シンプラル法律事務所
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★算定表(養育費・婚姻費用) | ||||
年収の算定 | ● | ●給与所得者: | ||
源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収。 給与明細書⇒変動、賞与・一時金を考慮。 他に確定申告していない収入あり⇒その収入額を支払金額に加算。 |
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● | ●年金 | |||
年金収入の給与収入への換算: 値金収入には職業費を要しない⇒職業費に相当する2割を割り戻して給与収入に換算。 |
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ex.年金収入106万1180円 ⇒(106万1180円÷(1−0.2)≒132万円)⇒132万円に |
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● | ●自営業者の場合 | |||
確定申告書の「課税される所得金額」が年収に該当。 「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果⇒実際に支出されていない費用(例えば、基礎控除、青色申告控除、支払がされていない専従者給与など)を「課税される所得金額」に加算して年収を定める。 |
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● | ●児童扶養手当等 | |||
児童扶養手当や児童手当は子のための社会保障給付⇒権利者の年収に含める必要なし。 |
★養育費 | |||||
■養育費 | 規定 | 民法 第877条(扶養義務者) 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。 2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。 3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。 |
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民法 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等) 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。 2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。 3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。 4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。 |
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意義 | 養育費とは、民法766条1項所定の「子の監護に必要な事項」として、裁判所が、非監護親から監護親に支払を命じる未成熟子の養育に要する費用。 | ||||
養育費の根拠と内容 | 根拠 | 養育費を父母が負担する法的根拠は扶養義務(民法877条)にある。 | |||
離婚後父母は、未成熟子に対して扶養義務を負う(民法877条)。 〜 親子という身分関係に基づいて生じる義務⇒親権の有無、同居の有無にかかわらない。 扶養義務の順位について、親権者と非親権者間に差異はない。 |
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扶養の程度 | 未成熟子に対する扶養義務の内容は、自己と同程度の生活を保障する「生活保持義務」であり、他の親族扶養(生活扶助義務)よりも程度の高いもの。 | ||||
生活保持義務: 夫婦間の扶養、夫の未成熟子に対する扶養であり、権利者の生活の一部として自己と同程度の水準まで扶養する義務。 |
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生活扶助義務: その他の場合の扶養であり、権利者が生活難に陥った場合に、義務者に余力があれば権利者の健康で文化的な最低限度の生活を援助すれば足りる。 |
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養子縁組 | 未成熟子が養子縁組 ⇒ 養親に第一次的に扶養義務が発生し、基本的には非親権者(実親)に対して扶養請求をすることはできない。 |
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離婚後、親権者母が再婚し、子と後夫が養子縁組をそ、母から非親権者父に対して養育費を請求した事案で、父は親権者および養親に劣後する扶養義務を負担するにすぎないとして、申立てを却下した例(神戸家姫路H12.9.4)。 | |||||
請求方法 | 2つの方法 | @扶養料請求: 子自身が別居親に扶養料を請求する方法(民法877条〜880条、家審9条1項乙類8号) 子が未成年であれば親権者が法定代理人として申し立てる。 |
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A養育費請求: 監護親が、この監護に関する処分として、別居親に監護費用を請求する方法。 (一般に養育費と呼ばれる。民法766条、家審9条1項乙類4号) |
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@の権利主体は子、Aのそれは監護親。 Aは親自身の権利として請求⇒親が親権を有する期間、つまり子が成年に達するまでに限定される(大阪高裁決定昭和57.5.14)。 |
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子が成年に達したが大学生であるような場合には、子自身が申立人となって、@の方法を用いる。 | |||||
Aの養育費支払を命じる審判がある場合に、子が養育費の増額を求めて、@の扶養請求を申し立てた事案で、審判で定められた養育費の額を超える場合について扶養義務を形成するのが相当であるとして、子からの扶養請求を認めた例(東京家審54.11.8)。 | |||||
経緯 | 従前 | 養育費の算定は、子が義務者と同居していると仮定すれば子のために費消されていたはずの生活費がいくらであるのかを計算し、これを義務者と権利者の収入の割合で按分し、義務者が支払うべき額を定めるというもの。 | |||
具体的には、 @義務者・権利者の基礎収入を認定する(総収入から、所得税・住民税・社会保険料等の公租公課、職業費(給与所得者の場合の必要経費、多くの場合10〜20%)、住居費・医療費等の特別経費を差し引く。) A義務者・権利者及び子のそれぞれの最低生活費を認定する(例えば、厚生労働省が毎年告示する生活保護基準による。) B義務者・権利者の分担能力を認定する(義務者の収入が義務者の最低生活費を下回っている場合には、分担能力がないとして、支払義務はないとする。) C子に充てられるべき生活費を認定する(子が義務者と同居していると仮定し、義務者の基礎収入を義務者と子の各最低生活費等の割合により按分する。) D義務者の負担分を認定する(子の生活費を義務者・権利者双方の基礎収入の割合で按分する。)。 |
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vs. @の作業において公租公課や特別経費を実額で認定。 何を特別経費として認めるか、その金額の認定を巡って主張や資料の応酬⇒審理の長期化。 |
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算定表 | 従前の家庭裁判所の実務において採用されていた基本的な手法はそのまま維持しながら、 @について、公租公課が総収入に占める割合は税法等で理論的に算出された標準的な割合により、特別経費は実務上一般的に特別経費と認められている項目に限り、統計資料に基づいて推計された標準的な割合により、標準的な基礎収入率を設定して認定(例えば、給与所得者の場合、34〜42%となる)。 A〜Dについて、各自の按分割合を生活保護基準及び教育費に関する統計から導き出される標準的な生活費指数によって算定(親を100とし、14歳までの子は55、15歳から19歳までの子は90となる。)、簡易で迅速な養育費の算定を可能にした。 |
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算定方法 | 計算式 | 義務者が分担すべき養育費の額= 子の生活費(?)×義務者の基礎収入/(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入) |
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? | ?基礎収入= 総収入×0.34〜0.42(給与所得者の場合) 総収入×0.47〜0.52(自営業者の場合) いずれも、高額所得者の方が割合が小さい。 |
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「基礎収入」は、税込収入から「@公租公課」、「A職業費」及び「B特別経費」を控除した金額であり、「養育費を捻出する基礎となる収入」のことをいう。 「A職業費」とは、「給与所得者として就労するために必要な出費(被服費、交通費、交際費等)」 「B特別経費」とは「家計費の中でも弾力性、伸縮性に乏しく、自己の意思で変更することが容易ではなく、生活様式を相当変更させなければその額を変えることができないもの」 「@公租公課」は、「税法等で理論的に算出された標準的な割合」をもって、それぞれその額を推計する。 |
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@給与所得者の基礎収入の割合: 総収入から公租公課、職業費及び特別経費を控除した結果、総収入の概ね34%〜42%(高額所得者の方が割合が小さい)の範囲内になる。 A自営業者の基礎収入の割合: 総収入:課税される所得金額。 自営業者の基礎収入は、総収入から税金及び特別経費を控除した結果(自営業者の必要経費及び社会保険料は総収入においてすでに控除されている。)、総収入の概ね47%〜52%(高額所得者の割合の方が小さい)の範囲となる。 |
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? | ?子の生活費= 義務者基礎収入×(55or90(子の指数))/(100+55or90(義務者の指数+子の指数)) |
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成人の必要とする生活費を100とした場合の子の生活費の割合(指数)を定める。 | |||||
生活費の指数化については、生活保護法第8条に基づき厚生労働省によって告示されている生活保護基準のうち「生活扶助基準」を利用して積算される最低生活費に教育費を加算して算出。 親を100とした場合、年齢0〜14歳までの子供については55、年齢15〜19歳までの子供については90 |
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子供が複数の場合: @15歳未満の子が2人の場合 義務者の基礎収入×(55+55)/(100+55+55) A15歳以上の子が1人と15歳未満の子が2人の場合 義務者の基礎収入×(90+55+55)/(100+90+55+55) |
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留意点 | 算定表は標準的な養育費を簡易迅速に算出することを目的とするもの。 最終的な分担額は各事案の個別的要素をも考慮して定める。 個別的事情も、通常の範囲のものは標準化されるに当たって算定表の額の幅の中で既に考慮されている。⇒この幅を超えるような額の算定を要する場合は、この算定表によることが著しく不公平となるような特別な事情がある場合に限られる。 |
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養育費の変更 | ● | ●父母間の養育費不請求の合意と子からの扶養請求 | |||
父母間の養育費不請求の合意について、判例は、父母間で養育費不正きぃううの合意をしても、それは父母間の分担に関しての合意であり、この扶養請求権を処分することはできないことから(民法881条)、子からの扶養請求には影響を与えない(判例)。 | |||||
「それが子の親権者として子を代理し、父に対して生ずる将来の扶養請求権の放棄であれば民法881条によりその効力がないことは明らかであり、又、仮に前記母が負担す()る養育費を父に求償しないことを定めたにすぎないものであれば、右競技は両扶養義務者間でいわば債権的な効力をもつにすぎないから、扶養権利者がその具体的必要に基づいて扶養料の請求をすることはなんら妨げられない」(札幌高裁決定43.12.19) | |||||
不請求の合意は法律上有効とはいえないとする例(名古屋家審昭47.3.9) | |||||
民法 第881条(扶養請求権の処分の禁止) 扶養を受ける権利は、処分することができない。 |
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● | ●子に不利益な父母間の合意 | ||||
父母間の養育費の合意を一応有効とし、ただ、 @その内容が著しく子に不利益で子の福祉を害する結果に至るときは、この扶養請求権は、その合意に拘束されることなく行使でき、また、 A合意後事情の変更があり、合意内容を維持することが実情に沿わず、公平に反するに至ったときは、扶養料の請求や増額ができるとする例(宇都宮家裁昭和50.8.29)。 |
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● | ●養育費合意についての合理的解釈 | ||||
○ | 明示の意思表示がなくても、一定期間、継続的に送金・受領していた事実によって、黙示の意思表示による合意の成立を認める例 | ||||
妻が子2人の親権者であり、夫は養育費の合意の成立を否定したが、夫が離婚後約2年半の間おおむね20万円ずつ妻に対し送金したことを重視し、「夫は・・・その養育料として毎月1人あたり10万円を支払う旨の黙示の意思表示をし、妻も暗黙のうちにこれに応じたものと解するのが相当である」として、合意の成立を認め、給付を命じた(東京高裁昭和62.3.30)。 | |||||
○ | 養育費に関する合意に合理的な解釈を加え、子の権利を保障すると同時に、義務者に過重な負担が及ばないよう配慮することがある。 | ||||
養育費につき「物価の変動に伴い、母が増額を請求したときは、父は、これに応じることとする」という合意をしたが、このような増額認諾条項は、一方的な意思表示で客観的に相当な金額の扶養料に増額されるとの形成権を定めたものとまで認めるのは、疑問であるとし、当事者間で具体的な扶養の程度、方法について合意のない場合として、家庭裁判所がいっさいの事情を効力して審判で判定すべきものとした(東京地裁H4.2.28)。 | |||||
○ | 養育費の他に、「その他一切の教育に関する費用」を支払う旨の調停条項について、給食費、子が個人的興味に基づいて行う活動費(この事案ではピアノのレッスン代)は、これに該当しないとした(広島地裁H5.8.27)。 | ||||
● | ●事情の変更 | ||||
扶養の程度または方法は、権利者の需要、義務者の資力その他一切の事情を考慮して定められるものであり(民法879条)、いったん取り決められたり、あるいは審判が下されても、その後に失業・病気・事故などにより父母の経済状況に変動があったり、子の教育費が増加したなど事情に変更が生じたときは、家庭裁判所は変更または取消しをすることができる(民法880条、東京高裁H10.4.6等)。 | |||||
● | ●事情の変更と請求異議の訴え | ||||
扶養の権利義務は、協議あるいは調停・審判によって形成される。 ⇒当事者の収入・健康・勤務状況・教育・家庭環境(再婚など)その他、養育費・扶養料の額を定める前提の事情に変更があっても、それだけでは当然に養育費・扶養料が変更したり、消滅したりしない。 ⇒養育費・扶養料の変更の協議あるいは審判を得る必要がある。 |
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これを経ないで提起された請求異議の訴えは認められない(養子と養父の間の扶養義務に関する事案につき、大阪高裁昭和52.2.3)。 ただし、この判決は、一方当事者の死亡、離婚その他基本的扶養義務を成立させる身分関係の消滅事由があった場合は別であるとしており、養育費・扶養料についても身分関係の消滅の場合には、新たな協議・審判は不要である。 |
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★婚姻費用 | ||||
規定 | 第752条(同居、協力及び扶助の義務) 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。 |
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第760条(婚姻費用の分担) 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。 |
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意義等 | 婚姻家庭が、その資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を維持するために必要な費用であり、民法760条により夫婦が互いに分担するものとされている。 この分担義務は「生活保持義務」とされている。 ⇒ 婚姻費用の分担額の算定は、「生活保持義務」としての適正妥当な金額を求めること。 |
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生活保持義務: 夫婦間の扶養、夫の未成熟子に対する扶養であり、権利者の生活の一部として自己と同程度の水準まで扶養する義務。 |
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期間 | 始期 | 過去にさかのぼって婚姻費用分担の審判をすることができる。(最高裁昭和40.6.30) ← 実体法上の問題として、生活保持義務の具体的不要請求権発生の要件は、扶養権利者について扶養必要性、扶養義務者について扶養可能性。 そのような要件が備わっていれば、扶養請求権は発生しているはず。 |
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@必要発生時(別居時)説 vs.義務者に酷な面がある。 A請求時以降説 B審判時以降説 vs.婚姻費用分担義務を果たさない義務者のいわば「ゴネドク」を許すことになる。 |
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A請求時説(多くの裁判例) 申立人が分担義務者に対して請求がなされたときから(東京高裁決定昭和60.12.26) 夫婦喧嘩の末、無収入の妻が子を連れて実家に戻った事案で、分担義務者において、申立人が婚姻費用分担に関する支払を受けるべき状態にあることを知り、または知ることをうべかりし時に生じるとして、別居時以降の婚姻費用の分担を命じた例(大阪高裁決定昭和58.5.26) ← 後に突然遡って扶養料を請求させると多額になることがあり、妥当性を欠く事態もある。 |
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終期 | 別居の解消又は離婚に至るまで。 | |||
含まれる費用 | 婚姻当事者を中心とする世帯の生活を、夫婦双方の財産、収入、社会的地位に応じて保持するに要する費用 | |||
衣食住の費用 出産日・医療費・葬祭費・交際費 子(未成熟子)の養育費 |
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標準算定方式 | 考え方 | 従前、義務者・権利者及び子が同居しているものと仮定し、双方の基礎収入の合計額を世帯収入とし、その世帯収入を権利者グループの最低生活費と義務者グループの最低生活費で按分し、義務者が権利者に支払う婚姻費用の額を定めていたが、このような基本的な手法は維持しながら、養育費と同様標準的な割合や生活費指数を用いて、簡易で迅速な算定を行うようにしたもの。(判タ1209p4) | ||
婦の基礎収入(=実収入(総収入)から、婚姻費用に優先して支払うべき公租公課、職業費、特別経費を控除したもの)の合計額を、夫(プラス同居の子)と、妻(プラス同居の子)のそれぞれの最低生活費で按分するというもの。 | ||||
標準的算定方式による算定は、時として公平さを大きく欠く結果になる ⇒分担額を算定した後、それを夫婦それぞれの収入に加減して、夫婦間に大きな不公平がないかを確認する作業をする必要。 |
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計算式 | 義務者・権利者が別居し、権利者が2人の子(いずれも15歳未満)と同居し、義務者が単身で生活しており、義務者の基礎収入(X)の方が権利者の基礎収入(Y)よりも大きい場合: @権利者世帯に割り振られる婚姻費用: Z=(X+Y)×(100+55+55)/(100+100+55+55) A義務者から権利者に支払うべき婚姻費用の分担額=Z-Y |
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総収入の認定は、養育費の算定と同様。 | ||||
留意点 | 無職 | 無職で収入なし⇒原則として収入は「0」 働こうと思えば働ける場合、収入を推計して算出。 ex.パートタイム労働者の性別・年齢別年間収入 |
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援助 | 実家からの援助は、実家の好意に基づく贈与⇒収入に加算することは相当ではない。 | |||
住居費 | 住居費を支払っていない場合、求められた幅の範囲内で、このような事情を考慮して具体的に金額を決めるべきもの。 | |||
負債について | 基本的には、求められた幅の中で考慮されるべき事情と考えられる。 一般的には生活保持義務に基づく養育費・婚姻費用の支払に優先するような夫妻は考えにくく、負債があるというだけでは、特別な事情があるとはいえない。 |
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義務者が婚姻費用を維持するためにやむを得ず借り入れたと認定される場合には、権利者は返済額の何割かを負担すべき。 ⇒ 算定表によって求められた金額から、権利者が負担すべき額を控除した残額を、実際に義務者が支払うべき婚姻費用の分担額とするのが公平であり、相当である。 債務の負担額については、権利者と義務者の基礎収入で按分するという方法が考えられるが、最終的には裁判官の判断に委ねられる。 |
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私立の学費J | 算定表は、公立中学校・公立高校学校に関する学校教育費を指数として考慮しており、私立学校の学校教育費等は考慮していない。 義務者が当該私立学校への進学を了解していた場合や、その収入及び資産の状況等からみて義務者に負担させることが相当と認められる場合には、算定表によって求められた額に権利者と義務者の収入に応じて不足分を加算することを検討。 |
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私立学校の入学金、授業料、交通費や塾代等のうち、義務者がどのような費用を負担すべきかについては、担当裁判官の判断に委ねられる。 | ||||
加算額について、例えば、高等学校の場合には、実際に支払うべき授業料等を権利者と義務者の基礎収入で按分した額から公立高等学校の学校教育費年額33万3844円を控除した額を目安にすることも考えられる。 義務者の収入が、公立中学校・公立高等学校の子がいる世帯の平均収入(公立中学校については828万4332円、公立高等学校については864万4154円)を上回る場合には、結果として公立中学校・公立高等学校の学校教育費以上の額が考慮されていることになる。 ⇒不足分の算定にあたっては留意する。 |
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● | ●権利者が夫婦共有財産の一部を持ち出した場合 | |||
この持出しは、離婚訴訟における財産分与において解決されるべき問題であるから、原則として、婚姻費用の支払には影響しない(最高裁H23.9.21)。 | ||||
■ | ■婚姻費用分担額の増減額調停・審判事件 | |||
概要 | 婚姻費用分担金又は養育費の額(及び支払期間)が、当事者間の合意、調停、審判等によって定められたが、その後、事情の変更が生じたときは、調停又は審判により、従前の合意等を変更して、金額の増減額をすることができる(民法880条類推)。 | |||
規定 | 民法 第880条(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し) 扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。 |
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変更の始期 | 変更の請求をした時から。 原則として、本件調停の申立時(いきなり審判を申し立てたときは本審判の申立時)からとするのが公平 |
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要件事実 | @従来の額の決定の際に基準とした事情に、顕著かつ重要な変更が生じたこと A@が、従前の協議等の際に予測し得なかったものであること B従来の額が実情に適合せず不合理であること C変更すべき額 |
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@ | 事情の変更は、顕著かつ重要なものである必要。 | |||
ex. 再婚等による被扶養者の増加 失業による収入の減少 |
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従前の合意に基づく額が支払継続が困難なほど高額であった場合に減額を認めた例(東京家審H18.6.29) | ||||
A | 事情の変更は、通常予見し得なかったものでなければならない。 | |||
収入の減少等が従前の合意等の際に予測できた場合、これを利用する増減額の申立てが認められないことがある。 | ||||
ex. ある程度の期間が経過した時に、新たに子が生まれた場合 再婚した場合 〜 予測可能であったとまではいえない。 |
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判断を下した裁判所は年収〇〇〇万円であることは予測していない。 正式な金額を主張して認められなかった⇒「予測」は問題となり得ない。 |
★婚姻費用変更の際の類推規定 扶養関係の変更又は取消し(注釈民法) |
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規定 | 民法 第880条(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し) 扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。 |
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概説 | ● | わが法は、 @あらゆる事情に対応する具体的に妥当な内容を実現すべく、事前に一切の事情を考慮させる一方で(したがって、将来の変動が確定しているものないし確実に期待しうるものは事前に考慮すべきである。)、 A安定した履行の前提として望まれる固定性を確保すべく、結果としての競技・調停・審判に一定の場合に執行力を与えるなどして迅速確実な履行を保障することで、両者のバランスを図ろうとしている。 |
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本条では、さらなる弾力性を求めて、扶養関係が定まった後に事情の変更が生じたときに家庭裁判所がその変更又は取消の審判をすることができる旨規定。 | ||||
● | 審判による変更・取消についてのみ規定しているが、協議による変更・取消ももとより可能である。 ← 扶養関係の決定は、実質的には、協議・調停・審判当時の扶養関係の確定にとどまり、将来のそれを確定する効果を有するものではない |
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協議の存在は、前の審判の実質的執行力を排除する⇒この審判に基づき強制執行を受けた義務者は協議の存在を理由に請求異議の訴えをなし得る。 | ||||
● | 本条により変更・取消をすることができる場合のいわゆる事情: 元の協議・調停・審判の際に既に存在し判明していた事情(⇒いかなる事情を基準として考慮したか、または、その範囲を明確に示すのが望ましい。)。 〜 元の協議・調停・審判の時に既に存在し判明していた事情はもとより、当事者にとって当然予見しえた事情もそこに含まれる。⇒予見しえた事情がその後現実化したにすぎない場合は、原則として事情の変化があったとみることはできない。 |
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本条の目的は、通常予見し得ない事情変更への対応であって、誤った予見の修正は、本条の対象とするところではない。 本条の審判手続において、元の協議・調停・審判の、当時における内容の当否は審査の対象とならない。 |
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A:事情判明の場合(事情変更の場合に限定されず、元の協議・調停・審判の時に存在しながら知り得なかった事情が後に判明した場合)をも含む。 B:本条で対応すべきであるのは、元の協議・調停・審判の後に生じた、つまり後発的事情であって、事情判明の場合を後発的事情とみることはできない。 vs. これを固持すれば、非訟事件の構造に矛盾する。 |
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◎ | 鈴木忠一:非訟事件の裁判の既判力(100頁〜): | |||
非訟事件の裁判は既判力を有しない⇒消極的内容の裁判即ち申立却下(棄却)の裁判の確定している場合に、再び同一内容の申請を為そうとするときは、敢えて原判決を遡って廃棄するまでもなく、新たな事件として申立をなせば足りる⇒再審事由があっても再審手続を借りる必要はなく、事情変更による取消変更と解する必要もない。 | ||||
積極的内容の裁判が確定しており、再審事由が付着している場合: | ||||
非訟事件において事情変更による裁判の取消変更を認める以上、非訟事件の目的、手続の構造等から見て所謂事情変更を裁判の告知後に生じたものに限り、告知前に存在していた事情の主張を許さないとすることは、非訟事件の本質と矛盾する。 | ||||
非訟事件の判決は民訴の確定判決と異なり既判力を持ちえないのが原則 ⇒事情変更による裁判の取消変更は、裁判の告知後の事情変更に因り当該裁判が実情に合致せず不当となった場合のみに制限されず、裁判の告知前に存在し・・之が裁判所知られていたならば当該裁判がなされなかったであろうと認められる如き事情が、裁判の確定後に判明した場合も含むものと解すべきである。 ← 右の如き重大な事情が裁判宣告後乃至確定後に至って初めて裁判所に明らかとなったことは、法律上の評価としては、宣告後に事情変更が生じた場合と同視すべきものと解し得る。 ← 確定の判決ある場合に、1は宣告後の客観的事情の変更に因り、他は宣告前に存した客観的事情が裁判の確定後に初めて判明したことに因り、それぞれ確定判決を維持すべからざるに至ったのであって、宣告後初めて発生したことと、宣告後初めて存在の判明したこととは、職権主義を採る手続上は同価値であるからである。 |
||||
● | 元の協議・調停・審判により定められた扶養関係をそのまま維持することが相当でないと認められる程度に重要性を有するもの、また事情の判明については、それが元の協議・調停・審判の際に知られていたならば扶養の内容は異なっていただろうと認められる程度に重要性を有するものでなければならない。 | |||
重要性の判断は、一般的固定的ではなく、元の協議・調停・審判の内容、当事者の資産収入、その他個々の事案の事情によって異なる。 | ||||
幼稚園入園に伴う費用の増加を認めた例もあれば、小学校入学に伴う増加分について認めなかった例もある。 権利者又は義務者の一身に生じることもあれば、物価の変動、貨幣価値の変動等一般的事情に生じることもある。 |
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面倒見的扶養の義務者が面倒見から解放されるためには、特に重要な事情の変更を要しない。「気が変わった」だけであっても、事情の変更を認めざるを得ない。 | ||||
● | 非訟事件手続にあっては、継続的法律関係につき、民訴手続では例外的に認められるにすぎない事情変更による変更・取消が、規定の有無にかかわらず認められ、本条のような規定を欠く婚姻費用分担事件においても、監護費用分担事件においても認められる。 | |||
変更の始期 | 変更の請求をした時から⇒原則として、調停の申立時(いきなり審判を申し立てたときは本審判の申立時)から 変更事由が生じた時を変更の始期と解する見解もある。 |