シンプラル法律事務所
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働き方改革法

働き方改革(パンフ)
    働く方々 がそれぞれ の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、
①長時間労働の是正 、
②多様 で柔軟な働き方の実現、
③雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
等のための措置を 講じます。
  働き方改革全体の推進
  ●労働時間法制の 見直し
働き過ぎを防ぐこと で、働く方々の健康を守り、
多様な「ワーク・ライフ・バランス」を実現 できるようにします。
  ●雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
同一企業内における正社員と非正規社員 の間にある不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても「納得」できるようにします 。
     
  ★働き方改革の全体像 
  ◆働き方改革の基本的な考え方
    「働き方改革」:
働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な 働き方を、自分 で「選択」できるようにする ための改革。

日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが必要。

働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。
  ◆中小企業・小規模事業者の働き方改革 
     「働き方改革」は、我が国雇用の7割を担う中小 企業・小規模事業者において、着実に実施することが必要。
魅力ある職場とすることで、人手不足解消にもつながる。

職場環境の改善などの「魅力ある職場づくり」が人手不足解消につながることから、人手不足感が強い中小企業・小規模事業者においては、生産性向上に加え、「働き方改革」による魅力ある職場づくりが重要。

取組に当たっては、「意識の共有がされやすい」など、中小企業・小規模事業者だからこその強みもある。

「魅力ある職場づくり」→「人材の確保」→ 「業績の向上」→ 「利益増」の好循環をつくるため、「働き方改革」により魅力ある職場をつくる。
     
  ★ポイントⅠ 労働時間法制の見直し
  ◆見直しの目的
     「働き過ぎ」を防ぎながら、 「 ワーク・ライフ・バランス」と「多様で柔軟 な働き方」を実現。

長時間労働をなく し、 年次有給休暇 を取得しやすくすること等に よって 、個々の事情にあった多様なワーク・ライフ・バランスの実現を目指す。

働き過ぎを防いで健康を守る措置をしたうえで 、 自律的 で 創造的な 働き方を希望する方々のための新たな制度をつくる。
  ◆見直しの内容 
    ①残業時間の上限を規制。
②「勤務間インターバル」制度の導入を促す。
③1人1年あたり5日間の年次有給休暇 の取得を、企業に義務づける。
④月60時間を超える残業は、割増賃金率を引上げる( 25% 50%)
▶中小企業で働く人にも適用(大企業は平成 22 年度~)

⑤労働時間の状況を客観的に把握するよう、企業に義務づけ。
▶働く人の健康管理を徹底
▶管理職、裁量労働制適用者も対象

➅「フレックスタイム制」により働きやすくするため、制度を拡充。
▶労働時間の調整が可能な期間(清算期間)を延長( 1 か月 3 か月
▶子育て・介護しながらでも、より働きやすく

⑦専門的な職業の方の自律的で創造的な働き方である
「高度プロフェッショナル制度」を新設し、選択できるようにします
▶前提として、働く人の健康を守る措置を義務化( 罰則つき)
▶対象を限定(一定の年収以上で特定の高度専門職のみが対象)
    ●生産性を向上しつつ長時間労働をなくすためには、
これら の 見直し と あわせ 、
職場の管理職の意識改革・非効率な業務プロセスの見直し・取引慣行の改善(適正な納期設定など)を通じて長時間労働をなく して いくことが必要。

このような取り組みが 全て の職場に広く浸透していくよう、厚生労働省では、周知・ 啓発や 中 小企業へ の支援・助成を行っていく。
     
  ◆見直しの概要 (残業時間の上限規制
    残業時間の上限を法律で規制することは、70 年前( 1947 年) に制定された「労働基準法」において 、初めての大改革。
    (現在)
法律上は、残業時間の上限なし。(行政指導のみ 。)

(改正後)
法律で残業時間の上限を定め、これを超える残業はできなくなる。
    ◎残業
時間 の上限 は、
原則として月45時間 ・ 年360時間 とし、
臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
(月45時間は、1日当たり2時間程度 の残業に相当します。)

◎臨時的な特別の事情 があって労使が合意する場合でも、
・年720時間 以内
・複数月平均80時間 以内(休日労働を含む)
・月100時間 未満(休日労働を含む)
を超えることはできない。
(月80時間は、1日当たり4時間程度 の残業に相当)
また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月まで。
     
  ★ポイントⅡ 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保 
  ◆改正の目的
    同一企業内における正社員 (無期雇用フルタイム労働者 と
非正規社員(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇の差をなくす。

どのような雇用形態を選択しても、待遇に納得して働き続けら れるようにすることで、多様で柔軟な働き方を「選択できる」ようにする。
  ◆改正の概要 
  ◇①不合理な待遇差をなくすための規定の整備
    同一企業内において、 正社員と非正規社員と の 間で、基本給 や賞与などのあらゆる待遇について 、不合理な待遇差を設けることが禁止。
裁判の際に判断基準となる「均衡待遇規定」「均等待遇規定」を法律に整備。

ガイドライン(指針)1 を策定し、どのような待遇差が不合理に当たるかを明確に示す。
     ※1 いかなる 待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差は不合理なものでないかについて原則となる考え方と 具体例 を示しています。
(詳しくはこちら)http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html
    均衡待遇規定(不合理な待遇差の禁止):
①職務内容2 、②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情
の内容を考慮して不合理な待遇差を禁止するもの

均等待遇規定(差別的取扱いの禁止)
①職務内容2 、②職務内容・配置の変更の範囲
が同じ場合は、差別的取扱いを禁止するもの

※2 職務の内容とは、 業務の内容+責任の程度をいいます。
    派遣労働者については、次のいずれかを確保することを義務化します。
(1)派遣先の労働者との均等・均衡待遇
(2)一定の要件を満たす労使協定による待遇
★併せて、派遣先になろうとする事業主に対し、派遣先労働者の待遇に関する派遣元への情報提供義務を新設。
  ◇②労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
    非正規社員は、正社員 との待遇差の内容や 理由 などについて、 事業主に対して説明を求めることができるように なる。
    雇用管理上の措置の内容3 (雇入れ時)
待遇決定に際しての考慮事項(求めがあった場合)
待遇差の内容・理由(求めがあった場合)
不利益取扱いの禁止
     
  ◇③行政 に よる事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続 行政ADR 4 の規定の整備
※4 事業主 と労働者との間の紛争を、裁判をせずに解決する手続きのことをいいます。
     
  ★ 労働時間法制の見直しについて
(労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法の改正)
   
   
  ◆施行期日 
    2019年年4月1日
※中小企業における残業時間の上限規制の適用は 2020年4月1日
※中小企業に おける 月60時間超の残業の、割増賃金率 引上げの適用は 2023年4月1日
     
  ◇①残業時間の上限を規制します
     
    ~中小企業の事情に配慮しながら助言指導を行います~
時間外労働の上限は、月 45 時間、かつ、年 360 時間が原則。
特例による場合であっても、できる限りこの水準に近づける努力が求められる。
このため、新たに労働時間の延長や休日労働を適正なものとするための指針を厚生労働大臣が定め、必要な助言・指導を行うこととしている。

その際、当分の間、中小事業主に対しこの助言・指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材確保の状況、取引の実態等を踏まえて行うよう配慮 すること と している。
    ~取引環境の改善も重要です~
長時間労働の是正には取引環境の改善も重要です。

労働時間等設定改善法では、事業主の責務として、短納期発注や発注の内容の頻繁な変更を行わないよう配慮するよう努めること と規定。
     
  ◇② 「勤務間インターバル」制度の導入を促します
     
  ◇③ 年 5 日の 年次有給休暇の取得を、企業に義務づけます
     使用者が労働者の希望を聴き、希望を踏まえて時季を指定。
年5日は取得。
     
  ◇④ 月 60 時間を超える残業は、割増賃金率を 引上げます
    月60 時間超の残業割増賃金率
大企業、中小企業ともに50%
※中小企業の割増賃金率を引上げ。
     
  ◇⑤  労働時間の状況を 客観的に把握するよう、企業に義務 づけ
    健康管理の観点から、裁量労働制が適用される人や管理監督者も含め、
すべての人の労働 時間の状況が 客観的な 方法その他適切な方法で 把握されるよう法律で義務づけ。

労働時間の状況を客観的に把握することで、長時間働いた労働者に対する、医師による面接指導 ※ を確実に実施。
※「労働安全衛生法」に基づいて、残業が 一定 時間を超えた労働者から申出があった 場合 、使用者は医師による面接指導を実施する義務がある。
     
  ◇⑥ 「フレックスタイム制 」を 拡充します
    労働時間の清算期間 3か月:
清算期間が3か月になると・・
6月に働いた時間分を、
8月の休んだ分に振り替えできます。
    3か月の平均で法定労働時間以内にすれば、
割増賃金の支払いは必要なし。
6月に働いた時間分があるので、8月は働かなくても欠勤扱い とはならない。
    「6・7・8月の3か月」の中で労働時間の調整が可能となるため、子育て中の親が8月の労働時間を短くすることで 、 夏休み中の子どもと過ごす時間を確保しやすくなる。
     
  ◇⑦ 「高度プロフェッショナル制度 」を新設
     
  ◇⑧  「産業医 ・産業保健 機能」を強化します
  ■(1)産業医の活動環境の整備
     
  ■(2)労働者に対する健康相談の体制整備、労働者の健康情報の適正な取扱いルールの推進
     
     
     





「働き方改革法」の概要と実務への影響
    平成30年6月29日の参議院本会議で可決成立⇒7月6日に公布
  ★Ⅰ 働き方改革推進法の全体概要 
  ◆1 働き方改革推進法の概要 
  ◇(1) 働き方改革の総合的かつ継続的な推進 
  ■(ア) 基本的理念
  ■(イ) 国の施策 
  ■(ウ) 事業主の責務 
     
  ◇(2) 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等 
  ■(ア) 労働時間に関する制度の見直し 
  □(a) 時間外労働の上限規制 
     
  □(b) 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し 
     
  □(c) 年次有給休暇制度の改正 
     
□    □(d) フレックスタイム制の見直し 
     
  □(e) 高度プロフェッショナル制度の創設 
     
  □(f) 労働安全法における労働時間の状況の把握義務 
     
  ■(イ) 勤務間インターバル制度の普及・促進等 
     
  ■(ウ) 産業医・産業保健機能の強化 
     
  ◇(3) 雇用形態にかかわらない公正な対偶の確保(いわゆる同一労働同一賃金) 
  ■(ア) 不合理な待遇差を解消するための規定の整備 
□    □(a) 均衡待遇 
  □(b) 均等待遇 
  □(c) 派遣労働者 
  □(d) ガイドラインの根拠規定 
     
  ■(イ) 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化 
     
  ■(ウ) 行政による履行確保措置および裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備 
     
  ◆2 働き方改革推進法の施行時期 
     
  ★Ⅱ 働き方改革推進法の重要ポイントと企業実務への影響 
  ◆1 36協定の締結 
  ◇(1) 協定事項の変更と上限時間 
     
  ◇(2) 新たな罰則規定 
     
  ◇(3) 36協定についての経過措置 
     
  ◇(4) 36協定の中小企業経過措置 
     
◆    ◆2 上限規制に向けた就業規則改定 
     
  ◆3 時間外労働の削減に向けた取組み 
◇    ◇(1) サービス内容の変容 
     
  ◇(2) 労使双方の意識改革 
     
  ◇(3) 労働時間に関する制度整備 
     
  ◇(4) 労働効率の向上のための取組み 
     
  ◇(5) 労働時間削減を評価するシステム
     
  ◇(6) 自己チェックシステム 
     
  ◇(7) 取引契約書における労務コンプライアンス条項等 
     
  ◆4 中小企業の割増賃金率 
     
  ◆5 年次有給休暇の付与義務 
     
  ◆6 フレックスタイムの清算期間の見直し 
  ◇(1) 労使協定の届出 
     
  ◇(2) 就業規則の変更 
     
  ◇(3) 割増賃金の複雑化 
     
  ◆7 改正労働安全衛生法による労働時間の状況把握義務 
     
  ◆8 高度プロフェッショナル制度 
     
  ◆9 参議院厚生労働委員会での附帯決議 
     
     
  ★Ⅲ まとめ