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プラクティス民法(債権総論)

プラクティス民法 債権総論 第5版
★第1章 債権関係の基本的な仕組み
  ◆T 債権関係の意義
  ◆U 債権
  ◇1 緒論・・・権利意思説と権利利益説 
    権利利益説:権利を、法によって保護される利益
権利意思説:権利を、自然現象や他人の行為を支配する個人の意思の力
  ◇2 権利利益説からの説明・・・債権者利益・契約利益の保障体系 
    権利利益説⇒
債権とは、債権関係において、債務者から一定の利益(債権者利益。契約の場合は、契約利益)を獲得することが期待できる債権者の地位。
  ◇3 権利意思説からの説明 
     
  ◆V 債務 
  ◇1 総論
  ■1−1 債務の意義 
    債務:債権関係において、債権者に対して一定の利益(債権者利益)を獲得させるための拘束を受けた債務者の地位
  ■1−2 債務の強度・・・結果債務と手段債務 
    債務を負担⇒
債務者は、債権者利益が実現するために必要とするさまざまな具体的行為(作為・不作為)を義務付けられている。
当事者の合意または法律の規定
  ◇2 債務を構成するもの(その1)・・・給付義務 
    債権者に対して債権者利益を実現する義務。
  ◇3 債務を構成するもの(その2)・・・誠実行為義務 
    債務者は、給付義務の実現に向けて信義に従い誠実に行動しなければならない。
〜「附随的注意義務」とか「具体的行為義務」などと称されることもある行為義務。
  ◇4 債務を構成するもの(その3)・・・債権目的・契約目的達成のために必要な措置を講じる義務
    債権者が給付結果の実現それ自体のために必要なものではないが、債権者が給付結果の取得を通して実現しようとした目的(債権目的・契約目的)の達成のために必要な措置を講じる義務。
    ex.
複雑な機械の売買における売主の操作方法説明義務
土地の売買における売主の登記移転協力義務
農地転用のための所有権移転許可申請協力義務
賃貸借契約における賃貸人の目的物修繕義務
預金契約において預入金融機関が預金者に対して取引経過を開示する義務
貸金業者を営む金融機関が顧客である借主に対して取引履歴を開示する義務
  ◇5 債務を構成するもの(その4)・・・保護義務 
  ■5−1 保護義務の意義
    債権者利益を債権者に対して実現するにあたり、債務者として、債権者が保有している利益、すなわち生命・身体・健康・所有権その他の利益(財産的利益のみならず、人格権や自己決定権も含まれる)を侵害しないように配慮して行動することも含まれる。
債権者が保有しているこれらの利益:完全性利益
完全性利益を侵害しないように配慮すべき義務:保護義務
  ■5−2 保護義務違反の判断構造 
     
  ■5−3 債務者の完全性利益に対する債権者の保護義務・・・受領過程における保護義務 
  ■5−4 保護義務と安全配慮義務 
  □(1)安全配慮義務の意義・・・安全管理体制確立義務(人的・物的組織編成義務)
    契約当事者が有する完全性利益の保護義務が問題となる局面のなかでも、雇用関係において使用者が被用者の生命・身体・健康の安全に配慮すべき義務は、特に、安全配慮義務と呼ばれる。
    判例:
安全配慮義務の内容は、危険防止のために適切な人的・物的設備を編成し、安全教育を施すこと。
安全配慮義務の内容は、労務の管理支配のための適切な人的・物的組織の編成に尽きる(安全管理体制確立義務としての安全配慮義務)。
それにあたらない注意義務、たとえば、「運転者において道路交通法その他の法令に基づいて当然に負うべきものとされる通常の注意義務」のようなものは、その違反が過失不法行為責任(709条、715条)を設定することがあったとしても、けっして安全配慮義務違反を根拠付けるものではない。

判例は、労務指揮管理権行使にともなう安全管理体制確立義務の一種として、「安全配慮義務」を捉えている。

使用者の「安全配慮義務は、上述した「保護義務」とは出自も内容も異なる別種の義務。
判例にいう「安全配慮義務」は、雇用その他実質的な労務関係が存在している場合に限定されることになる。
     
  □(2) 安全配慮義務の履行補助者・・・安全管理体制確立のために人的・物的組織の編成権限を託された者 
    判例法理からは、安全配慮義務の履行補助者についても、次の2点が重要。
@安全配慮義務者(使用者)から管理支配権限(人的・物的組織の編成権限)を託された者のみが、安全配慮義務(安全管理体制確立義務)の履行補助者
Aこの者が安全のため人的・物的組織の編成に関する注意を尽くさなかったときに、はじめて、履行補助者の行為を理由として債務者の安全配慮義務違反が認められることになる。
     
  □(3) 判例の安全配慮義務論に対する疑問 
    判例法理
vs.
「使用者がその管理支配体制をどのように確立すればよいか」ということと、
「労務提供・受領過程で生じうる具体的危険から労働者を保護するにはどうしたらよいか」
ということは直結せず、前者の問題が後者の問題を限定するという関係にない。

むしろ「労務提供・受領過程で生じうる具体的危険から労働者を保護するにはどうしたらよいか」という観点から、上述した保護義務の一種として、使用者の「安全配慮義務」を捉えるのが適切。

使用者の安全配慮義務については、保護義務違反の判断構造で述べたことが妥当。
「保護義務違反」と言うか「安全配慮義務」と言うから、もはや言葉の問題にすぎない。
     
  □(4) 安全配慮義務違反を理由とする責任の法的性質 
    安全配慮義務
     
     
  □(5) 契約関係にない当事者間での安全配慮義務 
    使用者と被用者との間に契約関係がない場合であっても、両者の間に実質的な労働関係が成立しているとときに、認められる。
ex.下請会社の従業員が、元請会社の作業現場で、元請会社の責任者の指揮監督のもと、労務作業をしていて事故にあったような場合。
(Aは、B社の従業員である。Aは、B社の命を受けて、B社の元請会社であるC社が運行している船舶(甲)に乗船して、積荷の管理にあたっていた。甲の運航中に、C者が甲に積み込んだ荷物αと荷物βが化学反応を起こして有毒ガスが発生し、これを吸ったAが死亡。)
    この場合の安全配慮義務違反の責任は、不法行為責任としてではなく、債務不履行責任として捉えられている。(最高裁H2.11.8)
ここでは、雇用契約類似の債権関係が両当事者間に成立しているものと捉え、債務不履行の法理で処理している。
     
★第2章 債権の種類(債権の目的)  
     
     
     
     
☆第5節 利息債権(p35) 
  ◆T 利息債権・約定利息・法定利息 
  ◆U 利息 
    利息:流動資本としての元本から生じる収益のこと
金銭その他の代替物である元本の使用の対価として、元本額と使用期間に応じて、一定の利率によるい支払われる金銭その他の代替物
    @
    A利息は元本私用の対価⇒次のものは、「利息」jという名が付されていても、利息ではない。
(i) 金銭債務が履行遅滞に陥った場合における損害賠償としての「遅延利息(=遅延損害金)」(419条1項後段)〜元本使用の対価ではなく、「利息」ではない。
悪意受益者に対する不当利得返還請求に関する704条の「利息」も同様。
     
     
     
  ★第3章 債務不履行(履行傷害)
     
     
     
☆第3節 追完請求権 
  ◆T 追完請求権の意義
    債務者が不完全な履行⇒債権者は、履行不完全の追完を請求することができる。 
     
  ◆U 履行請求権と追完請求権の関係
     
  ◆V 追完請求権の枠組み 
     
     
☆第5節 損害賠償請求権(1)・・・要件論 
  ◆第1項  
     
  ◆ 履行補助者の行為と債務者の損害賠償責任 
  ◇1 問題の所在 
     
  ◇2 履行補助者の意義 
    債務者が債務の履行のために使用する者を、履行補助者という。
    @履行補助者であるためには、債務者がその意思により債務を履行するために配置した者でなければなんらない。
    A不法行為での使用者責任(715条)と異なり、補助者と債務者との間に支配・従属関係が存在する必要はない(最高裁)。
第三者が履行補助者かどうかという問題にとって、その第三者が債務者に対して独立か(独立的補助者)、従属か(被用者的補助者)という点は、決め手にならない。
    B補助者が債務者との間で契約を締結した事業者(運送人・請負人・倉庫業者・銀行など)かどうかという点は、問題とならない。
その第三者の行為が、債務を生じさせた債権者・債務者間の契約により債務者に課された債務内容の実現プロセス(履行過程)に組み込まれているかどうかという点が、決定的
     
  ◇3 債務者の損害賠償責任にとって履行補助者の行為が持つ意味 
  ■3−1 総論 
    履行補助者の問題は、当該契約の内容に即してみたときに、債務の履行過程に第三者(履行補助者)の行為がどのように組み込まれ、評価されるのかという視点のもとで処理がされるべき。
    415条1項は、債務者が契約上の債務の不履行を理由に損害賠償責任を問われる枠組みを、契約の拘束力を根拠として設計。

債務者が履行を委託した者(履行補助者)の行為が、
@契約の解釈を経て確定される債務の内容が何であったのか
Aその債務の本旨に従った履行がされているのか(債務不履行の有無)
B債務の不履行が認められるとして、当該債務不履行が「契約及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」により生じたことを理由として債務者の免責が認められるのか(免責事由)
という3段階での判断の過程のなかに、どのように組み込まれて評価されるのかを、個々の事案ごとに明らかにすることが必要。
  @契約のなかで結果実現保証がある場合(結果債務)
⇒履行補助者の行為に対する評価は、当該債務不履行が「契約及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」により生じたかどうか、すなわち、免責事由のレベルに位置する問題として行なわれ、
債務者側が主張・立証責任。
結果実現保証がない場合(手段債務)
⇒履行補助者の行為に対する評価は、その者の行為が債務の履行過程に組み込まれているかどうか、すなわち、債務不履行の成否のレベルに位置する問題としておこなわれる。
⇒手段債務の場合には、履行補助者の行為に対する評価は、「債務の内容」および「債務の本旨に従わなかったこと」の確定問題として処理され、債権者側が主張・立証責任を負う。
  A当該契約において、第三者の使用がそもそも禁止されていないjか? 
禁止されていた⇒そもそも履行補助者かどうかを問うまでもなく、第三者を使用したこと自体が債務者による債務不履行と評価され、債権者の損害賠償請求権が認められる。
     
  ■3−2 第三者の使用が禁止されている場合 
  ■3−3 結果債務の場合
  ■3−4 手段債務の場合 
  □(1) 総論 
    結果実現保証を含まない債務(手段債務)⇒当該第三者の行為が債務の履行過程に組み込まれ、債務者の負担する行為の具体的内容となっているかどうかに関して吟味する必要。
その際、
@当該第三者の行為を根拠として、債務者が損害賠償責任を負う場合と、
A当該第三者を債務者が選任・指揮・監督するにあたって、必要とされる合理的な注意を尽くさなかったことを根拠として、債務者が損害賠償責任を負う場合
とがある。
  □(2)  
    当該第三者の行為を根拠として、債務者が債務不履行責任を負う場合(前者@)
⇒当該第三者の行為が債務履行過程に組み込まれ、債務内容となっていることが重要。
    債務不履行を理由とする損害賠償請求が認められるためには、
「債務の本旨に従った履行をしなかったこと」という評価の内容(=債務不履行に存否に関する判断)として、
@契約で引き受けられた債務内容に照らすと、具体的状況下でどのような行為がされていることを債務者が引き受けていたのか、
Aこの具体的な義務づけを実行するために、債務者はいかなる任務を補助者に割り当てたのか(いかなる任務のためぬい補助者を配置しなのか)、
B当該補助者の行為は割り当てられた任務の遂行との関連においておこなわれたものか、
C当該補助者は具体的な義務づけを遵守して行動したのか、
といった順序での行為評価が必要。
このとき、債権者が第三者(補助者)の使用について承諾を与えていたとしても、債務者が損害賠償責任を負う場面が第三者の選任・指揮・監督に限定されるというわけではない。
     
  ■3−5 際mぬ社の組織編成義務違反(選任・監督上の義務違反、システム構築責任) 
    第三者を選任・指揮・監督することについての義務違反という、債務者自身の行為を理由とする損害賠償責任の枠組みを独立に観念する考え方
⇒個々の第三者の選任・指揮・監督面での注意義務の次元を超え、債務者自身のシステム構築義務・管理義務違反、ネットワーク構築・管理義務(システム構築責任、ネットワーク構築責任)へとも展開。
     
  ◇4 関連問題・・・賃貸借の場合の履行補助者問題 
     
     
  ◇5 補論・・・履行補助者自身の不法行為責任 
     
     
     
☆第6節 損害賠償請求権(U)・・・効果論 
     
     
  ◆第4項 損害賠償の範囲・各論(T):遅延賠償 
  ◇T 遅延賠償の意義 
   
  ◇U 履行遅滞(p124) 
  ■1 履行の遅延と履行遅滞 
     
  ■2 確定期限つき債務の履行遅滞 
  □2−1 原則 
    債務者は、期限が到来した時から遅滞の責任を負う。(412条1項)
条文には、期限が「到来した時」とあるが、遅延損害金が発生するのは、期限が経過した時から。
  □2−2 例外 
     
  ■3 不確定期限つき債務 
    履行期が到来しただけでは足りず、
(a)債務者がその期限が到来した後に履行の請求を受けた時、または、
(b)その期限の到来したことを知った時
のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。(412条2項)
     
  ■4 期限の定めがない債務 
  □4−1 原則 
    期限の定めがない債務⇒債務者が履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う(412条3項)
    期限の定めのない債務:
債務が発生すると同時に履行期に⇒債権者は、いつでも履行の請求をすることができる。
⇒債権の消滅時効の客観的起算点は債権発生時。(166条1項2号。契約上の給付を目的とする債権については、主観的起算点(同項1号)も債権発生時と捉えるべき。
   
    これに対し、債務者履行遅滞に陥るためには債権者からの請求を必要とするというのが、412条2項の趣旨。
初日不算入の原則(140条本文)損害賠償請求のあった日の翌日を起算点とする遅延損害の賠償請求権が発生
    「請求があり次第支払う」
安全配慮義務違反を理由とする損害賠償債務

期限の定めがない債務
    請求は、当該債務についてされなければならないが、債務の同一性を認識することができれば足りる。
請求は、債務者に到達すれば、その方法は問わない。
     
  □4−2 例外 
  ●(1) 期限の定めがない消費貸借による返還債務 
    貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をしなければなない(591条1項)
相当期間を定めないで催告⇒催告の時から相当期間を経過した後にはじめて、履行遅滞に陥る。
  ●(2) 不法行為を理由とする損害賠償債務 
    不法行為を理由とする損害賠償債務では、請求を待たないで、不法行為の時から当然に遅滞に陥る⇒この日から遅延利息が起算(法定利率の基準時もこの時)
    but
保護義務や安全配慮義務の違反を理由とする損害賠償債務が遅滞に陥るのは請求時(法定利率の基準時もこの時点)

労災・学校事故等の場合に、これを不法行為と構成するか、債務不履行(保護義務・安全配慮義務違反)と構成するかにより、遅延損害金について差異が生じる。
   
  ●(3) 不当利得返還債務 
    判例:412条3項を適用することで、受益者が不当利得の返還請求を受けた時(請求時)。
vs.
@不法行為を理由とする損害賠償債務が履行遅滞に陥る時期を不法行為時とすべきとの法理⇒悪意受益者の不当利得返還請求が履行遅滞に陥る時期も受益時としなければ、論旨が一貫しない。
Aその延長線上で考えるならば、善意受益者に対する不当利得返還債務も、受益者が悪意に転じた時点から履行遅滞に陥るものと解すべき。
     
  ●(4) その他の場合 
    @債務者が債務の履行をすることを確定的に拒絶している場合や
A債務者が履行をしないであろうことがその他の理由により明白である場合

信義則上、履行の請求は必要とされない。
    請求を妨害する意図に出た債務者の態度が認められる場合(たとえば、債務者が給付をすると一定期間言い続けることにより、請求を未然に防止している場合)

請求なしに履行遅滞に陥ることを認めるべき。
    定期行為と言えないまでも、履行が特に急に要するものであるという場合(ex.マンションの給水のポンプの修繕)⇒請求なしに履行遅滞に陥ることを認めるべき。
     
★第4章 責任財産の保全(p172)
     
     
  ★第5章 弁済による債権の回収(p270)
     
     
     
     
     
     
☆第6節 弁済供託(p297) 
     
     
     
  ◆U 供託原因 
     
     
  ◇3 弁済者に過失のない債権者の確知不能(債権者不確知)(p300)
  ■3-1 債権者の確知不能(p300)(494条2項)
   
    A債権譲渡がされたが、債権の帰属をめぐって譲渡人と譲受人との間で争いのある場合も、確知不能にあたる。
   
    C
     
     
     
  ◆Y 供託の効果(p305) 
 
     
  ◇2 供託者の供託物取戻請求権
  ■2-1 供託物の取戻しが認められる場合 
    供託者:
@債権者が供託を受諾しない間や、
A供託を有効であると宣告した判決が確定しない間は、
供託所から、供託物を取り戻すことができる(496条1項前段)。
B供託が錯誤によるものであった場合や
C供託原因が消滅した場合
にも、取り戻すことができる(供託法8条2項)。
     
  ■2-2 供託物の取戻しが認められる理由 
     
   
   
   
     
  ◇3 債権者の供託物還付請求権 
   
   
    債権者の確知不能を理由とする供託の場合に、供託物の還付を受けようとする者は、「還付を受ける権利を有することを証する書面」を添付しなければならない。
(供託法8条1項、供託規則24条1項1号) 
     
     
     
     
     
     
     
☆第3節 弁済の充当(p275)
  ◆T 総論 
  ◇1 弁済の充当 
    債務者が同一の債権者に対して、
@同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合、
A1個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合、
B1個の債務の弁済として、元本のほか利息および費用を支払うべき場合に、
弁済として提供した給付がその債務の全部を消滅されるに足りないことがある。

これらの場面において、その給付をいずれかの債務またはいずれかの給付に当てたものとして定めること⇒弁済の充当
  ◇2 弁済の充当に関する主張・立証責任 
    債務者から弁済の抗弁
⇒債権者が当該給付を同種の内容の別口の債権に充てたことを主張・立証
⇒債務者は、具体的な弁済充当の関係を主張・立証する責任
     
  ◆U 同種の給付を目的とする数個の債務がある場合(p276)
  ◇1 基本的な考え方・・・合意充当>指定充当>法定充当 
    第1:合意による充当
第2:指定充当
第3:法定充当
  ◇2 合意充当
     
  ◇3 指定充当 
     
  ◇4 法定充当 
    488受4項
    @まず、弁済期が到来したものと到来していないものを分ける⇒弁済期が到来したものが先に充当(1号)。
A1号で区分された各グループのなかでは、債務者のために利益が多いものが先に充当(2号)。
利息付債務>無利息債務
高利率の債務>低利率の債務
物的担保により担保された債務>無担保債務
単純債務>連帯債務
訴えを提起された債務>訴えられていない債務
but
保証人のついている債務>保証人がついていない債務
とはいえない(判例)

諸般の事情を考慮にいれて総合的に判断するしかない。
B債務者にとっての利益が同じ⇒先に弁済期の到来するものが先に充当(3号)。
Cそれでも同じ⇒各債務または各給付の額に応じて充当(4号)。
     
  ◆V 元本・利息・費用を支払うべき場合 
  ◇1 合意充当の優先 
    合意あり⇒それが優先(490条)
  ◇2 充当の合意がない場合・・・・費用>利息>元本の順番での充当 
    充当の合意なし⇒@費用、A利息(遅延利息を含む。)、元本の準で充当。
(489条1項)
  ◇3 複数の債務について支払うべき元本・利息・費用間の充当
    複数の債務の弁済として元本のほか利息および費用を支払うべき場合:
充当に関する合意なし⇒
@債務を費用、利息、元本の各グループに分けた上で、
A費用、利息、元本のグループの順に充当。
(489条1項)
    費用相互間、利息相互間、元本相互間での充当
⇒488条が準用(489条2項)

それぞれの費目内部では、充当に関する合意なし⇒@指定充当(488条1項〜3項の準用)、A指定がされない場合には法定充当(同条4項の準用)
  ◆W 1個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合 
     
     
☆第4節 弁済の提供
  ◆T 債務の履行と債権者の協力 
  ◇1 履行過程における債権者の協力 
     
  ◇2 債権者が協力をしない場合における債権者の救済 
     
  ◆U 弁済の提供の意義
  ◇1 弁済の提供 
     
  ◇ 2 弁済の提供の機能
     
  ■2−2 弁済の提供による損害賠償責任・解除権からの解放
    弁済の提供⇒債務者は損害賠償の責任を免れるし、契約の解除を受けることもない(492条)。
     
  ◆V 弁済の提供の効果(p281)
  ◇1 債権者の損害賠償請求権・解除権の不発生 
    債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる(492条)。
     
  ◇2 債権の存続
     
  ※memo56:弁済の提供の制度と受領遅滞制度との関係 
弁済の提供の効果:
@債務者を損害賠償責任や
A解除権から
解放。
受領遅滞の効果:
受領をしなかったことを理由として、債権者に対して負担を課すもの。
     
  ◆W 弁済の提供の内容(p282) 
  ◇1 総論 
    口頭の提供:債権者があらかじめ受領を拒絶したり、その他の必要な協力行為をしなかったりした場合において、例外的に許される。
     
  ◇2 現実の提供 
  ■2−1 現実の提供の意義 
  ■2−2 金銭債務における弁済の提供
  ●一部額の提供:
債務の本旨に従っていない⇒債権者の承諾がない限り、弁済の提供とはならない。
but
不足額が僅少である場合には、信義則上、有効な弁済の提供と評価される場合がある。
     
  ◇3 口頭の提供 
  ■3−1 口頭の提供の意味
    @債権者があらかじめ受領を拒んだ場合、
A履行につき債権者の行為が必要とされる場合、
債務者は、弁済の準備をしたことを通知して、その受領を催告すれば足りる(493条)。
     
     
     
     
☆第6節 弁済供託  
  ◆T 弁済供託の意義と性質 
  ◇1 弁済供託の意義 
  ■1−1 弁済供託が必要とされる局面(その1)・・・受領拒絶・受領不能の場合 
     
  ■1−2 弁済供託が必要とされる局面(その2)・・・債権者不確知の場合 
     
     
     
     
     
     
     
★第6章 弁済の当事者  
  ◆T 債務者 
     
  ◆U 
     
  ◆V 第三者による弁済(第三者弁済)の有効・無効 
  ◇1 第三者弁済の有効 
  ■1-2 第三者弁済が有効とされる理由 
  ■1-1 第三者弁済と区別される場合 
     
     
  ◇2 例外・・・第三者弁済が無効である場合 
   
   
   
     
  ◆W 正当な利益を有しない第三者による弁済(p316)
  ◇1 債務者の意思に反する第三者弁済 
  ■1-1 原則・・・第三者弁済の無効 
  ■1-2 例外・・・第三者弁済が無効とならない場合 
  ■1-3 主張・立証責任 
     
  ◇2 債権者の意思に反する第三者弁済 
  ■2-1 原則・・・第三者弁済の無効 
    弁済をするについて正当な利益を有しない第三者が弁済:
それが債権者の意思に反するときは、その弁済は無効(474条3項)。
     
  ■2-2 例外・・・第三者弁済が無効とならない場合(p317)
    弁済をするについて正当な利益を有しない第三者による弁済が債権者の意思に反する場合であっても、
@弁済をするについて正当な利益を有しない第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合
(ex.債務者・第三者間で履行引受がされた場合)であり、かつ、
A債権者がこのことを知っていた場合
は、その弁済は有効。
(474条3項ただし書)

@Aの要件を満たす場合、第三者からの弁済に対する債権者の受領拒絶は、受領遅滞をもたらす。
     
  ■2-3 主張・立証責任 
     
  ◇3 弁済をするについて正当な利益を有する第三者 
  ■3-1 総論 
    「弁済をするについて正当な利益を有する者」:
@弁済をしなければ債権者から執行を受ける者
A弁済をしなければ債務者に対する自己の権利が価値を失う者
     
  ■3-2 「正当な利益を有する第三者」の具体例 
     
  ◆X 第三者弁済の効果 
  ◇1 第三者弁済が有効である場合 
  第三者による弁済が有効⇒債権者消滅。
弁済をした第三者は、債務者に対して償還請求(求償)をすることができる。
債務者に対する第三者の求償権を実効性のあるものにするため、
民法は、客観的にその存在を失ったはずの債権(原債権)を消滅しなかったものとして扱い、この債権およびこれについての担保が第三者に移転するものとした。

弁済者代位(499条)。

債権は消滅するといっても、債権者・債務者間で相対的に消滅するにとどまる。
     
  ◇2 第三者弁済が無効である場合
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
★第7章 弁済者代位(弁済による代位)(p354)  
☆第1節 総論 
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
★第8章 相殺による債権の回収(p404)  
☆第1節 相殺の仕組みと機能(p404)
    第五〇五条(相殺の要件等)
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
  ◆T 相殺(法定相殺)の意義と効果 
  ◇1 相殺(法定相殺)の意義 
     
    債務者が債権者に対して同種の債権を有する場合に、その債権と自己の債務を「対当額」につき一方的意思表示によって消滅させることを、相殺という。
    相殺を仕掛ける側(相殺権者)が有している債権・・・自働債権
相殺をされる側が有している債権・・・受働債権
  ◇2 意思表示による相殺・・・当事者援用主義 
     
  ◇3 相殺の遡及効 
    対当額による債権の消滅は、相殺適状を生じた時点にさかのぼって、効力を生じる(506条2項)。
     
  ◇4 相殺の充当 
  ■4−1 問題の所在・・・相殺充当の合意がない場合
     
  ■4−2 複数の元本相互間の充当の順序・・・相殺適状となった順に従った充当 
    民法 第五一二条(相殺の充当)
 債権者が債務者に対して有する一個又は数個の債権と、債権者が債務者に対して負担する一個又は数個の債務について、債権者が相殺の意思表示をした場合において、当事者が別段の合意をしなかったときは、債権者の有する債権とその負担する債務は、相殺に適するようになった時期の順序に従って、その対当額について相殺によって消滅する
     
  ■4−3 指定充当の可否 
    512条1項により充当の対象となる元本債権が決定。
but
それでもなお、相殺に適するようになった時期を同じくする債務が複数⇒その時期を同じくする元本債権相互間および元本債権とこれについての利息・費用債権との間での処理が問題。
    当事者による指定充当は認められない⇒法定充当による
     
  ■4−4 法定充当
  □(1) 債権者が数個の債務を負担する場合 
   
    @相殺の意思表示をする者(債権者)のための債務消滅の利益が多いものに先に充当
    A利益が同じ⇒先に弁済期の到来するものが先に充当
    Bそれんも同じ⇒各債務の額に応じて充当
     
  □(2) 債権者が1個または数個の債務について元本・利息・費用を支払うべき場合 
     
   
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
☆第2節 相殺適状(p417)  
  ◆T 相殺適状の意義 
    第五〇五条(相殺の要件等)
 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
    要件:
@同一当事者間に債権の対立があること
A両債権が同種の目的を有すること
B両債権の弁済金が到来したこと
     
     
     
     
  ◆W 両債権の弁済期が到来したこと 
  ◇1 自働債権の弁済期 
    自働債権は、必ず弁済期が到来していなければならない。 
     
     
     
     
     
☆第3節 相殺の禁止(p425)  
     
     
     
☆第4節 差押えと相殺  
     
     
     
     
     
★第13章 多重債務者の債権関係  
     
     
     
     
☆第8節 連帯債権 
  ◆T 意義 
    連帯債権:
@複数の債権者gその性質上可分の給付を目的とする債権を有していて、
Aその債権が当事者の合意または法令の規定によって連帯関係にあるとされるもの。