シンプラル法律事務所
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真の再生のために(個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP−トップ |
倒産に関する租税・税務の論点整理です(随時増やしていく予定です。)
総論 | ||||
かつての制度趣旨 | 大陸法 | 懲戒主義 | 経済破綻状態に陥った債務者は、経済界の秩序を破壊する者として扱われ、その秩序維持のためには経済的に処罰する必要がある。 | |
英米法 | 債務者更生主義 | 再度の立ち直りの機会、フレッシュスタートの機会を与え、経済活動に組み入れるための手段。 ← 債務者が経済的に破綻したことはその債務者の罪ではなく、債務者は経済活動の波に翻弄された被害者であるという認識。 |
各国の倒産手続 | |||
米国 | 主要倒産手続 | 清算手続(第7章) | |
企業の再建手続(第11章) | |||
個人の再建手続(第13章) | |||
地方公共団体の倒産手続(第9章) | |||
農業事業者の倒産手続(第12章) | |||
債務者更生主義 | 第7章手続の免責、第11章・第13章の再建型手続 | ||
特徴 | 早期申立 | ||
DIP制:占有債務者(Debtor in Possession)として管財人と同様の権限を行使の徹底。 | |||
債権者の主導性(裁判所・監督機関の任務の限定) | |||
第11章手続(会社の再建手続)) | 企業の経営戦略の一環として利用。 事業が停滞状態に陥った企業にとって、リストラ・事業再編や事業譲渡を円滑に進めるために、倒産手続を利用。 |
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債務者が申し立てる場合には倒産原因(支払不能等)を要せず、申立により手続が開始し、債権者のすべての取立行為が自動的に停止(automatic stay)する。 | |||
手続が開始しても、債務者は原則として事業の経営権を失わず、占有債務者(Debtor in Possession)として管財人と同様の権限を行使。(債務者が有利) | |||
債権者の利益を保護するために補充するのが債権者の主導性。 原則として債権者委員会が組織され、手続上の重要な事項については債権者委員会の同意が必要。 ⇒ DIP債務者は、手続の節目ごとに債権者団と交渉しながら手続を進行し、裁判所は債務者・債権者間に争いが生じた場合に法的な最低を下す中立的な役割に専心する。 |
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第13章手続(個人の再建手続) | 手続開始後の一定期間の債務者収入等を弁済の原資として債務の一部を弁済することにより残債務の免責を受ける。 (個人再生手続のモデル。) |
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住宅は自動車を有する債務者にとって、それを失わないで将来収入からの弁済により更生を図ることができる。 but 資産のない債務者にとっては、13章手続を利用するインセンティブはない。 |
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一定の収入を有し債権者に一定額の弁済が可能である債権者には、第7章手続(清算手続)の申立を却下し、事実上第13章手続を強制使用とする発想。 | |||
ドイツ | 経緯 | 1970年代から倒産法改正の作業が進められ、1994年に新たな倒産法が制定。 | |
特徴・手続 | 従来の破産と和議という2本立ての手続から、新たに単一の倒産手続が創設され、申立の段階では清算手続か再建手続かを決めずに申立をすることが可能。 | ||
原則として倒産管財人が選任され、清算か再建かなど手続上の重要な事項については、最終的に倒産処理計画の形で管財人により提示され、債権者集会の多数決により決定される。(倒産処理計画案が出されない場合は、清算が行われる。)(債権者の決定権の重視というアメリカ制度の影響) | |||
新法は債権者の多数決に基づかない免責を初めて導入。 but厳しい要件: @債務者は受託者に倒産後6年間の給与債権の差押可能部分を譲渡しなければならず、受託者はそれを債権者に配当する。 Aその6年間は、債務者は自己の能力を生かした職業活動に従事する努力義務を負い、その期間が経過して初めて免責を受けられる。 (「契約は守られるべし」という債務者モラルの重視) |
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倒産手続開始の申立書には裁判外で和解が成立しなかった旨の証明書の添付が要求され、倒産ADRが事実上裁判手続に前置される。 | |||
フランス | 経緯 | 1985年に制定されたもの。 従来破産と和議の2本立の手続が倒産手続に一本化。 |
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特徴・手続 |
雇用確保に配慮して倒産手続を構成。 | ||
全ての事件についてまず必ず再建手続を開始し、再建の可能性について審査する調査期間を設定し、調査の結果、再建が困難と判断された企業について清算手続を別途開始する。 | |||
再建可能性の判断は裁判所によってなされ、債権者の多数決は必要とされない。(ドイツと異なる。) | |||
再建の重要な手法として、譲渡計画という事業場とによる処理を認める。 譲渡計画に際しては、譲受企業による雇用の確保が重視され、譲受代金が安くても、確保される雇用の数が多ければ譲渡が認められるという運用。 |
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1994年の改正では、再建がおよそ不可能な企業については直ちに清算手続きを開始することを認め、事業譲渡についても債権者の利益を重視する方向で修正。 | |||
2005年の改正では、アメリカの11章手続に類似したDIP型の再生手続を創設。 | |||
消費者倒産 | 従来は、懲戒主義の伝統により免責を一切認めなかった。 | ||
1989年の新法で民事更生手続を設ける。 but 5年間の弁済期間の猶予や利息の減免を認めるに止め、元本の減免は基本的に許されない。 |
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1998年の法改正: 弁済計画による弁済がおよす不可能な債務者について、3年間の範囲内で支払を停止し、その期間が経過しても状況に変化がない場合には、債務の元本の免除が認められる。 |
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裁判所における更生手続に事実上前置されるものとして、過剰債務状態審査委員会という行政委員会における倒産ADRの手続が設けられる。 |