シンプラル法律事務所
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論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
発明(特許権)と著作物(著作権j)の対比 | |
発明 | 著作物 |
人の知的活動の成果 | |
自然法則を利用した客観的存在 ⇒ 発明と創作者との結びつきは比較的弱く、同じ発明は早晩第三者によって開発される可能性が強い。 ⇒ 特許権を取得できるという根拠は他人に先駆けて最初に発明をして公開するという点にある。 |
思想・感情という人の精神的な側面を重視した主観的存在 ⇒ 人の精神的側面を扱っており、その著作物はその者にしかできないという性質が鮮明。 創作者と著作物との結び付きは強い。 |
著作権 | |||
著作物 | 著作物 | 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(2@(1)) | |
「思想・感情」 | 「思想・感情」とは、著作物の表現対象のことはではなく、表現対象を具体的に表現する過程において何らかの思想・感情が移入され、その結果として具体的に表現されたものに表れている思想・感情を意味している。 | ||
特に高邁な学問的内容・哲学的思索・文学的薫り等が要求されるものではなく、人の考えや気持ちが表れているものであれば足りる。(通説・判例) | |||
著作権法の保護を受けるためには、表現の対象ないしは題材は問題ではなく、そこから具体的な表現物にする際に、何らかの思想・感情が移入され、その結果物に思想・感情が現れているかという点が問題とされる。 | |||
「創作性」 | 他人の著作物の模倣でないことと同義であること考えられることも多い。 創作者の思想・感情が強く流出している著作物については、他人の著作物の模倣でなければ個性が表れているはずであり、模倣でないことと創作性が認められることは事実上一致することが多い。 |
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非常に短いものや、表現が平凡かつありふれたものの場合には、筆者の個性が現れていないものとして、創作性が否定される程度。 | |||
雑報・時事の報道 | 著作物性を否定(10A) | ||
新聞記事の多くは事件の選択、情勢分析、評価、文章上の工夫等が加わっているため、思想・感情が表現されており、著作物性を認めるべき。 | |||
新聞記事は事実を中心に書かれる場合が多いため、その保護範囲は、小説の場合と比較するなら、かなり狭くなる傾向にある。 | |||
契約書等 | 著作物性が否定されたものも多い。 | ||
業務において通常用いられるものを通常の表現で用いたにすぎない場合が多く、その記載事項は、法令や慣行に規制されているも、利便性という観点から業務を遂行する上で通常用いられているもの、あるいは用いざるを得ないものも多い。 | |||
かなりの程度独創的な表現を用いて創作したものもあり、独占による弊害の少ない場合には著作物性が認められることもある得る。 | |||
スポーツやゲームのルール | ルールを表現した著作物は、アイデアであるルールを取り込むことになり、その結果、大同小異のものとならざるを得ず、その保護範囲は狭いものとなる場合が多い。 そのルールから導かれる具体的表現に選択の余地がなければ、いわゆるマージ(混同)しており、創作性が否定される。 |
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二次的著作物 | 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。(2@(11)) | ||
「適法に」改変したものでなければならないとする要件(適法要件)が課せられていないため、無許諾で二次的著作物を創作した場合でも、新たな著作権が発生する。 | |||
著作者は翻訳・翻案権等を有しているので(27条)、第三者が無断で二次的著作物を創作することは著作権侵害となるし、二次的著作物の創作者といえども、それを利用すると原著作物の著作権侵害となるため(28条)、結局、二次著作物の著作者は第三者の無断利用に対してのみ権利行使ができる。 | |||
損害賠償については、原著作者に無断で二次的著作物を創作した者は、自らもそれを利用できないのであるから、侵害されても損害の発生はない。 but原著作物の著作者から現実に止められるまでは事実上利用できた⇒現に利益を得ている場合もあり得るため、損害賠償請求権を認め、その後の処理は、原著作物の権利者との間で調整をすればよいとも考えられる。 |
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編集著作物 | 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。 2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。(12) |
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編集の対象となる素材を収集し、分類し、選別し、配列するという一連の行為に知的創作性を認めて、これを保護しようとする趣旨。 | |||
データベース | 定義: 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。(2@(10の3)) |
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データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。 2 前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。(12の2) |
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共同著作物 | 「共同著作物」とは、二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。(2@(12)) | ||
著作者人格権の行使(64) 共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない。 2 共同著作物の各著作者は、信義に反して前項の合意の成立を妨げることができない。 3 共同著作物の著作者は、そのうちからその著作者人格権を代表して行使する者を定めることができる。 4 前項の権利を代表して行使する者の代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗することができない。 |
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共有著作権の行使(65) 共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(・・・)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない。 2 共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない。 3 前二項の場合において、各共有者は、正当な理由がない限り、第一項の同意を拒み、又は前項の合意の成立を妨げることができない。 4 前条第三項及び第四項の規定は、共有著作権の行使について準用する。 |
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例示(10) | @言語著作物 A音楽著作物 B舞踏著作物 C美術著作物 D建築著作物 E図形著作物 F映画著作物 G写真著作物 Hプログラム著作物 |
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主体 | 著作者 | 著作者=著作物を創作する者(2@(2)) @著作権とA著作者人格権の原始取得者 |
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職務著作 | 法人・使用者の発意に基づきその法人などの業務に従事する者が職務上作成する著作物で、法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの ⇒その作成時における契約・勤務規則等に別段の定めがない限り、法人等が著作者。(15) |
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「使用者の発意」: 使用者から具体的な命令がなくても、当該雇用関係からみて使用者の間接的な意図の下に創作をした場合も含む。 |
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「使用者の業務に従事する者」: 当該従業員につき雇用関係から生じるような指揮命令・監督関係があり、使用者に著作権を原始的に帰属させることを前提にしているような関係があれば、15条の適用を認めるべき(中山p177) ← ある種の組織内で作成された著作物については、著作物の利用・流通の促進とうい観点から、権利を使用者に集中させる必要性があることに由来。 ×請負 雇用関係がないばあいで、特定の創作行為に関する指揮命令・監督関係がある場合⇒発注者と受注者のいずれが実質的にみて創作者か、あるいは共同創作者かという判断。 |
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「職務上作成されたもの」: 具体的に命令された内容だけを指すものではなく、職務として期待されているものも含まれる。 |
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「使用者の名義での公表」: 未公表のものであっても公表するとすれば使用者の名義で「公表するであろうもの」も含まれる。(中山p180) |
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著作者人格権 | 総論 | 著作者が自己の著作物につき有している人格的利益を対象とした権利。 創作と同時に著作者に原始的に帰属し、譲渡・相続できない一身専属的な権利。(59) |
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内容 | @公表権(18) A氏名表示権(19) B同一性保持権(20) C名誉声望を害する方法で著作物を利用されない権利(113E) |
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著作権 | 支分権 | @複製権(21) |
著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。 |
「複製」とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、・・・・。(2@(15)) | |||
A上演権・演奏権(22) B上映権(22の2) |
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C公衆送信権・公衆伝達権(23) | 第23条(公衆送信権等) 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。 2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。 |
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公衆送信とは、「公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信・・・を行うこと」をいう。(法2条1項7号の2) | |||
電気通信設備で同一構内での送信は公衆送信から除かれているが(法2条1項7号の2括弧書)、プログラム著作物については例外的に同一構内であっても公衆送信となる。(法2条1項7号の2括弧書内の括弧書) ←同一構内の場合は送信権が働かなくても、上映権・演奏権・口述権・上映権で処理できる場合が多いが、プログラム著作物については、一本購入してLANを通じてホストコンピュータから同一構内の端末に送信して利用することを防止する必要がある。 |
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×公衆に当たらない特定人への電話やファクス、Eメールによる送信。 | |||
自動公衆送信とは「公衆からの求めに応じ自動的に行う」公衆送信(放送・有線放送を除く)を指す。(2条1項9号の2) 〜 公衆からの求めに応じて行う送信であり、放送・有線放送以外の公衆送信。 自動公衆送信には、その前の段階である送信可能化が含まれる。(法23条1項括弧書) 送信可能化とは、公衆の用に供されているネットワークに接続している自動公衆送信装置(サーバー)に情報を記録・入力すること(法2条1項9号の5イ)と、あるいはそのような情報が記録・入力されている自動公衆送信装置を公衆の用に供されている電気通信回路(インターネット)に接続すること(法2条1項9号の5ロ)。 ⇒ インターネットを通じた公衆への伝達行為は網羅的に権利範囲に包含されるようになった。 ファイル交換サービスにおいても、自己のコンピュータの共有ホルダーに著作物の複製物を蔵置してサーバーに接続させると、送信可能化権侵害となる。 |
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公衆伝達とは、「公衆送信されるその著作物を送信装置を用いて公に伝達する権利」を指す。(法23条2項) 〜 公衆送信された後も著作物の流れていく先をコントロールする権利。 |
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公衆伝達権は一般に影響するところが大きいため、放送・有線放送される著作物は、非営利でかつ料金を徴収しない公衆伝達や、通常の家庭用受信装置を用いてする場合には公衆伝達権が及ばないとされている。(法38条3項) この例外規定の適用は放送・有線放送される場合に限られ、自動公衆送信されるものには及ばない。 インターネットを通じて送信される著作物は非営利・無料の場合や家庭用受信装置を用いてする場合も違法とされる。 ここにいう伝達とは受信した著作物をそのまま直接的に伝達する行為を指し、いったん複製してから伝達する行為は、複製権侵害となるほか、上演・演奏・口述・上映権侵害ともなる。 |
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D口述権(24) E展示権(25) |
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F頒布権(26) | 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。(26@) | ||
「頒布」 とは、有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、・・・。(2@(19)) | |||
G譲渡権(26の2) |
著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(・・・)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。 2 前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。 一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物 二 第六十七条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定又は万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律(昭和三十一年法律第八十六号)第五条第一項の規定による許可を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物 三 前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された著作物の原作品又は複製物 四 国外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された著作物の原作品又は複製物(26の2) |
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H貸与権(26の3) I翻訳・本案権(27) J二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28) |
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著作権の制限 | 私的使用目的のための複製(30) | ||
図書館等における複製(31) | |||
引用等(32) | |||
教科用図書等への掲載・教科用拡大図書等作成のための複製(33、33の2) | |||
学校教育番組の放送等(34) | |||
学校その他の教育機関における複製等(35) | |||
試験問題としての複製等(36) | |||
点字による複製等(37) | |||
聴覚障害者のための自動公衆送信(37の2) | |||
営利を目的としない上演等(38) | |||
時事問題に関する論説の転載等(39) | |||
政治上の演説等の利用(40) | |||
時事の事件の報道のための利用(41) | |||
裁判手続等における複製(42) | |||
情報公開法等による開示のための利用(42の2) | |||
翻訳、翻案等による利用(43) | |||
放送事業者等による一般的固定(44) | |||
美術の著作物等の原作品の所有者による展示(45) | |||
公開の美術の著作物等の利用(46) | |||
美術の著作物等の展示に伴う複製(47) | |||
プログラム著作物の複製物の所有者による複製等(47の2) | |||
保守修理等のための一時的複製(47の3) | |||
複製権の制限により作成された複製物の譲渡(47の4) | |||
出所の明示(48) | |||
複製物の目的外使用等(49) | |||
著作物人格権との関係(50) | |||
フェアユース | |||
パロディ | |||
著作隣接権 | 実演家の権利 | ||
レコード製作者の権利 | |||
放送事業者・有線放送事業者の権利 | |||
侵害と救済 | 差止請求(112) | 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者が著作権等の侵害行為の差止めを求めるもの。 現に侵害行為が行われている場合のほか、将来侵害行為が行われるおそれがあり、これを予防する必要がある場合にも請求が認められる。 |
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損害賠償請求(民法709) | 権利者が、故意又は過失により著作権等を侵害した者に対して、侵害行為によって生じた損害の賠償を請求。(民法709条) 侵害行為の教唆・幇助を行った共同行為者(民法719条) 使用者(民法715条) |
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不当利得返還請求(民法703,704) | 何ら「法律上の原因」なくして他人の著作物等を利用し、それにより財産上の「利益」を得ており、半面、権利者はこれにより「損失」を被っている ⇒不当利得返還請求権に基づき、かかる利得の返還を請求できる。 侵害行為を知りながら3年以上の間放置してしまった場合、時効の点からメリットあり。 |
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名誉回復措置請求権(民法723、法115) | |||
斡旋による解決(105〜111) | |||
損害額の推定(114) | ←損害額の立証の困難性 | ||
1項:(推定⇒反証可能) 権利者が自ら著作物等を販売する能力を有している場合 「侵害者の譲渡等数量」×「正規品の単位数量当たりの利益率」を権利者の損害額と推定する。 |
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2項:(推定⇒反証可能) 侵害者が得た利益の額を、損害額と推定する。 |
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3項:(みなし規定⇒反証不可) 著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、損害額として請求できる。 |
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具体的態様の明示義務(114の2) | ←侵害者側の事情を立証することの困難性 | ||
権利者が侵害行為を組成したもの又は侵害行為によって作成されたものとして主張する物の具体的態様を否認するときは、侵害行為者側が自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。 | |||
計算書類提出命令(114の3) | 当事者の申立により、裁判所が、当事者に対して、 @侵害行為について立証するために必要な書類、 A侵害行為による損害の計算をするために必要な書類 の提出を命じることができる。 |
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計算鑑定人の制度(114の4) | |||
相当な損害額の認定(114の5) | |||
罰則 | 119条 | 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(・・・を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(・・・を除く。) 二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者 三 第百十三条第一項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者 四 第百十三条第二項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者 |