シンプラル法律事務所
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児相関係資料2

児童虐待への迅速・的確な対応に向けた取組(岩佐弁護士)
★一 はじめに  
  児童虐待への対応の中心となる児童相談所及び市町村の対応を強化するための改正
 
★ニ 市区町村の機能強化  
  ◆1 市区町村における子どもの家庭総合支援拠点の設置 
     
  ◆2 要保護児童対策地域協議会の調整機関へ専門職を配置 
     
★三 児童相談所の機能強化  
◆    ◆1 児童相談所の設置拡大について 
     
  ◆2 職員の強化及び関係専門家の配置による強化 
     
  ◇(6) 一時保護の目的の明確化 
    一時保護:
児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の状況を把握するために行うものであるとして、一時保護の目的が明確化された。
but
必ずしも一時保護の目的という形で規定されたもので、必ずしも一時保護の要件が明確化したものとも言えない。
     
   
     
     
     
     
     
     
     

2か月を超える一時保護の司法審査導入に関する諸問題(1)
★第1 はじめに  
 
★第2 一時保護規定の改正経過 
  ◆1 一時保護及び一時保護2か月超えの実体的要件
   
  ◆2 2か月超えの際のプロセス 
    原則2か月以内の暫定的な措置であるとはいえ、
強制的に親子を分離する措置であり、
また、長期化している場合も見られる

一時保護の手続の適正性を一層担保する観点から、司法の関与が必要であるとの指摘。
    家裁の承認を得る手続:
家事事件手続法第23節以下(234条以下)に規定
     
★第3 本制度の趣旨及び審査の対象  
  ◆1 問題の所在 
    条文上の要件:
@2か月を超えて一時保護を行う必要があると認めること
A親権者等の意に反すること 
but
2か月超えの一時保護は、当時の一時保護に引き続いてなされるもの

当初の一時保護から2か月に至るまでの期間も適法に一時保護されていることが、2か月超えの前提。
2か月に至るまでの期間に何らかの違法事由⇒2か月超えの時点での当然に一時保護は違法と考えるのが素直な解釈。
  ◆2 検討
    家裁は、2か月を超える時点での児相による「必要性」の判断をチェックするにすぎず、一時保護の適法性全般を審査するものではない。

専ら2か月を超えて一時保護を継続する必要があるかどうかに着目して、必要性が認められる限りでは承認審判をせざるを得ない。

(1)制度設計からの検討:
@一時保護実施の直前・直後の審査ではなく、あくまで2か月を超える事案のみを審査⇒一時保護自体の適法性というよりも、その「期間」に着目した手続と考えるのが自然。
A28条申立てと同様の家事審判手続に位置付けられ、親権者等の意に反しない場合及び28条申立てや親権制限等審判の申立てを行なっている場合には審査不要⇒「一時保護が2か月を超える=長期間にわたる家庭からの分離」という実態面を捉えて、28条申立て(=親権者等の意に反する施設入所等の措置)に類するような司法審査を課したというのが制度導入の実態に即している⇒一時保護を継続する必要性(要件の該当性)の有無をチェックすることが主眼にあり、それまでの一時保護の経過の適法性を審査sるという観点は後退。
(2)家事事件手続法上の審判
家事事件手続法別表第1の審判手続

@児相が家裁の審査を受けるという構造であり、親権者等や児童は対立当事者ではない。
A家事事件手続では主張と証拠の分離も厳密にされていない。
B本件申立ては性質上迅速な審理が要求される。
⇒処分の違法性を審査するには手続的にも耐えられない。
(3)一時保護の性質・特殊性
児童の安全のための適切な保護を確保する手段。
     
★第4 要件の検討  
  ◆1 2か月の期間 
  ◇(1) 条文の構造 
     
  ◇(2) 期間の数え方 
     
  ◇(3) 2か月経過直前に親権者等が反対の意思を表明した場合
     
  ◇(4) 2か月経過後に親権者等が反対の意思を表明した場合 
     
  ◆2 一時保護継続の必要性 
  ◇(1) 条文
    「必要があると認めるときは」2か月を超えても、引き続き一時保護を行うことができる(33条4項)。

一時保護の目的規定(33条1項、2項)

「2か月を超えても、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するための必要性が認められること」
2か月の時点で
@一時保護を解除したとしても児童の安全は確保されており、
A児童の心身や環境の調査の必要性等も解消している
と言えない限りは、一時保護継続の必要性は認められるというべき。
 
  ◇(2) 類型ごとの検討 
  ■@ 児童相談所運営指針の示す類型 
    ア 
   
   
   
  ■A 一時保護継続の「必要がある」と考えられるその他の類型 
    エ 調査・方針決定未了の場合 
   
    オ 児福法28条・親権制限等審判の申立て準備中の場合
     
    カ 施設入所等措置の同意を協議中の場合 
     
  ■B 申立書様式例との関係 
     
     
     
     
  ◆3 親権者等の意に反すること 
     
     
★第5 審理手続の検討  
  ◆1 問題の所在 
  ◇(1) 基本的な考え方
    2か月を超える一時保護の承認の申立ては、
家事事件手続法上、
児童福祉法28条に基づく施設入所等措置承認申立て(「28条申立て」)と同様の手続き。
     
     
     
  ◇(2) 28条申立てと2か月超え一時保護延長の状況の違い 
  ■@ 28条申立ての時点の状況 
     
  ■A 一時保護から2か月経過した時点での状況 
     
  ◆2 申立書及び証拠方法 
  ◇(1) 申立書 
     
  ◇(2) 証拠方法・添付資料 
     
    児童相談所作成の報告書のみで家裁の心証が形成できない
⇒調査官によって児相の担当ケースワーカーから事情を聴き取る等として、必要な情報を家裁が職権で調査する運用。
     
  ◆3 審理手続 
  ◇(1) 申立てに至るまでのスケジュール 
     
  ◇(2) 申立書の受付体制 
     
  ◇(3) 申立書の送付の有無
     
  ◇(4) 親権者等及び児童への陳述聴取の方法 
  ■@ 条文と予想される運用 
     
  ■A 親権者等の陳述聴取の方法 
     
  ■B 児童の陳述聴取の方法 
    28条申立て事件:
長期的な親子分離の必要性の検討⇒児童の置かれた状況を適切に調査する必要性⇒調査官調査はほぼ必須
     
  ◇(5) 審理スケジュール 
     
  ◇(6) 審判の告知/効力の発生 
     
  ◇(7) 即時抗告 
     
     
★第6 その他の論点/施行後に指摘されている論点  
  ◆1 再度の2か月超えの承認申立て 
     
     
  ◆2 他の手続との関係 
  ◇(1) 2か月を経過する前に、28条申立てや親権制限等の申立て
⇒一時保護延長申立てを行なう必要はない(法33条5項ただし書き) 
     
     
  ◇(2) 家裁の承認審判と行政訴訟との関係 
    一時保護延長申立てかかる承認審判は、2か月経過時点での一時保護の継続の必要性を審査したものにすぎない
⇒当初の一時保護の違法性等は取消訴訟や国賠請求訴訟で争うことができる。
    時系列的には考え難いが、
2か月超え一時保護の承認審判がなされる前に、当初の一時保護を取り消す旨の裁決や判決⇒2か月超えの一時保護の要件も満たさないことになる⇒申立てを取り下げることになる(理論的には却下)
     
  ◆3 施行後に指摘されているその他の論点 
  ◇(1) 審判書の理由と即時抗告の判断の関係 
     
  ◇(2) 却下審判確定後の一時保護解除の方法 
     
  ◇(3) 児福法33条2項の解釈及び家庭裁判所送致後(児童福祉法27条1項4号)の一時保護の可否 
     
  ◇(4) 児童に即時抗告権が認められていないこと 
     
  ◇(5) 司法審査導入にかかるケースワークへの影響 
     
★第7 終わりに