シンプラル法律事務所
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玉村先生勉強会(相続税関係)


 平成27年以降
 相続税と贈与税
相続税 
申告・納付 相続財産から借金や葬儀費用などを差し引いて、「基礎控除」を上回る場合は原則として10か月以内に相続税の申告と納付が必要。(相続税法13条、同271項)
基礎控除 3,000万円+法定相続人の数×600万円。
例えば配偶者と子
2人が相続人の場合、相続財産が3,000万円+3×600万円=4,800万円までであれば相続税の申告と納付は不要。(相続税法151項)
※養子には制限あり。(同
152項)
評価 規定 相続税法 第22条(評価の原則)
この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。
  相続財産は原則時価で金銭に見積もる(相続税法22条)。
現金や預貯金、借入金でしたらまず額面通りでいい。
土地建物、機械、書画骨董などは評価。
「時価」の算定方法は法令に規定されておらず、事実上国税庁の「財産評価基本通達」によることで運用。
税額   相続税は遺産を相続した割合で各人支払いますが(相続税法17条)、相続税の総額はそれにかかわらず、法定相続分で相続したと仮定してそれぞれの相続人の税額を計算し、合算(相続税法16条)。
MKA:原則相続税額は実際の分割に関係なく確定。but配偶者の取得割合によって影響を受ける場合がある。)
 <税率>
1,000万円まで10%
3,000万円まで15%
5,000万円まで20%
1億円まで   30%
2億円まで   40%
3億円まで   45%
6億円まで  50%
6億円超   55% 
例えば2億円の遺産を子供2人で相続⇒基礎控除(3,000万円+2人×600万円)によって、1億5800万円に相続税がかかる。
これを法定相続分にしたがい等分し
7,900万円ずつ、これに相続税が1,670万円ずつ
2人で3,340万円の相続税を相続割合で負担するということになる。
特例  土地評価の特例として、代表的なものに「小規模宅地等の特例」として被相続人の事業用や居住用の土地について200uから400u、50%から80%評価額を減額(租税特別措置法69条の4
税額についても減額の代表例として、配偶者は法定相続分、あるいは16,000万円まで原則非課税、という規定(相続税法19条の2)。
未成年者控除、障害者控除、相次相続控除などもある(相続税法19条の3、同19条の4、同20条など)。
贈与税 
贈与税 贈与税は相続税より高く設定されている。年間に受けた贈与財産の総額から「基礎控除」110万円を差し引いて以下の税率を適用して計算(相続税法21条の2、同21条の7、租税特別措置法70条の23)。
税率 直系尊属からその年の1月1日現在20歳以上の卑属が贈与を受ける場合は右の特例税率が適用。

基礎控除後の金額

一般税率

特例税率

200万円まで

10%

10%

300万円まで

15%

 

15%

400万円まで

20%

600万円まで

30%

20%

1000万円まで

40%

30%

1500万円まで

45%

40%

3000万円まで

50%

45%

4500万円まで

 

55%

50%

4500万円超

55%

計算 例えば年間で1,500万円の財産を贈与された人は、1,500万円−110万円=1,390万円に贈与税450万5000円、特別税率で366万円の贈与税がかかる。
「基礎控除」を活用して、例えば30年間110万円ずつ贈与すれば3,300万円非課税で子孫に財産を移転、ということは可能。
特例等 「住宅取得等資金の非課税」や「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」として直系尊属からの贈与につき一定の金額を非課税とする特例(租税特別措置法70条の2、同70条の22)。
 一旦贈与税を納め、相続の際に相続財産と贈与財産を合算して相続税額を計算する「相続時精算課税制度」もあります。(ただこれは相続税が安くなる制度ではない)(相続税法21条の9以下)。

相続税を減らすには
まとめ 相続税・贈与税のプランニング
@配偶者が相続人にいる場合、どれだけの資産を相続して次の相続を考えるか。
A財産をどれだけ相続人になると予想される人にあらかじめ贈与するか。
B税法に規定された財産評価の減額をどれだけ活用するか。 
考え方 相続税法の構造を考えますと、主に
@「遺産の評価額」
A「各種の評価減額」
B「相続人の構成」
で税額が決まる。
相続人の構成 「養子縁組」による基礎控除の増加:
実子あり⇒
600万円(1人分)
実子なし⇒
1,200万円(2人分)
に制限(相続税法15条2項)
配偶者は法定相続分または(法定相続分を超えても)1億6千万円までの相続について無税(相続税法19条の2)。
遺産の評価を変える ■夫婦間贈与や暦年贈与で減らす。
〜子や孫への移転。
結婚して20年以上経過した夫婦間で、居住用の不動産もしくはその取得費用を贈与
⇒基礎控除110万円のほかに2000万円を控除できる(相続税法21条の6)。
通常の贈与についても年間110万円までは無税(相続税法21条の5、租税特別措置法70条の2の3)。
これを超えても200万円まで10%といった税率(相続税法21条の7)。
⇒例えば310万円の贈与にかかる贈与税は20万円で、その実質の税率は6.45%であり、相続税より安い。
直系尊属からその卑属への贈与ではこれより高額な贈与への税率が緩和(租税特別措置法70条の2の4)。
■生命保険や小規模宅地等の評価減によって財産の評価を下げる
〜相続してもその評価を時価より低くできる。

生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象になる場合が多いが、(もらうのが1人でも)法定相続人の数×500万円評価を下げることになる(相続税法12条5号)。
3000万円の保険金が下りたとして、3人の法定相続人がいれば、その評価は1500万円で済む。
〜預貯金が原則額面で評価されることを考えれば大きな差です。

小規模宅地等の評価減額も大きい。
被相続人の居住していた土地に引き続き相続人が居住する場合、330uまでの土地評価は80%減額(330uを超える土地でも、330uまで適用あり。)。

路線価が1u10万円の土地だとして、2640万円減額されるのです。

貸付業のための土地でも200uまで50%減額され、1u10万円なら1000万円(租税特別措置法69条の4)

有利な2回相続の仕方の検討
残された配偶者からの相続の際、「基礎控除」(3000万円+法定相続人の数×600万円)を超えると最低その10%の相続税が課される構造。

二回目の相続時において、遺産が基礎控除を超えた場合における相続税の増加と、その際の一回目の相続における相続税の減少とを比較していけば、どのように遺産を分割するのが税制上有利か調べがつく。
(別添の相続税額シミュレーターで簡易な分析ができます。)

小規模宅地の特例の詳細

小規模宅地の特例の詳細

以下の区分ごとに減額される面積の上限と減額割合が決まっている。
詳しい要件については、 https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm を参照。

相続開始の直前における宅地等の利用区分

要件

限度面積

減額される割合

被相続人等の事業の用に供されていた宅地等

貸付事業以外の事業用の宅地等

@

特定事業用宅地等に該当する宅地等

400u

80%

貸付事業用の宅地等

一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等

A

特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等

400u

80%

B

貸付事業用宅地等に該当する宅地等

200u

50%

一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等

C

貸付事業用宅地等に該当する宅地等

200u

50%

被相続人等の貸付事業用の宅地等

D

貸付事業用宅地等に該当する宅地等

200u

50%

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等

E

特定居住用宅地等に該当する宅地等

330u

80%


なお、この特例を適用するにあたっては、「貸付事業用宅地」がある場合で、

(A×200/400)(B×200/330)C200

A:「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」の面積の合計(@+A)

B:「特定居住用宅地等」の面積の合計(E)

C:「貸付事業用宅地等」の面積の合計(B+C+D) 

「貸付事業用宅地」がない場合で、A400B330、合計730uまで

A:「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」の面積の合計(@+A)

B:「特定居住用宅地等」の面積の合計(E) 

とされており、どの土地に特例を適用するのが一番減額が大きくなるのか、検討する必要があります。