シンプラル法律事務所
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児相関係規定

児童福祉法
     
    第二六条[児童相談所長のとるべき措置]
 
児童相談所長は、第二十五条第一項の規定による通告を受けた児童、第二十五条の七第一項第一号若しくは第二項第一号、前条第一号又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第六条の六第一項若しくは第十八条第一項の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、必要があると認めたときは、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。

一 次条の措置を要すると認める者は、これを都道府県知事に報告すること。

二 児童又はその保護者を児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体の事業所若しくは事務所に通わせ当該事業所若しくは事務所において、又は当該児童若しくはその保護者の住所若しくは居所において、児童福祉司若しくは児童委員に指導させ、又は市町村、都道府県以外の者の設置する児童家庭支援センター、都道府県以外の障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第十八項に規定する一般相談支援事業若しくは特定相談支援事業(次条第一項第二号及び第三十四条の七において「障害者等相談支援事業」という。)を行う者その他当該指導を適切に行うことができる者として厚生労働省令で定めるものに委託して指導させること。

三 児童及び妊産婦の福祉に関し、情報を提供すること、相談(専門的な知識及び技術を必要とするものを除く。)に応ずること、調査及び指導(医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を必要とする場合を除く。)を行うことその他の支援(専門的な知識及び技術を必要とするものを除く。)を行うことを要すると認める者(次条の措置を要すると認める者を除く。)は、これを市町村に送致すること。

四 第二十五条の七第一項第二号又は前条第二号の措置が適当であると認める者は、これを福祉事務所に送致すること。

五 保育の利用等が適当であると認める者は、これをそれぞれその保育の利用等に係る都道府県又は市町村の長に報告し、又は通知すること。

六 児童自立生活援助の実施が適当であると認める児童は、これをその実施に係る都道府県知事に報告すること。

七 第二十一条の六の規定による措置が適当であると認める者は、これをその措置に係る市町村の長に報告し、又は通知すること。

八 放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、子育て援助活動支援事業、子ども・子育て支援法第五十九条第一号に掲げる事業その他市町村が実施する児童の健全な育成に資する事業の実施が適当であると認める者は、これをその事業の実施に係る市町村の長に通知すること。

A前項第一号の規定による報告書には、児童の住所、氏名、年齢、履歴、性行、健康状態及び家庭環境、同号に規定する措置についての当該児童及びその保護者の意向その他児童の福祉増進に関し、参考となる事項を記載しなければならない。
     
    第三三条[一時保護]
児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。

A都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二十七条第一項又は第二項の措置(第二十八条第四項の規定による勧告を受けて採る指導措置を除く。)を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童相談所長をして、児童の一時保護を行わせ、又は適当な者に当該一時保護を行うことを委託させることができる。

B前二項の規定による一時保護の期間は、当該一時保護を開始した日から二月を超えてはならない

C前項の規定にかかわらず、児童相談所長又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、引き続き第一項又は第二項の規定による一時保護を行うことができる。

D前項の規定により引き続き一時保護を行うことが当該児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反する場合においては、児童相談所長又は都道府県知事が引き続き一時保護を行おうとするとき、及び引き続き一時保護を行つた後二月を超えて引き続き一時保護を行おうとするときごとに、児童相談所長又は都道府県知事は、家庭裁判所の承認を得なければならない。ただし、当該児童に係る第二十八条第一項第一号若しくは第二号ただし書の承認の申立て又は当該児童の親権者に係る第三十三条の七の規定による親権喪失若しくは親権停止の審判の請求若しくは当該児童の未成年後見人に係る第三十三条の九の規定による未成年後見人の解任の請求がされている場合は、この限りでない。

E児童相談所長又は都道府県知事は、前項本文の規定による引き続いての一時保護に係る承認の申立てをした場合において、やむを得ない事情があるときは、一時保護を開始した日から二月を経過した後又は同項の規定により引き続き一時保護を行つた後二月を経過した後も、当該申立てに対する審判が確定するまでの間、引き続き一時保護を行うことができる。ただし、当該申立てを却下する審判があつた場合は、当該審判の結果を考慮してもなお引き続き一時保護を行う必要があると認めるときに限る。

F前項本文の規定により引き続き一時保護を行つた場合において、第五項本文の規定による引き続いての一時保護に係る承認の申立てに対する審判が確定した場合における同項の規定の適用については、同項中「引き続き一時保護を行おうとするとき、及び引き続き一時保護を行つた」とあるのは、「引き続いての一時保護に係る承認の申立てに対する審判が確定した」とする。

G児童相談所長は、特に必要があると認めるときは、第一項の規定により一時保護が行われた児童については満二十歳に達するまでの間、次に掲げる措置を採るに至るまで、引き続き一時保護を行い、又は一時保護を行わせることができる。
一 第三十一条第四項の規定による措置を要すると認める者は、これを都道府県知事に報告すること。
二 児童自立生活援助の実施が適当であると認める満二十歳未満義務教育終了児童等は、これをその実施に係る都道府県知事に報告すること。

H都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、第二項の規定により一時保護が行われた児童については満二十歳に達するまでの間、第三十一条第四項の規定による措置(第二十八条第四項の規定による勧告を受けて採る指導措置を除く。第十一項において同じ。)を採るに至るまで、児童相談所長をして、引き続き一時保護を行わせ、又は一時保護を行うことを委託させることができる。
I児童相談所長は、特に必要があると認めるときは、第八項各号に掲げる措置を採るに至るまで、保護延長者(児童以外の満二十歳に満たない者のうち、第三十一条第二項から第四項までの規定による措置が採られているものをいう。以下この項及び次項において同じ。)の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は保護延長者の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、保護延長者の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。
J都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、第三十一条第四項の規定による措置を採るに至るまで、保護延長者の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は保護延長者の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童相談所長をして、保護延長者の一時保護を行わせ、又は適当な者に当該一時保護を行うことを委託させることができる。
K第八項から前項までの規定による一時保護は、この法律の適用については、第一項又は第二項の規定による一時保護とみなす。
     
    第四一条[児童養護施設]
児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設とする。


第四二条[障害児入所施設]
障害児入所施設は、次の各号に掲げる区分に応じ、障害児を入所させて、当該各号に定める支援を行うことを目的とする施設とする。
一 福祉型障害児入所施設 保護、日常生活の指導及び独立自活に必要な知識技能の付与
二 医療型障害児入所施設 保護、日常生活の指導、独立自活に必要な知識技能の付与及び治療
     



児童相談所運営指針(厚労省)
     
     
     
★第5章 一時保護
☆第1節   一時保護の目的と性格
  法 第三三条[一時保護]
児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。
従来の規定:
児童相談所所長は「必要と認めるとき」に一時保護を行うことができる。
vs.
一時保護は、児童と保護者を一時的に引き離すものであり、児童が保護者の下で養育される権利や保護者の親権を制約する面がある
⇒どのような目的で一時保護が行われることが明らかであることが、当事者にとって望ましい。

一時保護の目的を「児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の状況を把握するために行うものである」こととされた。
    法第33条の規定に基づき児童相談所長又は都道府県知事等が必要と認める場合には、子どもを一時保護所に一時保護し、又は警察署、福祉事務所、児童福祉施設、里親その他児童福祉に深い理解と経験を有する適当な者(機関、法人、私人)に一時保護を委託する(以下「委託一時保護」という。)ことができる。
一時保護は行政処分であり、保護者等に対する教示については、第4章第1節に示すところによる。

なお、虐待等を受けた子どもの一時保護については、本指針に定めるほか、平成9年6月20日児発第434号「児童虐待等に関する児童福祉法の適切な運用について」及び「子ども虐待対応の手引き」による。
  ◆ 1. 一時保護の必要性
    一時保護を行う必要がある場合はおおむね次のとおりである。
    (1) 緊急保護

ア 棄児、迷子、家出した子ども等現に適当な保護者又は宿所がないために緊急にその子どもを保護する必要がある場合

虐待、放任等の理由によりその子どもを家庭から一時引き離す必要がある場合(虐待を受けた子どもについて法第27条第1項第3号の措置(法第28条の規定によるものを除く)が採られた場合において、当該虐待を行った保護者が子どもの引渡し又は子どもとの面会若しくは通信を求め、かつこれを認めた場合には再び虐待が行われ、又は虐待を受けた子どもの保護に支障をきたすと認める場合を含む。)

子どもの行動が自己又は他人の生命、身体、財産に危害を及ぼし若しくはそのおそれがある場合
    (2) 行動観察
適切かつ具体的な援助指針を定めるために、一時保護による十分な行動観察、生活指導等を行う必要がある場合
    (3) 短期入所指導
短期間の心理療法、カウンセリング、生活指導等が有効であると判断される場合であって、地理的に遠隔又は子どもの性格、環境等の条件により、他の方法による援助が困難又は不適当であると判断される場合
     
  ◆2. 一時保護の期間、援助の基本
    (1) 一時保護は子どもの行動を制限するので、その期間は一時保護の目的を達成するために要する必要最小限の期間とする。

(2) 一時保護の期間は2ヶ月を超えてはならない。ただし、児童相談所長又は都道府県知事等は、必要があると認めるときは、引き続き一時保護を行うことができる。

(3) 子どもは危機的状況の中で一時保護されるので、その目的にかかわらず子どもの精神状態を十分に把握し、子どもの心身の安定化を図るよう留意する。

(4) 援助に当たっては常に子どもの権利擁護に留意し、いやしくも身体的苦痛や人格を辱める等の精神的苦痛を与える行為は許されない。

(5) 一時保護における子どもの援助等については、最低基準第13条に準じて、具体的な要領を都道府県等で定めることが適当である。

(6) 一時保護が必要な子どもについては、その年齢も乳幼児から思春期まで、また一時保護を要する背景も非行、虐待あるいは発達障害など様々であり、一時保護に際しては、こうした一人ひとりの子どもの状況に応じた適切な援助を確保することが必要である。
しかしながら、近年、地域によっては一時的に定員を超過して一時保護所に子どもを入所させる事態が見られ、またこうした様々な背景等を有する子どもを同一の空間で援助することが一時保護所の課題として指摘されている。

このため、一時保護については、
ア 管轄する一時保護所における適切な援助の確保が困難な場合には、他の都道府県等の管轄する一時保護所を一時的に活用するといった広域的な対応や、

イ 児童福祉施設、医療機関等に対する委託一時保護の活用
等により、適切な援助の確保に努めることが重要である。

(7) 児童相談所は、一時保護所に虐待を受けた子どもと非行児童を共同で生活させないことを理由に、非行児童の身柄の引継ぎを拒否することはできない。
児童相談所においては、児童福祉施設等への一時保護委託の活用、広域的な対応等により、こうした混合での援助等を回避し、すべての子どもに適切な援助を行うことが必要である。
なお、警察のもとにある子どもについて通告が行われた場合、こうした一時保護委託や広域的な対応等には一定の時間を要することや、児童相談所が遠隔地にある場合などやむを得ない事情により、児童相談所が直ちに引き取ることができないときは、警察に一時保護を委託することも考えられる。
こうした警察が行う一時保護の取扱いについては、警察庁生活安全局少年課より平成13年3月8日付で各都道府県警察本部等宛に通知されているので留意願いたい。
     
  ◆3. 一時保護の強行性
    (1) 一時保護は原則として子どもや保護者の同意を得て行う必要があるが、子どもをそのまま放置することが子どもの福祉を害すると認められる場合には、この限りでない。

(2) 現に一時保護を加えている子どもが無断外出した場合において児童福祉上必要と認められる場合には、その子どもの同意を得なくても再び保護することができる。なお、この場合においても、子どもや保護者の同意を得るよう十分な調整を図る。

(3) 一時保護は、子どもの親権を行う者又は未成年後見人の同意が得られない場合にも行うことができる。これは、一時保護が終局的な援助を行うまでの短期間のものであること等から例外的に認められているものである。なお、この場合においても親権を行う者又は未成年後見人の同意を得るよう十分な調整を図る必要がある。 
     
  ◆4. 行動自由の制限
    (1) 行動自由の制限
一時保護中は、入所した子どもを自由な環境の中で落ち着かせるため、環境、処遇方法等について十分留意する。無断外出が頻繁である等の理由により例外的に行動自由の制限を行う場合においても、できるだけ短期間の制限とする。

(2) 制限の決定
行動自由の制限の決定は、判定会議等において慎重に検討した上で児童相談所長が行う。なお、このことについては必ず記録に留めておく。

(3) 制限の程度
子どもに対して行い得る行動自由の制限の程度は、自由に出入りのできない建物内に子どもを置くという程度までであり、子どもの身体の自由を直接的に拘束すること、子どもを一人ずつ鍵をかけた個室におくことはできない。

(4) その他
行動自由の制限については本指針に定めるほか、昭和25年7月31日児発第505号「児童福祉法において児童に対し強制的措置をとる場合について」及び昭和24年6月15日発児第72号「児童福祉法と少年法の関係について」による。
     
     
☆第2節 一時保護所入所の手続き
     
     
     
     
     
☆第3節 一時保護所の運営
   
     
     
  ◆10. 退所
    (1) 一時保護の目的を達成したときは子どもを退所させる。

(2) 家出した子ども等を一時保護し、保護者が判明した場合は、保護者等から事情を聴取する等、必要な調査・判定を実施し、保護者への引取りが適当と判断したときは、その子どもとの関係を確認の上引き渡す。
なお、保護者の居住地が他の児童相談所の管内であることが判明した場合の対応については、第3章第2節のとおりである。

(3) 移送に当たって旅客鉄道株式会社(JR)、バス等を利用する場合は「被救護者旅客運賃割引証」等を発行する。これについては関連の通知を参照すること。

(4) 一時保護の解除を決定したときは、速やかにその旨を保護者に通知するとともに、関係機関等にも連絡するよう努めること。
     
     

厚労省説明
     
第5章   一時保護
     1.         一時保護の目的は何か

 一時保護の第一の目的は子どもの生命の安全を確保することである。単に生命の危険にとどまらず、現在の環境におくことが子どものウェルビーイング(子どもの権利の尊重・自己実現)にとって明らかに看過できないと判断されるときは、まず一時保護を行うべきである。

 一時保護を行い、子どもの安全を確保した方が、子どもへの危険を心配することなく虐待を行っている保護者への調査や指導を進めることができ、また、一時的に子どもから離れることで、保護者も落ち着くことができたり、援助を開始する動機付けにつながる場合もある。

 子どもの観察や意見聴取においても、一時保護による安全な生活環境下におくことで、より本質的な情報収集を行うことが期待できる。

 以上の目的から必要とされる場合は、まず一時保護を行い、虐待の事実・根拠はそれから立証するという方が子どもの最善の利益の確保につながりやすい。