シンプラル法律事務所
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真の再生のために(個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP−トップ |
論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
会計関係 | ||
企業会計 | 意義 | 営利を目的とする企業、組織の経営活動とその結果について、一定の規則に従って貨幣額によって記録、計算し、その情報を報告する会計。 情報の報告の目的により@財務会計、A管理会計、B税務会計に分けられる。 |
企業会計自体の目的は3つあり、 @経営者が外部の利害関係者から委託された財の管理に関する受託責任を明確にする企業受託遂行目的。 A外部の利害関係者の意思決定のために有効な資料を開示する実態開示目的。 B利害関係者へ財を分配するために有効な分配可能利益算定目的。 |
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@財務会計 | 会計は、会計情報の利用者の違いによって財務会計と管理会計に分かれる。 | |
財務会計は税務署や銀行、株主、債権者、取引先といった企業と関わりのある外部の組織・利害関係者に公表される会計情報を取り扱う。 貸借対照表、損益計算書を中心とした財務諸表を作成し財政状態や経営成績を公表。 外部に企業の財務データを公表するという目的から、その社会的影響が大きいため、また関係者が他の企業と比較しやすいようにするため、会計基準や会計法規などの規則に従って作成されるので制度会計とも言われる。 |
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A管理会計 | 経営者や管理責任者などの企業内部者を会計情報の利用者とするもの。 経営者や経営管理者が経営目的の達成計画を設定し、またこれらの目的を達成するために行う意思決定に貢献するための資料を提供し、組織の効率性を高めることを目的とし行われる会計である。経営者の目的に沿う情報を提供するため、必ずしも会計基準や関連法規に従わなくてもよい。 |
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B税務会計 | 税法、特に法人税法の規定に従って課税所得および税額を計算することを目的とした会計。 租税負担の配分基準となる課税標準の算定を目的としている。 部門によって3つに区別することができ、所得税務会計、財産税務会計、消費税務会計の3つである。 さらに所得税務会計は、法人税所得税務会計、個人所得税務会計の2つに区分される。税務会計は利害調整のために機能しており、課税の公平さを規すための役割を現実的に担っている。 |
会社法・金融商品取引法と財務諸表 | ||
会社法 | 規定 | 会社法 第431条 株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。 |
説明 | 会社法は、財務諸表(計算書類)について、基本的で需要な事項だけを規定しているにとどまる。 | |
細かい事項は、法務省令の「会社計算規則」に委任。 | ||
会社法431条で「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」と規定。 | ||
「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」: 企業会計原則や、企業会計審議会、企業会計基準委員会が策定する会計基準など。 |
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金融商品取引法 | 規定 | 金融商品取引法 第193条(財務諸表の用語、様式及び作成方法) この法律の規定により提出される貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類は、内閣総理大臣が一般に公正妥当であると認められるところに従つて内閣府令で定める用語、様式及び作成方法により、これを作成しなければならない。 |
説明 | 金融商品取引法には財務省表の作成方法が存在せず、193条で「財務諸表等規則」や「連結財務諸表規則」にゆだねる。 〜 金融庁が内閣府令として公表。 |
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両規則とも第1条で「この規則において定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとする」と規定。 〜 企業会計原則や、企業会計審議会、企業会計基準委員会が策定する会計基準など。 |
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両者の基準の違い | @会社法の「企業会計の慣行」と A金融商品取引法の「企業会計の基準」 の違い? |
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会社法は上場していない中小企業も対象。 中小企業の会計処理は「不文の会計慣行」に委ねられている部分が多くある ⇒会社法は「企業会計の可能」としている。 |
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2005年8月に、日本税理士連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議書、企業会計基準委員会が「中小企業の会計に関する指針」を公表。 | ||
企業会計原則 | 1982年が最終改正でそれ以後は改正されていない。 | |
「連結財務諸表原則」「退職給付会計基準」「金融商品会計基準」など新しい会計基準は独立して設定され、企業会計原則を補完。 | ||
企業会計原則は古いまま取り残されており、現在のルールと整合性がtれなくなっている。 ex. 金融商品会計基準で市場性のある有価証券には時価会計が導入されたが、企業会計原則では取得原価と書かれている。 |
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税務会計 | 税務会計の目的は、法人税の計算。 〜 会社法の損益計算書をベースに調整を加えて課税所得を計算し、支払うべき法人税を決める。 |
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日本の企業会計は、@会社法、A金融商品取引法、B税法が絡み合っている。 ⇒「トライアングル体制」と呼ばれている。 |
個別 | ||
繰延資産 | 既に代価を支払いまたは支払義務が確定し、これに対する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現する費用。 〜 その効果が及び期間に合理的に配分するため、貸借対照表に資産として計上しなくてはならない。 |
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創立費 開業費 試験研究費および開発費 新株発行費 社債発行費 社債発行差金 建設利息 |
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繰延税金資産 | 税効果会計上,貸倒引当金や減価償却費の損金算入限度超過額など将来減算一時差異に係る税額(税効果額)は,将来の会計期間において回収が見込まれるものである限り,繰延税金資産として貸借対照表に計上される。これは将来の法人税等の支払額を減少させる効果を有するために,資産性をもつと解される。 | |
企業会計上の費用が税務上の将来減算一時差異(つまり、当期には税務上の損金と認められないが、将来時点では損金と認められる費用)として否認され、税務上の課税所得や納付税額が増加する場合に生ずる。言い換えれば、将来の会計期間に帰属すべき税金費用(損金)を当期に前払いしたと考え、これを繰延処理することにより生じる資産である。 繰延税金資産は、企業会計と税務との「一時的な」費用(損金)に対する認識時期の相違(一時差異)を調整するための項目であり、交際費のように企業会計上の費用と税務上の損金との不一致が永久に解消されない永久差異については、繰延税金資産の計上が認められない。 通常、繰延税金資産の計上と同時に法人税等調整額の計上により、同額だけ当期純利益の額も増加する。一方、計上された繰延税金資産は、将来帰属すべき税金費用(損金)が実現する時点で、残高を減少させる手続きをとる。繰延税金資産の減少により、同額だけ当期純利益の額も減少する。 繰延税金資産の計上にあたっては、税金費用(損金)の実現する将来時点で、十分な当期純利益が確保されている(具体的には繰延税金資産減少に伴う当期純利益の減少額を上回る当期純利益が見込まれること)ことが条件である。その理由としては、繰延税金資産減少に伴う当期純利益の減少により、税金費用(損金)実現時点の当期純利益額がマイナスとなってしまうのは、健全性の観点から問題とされるためである。 このように、税金費用(損金)の実現する将来時点において、十分な当期純利益の確保が想定できない場合には、税金を前払いする能力に乏しいと判断されるため、健全性の観点から税効果会計の適用は認められず、したがって、繰延税金資産の計上は認められない。 繰延税金資産の計上される主な項目としては、引当金の損金算入限度超過額、その他有価証券の評価差額(評価損)、及び繰越欠損金(7年間の繰越し及び翌期以降の課税所得との通算が可能)などがある。 |
企業会計原則 | ||
企業会計原則 | 日本のみならず、諸外国に行われている会計実務を参照して、慣習として発達したものの中から、一般に公正妥当と認めたところを要約したものである。 商慣習ないし商慣習法としての機能を内在⇒企業会計に関する法令を補充する実践規範であるとともに、企業会計に関する法令の制定改廃に当たって尊重されなければならない指導原理。 実践規範としての性格⇒「注解」 指導原理としての性格⇒「本文」 |
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第一 一般原則 | ||
第一 一般原則 | 一 企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実の報告を提供するものでなければならない。 | |
二 企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。(注1) | ||
三 資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。(注2) | ||
四 企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。(注1)(注1−2)(注1−3)(注1−4) | ||
五 企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。(注1−2)(注3) | ||
六 企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。(注4) | ||
七 株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる型式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。 | ||
第二 損益計算書原則 | ||
第二 損益計算書原則 | (損益計算書の本質) 一 損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするために、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。 A すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。ただし、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。 前払費用及び前受収益は、これを当期の損益計算から除去し、未払費用及び未収収益は、当期の損益計算に計上しなければならない。(注5) B 費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。 C 費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。 |
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(損益計算書の区分) 二 損益計算書には、営業損益計算、経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならない。 A 営業損益計算の区分は、当該企業の営業活動から生ずる費用及び収益を記載して、営業利益を計算する。 二つ以上の営業を目的とする企業にあっては、その費用及び収益を主要な営業別に区分して記載する。 B 経常損益計算の区分は、営業損益計算の結果を受けて、利息及び割引料、有価証券売却損益その他営業以外の原因か ら生ずる損益であって特別損益に属しないものを記載し、経常利益を計算する。 C 純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受けて、前期損益修正額、固定資産売却損益等の特別損益を記載し、当 期純利益を計算する。 D 純損益計算の結果を受けて、前期繰越利益等を記載し、当期未処分利益を計算する。 |
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(営業利益) 三 営業利益計算は、一会計期間に属する売上高と売上原価とを記載して売上総利益を計算し、これから販売費及び一般管理費を控除して、営業利益を表示する。 A 企業が商品等の販売と役務の給付とをともに主たる営業とする場合には、商品等の売上高と役務による営業収益とは、これを区別して記載する。 B 売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。ただし、長期の未完成請負工事等については、合理的に収益を見積り、これを当期の損益計算に計上することができる(注6)(注7) C 売上原価は、売上高に対応する商品等の仕入原価又は製造原価であって、商業の場合には、期首商品たな卸高に当期商品仕入高を加え、これから期末商品たな卸高を控除する形式で表示し、製造工業の場合には、期首製品たな卸高に当期製品製造原価を加え、これから期末製品たな卸高を控除する形式で表示する。(注8)(注9)(注10) D 売上総利益は、売上高から売上原価を控除して表示する。 役務の給付を営業とする場合には、営業収益から役務の費用を控除して総利益を表示する。 E 同一企業の各経営部門の間における商品等の移転によって発生した内部利益は、売上高及び売上原価を算定するに当って除去しなければならない。(注11) F 営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して表示する。販売費及び一般管理費は、適当な科目に分類して営業損益計算の区分に記載し、これを売上原価及び期末たな卸高に算入してはならない。ただし、長期の請負工事については、販売費及び一般管理費を適当な比率で請負工事を配分し、売上原価及び期末たな卸高に算入することができる。 |
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(営業外損益) 四 営業外損益は、受取利息及び割引料、有価証券売却益等の営業外収益と支払利息及び割引料、有価証券売却損、有価証券評価損等の営業外費用とに区分して表示する。 |
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(経常利益) 五 経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、これから営業外費用を控除して表示する。 |
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(特別損益) 六 特別損益は、前期損益修正益、固定資産売却益等の特別利益と前期損益修正損、固定資産売却損、災害による損失等の特別損失とに区分して表示する。(注12) |
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(税引前当期純利益) 七 税引前当期純利益は、経常利益に特別利益を加え、これから特別損失を控除して表示する。 |
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(当期純利益) 八 当期純利益は、税引前当期純利益から当期の負担に属する法人税額、住民税額等を控除して表示する。(注13) |
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(当期未処分利益) 九 当期未処分利益は、当期純利益に前期繰越利益、一定の目的のために設定した積立金のその目的に従った取崩額、中間配当額、中間配当に伴う利益準備金の積立額等を加減して表示する。 |
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第三 貸借対照表原則 | ||
第三 貸借対照表原則 | (貸借対照表の本質) 一 貸借対照表は、企業の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、株主、債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。ただし、正規の簿記の原則に従って処理された場合に生じた簿外資産及び簿外負債は貸借対照表の記載外におくことができる。(注1) A 資産、負債及び資本は、適当な区分、配列、分類及び評価の基準に従って記載しなければならない。 B 資産、負債及び資本は総額によって記載することを原則とし、資産の項目と負債又は資本の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない。 C 受取手形の割引高又は裏書譲渡高、保証債務等の偶発債務、債務の担保に供している資産、発行済株式一株当たり当期純利益及び同一株当たり純資産額等企業の財務内容を判断するために重要な事項は、貸借対照表に注記しなければならない。 D 将来の期間に影響する特定の費用は、次期以降の期間に配分して処理するため、経過的に貸借対照表の資産の部に記載することができる。(注15) E 貸借対照表の資産の合計金額は、負債と資本の合計金額に一致しなければならない。 |
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(貸借対照表の区分) 二 貸借対照表は、資産の部、負債の部及び資本の部の三区分に分ち、さらに資産の部を流動資産、固定資産及び繰延資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に区分しなければならない。 |
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(貸借対照表の配列) 三 資産及び負債の項目の配列は、原則として、流動性配列法によるものとする。 |
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(貸借対照表科目の分類) 四 資産、負債及び資本の各科目は、一定の基準に従って明瞭に分類しなければならない。 (一)資 産資産は、流動資産に属する資産、固定資産に属する資産及び繰延資産に属する資産に区別しなければならない。仮払金、未決算等の勘定を貸借対照表に記載するには、その性質を示す適当な科目で表示しなければならない。(注16) A 現金預金、市場性のある有価証券で一時的所有のもの、取引先との通常の商取引によって生じた受取手形、売掛金等の債権、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産及び期限が一年以内に到来する債権は、流動資産に属するものとする。 前払費用で一年以内に費用となるものは、流動資産に属するものとする。 受取手形、売掛金その他流動資産に属する債権は、取引先との通常の商取引上の債権とその他の債権とに区別して表示しなければならない。 B 固定資産は、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分しなければならない。 建物、構築物、機械装置、船舶、車両運搬具、工具器具備品、土地、建設仮勘定等は、有形固定資産に属するものとする。 営業権、特許権、地上権、商標権等は、無形固定資産に属するものとする。 子会社株式その他流動資産に属しない有価証券、出資金、長期貸付金並びに有形固定資産、無形固定資産及び繰延資産に属するもの以外の長期資産は、投資その他の資産に属するものとする。 有形固定資産に対する減価償却累計額は、原則として、その資産が属する科目ごとに取得原価から控除する形式で記載する。(注17) 無形固定資産については、減価償却額を控除した未償却残高を記載する。 C 創立費、開業費、新株発行費、社債発行費、社債発行差金、開発費、試験研究費及び建設利息は、繰延資産に属するものとする。これらの資産については、償却額を控除した未償却残高を記載する。(注15) D 受取手形、売掛金その他の債権に対する貸倒引当金は、原則として、その債権が属する科目ごとに債権金額又は取得金額から控除する形式で記載する。(注17)(注18) 債権のうち、役員等企業の内部のものに対するものと親会社又は子会社に対するものは、特別の科目を設けて区別して表示し、又は注記の方法によりその内容を明瞭に示さなければならない。 (二)負 債 負債は流動負債に属する負債と固定負債に属する負債とに区別しなければならない。仮受金、未決算等の勘定を貸借対照表に記載するには、その性質を示す適当な科目で表示しなければならない。(注16) A 取引先との通常の商取引によって生じた支払手形、買掛金等の債務及び期限が一年以内に到来する債務は、流動負債に属するものとする。 支払手形、買掛金その他流動負債に属する債務は、取引先との通常の商取引上の債務とその他の債務とに区別して表示しなければならない。 引当金のうち、賞与引当金、工事補償引当金、修繕引当金のように、通常一年以内に使用される見込みのものは流動負債に属するものとする。(注18) B 社債、長期借入金等の長期債務は、固定負債に属するものとする。 引当金のうち、退職給与引当金、特別修繕引当金のように、通常一年をこえて使用される見込みのものは、固定負債に属するものとする。(注18) C 債務のうち、役員等企業の内部の者に対するものと親会社又は子会社に対するものは、特別の科目を設けて区別して表示し、又は注記の方法によりその内容を明瞭に示さなければならない。 (三)資 本 資本は、資本金に属するものと剰余金に属するものとに区別しなければならない。(注19) A 資本金の区分には、法定資本の額を記載する。発行済株式の数は、普通株、優先株等の種類別に注記するものとする。 B 剰余金は、資本準備金、利益準備金及びその他の剰余金に区分して記載しなければならない。 株式払込剰余金、減資差益及び合併差益は、資本準備金として表示する。 その他の剰余金の区分には、任意積立金及び当期未処分利益を記載する。 C 新株式払込金又は申込期日経過後における新株式申込証拠金は、資本金の区分の次に特別の区分を設けて表示しなければならない。 D 法律で定める準備金で資本準備金又は利益準備金に準ずるものは、資本準備金又は利益準備金の次に特別の区分を設けて表示しなければならない。 |
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(資産の貸借対照表価額) 五 貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。 資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分し、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分しなければならない。繰延資産についても、これに準じて、各事業年度に均等額以上を配分しなければならない。(注20) A 商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産については、原則として購入代価又は製造原価に引取費用等の付随費用を加算し、これに個別法、先入先出法、後入先出法、平均原価法等の方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、時価が取得原価より著しく下落したときは、回復する見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない。(注9)(注10)(注21) たな卸資産の貸借対照表価額は、時価が取得原価よりも下落した場合には時価による方法を適用して算定することができる。(注10) B 有価証券については、原則として購入代価に手数料等の付随費用を加算し、これに平均原価法等の方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、取引所の相場のある有価証券については、時価が著しく下落した時は、回復する見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない。取引所の相場のない有価証券のうち株式については、当該会社の財政状態を反映する株式の実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をしなければならない。(注22) C 受取手形、売掛金その他の債権の貸借対照表価額は、債権金額又は取得価額から正常な貸倒見積高を控除した金額とする。(注23) D 有形固定資産については、その取得原価から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。有形固定資産の取得原価には、原則として当該資産の引取費用等の付随費用を含める。現物出資として受入れた固定資産については、出資者に対して交付された株式の発行価額をもって取得原価とする。(注24) 償却済の有形固定資産は、除去されるまで残存価額又は備忘価額で記載する。 E 無形固定資産については、当該資産の取得のために支出した金額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。(注25) F 贈与その他無償で取得した資産については、公正な評価額をもって取得原価とする。(注24) |
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企業会計原則注解 | ||
企業会計原則注解 | 〔注1〕重要性の原則の適用について(一般原則二、四及び貸借対照表原則一) 企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも、正規の簿記の原則に従った処理として認められる。 重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。 重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。 (1) 消耗品、消耗工具器具備品その他の貯蔵品のうち、重要性の乏しいものについては、その買入時又は払出時に費用として処理する方法を採用することができる。 (2) 前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。 (3) 引当金のうち、重要性の乏しいものについては、これを計上しないことができる。 (4) たな卸資産の取得原価に含められる引取費用、関税、買入事務費、移管費、保管費等の付随費用のうち、重要性の乏しいものについては、取得原価に算入しないことができる。 (5) 分割返済の定めのある長期の債権又は債務のうち、期限が一年以内に到来するもので重要性の乏しいものについては、固定資産又は固定負債として表示することができる。 |
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〔注1−2〕重要な会計方針の開示について(一般原則四及び五) 財務諸表には、重要な会計方針を注記しなければならない。 会計方針とは、企業が損益計算書及び貸借対照表の作成に当たって、その財政状態及び経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。 会計方針の例としては、次のようなものがある。 イ 有価証券の評価基準及び評価方法 ロ たな卸資産の評価基準及び評価方法 ハ 固定資産の減価償却方法 ニ 繰延資産の処理方法 ホ 外貨建資産・負債の本邦通貨への換算基準 ヘ 引当金の計上基準 ト 費用・収益の計上基準 代替的な会計基準が認められていない場合には、会計方針の注記を省略することができる。 |
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〔注1−3〕重要な後発事象の開示について(一般原則四) 財務諸表には、損益計算書及び貸借対照表を作成する日までに発生した重要な後発事象を注記しなければならない。 後発事象とは、貸借対照表日後に発生した事象で、次期以降の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものをいう。 重要な後発事象を注記事項として開示することは、当該企業の将来の財政状態及び経営成績を理解するための補足情報として有用である。 重要な後発事象の例としては、次のようなものがある。 イ 火災、出水等による重大な損害の発生 ロ 多額の増資又は減資及び多額の社債の発行又は繰上償還 ハ 企業の合併、重要な営業の譲渡又は譲受 ニ 重要な係争事件の発生又は解決 ホ 主要な取引先の倒産 |
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〔注1−4〕注記事項の記載方法について(一般原則四) 重要な会計方針に係る注記事項は、損益計算書及び貸借対照法の次にまとめて記載する。 なお、その他の注記事項についても、重要な会計方針の注記の次に記載することができる。 |
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〔注2〕資本取引と損益取引との区別について(一般原則三) (1) 資本剰余金は、資本取引から生じた剰余金であり、利益剰余金は損益取引から生じた剰余金、すなわち利益の留保額であるから、両者が混同されると、企業の財政状態及び経営成績が適正に示されないことになる。従って、例えば、新株発行による株式払込剰余金から新株発行費用を控除することは許されない。 (2) 商法上資金準備金として認められる資本剰余金は限定されている。従って、資本剰余金のうち、資本準備金及び法律で定める準備金で資本準備金に準ずるもの以外のものを計上する場合には、その他の剰余金の区分に記載されることになる。 |
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〔注3〕継続性の原則について(一般原則五) 企業会計上継続性が問題とされるのは、一つの会計事実について二つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用が認められている場合である。 このような場合に、企業が選択した会計処理の原則及び手続を毎期継続して適用しないときは、同一の会計事実について異なる利益額が算出されることになり、財務諸表の期間比較を困難ならしめ、この結果、企業の財務内容に関する利害関係者の判断を誤らしめることになる。 従って、いったん採用した会計処理の原則又は手続は、正当な理由により変更を行う場合を除き、財務諸表を作成する各時期を通じて継続して適用しなければならない。 なお、正当な理由によって、会計処理の原則又は手続に重要な変更を加えたときは、これを当該財務諸表に注記しなければならない。 |
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〔注4〕保守主義の原則について(一般原則六) 企業会計は、予測される将来の危機に備えて、慎重な判断に基づく会計処理を行わなければならないが、過度の保守的な会計処理を行うことにより、企業の財政状態及び経営成績の真実な報告をゆがめてはならない。 |
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〔注5〕経過勘定項目について(損益計算書原則一のAの2項) (1) 前 払 費 用 前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。 (2) 前 受 収 益 前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の収益となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、前受収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。 (3) 未 払 費 用 未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴い既に当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。 また、未払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。 (4) 未 収 収 益 未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう。従って、このような役務に対する対価は時間の経過に伴い既に当期の収益として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、未収収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。 |
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〔注6〕実現主義の適用について(損益計算書原則三のB) 委託販売、試用販売、予約販売、割賦販売等特殊な販売契約による売上収益の実現の基準は、次によるものとする。 (1) 委 託 販 売 委託販売については、受託者が委託品を販売した日をもって売上収益の実現の日とする。従って、決算手続中に仕切精算書(売上計算書)が到達すること等により決算日までに販売された事実が明らかとなったものについては、これを当期の売上収益に計上しなければならない。ただし、仕切精算書が販売のつど送付されている場合には、当該仕切精算書が到達した日をもって売上収益の実現の日とみなすことができる。 (2) 試 用 販 売 試用販売については、取引先が買取りの意思を表示することによって売上が実現するのであるから、それまでは、当期の売上高に計上してはならない。 (3) 予 約 販 売 予約販売については、予約金受取額のうち、決算日までに商品の引渡し又は役務の給付が完了した分だけを当期の売上高に計上し、残額は貸借対照表の負債の部に記載して次期以降に繰延べなければならない。 (4) 割 賦 販 売 割賦販売については、商品等を引渡した日をもって売上収益の実現の日とする。 しかし、割賦販売は通常の販売と異なり、その代金回収の期間が長期にわたり、かつ、分割払であることから代金回収上の危険率が高いので、貸倒引当金及び代金回収費、アフター・サービス費等の引当金の計上について特別の配慮を要するが、その算定に当っては、不確実性と煩雑さとを伴う場合が多い。従って、収益の認識を慎重に行うため販売基準に代えて、割賦金の回収期限の到来の日又は入金の日をもって売上収益実現の日とすることも認められる。 |
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〔注7〕工事収益について(損益計算書原則三のBただし書) 長期の請負工事に関する収益の計上については、工事進行基準又は工事完成基準のいずれかを選択適用することができる。 (1) 工事進行基準 決算期末に工事進行程度を見積り、適正な工事収益率によって工事収益の一部を当期の損益計算に計上する。 (2) 工事完成基準 工事が完成し、その引渡しが完了した日に工事収益を計上する。 |
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〔注8〕製品等の製造原価について(損益計算書原則三のC) 製品等の製造原価は、適正な原価計算基準に従って算定しなければならない。 |
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〔注9〕原価差額の処理について(損益計算書原則三のC及び貸借対照表原則五のAの1項) 原価差額を売上原価に賦課した場合には、損益計算書に売上原価の内訳科目として次の型式で原価差額を記載する。 売上原価 1.期首製品たな卸高 ××× 2.当期製品製造原価 ××× 合 計 ××× 3.期末製品たな卸高 ××× 標準(予定)売上原価 ××× 4.原価差額 ××× ××× 原価差額をたな卸資産の科目別に配賦した場合には、これを貸借対照表上のたな卸資産の科目別に各資産の価額に含めて記載する。 |
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〔注10〕たな卸資産の評価損について(損益計算書原則三のC及び貸借対照表原則五のA) (1) 商品、製品、原材料等のたな卸資産に低価基準を適用する場合に生ずる評価損は、原則として、売上原価の内訳科目又は営業外費用として表示しなければならない。 (2) 時価が取得原価より著しく下落した場合(貸借対照表原則五のAの1項ただし書の場合)の評価損は、原則として、営業外費用又は特別損失として表示しなければならない。 (3) 品質低下、陳腐化等の原因によって生ずる評価損については、それが原価性を有しないものと認められる場合には、これを営業外費用又は特別損失として表示し、これらの評価損が原価性を有すると認められる場合には、製造原価、売上原価の内訳科目又は販売費として表示しなければならない。 |
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〔注11〕内部利益とその除去の方法について(損益計算書原則三のE) 内部利益とは、原則として、本店、支店、事業部等の企業内部における独立した会計単位相互間の内部取引から生ずる未実現の利益をいう。従って、会計単位内部における原材料、半製品等の振替から生ずる振替損益は内部利益ではない。 内部利益の除去は、本支店等の合併損益計算書において売上高から内部売上高を控除し、仕入高(又は売上原価)から内部仕入高(又は内部売上原価)を控除するとともに、期末たな卸高から内部利益の額を控除する方法による。これらの控除に際しては、合理的な見積概算額によることも差支えない。 |
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〔注12〕特別損益項目について(損益計算書原則六) 特別損益に属する項目としては次のようなものがある。 (1) 臨時損益 イ 固定資産売却損益 ロ 転売以外の目的で取得した有価証券の売却損益 ハ 災害による損失 (2) 前期損益修正 イ 過年度における引当金の過不足修正額 ロ 過年度における減価償却の過不足修正額 ハ 過年度におけるたな卸資産評価の訂正額 ニ 過年度償却済債権の取立額 なお、特別損益に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常損益計算に含めることができる。 |
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〔注13〕法人税等の追徴税額等について(損益計算書原則八) 法人税等の更正決定等による追徴税額及び還付税額は、税引前当期純利益に加減して表示する。この場合、当期の負担に属する法人税額等とは区別することを原則とするが、重要性の乏しい場合には、当期の負担に属するものに含めて表示することができる。 |
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〔注14〕削除 | ||
〔注15〕将来の期間に影響する特定の費用について(貸借対照表原則一のD及び四の(一)のC) 「将来の期間に影響する特定の費用」とは、既に代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう。 これらの費用は、その効果が及ぶ数期間に合理的に配分するため、経過的に貸借対照表上繰延資産として計上することができる。 なお、天災等により固定資産又は企業の営業活動に必須の手段たる資産の上に生じた損失が、その期の純利益又は当期未処分利益から当期の処分予定額を控除した金額をもって負担しえない程度に巨額であって特に法令をもって認められた場合には、これを経過的に貸借対照表の資産の部に記載して繰延経理することができる。 |
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〔注16〕流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について(貸借対照表原則四の(一)及び(二)) 受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前払金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更生債権及びこれに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産たる投資その他の資産に属するものとする。 貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。 現金預金は、原則として、流動資産に属するが、預金については、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に期限が到来するものは、流動資産に属するものとし、期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産に属するものとする。 所有有価証券のうち、証券市場において流通するもので、短期的資金運用のために一時的に所有するものは、流動資産に属するものとし、証券市場において流通しないもの若しくは他の企業を支配する等の目的で長期的に所有するものは、投資その他の資産に属するものとする。 前払費用については、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に費用となるものは、流動資産に属するものとし、一年をこえる期間を経て費用となるものは、投資その他の資産に属するものとする。未収収益は流動資産に属するものとし、未払費用及び前受収益は、流動負債に属するものとする。 商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、その加工若しくは売却を予定しない財貨は固定資産に属するものとする。 なお、固定資産のうち残存耐用年数が一年以下となったものも流動資産とせず固定資産に含ませ、たな卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの若しくは余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものとする。 |
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〔注17〕貸倒引当金又は減価償却累計額の控除形式について(貸借対照表原則四の(一)のBの5項及びDの1項) 貸倒引当金又は減価償却累計額は、その債権又は有形固定資産が属する科目ごとに控除する形式で表示することを原則とするが、次の方法によることも妨げない。 (1) 二以上の科目について、貸倒引当金又は減価償却累計額を一括して記載する方法 (2) 債権又は有形固定資産について、貸倒引当金又は減価償却累計額を控除した残額のみを記載し、当該貸倒引当金又は減価償却累計額を注記する方法 |
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〔注18〕引当金について(貸借対照表原則四の(一)のDの1項、(二)のAの3項及びBの2項) 将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。 製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金、修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、貸倒引当金等がこれに該当する。 発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない。 |
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〔注19〕剰余金について(貸借対照表原則四の(三)) 会社の純資産額が法定資本の額をこえる部分を剰余金という。 剰余金は、次のように資本剰余金と利益剰余金とに分れる。 (1) 資本剰余金 株式払込剰余金、減資差益、合併差益等 なお、合併差益のうち消滅した会社の利益剰余金に相当する金額については、資本剰余金としないことができる。 (2) 利益剰余金 利益を源泉とする剰余金 |
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〔注20〕減価償却の方法について(貸借対照表原則五の2項) 固定資産の減価償却の方法としては、次のようなものがある。 (1) 定額法 固定資産の耐用期間中、毎期均等額の減価償却費を計上する方法 (2) 定率法 固定資産の耐用期間中、毎期期首未償却残高に一定率を乗じた減価償却費を計上する方法 (3) 級数法 固定資産の耐用期間中、毎期一定の額を算術級数的に逓減した減価償却費を計上する方法 (4) 生産高比例法 固定資産の耐用期間中、毎期当該資産による生産又は用役の提供の度合に比例した減価償却費を計上する方法 この方法は、当該固定資産の総利用可能量が物理的に確定でき、かつ、減価が主として固定資産の利用に比例して発生するもの、例えば、鉱業用設備、航空機、自動車等について適用することが認められる。 なお、同種の物品が多数集まって一つの全体を構成し、老朽品の部分的取替を繰り返すことにより全体が維持されるような固定資産については、部分的取替に要する費用を収益的支出として処理する方法(取替法)を採用することができる。 |
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〔注21〕たな卸資産の貸借対照表価額について(貸借対照表原則五のAの1項) (1) たな卸資産の貸借対照表価額の算定のための方法としては、次のようなものが認められる。 イ 個別法 たな卸資産の取得原価を異にするに従い区別して記録し、その個々の実際原価によって期末たな卸品の価額を算定する方法 ロ 先入先出法 最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末たな卸品は最も新しく取得されたものからなるものとみなして期末たな卸品の価額を算定する方法 ハ 後入先出法 最も新しく取得されたものから払出しが行われ、期末たな卸品は最も古く取得されたものからなるものとみなして期末たな卸品の価額を算定する方法 ニ 平均原価法 取得したたな卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末たな卸品の価額を算定する方法 平均原価は、総平均法又は移動平均法により算出する。 ホ 売価還元原価法 異なる品目の資産を値入率の類似性に従って適当なグループにまとめ、一グループに属する期末商品の売価合計額に原価率を適用して期末たな卸品の価額を算定する方法 この方法は、取扱品種の極めて多い小売業及び卸売業におけるたな卸資産の評価に適用される。 (2) 製品等の製造原価については、適正な原価計算基準に従って、予定価格又は標準原価を適用して算定した原価による ことができる。 |
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〔注22〕社債の貸借対照表価額について(貸借対照表原則五のBの1項) 所有する社債については、社債金額より低い価額又は高い価額で買入れた場合には、当該価額をもって貸借対照表価額とすることができる。この場合においては、その差額に相当する金額を償還期に至るまで毎期一定の方法で逐次貸借対照表価額に加算し、又は貸借対照表価額から控除することができる。 |
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〔注23〕債権の貸借対照表価額について(貸借対照表原則五のC) 債権については、債権金額より低い価額で取得したときその他これに類する場合には、当該価額をもって貸借対照表価額とすることができる。この場合においては、その差額に相当する金額を弁済期に至るまで毎期一定の方法で逐次貸借対照表価額に加算することができる。 |
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〔注24〕国庫補助金等によって取得した資産について(貸借対照表原則五のDの1項及びF) 国庫補助金、工事負担金等で取得した資産については、国庫補助金等に相当する金額をその取得原価から控除することができる。 この場合においては、貸借対照表の表示は、次のいずれかの方法によるものとする。 (1) 取得原価から国庫補助金等に相当する金額を控除する形式で記載する方法 (2) 取得原価から国庫補助金等に相当する金額を控除した残額のみを記載し、当該国庫補助金等の金額を注記する方法 |
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〔注25〕営業権について(貸借対照表原則五のE) 営業権は、有償で譲受け又は合併によって取得したものに限り貸借対照表に計上し、毎期均等額以上を償却しなければならない。 |