シンプラル法律事務所
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雇用と安全配慮義務(和田肇) ジュリストNo.828p120 | ||
◆ | ◆一 はしがき | |
● | @自衛隊八戸駐屯地第九武器隊事件(最高裁昭和50.2.25) | |
安全配慮義務に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は民法167条1項により10年 | ||
◆ | ◆二 安全配慮義務の法的根拠 | |
民法学者は古くから、解釈論として使用者がかかる義務を負うべきであると主張。 | ||
我妻:債権関係一般(契約によって成立するもの以外も含む)を支配する信義則を根拠に、労働契約上の義務として安全配慮義務を導かれることを認めていた。 | ||
当事者間で特に合意されることのないこの義務の根拠は、信義則(民法1条2項)に求めざるを得ない。 | ||
労働契約における安全配慮義務について | ||
第1:安全配慮義務は法律関係当事者間の「特別な社会的接触」から生ずる危険を未然に防止すべき義務。 労働契約では、次のことを意味する。 労働契約を締結した労働者は、使用者の提供する労働場所、設備等を利用し、その指揮命令に従って労務給付を行わなければならない。 かかる労務給付に伴いがちな危険を未然に防止すべきは、労務給付の前提条件を整える義務として、労務指揮権を行使する使用者に課される。 〜 使用者の安全配慮義務は、労務給付請求権あるいはその一部をなす労務指揮権の行使に当然随伴する義務。 |
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第2: 労働関係においては、労働安全衛生法規が安全英壊死に関する様々な義務を使用者(事業者)に課している。 同法は使用者に公法的な義務を課す行政的な取締役法規であり、労働者はこの違反につき不法行為を理由に損害賠償を請求することができる。 その場合に取締法規違反の事実から過失や違法性や一般に推定できる。 |
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but 労働安全衛生法は同時に1条においていわゆるドッキング規定を設け、同法が労基法の一部をなす旨を定めている。 ⇒同法の内容は、労基法13条によって当然労働契約の内容となる。 ⇒労働契約においては、労働安全法によって使用者の安全配慮義務が十分根拠付けられている。 |
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労働安全衛生法 第1条(目的) この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。 |
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労働基準法 第13条(この法律違反の契約) この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。 |
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安全配慮義務の研究(橋眞) | ||
★ | ★第一部 ドイツ民法典における使用者の安全配慮義務規定の制定過程 | |
★ | ★第二部 日本における安全配慮義務・・・解釈論に関する覚書 | |
◆ | ◆はじめに | |
◆ | ◆一 沿革 | |
◆ | ◆二 定義と適用範囲(p136) | |
■ | ■(1) 安全配慮義務の定義 | |
安全配慮義務とは、一定の契約関係に基づき特別の社会的接触に入った当事者の一方または双方が、その法律関係において生ずることあるべき損害発生の危険から、他方当事者の生命・身体の安全を確保すべき包括的義務 | ||
■ | ■(2) 安全配慮義務の適用領域 | |
「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触に入った当事者」の範囲 | ||
星野判事の整理: @雇用契約・労働契約に伴う労働災害事故 A請負契約に伴う労働災害事故(特に、下請人の被用者に対する元請人の安全配慮義務の成否が問題になる) B学校事故 C医療事故 D特別権力関係内における事故(公務員の労働災害、刑務所・少年院等の被収容者の事故が問題となる。) Eその他の事故(売買・建物賃貸借等の債務者が、瑕疵ある目的物を給付したり、履行方法を誤る等して損害を与えた場合における債務不履行責任の追及、幼児がデパートのエスカレーターに手をはさまれて負傷した事件) |
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安全配慮義務は債務不履行責任 ⇒右「法律関係」は契約関係を観念しうる法律関係を意味する。 |
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当該事件において「指揮命令」「使用従属」の関係あるいは「支配・管理権」の法律関係⇒右「法律関係」の存在が推認でき、 契約的構成が困難である場合には、むしろ不法行為規範の処理に委ねるべき。 |
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■ | ■(3) 直接の雇用契約がない者の間における安全配慮義務の成否 | |
安全配慮義務は、労務の受領という権利行使に伴って課せられる義務。 | ||
◆ | ◆三 根拠と法的性質 | |
■ | ■(1) 安全配慮義務の根拠・・・定義・適用範囲との関係 | |
最高裁昭和50年判決: 安全配慮義務は 「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として・・・信義則上」認められるもの。 |
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■ | ■(2) 安全配慮義務の法的性質 | |
■ | ■(3) 小括 | |
◆ | ◆四 義務内容と責任の程度 | |
◆ | ◆五 義務不履行の場合の法的手段(1)・・労務給付拒絶権・履行請求権 | |
◆ | ◆六 義務不履行の場合の法的手段(2)・・損害賠償請求権 | |
★ | ★第三部 操縦・運転上の注意義務違反と履行補助者問題 | |