シンプラル法律事務所
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子の親権・監護の実務(秋武憲一監修) | ||
★第1章 子の親権・監護をめぐる紛争 | ||
◆ | ◆1 制定の経緯 | |
◆ | ◆2 制定後の法改正の経緯と概要 | |
★第2章 親権・監護権 | ||
◆ | ◆Ⅰ 親権とは | |
◆ | ◆Ⅱ | |
◆ | ◆Ⅲ 親権者となる者 | |
◆ | ◆Ⅳ 親権の行使方法 | |
◆ | ◆Ⅴ 監護権とは(権利と義務) | |
親権の内容は、未成年の子の身上監護と財産管理であり、 このうち、身体上の監護保護をする権利のことを監護権。 親権と監護権とは、身上監護の領域で重なっている。 |
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◆ | ◆Ⅵ 子の監護者指定の実際 | |
◆ | ◆Ⅶ 親権と監護権との分離 | |
◆ | ◆ | |
◆ | ||
◆ | ◆Ⅹ 親権者・監護者の適格性の判断基準 | |
◇ | ◇1 総論 | |
親権者の決定(指定・変更)は、子の利益(820条)及び子の福祉を基準としてなされなければならない。 | ||
民法 第八二〇条(監護及び教育の権利義務) 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。 |
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「子の利益」「子の福祉」というのは、父母のいずれを親権者にすれば、子が健全に成長できるか、子にとってふさわしいかということ。 =「親権者の適格性」 |
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監護者についての判断基準も、基本的に親権者の場合と同じ。 | ||
父母側の要素: | ||
子側の要素: | ||
◇ | ◇2 判断基準 | |
■ | ■(1) 母性優先の基準 | |
■ | ■(2) 継続性の基準 | |
①監護者との継続性 | ||
②監護環境の継続性 | ||
■ | ■(3) 子の意思尊重の基準 | |
15歳以上⇒子の陳述を聴取しなければならない。 | ||
子が意思を表明できる能力において、おおむね10歳以上であればその能力に問題がない。 | ||
■ | ■(4) きょうだい不分離の基準 | |
■ | ■(5) 面会交流の許容の基準 | |
監護親が面会交流について拒否し、あるいは消極的である場合、このことから直ちに非監護親を親権者と定めるということはあまりなく、他の要素をも検討して親権者について判断がされている。 ⇒面会交流許容の基準は、あくまで判断の1つの要素。 |
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■ | ■(6) 違法な監護の開始 | |
親権者の適格性 公平性や公正性 ⇒ 監護親に子の連れ去り等の違法な監護の開始があったときには、このことを親権者の指定の判断要素とするのが実情。 |
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but 子の監護者の指定や子の引渡しの審判がなされていないときには、監護開始の違法性は重要な要素であるが、これよりも子の福祉が優先される ⇒ 監護開始の違法性の程度と他の要素をあわせて、親権者を判断することになる。 ⇒ 監護開始の違法性があっても、それまでの子の監護養育に問題があれば、現に監護している親を親権者・監護者とすることもあり得る。 |
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監護者の指定の裁判例: ①子が幼少(7歳)であり、出生からの母の監護養育に問題がない ②調停委員等からの事前の警告に反して子を奪取した父を子の監護者に指定することは、そのような違法行為をあたかも追認することになる ⇒ そのようなことが許されるのは、特にそれをしなければ子の福祉が害されることが明らかといえるような特段の事情が必要。 ⇒ 父を監護者と定めた原審判を取り消し、母を監護者と定めたもの。 (東京高裁H17.6.28) |
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コラム:別居と子の連れ去り | ||
実務: 別居前の主たる監護者が母⇒違法な監護の開始とは認めないか、違法な監護の開始があるとしながらも違法性の程度が低い ⇒母の監護養育の継続性が認められ、母が親権者又は監護者とされることが多い。 |
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母が何らかの事情で子を父の下に残して別居⇒別居前の主たる監護者が母であたっとしても、父が別居後、一定の期間監護養育をしており、子の生活状況も落ち着き安定しているならば、父の監護養育の継続性が認められる⇒父が親権者又は監護者とされることがある。 | ||
■ | ■(7) その他 | |
● | ●親の経済状態 | |
親権者指定の判断における重要な要素とはなりにくい。 ←父から支払われる養育費や児童扶養手当等の公的援助・・・等。 |
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● | ●不貞行為や風俗業従事を理由に適格性なしとの主張 | |
それだけでは親権者の判断における要素とはなりにくい ←こうしたものが子の監護養育に直接影響を与えるとは言い難い but 不貞行為等の結果、子の監護養育がないがしろにされて、子の監護養育に悪影響を与えているということであれば、親権者指定の判断において考慮することになる。 |
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◆ | ◆Ⅺ 親権者の適格性判断の検討方法 | |
◇ | ◇1 親権者の適格性判断の検討点 | |
前記の判断要素や判断基準を踏まえて、次のような点について検討 | ||
(1) これまでの子の監護養育の状況: ①両親のいずれが主として子の監護養育をしていたか ②なぜ、そのようになったのか ③これまでの監護状況がどのようなものであったのか |
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(2) 今後の養育方針及び養育環境 ①今後、どこで、どのように子を監護養育するのか。 ②祖父母やきょうだい等から子の監護養育について、支援を受けることができるか。 |
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(3) 当事者一方を親権者とするのが適当である理由等 ①愛情 ②これまでの監護養育の状況に問題がなく、今後も同様であろうと考えられること これには、住居や収入の面でも子の生活に支障がないことなども含まれる。 |
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(4) 他方の当事者を親権者とするのが不適当である理由等 ①それまでの監護養育の状況に問題があり、今後も同様であると考えられることなど。 |
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◇ | ◇2 親権者の適格性判断の検討方法 | |
(1)の過去・現在において当事者双方が子の監護養育にどのように関わっていたのか、また、子の生活状況がどうであったのかなどといったこれまでの監護養育の状況及び現状、すなわち同居中の子の監護養育の状況や別居後の監護養育の現状については、かなり具体的に検討。 ~ これらを検討することにより、 ①監護親や非監護親の監護養育能力 ②親と子との関係 ③主たる監護者が誰であるのか ④監護養育の継続性 などを判断できる。 将来予想される子の監護養育態勢については、過去や現在の監護養育状況等から、父又は母が述べるものが確実なものであるか否かを把握。 |
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実際: これまでの監護養育の状況を検討することで、比較的容易に判断できることが少なくない。 しかも、監護養育の現状を変更する必要がなく、現在、子を監護養育している者をそほまま親権者にしているのが相当であるという事案が大半。 |
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他方: ①主たる監護者が子に対して虐待しているおそれがある場合 ②主たる監護者の監護養育や主たる監護者と子の情緒的・心理的な関係に問題がありそうな場合、 ③別居後の子の生活に問題がありそうな場合 ⇒ 家庭裁判所は資料提出を求め、自ら又は家庭裁判所調査官に命じて事実の調査を行うなどして、事実認定に努め、慎重に親権者の指定をする。 |
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◆ | ◆Ⅻ 調停・審判・判決の実務 | |
◆ | ◆13 渉外家事事件における手続上の問題 | |
◆ | ◆14 親権の喪失(親権停止を含む) | |
★第3章 面会交流 | ||
★第4章 子の引渡し | ||
★第5章 養育費 | ||
★第6章 離婚等における子の問題への家庭裁判所調査官の関与 | ||
★第7章 家事調停委員から見た子の親権・監護 | ||