シンプラル法律事務所
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反対尋問の技術

  
     
     
     
     
     
第14章 レジナルド・ヴァンダービルト婦人に対する反対尋問  
  ヴァンダービルト夫人がその子の監護権の回復を求め、ハリー・ペイン・ホイットニー夫人に対して提起した、人身保護手続きにおける、ハーバート・C・スミスによる反対尋問
  目標:この母親が父親レジナルド・ヴァンダービルト氏の死後9年間にわたって子どもを遺棄していきたという、言い逃れのできないような確実な証拠の提出。
  証人席からは裁判官席越しに見なければならないような位置に立った。

判事は、彼女の発言に伴って変化していくその表情を子細に観察することができた。
  最高の儀礼を持って接し、ときには敬意さえ示した。
  証言の矛盾を判事の明察にまかせることにした。
  反対尋問が始まって数分で、涙にくれていたこの母親が、闘志満々の気配。
    「ブルーミー」という愛称で呼ばれていたブルーメンタールという名の既婚の男性とヴァンダービルト夫人との親密な関係について、不行跡があったのではないかという示唆

ブルーメンタール氏との関係は全く偶然に知り合ったというだけのものに過ぎないと主張。
「ブルーミー」という署名がされた電報
ヴァンダービルト夫人の主尋問中に、それが本人の打電したものに間違いないことを確認、。 
    急に思いついたかのように、彼女の知り合いのうちに、「ブルーミー」とう呼び名を持った人がいるか
⇒「いいえ」

ホイットニー夫人からの昼食の招待
⇒招待されたことは憶えていたが、そのことで誰かに電話または電報で連絡したかどうかについては、思い起こすことができなかった。


無言のまま証拠の電報を彼女に突きつけ、大声を張り上げてそれを読み始めた。
「私たち木曜日の昼お尋ねするのを楽しみにしております。愛する・・・ブルーミー」

彼女は動転。
もっともらしい言い逃れをしようとした。
but
「A・H・」とうい頭文字が打たれているその「電報がそのホテルから出されたものにちあいないこと
そこにブルーメンタール氏が住んでおり、彼の事務所もそこにおかれていたこと
を承認。

その後、子どもも連れずに、このブルーメンタール氏と連れ立って、オイローパ号で出帆
    「このなかには、独身者はブルーメンタールさんおひとりだったらしいですよ。これをご覧になってください。ブルーメンタールさんは本当は独身ではなかったのですが、船に乗られたときは奥さんとご一緒じゃなかったんですね。」
    「あなたの召使が、ブルーメンタールさんの部屋とじかに隣接・接続している特等室を取られたというのは、これはいったいどういうことでしょうね。」
    「あなたがオイローパ号の切符をお求めになりましたとき、どこの代理店からお求めになったのですか?」
「ベンジャミンさんのところでしたでしょう?」
「ベンジャミンさんというのは、ブルーメンタールさんがご自分の切符を求められた代理店でしたね?」
「ええ、私があのかたに紹介したのです。」