シンプラル法律事務所
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婚姻費用・養育費の算定(裁判官の視点にみる算定の実務)


婚姻費用・養育費の算定
(裁判官の視点にみる算定の実務)
☆第1章 婚姻費用・養育費分担義務 
  ◆1 婚姻費用・養育費分担義務
  ◇(1) 婚姻費用分担義務 
  ■ア 根拠規定 
    民法 第760条(婚姻費用の分担) 
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
     
     
     
  ◆2 子の監護に要する費用(p6)
   
  ■ア 未成熟子 
    一般的には、一定の年齢になって稼働能力があれば、未成熟子とはいえないが、病弱であるなどの理由で就労できない場合は、成年に達していても未成熟子といえるし、必ずしも成年年齢とは一致しない。
夫婦の収入や学歴、社会的地位などから子が大学に進学していても不釣り合いでなければ、大学生も未成熟子といい得る。
成人に達しており、普通の健康体であって、潜在的稼働能力があるというだけでは、未成熟子であることを否定できない。
     
  ◆3 婚姻費用分担の始期及び終期 
  ◇(1) 始期についての運用 
    実務:
具体的な婚姻費用分担義務は審判(又は合意)によって形成され、そbの始期についてはm裁判所がその合理的な裁量によって決することができる。
これを請求時以降とするものが多数。
  ◇(2) 始期が請求時より遡る場合 
    義務者が、権利者が扶養を要する状態にあることを知りながら、その婚姻費用分担請求を妨げた場合や、
別居に至る事情や義務者の収入あるいは資力からみて請求以前に遡って分担しても過酷といえず、その分担を免れることが著しく公平を害するような場合

請求以前に遡って分担させることが必要。
ex.
無職の妻が別居して、その少し後に婚姻費用を請求

銀無者が権利者の要扶養状態を認識⇒別居時を始期としても、義務者に過酷とはいえない。
過去に遡って分担を認める場合:
@分担義務の定期義務的な側面
A一時に支払うことの負担
⇒理論的に算定できる額から減額するのが一般。
     
  ◆4 養育費分担の始期及び終期(p14)
  ◇(1) 始期 
  ◇(2) 終期 
    子が未成熟子でなくなったとき。
    必ずしも成年年齢とは一致せず、
病弱であるなどの理由で就労できない場合⇒成年に達しても未成熟子として扱い
夫婦の収入や学歴、社会的地位などから子が大学に進学しても不釣り合いでない⇒大学生も未成熟子として扱うのが実務。
18歳
20歳
22歳
    終期到来後は、養育費として請求することはできず、本人が扶養料として請求すべき。
     
  ◆5 婚姻関係が破綻している場合の婚姻費用の分担義務(p16)
  ◇(1) 婚姻関係の破綻と婚姻費用分担義務 
  ■ア 学説等の状況 
  □(ア) 
    有地:
夫婦関係が破綻:
@円満な婚姻関係の回復可能性がある⇒生活保持義務
A回復不可能⇒最低生活の程度
婚姻費用の分担は平等な人格者である夫と妻が婚姻の協力関係の一環として分担し合う

協力関係の有無でその分担の程度は区別してよい。
     
  □(イ)実務 
    多くは、婚姻関係が破綻しても生活保持義務としての婚姻費用分担義務がある。
破綻ないし別居について専ら又は主として責任がある者の分担請求は、信義に反し許されない。 
     
  ■イ 裁判例の状況 
  □(ア) 破綻そのものによって婚姻費用分担義務が軽減するとしたもの 
     
  ■ウ 分担義務の有無 
    裁判例5:
婚姻費用分担義務は本来婚姻継続のための夫婦の協力扶養義務と共通の基盤に立つ⇒夫婦間にこのような基本的協力関係を欠くに至り将来回復の見込みもないときには、夫婦の協同関係の希薄化に伴いある程度分担責任も影響を受ける。
     
  ◇(2) 有責配偶者の婚姻費用分担請求
  ■ア 学説等の状況 
     
  ■イ 有責配偶者の婚姻費用の分担請求に関する裁判例の状況 
     
  ■ウ 有責配偶者の婚姻費用分担請求の可否 
     
  ■エ 有責配偶者に支払われる婚姻費用の程度 
     
  ■オ 夫婦の双方が有責の場合に婚姻費用の減額をした裁判例 
     
     
  ◇(3) 分担請求者の有責性に対する審理の程度
  ■ア 裁判例の状況 
     
  ■イ 審理の程度 
     
  ◇(4) 有責者からの養育費請求
     
☆第2章 婚姻費用・養育費分担額の算定  
  ◆1 標準的算定方式及びその考え方 
  ◆2 日弁連作成の新算定方式
  ◆3 標準的算定方式と日弁連算定方式との比較検討 
     
☆第3章 標準的算定方式による婚姻費用・養育費算定  
  ◆1 総収入の認定 
  ◇(1) 認定のための方法 
   
  ■イ 自営業者の総収入の認定(p74) 
    事業所得については変動が激しい場合がある⇒数年の平均数値をとる必要
   
  ■エ 年金収入の換算(p77)
  職業費がかかっていない⇒基礎収入の算定に当たっては、この点を考慮 
  障害年金:
A:これを生活費に算入すべきでない
←障害者自身の自立や介護への資金援助
B:個別具体的事情に応じて慎重に検討すべき
C:収入とはするが、個別具体的な事情に応じて、障害のために特別に必要となる支出を特別経費として確保するとの考え方 
障害年金:
障害基礎年金と
障害厚生年金があるところ、
@報酬比例によって定まる部分もあり
A受給権者によって生計を維持している子又は65歳未満の配偶者がいるときは、加算される
⇒その全額を受給権者以外の者の生活費とおならない収入とすることは困難。

受給者自身のための支出そして消費される部分についても、その消費は家族全体の消費に影響を及ぼす。

その全体を総収入から除外することはできない。
but
障害者自身の自立や介護のための費用は、これを考慮する必要がある。

基礎収入算出の段階で考慮するか、基礎収入算出後の分配の段階で考慮。
  年金収入のほかにも、職業費のかからない収入、例えば、雇用保険による給付など、同様に換算。 
     
  ◇(2) 収入認定において考慮を要する若干の問題 
  ■ア 収入の擬制 
  ■イ 収入がないこと又は低いことがやむを得ないとされた例 
  ■ウ 低い収入に甘んじている場合 
     
  ◇(3) 収入として扱わないもの 
  ■ア 生活保護費 
  ■イ 児童手当・児童扶養手当 
    児童の福祉という児童だけを対象とした政策目的の実現のために、私的扶助を補うものとして支給⇒家族の生活費とは別個のものであり、原則として、これを婚姻費用・養育費分担のための収入とすべきではない。 
     
     
     
  ■カ 実家からの援助 
    実家からの援助は、権利者、義務者のいずれについても、考慮しない

@必ずしも永続するものではない
A受贈者の利益のみを目的とする
but
義務者が、実家の援助に頼って稼働していない場合⇒実家の援助とは別に、その稼働能力をもって収入を擬制することになる。
   
☆第4章 標準的算定方式における算定の修正要素  
  ◆1 住居関係費 
  ◆2 教育関係費(p126)
  ◇(1) 分担を要する教育費
  ■ア 分担の対象となる教育費の範囲 
  ■イ 加算の方法
  □(ア) 
A:その教育費から標準的算定方式で考慮済みの公立学校の教育費を控除した額を当事者の総収入又は基礎収入の割合で按分

収入によって分担するのが公平であると考えるか、
この教育部分を基礎収入を算出する過程で控除する特別経費と同様に考える。
権利者に収入がないか、非常に少ない場合には、そのすべてを、あるいは殆どを義務者が負担
⇒義務者の生活費部分を権利者のそれより少なくすることとなり、場合によっては、公平でない結果となる。
  □(イ) 
  B:子の生活費指数を変更 
  □(ウ) 
  C:権利者、義務者の生活費指数によって按分する方法

折半で分担。 
     
  ◇(2) 類型的検討 
  ■ア 私立学校の費用 
  □(ア) 
    公立学校の教育費を超える私立学校(小中高)の費用について、これを義務者が負担すべきであるといえるためには、子が公立でなく、私立の学校で就学することに合理性がある場合でなければならない。
ex.
義務者が子の私立学校への進学を承諾している場合
承諾していない場合でも、義務者の収入・学歴・地位などから不合理でない場合
    分担すべき額:
標準最低方式は、公立中学・公立高校に関する学校教育費を指数としてすでに考慮⇒私立学校の費用から、公立学校の費用を控除した額。
  □(イ) 
    子が私立の高等学校に在籍する場合でも高等学校就学支援金が給付
butこれは、養育費・婚姻費用の分担の計算において特段考慮する必要はない。 
     
  □(ウ) 
    私立幼稚園の費用についても同様。
     
  ■イ 塾の費用等 
    塾な習い事の費用:
承諾していない場合でも、義務者の収入・学歴・地位などからその負担が不合理でない場合には分担の対象とすべき。
     
  ◆3 医療関係費 
☆第5章 夫婦間の子以外の被扶養者の存在  
 
   
     
☆第6章 婚姻費用・養育費の額の変更  
  ◆1 増減請求の根拠 
  ◇(1) 子の利益のために必要がある場合の変更 
  ◇(2) 事情変更による増減 
    婚姻費用そのものについて、事情の変更があれば、民法880条を類推して、これを変更できる。
     
     
     
     
     
     
     
     
☆第7章 審判の主文・調停条項