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離婚調停・離婚訴訟(三訂版)

  離婚調停・離婚訴訟(三訂版)(秋武・岡)
★第1章 離婚調停  
☆T 家事調停前置主義  
     
     
     
     
     
     
☆U 家事調停の実際  
     
     
  ◆2 家事調停の進行(その1)p14 
     
     
  ◇(2) 家事調停の管轄 
     
    家事事件手続法245条1項:
家事調停事件について、
@相手方の住所地の家庭裁判所、又は
A当事者が合意で定める家庭裁判所
の管轄。

cf.
離婚訴訟の土地管轄:
原告又は被告が普通裁判籍を有する地等を管轄する家庭裁判所の管轄に専属(人訴4条1項)。
     
     
     
     
     
     
     
★第2章 離婚訴訟の審理  
     
     
     
     
     
 ☆V 事前準備と第1回口頭弁論期日 
     
     
  ◆3 訴えの手数料 
  ◇(1) 離婚請求(p55)
    訴額:160万円
印紙代:1万3000円
     
     
     
     
☆Z 保全処分(仮差押え、仮処分等) 
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
★第3章 離婚訴訟における主要な論点  
 ☆T 離婚原因(民法770条1項1号〜5号) 
  ◆1 有責主義と破綻主義 
  ◇(1) 各国の離婚法制の動向とわが国の民法
    770条1項5号「婚姻を継続し難い重大な事由」
⇒破綻主義
  ◇(2) 消極的破綻主義 
    積極的破綻主義:
婚姻当事者の有責をまったく問題にせず、破綻していれば、破綻の原因を作出したいわゆる有責配偶者からの離婚請求であっても、これを許容 
消極的破綻主義:
婚姻が破綻していても、破綻の原因を作出したいわゆる有責配偶者からの離婚請求は認めない。
    かつて:有責配偶者からの離婚請求を認めない⇒消極的破綻主義
but
最高裁昭和62.9.2:
夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、
その間に未成熟の子が存在しない場合には、
相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、
当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない。
     
  ◆2 わが国離婚法制の特徴 
  ◆3 民法上の離婚原因 
  ◇(1) 具体的離婚原因と抽象的離婚原因 
   
     
     
  ◇(5) 婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)(p116) 
    いわゆる婚姻共同生活が破綻し、その修復が著しく困難な事由

@婚姻当事者双方が婚姻を継続する意思がないこと(破綻の主観的要素)
A婚姻共同生活の修復が著しく困難であること(破綻の客観的要素)
そのいずれかが認められる場合には、婚姻は破綻したものとして、離婚請求は認容。
    but
婚姻破綻の客観的要素において、有責行為の有無が考慮されることを否定するものではない。
     
  ■ア 暴行・虐待 
  ■イ 重大な侮辱 
  ■ウ 不労・浪費・借財等 
  ■エ 犯罪行為・服役 
  ■オ 疾病・傷害 
  ■カ 宗教u活動 
  ■キ 親族との不和 
  ■ク 性格の不一致 
     
     
  ◆4 離婚訴訟における離婚原因の意義 
  ◇(1) 離婚訴訟の訴訟物 
  ◇(2) 離婚訴訟における攻撃・防御の実際 
  ◇(3) 離婚訴訟における要件事実 
     
  ◆5 離婚原因の見直し議論 
     
     
     
 ☆U 有責配偶者からの離婚請求 
     
 ☆V 子の監護者の指定(民法819条2項) 
     
     
 ☆W 子の監護に関する処分・・・養育費、面会交流(民法766条1項・2項) 
     
     
 ☆X 財産分与(民法768条) 
    民法 第七六八条(財産分与)
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める
  ◆1 財産分与制度の沿革 
     
  ◇(6)2分の1ルール 
     
  ◆2 財産分与の概観 (p177)
  ◇(1) 財産分与の判断要素 
    財産分与の法的性質:
@夫婦共同生活中に形成した(実質的)共有財産の清算
A離婚後の生活についての扶養
B離婚の原因を作った有責配偶者に対する損害賠償(慰謝料)
  ◇(2) 清算的財産分与と2分の1ルール 
    財産分与における夫婦財産の清算:
離婚後に形成した財産について、双方の財産形成に対する経済的貢献度、寄与度を考慮し、実質的に公平になるように分配するというのが、清算的財産分与の基本的考え。
  ◇(3) 扶養的財産分与と補充性
  ◇(4) 慰謝料的財産分与を請求する実益 
     
  ◆3 清算的財産分与における財産分与の基本的な算定方法 
    裁判実務:
夫婦の全体財産を、夫婦の所有名義ごとに分けて、各当事者名義の純資産を計算し、それを比較し、それら財産形成への夫婦の寄与が均等であるという一般的な事例では、財産分与後の所有名義の財産が均等になるように清算的財産分与額を決めるという方法。 
     
     
  ◆4 清算と評価の基準時(p174)
  ◇(1) 概要 
    A:財産分与は離婚の効果として生じる⇒離婚時の財産が算定の基準として考えられるべき
B:財産分与は夫婦の協力によって得た財産を対象とする⇒夫婦の協力関係が終了した別居時を規準とすべき
  ◇(2) 2つの基準時(p181)
    @分与対象財産の確定をどの時点でするか(対象財産確定の基準時
Aそうやって確定した具体的資産をどの時点の価格を基準に評価するか(財産評価の基準時
    @:婚姻後別居時までに形成した財産と対象とすべき⇒原則として別居時
A:そうやって確定した具体的資産の評価の基準時は、裁判時、すなわち、訴訟であれば、口頭弁論終結時。
  ◇(3) 対象財産別の基準時の判断の実際 
  ■(a) 不動産 
    なるべく新しい評価書に基づいて算定
  ■(b) 預貯金 
    別居時の残高で算定するのが原則。
but
預貯金の名義人でない方が、預貯金を管理していて、その当事者が、生活費以外に高額商品を購入するなどして浪費し、預貯金額を減少させた⇒考慮が必要。
  ■(c) 生命保険 
    別居時の解約返戻金相当額で算定
but
別居後、保険契約者ではない方の当事者が保険料を支払っている⇒その寄与を考慮する必要がある。
  ■(d) 株式その他の有価証券 
    口頭弁論終結時の評価額で算定
口頭弁論終結時までに株式等が売却されていた⇒売却時の価格(手取額)で評価
    多数の銘柄を保有していたり、頻繁に売買を繰り返しているような個人投資家⇒計算が煩雑⇒証券会社からの報告書等で容易に算定可能な別居時(又はそれに近いところ)での保有株式の時価総額で計算
  ■(e) 住宅ローンその他の負債 
    ローン債務者でない方の寄与がない場合⇒別居時のローン残高を基準に算定
別居後のローン支払について、ローン債務者でない方の当事者が代わりに弁済⇒別居後の残高減少に対する寄与の割合を考慮
     
  ◆5 対象財産 
  ◇(1) 特有財産の除外(p177)
    財産分与の対象:
名義の如何を問わず、婚姻後夫婦が協力して取得した財産。
    特有財産は、清算的財産分与の対象から除外される。
・婚姻前から有していた財産
・婚姻後に取得したものであっても、親族等か贈与を受け、又は相続した財産など。
    不動産などの財産を取得した原資が相続財産であるのか、夫婦の収入からの預貯金なのかが争われるケース。
証拠上、特有財産かどうか不明なものは、民法762条2項の趣旨⇒分与対象財産と推定するのが原則。
民法 第762条(夫婦間における財産の帰属)
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
    特有財産でも、その維持に他方の寄与があった場合⇒寄与があった限度で財産分与において考慮。
通常、財産分与
     
     
  ◇(3) 退職金 
    婚姻後別居までに労働した分の対価として評価される部分が、清算的財産分与の対象となる。
    退職金の算定方法:
A:別居時に自己都合退職した場合の退職金相当額を考慮する(婚姻前労働部分は差し引く)
B:定年退職時の退職金から、別居後労働分(及び婚姻前労働分)を差し引き、中間利息を控除して口頭弁論終結時(審判時)の現価を算出して算定
C:定年退職時の退職金から、別居後労働分(及び婚姻前労働分)を差し引くが、これに対応する財産分与金の支払時期として、中間利息を控除しない
     
  ◇(4) 年金 
     
  ◇(5) 債務(住宅ローンなど) 
  ■(a) 考慮すべき債務 
    婚姻後の資産形成に関連して生じた債務⇒清算的財産分与
    婚姻生活を維持するために生じた債務も考慮してよい
    but
財産取得や婚姻生活維持に無関係な夫婦の一方の債務は、清算的財産分与において考慮されないのが原則。
     
  ■(b) 債務がある場合の考慮の仕方 
     
    財産分与:
一般的には、離婚当事者双方の財産を形式的な名義ごとに振り分けで、全体の財産を算出し、申立人側の寄与度に応じて、財産分与額を決めるという方法。
債務については、各当事者の純資産額を算定するときに各当事者の積極財産から考慮すべき消極財産を考慮してされる。
双方の寄与を均等とみることができるような一般的な事案では、「積極財産ー消極財産(考慮すべき債務)=全体財産」として、双方が、債務も考慮したうえで、純資産額の2分の1を取得できるように清算的財産分与の額を調整。
     
  ■(c) 債務の負担を命じる財産分与の可否 
    裁判実務は、債務の負担を命じる財産分与についてはおおむね消極的な態度をとっている。
     
  ■(d) 財産分与と債務に関する特殊な裁判例 
     
  ◇(6) 未払婚姻費用 
     
     
     
     
  ◆6 扶養的財産分与 
     
  ◆7 財産分与の方法 
     
  ◆8 財産分与の手続 
     
     
     
     
  ◇(4) 財産分与と証拠収集手続 
    調査嘱託
送付嘱託
     
     
  ◇(5) 遅延損害金と仮執行宣言
     
     
  ◆9 人事訴訟における財産分与の審理の実際 
  ◇(1) 財産分与の申立て
     
  ◇(2) 争点整理 
     
  ◇(3) 証拠開示と証拠調べ 
     
  ◇(4) 和解勧告 
     
 ☆Y 年金分割(厚年78条の2第2項等) 
  ◆1 年金分割とは 
    生活の基本的な部分に対応する老齢基礎年金(国民年金)⇒夫及び妻に対し、それぞれ支給される。
夫婦の一方のみが働き、厚生年金保険等の被用者年金の被保険者等⇒老齢厚生年金等は、被保険者本人である夫婦の一方のみが受給権者であり、他の一方は、当該部分について権利を有しない。
   
「離婚時年金分割制度」が導入。
     
  ◆2 年金制度の概要 
  ◇(1) 国民年金 
    国民年金の被保険者:
@
A
B
  ◇(2) 厚生年金 
     
  ◇(3) 各共済年金 
     
  ◆3 離婚時年金分割制度 
  ◇(1) 年金分割の種類 
  ■(a) 合意分割 
    離婚等をした当事者又は家庭裁判所が分割の割合を定めて、当事者の一方から厚生労働大臣等に対する年金分割の請求により、保険料納付記録等を定められた割合により分割するもの。
  ■(b) 3号分割 
    夫婦の一方が被用者年金に加入し、他の一方がその被扶養配偶者として厚生年金法上の第3号被保険者と認定⇒その期間について、被扶養配偶者から厚生労働大臣等に対する年金分割請求により、保険料納付記録等を当然に2分の1の割合で分割する制度。

被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料について、当該被扶養配偶者が共同して負担したものであるとの基本的認識の下に設けられたもの。
     
  ◇(2) 年金分割(合意分割)の内容 
  ■(a) 対象 
     
  ■(b) 方法 
     
  ■(c) 効果 
     
  ■(d) 請求期限 
    離婚等をした日の翌日から起算して2年以内に行われなければならない。
     
  ◇(3) 手続の流れ 
  ■(a) 情報提供請求 
     
  ■(b) 請求すべき按分割合の決定 
     
  ■(c) 年金分割請求 
     
  ◆4 年金分割の附帯処分 
  ◇(1) 手続の流れ 
  ■(a) 申立権者 
     
  ■(b) 申立ての単位 
     
  ■(c) 提出書類 
     
  ■(d) 附帯処分の審理 
  ●(ア) 「按分割合の範囲」の確定 
     
    平成20年4月1日以降に被扶養配偶者である期間(「特定期間」)あり⇒3号分割の対象⇒同日以降の婚姻期間については当然に2分の1で分割したうえで、按分割合の範囲を算定。
     
  ●(イ) 「請求すべき按分割合」の定め 
    「対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情」を考慮して定める。
     
  ◇(2) 按分割合の定め(p226) 
  ■(a) 按分割合に関する考え方
    請求すべき按分割合について
「対象期間における保険料納付に対売る当事者の寄与の程度その他一切の事情」を考慮して定める。
    現行の被用者年金の中心となる老齢厚生年金:
その性質上及び機能上、基本的に夫婦双方の老後等のための所得保障としての社会保障的意義

離婚時年金分割制度との関係においては、婚姻期間中の保険料納付は、互いの協力により、それぞれの老後等のための所得保障を同等に形成していくという意味合いを有している。
この趣旨は、3号分割に明確に表れており、厚生年金保険法は、「被扶養配偶者に対する年金たる保険給付に関しては、第三章に定めるもののほか、被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料について、当該被配偶者が共同して負担したものであるという基本的認識の下にこの章の定めるところによる」(厚年78条の13)としており、
3号分割においては、当然2分の1の割合で分割される制度となっている。
このことは、合意分割の場合であっても、基本的には変わらない。
⇒対象期間における保険料納付に対する夫婦の寄与の程度は、特別の事情のない限り、互いに同等とみるのが制度の趣旨。
    年金分割においても、夫婦の寄与の程度は同居期間に比例すべき
vs.
年金分割は、夫婦が共同して形成した財産の清算ということではなく、夫婦で支払った保険料は夫婦双方の老後等のための所得保障としての意義を有しているとの基本認識⇒3号分割においては、同居期間・別居期間の区別なく、当然に2分の1とされている。

同居期間に当然に比例して割合が決まるものではなく、別居期間があっても、原則としては2分の1と考え、別居期間が長期間に及んでいることやその原因等については、例外的な取扱いに関する考慮事情とするのに止めるのが相当。
     
     
     
     
     
     
     
★第4章 渉外離婚事件