シンプラル法律事務所
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不動産執行(引渡等)


民事執行の実務(上)
 ★★ 第2章 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行(非金銭執行)
★第2節 不動産引渡等の強制執行(p645)
◆  ◆第1 総説
規定 民執法 第168条(不動産の引渡し等の強制執行)
不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う
2 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
3 第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
4 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
5 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。
6 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
7 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
8 第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
9 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。
  引渡し:不動産等の直接支配を債権者に移転させること
明渡し:引渡しの一態様であり、特に債務者等が居住し、又は物品を置いて占有しているときに、目的物の中の物品を取り除き、かつ居住者を退去させ、債権者に完全な支配を移転すること
  ◆第2 不動産引渡等の執行の対象物 
  ◆第3 不動産引渡等の執行機関 
  物の所在地を管轄する地方裁判所所属の執行官
  ◆第4 不動産引渡等の執行の申立て 
  強制執行の申立ては、執行機関である執行官の職務行為が現実になされるべき地を管轄する地方裁判所の執行官に対して行う。 
執行官に対し、
債権者及び債務者、代理人の氏名・住所
債務名義の表示
引渡し又は明渡しの対象物の表示等
を記載した書面をもって、
不動産引渡などの強制執行の申立てをする(民執規則1条、21条)。
申立書には、
執行力のある債務名義正本、
債務名義の送達証明書、
当事者の資格証明書、
代理人による申立ての場合は代理権を証する書面
を添付。
実務上は、特別委任事項の関係から、委任状の提出が求められている。
  ◆第5 不動産引渡等の執行の方法 
  ◇T 直接強制
執行官において、債務者が占有する不動産等に対し実力をもって占有を解いて、債権者にその占有を取得させる直接強制の方法によって行う(民執168条1項)。
  ◇U 明渡しの催告 
  ■1 明渡しの催告 
  当該執行を開始できる
⇒当該不動産を占有している者に対して、引渡期限を定めて、明渡しの催告をすることができる(民執168条の2第1項)。
@不動産引渡等の強制執行を開始することができること
A債務者が対象物を占有していること
が必要。
明渡しの催告は、やむを得ない事由がある場合を除き、強制執行の申立てがあった日から2週間以内の日に実施。(民執規154条の3第1項)
  ■2 明渡催告の効果
  明渡しの催告
⇒催告を受けた債務者は、債権者に対し不動産等の引渡し又は明渡しをする場合を除き、当該不動産等の占有を移転してはならない(民執168条の2第5項)。
明渡しの催告後に不動産等を占有した占有者は、明渡しの催告があったことを知って占有したものと推定する(民執168条の2第8項)。
  ■3 明渡催告の公示 
  明渡しの催告

@その旨、
A引渡期限及び債務者が不動産等を占有することを禁止されている旨(民執168条の2第5項)
を当該不動産等の所在する場所に
公告書その他の標識を掲示する方法により、公示。(民執168条の2第3項)
  ■4 不動産等の引渡期限 
  不動産等の引渡期限
明渡しの催告があった日から1か月を経過する日(民執法168条の2第2項本文)。
but
執行官は、執行裁判所の許可を得て、1か月以降の日を引渡期限とすることもできる。
この引渡期限
〜明渡催告に基づき、債務名義に承継執行文の付与を要しないで承継人等に対して不動産引渡等の強制執行を行うことができる期限。
明渡催告の断行予定日は、引渡期限までの適宜の日ということになる。
執行官は、引渡期限が経過するまでは、執行裁判所ぼ許可を得て、引渡期限の延長をすることができる。
  ■5 明渡催告後の占有移転 
  明渡催告後に対象不動産等の占有移転
⇒引渡期限が経過する前までは、当該占有者に対して、承継執行文の付与を得ることなく、当初の債務者に対する強制執行の申立てにより、強制執行の続行をすることができる(民執168条の2第6項前段)。 
この場合、当該占有者を民事執行法168条の2第5項の占有移転禁止の義務を負う債務者とみなし、執行費用を負担する債務者(民執42条1項)とする。

不動産引渡等の強制執行における執行費用費用を負担する者は、執行申立の基礎となった債務名義上の債務者ではなく、実際に不動産引渡等の強制執行が行われた時の占有者とすべき。
but
明渡しの催告は、債務名義上の債務者に対して行われる。
⇒その明渡しの催告に要した費用は、債務名義上の債務者の負担となる。
  明渡催告後に不動産等の占有の移転
⇒当該占有者は、明渡しの催告をがあったことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人ではないことを理由として、債権者に対し、強制執行不許を求める訴えを提起できる(民執168条の2第7項前段)。
明渡催告後に占有の移転を受けた占有者に対して強制執行(民執168条の2第6項前段)

当該占有者は、執行異議の申立てにおいて、
債権者に対抗する権原により対象物を占有していること、又は
明渡しの催告があったことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人ではないこと
を理由とすることができる(民執168条の2第9号)。
  ■6 明渡催告の費用 
  執行費用となり(民執法168条の2第10項)、債務者の負担となる(民執42条1項)。
◇     ◇V 執行官の立入権等 
  不動産引渡等の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くために必要な処分をすることができる(民執168条4項)。
  執行の際に抵抗を受ける⇒威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。
執行に際し、居住者等に出会わないときの立会人、休日又は夜間の執行における執行裁判所の許可、身分証明書等の携帯の規定の適用がある。
執行官は、不動産引渡等の強制執行をするため当該不動産等の占有者を特定する必要
⇒当該不動産等に所在する者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、文書の提示を求めることができる(民執168条2項)。
  執行官が退去を命じたのに、これに従わないとき(ex.家屋に施錠して執行官を立ち入らせないようにしたり、室内に居座って頑として立ち退きを拒んだり、家財道具の搬出を妨害するなどの抵抗)⇒強制執行の目的を実現するために必要な程度で威力(実力)を行使して退去を強要することができる(民執6条1項)。
ex.閉鎖した門戸を開くために施錠を壊すことや、居座っている人に手をかけて連れ出す。
but
立ち退きを強要することが債務者の生命に危険をもたらすような場合、執行を事実上不能として中止するほかない。
  ◇W不動産引渡等の執行における債権者の出頭 
不動産引渡等の強制執行は、執行官が債権者の対象物に対する占有を解いて、債権者に、現実にその占有を取得させる方法により行う(民執168条1項)。

不動産引渡等の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる(民執168条3項)。
  ◇X 不動産の引渡等の強制執行における占有の認定 
  ■1 不動産引渡等の強制執行の債務者及びその同居人に対する執行 
  債務名義の効力は、原則として債務名義に表示されている当事者以外の者に対しては及ばない⇒債務者に対する家屋明渡しの債務名義に基づいて当該家屋から債務者以外の者を退去させることはできない。
but
債務者の家族で、債務者と当該家屋で生活を共にしている者などで、債務者に附随している者は、いわゆる債務者の占有補助者として、債務者と共に退去させることができる。
同一の生計を営む夫婦とその子供が家屋に同居
〜目的家屋の事実上の支配に関して重要な対外的役割を負っていることが客観的に認められるか否かによって占有者を定めるのが妥当。
これが認められる⇒占有者
認められない⇒占有補助者
債務者の親が、目的家屋の内で、独立の営業を営んでいて、債務者とは別個の世帯と考えられるような場合には、債務者に対する当該家屋明渡しの債務名義に基づいてその親に対する執行をすることはできない。
  ■2 共同占有者に対する執行 
  執行対象物を債務者と他の者が共同で占有:

他の共同占有者が執行官の立入りに同意⇒債務者の占有を解くことは可能
執行対象物の占有を債権者に取得させるには、当該他の共同占有者が債権者との共同占有に同意することが必要。
  ◇Y 不動産等の一部に対する引渡等の執行 
     
  ◆第6 不動産引渡等の強制執行における執行目的外動産の処理 
  ◇T 不動産引渡等の強制執行における目的外動産
    不動産引渡等の強制執行(民執168条)の目的物の附合物・従物⇒目的物とともに債権者に引き渡される。
従物に当たらない動産が目的外動産。
  ◇U 不動産引渡等の強制執行における目的外動産の債務者等への引渡し、売却 
  ■1 目的外動産の債務者等への引渡し・売却 
    執行官:不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行において、その目的物でない動産(目的外動産)を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業員で相当のわきまえのある者に引き渡さなければならない(民執168条5項前段)。
引き渡すことができない⇒執行官が売却(民執168条5項後段)。
売却手続:
動産執行の例による(民執規154条の2第1項)。
原則:保管の日から1週間以上1か月以内の日を競り売り期日又は入札期日として日時場所を定める。
以下の2.3の例外。
  ■2 明渡催告実施後の即時売却(民執168条5項後段、民執規154条の2第2項) 
    執行官が明渡の催告を実施

これと同時に、不動産の引渡し等の強制執行の実施予定日に目的外動産で債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業員で相当のわきまえのある者に引き渡すことのできなかったものが生じたときは、同強制執行実施予定日に売却する旨決定することができる(民執規154条の2第2項後段)。
断行日当日その場で目的外動産の売却が実施⇒強制執行の申立債権者が自ら当該目的外動産を買い受けて、処分することができる。
  ■3 目的外動産を債務者等に引き渡すことができる見込みがない場合の即時売却・近接日売却(民執168条5項後段、民執規154条の2第3項)
    執行官は、不動産等引渡し又は明渡の強制執行を行った日(断行日)において、相当の期間内に目的外動産を債務者等に引き渡すことができる見込みがない

即日又は断行日から1週間未満の日に目的外動産の売却を実施することができる。
この場合、即時売却を実施する場合には、公告(民執規115条)は不要。

明渡催告の段階では、断行実施予定日における売却を決定しなかったが、断行実施日に生じた目的外動産の種類・内容等から、債務者等が引き取りにくる可能性が期待できないとして、
買受希望者(債務者等)が現場に存在するとして即日売却を実施するか、1週間未満の日を売却実施日と定める
  ■4 高価な動産についての即時売却等の適用除外(民執168条5項後段、民執規則154条の2第4項)
    高価な動産⇒上記2.3の方法による売却はできず、原則通りの方法で売却。
  ■5 目的外動産の保管・売却(民執168条6項) 
    目的外動産について、前記までの引渡し・売却をしなかったものがあるときは、執行官は、これを保管。
その後に前記の売却をすることができる。
この場合の保管費用は、執行費用となる。
  ■6 第三者所有の目的外動産 
    目的外動産に第三者所有物が含まれる場合:
執行官は当該実質的権利関係を判断する権限はない
⇒当該第三者に引き渡すことはできない。
目的外動産に第三者所有物が含まれる場合であっても、目的外動産の売却手続をすることができる。
  ■7 目的外動産である登録自動車の換価 
    目的外動産が登録自動車である場合:
その換価は、執行官が執行裁判所に対する強制競売(民執規86条)の申立てをすることによって行われる。
申立てを受けた執行裁判所は、一般の自動車に対する強制施行(自動車執行)の申立てがあった場合と同様に、強制競売開始決定(自動車の引渡命令は不要)をして売却手続を進め、売得金は執行官に交付。
  ■8 目的外動産についての差押え、仮差押え又は仮処分がなされている場合の措置 
  ■9 目的外動産の売得金の供託 
    目的外動産を売却
執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託(民執168条8項)。

弁済供託に準ずる性格を有するもので、その供託金の払渡しは被供託者の還付請求によってなされることになる。
  ◆第7 不動産等退去の執行 
    退去:対象物の現実の支配を止めることで、明渡しと異なり、債権者に現実の支配を取得させることを含まない。
「建物退去土地明渡」の債務名義で、
土地所有者が、当該土地上の建物所有者に対する「建物収去土地明渡」の請求をする場合に、当該建物を所有者以外の者が占有しているときに、建物所有者に対する「建物収去土地明渡」の債務名義だけでは、当該建物占有者の建物の占有を排除できないため、その占有者に対してなされるもの。
実務上、「建物退去土地明渡」の債務名義に基づく退去執行は、
建物収去執行と同時に、執行官に申し立てることを要し、
執行官が建物占有者である債務者の占有を解く方法で行われている。
  ◆第8 不動産引渡等の強制執行の終了 
  ◇T 不動産引渡等の強制執行終了の時期 
    不動産引渡等の強制執行(民執168条)は、債務者の目的物に対する占有を解いて、債権者にその占有を取得させた時に終了
目的物から運び出した目的外動産の保管・売却は、附随的事後的措置にすぎない
目的外動産の対象物から除去は、債務者の占有を解く方法の一態様であり、執行終了の判断要素となるが、若干の残置物があっても、外形的に債務者の占有が排除されたと認められる状態で債務者に引き渡されたときは、不動産引渡等の強制執行は終了
  ◇U 不動産引渡等の強制執行終了の通知 
    不動産引渡等の強制執行(民執168条)が終了⇒執行官は、債務者に対し、その旨を通知しなければならない(民執規154条)。
債務者が執行に立ち会っていたときは、口頭で通知すれば足りる。

民事執行の実務(新版)(下)
第4章 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行
第1節 不動産の引渡し又は明渡しの強制執行
◆第1 概説(p724)
 
  ◆第2 執行機関
  ◆第3 執行補助者 
  ◆第4 強制執行の対象物 
  ◆第5 執行の申立て
  ◆第6 執行の方法
  ■1 直接強制 
  ■2 明渡しの催告 
  □(一) 明渡しの催告 
□(二) 明渡催告の効果
  □(三) 明渡催告の公示
  □(四) 引渡期限 
  □(五) 明渡催告後の占有移転 
  □(六) 明渡催告の費用 
  □(七) 執行官の質問及び文書の提示を求める権原 
  ■3 執行官の立入権(p740) 
  □(一) 
  □(二) 
  □(三) 
  □(四) 
  ■4 債権者又はその代理人の出頭 
    不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の目的物に対する占有を解いて、債権者に現実にその占有を得させる方法により行う(東京高裁)

引渡し等の執行は債権者に対し占有を取得させることによってはじめて本来の目的を達するもの

債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限りすることができる(法168条3項)。
  ■5 土地明渡しのみを定め、その地上建物の収去文言を欠いた債務名義による執行 
  ■6 金銭の支払と引換えに不動産を明け渡す場合(p743) 
  ■7 目的不動産等の確認と占有の認定 
  □(一)  
  □(二) 
  □(三) 
  □(四) 会社と会社代表者、従業員の占有
  □(五) 自動車駐車場に対する土地明渡執行 
  □(六) 目的不動産の占有者の家族、同居者等に対する執行 
  ■8 共同占有者に対する執行 
  ■9 目的不動産の一部分に対する執行 
  ■10 執行官保管の可否(p753) 
  ■11 全戸負罪の場合の執行 
  ■12 債務名義が債権者以外の第三者に引渡しを命ずる場合の執行
  ◆第7 執行の目的物の範囲
  ■1 従物、附合物 
  ■2 
  ■3 
  ◆第8 執行目的外の動産の処理(p759)
    執行官は当該目的不動産等の中に債務者若しくは第三者所有の執行目的外の動産が存在
⇒これを目的不動産等の外に運び出して取り除き、債務者、その代理人、又は同居の親族若しくは使用人その他の従業員で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない(法168条4項前段)。
  ■1 執行目的外の動産を引き渡せないとき 
  規定 民執法 第168条(不動産の引渡し等の強制執行)
不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
2 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
3 第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
4 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
5 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。
6 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
7 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
8 第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
9 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。
民執規則 第104条(差押物の保管の方法等)
執行官は、法第百二十四条において準用する法第百二十三条第三項前段の場合のほか、相当と認めるときは、差押債権者又は第三者に差押物を保管させることができる。
2 執行官は、差押物を債務者、差押債権者又は第三者に保管させるときは、差押物件封印票による封印若しくは差押物件標目票のちよう付又はこれらの方法によることが困難な場合にあつては、その他の方法によりその物が差押物である旨、差押えの年月日並びに執行官の職及び氏名を表示しておかなければならない。
    不動産の引渡しの強制執行において、目的外動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業員で相当のわきまえのある者に引き渡さなければならない。(法168条5項前段)
目的外動産をそれらの者に引き渡すことができない

従前:これを保管
平成15年の改正:当該目的外動産を直ちに売却することができることになった。(法158条5項後段)
執行官:
前記の引渡し又は売却をしなかった物は保管しなければならない。(法168条6項前段)
but
その後に売却することができる。(法168条6項後段、5項後段)
その場合の保管費用は、執行費用となる。(法168条7項)
債権者等が保管を承諾⇒当該建物に目的外動産を残したままで明渡執行を終了させることがdけいる。
執行目的外動産を債権者又は第三者に保管させる場合:
保管中の事故を防止するため、適当な方法によりその物が明渡執行の目的外動産である旨、保管開始の年月日並びに執行官の職及び氏名を表示しておくべき。(規則104条2項類推)
  ■2 目的外動産の売却 
□(一) 目的外動産売却決定
    明渡しの催告(法168条の2第1項)

目的外動産の種類・数量、引取りの意思等を勘案して強制執行予定日(断行予定日)を指定
⇒債務者等の引取りの機会が実質的に保障されるものと考えられる。
⇒これと同時に、強制執行実施予定日を定めた上、当該実施予定日に強制執行の目的物でない動産であって債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業員で相当のわきまえのある者に引渡しをすることができなかったものが生じたときは、当該実施予定日にこれを強制執行の場所において売却する旨決定することができる。(規則154条の2第2項前段)
規定 民事執行規則 第154条の2(強制執行の目的物でない動産の売却の手続等)
2 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた場合において、法第百六十八条の二第一項に規定する明渡しの催告を実施したときは、これと同時に、当該申立てに基づく強制執行の実施予定日を定めた上、当該実施予定日に強制執行の目的物でない動産であつて法第百六十八条第五項の規定による引渡しをすることができなかつたものが生じたときは、当該実施予定日にこれを同項後段の規定により強制執行の場所において売却する旨を決定することができる。この場合において、執行官は、売却すべき動産の表示の公告に代えて、当該実施予定日において法第百六十八条第五項の規定による引渡しをすることができなかつた動産を売却する旨を公告すれば足りる。
  □(二) 目的外動産売却の手続 
    執行官:
不動産引渡しの強制執行を行った日(断行日)において、
@債務者等が目的外動産を受領する意思がないことを表明したとき、
A長期間所在不明で目的外動産を受領する意思を示すとは認めがたいとき等
強制執行の目的物でない動産であって、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業員で相当のわきまえのある者に引渡しをすることができなかったものが生じ、かつ、相当の期間内に当該動産を前記の者に引き渡すことができる見込みがない

即日当該動産を売却し、又は断行日から1週間未満の日を当該動産売却実施の日として指定することができる(規則154条の2第3項前段)
債務者等の利益を害することがないよう配慮
⇒この目的外動産の売却は、高価な動産については適用しない(規則154条の2第4項)。
この目的外動産の売却ができない場合⇒動産執行の売却の例による。(規則154条の2第1項)
この動産の売却手続は、その動産が債務者の所有に属する場合はもちろん、当該明渡し対象不動産等の中に存する第三者の所有に属する動産でも換価することができる。
  □(三) 売得金の供託(p765)
    目的外動産を売却⇒執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残額を供託。(民執法168条8項)
目的外動産が売却の見込みがないか又は売得金が低額で執行費用を弁済することができない⇒基本事件である明渡執行事件の予納金から支弁。
これらの売却については、執行官は、調書を作り、売却の事由を記載。(民執規則13条)
  □(四) 目的外動産である登録自動車等の換価 
  □(五)  
    この処分は不動産の引渡し又は明渡執行から派生した附随処分であるが、これによって動産の債務者への引渡しの付随手続は終了。
    売却に付して買受人のない物件は、執行官において保管を続けるよりほかない。
売却になじまない物件(ex.賞状、アルバム、手紙、日記帳、仏壇、位牌等)は保管を続けなければならない。
  □(六)
   
  □(七)