シンプラル法律事務所
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☆第1章 イノベーションのジレンマ(クリステンセン) 
★組織の能力を評価する
  組織自体にも能力がある
企業を継続的に成功させていくためには、人材評価だけではなく、組織全体で、何ができ、何ができないかという能力を評価する必要。
  本稿:
@それぞれの組織が何を達成する能力を備えているかを判断するためのフレームワークを提供
Aコア・ケイパビリティ(中核能力)が高まるのに反して、組織全体の能力が失われていく過程を示す。
B変化の種類を見つける方法とそれぞれの変化が生み出すチャンスに対して、どのような組織で対応すべきかについても分析。
C「何でもできる」式のビジネス文化で常識とされていることの多くを覆すような、重要なアドバイス。
D組織が大規模な変化・・・あるいは破壊的イノベーション・・・に対応する場合の最悪のアプローチは、現行組織を抜本的に変えてしまうことかもしれない。企業を変身させるつもりが、実は企業を支えた能力を破壊してしまうこともある。
★組織能力を決める3つの要因
  組織に何ができ、何ができないかを規定するのは、
@経営資源
Aプロセス
B価値基準
の3つの要素。
◆1 経営資源 
  @人材、設備、技術、資金といった有形のものと
A商品デザイン、情報、ブランド、サプライヤーや販売代理店や顧客との関係性といった無形のもの
◆2 プロセス
  プロセス:
経営資源を商品やサービスという一段高い価値に変容させるための、相互作用、調整、コミュニケーションおよび意思決定のパターン。
具体的には、商品開発、製造、あるいは予算作成を行う時に従うプロセス等。
  ある仕事を成し遂げるためのプロセスは、それ以外の仕事を行うことを不可能にしている。
  最も重要な能力(およびその欠如)を左右するのは、ロジスティックス、開発、製造あるいは顧客サービスといった明確でわかりやすいプロセスにあるとは限らない。
多くの企業が変化に対応するうえで欠けている能力のうち最も深刻な課題は、
経営資源をどこに投入すべきか
市場調査をどのように行うか
分析結果を財務予測にどのように反映させるか
企業と予算をどのように折り合わせるか
といった、決定プロセスのなかにひそんでいる。
◆3 価値基準 
  価値基準:
重要なことや優先すべきことを判断するための評価基準
  企業規模が大きく複雑になるほど、組織全体の社員を教育して、戦略方針やビジネスモデルとの整合性をとりながら、1人ひとりが重要度を判断できるようにすることが、より大切になってくる。
  but
社内に広く浸透した一貫性ある価値基準は、一方で、組織ができることを限定してしまう。
■@収益性 
  超ハイエンド市場の顧客をとらえようとして、商品やサービスに特徴や機能をつけ加える⇒間接費が上がる⇒以前はよしとされた粗利益率では不十分となる
  トヨタの例:
トヨタがコロナで北米市場に進出した時のターゲットはローエンド市場
その後、ホンダやマツダ、ニッサンがこのセグメントに参入⇒過当競争から粗利益率が低下⇒ハイエンド市場をターゲットとする洗練された車を開発。
カムリやレクサスのような車を開発する過程でコストがかさむ⇒価値基準が変化⇒ローエンド市場から撤退。
このパターンから脱却を図るべく、新車種のプラッツを発売し、初回購入者層向けのローエンド市場への復帰を目論む。
■A市場規模 
  企業の規模が大きくなる⇒小規模の新興市場に参入する能力を失ってしまった。
  大手製薬企業同士の大型合併⇒研究・開発組織では新製品開発にかける資源が増える
but
営業・販売組織では超大型新薬でなければ興味を持たなくなる。
=イノベーションを取り入れる能力の喪失。
★能力の重心はシフトする 
  成長の初期段階:経営資源、特に人材の影響力が大
⇒組織の能力は、プロセスと価値基準とに重心をシフト。
恒常的な業務⇒プロセスが固まる。
ビジネスモデルがはっきりし、どの業務を最優先とするかが明確に⇒価値基準が形成。
  急躍進を遂げている若い企業が1つの画期的な商品を発売してIPO
butその直後に失速。

最初の成功が、経営資源、多くの場合は会社設立に関わったエンジニアによるものであったが、その後、人気商品を続けて生み出すのに必要なプロセスを開発するのに失敗。
  ●テレビ番組のデジタル編集システムを製作するアビッド・テクノロジー社:
ビデオ編集の煩雑な作業を不要にした同社の技術⇒その株価は1993年のIPO時の16ドルから95年半ばには49ドルに。
but
市場は飽和状態となり、在庫と売掛金が増大し、競争は激化。
おまけに株主代表訴訟。
⇒株価暴落

商品は顧客に好まれたが、アビッドには有効なプロセス(=一貫して新製品を開発するプロセス、品質・商品配達・サービスを管理するプロセス)が欠けていた。
  ●マッキンゼー・アンド・カンパニー:
強力なプロセスと価値基準を持っている。
コア・ケイパビリティが、経営資源ではなく、プロセスと価値基準にある。
⇒毎年何百人ものMBA取得者が入社し、ほぼ同数が同社を去るが、毎年変わることなく質の高い仕事を達成している。
  組織に何ができるか、何ができないかを規定する要素は時とともに変化する。
@出発点:経営資源⇒
A目に見え、はっきり表現されたプロセスと価値基準へと重心がシフト⇒
B最終的には企業文化へと変容
Aの要素は組織にできることを限定する

企業が直面する問題が根本的に変化すると、能力の欠如となって現れる。
★「持続的イノベーション」対「破壊的イノベーション」(p16)
持続的イノベーション:
メイン事業の顧客がすでに価値を認めている技術を活用して、商品やサービスの機能・性能を向上させる持続的技術が原動力。 
破壊的イノベーション:
新しい種類の商品・サービスの導入によりまったく新しい市場を創造するもの。
(既存市場のメイン顧客が次の商品に求めているニーズには応えていない⇒「破壊的」)
ex.
オンライン証券ブローカーのチャールズ・シュワブは、余分なサービスのすべてを削ぎ落し、ディスカウントに特化したブローカーとして市場に参入。
初期のPCも、メインフレームやミニコンに対する破壊的イノベーション。
既存市場のメイン顧客が次の商品に求めているニーズには応えていない。
but
その代わりに既存のものとはまったく別の特性がある。
⇒新規市場商品が現れ、破壊的イノベーションが急速に進み、最終的には既存市場の顧客ニーズにも応えられるようにもなる。
メリルリンチの持つ経営資源:
人材、資金、技術のどれをとっても、
持続的イノベーション(キャッシュマネジメントアカウント)においても、
破壊的イノベーション(ディスカウントブローカー)においても、
成功するのに必要な経済資源を備えている。
but
そのプロセスおよび価値基準は持続的イノベーションのみを支えるもの。 
小規模で破壊的企業のほうがこの市場で成功を負う能力が高い⇒大企業が新興市場でお手上げとなる。

経営資源は十分ではないが、彼らの価値基準に基づけば、小規模な市場に挑戦できる。
コスト構造⇒低利益率であっても採算が合う。
市場調査と資源配分の決定プロセスには、マネジャーが直感で動ける余地を残している(どのような意思決定にも慎重なリサーチと分析の裏付けが必要、というようなことはない)。

このような大企業に対する優位性が積み重なり、破壊的イノベーションに対応したり、つくり出したりする能力となる。 
★変化への適応能力を創造する(p19)
  大企業がこうした能力を開発するには、どうしたらよいか?
  「プロセス」には経営資源ほどの柔軟性があるわけではなく、順応性があるわけでもない。
「価値基準」となれば、それはさらに低い。

持続的なものにしろ破壊的なものにしろ、イノベーションに対応するために組織が新しい能力を求め、プロセスと価値基準を必要とする場合は、その能力を開発できる組織形態を構築する必要。

3つの方法
@企業の内部に新たな組織構造をつくり、そこで新しいプロセスを開発する
A既存組織からスピンアウト(分離独立)し、独立組織をつくる
新しい組織のなかで、問題を解決するのに必要なプロセスを開発し、価値基準を生み出す。
B直面する課題にふさわしいプロセスと価値基準をあわせ持つ別の組織を買収する。
◆1 新たな組織構造をつくる 
  新たな課題に挑戦するために新たなプロセスが必要な場合・・・すなわち、従来とは異なる人材やグループが、従来とは違う方法、違うペースで共同作業する必要がある場合・・・既存の組織から関連する人々を引き抜いて新たなグループを結成し、その周りに新たな境界線を引く。
  「重量プロジェクト・チーム」
このチームは専任で新たな課題に取り組み、
メンバーは物理的に1つの場所で働く。
プロジェクト全体の成功のために、個々の人員は責任を課せられる。
クライスラー:
商品開発組織のなかにあるグループは部品別(ex.伝導機構、電気システム)に分けられていた。
but
開発のテンポを速めるため、部品ではなく、ミニバン、小型車、ジープ型乗用車、トラックなど、自動車の車種を切り口とする必要⇒
重量チームを結成。
部品設計は得意ではなかったが、より早く効率的にさまざまな下位組織を統合して新車の設計をさせる新たなプロセスを形成。
メドトロニックは心臓のペースメーカーに
IBMはディスク・ドライブに
イーライリリー・アンド・カンパニーは超大型新薬(ジプレキサ)に
重量チームを組織。
◆2 スピンアウトにより、新たな組織能力を創造する 
  メイン事業の価値基準に基づくと、革新的プロジェクトのために経営資源が配分されない⇒企業はそのプロジェクトを新しいベンチャー事業としてスピンアウトすべき。

@大規模組織には、規模の小さな新興市場での位置づけを強固なものにするために、資金や人材など不可欠な経営資源を配分することは期待できない
Aハイエンド市場で競争するためのコスト構造ができあがった企業が、ローエンド市場でも同じように競争するのは難しい
  この形態が適切な2つの場合:
@破壊的イノベーションによって収益を上げながら、競争力を持つためには別のコスト構造が必要な場合
Aメイン事業の組織の拡大ニーズに比較すると、現在のビジネスの規模が取るに足らない場合
  HPの例:
インクジェットの部門を別の事業部に移転し、自社のレーザージェット事業と対等に競い合うことを目標として設定。

@インクジェット技術のプロジェクトが、HPの主流のプリンター事業内部を弱体化
Aインクジェット市場で勝ち上がっていこうとするなら、HPはレーザー・プリンターより低い利益率に満足し、市場の規模が小さいこともよしとし、性能が比較的低いことも受け入れなければならない。
  本体事業から分離する方法:
このプロジェクトがメイン事業のプロジェクトと経営資源を奪い合うはめにならないようにすること。

@組織で主流になっている価値基準に沿わないプロジェクトは、当然のように重要度が低いとみなされる。
A重要なのは、経営資源の配分を決定するプロセスにおいて、通常の意思決定に使われる基準を使わないということ。
マネジャーは新しい経営形態は古い形態を捨て去ることだと考え、それを否定しがち。
but
破壊的変化の兆候が現れたら、それがメイン事業に影響を与える前に、能力を結集してこの変化に立ち向かう必要がある。
実際には、2つの事業を並行して走らせなくてはならない。
@既存のビジネスモデルに合わせたプロセスを持つ事業
A新しいビジネスモデルのために設計されたプロセスを持つ事業。
メリルリンチは、機関投資家向け金融サービスを世界的に拡大するという偉業を果たした。
〜従来のプロセスに慎重に従うかたちで企画立案、買収、提携を実施した成果。
but
オンライン時代に突入⇒企画も買収も提携もはるかに迅速に実施した結果。
×従来の投資銀行業務できわめてよく機能していたプロセスを変更すべき
〇従来の業務にはこれまでのプロセスを維持し、次元が異なる新たな問題に対処するためには別のプロセスを創造する。
CEOが目を配り、みずから監督することなしに、メイン事業の価値基準と相容れない変化に成功した企業はない。
←経営資源配分を決定するプロセスの基盤となっている従来の価値基準は、それだけ強固


新たに立ち向かう課題に合致したプロセスと価値基準とを自由につくり出すことができるのはCEOしかおない。
「スピンアウトとは、破壊的イノベーションという脅威を、別の組織に対応させることで、自分の肩の荷をおろすための道具である」と見ているようなCEOは必ず失敗する。
◆3 買収によって組織能力を獲得する 
買収という方法で組織能力を「買う」ことを考える場合も、
相手企業が何ができ、何ができないかという能力を、
経営資源・プロセス・価値基準とは分けて評価する必要。

買収による能力獲得に成功するのは、買収案件のどこにこうした能力があるかを知り、それをうまく吸収することができる企業。
「価格を正当化しているのは、経営資源だろうか。あるいはプロセスや価値基準にあるのだろうか」を自問。
買収することで手に入れる能力が、買収される企業のプロセスと価値基準に完全に根づいている⇒買収企業を自分の組織に統合することは避ける必要。

@統合すれば、買収される側のプロセスおよび価値基準は霧散してしまう。
A親会社の仕事のやり方を強制すれば、せっかくの能力は消えてしまう。
正しい戦略は、この事業を独立させ、親会社の経営資源を新会社のプロセスと価値j基準に注入すること。
経営資源こそが買収される企業の成功を導いたものであり、買収を決定した根拠。

親会社との統合(=買収で手に入れた人材、商品、技術および顧客に親会社のプロセスを当てはめることで、親会社の持つ既存の能力を活用)は十分理にかなっている。
  合併過程のダイムラー・クライスラー:
クライスラー:
これといって特殊な経営資源はほとんどなかった。販売面の成功はそのプロセス、特に商品設計および下位組織のサプライヤーの力を統合するプロセスの成果。
⇒金融機関のいうように、両社を一体化すれば、クライスラーを買収標的として魅力的にしていたプロセス自体が犠牲となる。
  IBMが1984年に通信企業のロルムを買収。
IBMにとって重要であったのは、PBX(デジタル構内交換機)商品を開発し、そのための新規市場を開拓し、想像するロルムのプロセス。
but
1987年に、ロルムを子会社から自社組織のなかに完全に統合することに決定。

ロルムの経営資源(商品と顧客)に、大手コンピュータ・メーカーであるIBMのプロセスを提供⇒利益率18%という環境の中で価値基準ができあがっているIBMにしてみれば、はるかに利益率が低い商品に熱心になれといっても無理⇒ロルムの事業は大きく傾いた(=買収当初に認めた価値の源泉自体を破壊)。
  シスコシステムズ:

1993年から97年の間に同社が買収したのは、小さな企業ばかり。
設立2年以内の若い組織で、経営資源、特にエンジニアと商品を中心に市場価値を築いた企業。
シスコは、こうした経営資源に自社の効果的な開発・ロジスティックス・製造・マーケティングのプロセスを当てはめた。
若い企業の未熟なプロセスと価値基準は捨て去った。

同社は大型で成熟した企業も1,2社買収。
特に96年にはストラタコムを買収したが、これを統合しなかった。
独立した企業のまま存続させ、シスコの持つ豊富な経営資源をその組織に注入し、急速な経営を後押しした。
  組織が変化に直面
⇒次を自問。
@当社にはこの新たな状況で成功するのに必要な経営資源があるか。
Aプロセスと価値基準は変化に対応でこるか。
組織に備わった能力は組織に何ができるかを規定するが、同時に、その組織にはできないことも規定。
@あなたの会社で通常進めている仕事のプロセスは、この新たな課題に対応するのにふさわしいものか。
Aあなたの会社の価値基準に従うと、この新たな施策は、優先されるか、それとも尻すぼみに終わるか。
大企業にイノベーションを起こすことが難しく見える理由は、
すぐに対応すべき課題があり、きわめて有能な人材を雇いながら、
その課題とは相容れないプロセスと価値基準を持つ組織構造内で働かせようとするため。
変転激しき時代、有能な人材を有能な組織に配置することは、経営陣の肩にかかる大きな責任。
★DECのジレンマ 
  ×A:多くの経営学者:ディジタル・イクイップメント(DEC)の突然の凋落の原因は市場の読み誤り。
〇B
DECのコア・ケイパビリティはコンピュータの製造。
DECはPC市場で成功に足るだけの経営資源を有していた。
@同社のエンジニアが設計するコンピュータは常にPCよりはるかに洗練されたもの。
A資金は潤沢、ブランド力は協力、テクノロジーは優秀。
but
PC事業で成功するのに必要なプロセスが欠けていた。
ミニコン・メーカー:
社内で主要部品のほとんどを設計し、その後この部品を各社独自のコンフィグレーション(機器構成)に組立ていた。新機種の設計には2,3年かかっていた。
but
PCメーカーは、世界中で最も優れたサプライヤーを選び、部品のほとんどを製造委託。
新設計のコンピュータはモジュール式の部品で構成され、メーカーはこれを半年から1年で完成。
製造は大量生産が可能な組み立てラインで行われ、消費者や企業には小売店を通じて販売。
DECの社員には、PCを設計し、製造し、販売し、収益を上げる能力はあったが、彼らが働く組織はそれを不可能にした。
←その組織のプロセスは、PC以外の仕事がうまくできるように設計され、進化していった。
間接費⇒DECでは「事業は50%以上の粗利益が出なくてはならない。40%未満なら手をつける価値はない」という判断基準。
PCの利益率はこれより低かった⇒DECの価値基準とは相いれなかった⇒経営資源の配分決定プロセスでは、常に業績がよいミニコンがPCより優先された。
DECは、ミニコンとは別の組織をつくることもできたはず。
PCで成功するための別のプロセスと別の価値基準を創造すべきだった。
★イノベーションを生み出す組織戦略 
  X軸:組織の価値基準との適合度(高い⇒低い)
Y軸:組織のプロセスとの適合度(高い⇒低い)
●領域A:
組織のプロセスと価値基準にフィット⇒新しい能力は必要ない。
職能別組織、あるいは軽量チームが既存の組織構造内でプロジェクトに取り組む。
職能別組織:その業務に特有の課題を取扱う。その後、プロジェクトを次の職能別組織に引き継ぐ。
軽量チーム:各業務から人材が集まる。
チーム・メンバーは各人の職務上のマネジャーの管理下に置かれる。
●領域B:
プロジェクトは組織の価値基準とはフィットする(=持続的イノベーション)が、プロセスとは合わない。
新たな種類の問題に直面⇒グループ間でも個人間でも新しい種類の相互作用と調整とが必要。 
破壊的イノベーションではなく、持続的イノベーションに対応。
重量チームがふさわしいが、企業のメイン事業の組織で運営できる。
チームのメンバーはプロジェクト専属で働き、プロジェクト成功の責任を負う。
ゼネラル・マネジャーのように行動することが期待される。
新たなプロセスと新たな協働パターンを生み出すことを視野に入れて結成される。
●領域C:
組織の既存のプロセスにも価値基準にもフィットしない「破壊的変化」に直面。 
確実に成功するために、スピンアウト組織をつくり、この課題に取り組むために重量チームを任命し開発を行う。
スピンアウトが必要
←別の価値基準(ex.低利益率に対応するための別のコスト構造)でプロジェクトを運営。
重量チーム⇒新たなプロセスを創造できる。
●領域D: 
組織の現在のプロセスにはフィットするが、価値基準には適合しない(=破壊的変化)に対応。
成功の秘訣は、重量チームをスピンアウトした組織で機能させられるかどうかにかかっている。
ほとんどの企業ではオールマイティ型の組織戦略をとる=軽量チームあるいは職能別組織で、規模も性質も異なるすべての課題に臨もうとする。
but
このようなチームは、すでにしっかりと固まった組織の能力を活用するためのツール。 
理想的には、それぞれのプロジェクトが必要とするプロセスと価値基準とに合わせて、チーム構造と、組織を置く場所(社内か社外か)を決めるべき。
MKA:
価値基準が適合しない=破壊的イノベーション⇒社外のスピンアウト組織
プロセスが適合しない⇒重量チーム
   
☆第2章 ブルー・オーシャン戦略 
★売上げを22倍させサーカス団 
  シルク・ドゥ・ソレイユ:
業界の既存の枠組みに従って競争したわけでも、リングリングなど先行者たちの客を奪って成長したわけでもない。
むしろ競争とは無縁のマーケット・スペースを創造し、大人や法人顧客など、これまで客層と見なされていなかった全く新しい顧客を掘り起こした。
  顧客は、新しい切り口のサーカスという娯楽に、いままでより数倍も高い料金をためらうことなく支払った。
   
★「レッド・オーシャン」と「ブルー・オーシャン」の存在 
  レッド・オーシャン:
あらゆる既存市場。
プレーヤー全員がライバルを出し抜き、既存の需要のなかでより大きなシェアを獲得しようと努める。
競争相手方増える⇒収益性や成長性は減少していく。
商品は何ら特徴のないコモディティ品と化し、競争が激化し、やがて市場は血の海と化す。
ブルー・オ^シャン:
まだ存在しない市場。
需要は勝ち取るものではなく、みずからつくり出さなければならない。
成長の機会には事欠かず、収益性も成長性も多く望める。
  ブルー・オーシャンを生み出す方法:
@全く新しい事業領域を立ち上げる。
ex.イーベイのオンライン・オークション
A既存市場の境界線を押し広げることでつくり出される。
ex.シルク:サーカスと劇場を隔てていた境界を消滅させることで、シルクはサーカス業界というレッド・オーシャンのなかに、収益性の高いブルー・オーシャンを作り出すことに成功。
  これからもブルー・オーシャンが成長の牽引力であり続ける。
たいていの既存産業、すなわちレッド・オーシャンは、確実に縮小していく。
  産業界の生産性は大幅に向上し、サプライヤーはかつて例がないほどの商品やサービスを提供する力を身につけた。
国家間や地域間の障壁が崩れ、商品情報や価格情報がグローバル規模で、かつ一瞬にして手に入る⇒独占市場やニッチ市場はほとんど消滅。
その一方で、需要が増える兆しはほとんど見えない。
人口の減少すら指摘されている。
供給>需要

商品やサービスのコモディティ化が進み、価格競争は激化し、収益性は低下。
ブランドの特性は薄れ、消費者の購買行動は価格志向を強める。
   
★レッド・オーシャン戦略とブルー・オーシャン戦略の違い 
  たいていの企業はレッド・オーシャンにどっぷり浸かっている。
108社を対象に新しい商品やサービスの内容を調査
その86%は商品ラインの拡大化にあり、既存の改良策
新しい市場や産業を作り出そうとするものは14%(but売上げの38%、利益の61%を占めていた。
  レッド:敵と真正面から向き合い、限られた戦場で相手を打ち負かす
ブルー:競争相手のいないところでビジネスを展開する。既存の陣地を取り合うのではなく、未開の土地を切り開く。
   
★ブルー・オーシャン戦略の特徴 
●1.ブルー・オーシャンは技術革新の産物ではない
  その基盤となる技術は、すでに存在していた。
フォード・モーターの組立ライン:精肉工場に先例
コンピュータ産業:技術革新ではなく、顧客に高い価値をもたらすことへの結実することで創出。
IBMとコンパックのPCサーバーのように、技術の簡素化がカギになることが多い。
  存在しないか魅力的でない市場で、(技術開発型でない)価値創造型。
  自動車:
フォード・モーターのT型フォード
GMの「あらゆる所得階層と用途に向けた多品種自動車開発」
燃費のいい日本車
クライスラーのミニバン

コンピュータ:
CTRのタブレター計算機
IBMの650と360
アップルコンピュータのPC
コンパックのPCサーバー
出るの受注生産コンピュータ

映画館:
ニッケルオデオン
パレス・シアターズ
AMCのシネマ・コンプレックス
AMCのメガプレックス
●2.ブルー・オーシャンは既存のコア事業から生まれやすい 
  先行企業だからといって、ブルー・オーシャンを創出するうえで不利だとは限らない。
既存企業が創出したブルー・オーシャンは、たいていコア事業のなかから生まれている。
(新規市場ははるか彼方のどこかにあるのではなく、身近にある)
●3.企業や業界を単位に分析してはいけない 
ブルー・オーシャンを分析するうえで、最も適した単位は、市場を創出するような大胆な戦略行動ごとに分析を試みること。
コンパックは2001年にHPに買収された⇒失敗者の烙印。
but
PCサーバーという数十億ドル規模の産業を作り出した賢い戦略行動の価値は揺るがない。
そのような行動が、同社が1990年代に力強い回復を果たした原動力。
●4.ブルー・オーシャンはブランドを育てる 
  ブルー・オーシャンは大きな力を秘めている
⇒数十年にわたって輝き続けることのできるブランド・エクイティを続けられる。
エクセレント会社は、はるか昔に生み出したブルー・オーシャンによるところが大きい。
  大企業は、これまで新規市場で足下をすくわれることが多いとみなされがち。
but
新しいマーケット・スペースをつくり出すに当たっては、必ずしも巨額のR&D予算が重要とはかぎらず、むしろ戦略行動が正しければ、大企業でも成功できる。

このような行動が身についている企業は、いくつものブルー・オーシャンを作り出し、長期にわたって高い収益性と成長性を実現しやすい。

ブルー・オーシャンの創出は、戦略の産物であり、ひいては経営陣の戦略行動の賜物にほかならない。
   
★ブルー・オーシャン戦略が成り立つ条件 
  ブルーはレッドとは対照的に、自社の競争力についてベンチマーキングなどしない。
自社と顧客双方の価値を飛躍的に高めることで、競争とは無縁の存在になっている。
  @競争相手のいんばいマーケット・スペースをつくり出す。(vs.既存市場内で競争)
A競争と無縁になる。(vs.競争相手を打ち負かす。)
B新規需要を創出し、これをものにする。(vs.既存需要を取り込む。)
Cバリュー・プロポジションとコスト削減は両立できる。(vs.バリュー・プロポジションとコストは相反する関係である。)
D差別化と低コスト化の両方を、最適なかたちで事業活動に結び付ける。(vs.差別化か低コスト化のいずれかを選び、最適なかたちで事業活動に結びつける。)
  ブルーの最も重要な特徴:
従来の戦略の根本であるバリュー・プロポジション(提供価値)とコストのトレード・オフを否定していること。
ブルー戦略では、差別化と低コスト化の2つは両立する。
  多くのサーカス団:互いにベンチマーキングし、需要が縮小するなかで、伝統的なサーカスの出し物にささやかな工夫を凝らし、市場シェアを競っていた。
  シルク:サーカスならではのスリルと楽しさに加えて、知的な奥行きと演劇の芸術性を提供。
演目の見直し⇒これまでスリルや楽しさを演出する際、欠かせないと思われていたことの多くが不必要であり、えてしてコストがかさむことが判明。
×動物
×芸人のスター性
×スリー・リング(隣接する3つのリングで同時にショーを見せる形式)
×サーカスの売店
伝統的なサーカスの持ち味は3つに絞り込まれることに気がついた。
@ピエロ(どたばた劇⇒魅力的で洗練された笑いを提供)
Aテント(安価なレンタルのテント⇒デザインに凝った。おが屑の入った固いベンチ⇒よりくつろげるように。)
Bアクロバット演技(役割を絞り込んでより芸術的な演技に集中させた)
演劇界からいくつかの新しい要素を取り入れた:
@それまでの脈絡のない芸を連続して提供⇒テーマを設け、ストーリー性を強調
Aあえてあいまいなテーマを選んで、調和や知性を醸し出した。
ブロードウェーのミュージカルにも学んだ。
@テーマとストーリー性を持たせ
A多くの演目にオリジナルの音楽をつくり、その音楽に合わせて、演技、照明、同さのタイミングを図る。
Bバレエのように抽象的で精神的なダンスも取り入れた。

普通のサーカスの逆に張って、非常に洗練されたエンタテインメントを創造。
さまざまな出し物を用意⇒リピート客が増え、売上は増加。
提供したのは、サーカスと芝居のおいしい部分。
コスト要因を取り除く⇒コストは大幅に減り、差別化を図ることにも成功。
  図2−3:差別化とコスト削減を両立する

コスト構造とバリュー・プロポジションが好循環を形成する時にのみ成立。
@コスト削減:競合他社が競争している要素を自社の事業活動から取り除くことで実現。
Aパビュー・プロポジション:これまでだれも提供していなかったものを提供することによって生まれる。
Bそのような特徴を備えた商品やサービス⇒売上が伸びるにしたがってスケール・メリットが生まれる⇒コストはさらに下がる。
  顧客にもたらされる価値:商品やサービスの効用と価値から生まれる。
企業にもたらされる価値:コスト構造と適正化核から生まれる。
⇒効用、価値、コスト構造が適切な関連性を保っていることが大切。
  レッドにおける戦略の基本的な考え方:
産業構造は与件であり、企業はそのなかで競争。
構造主義的であり、環境決定論的。
「企業経営は自社ではどうしようもない経営環境に翻弄されるもの」という意識。
ブルー・オーシャン戦略:
市場の境界線はみずから広げることができるもの。
信念や行動によって業界を再構成することも同じく可能。
いわば再構築主義。
   
★ブルー・オーシャンは模倣者を寄せつけない 
  ブルー⇒競争相手もないまま、10〜15年の間、その果実を刈り取ることができる。
←ブルー・オーシャン戦略が、心理的かつ経済的なバリアとして働く。
  模倣は思いのほか難しい:
@一瞬にして大勢の顧客を引き寄せる⇒短期間でスケール・メリットを生み出し、模倣者を不利な立場に追いやってしまう。
ex.ウォルマートのスケールメリット

A顧客が大勢集まる⇒ネットワーク効果(ネットワークの外部性)の生み出せる。
ex.イーベイの場合、流行れば流行るほど、出品者にとっても買い手にとっても魅力は高まる⇒他のオークション・サイトに移る理由がなくなる。

B模倣するには、たいてい事業構造を大変革しなければならない⇒社内政治に足をすくわれやすい。
ex.サイスウエスト航空のスピーディで割安な旅行体験の提供を模倣するには、
企業文化、路線の設定、教育研修、マーケティング、価格設定などを大幅に変更する非通用。

C心理的な障壁
優れたバリュー・プロポジションを構築したブランドは、あっという間に知れ渡り、ロイヤルティの高い顧客を生み出していく。

D自社のブランド・イメージに合わない
   
★強者の共通点 
  シルクとT型フォードの共通点
  フォード:
競争など無意味な新しい市場を創出。
馬車のような「日常の足」を生み出した。
黒1色しかなく、オプションもほとんどなし。丈夫で信頼性が高く、どんな天候でも当時の悪路を走ることができた。運転は1日で覚えられ、修理も簡単。
価格を設定する際、他社の自動車の値段ではなく、馬車の値段(約400ドル)を参考にした。
1908年製のT型フォードは850ドルで、翌年には609ドル、24年には290ドルまで下がった。〜馬車のユーザーを自働車の買い手に変えていった。
1908年に9%だった市場シェアは、21年には61%に拡大。
23年には、アメリカ全世帯の半分以上が自動車を所有。
フォードは、
@顧客に桁違いの価値をもたらしたが、
A同時に業界最低水準のコスト構造を実現。

オプションを限り、部品はできるだけ共用し、各種モデルを標準化することで、それまで熟練工が寄り集まって最初から最後まで手づくりしていた方式を廃した。
フォードの革新的な組み立てラインでは、未熟練工が熟練工の代わりに、細分化された工程を素早くこなしていた。
自動車1台をわずか4日で完成。
(業界の標準は21日)
   
☆第3章 自己探求の時代(ドラッカー) 
★自己の強みは何か 
  偉人は、自己をマネジメントしたからこそ、偉業を成し遂げた。
◆フィードバック分析 
  フィードバック分析⇒仕事と成果への集中をもたらした。
(プロテスタントのカルバン派やカトリックのイエズス会)
  フィードバック分析⇒2、3年という短期間に、自己の強みが何であるかが明らかになる。
明らかになること:
自己の強み
自己の強みを発揮するうえで邪魔になっていること
得意でないこと
まったく強みが発揮できないこと、不可能なこと
◆強みを生かすために何をすべきか 
  フィードバック分析⇒行うべきことが明らかになる。
  @明らかになった強みに集中する。
成果を生み出すものへ、その強みを集中する。
Aその強みをさらに伸ばす
知識の欠陥を正す。
B無知の元凶というべき知的傲慢を知り、正す
自己の強みを十分に発揮するうえで必要な技能と知識は、必ず習得しなければならない。
C自分の欠陥、成果の妨げになっていることを改める
ex.
せっかくの企画が失敗したのは、十分のフォローしなかったため。
有能な人間の常として、優れた企画ならば山をも動かすはずであると思っていた。
D人への接し方を改める
「お願いします」「ありがとう」
名前や誕生日を覚えていること、家族のことを聞くことなど。
Eできないことはしない
F並以下の能力を向上させるために、無駄な時間を使ってはならない。
強みに集中すべき。
 
★仕事の仕方を自覚する 
  仕事の仕方も人それぞれ。
強みを発揮できる仕事で成果を上げられるように、
人は得意な仕方で成果を上げる。
◆読んで理解するか、聞いて理解するか 
  読んで理解する「読み手」と
聞いて理解する「聞き手」
がいる。
アイゼンハワーは読み手。
ルーズベルトとトルーマンは聞き手。
◆学び方を知る 
  チャーチルは、
聞くことや読むことによっては学べなかった。
自分で書くことによって学ぶという種類の人。
ベートーベンもそう。
実際に行動することによって学ぶ人たちがいる。
自分が話すのをだれかに聞いてもらうことによって学ぶ人もいる。
@理解の仕方と
A学び方
は仕事の仕方に関して最初に考えるべき最も重要な問題。
  誰かと組んだほうがよいか、
1人のほうがよいか
も知らなければならない。
組んだほうがよい⇒どのように組んだ時により仕事ができるか。
一部門の責任者として最高の人がいる。
but総司令官としては適切ではない。
チームの一員として最高の人がいる。
一匹狼として最高の人がいる。
教師や相談役として最高の人がいる。
  意思決定者と
補佐役の
いずれとしてのほうが成果を上げられるか。
ナンバー・ツーとして活躍していても、トップになったとたんに挫折する人がいる。
トップの座には、意思決定を下す能力が必要。
  緊張や不安があったほうが仕事ができるか、
安定した環境のほうが仕事ができるか
  大きな組織のほうが仕事ができるか
小さな組織のほうが仕事ができるか
大きな組織で成功しながら、小さな組織に移ったとたんに無残に失敗する例もがくさんある。
 
いまさら自己を変えようとしてもうまくいくわけがない。
それよりも、自分の仕事の仕方をさらに磨いていくことである。
得意でないことや、できないことにあえて挑んだりしてはならない。
★自分にとって価値あることは何か 
  倫理の問題:
朝、鏡でどのような人間の顔を見たいのかというだけの問題。

組織や状況では変わるものではない。
◆組織の価値観との共存 
  価値観の問題:
内部に人材を求めるか外部に人材を求めるか。

働く者と組織との関係、働く者のキャリアに対する組織の責任、働く者の組織への貢献のあり方について、価値観が違う。
医薬品メーカーの場合、地道に小さな改善を積み重ねるか、革新的な製品を手掛けるか。

医師が効率的に仕事ができるようにするために貢献すべきか、医療上の革新をもたらすために貢献すべきか。
短期的な利益も長期的な成長も必要。
but
この2つが対立する時、それぞれの企業が、それぞれの価値観に従って意思決定を下さなければならない。
問題は、経済性ではなく、企業の機能と経営の責任に関わる価値観の違い。
教会に新しく礼拝に訪れる人たちの数を重視するか、1人ひとりの信仰を重視するか。
組織において成果を上げるには、働く者の価値観と、組織の価値観が矛盾してはならない。
同じである必要はないが、共存できなければならない。
さもなければ、心楽しからず、成果も上がらない。
強みと仕事の仕方が合わないことはあまりない。両者は補完的。
but
強みと価値観が相容れないことは珍しくない。
◆所を得る 
  自分の適所を知るのは、20代半ばをかなり過ぎてから。
やがて、
自己の強みが分かってくる。
自分の仕事の仕方もわかってくる。
自己の価値観もわかってくる。

得るべき所も明らかとなる。
最高のキャリアは、あらかじめ計画して手に入れられるものではない。
自己の強み、仕事の仕方、価値観を知ることによって、チャンスをつかむ用意のある者だけが手にできる。
←得るべき所を知ることによってのみ、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した人物となる。
   
★なすべき貢献は何か 
なすべき貢献は何であるかという問いに答えをだすための3つの要素:
@状況が何を求めているか
A自己の強み、仕事の仕方、価値観からして、いかにして最大の貢献をなしうるか
B世の中を変えるためには、いかなる成果を具体的に上げるべきか
  あまり高い目標を立てても、実現できなければ意味がない。
期限はせいぜい1年半とし、具体的なものとする。
⇒1年半のうちに自分が変えられるものは何であり、それをいかにして行うかを考える。
@目標は、難しいものにしなければならない。but実現可能でなければならない。
A意味のあるもんでなければならない。世の中を変えるものでなければならない。
B目に見えるものであって、できるだけ数字で表せるものであることが望ましい。
 
★互いの関係に責任を負う
  成果を上げるには、第三者との関係について責任を負わなければならない。
⇒2つの課題。
◆他の人々を受容する 
  他の人々もまた自分と同じように人間である、という事実を受け入れる。

それぞれの強みを持ち、
それぞれの仕事の仕方を持ち、
それぞれの価値観を持つ。

成果を上げるためには、共に働く人の
強み、仕事の仕方、価値観を知らなければならない。
上司は、自分なりの仕方で仕事を処理する1人の人間。

上司を観察し、仕事の仕方を理解し、彼らが成果を上げられるようにすることは、
部下たる者の責任。
これが、上司をマネジメントするコツ。
共に働く人たち、自分の仕事に不可欠な人たちを理解し、
その強み、仕事の仕方、価値観を行かす。
仕事は、仕事の論理だけでなく、共に働く人たちの仕事ぶりに依存。
   
◆コミュニケーションについて責任を負う 
  必ず、組織なのあつれきを耳にする。
but
摩擦のほとんどは、相手の仕事、仕事の仕方、重複していること、目指していることを知らないことに起因。
その原因は、互いに聞きもせず、知らされてもいないこと。
  以前は、自分のしていることを説明する必要がなかった。
but
今日では、違う責任を負い、違う仕事をする人たちが、一緒に働く。
  販売部門出身の役員がスペシャリストの仕事と行動を理解できない
⇒責任はその役員にではなく、スペシャリストのほうにある。
教えていないことが悪い。

役員のほうも、自分がマーケティングについてどう考えているのかを、みんなに知らせる責任がある。
自分の目標、仕事の仕方、行おうとしていること、期待していることを知らせなければならない。
but
他の人々との関係について責任を持つことの重要性をかなり認識している人でさえ、実際には充分なコミュニケーションを行っていない。
←押しつけがましい、詮索好き、何も知らない、などと思われたくないと考えている。 
but
これは間違い。
共に働く人たちの所に行って、「自己の強み、仕事の仕方、価値観、目指す貢献、目標としている成果」を話す。
そして、「相手の強み、仕事の仕方、価値観、目指したい貢献について知っておくべきことはないか」を聞く。
  組織は、権力によっては成立しない。
信頼によって成立する。

信頼とは、相互理解である。
⇒互いの関係について互いに責任を負うことが不可欠。

組織へのコンサルタントであろうと、取引先であろうと、流通業者であろうと、だれもが、共に働く者、依存する者、依存される者すべてに対して、この責任を果たさなければならない。
 
★第二の人生 
  第二の人生を解決する3つの方法
  @文字通り第二の人生を始める
  Aパラレル・キャリア(第二の仕事)を持つこと。 
  Bソーシャル・アントレプレナー(篤志家)になること。 
  but
第二の人生を持つには、1つだけ条件がある。
本格的に踏み出すはるか前から、助走していなければならない。
  知識労働者にとって、第二の人生を持つこと、しかも若いうちから持つことが重要な、もう1つの理由:
だれでも、仕事や人生で挫折することがある。
⇒趣味を超えた第二の関心事が大きな意味を持つ。
  知識労働者は
@組織よりも長命であって、しかも
A移動自由な存在
⇒彼ら働く者が自己をマネジメントしなければならなくなった。
   
☆第4章 マネジャーの仕事(ヘンリー・ミンツバーグ) 
★マネジメントを縛ってきた4つの言葉 
   
★マネジメント業務についての伝説と事実 
   
   
   
★マネジャーの仕事の基本とは何か 
◆対人関係における役割 
■@ 看板的役割 
■A リーダー的役割 
■B リエゾン的役割 
   
◆情報に関わる役割 
■@ 監視役 
■A 散布者 
■B スポークスマン 
   
◆意思決定に関わる役割 
■@ 企業家 
■A 妨害排除者 
■B 資源配分者 
■C 交渉者 
   
★統合化された職務 
   
★より効果的なマネジメントを目指して 
   
★マネジャーの教育 
   
★「マネジャーの仕事」に関する研究 
   
★マネジャーのための自習問題 
   
☆第5章 バランス・スコアカードの導入インパクト 
   
   
☆第6章 イノベーションの罠 
   
   
☆第7章 企業変革の落とし穴 
   
   
☆第8章 マーケティング近視眼(p211)
★事業衰退の原因は経営の失敗にある
  失敗の原因は経営者にある。
つまるところ、責任ある経営者とは、重要な目的と方針に対応できる経営者。
●鉄道会社のケース 
  鉄道が衰退したのは、旅客と貨物輸送の需要が減ったためではない。
  鉄道以外の手段(自動車、トラック、航空機、さらには電話)に顧客を奪われたからでもない。
  鉄道会社自体がそうした需要を満たすことを放棄したから。
自社の事業を「輸送事業」ではなく、「鉄道事業」と考えた⇒顧客をほかへ追いやってしまった。
事業の定義を誤った理由は、「輸送」を目的と考えず、「鉄道」を目的と考えた
=顧客中心ではなく、製品中心に考えた
ことにある。
●映画会社のケース 
  映画会社が危機に陥ったのは、テレビの発達によるものではなく、「戦略的近視眼」のため。
  映画産業を「エンタテインメント産業」と考えるべきだったのに、映画を制作する産業だと考えてしまった。
  ハリウッドは、テレビの出現を自分たちのチャンス・・・エンタテインメント産業をさらに飛躍させてくれるチャンスとして、テレビを歓迎すべきだったのに、これを嘲笑して、拒否した。
  ハリウッドを救い、最近の再起をもたらしたのは、若手の脚本家、プロデューサー、監督たち。
彼らは、かつて古い体質の映画会社を打ちのめし、映画界の大物を動揺させながら、テレビ界で名を挙げてきた。
   
明らかにチャンスを逃した場合でも、顧客中心の経営を徹底すれば、成長産業であり続けることができる。
デュポン(ナイロン)とコーニング(ガラス)はの成功要因は、
製品志向やR&D志向であると同時に、顧客志向に徹していたことにある。
技術ノウハウを応用し、顧客を満足させるチャンスを常に探し続け、膨大な数の新製品を生み出し、ことごとく成功させてきた。
顧客についての鋭い目を配っていなかったら、新製品の大部分は的外れなものとなり、その販売方法も空振りに。
カイザー・アルミニウムとレイノルズ・メタル(現アルコア)によって、顧客を満足させるまったく新しいアルミニウムの用途が開発⇒アルミニウム産業も成長。
   
◆ 経営の想像力と大胆さ 
  産業や製品、あるいは技術ノウハウについて狭く定義してしまったがために、それらを十分花咲かせないままに衰退させてしまう。
「鉄道産業」の場合、その意味は「輸送産業」であるべき。
「輸送産業」⇒鉄道による輸送だけに限定することはない⇒鉄道にもまだまだ成長できるチャンスがある。
  鉄道産業に掛けているものは、鉄道をここまで大きくした、経営的な想像力と大胆さ。
★忍び寄る陳腐化の影 
  花形産業にも、衰退の影が忍び寄ってくる。
●ドライクリーニング産業
ウール衣料全盛の時代には、衣料を傷めず簡単に洗うには、ドライクリーニングしかない
⇒活況は長く続いた。
but
合成繊維と化学添加剤の登場⇒ドライクリーニングの必要がなくなった。
超音波クリーニング。
●電力産業 
石油ランプも水車も蒸気エンジンも駆逐。
but
燃料電池の開発
太陽エネルギーの研究

電力会社も、燃料電池、太陽エネルギー、その他の新しいエネルギー源の開発に勤めなければならない。
生き残りをかけ、現在の糧を自ら陳腐化させなければならない。
●食料品店 
信念を貫く勇気を持ったいくつかの食料品チェーン店は、街角店の原理に固執。
彼らは誇りを捨てなかったが、無一文になってしまった。
   
◆成長産業など存在しない(p218)
  ボストン在住の百万長者
遺言書に「自分の全資産は永久に市電事業の株だけに投資すべし」⇒相続人は貧困に。
  成長産業といったものは存在しない。
成長のチャンスを創出し、それに投資できるよう組織を整え、適切に経営できる企業だけが成長できる。
何の努力もなしに、自動的に上昇しているエスカレーターに乗っていると思っている企業は、必ず下降期に突入する。
  すでに死滅したか、死滅しつつある得視聴産業の歴史〜急激な拡大の後に思いがけない衰退が訪れるといった、思い違いの繰り返し。
この繰り返しが起こる、共通する4つの条件:
@人口は拡大し、さらに人々は豊かにかり続けるから、間違いなく今後も成長すると確信。
A当該産業の主要製品を脅かすような代替品はあるはずがないと確信。
B大量生産こと絶対だと信じ、生産量の増加に伴って、急速に限界コストが低下するという利点を過信。
C製品は周到に管理された科学実験によって、どんどん品質が改良され、生産コストを低下させるという先入観がある。
★人口増加という危うい神話 
  石油産業の努力は石油の採掘と精製の効率改良のみに向けられ、石油製品そのものの品質改良やマーケティングの改良に対しては、何もしてこなかった。
主要製品をガソリンというごく狭い範囲に限定しており、エネルギー、燃料、輸送用の資源という、幅広い定義をしなかった。

@ガソリンの品質についての大きな改良は、石油産業から生まれなかった。優れた代替燃料の開発も、石油産業によるものではあい。
A自動車燃料マーケティングを変革したのは小さな石油会社によるものjで、この会社は石油の採掘や精製とは無縁。給油ポンプを多数設備したガソリン・スタンドを次々とつくり、広くて清潔な店舗レイアウト、スピーディで効率的なサービス、良質なガソリンの廉売に力を傾け、成功を収めた。
◆代替品が現れない製品はない 
  問題は、ほとんどの石油精製会社が膨大な量の原油を貯蔵。
貯蔵原油に価値があるのは、原油を原材料とする製品の市場が存在している時だけ。 
石油産業は成長産業であり続けたこともない。
成長、成熟、衰退という通常のサイクルを経た事業の連続にすぎない。
●石油ランプの衰退 
エジソンが、石油がいらない照明器具、白熱電球を発明。
but
暖房用の石油需要。
●セントラル・ヒーティングの出現
石炭を燃料とするセントラル・ヒーティング・システムの開発⇒これまでの暖房機は陳腐化。
but
内燃機関の発明。
セントラル・オイル・ヒーティングの出現。
この市場が衰えてきたとき、航空機用のジェット燃料という戦時需要。
戦後は、民間航空の発達、鉄道のディーゼル化、乗用車およびトラックの爆発的な需要。
●天然ガスの脅威 
石油産業は石油という特定製品、その貯蔵の価値だけに目を奪われていた。
顧客の基本ニーズと嗜好については、ほとんど注意を払ってこなかった。
   
◆幸運を呼び込む方法 
  石油は、石油産業以外のイノベーションや開発に奇跡的に救われて、思い出したように成長したにすぎない。
  製品の陳腐化を免れる保証は何もない。
自社の製品研究では陳腐化が起こらなかったとしても、他社の技術開発によって陳腐化することもある。
ex.
鉄道
馬車のむち製造業
街角の食料品店
映画会社
  幸運に恵まれるには、みずからで幸運をつくり出すのが最良の方法。
⇒事業を成功させる要因を知らなければならない。
それを妨げる最大の敵の1つが大量生産。
   
★マーケティングは販売とは異なる 
  生産量の増加⇒急速に製品の限界コストが低下⇒企業努力は生産に集中し、マーケティングは軽視。
  @販売:売り手のニーズに
Aマーケティング:買い手のニーズに
重点が置かれている。
@販売は、製品を現金に替えたいという売り手のニーズが中心
Aマーケティングは、製品を創造し、配送し、最終的に消費させることによって、顧客のニーズを満足させようというアイデアが中心
@大量生産の能力を最大限に利用したい⇒「製品をあますところなく売りまくれ。そうしないと利益がでなくなるぞ」
A消費者が買いたくなるような値打ちのある製品やサービスを創造しようとする。
売ろうとするのは、製品やサービスそのものだけではない。
それがどのようなかたちで、いつ、どのような状況下で、どのような取引条件により、どのように顧客に提供されるのか、ということも含めて、すべてを売ろうとする。
企業が売ろうとするものは、売り手によって決まるのではなく、買い手によって金◎。
売り手は買い手からの誘導によって動くのであり、売り手のマーケティング努力の成果が製品になる。
   
◆大手メーカーの大量生産至上主義 
  自動車メーカーは消費者のウオンツなど調査していなかった。
前もって自動車メーカーが売り出そうと決めておいた車のうち、どれを消費者が好むかを調査していたにすぎない。
  修理サービスは販売を刺激し、利益獲得のチャンス。
but
シボレー7000店のディーラーのうち、夜間の修理サービスを行っている店は57店しかない。
   
◆ヘンリー・フォードはマーケティング第一主義(p231)
  大量生産が利益を生むという考え方は、経営計画や戦略のなかに組み込まれてしかるべき。
but
それは、顧客について真剣に考えた後のこと。
  世間は、フォードを生産の天才としてほめる。
but
彼の本当の才能はマーケティングにあった。
×フォードの組立ラインによってコストが切り下げられたので売価が下がり、500ドルの車が何百万台も売れた。
〇フォードが1台500ドルの車なら何百万台も売れると考えた⇒それを可能にする組立ラインを発明した。
フォード
「当社のポリシーは、価格を引き下げ、事業を拡大し、製品を改良することである。価格の引き下げを第一に挙げたことに注意してほしい。当社は、コストが固定的だと考えたことはない。だから、さらに売上げが増えると確信するところまで、まず価格を引き下げる。その後で、その価格で経営が成り立つよう懸命に努力している。当社はコストで頭を痛めることはない。新しい価格が決められると、それにつれてコストを下げるからである。

・・・
まず価格を低いところに決め、その価格て経営が成り立つよう、全員が最も効率よく働かざるをえないようにすることだ。低い価格を定めれば、だれもがその価格で利益を捻出しようと努力する。このように追い込まれた状況のなかで、製造方法や販売方法について発見を重ねていくのであって、時間をかけてゆっくりと調査研究した結果ではない
   
◆製品偏重主義の罠 
  ×生産にかかる限界コストさえ低くすると、なんとか利益が出るという考え方
vs.
常に変化し続ける消費者ニーズや嗜好に対して、製品がうまく対応できなくなる。
自社の既存製品しか目に入らない⇒その製品が陳腐化しつつあることに気づかない。
  ex.馬車のムチ製造業
製品改良を試みても、死の判決から逃れることはできなかった。
but
馬車のムチ製造ではなく、輸送を事業ととらえていたら、生き残れたかもしれない。
輸送事業といかないまでも、動力源に対する刺激、あるいは触媒を提供する事業だと定義⇒ファン・ベルトかエア・クリーナーのメーカーとして生き残れていたかもしれない。
  石油産業は、素晴らしいチャンスを他の産業に盗まれてきた。
ex.天然ガス、ミサイル燃料、ジェット・エンジン用潤滑油
馬力の大きい自動車用に設計される燃料システムにおける、画期的な開発も、石油会社以外の企業によるもの
石油以外の原料であろうとなかろうと、ユーザーのニーズにいちばん適合した燃料を模索することなど、何ら試みていない。
石油会社の経営者が、自社の事業はエネルギー産業であると考えれば、新たな動力源の開発は企業の存続に必要なこと。
but
エネルギー産業の自覚しただけでは不十分。
従来と同じ製品中心主義の狭い考え方を捨てなければ、その自覚も無駄になる。

石油会社は、石油を発見し、精製し、売るのが仕事ではなく、顧客のニーズを満たすことが仕事。
   
◆創造的破壊の重要性 
第1の出発点・・・顧客から始める。
  消費者は、ガソリンを買う場合のわずらわしさや手間を嫌っている。
人々は実際にガソリンを買っているのではない。
←ガソリンを見ることも、味わうことも、手で触れることも、良し悪しを知ることも、現実に試してみることもできない。
顧客が買っているのは、自分の車を運転し続ける権利。
ガソリン・スタンドは、人々が自分の車を使用する代償として定期的に使用料を支払わせられる徴税人のようなもの。

頻繁に燃料補給する必要がない代替品の開発に務めている企業は、イライラした消費者たちが差し伸べた腕のなかに飛び込める。
これらの企業は必然的に成長の波に乗る。
技術的により優れた、あるいはより高級な製品をつくり出すからではなく、顧客の強いニーズを満足させようとするから。
  石油会社は、消費効率の高い燃料(あるいは既存の燃料でも、消費者をイライラさせない給油方法)の開発に乗り出す以外に道がない。
石油会社自体の将来のために、現在、高い利益を生んでいる資産を破壊しなければならなくなる(=創造的破壊)。
ex.
大規模食料品チェーン店がスーパーマーケット事業に算入
真空管メーカーが半導体の製造に踏み切った
   
★R&Dに潜む危険な罠 
  会社の絶えざる成長を脅かす、もう1つの危険:
トップ・マネジメントが技術の研究開発を進めさえすれば、利益は間違いないと思い込んでしまうこと。
  エレクトロニクス産業:
最大の危険は、R&Dに無関心なことではなく、あまりに注意を向けすぎること。
優れた製品を開発したことで成功⇒経営者は製品を使ってくれる顧客よりも、製品のほうを重視する。
   
◆マーケティングは「じゃま者扱い」されている 
  科学や技術や大量生産に頼りすぎると、その大半の企業が横道にそれていく。
その好例が石油会社。
消費者調査はある程度実施されているが、その目的は、
石油会社のの活動の改善に役立つ情報を得ることにある。
ex.
顧客が納得する広告テーマ
もっと効果の上がるセールス・プロモーション
石油会社の市場シェア
ガソリン・スタンドや石油会社に対する好感度
など。
今後顧客を満足させる素材の基本特性とは何か、といった基本ニーズを調査しているところは見当たらない。
実際は、石油産業であろうと製品に対する顧客ニーズから始まる。
この最上位の顧客から、順々に重要性の低いものへの逆に進んで、最後に「油田探査」で終わるべき。
   
◆発想を逆転させなければならない 
●   産業活動とは、製品を生産するプロセスではなく、顧客を満足させるプロセスであることを、すべてのビジネスマンは理解しなければならない。
顧客とそのニーズから始まるのであって、特許や原材料、販売スキルからではない。 
顧客ニーズを明らかにして顧客を満足させるには、何をいかに提供すべきかと逆に進むべき。
さらに逆進して、顧客に少しでも多くの満足を与えられる製品を創造すべき。
顧客にすれば、この製品がどのように生産されているかということはどうでもよいこと。
⇒製造方法、加工方法、そのほかの作業の具体的内容は、産業活動の重要事項とはみなされない。
さらに逆に進んで、最後に来るのが、生産に必要な原材料。
  経営の席についている科学者たちが組織全体のニーズや目的を定義する場合になると、まったく科学的でなくなる。
科学的方法における2つの基本的なルール
@企業の課題は何かを突き止めて問題の定義をする。
Aその問題を解くための仮説を立てる。
を破る。
  販売:企業の製品と顧客のキャッシュを交換するためのテクニック。その交換によってどんな価値が生まれたかは関係ない。
マーケティング:顧客ニーズを発見し、創造し、触発し、満足させるといった一連の努力こそ事業活動のすべてである。
 
★顧客中心の企業となるために 
  75年ほど前、アメリカの鉄道産業は、絶対に間違いのない投資先と思われていた。
ヨーロッパ各国の王室は、アメリカの鉄道産業に膨大な金を投資。
  顧客中心の企業となるには、単なる志や秘密の販売促進法が必要になる。
その際、どういう組織をつくり、どういういリーダーシップを取るか、といったより大きな課題に取り組まなければならない。
   
◆マーケティング・マインドの浸透とリーダーシップ 
  企業がその存続に必要なことを実行するのは当然。
  堂々と生き続け、事業で成功を収めたいという衝動を持ち続ける秘訣は、成功という甘い香りに酔うのではなく、企業家の素晴らしさを心の底から実感することにある。
  成功への情熱に駆り立てられた精力的なリーダーなくしては、どんな企業も、優れた実績を上げることはできない。
ビジネスの世界で言えば、フォロワーとは顧客である。
こうした顧客を作り出すには、企業全体を顧客創造と顧客満足のための有機体であると見なさなければならない。
  経営者の使命は、製品の生産にあるのではなく、顧客を創造できる価値を提供し、顧客満足を生み出すことにある。
  企業は、製品やサービスを生み出すためでなく、顧客の購買意欲を促し、その企業と取引したいと思わせるような活動をするためにある。
   
☆第9章 戦略の本質 
   
   
☆第10章 コア・コンピタンス経営