シンプラル法律事務所
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アメリカの民事訴訟

★第1章  米国の司法制度の概要
  ◆T 当事者対抗主義 
  ◆U 裁判所
  ◇A 連邦および州の司法制度 
■    ■1 二重の司法制度 
■    ■2 州制度と連邦制度の関係 
  ■3 二重の司法制度の問題点
■    ■4 連邦裁判所の種類 
    District Court
Court of Appeals
Supreme Court
  ■5 州裁判所の種類 
■    ■6 段階の異なる裁判所間の関係 
     
  ◇B 裁判官のプロフィール、分担事件数、倫理行動基準 
     
     
  ◆V 米国の弁護士と依頼者
  ◆W 適用法
  ◆X 司法判断適合性
     
     
     
★第4章 ディスカバリー:真実発見の手続  
  ◆T ディスカバリー
  ◆U 非開示特権 
  ◇A 証拠上の特権 
    非開示特権:
一定範囲の秘密情報の強制開示を防ぐことが特定の関係を促進するとう社会的要請との関係。
ex.弁護士と自由に相談するという社会的要請
事実や情報を保護する非開示特権は、一般的ではないが、プライバシーの権利といった社会の要請に由来。
    各裁判所で、独自に各種非開示特権を認めており、非開示特権の法解釈を独自に発展。
    連邦裁判所:
州法または連邦法に基づき、非開示特権の有無を決定。
弁護士・依頼者間非開示特権は、全州で認められており、連邦裁判所で最も行使される特権。
  ●弁護士・依頼者非開示特権
  弁護士・依頼者非開示特権:
弁護士・依頼者間の秘密の交信を保護し、依頼者から弁護士への広範かつ完全な関連事実の開示を奨励。

全事実を完全に把握しないと、弁護士が的確な助言を与えることができない。
依頼者が弁護士に伝えたというだけでは当該事実自体はディスカバリーから保護されない
but
両者間の交信の内容(交信があたっという事実、日時、主題の概要)を開示する必要はない。
両者間の交信に含まれる事実は、弁護士・依頼者間の秘密の交信ではない他の証言等の証拠により開示されうる。
ex.
人身傷害に対する損害賠償請求訴訟の当事者Aが、自動車事故の前から背骨が悪かったことを弁護士Bに打ち明けた場合、
Aは、背骨の問題に関し、非開示特権のある交信(非開示特権交信)をしており、この交信が背骨の問題の情報源とはならない。⇒AがBに話した内容をAに求めることはできない。
but
Aに、後にデポジションまたはトライアルで、事故の前に既に背骨に問題がなかったと聞かれた場合には正直にい答えなければならない。
ex.
企業が非開示特権のない書類を、内容検討の依頼者を添付し弁護士に送付。
依頼状自体には非開示特権があるが、添付書類には非開示特権がない。
弁護士・依頼者非開示特権:
@交信が、
A非開示特権の対象者間(通常、弁護士・依頼者間、または弁護士と依頼者の代理人の間)で、
B秘密扱いの了解に基づき、
C法律上の助言を依頼・取得・提供する目的で行われた場合に認められる。

@弁護士と依頼者以外の者の間で行われた場合
A第三者のいる場所で行われた場合
B単に通常の業務過程で依頼者と弁護士が交信したもので、特に法律上の助言を求めていない場合には、
非開示特権がない。
非開示特権は、
交信が自発的または不注意に第三者に開示されたときには失われる(=非開示特権の「放棄」)。
ある交信の非開示特権が放棄された場合、同一事項に関する他のすべての弁護士・依頼者間非開示特権が放棄されたとみなされる。
企業が依頼者の場合:
従業員間の会話により、非開示特権が放棄される可能性がある。
←必ずしも弁護士とすべての従業員とのすべての交信が特権で保護されない。
どの従業員がどの状況で弁護士と非開示特権付の交信を行うことができるかにつき、判例の見解は異なる。
どの従業員が企業を代表して非開示特権交信を行うことができるか、
どの従業員が非開示特権放棄のリスクなしに非開示特権交信を受信・聴取することができるかについて、明瞭な基準はない。
少数の州:
「コントロール・グループ」テストを採用し、意思決定の過程を支配しまたは過程に参加する従業員が弁護士との間で行った交信に非開示特権を与えている。
連邦法と過半数の州法:
交信者ではなく、交信の主題を検討し、従業員Aと弁護士Bとの交信に関し、
Upjohn v. United States で連邦最高裁判所が示した4要素を考慮。
@AからBへの交信が、自社の法律上の助言を得るためAの上司の命令により行われたか
AAがBに与えた情報は、Aの職務に関するものか
BAは、Bとの交信が自社の法律上の助言を得るために行われたと認識していたか
C交信を秘密で行うよう命じられ、また、秘密は守られたか
but
これは絶対的基準ではなく、弁護士とどの従業員の交信に非開示特権があるかを決めるには、個々の企業の状況に応じた考慮が必要。

企業が依頼者の場合、従業員は、自社の係属中の訴訟その他の法律事項を同僚と話し合う前に、弁護士の承認を受けるべき。
社外の者とは自社の法律問題について話すべきではない。
非開示特権は、
日本企業との関係では、
米国または日本の弁護士資格を有する者以外の、日本企業に対して法律上の助言を与えている多くの人に適用されない。
法務部の従業員は法律を扱い法律上の助言を行っているが、非開示特権との関係では「弁護士」ではない⇒特権がない⇒法務部の従業員と他の従業員との間の法律的見解を含む交信には非開示特権はない。 
日本の弁理士も特別。
「弁護士」資格のない法律専門家との交信は、ディスカバリーの開示対象となりうる点に留意すべき。
 
     
  ◇B ワーク・プロダクトの法理 
    @訴訟準備のために作成された内部資料や、A訴訟準備に協力する外部コンサルタントの意見等は、ワーク・プロダクトと呼ばれ、ワーク・プロダクトの法理により、限定的な非開示特権が与えられる。

限定的な免除であり、
当該資料の必要性が極めて高いこと、
当該情報を他の方法で入手困難であること
等を開示要求当事者が証明すれば、特権は適用されない。
but
実際には、訴訟担当弁護士や他の代理人の心証、結論、意見、法理論等のワーク・プロダクトは、ほとんどディスカバリーの対象にはならない。
    ワーク・プロダクトの法理は、保護対象文書の中に含まれている事実そのものには適用されない。
ex.
弁護士が依頼者から非開示特権のない文書を収集し、ファイルとしてまとめ、その上で要約

弁護士作成のファイルや要約⇒ワーク・プロダクトとして保護
元々収集した文書自体⇒保護されない。
     
  ◇C 非開示特権の放棄と共通利害原則 
     
     
     
◆    ◆V デポジション
◆    ◆W 書面によるディスカバリー 
  ◆X ディスカバリーの拒否および制裁