シンプラル法律事務所
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民事訴訟法(伊藤)

  
     
     
 ★第2章 受訴裁判所
     
     
     
     
☆第3節 管轄 
     
◇5 合意管轄 
■(1) 合意の要件 
     
■(2) 合意の内容 
■(3) 合意の効力 
■(4) 合意管轄の効力の主観的範囲 
     
     
     
★第4章 訴え  
     
     
     
     
☆第4節 訴訟要件  
     
     
     
  ◆第5項 当事者適格 
  ◇1 当事者適格の判断基準 
  ◇2 訴訟短答 
     
     
  ■(2) 任意的訴訟短答 
  □ア 選定当事者 
  ●(a) 選定の要件 
     
  ●(b) 選定行為
     
  ●(c) 選定者の地位 
     
  □イ 狭義の任意的訴訟短答 
     
     
     
     
     
  ☆第5説 訴えの提起の方法と訴訟物
     
     
  ◆第4項 訴訟物(7p214) 
     
  ◇1 給付訴訟の訴訟物
     
  ■(3) 実体法上の請求権の個数 
     
    不法行為にもとづく損害賠償請求権について、被侵害利益ごとに請求権が分断されるか?
最高裁:同一事故による同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害の賠償請求権は、1個であると判示。
     
     
☆第6説 訴訟物についての処分権主義  
     
     
  ◆第2項 訴訟物の範囲 
     
  ◇3 一部請求(7p229) 
    金銭その他の不特定物の給付を目的とする債権に基づく給付訴訟において、原告が債権のうち一部の数額についてのみ給付を申し立てる行為。
     
     
     
     
★第5章 訴訟の審理  
     
     
     
     
☆第4節 口頭弁論およびその準備
     
     
  ◆第4項 口頭弁論の実施 
   
  ◇1 弁論の続行・更新・終結・再開 
     
  ◇2 弁論の制限・分離・併合 
    民訴法 第152条(口頭弁論の併合等)
裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる。
 
  ■(1) 弁論の制限 
     
  ■(2) 弁論の分離 
    訴えの併合、反訴、または弁論の併合などの原因にもとづいて、1個の手続において数個の請求が審判の対象⇒裁判所は、1個の手続で審理をなし、1個の判決を言い渡すのが原則。
    but
審理の輻輳を避けるために裁判所は、ある請求についての審理を他の請求に関する審理から切り離すことができる。
     
☆第5節 事案の解明  
  ◆第1項 弁論主義 
    弁論主義:
訴訟物たる権利関係の基礎をなす事実の確定に必要な裁判資料の収集、すなわち事実と証拠の収集を当事者の機能と責任に委ねる原則。
    弁論主義の3つの内容
第1:権利関係を直接基礎づける事実(=主要事実)については、当事者による主張がなされない限り、裁判所は、これを判決の基礎とすることはできない。

主張責任の概念。
主張責任(=客観的主張責任)
=ある事実が弁論に現れなかった場合に、その結果としていずれの当事者が不利益を受けるか。
いずれかの当事者によって当該事実が主張⇒主張責任は問題とならない。
主張責任を負わない当事者が自己に不利益を進んで陳述をしたとき(先行自白)、裁判所はその事実を認定することが可能。
〜主張共通の原則。
  第2:主要事実について、自白の拘束力が認められる。
  第3:いわゆる職権証拠調べの禁止。
     
  ◇1 弁論主義の根拠 
    本質説:
訴訟物たる私人間の権利関係は、私的自治の原則に服し、当事者の自由な処分に委ねられる。
弁論主義は、その権利関係の判断のための裁判資料の収集について私的自治の原則が適用されることを根拠とするもの。

弁論主義
@主要事実についての当事者の提出責任
←その事実に基づく権利関係について私的自治が認められる。
A自白の拘束力
←いかなる主要事実について裁判所の判断を認めるかとう点について当事者の支配権を認める。
B職権証拠調べの禁止
←私的自治を理念的基礎。
  ◇2 弁論主義と真実義務
    弁論主義⇒証拠の提出は当事者の責任と権限に委ねられる。
but
釈明権の行使を通じて当事者に対して証拠の提出を促し、真実発見に努めるべきことは当然。
当事者の側にも真実義務が課される⇒真実発見の要請は妥当する。

真実義務:
ある事実について真実と信じるところに反する陳述をしたり、
虚偽の陳述を基礎づける証拠を提出することを禁じ、
あるいは逆に、真実を基礎づける証拠の提出を要求することを意味する。

主観的事実に反する事実の陳述および証拠の提出を禁止するものであり、
当事者に証拠提出の責任を委ねる弁論主義と矛盾するものではない。
完全陳述義務:
当事者は、その有利不利を問わず、知る限りの事実を主張し、証拠を提出しなければならないもの
⇒弁論主義およびその内容たる主張責任・証明責任の原則に抵触。
but
弁論準備手続などの争点整理手続きにおいて裁判所が当事者に対して、事実や証拠の開示を求めたとしても、その開示は、直ちに口頭弁論における真実の主張や証拠の申出を意味するものではなく、主張責任などを負う当事者が、開示された事実および証拠の中から自己の側にとって有利なものを口頭弁論において主張・提出することになる。

争点整理手続において完全陳述義務を根拠にして裁判所が当事者に対して開示を求めたとしても、弁論主義の矛盾が生じるものではない。
  ◇3 事実に関する弁論主義の適用対象 
    弁論主義の根拠は私的自治⇒その対象も権利関係の発生・消滅・変更の原因となる主要事実に限られる。
    いった弁論に上程される主要事実についての裁判所の認定は、247条に基づいて自由な心証によってなされる。
⇒裁判所が証拠調べなどの中で知った間接事実は、それが当事者によって弁論に上程されなくても、主要事実認定の資料とすることができる。
 
    but
弁論主義の適用対象とならない間接事実についても、それが主要事実の認定を左右する性質のものであり、かつ、それについて当事者の間に争いが予想
⇒手続保障の見地から、裁判所は、釈明権の行使を通じて、当事者にその事実の主張を促すことが望ましい。
間接事実⇒自白の拘束力も否定される。
but
自白をした当事者自身に関しては、否認の機会を放棄したものとみなされる余地がある。
     
     
  ■(1) 一般条項についての弁論主義の適用 
    過失や正当事由など、法律要件事実が具体的事実そのものではなく、具体的事実についての評価を前提として規定
⇒主要事実は、評価の対象となる具体的事実。
     
  ■(2) 権利抗弁
     
  ■(3) 法規ないし法的観点
  ■(4) 事実の同一性 
    弁論主義⇒当事者によって主張される事実と裁判所によって認定される事実との間の同一性を要求。
but
両者との間に完全な同一性が欠ける場合であっても、社会的事実としての同一性が認められなければ、弁論主義違反の問題を生じない。
契約の成立日時や、過失の内容である医療行為が行なわれた日時など〜食違いが許されることがある。
but
診療上の過失が問題となっているときに、
注射器の消毒不完全という主張事実に代えて、注射液の不良を認定〜弁論主義違反。
     
  ■(5) 事実の主張 
     
  ◇4 主張責任と事案解明義務
  弁論主義⇒
ある事実が口頭弁論において主張されない場合には、裁判所はその事実を認定することが許されず、その事実にもとづく法律効果の発生は認められない⇒
法律効果を自己に有利に援用しようとする当事者は、不利益を受ける。
ある事実についていずれの当事者が主張責任を負うかは、当該事実についての証明責任の所在によって決定される。

弁論主義⇒事実の提出そのものが当事者の責任⇒その事実について証明責任を負う当事者が併せて主張責任を負う。
    but
例外的に証明責任と主張責任が食い違うことがないか?

履行遅滞にもとづく損害賠償請求において、債権者たる原告は、不履行の事実について証明責任を負わず、逆に債務者たる被告が履行の事実について証明責任を負う。

but
不履行の事実を主張しなければならないという有力説。
vs.
損害賠償請求を求める以上、それに関連する事情として原告が不履行の事実を明らかにすることは望まれるが、それが直ちに主張責任の負担を意味するものとは考えられない。
    主張責任及び証明責任において、当事者は、事実および証拠の提出責任を負う。
but
その者が事実および証拠に接近する機会が乏しく、他方、相手方当事者がその機会をもつ

当事者間の公平を回復するという理由から、相手方に対して事案解明義務を課し、事実および証拠の提出を求める考え方。(※)
(※)
春日偉知郎:主張責任などを負う当事者が、自己の権利主張に合理的な基礎があることを明らかにし、それにもかかわらず、事案の解明を、事案の解明をなしえない状況が存在することを証明⇒事実および証拠提出の責任が相手方に課される。

尚、否認の根拠を明示することの義務づけ(民訴規則79条3項。理由付け否認の義務付け。)
否認の本質は、相手方が証明責任を負う事実を認めない旨の陳述であるが、
証明責任の負担を軽減し、また、争点整理の実効性と迅速性を確保することを目的とする。
製造物責任訴訟などにおいては、証拠の偏在などの事情によって、主張責任がそれを負担する当事者にとって過大なものとなる場合がある。

争点整理の手続などにおいて裁判所が、釈明権や釈明処分の手段を通じて、主張責任を負わない相手方当事者に対して事実や証拠の所在を明らかにするよう求めることが望ましい。
相手方当事者は、訴訟上の信義則にもとづく義務として、それに応じる義務を負う。
⇒裁判所は、それに応じなかったことを弁論の全趣旨として評価することが許される。
     
  ◇5 弁論主義の適用範囲 
     
  ◆第2項 釈明権 
   
  ◇1 釈明権の行使
  ◇2 釈明権の範囲・・・釈明義務 
     
  ◆第3項 職権探知・職権調査 
     
  ◆第5項 訴えの提起前における証拠収集の処分等 
     
  ◇1  
     
  ◇2 訴えの提起前における証拠収集の処分 
     
     
☆第7節 証拠 
     
  ◆第5項 証拠による事実認定 
  ◇1 自由心証主義(p358)
  規定 第247条(自由心証主義)
裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。
    自由心証主義⇒裁判所は、適法に弁論に顕出されたすべての資料を事実認定の基礎として用いることができる。
■(1) 証拠調べの結果
  ●ア 証拠方法・証拠能力の制限
  ●イ 伝聞証言・違法収集証拠 
  ■(2) 弁論の全趣旨 
  ■(3) 証拠契約 
  ■(4) 損害額の認定 
     
     
     
  ◇2 証明責任(p365、7p380) 
     
  ■(1) 証明の必要と証明責任 
     
     
  ■(2) 証明責任の分配 
    法律効果を、@権利発生、A権利障害、B権利阻止または権利消滅の3つに大別。
訴訟物たる権利関係を基準として、それぞれの法律効果が自己に有利に働く当事者が、その法律効果を基礎づける要件事実について証明責任を負う。
ある事実が権利発生など、いずれの法律効果を基礎づけるものであるかは、実体法の解釈によって定まる。・
     
    A:法律要件分類説:
法律効果発生の要件を権利発生などに分類し、それを基礎として証明責任の分配を決する

B:証拠との距離、立証の難易、および事実の存在・不存在の蓋然性などの実質的要件を考慮して分配を決すべき

ある事実を権利発生事実として構成すべきか、それとも権利障害事実として構成すべきかという点に関する実体放棄の解釈に際して、上記の事情をも考慮に入れるべきであるというものであれば、それは妥当なもの。
     
  ■(3) 証明責任分配の修正 
    証明責任を負担する当事者は、当該事実について裁判官の確信が形成されない⇒その有利な法律効果が認められないという不利益。
but
そのような結果が社会的正義や当事者間の公平の見地から肯定されない
⇒証明責任分配の修正。
  ●ア 証明責任の転換 
     
    妨害行為によって証拠の取調べが不可能になり、証明責任を負う当事者による立証によって確信が形成されないときでも、裁判所は、より低い心証度にもとづいて立証主題たる事実を認定できるというのが、証明妨害の効果⇒証明度の軽減を意味する。
  ●イ 推定 
  ◎(a) 法律上の事実推定 
    法律上の事実推定:
法が、前提事実甲にもとづいて法規の構成要件事実乙が推定されるべきと定めるとき。
    A:経験則の法規化
vs.
@前提事実の存在と推定事実の存在との間に高度の経験則が作用するのであれば、事実上の推定で十分であり、法律上の推定規定を設ける理由に乏しい。
A民法186条2項にしても、民法772条1項にしても、一応の経験則は存在するものの、かならずしも高度の経験則が働く関係とはいえない。

経験則を含めたいくつかの要素を考慮して、推定規定を設けたと考えるべき。
     
  ◎(b) 法律上の権利推定 
     
  ◎(c) 意思推定
     
  ◎(d) 法定証拠法則
     
  ◎(e) 暫定真実
     
  ◎(f) 事実上の推定(p376) 
    〜自由心証にもとづいて事実認定を行う裁判所が行うもの。
    一応の推定
but
過失などの評価を前提とする抽象的要件事実に関しては、評価の対象となる具体的事実が主要事実となるという一般論を前提としながら、証明負担の軽減という目的のためにその前提を変更することは支持されない。

立証の負担を軽減するためには、立証方法の充実を図るべきであり、
主張の負担を軽減するためには、要件事実の内容を検討すべき。
    一応の推定が説かれてきた事案類型は、高度の蓋然性をもつ経験則が働く場合。
最高裁昭和32.5.10:でも、
注射器の消毒不完全でも、注射器の不良であれ、注射行為に際して細菌などを体内に侵入させたことが過失の評価の対象となる主要事実⇒あえて一応の推定の法理を援用しなくても、その結論を指示することができる。
製造物責任法2条2項にいう製造物の欠陥についても、同様に考えることができる。
欠陥とは、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることと定義。

テレビ受像機を通常の用法によって使用中に発火した事実を主張・立証⇒原告の責任は果たされたことになり、特定部品不良などは、それに関連する事情にすぎない。
     
     
  ◆第6項 証拠調べの手続 
   
   
   
  ◇4 証人尋問 
   
   
   
  ■(4) 証人尋問の手続 (p395)
  ●ア 証人尋問の申出 
     
  ●イ 証人尋問の採否 
     
  ●ウ 証人の呼出し 
     
  ●エ 証人尋問の実施 
    @主尋問、A反対尋問、B裁判官による補充尋問 
     
  ◎(a) 尋問および陳述の方法(p398) 
    隔離尋問の原則(規則120)

先の証言の内容が後の証人の証言に影響を及ぼすこと、いわゆる証人の汚染を防ぐこと。
    対質尋問(規則118)
〜法廷において宣誓をなした複数の証人を退席させた上で、それらの証人に対して尋問を実施するもの。
     
  ◎証人等の保護のための措置 
    @付添(203条の2)、A遮へいの措置(203条の3)、Bビデオリンク(204A)
    @A:
従来から、裁判長の訴訟指揮(148)の一環として可能であるとされてきたもののうち、一定の要件を満たす場合の措置の内容を明確にした。
    B:
従来は、証人等が遠隔の地に居住する場合にのみ認められていたが(204@)、これを証人等の保護の必要が認められる場合に拡張。
     
     
  ◎(c) 陳述書の意義と許容性(p402) 
     
     
  ●オ 尋問方法に対する規制(p404) 
    制限される尋問(規則114、115):
@立証事項に関連がない質問や重複した質問
〜関連性の面から制限
A抽象的、かつ、一般的な質問。意見の陳述を求める質問など。
〜証拠方法としての証人に適さないもの。
B証人を侮辱し、または困惑させる質問。
〜質問の態様が証拠資料の顕出に適さないもの。
C誘導尋問:尋問者が証言内容を暗示し、証人が肯定または否定の陳述によって答え得る形式。
〜事実認定を誤らせる危険がある質問。

暗示によって証言内容が操作され、証人自身の認識を語るという目的から離れる危険がある。
but
誘導尋問、重複尋問、争点に直接に関係のない尋問、意見の陳述を求める尋問、直接経験しなかった事実についての尋問は、正当な事由があれば許される。
    自己が直接経験しなかった事項についての陳述は、伝聞証言と呼ばれ、無制限に許されるべきものではない。

陳述される事実が証人の直接の認識いもとづくものではないため、相手方の反対尋問によってその認識の誤謬を攻撃できない。


事実を直接ン人式した第三者が死亡などの事由によって証人となりえない場合には、真実発見のために伝聞証拠を認めて、反対尋問権の保障を犠牲にせざるを得ず、相手方の利益は、証言内容に対する裁判所の自由心証による評価によって守られる。
     
     
     
★第7章 複数請求訴訟・・・請求の客観的併合  
     
☆第1節 訴えの客観的併合  
  ◆第1項 併合の要件
     
  ◆第2項 併合の態様 
  ◇1 単純併合 
     
  ◇2 選択的併合 
    数個の請求のうちいずれかが認容されることを解除条件として他の請求について審判が申立てられる場合の併合形態。
    他の請求の認容を内容とする解除条件が数個の請求のすべてに付され、無条件の審判を求める請求は存在しない
数個の請求の審判について裁判所を拘束する順序は認められない
    典型例:
請求権競合の場合
同一内容の給付を実現するために実体法上複数の請求権が成立し、審判の対象たる訴訟物は複数定立されるが、請求認容判決が得られる限り原告がそのすべてについて審判を得る必要はない、。
     
  ◇3 予備的併合 
    実体法上両立しない関係にある数個の請求について、
あるものについて無条件に審判を求め(=主位的請求)、
他のものについて(=予備的請求)、
前者の認容を解除条件として審判を申し立てる併合形態。
    ex.
売買を前提として売買代金請求を主位的に、
売買の無効を前提として目的物の返還を予備的に請求
    予備的請求は適法

@実体法上料率しない請求のいずれかについて原告が勝訴する利益が認められ、
A訴えの目的たる利益の内容に差が存在するため
審判の順序について原告の選択権を認めることが合理的と考えられる。
     
☆第2説 訴えの変更  
    訴訟係属の発生後、請求の内容を変更する原告の申立て。
    訴訟物が請求の趣旨及び原因によって特定
⇒訴えの変更も請求の趣旨または原因の変更を内容とする。
     
     
     
     
     
★第6章 訴訟の終了(7p481)
☆第1節 当事者の訴訟行為による訴訟の終了  
     
  ◆第1項 訴えの取下げ 
   
     
  ◇2 訴え取り下げの要件 
     
     
     
     
     
     
★第9章 上訴(p695)  
   
☆第2節 控訴
     
  ◆第6項 控訴審の審理(p713) 
   
    審判の対象についての裁判資料の範囲 
    A:覆審主義:(旧刑訴法)
B:事後審主義(現行刑訴法)
〇C:続審主義:第1審の裁判資料に加えて控訴審において新たな資料を収集した上で、第一審判決の当否を判断し、第一審判決取消しによって必要が生じれば、請求の当否についても控訴審が自ら判断するもの。
     
☆第3節 上告(p722) 
    控訴審:続審主義
上告審:控訴審までに提出された裁判資料にもとづいて、控訴審の法律判断を審査すること目的。
〜原審の控訴審判決の事実認定の誤りを上告理由とすることはできず、法律判断の誤りのみを主張することができる。
  ◆第1項 上告制度の目的と上告審の手続構造 
    第1次的目的:誤った原判決について当事者に救済を与えること。
    最高裁が上告審:
@憲法違反とA絶対的上告理由は共通
but
B法令違反は上告理由とはならない。
but
318条は、判例違反等法令の解釈に関する重要な事項を理由とする上告受理の申立て

上告審が受理決定をなした場合に限って、上告の効果が生じる。

上告受理申立ても原判決確定遮断の効果をもつ(116U)。
     
  ◆第2項 上告理由(7p754)
    上告理由:
@憲法違反
A絶対的上告理由
B判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反
Bは、高等裁判所ののみに対する上告理由。
    @の憲法違反:
原判決の判断内容および判断手続に憲法解釈の違反が認められることを意味。
  ◇1 絶対的上告理由 
    手続法規範の違背については、それが判決に影響を及ぼすかどうかが明らかでないことが多い
一定の重大な手続法違反については、判決のと関係を問題とすることなく上告理由として認める(=絶対的上告理由)。
  規定  第312条(上告の理由)
上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
2 上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
二の二 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
三 専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
五 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
六 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること
   
   
   
   
   
   
  ■(7) 判決の理由不備または理由の食違い(p757)
    理由:事実を前提として判決主文における判断を正当化するに足る根拠を意味。
●理由不備:
理由が全く付されていない場合ばかりではなく、理由たるべきものの一部が欠け、主文の根拠付けが不足している場合を含む。
最高裁に対する上告においては、両者は、法令違反とは区別される
⇒経験則違反や釈明義務違反等は、これにあたらない。
  ●理由の食違い:
理由としての論理的一貫性を欠き、主文における判断を正当化するに足りないと認められる場合。 
  実質的には原判決の事実認定を攻撃するために、理由不備および理由の食違いが上告理由として主張されることがある。
but
証拠に基づく事実認定そのものは事実審の専権に属するものであり、上告審は、認定された事実が判決主文の論理的前提たりうるかどうか、また認定された事実相互間に矛盾が存在しないかどうかの限度で、理由不備および理由の食違いを判断。
  ◇2 判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反 
  規定 第312条(上告の理由)
3 高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。
     
  ◆第3項 上告受理申立理由(7p759)
  規定  第318条(上告受理の申立て)
上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。
2 前項の申立て(以下「上告受理の申立て」という。)においては、第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由を理由とすることができない。
3 第一項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
4 第一項の決定があった場合には、上告があったものとみなす。この場合においては、第三百二十条の規定の適用については、上告受理の申立ての理由中前項の規定により排除されたもの以外のものを上告の理由とみなす。
5 第三百十三条から第三百十五条まで及び第三百十六条第一項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。
    上告受理申立理由:
原判決に判例違反等の法令の解釈に関する重要な事項が含まれていること。
英米のような判例の一般的拘束力は認められていない⇒下級審が最高足版所などの判例に示された法令解釈と異なった判断を示すこともありうる。
  判例違反がない場合でも、新たに法令解釈について最高裁としての判断を示す必要があるときは、上告受理の申立理由が認められる。
×法令違反に名を借りて原審の事実認定を攻撃する場合
×法令解釈にかかわる主張ではあるが、最高裁判所に対して法令解釈の再検討を促すに足るものではないとき
  経験則違反が法令解釈に準じて上告受理申立理由になりうるか
通常人の常識の属する経験則の適用を誤ったり
採用すべき専門的経験則の採用を怠る
自由心証主義(247)に違反したものとして、法令違反と同様の取扱いを受ける。 
ex.
医学についての専門的経験則違反を認めた判例
いわゆる採証法則違反をいう判例
  ◆第4項 上告および上告審の手続 
  ◇1 上告の提起 
  ◇2 事件の送付等
  ◇3 上告受理申立て
  ◇4 附帯上告
  ◇5 上告審の審判
     
☆第4節 特別上告