シンプラル法律事務所
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論点整理(判決の構成)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

民事控訴審判決主文(判例時報2186号)
  ◆一 はじめに
  ◆二 主たる主文(基本編)
  ■(1) 控訴がすべて認められない場合 
□    □ア 控訴を却下する場合 
  ◎例文 
  □イ 公訴を棄却する場合 
  ◎例文 
  ■(2) 原判決の全部が不当である場合
    @原審全部認容、控訴審全部棄却
A原審全部棄却、控訴審全部認容
の2つ。
  規定 民訴法 第305条(第一審判決が不当な場合の取消し)
控訴裁判所は、第一審判決を不当とするときは、これを取り消さなければならない。
    控訴審は原判決を取り消して(法305条)、新たに裁判をする。
  □ア 原審全部認容、控訴審全部棄却 
  ◎例文 
    手形(小切手)異議訴訟
支払督促異議訴訟
で、控訴審において認可判決を取り消す場合は、当初の請求を棄却等する必要がある。
  ◎例文 
  □イ 原審全部棄却、控訴審全部認容 
    原判決を取り消した上、新たに裁判。
  ◎例文 
  □ウ 事件を差し戻す場合 
  規定 民訴法 第307条(事件の差戻し)
控訴裁判所は、訴えを不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
民訴法 第308条
前条本文に規定する場合のほか、控訴裁判所が第一審判決を取り消す場合において、事件につき更に弁論をする必要があるときは、これを第一審裁判所に差し戻すことができる。
2 第一審裁判所における訴訟手続が法律に違反したことを理由として事件を差し戻したときは、その訴訟手続は、これによって取り消されたものとみなす。
    控訴裁判所は、訴えを不適法として却下した第一審判決を取り消す場合、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない(法307条)。
ただし、事件につき弁論をする必要がないときは、この限りでない(ただし書)。
民訴法307条本文に規定する場合のほか、控訴裁判所が第一審判決を取り消す場合において、事件につき更に弁論をする必要があるときは、これを第一審裁判所に差し戻すことができる(308条1項)。
  ◎例文 
  ■(3) 原判決の一部が不当である場合 
    6通り
@原審全部認容、控訴審一部認容
A原審全部棄却、控訴審一部認容
B原審一部認容、控訴審一部認容(被告控訴で、認容部分が減る場合)
C原審一部認容、控訴審一部認容(原告控訴で、認容部分が増える場合)
D原審一部認容、控訴審全部認容
E原審一部認容、控訴審全部棄却
    上記のうち@ないしDについては、いわゆる「原判決変更」型の主文(「変更型主文」)が用いられる。
〜原判決の取消しを宣言するのではなく、原判決を変更するという形を採って、請求全体の当否について改めて裁判。
@〜Dは、いずれも原判決に正当な部分と不当な部分がある場合であり、本来ならば原判決の不当な部分のみを取り消し、取り消した部分についてのみ裁判をし直せば足りる。
but
変更型主文は、控訴審判決のみを見れば裁判の内容が分かるという簡明さ⇒実務上控訴審で広く採用されており、最高裁の破棄自判判決でも用いられている方式。
変更型主文を用いる場合、控訴が一部しか認められない場合であっても、「その余の控訴を棄却する。」という主文は掲げないのが通例。
    原告が100万円の請求をした事案を例として、主文例をみてみる。
  □ア 原審全部認容、控訴審一部認容(@)の場合 
    原審が請求を全部認容、被告が控訴し、控訴審が50万円の限度で認容。
  ◎例文 
一 原判決を次のとおり変更する。
(1) 控訴人は、被控訴人に対し、50万円・・・を支払え。
(2) 被控訴人のその余の請求を棄却する。
二 訴訟費用は第1、2審ともこれを二分し、その一を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。
  □イ 原審全部棄却、控訴審一部認容(A)の場合 
    原審が請求を全部棄却、原告が控訴し、控訴審が50万円の限度で認容。 
  ◎例文 
一 原判決を次のとおり変更する。
(1) 控訴人は、被控訴人に対し、50万円・・・を支払え。
(2) 被控訴人のその余の請求を棄却する。
二 訴訟費用は第1、2審ともこれを二分し、その一を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。
  □ウ 原審一部認容、控訴審一部認容(B)の場合。
    80万⇒50万
  ◎  ◎例文 
  □エ 原審一部認容、控訴審一部認容(C)の場合。
    20万⇒50万
  ◎例文 
  □オ 原審一部認容、控訴審全部認容(D)の場合
    50万⇒100万
控訴審では全部認容⇒「その余の請求を棄却する。」の一文が入らない。
  ◎例文 
  □カ 原審一部認容、控訴審全部棄却
    50万⇒0
    一般には変更型主文によらずに、不当とする部分のみを取り消し、当該部分にかかる請求を棄却するという方式が採られるのが通例。

第1審判決と控訴審判決をとを併せて、全体が請求棄却となったことが分かる。
  ◎  ◎例文
1 原判決中、控訴人敗訴部分を取り消す。
2 上記部分に係る被控訴人の請求を棄却する。
3 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。
  ■(4) その他 
     
  ◆三 主たる主文(応用編)
  ■(1) 双方控訴(一方が附帯控訴の場合を含む。)の場合
  □ア 一部認容の判決に対し、双方から控訴があった場合 
  ●(ア) 請求100万⇒一審50万⇒控訴審80万
  ◎例文 
一 一審原告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
(1) 一審被告は、一審原告に対し、80万円・・・・支払え。
(2) 一審原告のその余の請求を棄却する。
二 一審被告の控訴を棄却する。
三 訴訟費用は・・・。
  ●(イ) 請求100万⇒一審50万⇒控訴審20万
  ◎例文 
一 一審被告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
(1) 一審被告は、一審原告に対し、20万円・・・・支払え。
(2) 一審原告のその余の請求を棄却する。
二 一審原告の控訴を棄却する。
三 訴訟費用は・・・。
  ●(ウ) 訴訟物が複数あり、一部については一審被告の控訴が認められる場合。
    次のようにするなどして、取消・変更部分が特定できるように工夫する。
  ◎例文
一 一審原告の控訴に基づき、原判決主文第一項を次のとおり変更する。
・・・
二 一審被告の控訴に基づき、原判決主文第二項を次のとおり変更する。
    元本については一審原告の控訴が認められたが、遅延損害金については一審被告の控訴が認められた場合
区別が困難⇒次の例文。 
  ◎  ◎例文 
一 一審原告及び一審被告の各控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
(1)
(2) 原告のその余の請求を棄却する。
二 訴訟費用
    一審原告及び一審被告の控訴のいずれも理由がない場合
  ◎例文 
一 一審原告及び一審被告の各控訴をいずれも棄却する。
二 一審原告の控訴費用は一審原告の、一審被告の控訴費用は一審被告の各負担とする。
  一方が附帯控訴の場合 
  ◎例文 
     
  ■(2) 複数の請求が併合されて訴えが提起されている場合 
    原判決の全部が不当:
前記二(2)に準じて、原判決を取り消し、新たに裁判。 
    控訴の全部に理由がない場合:
控訴は、原判決に対する不服申立て
⇒原審での請求が複数ある場合でも、控訴審が原判決を正当と判断する場合には、単に「本件控訴を棄却する。」とし、「本件控訴をいずれも棄却する。」とはしない。
    原判決の一部が不当:
正当である部分と不当である部分とが明確に区別できる場合(ことに、主文の項数で区別できる場合)には、該当部分のみを取り消し、または、変更するようにする。
取消しないし変更の対象とならなかった部分についての判断が別途必要⇒「その余の控訴を棄却する」との主文が必要。
    原告が土地の明渡しと賃料相当損害金を請求
原審:全部認容⇒控訴審:土地明渡しは正当、賃料相当損害金は不当
  ◎例文 
第一審:
一 被告は、原告に対し、別紙物権目録記載の土地を明け渡せ。
二 被告は、原告に対し、・・・1か月当たり20万円を支払え。
三 訴訟費用は被告の負担とする。
一 原判決主文第二項を取り消す。
二 上記取消部分に係る被控訴人の請求を棄却する。
三 控訴人のその余の控訴を棄却する。
四 訴訟費用・・・・。

第一項と第二項で第一審判決主文第二項に対する判断をしているが、
このままでは第一審判決主文第一項に対する判断がされていない。
⇒第三項において「その余の控訴を棄却する」としたもの。
    上記で、土地の明渡し部分は正当で、賃料相当損害金は10万円の限度で認容。
  ◎例文 
一 原判決主文第二項を次のとおり変更する。
(1) 控訴人は、被控訴人に対し・・・1か月当たり10万円を支払え。
(2) 被控訴人のその余の請求を棄却する。
二 控訴人のその余の控訴を棄却する。
四 訴訟費用・・・・。
     
     
  ■(3) 当事者が複数の場合 
     
  ■(4) 控訴審において請求が変動した場合 
  □ア 請求の減縮があった場合 
     
  □イ 訴えの追加的変更(請求の拡張)のあった場合 
  ●(ア) 控訴人の請求の拡張 
     
  ●(イ) 附帯控訴人の請求の拡張 
     
  □ウ 予備的請求があった場合 
     
  ■(5) 当事者の変動があった場合 
     
  ◆四 従たる主文 
  ■(1) 仮執行宣言 
  ■(2) 訴訟費用 
  ■(3) 更正決定 
     
  ◆五 おわりに



最高裁の例
判決
主文 
理由       ・・・上告受理申立て理由について
一  事案の概要 
二  原審の適法に確定した事実関係等の概要 
原審は・・・・要旨、次にとおり判断して・・・一部認容すべきものとした。 
しかしながら、原審の・・・・のうち、・・・であるとした点は是認することができるが、・・・の判断は是認することができない。
その理由は次のとおりである。 
(1)まず・・
(2)次に・・・
(3)以上によれば、・・・とした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、論旨はこの趣旨をいうものとして理由がある。
以上の次第で、・・・同部分につき第一審判決を取り消し、同請求を棄却すべきである。 


判決の構成
A事件 主文 
事実及び理由  請求
事案の概要 前提事実 当事者間に争いがない事実及び証拠により容易に認められる事実
@当事者等
A経歴等
B被告の組織・事務分掌及び給与体系等
C事業計画の作成及び事業計画の実行等
D自殺及び遺書
争点 争点@
争点A
争点B
争点C
争点D
争点に対する当事者の主張 争点@について 原告らの主張
被告の主張
争点Aについて  原告らの主張
被告の主張
争点Bについて 原告らの主張 
被告の主張
争点Cについて 原告らの主張 
被告の主張
争点Dについて 原告らの主張 
被告の主張
裁判所の判断 経緯に関する事実関係等 
原告の労働時間 
うつ病発症の有無
争点A(相当因果関係の有無)について
争点@(不法行為又は債務不履行(安全配慮義務違反)の有無)について
争点B(予見可能性の対象及びその有無)について
争点C(損害額)
争点D(過失相殺及び損益相殺の可否)
弁護士費用
結論
B事件 第1 請求 1 甲事件
2 乙事件
3 丙事件
4 丁事件