シンプラル法律事務所
〒530-0047 大阪市北区西天満2丁目6番8号 堂島ビルヂング823号室 【地図】
TEL(06)6363-1860 mail:
kawamura@simpral.com 


◆児相国賠訴訟(追加報告)

●上告審

令和7年2月6日 不受理決定

令和7年2月6日、児相国賠訴訟の上告受理申立てが不受理とされました。

令和6年4月16日に上告受理申立理由書を提出し、その後時間がかかっていたので、期待していたのですが、(司法判断なしでの一時保護等についての)国賠請求を棄却するという結論を維持するという判断で受理されなかったものと考えています。

親子の人権については、令和5年7月31日の親子の人権を認める大阪地裁の判断が、(11頁で同判決が参照された)令和6年2月22日の東京高裁の(親子の人権を認める)判決に繋がったという意味で意義があったと考えていますが、最高裁の判断を得ることができなかったことは残念です。

令和6年4月16日 上告受理申立理由書 提出

令和6年2月20日 上告受理申立

●控訴審(大阪高裁) 判決

控訴審判決(大阪高裁2024年2月7日)

「憲法13条の保障する「子が親に養育される自由」、「親が子を養育する自由」についても、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るなどの観点から、必要かつ合理的な制約を受けるものであり、後見的な観点から緊急的に児童を保護する一時保護制度について・・・義務的司法審査を導入することが要請されると解することはできない。」ということで、義務的司法審査の要請は否定されましたが、憲法13条により「子が親に養育される自由」、「親が子を養育する自由」が保障される点は維持されました


●第2審(大阪高裁) 期日

2月7日(水)午後1時15分 判決

12月7日(午後3時30分)

●第2審(大阪高裁) 書面

準備書面(当方:2023年12月5日)

答弁書(国側)

控訴理由書(2023年10月10日)  理由書別紙(親子分離の要件)

控訴状(2023年8月14日)

第1審の訴状では、地裁管轄にするため総額160万円の請求としていましたが、控訴審では印紙代を考慮し、総額20万円についての控訴としています。裁判所に提出する印紙代・郵券等の実費は、支援頂いたお金から使わせていただきます。


●第1審(大阪地裁) 判決

第1審判決(大阪地裁 2023年7月31日)

@子どもの養育は、子どもが将来成熟した大人となり、共同社会の一員としてその中で生活し、自己の人格.を完成させ、自己実現を図る基礎となる能力を身に付けるために必要不可欠な営みであり、その最も原初的かつ基本的な形態は、子が親との自然的な関係に基づいて親から受ける養育である。
A親にとって子を養育することは、子どもがその人格を完成させ、自己実現を図る基礎となる能力を身に付けるための責務であるにとどまらず、子との自然的な関係に基づいて自己の人生をどのように築き上げるかという親自身の自己実現ないし自己表現に密接に関連するものである。

国家から不当に介入されることのない自由権としての「子が親に養育される自由」「親が子を養育する自由」は、いずれも個人の人格的生存に不可欠な利益というべきであり、憲法上の権利として保障される人格権の一内容として、憲法13条によって保障されると解するのが相当である。
(上記判決18頁)

●第1審 証拠説明書

第1審 証拠説明書(全部)

●第1審 準備書面

被告(国)第2準備書面(令和4年8月29日付)
これまでの原告側の主張(親子面会・通信の部分を除く)への国側の反論。

原告ら第3準備書面(令和4年9月28日付)
取消訴訟等の事後審査であっても、児童の権利条約9条1項の要請を満たすという、高裁判決に基づく国側の主張に対する反論。

被告(国)第3準備書面(令和4年10月13日付)
原告側の親子面会・通信についての主張部分に対する国側の反論。

原告ら第4準備書面(令和4年11月28日付)
争点表の順番で、全体についての主張。

別紙の争点表  目次

原告ら第5準備書面(令和4年12月1日付)
東京地裁の同性婚判決との比較に基づく主張。

被告(国)第4準備書面(令和5年2月13日付)

原告ら第6準備書面(令和5年3月20日)
同別紙

【裁判所が認識する主たる争点】

1 原告が主張する国会の立法不作為の違法性(立法措置の必要不可欠性、明白性、正当な理由のない長期にわたる懈怠の有無)
(1) 児童の権利条約9条1項、憲法13条、31条に照らし、一時保護時の義務的司法審査に関する立法措置が必要不可欠であり、それが明白であるか。
* 憲法13条に基づき、「親が子を養育する権利」「子が親に養育される権利」が保障されるか。
(2) 児童の権利条約9条3項、憲法13条に照らし、一時保護後の面会通信に関する立法措置(親子の面会通信の権利を明記し、一時保護した場合の当該権利の告知や親又は子が希望したときの面会通信の実施を義務付ける立法措置)が必要不可欠であり、それが明白であるか。
* 憲法13条に基づき、「親が子を養育する権利」「子が親に養育される権利」の一内容として「親子の面会通信の権利」が保障されるか。
2 損害の発生及び額