シンプラル法律事務所
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民事訴訟マニュアル

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

メモ
  第102条(文書等の提出時期)
証人若しくは当事者本人の尋問又は鑑定人の口頭による意見の陳述において使用する予定の文書は、証人等の陳述の信用性を争うための証拠として使用するものを除き、当該尋問又は意見の陳述を開始する時の相当期間前までに、提出しなければならない。ただし、当該文書を提出することができないときは、その写しを提出すれば足りる。
     


★★民事訴訟マニュアル(上)

第1編 第1審通常民事訴訟
★第1章 総論
  ☆第1節 基本事項 
  ◆1 民事訴訟における計算 
  ◇Ⅰ 民事訴訟における期間の計算 
  □(1) 午前0時から始まる場合を除き、初日不算入(民訴95Ⅰ、民法140)
ex.
平成27年5月10日から1年の期間⇒同月11日から起算し、その1年後である平成28年5月10日の終了をもって機関が満了。
尚、1月31日から1か月の期間⇒2月末日に満了
1月29日から1か月の期間も同様
  □(2) 期間の末日が、日曜日、土曜日、休日、1月2日、1月3日、12月29~31日に当たる⇒期間は、その翌日(=次に来る平常日)の終了をもって満了(民訴95Ⅲ。
ex.末日が土曜⇒その次に来る月曜日に満了
  □(3) 期間を定める裁判において始期を定めなかった⇒その裁判が効力を生じた日が始期になる(民訴95Ⅱ)。
  □(4) いわゆる不変期間は期間の伸長ができないが、
通常期間(不変期間以外の期間)は、裁判所がその期間を伸長することができる(民訴96Ⅰ)。 
不変期間の例:上訴期間、即時抗告期間、再審期間、督促異議申立期間
     
  ☆第2節 訴訟書類等 
  ◆1 書面の作成・提出・内容証明 
     
  ◆2 原本、副本、正本、謄本、抄本
     
  ◆3 送達 
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ◇Ⅱ 送達場所・送達受取人の届出 
  ■1 送達場所の届出(必要的届出) 
  ■2 送達場所の届出の効果 
  ■3 送達場所の届出がない場合 
  □(1) 送達場所の届出無し⇒当該当事者に対する(2回目以降の)送達は、直前(=前回)の送達をしたのと同じ場所(住所又は就業場所)で行われる(民訴104Ⅲ①)。 
   
前回の送達が奏功したことで、その次の送達をする場所が固定⇒奏功による固定化効。
    民訴法 第104条(送達場所等の届出)
3 第一項前段の規定による届出をしない者で次の各号に掲げる送達を受けたものに対するその後の送達は、前条の規定にかかわらず、それぞれ当該各号に定める場所においてする。
  □(2) 直前の送達が付郵便送達⇒その送達においてあて先とした場所に固定化効が生じる。(民訴104Ⅲ③) 
  ■4 固定化後の送達不奏功 
  □(1) 固定化効が生じた後の交付送達が不奏功(=法的に可能な交付送達が全て不奏功)⇒固定化した送達場所にあてて付郵便送達をすることができる。(民訴107Ⅰ③) 
     
  ◇Ⅲ 送達の手続
  ◇Ⅳ 送達場所の届出前の最初の送達
  ■1 概要 
  ■2 送達を受けるべき者の選定
  ■3 送達場所の選定 
  □ア 原則は住所等 
    民訴法 第103条(送達場所)
送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。.
    民訴法 第103条(送達場所)
・・・ただし、法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる。
  □イ 例外としての就業場所 
    民訴法 第103条(送達場所)
2 前項に定める場所が知れないとき、又はその場所において送達をするのに支障があるときは、送達は、送達を受けるべき者が雇用、委任その他の法律上の行為に基づき就業する他人の住所等(以下「就業場所」という。)においてすることができる。送達を受けるべき者(次条第一項に規定する者を除く。)が就業場所において送達を受ける旨の申述をしたときも、同様とする。
  □ウ 送達が不奏功の場合⇒当事者が調査・公示送達申立て 
    住所・就業場所での送達がいずれも不奏功⇒裁判所書記官は、当事者に対し、送達を受けるべき者の住所等の調査を促す。
but
それでも住所等・就業場所が明らかにならない⇒当事者が公示送達を申し立てる。
  ■4 送達の種類の選定
    交付送達
A:狭義の交付送達
B:特殊な交付送達(①補充送達、②書記官送達、③出会送達、④差置送達)
    非交付送達
①付郵便送達
②公示送達
  □ア 原則は交付送達 
    民訴法 第101条(交付送達の原則)
送達は、特別の定めがある場合を除き、送達を受けるべき者に送達すべき書類を交付してする。
  □イ 交付送達の種類 
    狭義の交付送達:
郵便又は執行官によって(民訴99Ⅰ)
送達場所において(民訴103)
送達を受けるべき者に対し、
現実に当該書類の副本等を交付する(民訴101)
のが原則。
原則の郵便による交付送達は、いわゆる特別送達(郵便49)の方法による。
    例外:特殊な交付送達:
送達を受けるべき以外の者(同居人等)に交付⇒補充送達
裁判所書記官が、裁判所で交付⇒書記官送達
出会った場所で交付⇒出会送達
現実の授受行為がない⇒差置送達
  □ウ 補充送達 
  ●a 概要 
  ●b 補充送達受領資格者 
  ●c 受領権限がない者 
  □エ 書記官送達(簡易送達ともいう) 
  □オ 出会送達 
  □カ 差置送達 
  □キ 付郵便送達 
  ●(1) 
    裁判所書記官が、送達書類を書留郵便に付して、送達を受けるべき者の住所等に発送した時に送達の効果が生じたとみなされるもの(民訴107ⅠⅢ)。 
    真実の住所等に宛てたものでないときや、送達時に送達を受けるべき者が死亡
⇒送達の効力が生じない。
送達書類が「転居先不明」又は「あて所に尋ね当たらず」との理由で還付⇒真実の住所に発送されていない⇒送達の効力が生じない。
    就業場所への付郵便送達は許されない。 
  ●(2) 住所等は判明but法的に可能な全ての交付送達が不奏功⇒付郵便送達がされる。 
    住所等における送達(交付・補充・差置送達)が、送達を受けるべき者及び補充送達受領資格者の不在により不奏功(いわゆる「全戸不在留置期間経過」)で、かつ、就業場所送達もできない(就業場所がない又はあるが交付・補充・差置送達ができない)場合。
    裁判所書記官:
住民票は調査報告書を当事者に提出させるなど、その裁量により収集した認定資料に基づき、付郵便送達をすうるか否かを判断する。
資料収集が十分でないまました付郵便送達は、違法となる。
    実務:交付送達が不奏功⇒日曜休日の配達日指定郵便による送達をさらに試みるなどの運用。
  ● 
  ● 
     
  ◆4 公示送達 
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ◇Ⅱ 要件 
  ◇Ⅲ 公示送達の効力等 
     
     
     
     
     
  ◆6 訴訟記録の閲覧・謄写 
  ◇Ⅰ 閲覧・謄写ができる者 
    民訴法 第91条(訴訟記録の閲覧等)
何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる。
2 公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り、前項の規定による請求をすることができる。
3 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は訴訟に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
  ■1 訴諸記録の閲覧 
     
  ■2 訴訟記録の謄写 
    当事者及び利害関係を疎明した第三者(民訴法91③)
     
  ◇Ⅱ 手続 
     
     
  ◇Ⅲ 訴訟記録の閲覧等制限(●p76)
  ■1 概要 
規定  第92条(秘密保護のための閲覧等の制限)
次に掲げる事由につき疎明があった場合には、裁判所は、当該当事者の申立てにより、決定で、当該訴訟記録中当該秘密が記載され、又は記録された部分の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下「秘密記載部分の閲覧等」という。)の請求をすることができる者を当事者に限ることができる。
一 訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、又は記録されており、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること。
二 訴訟記録中に当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法第二条第六項に規定する営業秘密をいう。第百三十二条の二第一項第三号及び第二項において同じ。)が記載され、又は記録されていること。
2 前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、第三者は、秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができない。
3 秘密記載部分の閲覧等の請求をしようとする第三者は、訴訟記録の存する裁判所に対し、第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の決定の取消しの申立てをすることができる。
4 第一項の申立てを却下した裁判及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5 第一項の決定を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。
    当事者の申立てにより、訴訟記録の閲覧・謄写ができる者を、当事者に限ることにするもの(民訴法92①)
  ■2 閲覧等制限の申立て 
    訴訟記録中の秘密記載部分を特定して、その部分の閲覧の制限を書面で申し立てる(民訴規則34Ⅰ)。
    特定の方法:
記録中の一定の部分を特定する方法
何らかの項目によって特定する方法(訴訟記録中の被告の氏名など)
     
   
     
     
     
     
     
     
     
★第2章 訴訟の関係者  
  ☆第1節 当事者 
     
     
     
     
     
  ◆4 選定当事者(p103)
  ◇Ⅰ 基礎知識 
     
  ◇Ⅱ 手続 
  ■1 選定方法 
    各自が、自らの意思で行う単独訴訟行為であり、代理権の授与に類する。

何時でも選定を取り消すことができきる(30Ⅳ)。(伊藤7版p201)
   
    審級を限定した選定も許される。
     
◇    ◇Ⅲ 選定の効果 
■    ■1 選定当事者 
    選定当事者は、選定者のために一切の訴訟行為をすることができる。
     
■    ■2 選定者 
    選定者は、当然に訴訟から脱退する(民訴30Ⅱ)。 
    訴訟物については、選定当事者のみが当事者適格をもつ⇒選定者を被告とする訴えは不適法となる⇒原告は選定当事者を被告として訴えを提起する。
係属中に選定⇒選定当事者を訴訟当事者として判決⇒選定当事者に対する請求の趣旨を訂正する必要。
(伊藤7版p202)
     
     
◇    ◇Ⅳ 選定当事者がいる場合の記載例 
     
◇    ◇Ⅴ 選定当事者の資格の喪失 
     
     
☆    ☆第2節 当事者の変動等 
  ◆1 当事者の死亡、後見の開始等
  ◇Ⅰ 当事者の死亡 
  ■1 概要 
    自然人当事者が訴訟係属中に死亡し、相続人が実体上包括承継⇒その相続人は、訴訟当事者の地位についても当然に承継する(民訴法124Ⅰ①)。
■    ■2 訴訟代理人がいる場合の手続 
    訴訟係属中に当事者が死亡⇒訴訟代理人は、承継人の代理人となり、被承継人が死亡した旨を裁判所に届け出る。
    実務では、訴訟承継申立書、承継人からの訴訟委任状、及び、当事者の表示の訂正申立書を提出。
また、この届出には、戸籍謄本、遺産分割協議書など承継を明らかにするものを添付する。
     
     
■  ■3 訴訟代理人がいない場合の手続 
     
     
     
     
■    ■4 例外的に、当事者の死亡により直ちに訴訟が終了する場合(p113)
□    □(1) 死亡当事者に相続人がおらず相続財産もない⇒承継人がなく、訴訟が当然終了する。
     
   
     
     
■    ■5  
     
     
     
     
     
     
     
★第3章 訴えの提起  
  ☆第1節 訴えの提起 
  ◆1 訴状の作成・提出 
  ◇Ⅰ 訴状の作成 
     
     
  ■3 請求の趣旨 
    給付、確認又は啓江氏の訴えの請求の趣旨を記載する。
給付の訴えでは、主請求のほか、附帯請求があればその請求の趣旨を記載。 
     
  ■4 請求の原因(民訴133Ⅱ②、民訴規53Ⅰ)
    (1)請求を特定するために必要な事実
    (2) 訴訟物たる権利関係の存在を理由d蹴る事実
     
     
   
  ◆2 管轄 
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ■1 専属管轄と任意管轄 
  ■2 管轄の調査 
  ■3  管轄選定の基準時
  □ア 原則 
    管轄は、訴えの提起時(=訴状提出時(民訴133Ⅰ))を基準時として決定され(民訴15)、その後の事情の変化による影響を受けない。
  □イ 例外その1:訴えの変更 
  □ウ 例外その2:管轄違いの治癒 
    訴え提起時には被告の住所が管轄区域内になかったが、その後、管轄区域内に住所を移転⇒管轄違いの瑕疵が治癒される。
  ■4 本庁と支部 
  ◇Ⅱ 事物管轄 
  ■1 簡易裁判所と地方裁判所の振り分け(裁33Ⅰ①、24①) 
    任意管轄⇒合意管轄や緒嘘管轄によって変更可能
    訴額>140万円⇒地方裁判所
訴額≦140万円⇒簡易裁判所
訴額≦140万円の不動産に関する訴訟⇒双方の裁判所
    附帯請求者訴額に算入しない。(民訴9Ⅱ)
複数の請求を併合提起⇒その訴額を合算(民訴9Ⅰ)
     
  ◇Ⅲ 土地管轄 
  ■1 概要 
  ■2 被告の普通裁判籍 
  □ア 被告が自然人である場合
    ①住所地⇒②居所⇒③最後の住所地
  □イ 被告が法人 
    主たる事務所又は営業所の所在地
     
  ■3 独立裁判籍 
  □ア 義務履行地(財産権上の訴えの場合)
   
  □ウ 不法行為地 
     
     
     
  ■4 関連裁判籍 
  □ア 概要 
    複数の請求を併合提起する場合、そのうち1つの請求について管轄(合意管轄、応訴管轄を含む)があれば、他の請求についても管轄が認められるというもの。(民訴7条)
     
  □イ 客観的併合の場合
     
  □ウ 主観的併合の場合 
    民訴法38条前段の場合に限り、管轄裁判籍が認められる。(民訴7条但書) 
←併合されてしまう被告の不利益をも考慮して、関連裁判籍が生じる範囲を限定。
    法38条前段「訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。」

後段:「訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。」
    民訴法38条の前段と後段を分ける実益は、関連裁判籍の関係しかない
⇒関連裁判籍を認めるか否かで、同条前段後段の振り分けをしていくことになる。
⇒牽連性が薄い場合は別として、訴訟資料の共通や判断統一必要など併合審理が望ましい場合であれば、広く同条前段に当たると認め、あとは17条移送(裁量移送)により個別に調整するのが望ましい。
     
  □エ 管轄選択権の濫用 
     
     
  ◇Ⅳ 合意管轄
  ◇Ⅴ 緒嘘管轄 
  ◇Ⅵ 指定管轄 
  ◇Ⅶ 国際裁判管轄 
     
  ◆3 訴え提起手数料(p171) 
  ◇Ⅰ 訴え提起手数料 
  ■1 納付方法 
  ■2 課題納付をした場合 
  ■3 手数料の額 
  ◇Ⅱ 訴額(総論)(p173) 
  ■1 意義 
  ■2 訴額が160万円とみなされる場合 
  ① 非財産権上の請求である場合 
  ② 財産権上の請求であるが、訴額の算定が極めて困難である場合 
  ■3 訴額算定の基準時 
  ■4 訴額の算定基準 
    最高裁判所民事局長通達「訴訟物の価額の算定基準について」(「民事局通達」)
  ◇Ⅲ 訴額の算定(各論) 
  ■1 訴額を算定する際の価格 
  □ア 固定資産税評価額のある土地 
    土地の価格:固定資産税評価額の2分の1
  □イ その余の物 
    固定資産税評価額あり⇒その評価額
その他のもの⇒取引価格
  □ウ 担保物権
    被担保債権額と目的物の価格のうち低い方

優先担保物権ばある場合:
目的物の価格は優先担保物件の被担保債権額を控除した額
   
  ■2 金銭給付請求の場合 
  ■3 所有権・賃借権に関する請求の場合 
  □ア 所有権・賃借権に基づく明渡請求
    目的物の価格の2分の1が訴額となる。
  □イ 移転登記請求 
    目的物の価格が訴額となる。
    登記抹消請求目的物の2分の1が訴額になる。
  □ウ 所有権確認請求 
    目的物の価格が訴額となる。
  ■4 客観的又は主観的併合の場合 
  ■5 附帯請求の不算入 
  ■6 引渡給付請求の場合の反対給付の不控除 
  ◆4 複数請求の原始的併合 
     
  ◆5 訴訟上の救助
     
  ◆6 訴状の受理・送達 
     
     
  ☆第2節 訴えを提起された者の対応 
  ◆1 答弁書の作成・提出 
     
  ◆2 移送(p209)
  ◇Ⅰ 基礎知識 
     
  ◇Ⅱ 移送の種類 
  ■1 必要的移送その1:管轄違いに基づく移送(16条移送) 
     
  ■2 必要的移送その2:申立て及び相手方の同意に基づく移送 
     
  ■3 裁量的移送:遅滞回避・衡平回避のための移送(17条移送)(p212) 
  □ア 概要 
    民訴法 第17条(遅滞を避ける等のための移送)
第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
   
  移送の判断に際に考慮すべき事由:
当事者・証人の住所、検証物の所在地その他の事情 
    「その他の事情」:
当事者の身体的事情、訴訟代理人の有無、その事務所所在地、当事者双方の経済力、請求の趣旨・内容等
  □イ 手続き 
    申立て又は職権により、移送する(民訴17条)。
     
★第4章 各種期日と争点整理  
  ☆第1節 期日 
   
   
  ◆3 第1回口頭弁論期日 
   
   
  ◇Ⅲ 第1回口頭弁論期日における当事者の欠席等 
  ■1 当事者の一方の欠席等の場合 
  □ア 陳述擬制 
  □イ 出席当事者の主張制限 
  □ウ 擬制自白(p249)
    民訴法 第159条(自白の擬制)
当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない
    出席当事者が主張した事実について、欠席当事者⇒陳述が擬制される準備書面等において明らかに争っていない限り、自白したものとみなされる。(公示送達の場合を除く)
    被告が、原告の主張を争う内容の書面を提出せずに第1回口頭弁論期日を欠席⇒原告の主張する請求原因事実を全て自白したとみなされ、原告勝訴の判決が言い渡される(欠席判決)。
but
予め準備書面で予告していなかった事実は、口頭弁論で主張し得ない
⇒これについては、欠席者の擬制自白が成立する余地はない。
     
  ■2 当事者双方の欠席等の場合 
     
  ■3 訴状の公示送達の場合 
    被告が欠席しても、原告の主張を自白したとみなすことがえきない(民訴法159Ⅲただし書)
⇒証拠によって請求原因事実を認定する必要。
    訴訟の陳述などに続けて、証拠調べが行われ(人証が必要な事件であれば、人証調べも行われる)、それが終わると、弁論終結となり、判決言渡し期日が指定・告知される。

裁判所と原告で事前に打合せをし、人証調べをするのであれば、証人を在廷させるなどして、第1回口頭弁論期日で弁論を終結できるようにすべき。
     
     
     
  ☆第2節 争点整理のための裁判所の関与 
  ◆1 釈明 
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ■1 意義 
    釈明:裁判所が、当事者に対し、訴訟関係を明確にするため、事実上又は法律上の事項に関する問いを発し又は立証を促すこと。
     
  ◇Ⅱ 手続 
     
  ◇Ⅲ 釈明義務 
     
  ◇Ⅳ 補足:釈明処分 
     
     
     
     
★第5章 証拠調べ等  
  ☆第1節 総論 
  ◆1 証拠(総論) 
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ■1 証拠方法 
    証拠調べの対象となる有形物=証拠方法
物証(文書、検証物)
人証(証人、鑑定人、当事者本人) 
  ■2 証拠資料 
    証拠調べによって得られた内容(文書の内容、検証の結果、証言、鑑定意見、当事者の供述)=証拠資料 
    証人の証言と当事者の供述をまとめて「供述」ということもある。
     
  ■3 直接証拠と間接証拠
    直接証拠:主要事実を直接証明する証拠
ex.
売買契約書⇒売買契約の成立
〇売買の合意をしたとの供述
×売買の合意をしたと聞いたという伝聞証拠
~「聞いた」事実を立証し、その事実から売買契約の成立を推認⇒直接証拠ではない。
    間接証拠:間接事実や補助事実に関する判断資料となる証拠資料
間接事実:主要事実の存在を推認させる事実
補助事実:証拠の証拠力を判断する際に使用される事実
     
  ◇Ⅱ 証拠能力 
  ■1 証拠能力無制限の原則 
    民事訴訟においては、原則として、証拠能力の制限はない。
  ■2 違法収集証拠 
     
  ◇Ⅲ 事実認定に用いられる証拠以外のもの
     
  ◆2 書証以外の証拠調べ(総論)
  ◇Ⅰ 基礎知識
  ◇Ⅱ 証拠の申出
     
  ◇Ⅲ 証拠の採否 
  ■1 採否の判断(p287)
    証拠申出が不適式又は時期に後れたもの⇒却下
    適式な申出であっても、その採否は、裁判所の訴訟指揮に委ねられている(民訴181Ⅰ)。
ex.
主張自体に理由なし⇒証拠調べ必要なし
すでに裁判所が心証を得ている⇒証拠調べ必要なし
取調べが困難(証人の行方不明等)⇒取り調べないまま結審できる
but
証拠の不採用が審理不尽として法令違反とされることもある。
   
  ■2 証拠を採用する場合 
     
  ■3 証拠申し出を却下する場合 
     
  ■4 唯一の証拠である場合
     
  ■5 不定期間の障害がある場合 
     
  ■6 不服申立て 
     
  ■7 証拠決定の取消し・変更 
     
     
     
     
  ☆第2節 文書(p291)
  ◆1 書証 
◇    ◇Ⅰ 基礎知識 
■    ■1 意義 
    文書に記載された意味内容を証拠資料として収得するための証拠調べ
  ■2 文書 
     
■    ■3 準文書 
    民訴法 第二三一条(文書に準ずる物件への準用)
この節の規定は、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する。
     
■    ■4 検証と書証の区別 
     
  ◇Ⅱ 手続 
  ■1 書証の申出 
  □ア 申出の方法 
     
  □イ 文書の符号 
     
  □ウ 証拠説明書及び写しの提出 
     
  □エ 訳文の添付 
     
■    ■2 写真、録音テープ等の申し出・提出 
     
  ■3 写しの提出 
  □ア 概要 
     
□    □イ 原本に代えて写しを提出●
    相手方が原本の存在と成立を争わず、その写しをもって原本の提出に代えることに異議がない場合、原本に代えて写しを提出することができる。
     
  □ウ 写し自体を原本として提出 
    写し自体を原本(手続上の原本)とする申出方法
     
□    □エ ウェブサイト等
    ウェブサイト等の電磁データのプリントアウトの場合、プリントアウトを書証の原本として取り調べるのが原則。
(原本上の記録にアクセスしてこれをプリントアウトする権限を有する者が原本の記載内容を報告した文書とみて、それ自体が原本であると考えるもの。)
     
     
  ◇Ⅲ 文書の証拠力 
  ■1 証拠力の構造 
  □ア 証拠力の種類 
   
  □イ 形式的証拠力の確定
    形式的証拠力を各文書は、その内容を事実認定の証拠資料とすることができない。
     
  □ウ 形式的証拠力があるための要件 
    ①文書が真正に成立したこと
②文書の記載内容が思想の表現であること 
    ①:特定人(=挙証者が特定した人)の意思に基づいて当該文書が作成されたこと
     
    署名代理の場合、文書の作成者は本来代理人
but
実務の大勢は本人を作成者としている。
     
  ■2 文書の成立の認否 
   
     
     
     
     
     
  ◆2 文書提出命令(p307) 
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ■1 概要 
  裁判所が、文書の所持者(当事者又は第三者)に対し、当該文書を提出するよう命ずるもの(民訴223Ⅰ)。 
   
    実務では、相手方が所持している文書に係る文書提出命令の申立て
⇒裁判所は、相手方に対し、当該文書の任意の提出を促し、相手方がこれに従い、当該文書を書証として提出すれば、文書提出命令の申立ては取り下げられるのが通常。
     
  ■2 要件 
  □ア 概要 
    ①申立書に必要的記載事項があり、
②当該文書を取り調べる必要があり、
③当該文書の所持及び所持者の文書提出義務(民訴220)
が認められれば、文書の提出を命ずる。
   
  □イ 取調べの必要性 
    唯一の証拠⇒取調べの必要性の不存在を理由に申立てを却下すべきではない。
  □ウ 文書の所持 
     
     
  ■3 文書提出命令に従わない場合 
     
  ◇Ⅱ 申立て 
  ■1 概要 
    文書の所持者を相手方として申し立てる。
    申立ては、書面でしなければならない。
     
  ■2 申立書の必要的記載事項(p310)
    ①文書の表示
②文書の趣旨
③文書の所持者
④証明すべき事実
⑤文書提出義務の原因
     
  ■3 文書の特定のための手続
     
  ■4 補足:職権による文書提出命令
     
  ◇Ⅲ 審理・判断(p312)
  ■1 審理 
  □ア 相手方による意見書の提出 
  □イ 第三者の審尋 
  □ウ イン・カメラ審理 
     
  ■2 決定 
  □ア 認容決定 
  ①文書の所持及び②提出義務が認めあっれ、かつ、
③その文書を取り調べる必要性があれば、
文書の所持者に対し、その提出を命ずる決定がされる。(民訴223Ⅰ) 
     
  □イ 却下決定 
     
  ■3 不服申立・即時抗告 
  □ア 抗告権者 
     
  □イ 即時抗告ができない場合 
    取調べの必要がないことを理由とする却下決定⇒即時抗告ができない。
     
  □ウ 必要的差戻しになる場合 
     
  ■4 文書の提出・提示 
     
  ■5 書証としての申出・提出 
     
  ◇Ⅳ 文書提出義務 
規定   民訴法 第二二〇条(文書提出義務)
 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書
  ■1 概要 
    平成8年改正で、
220条4号イないしホ所定の例外事由がない限り、一般的に文書の提出義務を負う(一般義務)。

文書提出義務は同条4号で認めれば足りることになった。
同条1~3号が適用される場面は、
①同条4号所定の例外事由(同号イ~ホ)に当たる場合
(=この場合は同条4号では提出義務が認められない⇒同条1~3号で提出義務が認められるか検討する必要)
②文書提出命令によらずとも書証の申出ができる場合
(=同条4号による申立てができない)
に限られる。
   
  ■2 4号文書(公務文書以外の場合) 
  □ア 文書は原則として提出義務有り 
     
  □イ 4号イ文書(自己負罪拒否特権・名誉毀損文書) 
     
  □ウ 4号ハ前段文書(プロフェッション秘密文書) 
    医師、弁護士等(又は過去に医師、弁護士等であった者)が職務上知り得た事実・事項で黙秘すべきもののうち、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書。 
     
  □エ 4号ハ後段文書(技術・職業秘密文書) 
    技術又は職業の秘密に関する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書。
     
  □オ 4号ニ文書(内部文書) 
  ●a 概要 
    専ら文書の所持者の利用に供するための文書(=内部文書)は、提出義務の対象外。 
    内部文書に該当するには、次の3要件が必要(最高裁H11.11.12):
専ら内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示されることが予定されていない文書
②開示によってプライバシー侵害や自由の意思形成の阻害など、所持者にとって看過し難い不利益が生ずるおそれがある
③内部文書に該当することを否定すべき特段の事情がない
     
  ●b 内部文書性(①) 
    法令上の作成義務あり⇒原則として「内部文書性」が否定される。
文書作成目的の公益性も「内部文書性」を否定するファクターとなり得る。
    開示の相手方が守秘義務を負っていることは、「内部文書性」を基礎付けるものではない。
     
  ●c 不利益性(②) 
    不利益性を充足する場合:
①法人内部の自由な意思形成の阻害
②個人のプライバシーの侵害
③営業秘密の侵害
④事後の調査目的達成の阻害
     
  ●d 特段の事情の不存在(③)
    「特段の事情」という例外要件によって開けられた穴はさほど大きいものではない。
     
     
  ■3 4号文書(公務文書の場合) (p320)
     
     
  ■4 1~3号文書(p322)
  □ア 1号文書(引用文書) 
    訴訟において引用した文書を自ら所持するとき(民訴220①)

当事者が当該文書の存在及び内容を引用しながら提出しないのでは、訴訟手続における信義則に反し公平性を害する。
    「訴訟において引用した」:
当該文書の存在に言及した場合であることをいい、当該文書そのものを証拠として提出したことまでは要しない。
積極的に当該文書の存在に言及した場合であることを要し、単に、裁判長や相手方の釈明に応えて所持を認めたにすぎないような場合は含まない。
    書証の一部を訴訟に提出⇒その残部が「引用した文書」に当たるわけではない。
but
当然に引用文書性が否定されるわけではなく、信義則・衡平の枠組みで判断すべき。
     
  □イ 2号文書(引渡・閲覧請求可能文書) 
     
  □ウ 3号前段文書(利益文書) 
    挙証者の利益のために作成された文書
    典型例:
挙証者を受遺者とする遺言書
挙証者の代理権限を証明する委任状
     
  □エ 3号後段文書(法律関係文書)
    挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成された文書
    ex.
契約書
契約解除通知書
契約の履行に関して授受された印鑑証明書
     
  ◆3 文書送付嘱託、訴訟記録の取寄せ(3p358) 
  ◇Ⅰ 文書送付嘱託の基礎知識 
  ■1 概要 
    裁判所が、文書の所持者に対し、当該文書を裁判所に送付するよう嘱託するもの。
    所持者が当該文書を任意に送付することが期待される場合に用いられる。 
     
  ■2 嘱託先 
    嘱託の相手方について法律上限定はなく、官公署や公法人に対してされることもある。 
  ■3 文書送付嘱託の位置付け 
    民訴法 第226条(文書送付の嘱託)
書証の申出は、第二百十九条の規定にかかわらず、文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。ただし、当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合は、この限りでない。
    実務:書証の申出の準備行為と位置付けられている。 
送付された文書から、当事者が必要なものをセレクトして書証として提出する扱いがされている。
   
     
     
     
     
  ◆4 陳述書(3版p365) 
     
  ☆第3節 その余の証拠方法 
  ◆1 証人尋問
     
  ◆2 書面尋問 
  ◇Ⅰ 基礎知識 
     
     
  ■3 書面尋問の活用例 
     
     
     
  □(4) 医療過誤訴訟では、従前は医師の書面尋問をする例が多かった
but
現在では、むしろ、所在尋問によることが原則化している。 
     
     
     
  ◆3 当事者尋問
     
  ◆4 鑑定(3版p400)
     
     
     
     
◇    ◇Ⅳ 補足:専門事件における鑑定 
     
     
  ■2 医療事件における亜kン亭 
  □ア 鑑定人候補者の推薦 
   
  □イ 鑑定事項 
  □ウ 鑑定料の額
    50万円前後 
  □エ テレビ会議システムによる口頭陳述 
□    □オ カンファレンス鑑定 
  □カ 書面複数鑑定 
     
  ◆5 鑑定の嘱託
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ■1 概要 
    裁判所は、必要があると認めるときは、官庁(又は公署。外国のものを含む。)又は相当の設備を有する法人に、鑑定を嘱託することができる(民訴218Ⅰ前段)
     
  ■2 他の証拠調べとの関係 
  □ア 調査嘱託
    比較的容易に調査をして裁判所に報告⇒鑑定嘱託ではなく調査嘱託によるべき
□    □イ 鑑定 
    鑑定より手続が簡易
嘱託先の法人が組織として行う⇒より高度で適切な判断が可能
鑑定人質問を受けることもない⇒鑑定人としても引き受けやすい
but
嘱託先がこれに応ずるとは限らず、
実質的証拠価値も、鑑定人が宣誓をし、虚偽鑑定に対する罰則のある鑑定の方が高い
   
     
  ◆6 検証
     
  ◆7 調査嘱託(3版p422)
  ◇Ⅰ 基礎知識
  ■1 概要 
    裁判所が団体に対して必要な調査を嘱託するというもの(民訴法186条)
主要な5つの証拠方法(証人尋問、書証・・・)とは別の、簡易かつ特殊な証拠調べの方法。
23条照会⇒費用がかかる、bu不利な結果を相手に知られずに済む。
  ■2 嘱託先 
    「団体」であればよい。
  ■3 嘱託事項 
    法律上の制限はない
but
嘱託の結果が争われれば、証人尋問や鑑定に進まざるを得ず、二度手間になる。
客観的事項であって、手元にある資料から容易に結果が得られるものに限られよう。
ex.
①金融機関に対し、ある者との預貯金の取引状況の調査を嘱託。
②勤務先に対し、休業期間・給与の支払状況の調査を嘱託。
③取引先に対し、商品の価格の調査を嘱託。
④ホテルに対し、宿泊者名簿の調査を嘱託。
     
  ■4 預貯金の取引履歴の調査嘱託の申立ての採否 
    取引履歴の開示を受ける事実認定上の必要性と、
探索的・詮索的申立ての抑止の要請及びプライバシーの問題とのバランスを検討して、
採否の判断をする。
     
  ■5 不起訴事件記録中の目撃者の特定のための情報の調査嘱託 
     
  ◇Ⅱ 手続き 
     
     
  ☆第4節 提訴前証拠収集処分等 
     
     
     
     
   
★第6章 複雑訴訟  
  ☆第1節 複数訴訟 
  ◆1 複数請求訴訟・共同訴訟の審理・判断 
  ◇Ⅰ 客観的併合 
     
     
  ◇Ⅱ 主観的併合(p407) 
  ■1 概要 
    複数の原告による又は複数の被告に対する請求が併合されて同時に審理・判断される場合。 
    全ての請求が同一期日で同時に審理され、訴訟記録も同一。
  ■2 種類 
    必要的共同訴訟と通常共同訴訟
  ■3 通常共同訴訟 
  □ア 概要 
    主観的併合のうち、必要的共同訴訟に当たらないもの。
  □イ 共同訴訟人独立の原則 
    共同訴訟人の1人がした又はされた訴訟行為、共同訴訟人の1人に生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさないのが原則(民訴39)。
ex.
請求の認諾、訴えの取下げ、上訴、事実の主張、自白、文書の成立の認否
1人の共同訴訟人に生じた中断、中止事由
訴訟要件の具備
but
共通の訴訟代理人が選任されることも少なくなく、
共同訴訟人に矛盾抵触のない判決に到達することが多い。
    共同訴訟人同士は互いに第三者⇒
他の共同訴訟人に補助参加することもできるし、
他の共同訴訟人と相手方との訴訟について相手方に補助参加することもできる。
  □ウ 弁論の分離・一部判決 
    合一確定の要請がない
⇒弁論の分離や一部判決が認められる。
  □エ 証拠共通・主張非共通 
    共同訴訟人の1人がした主張は、他の共同訴訟人が積極的に援用しない限り、他の共同訴訟人が主張したことにはならない。
共同訴訟人独立の原則
    証拠については、共同訴訟人の1人が提出した証拠は、援用の有無にかかわらず、他の共同訴訟人との関係でも認定の資料とされる
←自由心証主義。
共同相続人の1人の訴訟行為を「弁論の全趣旨」(民訴247)として他の共同訴訟人の訴訟との関係で事実認定の資料とすることもできる。
     
  ■4 必要的共同訴訟(p408) 
  □ア 概要 
    複数の原告による又は複数の被告に対する請求について判決の内容が矛盾なく統一される(=合一確定される)べき場合。(民訴40Ⅰ)
    共同訴訟人の訴訟行為に相互に矛盾があってはならない⇒共同訴訟人独立の原則が排除される。
     
  □イ 固有必要的共同訴訟
     
     
     
  □ウ 類似必要的共同訴訟 
    単独での訴訟提起は可能であるが、複数で訴訟提起した場合には共同訴訟人独立の原則が排除される場合。
     
  ■5 同時審判申出共同訴訟 
  □ア 概要 
     
  □イ 同時信販の申出の要件 
     
  □ウ 
  □エ
  □オ
     
  ◆2 弁論の分離・併合(p411)
  ◇Ⅰ 弁論の分離 
     
     
     
     
     
     
     
     
  ☆第2節 請求の追加・変動
  ◆1 訴えの変更(3版p454) 
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ■1 意義
    訴えの変更:
原告が、訴訟係属中に、その請求内容を変更する場合。
  ■2 種類
  □ア 追加的変更
    従来の請求はそのままにして、新たな請求を追加。
    両請求の併合形態は、単純併合、選択的併合、予備的併合のいずれでもよい。
尚、追加した請求を主位的請求にして、従前の請求を予備的請求とするには、被告の同意が必要である。
  □イ 交換的変更 
    従来の請求に代えて、新たな請求を申し立てる場合。
  □ウ 請求の拡張・減縮 
    請求の拡張:訴えの変更としての性質を有す
請求の減縮:訴えの取下げとしての性質を有する
  □エ 併合態様の変更 
    選択的併合を予備的併合に変更する等。
  ■3 訴えの変更の交換
     
  ◇Ⅱ 訴えの変更の申立て及び被告の答弁 
  ■1 訴え変更申立書の提出 
    書面でしなければならない
  ■2 請求の変更の手数料 
  ■3 被告の答弁 
     
  ◇Ⅲ 訴えの変更の要件
    要件1⃣:
A:新旧請求の請求の基礎が同一であること
又は
B:訴えの変更について被告の同意又は異議なき応訴
又は
C:被告の陳述した事実に立脚した新請求であること
要件2⃣:訴えの変更により著しく訴訟手続を遅延させないこと
要件3⃣:事実審の口頭弁論終結までに訴えの変更を申し立てたこと
要件4⃣:新旧請求が同種の手続により審判されるものであること 
  ■1 1⃣A(請求の基礎の同一性(民訴143Ⅰ))について 
    主要な争点又は主張事実が共通である場合や、事実資料が一体である場合なども含む、広い概念。
    肯定例:
①売買契約に基づく所有権移転登記請求と、その登記が第三者に移転されたことを理由とする損害賠償請求
②手形金請求と、被告の被用者が当該手形を偽造したことを理由とする使用者責任請求
否定例:
①売買契約に基づく所有権移転登記請求と真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記請求
②強姦の不法行為に基づく損害賠償請求とセクハラの不法行為に基づく損害賠償請求
  ■2 1⃣B(被告の同意等)について 
  ■3 1⃣C(被告の陳述に立脚)について 
  ■4 2⃣(著しく遅延させない)(民訴143Ⅰただし書)について 
    特に控訴審では2⃣の具備に厳格な判断が要求される 
  ■5 3⃣(申立時期の制限)(民訴143Ⅰ)について 
    上告審では訴えの変更が認められない。
必要と判断⇒原審に差し戻す。
  ■6 4⃣(同種手続)(民訴136)について 
     
  ◇Ⅳ 裁判所による許否等の判断 
     
  ◆2 反訴(p425) 
    手数料:本訴とその目的を同じくするときは、本訴手数料額を控除する。
本訴とその目的を同じくする反訴:
本訴の訴訟物である権利関係の対象となっている目的物が、同時に反訴の訴訟物である権利関係の目的物になっている場合であり、そのため、本訴について審理・判断することにより自ずから反訴請求の当否が判断できるような場合。
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ■1 意義 
    反訴(民訴146):係属中の訴訟の手続内で、被告が原告を相手方として提起する訴え。
  ■2 特殊な反訴 
  □ア 予備的反訴 
    「本訴が認容されるのであれば反訴を認める。」という本訴の許容を条件としたもの。
主文・請求の趣旨:
「原告の離婚請求が認容されることを条件として、原告は、被告に対し、〇万円を支払え。」
    「本訴において反訴請求債権を自働債権とする相殺の抗弁が認められないこと」を条件とした予備的反訴も認められる。
通常の反訴が、その提起後にその請求債権を自働債権とする相殺の抗弁を本訴で提出したことで、事後的に予備的反訴に変更されることもある。
  □イ 再反訴 
    反訴に対し、原告が最反訴をすることも認められる。
  ■3 本訴との関係 
  □ア 弁論の分離の可否 
  □イ 本訴が取下げになった場合 
  ■4 反訴の効果 
     
  ◇Ⅱ 反訴提起の方法 
     
  ◇Ⅲ 反訴提起の要件 
    要件1⃣
A 本訴請求の請求原因と反訴請求の請求原因とで、基礎となる法律関係又は主たる事実が同一であること
又は
B 本訴請求に対する抗弁と、反訴請求の請求原因とで、基礎となる法律関係又は主たる事実が同一であること
又は
C 反訴についての原告の同意又は異議なき応訴
要件2⃣ 反訴提起により著しく訴訟手続を遅延させないこと
要件3⃣ 本訴の事実審の口頭弁論終結までに反訴を提起したこと
要件4⃣ 本訴請求と反訴請求が同種の手続により審判されるものであること
要件5⃣ 反訴請求が他の裁判所の専属管轄に属しないこと
要件6⃣ 反訴が禁止されていないこと
  ■1 1⃣A(本訴請求との関連性)(民訴146Ⅰ)について 
    本訴請求の請求原因と反訴請求の請求原因とで、基礎となる法律関係又は事実が共通であること
    ex.
①通行権確認の本訴に対し通行禁止を求める反訴の提起
②⃣本訴請求権と反訴請求権が双務契約から生ずる相対立する債権である場合
③同一の事故から生ずる双方の損害賠償請求権である場合
④抵当権設定登記請求の本訴に対し被担保債務不存在確認の反訴を提起する場合
  ■2 1⃣B(抗弁との関連性)(民訴146Ⅰ)について 
    「防御の方法と関連する」(民訴146Ⅰ)

本訴請求に対する抗弁と反訴請求の請求原因とで、基礎となる法律関係又は主たる事実が共通であること。
    ex.相殺の抗弁の自働債権や留置権の抗弁の被担保債権を、反訴で請求すること。 
  ■3
  ■4
  ■5 
  ■6 
  ■7 
     
  ◇Ⅳ 反訴の却下・取下げ 
  ■1 反訴要件欠缺による却下 
  ■2 反訴の取下げ 

★★民事訴訟マニュアル(下)

第2編 訴訟の終了・上訴・再審
★第1章 訴訟の終了
 
     
     
★第2章 控訴審  
  ☆第1節 控訴の提起 
  ◆1 控訴の提起 
  ◇Ⅰ 控訴の提起 
  ■1 控訴提起の方法 
    第1審裁判所に控訴状提出
     
  ■2 控訴期間 
    第1審判決書(又は調書判決)の送達を受けた日から2週間
     
     
  ■3 不服の利益等 
     
  ■4 不服の範囲の特定 
     
  ■5 訴訟上の救助 
     
  ■6 控訴理由書の提出等 
    控訴提起後50日以内に、控訴裁判所に提出。 
     
  ■7 控訴の追完 
   
     
     
     
     
  ◆3 控訴状・附帯控訴状の作成
  ◇Ⅰ 手数料額(印紙額)等 
     
     
     
  ◇Ⅱ 控訴状・附帯控訴状の記載事項 
     
     
  ◇Ⅲ 控訴の趣旨(基本形) 
   
     
  ■4 一部敗訴第1審被告の控訴の場合 
    控訴の趣旨記載例
1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人の上記取消しに係る部分の請求を棄却する。
3 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。 
     
  ◇Ⅳ 附帯控訴の趣旨(基本形) 
  ■1 原審が単純併合である場合 
     
  ■2 原審が選択的併合である場合 
     
  ■3 第1審が予備的併合である場合 
     
  ■4 第1審が本訴反訴である場合 
   
     
     
  □エ 第1審本訴被告(本訴勝訴反訴敗訴)の控訴の場合 
    控訴の趣旨記載例:
1 原判決中反訴請求に関する部分を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、〇万円を支払え。
3 訴訟費用は、第1、2審を通じ、本訴反訴とも被控訴人の負担とする。 
     
  ☆第2節 控訴審の審理・判断(p130)
  ◆1 第1回口頭弁論期日その他の期日 
  ◇Ⅰ 第1回口頭弁論期日 
   
  ■1 第1審の口頭弁論の結果の陳述(弁論の更新) 
     
  ■2 証拠調べ 
     
★第3章 上告・再審・抗告  
  ◆1 上告その1(総論、控訴裁判所における審理判断) (p189)
  ◇Ⅰ 基礎知識 
  ■1 概要 
   
  ■2 上告 
    民訴法 第三一二条(上告の理由)
上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
2上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
二の二 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
三 専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
五 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
六 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
3高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。
  ■3 上告受理 
    民訴法 第三一八条(上告受理の申立て)
上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。

2前項の申立て(以下「上告受理の申立て」という。)においては、第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由を理由とすることができない。

3第一項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。

4第一項の決定があった場合には、上告があったものとみなす。この場合においては、第三百二十条の規定の適用については、上告受理の申立ての理由中前項の規定により排除されたもの以外のものを上告の理由とみなす。

5第三百十三条から第三百十五条まで及び第三百十六条第一項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。
    上告裁判所(最高裁判所)が上告受理申立を受理した場合に限り上告の効力が付与される。
    最高裁:上告受理に際し、上告受理申立て理由のうち重要でないものを排除することができ(民訴318Ⅲ)、排除されなかったものに限り上告の理由とみなされる(民訴318Ⅳ)
     
  上告受理申立ての要件:
要件1:控訴審判決に法令の解釈に関する事項を含むこと
要件2:
A 1⃣の事項が重要であること
又は
B 1⃣の事項が判決に影響を及ぼすことが明らかであること
  □ア 1⃣(法令の解釈に関する事項)について 
  ●a 法律行為の解釈 
  ●b 約款 
  ●c 経験則違反 
    経験則違反が法令適用の誤りとすることは、原審の事実認定の拘束力(民訴法321Ⅰ)を排除する結果となる⇒その運用は慎重であるべき
but
常識に反し、論理のつじつまが合わないような事実認定がされた場合に限り、経験則も「法令の解釈」に含まれると解すべき。(民訴コンメⅥ308頁)
    民訴法247条(自由心証主義)違反と構成する考え方(これが多数説とするものとして加藤新太郎)。
立法担当者も経験則違反を法令違反と同視していた。
経験則違反や採証法則違反が主張されることは極めて多いが、そのほとんどは、認定非難の域を出ず、これらの主張が認められるのは多くとも年間数件程度。
  ●d 慣習 
  ●e 規範的評価の誤り 
規範的要件における規範的評価の誤りは「法令の解釈」に含まれる。
  ●f 虚無証拠による事実認定 
  ●g 立証責任分配の法則違反
  ●h 判断遺脱 
訴訟法違反として「法令の解釈」に含まれる。
  ●i 審理不尽
     
  □イ 2⃣A(重要な事項)について 
    「重要な事項を含む」に当たる例:
①一定の法令の解釈を示している判例に反している場合
②これまで判例のない法令の解釈について最高裁判所の判断を示す必要がある場合
③従前の判例を変更すべき場合
④高等裁判所の誤った法令解釈を判決として確定させるべきでない場合
    当該法律問題の一般的な重要性のほかに、当該事件自体の重要性や結論の重要性が考慮されることもないとはいえず、それが許されないとまでいうことはできない。
     
  □ウ 2⃣B(判決の結論に影響を及ぼすことの明白性)について 
    法文上は上告受理の要件とされていない
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上告審は、判決の結論に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるときは、職権破棄をすべきとされている(民訴法325Ⅱ)⇒そのような法令違反が主張された場合には、上告受理決定をすべき。
     
     
     
  ◇Ⅱ 上告提起・上告受理申立て
  ■1 上告状(又は上告受理申立書)の提出 
  □ア 概要 
    上告の提起(又は上告受理の申立て):控訴審の判決書の送達を受けた日から2週間以内に
上告裁判所あての上告状(又は上告受理申立書)を、控訴裁判所に提出。
     
     
  ■2 上告理由書(又は上告受理申立て理由書)の提出
  □ア 提出期間は50日 
    上告提起通知書(又は上告受理申立て通知書)の送達を受けた日から50日以内に上告理由書(又は上告受理申立て理由書)を提出。
     
     
     
     
     
     
  ◆7 特別抗告・許可抗告(p271) 
  ◇Ⅰ 基礎知識
     
     
  ◇Ⅱ 特別抗告 
  ■1 意義 
    憲法の解釈その他憲法違反を理由としてされる抗告
(民訴法336Ⅰ)
     
  ■2 特別抗告の提起 
    原判決の告知を受けてから5日以内(民訴法336Ⅱ)に、最高裁判所あての特別抗告状を原裁判所に提出。
     
    特別抗告状に特別抗告理由の記載をしなかった場合、特別抗告提起通知書の送達を受けた日から14日以内に特別抗告理由書を提出。
     
  ◇Ⅲ 許可抗告 
  ■1 意義 
    高等裁判所の決定(又は命令)に対し、
判例違反その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる法令違反を理由としてされる抗告
抗告をするのに当該決定(又は命令)をした高等裁判所の許可を必要とする。
(民訴法337Ⅰ)