シンプラル法律事務所
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損害賠償額算定基準(上巻:基準編)(赤い本)

☆損害賠償額算定基準(上巻:基準編)(赤い本)
★第1 積極損害
◆    ◆1.治療関係費
  ◇(1) 治療費 
    必要かつ相当な実費全額。
  ◇(2) 柔道整復(接骨院、整骨院)、鍼灸、マッサージ等の施術費、器具薬品代 (p3)
    症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向にある。
  ■施術費を認めた事例 
    〇追突事故の被害者につき、頚椎捻挫に引き続くバレー・りゅー症候群:
医師の指示はないが・・・症状を軽快させるのに効果があったことは否定できない
⇒48回のうち比較的頻繁に通院していた19回について治療の必要性を認めた
〇頚椎捻挫、両膝捻挫、右下腿打撲で併合14級の被害者
医師の指示はないが・・・@施術により疼痛が軽快し整形外科による治療回数が減少、A施術費が社会一般の水準と比較して妥当、B加害者らが施術を認めていた⇒症状固定までの整骨院施術費全額を認めた
〇頚椎捻挫等で約2年5カ月通院し14級の美容師:
整骨院での
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
     
     
     
     
  ◆2.付添費用
     
  ◆3.将来介護費
     
  ◆4.雑費 
     
  ◆5.通院交通費・宿泊費等 
     
  ◆6.学生・生徒・幼児等の学習費、保育費、通学付添費等 
    被害者ぼ被害の程度、内容、子供の年齢、家庭の状況を具体的に検討し、学習、通学付添の必要性が認められれば、妥当な範囲で認める。 
  ◇(1) 進級遅れの場合、授業料や補習費を認めた事例
    〇入通院のため1年休学⇒退院後1年前後にわたる補修費47万円余を認めた
    〇事故のため1年留年した大学生⇒学費97万円余及び1年分のアパート賃借料55万円余
    〇卒業を1年間見送った音大4年生⇒1年間の留年期間中の授業料、実験実習量費、諸会費等合計120万円余
   
    〇半年間卒業が延びた⇒大学に支払うこととなった学費増額分
     
     
     
     
     
     
     
     
  ◇(6) 通学のため賃借したマンションの賃料等を認めた事例 
    受傷により自宅からの通学が困難⇒大学近くに借りたマンションの卒業まで2年分の賃料、保証金等140万円余
     
     
     
     
     
  ◆7.装具・器具等購入費
     
  ◆8.家屋・自動車等改造費 
     
  ◆9.葬儀関係費用
     
  ◆10.損害賠償請求関係費用
     
  ◆11.後見関係費用 
     
  ◆12.その他 
     
  ◆13.弁護士費用 
  ◆14.遅延損害金 
     
  ★第2 (消極損害その1)休業損害
  ◆1.有識者 
     
  ◆2.家事従事者 
     
  ◆3.無職者 
  ◇(1) 失業者 
  ◇(2) 学生、生徒等(p87) 
    原則として認めないが、収入があれば認める。就職遅れによる損害は認められる
    〇高校3年生(女・18歳)
事故に遭わなければ昭和62年4月1日から就労したと認められる
平成元年4月18日に結婚しているが家事労働を含めて平成5年7月12日(症状固定)まで就労不可能
⇒賃セ女性高卒年齢別平均を基礎に、年度ごとに休業損害を算定。 
    〇短大生(女・20歳)
    〇大学生(男・21歳)
事故により留年し1年半就職遅れ
⇒賃セ男性大卒20歳〜24歳平均を基礎に就職後れの期間分、479万円余を認めた。
    〇大学浪人生
     
  ◆4.その他 
     
  ★第3 (消極損害その2)後遺症による逸失利益 
◆    ◆1.逸失利益の算定方法 
◆    ◆2.基礎収入 
◆    ◆3.減収はないが逸失利益を認めた事例 
◆    ◆4.眼の障害 
◆    ◆5.耳の障害 
  ◆6.鼻の障害
  ◆7.口の障害 
◆    ◆8.神経系統の機能又は精神の障害 
◆    ◆9.外貌醜状等 
◆    ◆10.胸腹部臓器の障害(脾臓摘出等) 
◆    ◆11.脊柱及びその他の体幹骨の障害 
  ◆12.上肢・下肢及び手指・足指の障害 
◆    ◆13.その他の障害 
◆    ◆14.後遺障害を負った被害者が死亡した例 
     
  ★第4 (消極損害その3)死亡による逸失利益(p143) 
  ◆1.逸失利益の算定方法
    現実年収額または学歴計あるいは学歴別の男女別平均賃金×(1−生活控除率)×67歳までのライプニッツ係数=逸失利益現価
  ◆2.基礎収入 
  ◆3.生活費控除率 
  ◆4.税金の控除 
  ◆5.就労可能年数 
  ◆6.中間利息控除 
◆    ◆7.幼児の養育費
◆    ◆8.扶養利益喪失等 
     
  ★第5 慰謝料 
  ◆1.死亡 
  ◆2.傷害 
     
◆    ◆3.後遺症 
◇    ◇(1) 被害者本人の後遺症慰謝料 
  ◇(2) 近親者の慰謝料 
◇    ◇(3) その他 
     
  ◆4.慰謝料の増額事由 
  ◇(1) 加害者に故意もしくは重過失(無免許、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反、ことさら信号無視、薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転等)または著しく不誠実な態度等がある場合(本旨2005年版下巻37頁「慰謝料増額事由」参照)
     
  ◇(2) 被害者の親族が精神疾患に罹患した場合 
     
  ◇(3) その他 
     
  ★第6 物損 
  ◆1.修理費 
  ◆2.経済的全損の判断 
  ◆3.買替差額 
  ◆4.登録手続関係費 
◆    ◆5.評価損 
  ◆6.代車使用料 
◆    ◆7.休車損 
  ◆8.雑費 
  ◆9.営業損害等 
  ◆10.積荷その他の損害 
  ◆11.物損に関する慰謝料
◆    ◆12.ペットに関する損害 
     
  ★第7 損益相殺・損害の填補等 
  ◆1.控除肯定・否定例
  ◆2.社会保険給付等がある場合の控除 
◆    ◆3.共同不法行為の場合の填補関係 
◆    ◆4.人身傷害(補償)保険 
     
  ★第8 同乗事故による減額
◆    ◆1.無償同乗(好意同乗) 
  ◆2.同乗者へのシートベルト等の不装着が問題となった事例 
     
  ★第9 素因減額 
◆    ◆1.心因的要因 
  ◆2.体質的・身体的素因 
     
  ★第10 過失相殺 
◆    ◆1.これまでの基準改訂の経過について 
◆    ◆2.2017年・2018年版の改訂について 
  ◆3.本表の見方 
  ◆4.本表の使用方法
     
  ★第11 渉外交通事件 
  ◆1.日本における渉外交通事故 
     
◆    ◆2.外国における日本人同士の交通事故 
     
◆    ◆3.外国において日本人が一方当事者となった交通事故 
     
     
  ★資料 
  ◆自賠責保険の保険金額・仮渡金の変遷 
  ◆後遺障害別等級表・労働能力喪失率 
  ◆簡易生命表(平成23年〜平成28年) 
  ◆賃金センサス平成28年第1巻第1表(抜粋)・年収額付 
男女
学歴
    ◆賃金センサス年収額表(平成23年〜平成28年)
◆    ◆ライプニッツ係数および新ホフマン計数表(現価表) 
◆    ◆ライプニッツ係数および新ホフマン計数表(年金現価表)
  ◆同上 18歳未満の者に適用する表 
  ◆自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等支払基準 
     
  ★付録 
  ◆事前準備(損害賠償請求調査事項整理票)
  ◆訴状作成のチェックポイント 
  ◇傷害・後遺障害 
  @管轄 
  A原告 
  B被告 
  ●  自賠責保険の場合:自賠法16条に基づき、被害者は自賠責保険会社を被告とすることができる。
but
自賠責保険会社は、保険者に対する損害賠償請求訴訟の結果に従うのが通常
⇒特段の事情のない限り、自賠責保険会社を被告とする必要はない。
特段の事情のある場合:
加害者が任意保険に加入しておらず且つ資力が十分でない場合、
自賠責保険会社に対する訴訟を併行して提起しておくと、現実に支払を受けられる金額を増加させられる場合。
自賠責保険に対して追加請求を予定していて、自賠責保険会社を訴訟の被告としていない場合、時効にならないよう時効中断申請をしておくことが重要。
自賠責保険会社を被告人する場合、本件金額につき、自賠法施行令2条に定めるとおりの限度がある。
  自賠法 第一六条(保険会社に対する損害賠償額の請求)
第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。
  任意保険の場合:
本件約款に基づき、被害者は任保険会社を被告として直接請求できる。
but
被保険者に対し損害賠償を命じる判決が確定すれば、保険約款により、任意保険会社は被害者に支払をする義務が生じる

任意保険会社が保険契約の効力を争っている場合や免責事由があると主張している場合をなどを除いて、任意保険会社を被告とする必要はない。
  C訴訟物の価額 
  D訴訟救助 
  E請求の趣旨
人損:運転者(民法709条)と運行供用者(自賠法3条)
物損:運転者(民法709条)と使用者(民法715条)
が不真正連帯関係
  F請求の趣旨
不法行為による損害賠償義務は、損害の発生とともに遅滞に陥り、損害(弁護士費用も含まれる)は、事故時に発生。 
  G自賠責保険から自賠法16条の被害者請求手続により損害賠償額を受領した場合や、人傷保険金を受領した場合などの請求元本と遅延損害金の関係
  H請求の原因
事実についての主張:
@請求を理由づける事実についての主張と
A当該事実に関連する事実についての主張
を区別できるよう記載。(民訴規則53条2項)

間接事実や事情などの関連事実は、請求を理由付ける事実と区別できるよう記載。
  I事故の発生
交通事故証明書 
  J請求を理由付ける事実の記載 
立証を要する事由ごとに重要な関連事実及び証拠を記載。(民訴規則53条1項)
  K責任原因 
運転者:民法709条
保有者:自賠法3条
使用者:民法715条
運送契約者:
任意保険会社:保険約款
自賠責保険会社:自賠法16条1項
  L治療関係費 
被告側が直接治療機関に支払をしたため、直ちに損害額が判らないものについても、被告側から診療報酬明細書や既払金明細書などを取り寄せる等して、できる限り損害額を記載するのが望ましい。
  M休業損害
職種、休業の内容、それによる損害を詳しく書く。
給与所得者の場合、勤務先の倒産等により休業損害証明書が入手困難となることもある⇒同証明書は早めに取得しておくことが望ましい。
事業所得者:所得を立証する正確な証拠資料を準備する必要。
  N逸失利益 
労働喪失率:
必ずしも後遺障害等級に応じた労働能力喪失表に基づく必要はないが、後遺症による仕事への
影響の程度等を詳しく書くべき。
  O慰謝料 
増額事由があれがその事情を具体的に詳しく書く。
  P損害の填補 
「前記各損害のうち、治療費の全額(〇〇円)および休業損害の8割相当額(〇〇円)は、被告が加入する任意保険会社によって補填済みである(治療費は、任意保険会社が直接病院に支払済み)。また、原告は、平成〇年〇月〇日自賠責保険から後遺障害の損害賠償額〇円を受領している。」などと記載。
填補された額を遅延損害金に充当する場合⇒充当する遅延損害金の額を計算し、充当後の遅延損害金の起算日を決める必要⇒填補額の支払日の記載は必須。
そうでない場合は、支払日を特定しなくてもよい。
通常の場合、弁済充当の費目は考慮されない⇒受領原因(治療費、休業損害としてなど)を明らかにしなくてもよい
but
これを記載しておいて方が、事実関係を把握しやすくなる。
  労災保険や厚生年金による給付を受け、かつ、過失相殺が問題となるときは、受領原因の記載は必須。

労災保険等による給付額の損害額からの控除は、少なくとも、積極損害、消極損害、慰謝料などの損害の性質による区分内でのみ許される。 
・・・・
  Q弁護士費用 
既払額控除後の請求額の10%程度。
  R結論に先だって、事前に加害者側と折衝がある場合には、その内容につき争いあるところを記載しておくと、裁判官は容易に争点を把握することがき、迅速な争点整理が可能。
  S訴え提起前の証拠保全⇒記載(民訴規則54条) 
  ?任意保険会社に対して直接請求する場合の、よって書き。 
  ?資格証明書(現在事項証明書等) 
◆    ◆交通事故損害賠償請求における立証資料 
  ◇1 刑事記録等の取り寄せ方法について 
◇    ◇2 登録自動車の登録事項等証明書の交付請求について 
     
     

★★損害賠償額算定基準(下巻:講演録編)(赤い本)
★講演 最近の東京地裁民事交通訴訟の実情
     
  ★講演 損害賠償額の算定について 
  ◆1 女子年少者の逸失利益算定における基礎収入について 
     
  ◆2 整骨院における施術費について(吉岡裁判官)
  ◇第1 整骨院における施術費について損害と認められる範囲 
  ■(1) 治療費についての一般論 
    被害者が交通事故により受けた傷害の具体的な内容・程度に照らし、症状が固定するまでに行われた「必要かつ相当な治療行為」の費用であれば、交通事故と相当因果関係のある損害と認められる。

医学的見地からみて当該障害の治療として必要性及び相当性が認められる治療行為であり、かつ、その報酬額も社会一般の水準と比較して妥当なもの。
整骨院における治療費についても、上記が妥当。
  ■(2) 施術費の請求が認められる要件(その1) 
  □ア 施術が症状固定までに行われたものであること
  □イ 施術録に記載された施術が現になされたこと 
  ■(3) 施術費の請求が認められる要件(その2) 
  □ア 必要かつ相当な施術行為であること 
  「必要性」 
    @施術の必要性:
施術を行うことが必要な身体状態にあった
A施術の有効性:
施術を行った結果として具体的な症状の緩和がみられる
  「相当性」 
    B施術内容の合理性:
施術が、受傷内容と症状に照らし、過剰・濃厚に行われておらず、症状と一致した部位につき、適正な内容として行われていること。
C施術期間の相当性:
受傷の内容、治療経過、疼痛の内容、施術の内容及びその効果の程度等から、施術を継続する期間が相当であること。
D施術費の相当性:
報酬金額が社会一般の水準と比較して妥当なもの
    片岡講演では、これらの5つについて、具体的な主張・立証がある場合には、交通事故による損害として認められる。
  □イ 医師の指示がある場合、ない場合 
    医師が患者に対して整骨院での施術を受けるように指示

特段の事情がない限りは、
@施術の必要性、A施術の有効性があることを強く窺われる事情。
but
BCDが認めらるかが検討される必要。
他方で、医師の指示がなかったとしても、
@施術の必要性、A施術の有効性について具体的な主張・立証がされたのであれば、更に、
B施術の合理性、C施術期間の相当性、D施術費の相当性が認められる場合には、施術費が交通事故による損害と認められる。
  □ウ 問題のある事案 
    片岡講演「初療の日から6か月を一応の目安としたらどうでしょうか。」
  □エ 総合的な検討 
  ◇第2 医師の同意がある場合、脱臼又は骨折の場合 
  ■(1) 医師の同意がある場合、同意がない場合 
  ■(2) 脱臼又は骨折の場合 
  ◇第3 必要かつ相当な施術行為の費用と認められない場合の損害の範囲 
  ■(1) 保険基準説と割合説 
  ■(2) 平成15年以降の裁判例の傾向
  ■(3) 裁判例の紹介 
  □ア 
  □イ 
  □ウ 
  □エ 
  □オ
  ■(4) 小括 
  ◇第4 まとめ 
     
  ◆3 給与所得者の休業損害を算定する上での問題点 
     
  ★講演 肩関節〜腱板断裂を中心に 
     
  ★部会活動報告等 
  ◆民法改正と損害賠償実務(民法改正検討プロジェクトチーム報告) 
     
  ◆人身傷害保険金請求を行う場合の訴状作成のチェックポイント 
     
◆    ◆自動車同士の自己の過失相殺基準 
     
  ◆「脳外傷による高次脳機能障害事案」の相談における留意点 
     
  ◆政府保障事業について