シンプラル法律事務所
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児童福祉法・児童虐待防止法(実務コンメンタール)

★★★児童福祉法
★★序説1 児童福祉法・児童虐待防止法の制定経緯
◆    ◆T 児童福祉法の制定経緯 
  ◇1 児童福祉法制定前 
  ◇2 児童福祉法制定まで(1)・・・緊急対応から全ての児童を対象とした法律制定へ 
  ◇3 児童福祉法制定まで(2)・・・関係者の関わり 
     
     
  ◆U 児童虐待防止施策の展開 
    1933(昭和8)年:児童虐待防止法の制定
1947(昭和22)年:児童福祉法の制定
 児童虐待の禁止事項(児福34条)が掲げられ、児童福祉法の中に包含
    1989(平成元)年 児童の権利に関する条約の採択
1994(平成6)年 児童の権利に関する条約(条約第2号)を日本が批准
    1996(平成8)年
1997(平成9)年:児童福祉法の改正
1998(平成11)年:厚生省「子ども虐待対応の手引き」の発行
2000(平成12)年:児童虐待の訴防止等に関する法律(児童虐待防止法)の制定
2004(平成16)年:児童福祉法、児童虐待防止法の改正
2007(平成19)年:児童福祉法、児童虐待防止法の改正
・・・
     
  ◇1 旧児童虐待防止法から児童福祉法へ
  ◇2 児童の権利条約の批准と児童虐待防止策の推進 
    1989年に児童の権利条約が採択され、日本は1994年に批准。
     
  ◇3 「児童虐待の防止等に関する法律」の成立 
     
  ◇4 2004年改正 
     
  ◇5 2007年改正 
     通信面会制限の適用範囲を、従前の児童福祉法28条のケースに限らず、一時保護や通常の施設入所等の措置(いわゆる同意入所)にも広げ、さらに、28条ケースに限定したものの罰則を伴う接近禁止命令の制度を導入。
     
  ◇6 2011年改正 
     
  ◆V さらなる制度改正への加速 
  ◇1 2016年3月専門委員会報告書 
     
  ◇2 2016年改正(p15) 
     
  ◇3 2017年改正 
    (1) 一時保護の延長に関する司法審査
     
  ◇4 2018年改正
     
◇    ◇5 2019年改正 
     
★★序説2 民法上の親権・親族と児童虐待  
  ◆T 児童の育成をめぐる法 
  ◆U 親子・親族関係 
  ◆V 親権
  ◆W 未成年後見 
  ◆X 親権行使への介入・・・親権喪失・停止 
     
児童福祉法  
 ★★第1章 総則
☆第1条 児童福祉の理念 
 
     
★第1節  国及び地方公共団体の責務(p63)
  
☆第3条の2:国及び地方公共団体の責務  
    第三条の二[国等の責務]
国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。
     
☆第3条の3:市町村等の責務  
    第三条の三[市町村の責務]
市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、児童が心身ともに健やかに育成されるよう、基礎的な地方公共団体として、第十条第一項各号に掲げる業務の実施、障害児通所給付費の支給、第二十四条第一項の規定による保育の実施その他この法律に基づく児童の身近な場所における児童の福祉に関する支援に係る業務を適切に行わなければならない。
A都道府県は、市町村の行うこの法律に基づく児童の福祉に関する業務が適正かつ円滑に行われるよう、市町村に対する必要な助言及び適切な援助を行うとともに、児童が心身ともに健やかに育成されるよう、専門的な知識及び技術並びに各市町村の区域を超えた広域的な対応が必要な業務として、第十一条第一項各号に掲げる業務の実施、小児慢性特定疾病医療費の支給、障害児入所給付費の支給、第二十七条第一項第三号の規定による委託又は入所の措置その他この法律に基づく児童の福祉に関する業務を適切に行わなければならない。
B国は、市町村及び都道府県の行うこの法律に基づく児童の福祉に関する業務が適正かつ円滑に行われるよう、児童が適切に養育される体制の確保に関する施策、市町村及び都道府県に対する助言及び情報の提供その他の必要な各般の措置を講じなければならない。

◆    ◆解説 
◇    ◇T 国・都道府県・市町村の役割分担
     
  ◇U 市区町村の役割 
     
  ◇V 都道府県の役割 
     
  ◇W 国の役割(p70)
    2019年の児福法改正において市区町村、都道府県に対する支援の努力義務が規定
⇒市区町村及び都道府県の業務が適正かつ円滑に行われるよう、全国の児童福祉の水準を検証し、状況を正確に把握して制度整備のための施策を実施するとともに、
市区町村及び当道府県に対する助言や情報提供等、全体として児童の福祉のために必要な措置を講じなければならない。
具体的には、
(1)国は子どもの権利擁護の主体として、子どもの権利擁護の在り方を監督し、検証を行うこと
(2)全国の児童福祉の水準を担保するため、基準を設けるとともに、それを担う者の技能について資格を設けること
(3)情報収集、正確な統計により、日本における子どもの権利保障の状態を国際比較できる程度に明らかにするとともに、分析結果に基づき制度、施策を向上させること
(社会保障審議会児童部会「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会報告(提言)」)
     
★第2節 定義 (p73)
☆4条 児童等 
     第四条[児童等]
 この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。
一 乳児  満一歳に満たない者
二 幼児  満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
三 少年  小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者
Aこの法律で、障害児とは、身体に障害のある児童、知的障害のある児童、精神に障害のある児童(発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)第二条第二項に規定する発達障害児を含む。)又は治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であつて障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第四条第一項の政令で定めるものによる障害の程度が同項の厚生労働大臣が定める程度である児童をいう。
   
   
  ◇T 「児童」の意義 
     
  ◇U 上限年齢 
  ■1 趣旨 
  ■2  
  ■3 若年成人(18歳・19歳)の問題
  □(1) 若年成人への児福法上の支援の適用可能性 
     
    虐待を受け支援が必要な若年者に対してんも18歳未満の児童と同様の支援の展開ができるようにする法律の整備で一定の手当て(31条4項の挿入、33条の6の改正)
    成年年齢が引き下げられた⇒自福法上の児童の上限年齢と成年年齢が一致。
but
18歳及び19歳の者(若年成人)に対する児福法上の支援の適用は維持される。
  □(2) 高等学校就学期間との関係 
    31条2項の措置延長
  ■4 自律援助ホームの対象者の20歳以上の者への拡大 
     
     
     
☆6条の3:児童自立生活援助事業等(p95) 
  ◇趣旨 
  ◇主な改正経緯 
  ◇T 児童自立生活援助事業(1項) 
     
  ◇[ 小規模住宅型児童養育事業(8項) 
     
     
     
☆6条の4:里親等 
     
  ◇趣旨 
  ◇主な改正経緯 
  ◇T 里親の種類 
  ◇U 養育里親 
  ◇V 養子縁組里親 
  ◇W 親族里親 
     
     
     
     
     
     
★第3節 児童福祉審議会等  
     
     
★第4節 実施期間  
     
     
★第5節 児童福祉司  
     
     
★第6節 児童委員  
     
     
★第7節 保育士  
     
     
     
★★第2章 福祉の保障  
★第1節 療育の指導、小児慢性特定疾病医療費の支給等  
     
     
★第2節 居宅生活の支援  
     
     
★第3節 助産施設、母子生活支援施設及び保育所への入所等  
     
     
★第4節 障害児入所給付費、高額障害児入所給付費及び特定入所障害児食費等給付費並びに障碍児入所医療費の支給  
     
     
  ★第5節 障害児相談支援給付費及び特例障害児相談支援給付費の支給
     
     
★第6節 要保護児の保護措置等(p293)  
☆25条:要保護児童発見者の通告義務 
     
☆25条の2:要保護児童対策地域協議会
     
   
     
☆26条:児童相談所長の採るべき措置 
 
     
  ◇T 本条の措置対象者 
    以下の者として通告・送致を受けた者
@要保護児童
A要保護児童
B要保護児童
C触法少年
D触法少年
E相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦
     
     
     
     
     
     
     
     
☆27条:都道府県の採るべき措置 
     
◇趣旨 
     
  ◇主な改正経緯 
     
  ◇T 措置の対象者 
    児童相談所長から報告又は送致された児童
@児童相談所が要保護児童として通告を受けた児童等
A警察官が児童相談所長に送致した児童
B家庭裁判所が児童相談所長に送致した児童
C家庭裁判所が強制的措置を許可するとして児童相談所長に送致した児童

@〜B:26条第1項第1号の規定による報告のあった児童として本条1項柱書前段にまとめられている
C:同項柱書後段に規定
  ■1 要保護児童として通告を受けた児童等 
     
  ■2  警察官が児童相談所長に送致した児童
     
  ■3  家庭裁判所が児童相談所長に送致した児童
     
  ■4 家庭裁判所が強制的措置を許可するとして児童相談所長に送致した「児童福祉法の適用がある少年」 
    いわゆる「強制的措置許可申請事件」の対象者
   
    「児童福祉法の適用がある少年について、たまたま、その行動の自由を制限し、又はその自由を奪うような強制措置を必要とする」場合:
一時保護中であったり児童福祉施設入所中である児童に対し、その児童の行動特徴からみて、逃走、無断外出などのおそれが強いため、一時保護所や児童自立支援施設等において児童の居室に鍵を掛ける等の強制的な措置を必要とする場合を指す。 
強制的な措置を伴わない外出禁止は、児福法33条、33条の2、47条により児童相談所長、児童福祉施設の長、里親等に認められる権限の行使として許容される。
     
  ◇U 措置の権限(p307) 
     
  ◇V 措置の内容(p308) 
     
   
  ■3 里親への委託、施設入所(1項3号) 
  □(1) 本号の措置の内容 
    児童を小規模住宅児童養育事業(6条の3第8項)を行う者若しくは里親(6条の4)に委託し、
又は乳児院(37条)、児童養護施設(41条)、障害児入所施設(42条)、児童心理治療施設(43条の2)若しくは児童自立支援施設(44条)に入所させること。
     
  □(2) 親権者等の意思
     
  □(3) 3号措置の法的性質 
    原則として親権者等の意に反しないことを前提としつつ、都道府県(知事)の決定により、児童の居所を各種施設等に定めることになる⇒施設入所等の措置を採ることの決定が行政処分となる。
  ●@本号の措置の手続(行政手続法の適用等)(p314)
    児福法33条の5が本措置の解除について行手法第3章の適用除外を規定

本措置の解除は不利益処分であり、逆に適用除外規定のない本措置自体は「義務を課し、又はその権利を制限する処分」(行手2条4号本文)ではなく、ぬしろ「利益処分」。

行手法上の手続(12条〜31条)は不要。
親権者等の意に反して本号措置を採るときは不利益処分と見ることもできる。
but
この場合は、児福法28条1項による家庭裁判所の承認、若しくは少年法18条2項による家庭裁判所の決定(本条3項)を経なければならず、この手続は行政手続き法上の不利益処分手続に代わる手続と理解される。
 
  ●A本号の措置に対する救済手段 
    都道府県に対する抗告訴訟(行訴3条)
都道府県知事に対する審査請求(行審2条)
が可能。
    児童自身
    親権者及び未成年者後見人には原告適格及び不服申立適格が認められる。

施設入所措置は親権者等の親権に直接かかわるものであり、
本条4項においては、親権を行う者及び未成年後見人の意に反して行うことができないとされている。
児福法28条1項による審判を得て行う措置に対しても抗告訴訟を提起することができ、取消訴訟のほか、仮の救済としての執行停止も認められる。
     
  ●B 国家賠償 
    本号措置は行政処分であり国賠法1条1項に定める「公権力の行使」に当たる⇒国賠法1条が適用され、都道府県が被告となる。
    本号措置により児童が入所する施設における養育監護行為も国賠法1条1項に定める「公権力の行使」に当たり、国賠法1条が適用(最高裁H19.1.25)。
都道府県ではなく社会福祉法人が設置運営する施設における被措置児童等虐待の事案につき、
児福法は、保護者による児童の養育監護について、国又は地方公共団体が後見的な責任を負うことを前提に、要保護児童に対して都道府県が有する権限及び責務を具体的に規定する一方で、児童養護施設の長が入所児童に対して監護、教育及び懲戒に関しその児童の福祉のため必要な措置を採ることを認めている。
3号措置に基づき児童養護施設に入所した児童に対する関係では、入所後の施設における養育監護は本来都道府県が行なうべき事務であり、このような児童の養育監護に当たる児童養護施設の長は、3号措置に伴い、本来都道府県が有する公的な権限を委譲されてこれを都道府県のために行使するものと解される。

同措置に基づき社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所した児童に対する当該施設の長及び職員は、国賠法1条1項の適用において都道府県尾公権力の行使に当たる公務員に該当。
     
     
     
     
     
☆27条の3 家庭裁判所への送致 
    第二七条の三[家庭裁判所への事件の送致]
都道府県知事は、たまたま児童の行動の自由を制限し、又はその自由を奪うような強制的措置を必要とするときは、第三十三条、第三十三条の二及び第四十七条の規定により認められる場合を除き、事件を家庭裁判所に送致しなければならない。
     
◆T 児福法と強制的措置 
  ◇1 例外的措置 
     
◆  ◆U 送致 
     
     
     
     
☆28条 保護者の児童虐待等の場合の措置(p334) 
     
  ◇趣旨 
    「」
  ◇主な改正経緯 
     
  ◇T 家庭裁判所の承認による施設入所措置等(1項) 
     
  ◇U 措置期間及びその更新(2項) 
     
  ◇V 審判確定までの間の措置係属(3項) 
     
  ◇W 保護者に対する指導措置に関する報告等(4項) 
     
  ◇X 保護者に対する勧告の通知(5項) 
     
  ◇Y 承認審判に附随する保護者に対する指導措置の勧告(6項)
     
  ◇Z 却下審判に附随する保護者に対する指導措置の勧告(7項) 
     
  ◇[ 保護者に対する勧告の通知(8項) 
     
  ◇\ 「勧告」に対する不服申立の可否 
     
     
     
     
☆29条 
     
     
※コラム:親権者に対する手続保障はいかにあるべきか(p365)
  ●T はじめに 
     
    28条審判は、家裁をはさんで児相と親権者等が対立構造にあるという実質的状況が報じているように見える
but
別表1の事件
⇒申立人が一方的に家庭裁判所に申立てを行ない、家庭裁判所は申立人の主張と立証を踏まえて判断するという構造をとっており、二当事者対立構造にない。
  ●U 親権者等の陳述 
    家事事件手続法236条1項
⇒親権者が自らの主張を家庭裁判所に聞いてもらう機会の保障が、明確化された。
  ●V 記録へのアクセス 
    家事事件手続法47条1項:
当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写を請求することがdけいる。
3項:家庭裁判所は、当事者から前2項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。
  ●W 審判書の送達 
  ●X 申立書の送付 
     
     
   
     
     
   
     
     
     
     
☆33条 一時保護(p381)
     
  ◇T 総説(p384) 
  ◇U 一時保護の必要
    「必要があると認めるとき」:
児童の福祉の観点から必要があると認めるとき。
@一時保護とされる児童の自由を制限
A親権者等の権限をも制限
⇒「必要がある」の解釈を無限定に広げるべきではない。
一時保護の必要性:
一時保護される児童が、具体的に、児童相談所内の一時保護所又は児童相談所が委託した場所に保護される必要性であることが求められる。
2016年改正:
児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は
児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため
との文言の追加。
    具体的に一時保護を行う主な目的(「一時保護ガイドライン」)
  ■1 緊急保護(児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るための一時保護) 
     
  ■2 短期入所指導 
  ■3 アセスメント(児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するための一時保護)
    アセスメントのための一時保護⇒総合的な観点から計画的に行い、アセスメントに要する期間を保護者に伝えることが望ましい。
     
  ◇V 当事者の意思 
  ◇W 一時保護の期間
  ◇X 委託一時保護(1項、2項)
  ◇Y 一時保護開始時の有形力の行使 
    立ち入り調査()
臨検創作
必要な処分
     
  ◇Z 一時保護中の権利制限 
  ■1 児童の権利制限(強制的措置との関係) 
  ■2 親権者等の権利制限 
     
    一時保護中の面会・通信を制限することの是非・法的根拠:
児虐法12条
     
  ◇[ 一時保護の法的性質
  ■1 一時保護の措置 
  □(1) 事実上の行為(p393)
    一時保護は私人に対する義務付けといった法的効力を生じさせる法的行為ではない⇒行政行為(狭義の行政処分)とはいえない。

一時保護は事実上の行為。

行政手続法第3章の規定が適用される不利益処分には該当しない(同法2条4号イ)。
but
一時保護は、必要がある場合に、とくに行政機関の決定を経ることなく親権者、保護者、児童本人の意思に反しても児童の身柄を児童相談所内の一時保護所に隔離することができるものであり、行政機関による実力行使を認めるものとして、公権力の行使に当たる事実上の行為。

行政事件訴訟法3条2項、行政不服審査法1条2項にいう広義の「処分」に含まれる

救済手段として抗告訴訟、及び行政不服審査法上の審査請求が可能(一時保護ガイドライン5頁)
  □(2) 申立適格
  □(3)教示 
  2 家庭裁判所の承認審判の手続
  3 審理の対象 
  4 行政不服審査、行政処分取り消し訴訟との関係 
     
     
     
☆33条の2  
    第三三条の二[児童相談所長の親権等]
児童相談所長は、一時保護が行われた児童で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行う。ただし、民法第七百九十七条の規定による縁組の承諾をするには、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならない。
A児童相談所長は、一時保護が行われた児童で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置を採ることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
B前項の児童の親権を行う者又は未成年後見人は、同項の規定による措置を不当に妨げてはならない
C第二項の規定による措置は、児童の生命又は身体の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その親権を行う者又は未成年後見人の意に反しても、これをとることができる。
  ◆趣旨 
     
  ◆解説 
  ◇T 一時保護措置と親権との関係(総論)
     
     
  ◇W 監護等の措置と親権との関係(3項・4項)(p406) 
  ■1 調整の枠組み 
     
  ■2 不当な妨げの禁止
     
  ■3 緊急時の措置
   
    親権者等の「意に反しても」
but
3項の規定により、児童相談所長は、親権者による不当な妨害行為があっても、当該妨害に関わらず、児童の利益のために必要な監護等の措置を採ることができる⇒緊急時以外であっても、親権者等の意に反する措置があり得る。
but
親権者等の意に反する措置を採る場合であっても、措置の必要性についてできる限り親権者等から理解を得られるよう努めるべきとされる(児童相談所運営指針)。 
     
     
     
☆33条の5:行政手続法の適用除外(p417) 
◇趣旨 
    本条記載の措置を解除する処分・・・・行政手続法第3章(12条及び14条を除く)の規定の適用除外を定めた規定 
  ◇主な改正経緯 
     
  ◇T 行政手続法の適用除外となる処分等 
     
     
     
☆33条の6の2:特別養子適格の確認の請求 
     
  ※コラム9:養子と特別養子(p427)
  ◇T 特別養子と一般養子 
    特別養子:
@家庭裁判所の審判によって縁組が成立
A養親は夫婦に限られる
B実父母の同意を要する
C養子と実方の父母などの真剣関係が終了
D離縁者離縁は審判によるが養親側から離縁請求はできない
2019年民法改正で、6歳未満⇒15際未満に引き上げ。
    養子縁組:
戦後の民法改正によって、未成年者の養子縁組は原則として家庭裁判所の許可を要する(民法798条)。
自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は不要。
     
  ◇U 特別養子創設過程における議論・・・実親との関係切断と匿名出産 
    西欧諸国:
育児能力縫い問題のある実親がいる場合:
@ます実父母の親権行使を監督しながら支援

支援や親子の一時分離では足りず、子のために親権を剥奪すべき

A親子を恒常的に分離して子は里親に託される。
親権剥奪するだけではなく、育児能力がない実親との親子関係を断絶して、養子縁組が行われる場合がある。
    養親希望者が直接、養子縁組成立を請求することとし、原則として父母の同意を得ることとした(民法817条の6)。

親子関係切断という大きな効果を正当化⇒父母による「監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情」(817条の7)を要求。

特別養子は、実親がこのような事情を抱えた子であることになり、特別養子であることは戸籍を見ればわかる⇒プライバシーの観点から問題。
     
  ◇V 特別養子制度の限界と2019年改正 
    @プライバシー上の問題
A実親の同意を得る手続きに困難が多い

年齢制限を15歳未満までにするとともに、
家事事件手続法を改正して特別養子縁組適格の確認審判の手続を創設して、児童相談所長にも申立権を認め、この確認審判を受け手てから特別養子縁組の審判をすることとし、実親は縁組成立の審判には関われないこととした。
vs.
@西欧法に見られるように、いったん国家後見として国が引き受ける手続は組まれていない。
A実親には離縁の申立権がある⇒養親や養子の戸籍上の情報が入手できなくなるわけではない。
    @非虐待児童の養育が困難で里親の措置解除も少なくない
A特別養子縁組の養親には離縁の申立権がない

年長の特別養子の養育が順調に行われるためには、養親との慎重なマッチング支援や養親への育児支援がこれまでよりもはるかに必要になる。
従来から行われてきた乳児の特別養子縁組においても、実母への妊娠中からの育児支援が足りず、望まない妊娠に狼狽している実母から、妊娠中の合意で安易に子を取り上げるケースが見られた。

出産後に母性が発現する可能性があるので、出産前の縁組同意は無効とすべき。
     
★第7節 被措置児童等虐待の防止等(p452) 
     
     
★第8節 情報公表対象支援の利用に資する情報の報告及び公表  
     
     
★第9節 障害児福祉計画  
     
     
★第10節 雑則  
     
     
★★第3章 事業、養育里親及び養子縁組里親並びに施設 (p480)
     
     
     
     
     
     
     
☆41条:児童養護施設 
     
     
     
☆47条  
    第四七条[児童福祉施設の長等の親権代行]
児童福祉施設の長は、入所中の児童で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行う。ただし、民法第七百九十七条の規定による縁組の承諾をするには、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならない。
A児童相談所長は、小規模住居型児童養育事業を行う者又は里親に委託中の児童で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行う。ただし、民法第七百九十七条の規定による縁組の承諾をするには、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならない。
B児童福祉施設の長、その住居において養育を行う第六条の三第八項に規定する厚生労働省令で定める者又は里親は、入所中又は受託中の児童で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置をとることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
C前項の児童の親権を行う者又は未成年後見人は、同項の規定による措置を不当に妨げてはならない。
D第三項の規定による措置は、児童の生命又は身体の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その親権を行う者又は未成年後見人の意に反しても、これをとることができる。この場合において、児童福祉施設の長、小規模住居型児童養育事業を行う者又は里親は、速やかに、そのとつた措置について、当該児童に係る通所給付決定若しくは入所給付決定、第二十一条の六、第二十四条第五項若しくは第六項若しくは第二十七条第一項第三号の措置、助産の実施若しくは母子保護の実施又は当該児童に係る子ども・子育て支援法第二十条第四項に規定する教育・保育給付認定を行つた都道府県又は市町村の長に報告しなければならない。
     
     
  ◆解説 
  ◇T 施設入所等の措置と親権 
     
  ◇U 施設長による親権行使(1項・2項) 
   
     
  ■4 親権行使者 
    親権を行使する者:
施設に入所中の児童⇒当該施設の長
ファミリーホーム又は里親に委託中の児童⇒(現実の養育を行う里親等ではなく)委託をした児童相談所の長
     
     
★★第4章 費用(p572)
     
★★第5章 国民健康保険団体連合会の児童福祉法関係業務  
     
★★第6章 審査請求  
     
★★第7章 雑則  
     
★★第8章 罰則  
     
     
     
     

★★★児童虐待防止等に関する法律
 
 
☆第2条 児童虐待の定義 
    第二条(児童虐待の定義)
 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
     
     
☆第8条の2 出頭要求 
     
☆第9条 立ち入調査等 
    「児童虐待が行われているおそれがあると認められるとき」
     
☆第9条の2 再出頭要求等 
     
☆第11条 児童虐待を行った保護者に対する指導等 
     
☆第12条 面会等の制限等 
    第一二条(面会等の制限等)
児童虐待を受けた児童について児童福祉法第二十七条第一項第三号の措置(以下「施設入所等の措置」という。)が採られ、又は同法第三十三条第一項若しくは第二項の規定による一時保護が行われた場合において、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護のため必要があると認めるときは、児童相談所長及び当該児童について施設入所等の措置が採られている場合における当該施設入所等の措置に係る同号に規定する施設の長は、厚生労働省令で定めるところにより、当該児童虐待を行った保護者について次に掲げる行為の全部又は一部を制限することができる。
一 当該児童との面会
二 当該児童との通信
2前項の施設の長は、同項の規定による制限を行った場合又は行わなくなった場合は、その旨を児童相談所長に通知するものとする。
3児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置(児童福祉法第二十八条の規定によるものに限る。)が採られ、又は同法第三十三条第一項若しくは第二項の規定による一時保護が行われた場合において、当該児童虐待を行った保護者に対し当該児童の住所又は居所を明らかにしたとすれば、当該保護者が当該児童を連れ戻すおそれがある等再び児童虐待が行われるおそれがあり、又は当該児童の保護に支障をきたすと認めるときは、児童相談所長は、当該保護者に対し、当該児童の住所又は居所を明らかにしないものとする
◇趣旨 
◇ 
◇T 面会通信の制限 
■1 面会通信制限の要件 
□(1) 対象となる場合 
    @虐待を受けた児童について、
A施設入所等の措置(27条1項3号)又は一時保護(33条1項、2項)が行われた場合

2007年に対象となる場合を拡大。
    対象となる児童:「虐待を受けた」児童
〜児童虐待の事実が明らかになっている必要
  □(2) 面会通信制限を受ける者 
    当該児童虐待を行った保護者に限定
  □(3) 権限行使の主体 
    児童相談所長及び児童が入所する施設の長
  □(4) 児童虐待の防止及び児童虐待を受けた保護のため必要があると認めるとき 
    @児童と別居している父又は母が子どもと面会交流する権利
A児童相談所は親子再統合に向けて努力する義務を負う(4条1項、11条1項)

児童相談所は積極的に面会交流を実現する努力義務を負う。
⇒本要件は厳格に適用されるべき。
    ex.
面会を認めればそのまま当該児童が連れ去られてしまうおそれがある場合
児童が虐待により傷ついており、保護者を面会することにより、更に傷つく可能性がある場合
保護者がj非道に暴行、強迫を行う可能性がある場合等

面会通信によって児童の心身の健康・安全が脅かされる可能性がある場合。 
     
  ■2 面会通信制限の手続
  □(1) 面会通信制限の法的性質 
    行政処分ではない「指導」として行う方法。

虐待を行った保護者が児童相談所からの指導に納得し、同意する場合には、同情に基づく指導として面会通信を制限することができる。
but
同意せず、あくまで面会通信を要求
⇒本条による面会通信制限を行う。
    児童と別居している父又は母が子どもと面会交流する権利を行政機関が制限するもの
⇒行政処分(行訴3条2項、行審1条2項)に該当
⇒抗告訴訟(行訴3条)、都道府県知事に対する審査請求(行審2条、4条1号)が可能であるほか、その旨の教示が必要(行訴46条、行審82条)。
不利益処分(行手2条4号)⇒行政手続法第3章の適用を受ける。
     
  □(2) 制限の方法
  ●@ 制限する面会通信の範囲
    面会:児童が保護されている住所・居所(児童相談所、一時保護所、施設、里親宅)等に対する訪問、押掛け
通信:児童が保護されている住所・居所等に対する手紙、ファクス、宅急便等の送付、電話、電子メール等
     
  ●A 通信の手続 
    本条による面会通信の制限:
行政手続法13条1項2号の規定により、弁明の機会を付与する必要。
当該保護者に対し、当該児童との面会又は通信の全部又は一部を制限する旨、制限を行う理由となった事実の内容、当該保護者の氏名、住所及び生年月日、当該児童の氏名及び生年月日その他必要な事項を記載した書面を交付しなければならない。
(行手14条、29条1項、30条、児虐法施行規則2条1甲)
     
  ●B 保護者が本条の面会通信制限に従わない場合 
     
  □(3) 面会通信制限の解除
     
◇U 児童の住所又は居所の非開示
    児福法27条1項3号による施設入所等の措置
同法33条1項若しくは2項による一時保護

広義の行政処分
⇒本来は、行訴法46条及び行審法82条の教示を行う必要があり、その際には処分内容として一時保護先を通知するのが原則。
    but
当該児童虐待を行った保護者に対し当該児童の住所又は居所を明らかにしたとすれば、当該保護者が当該児童を連れ戻すおそれがある等再び児童虐待が行われるおそれがあり、又は当該児童の保護に支障をきたすと認めるときは、児童相談所長は、当該保護者に対し、当該児童の住所又は居所を明らかにしないことができる。