫婦の協力により取得した財産(夫婦の共同形成財産)(p409) 
     
    婚姻中に取得した財産は、第三者からの相続・贈与(大阪高裁は、夫から妻に対する贈与財産を清算対象外とした。)などにより無償取得した財産を除き、夫婦の協力により取得した財産として、清算の対象となる。
     
    婚姻中の有償取得に特有財産(婚姻前の預貯金、特有財産の売却代金など)の一部が用いられた場合は・・・財産取得に対する協力・寄与が問題となりうる。
A:清算対象財産の範囲の問題とするもの。
B:清算割合(寄与度)の問題とするもの。

清算対象財産の範囲(清算対象額)に関する寄与の問題と
確定した清算対象財産全体に対する清算割合を決める際のいわゆる寄与度の問題は異なり、
財産取得に対する特有財産による寄与部分(割合)を清算対象財産から除外する方法がより簡明。
     
  ■(イ) 相手方の特有財産の維持形成(p411) 
     
  ■(ウ) 退職金・年金(p412) 
     
     
  ◇(2) 清算的財産分与の清算割合 
     
     
  ◆2 過去の婚姻費用の清算 
     
     
  ◆3 扶養(補償)的財産分与の決定
     
     
  ◆4 離婚慰謝料の決定 
  ◇(1) 離婚慰謝料(慰謝料的財産分与) (p421)
     
    離婚慰謝料(離婚をやむなくされた精神的苦痛による慰謝料)は離婚原因慰謝料(離婚原因となった個別有責行為による精神的苦痛による慰謝料)とは一応区別されるものの、裁判例においては一体的に判断される。
裁判例においては、一体的に判断されている。
判例・通説:
離婚による精神的苦痛の発生自体は認めているが、婚姻破綻による精神的苦痛は離婚原因慰謝料に含まれており(広島高裁H19.4.17)、それ以外の離婚によって無籍配偶者が感じる苦痛や精神的不安定の中味ははっきりしない。
    判例よる離婚慰謝料の中味は、婚姻破綻による精神的苦痛が中心となっており、離婚自体慰謝料の独自性は少ない。
(東京高裁昭和51.10.29は、自ら離婚を望んだ妻について、離婚の結果生じる精神的苦痛は、離婚が認容されることにより十分慰謝されるとして、離婚慰謝料を否定した。) 
     
  ◇(2) 離婚慰謝料決定の考慮事由 
    離婚慰謝料の具体的算定:
慰謝料額の決定自体が裁判官の裁量に委ねられている。
考慮事由:
有責行為の種類と態様、
有責性の程度、
婚姻期間や年齢、
当事者双方の資力や社会的地位等
未成熟子の存在
    東京家裁における離婚訴訟における離婚慰謝料の動向として、慰謝料請求がなされる事案は多いが、認容される事案は多くはない(認容率37%)。
認容された事案の多くは不貞および暴力に関する事案であったとされる。
     
  ☆768(財産分与)W  離婚時年金分割制度(p423)
     
     
     
     
     
     
     
☆770(裁判上の離婚)W 抽象的離婚原因(本条1項5号)(p467)
  ◇(1) 意義 
     
     
  ◇(2) 他の離婚原因との関係 
     
  ◇(3) 「離婚を継続し難い重大な事由」該当性 
  ■(ア) 暴行・虐待(p470)
     
     
  ■(イ) 重大な侮辱(p471) 
     
  ■(ウ) 不労・浪費・借財(p471) 
     
  ■(エ) 犯罪行為(p472) 
     
  ■(オ) 宗教活動 
     
  ■(カ) 親族との不和 
     
  ■(キ) 性生活の異常 
     
  ■(ク) 性格の不一致・価値観の相違(p474)
     
    婚姻破綻の有無を判断するにあたっては、
別居期間の長さ、原告配偶者の離婚の決意や相手方配偶者の婚姻継続意思の程度などが相関的に考慮されるほか、
子の意向が斟酌されることもある。
夫婦の別居が5年を超える⇒原告配偶者に強い離婚意思が認められると離婚請求が認容される事例が多い。
別居期間がそれ(5年)より短い⇒
事情によっては子の意向も斟酌しつつ、
相手方配偶者に真摯な婚姻継続意思があるかが問われ、
相手方に関係修復に向けた十分な努力がみられない⇒離婚が認められる
相手方配偶者が強く離婚を拒んでいる⇒請求を棄却
する事例も見られる。
     
    いわゆる会社人間であった夫が妻に対して自分と家庭を支えるように求めてきた⇒妻は、そうした生活について、不満、負担を感じるようになり、ついには離婚を求めた。
結婚後の生活は40年。

第1審(横浜地裁相模原支部H11.7.30、時報1708号):
家庭内別居7年、妻が自宅を出てから2年近くになる。
夫は離婚に反対の意向を表明するものの、関係修復への行動をとろうとしてこなかった。
⇒妻の離婚請求を認容。

控訴審(東京高裁H13.1.18):
子らの意向も斟酌
夫には相応の社会的経験があり、良識に従った対応ができる
⇒和合のための努力が試みられるべきであるとして、妻の離婚請求を退けた。
    夫婦の別居が約1年にすぎない
but
妻に夫の心情を深く傷つける言動があるなど、妻が有責と考えられる事案で、夫からの離婚を肯定(大阪高裁H21.5.26)。
夫からの離婚を求めている事案で、
婚姻破綻は夫の独善的かつ独断的行為に起因することが窺える⇒請求を退けた事例(最高裁昭和38.6.7)。
     
     
☆770X 有責配偶者からの離婚請求(p477)
  ◇(1) 判例法理の生成 
     
  ◇(2) 判例の変更 
     
     
    有責配偶者からのされた離婚請求であっても、
@夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、
Aその間に未成熟子が存在しない場合には、
B相手方が配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、
当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできないものと解するのが相当。
     
     
     
  ◇(3) その後の判例の展開(p481)
     
  ■(ア) 夫婦の相当長期間の別居 
     
    別居30年、22年、16年
〜両当事者の年齢や同居期間と「対比するまでもなく」絶対的に長期と評価されている。
but
別居期間がそれ以下
⇒長期か否かの判断は相対的となり、同居期間はもとより、相手方配偶者の有責性も考慮。
別居10年3か月(同居1年11か月)、9年8か月(同居17年2か月)では相当の長期の別居と評価される事例がある一方、
別居8年余(同居約22年)では相当の長期と評価せず、離婚請求を退けた。
別居期間は10年程度が許容の目安とされているとも評される。
     
     
  ■(イ) 未成熟子の不存在 
     
     
     
  ■(ウ) 特段の事情の不存在