シンプラル法律事務所
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論点整理(監査役・監査関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

監査役 
員数 監査役会設置会社では、3人以上で、かつ、その半数以上(半数でOK)が社外監査役である必要。 (335B)
社外監査役   株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社またはその子会社の取締役、会計参与もしくは執行役または支配人その他の使用人となったことがないもの(2O)
任期 4年(選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで) (336@)
定款等での短縮は不可。(←独立性保障)
非公開会社では、定款により10年まで伸張可。(336A)
補欠監査役の任期は、定款により、退任した監査役の任期満了までとできる。(336B、尚C)
兼任禁止 @自社または子会社の取締役との兼任(法335条2項) 
A自社または子会社の使用人との兼任(法335条2項)
労災保険の給付など、従業員としての身分に基づく保護を受けることもできない。
B他社の役員との兼任:
一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合は、独禁法の規制により、国内の他の会社の取締役、監査役等の役員はもちろん、従業員を兼任することもできない。(独禁法13条1項)
権限  取締役の職務を監査する機関(381@)
会計の監査を含む会社の業務全般の監査に及ぶ。
監査:業務執行の法令・定款違反または著しい不当性の有無をチェックし指摘すること。
適法性監査に限る(妥当性監査には及ばない)
←妥当性については取締役会の監督昨日においてチェックするのが適切。
取締役の職務の執行が著しく妥当性を欠く場合は、それが取締役の善管注意義務・忠実義務違反とされるので、この点における妥当性監査は「適法性監査」に含まれる。
監査報告の作成(381@、規則105、計算規則150(会計監査人がいない場合)、155(会計監査人設置会社の監査役の場合))
調査権:関係者から事業の報告を求め、自ら会社の業務及び財産の調査をする権限を有する。(381A)
子会社の調査権(381BC)
義務  不正行為の取締役会への報告:取締役の職務の執行に関し不正の行為 ・法令・定款に違反する事実・著しく不当な事実を発見したときに、取締役会に報告する義務。(382)
取締役会への出席・意見:取締役会に出席する義務を負い、必要な場合には、意見を述べなくてはならない。(383@)
尚、特別取締役による取締役会(373@)の場合(383@但書)。
株主総会関係書類の調査と総会への報告:取締役が株主総会に提出しようとする議案・書類その他法務省令で定めるもの(電磁的記録その他の資料)(規則106)を調査する義務。法令・定款違反または著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を株主総会に報告する義務(384)。
差止請求と会社代表  @取締役が会社の目的の範囲外の行為その他法令・定款違反の行為をし、またはこれらの行為をするおそれがある場合で、
Aその行為によって会社に著しい損害が生じるおそれがあるときは
その取締役に対し、その行為の差止めを請求することができる。(385@)
仮処分の担保不要。(385A)
次の場合は、監査役が会社を代表する
@取締役・会社間の訴訟(386@)
A取締役の責任を追及する訴えの提起の請求(株主代表訴訟の前段階の請求)(386A(1))
B株主代表訴訟の訴訟告知及び和解に関する通知・催告を受けること(386A(2))
報酬等 定款又は株主総会の決議で定める。(387@)
監査役が2人以上の場合で各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がない場合、定款又は総会で定めた範囲内で、監査役の協議で定める。(387A)
監査役は、株主総会で、監査役の報酬等について意見を述べることができる。(387B)
その職務の執行について、会社に@費用の前払い、A支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還、B負担した債務の債権者に対する弁済(弁済期にない場合には担保の提供)を請求できる。(388)

監査の実施
監査体制 独任制と協力体制 大会社(公開会社でない会社および委員会設置会社を除く)は、すべての監査役で組織する監査役会の設置が義務付けられる。(法328条1項)
監査役は、独任制の機関⇒それぞれが独立して、階差の業務・財産の状況を調査する必要。
監査役会の決議により、職務の分担を定めた場合、自己の分担部分以外は注意義務が軽減される。
合理的な職務分担が定められている場合で、善管注意義務をもって、他の監査役の監査結果を相当と判断したときは、その結果に基づき、自己の監査の結果を表明することも認められる。
but
監査結果の相当性に疑念があるときなどは、他の監査役の監査結果に依拠してはならず、さらに調査するなどの対応が必要。
監査役会の監査報告では、一定の場合に各監査役による監査役監査報告の内容を付記することもできる。(会規130条2項、計規151条2項、156条2項)
監査役は、他の監査役や親会社・子会社の監査役などと意思の疎通や情報の交換を図るように努めなければならない。(会規105条4項)
特に非常勤の監査役は、会社の日常の業務執行について情報が不足しガ値となるので、常務監査役や内部監査部門などから適宜情報を受けて、意思疎通を図る必要。
公正不偏の態度および独立の立場を保持しなくてはならない。(会規105条3項)
大会社(公開会社かどうかを問わない)には会計監査人が置かれ(法328条)、その他の監査役設置会社も任意で会計監査人を設置することができる。(法327条3項)
会計監査については、監査役の会計監査人の双方が会計監査を行う。

監査役は会計監査人の監査報告について説明を求めたり、監査に関する報告を求めたりする必要。
会計監査人は、その職務を行うに際して、取締役・執行役の職務の執行に関し、不正の行為または法令・定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく監査役(会)に報告しなければならない。(法397条)
補助者・内部監査部門との関係 監査役の補助者:
会社の使用人を補助者とした場合、取締役からの独立性が確保されていることが求められる。 
内部監査部門との関係:
内部監査部門による監査とその結果は、監査役が監査を行うにあたって重要な情報となる。⇒内部監査部門の使用人との意思疎通を図り、情報の収集および監査の環境の整備に努めなければならない。
取締役会は、そのための必要な体制の整備に留意する必要。(会規105条2項)
内部監査部門:代表取締役の指揮命令下で、使用人による会社の職務の執行が適正に行われているかどうかを監査。
監査役:代表取締役その他の取締役の職務の執行を監査。
監査役の職務と権限 業務監査と会計監査  監査役は、原則として取締役の職務の執行を監査する(業務監査。法381条1項) 
公開会社でない会社(監査役会設置会社および会計監査人設置会社を除く)は、定款の定めにより監査の範囲を会計に関するもの(会計監査)に限定することができる。(法389条1項)
監査役の権限・義務 監査の範囲が会計に関するものに限定されている場合は、業務監査の遂行のための権限もなく、是正する義務はない(法389条7項)。 
適法性監査と妥当性監査 適法性監査に限る(妥当性監査には及ばない)
←妥当性については取締役会の監督機能においてチェックするのが適切。
取締役の職務の執行が著しく妥当性を欠く場合は、それが取締役の善管注意義務・忠実義務違反とされるので、この点における妥当性監査は「適法性監査」に含まれる。
業務監査 業務監査の対象  業務監査:監査役が行う監査業務のうち、取締役の業務執行について法令、定款違反が無いかどうかを監査すること。
経営上の判断の妥当性は取締役の判断によるが、裁量の範囲を超えるような場合には、善管注意義務違反の問題が生じ、業務監査の範囲となる。 
経営判断の合理性
取締役が次のような点を踏まえて意思決定のプロセスを経て業務執行を行っているかどうか、監査する必要。
@取締役の経営上の判断は、必要な情報を集めたうえで慎重に検討されたものであること。
A企業人の経験と識見に基づきお合理的な計算により判断されたものであり、合理的な根拠を有すること。
B取締役が利害関係を有するものであって会社の利益に反する結果となるようなことはないこと。(忠実義務違反の不存在)
C当該判断が法令・定款違反の結果を引き起こすものではないこと。
子会社に対する監査:
子会社は別法人であるものの、連結経営の視点からは親会社に対して影響があるため、必要な範囲で親会社の監査役は子会社に対する業務調査権限を持つ。(法381条3項)
親会社の監査役には子会社の監査役と情報交換・意思疎通する努力義務が課されている。(会規105条4)
監査の実施 監査の実施方法:
取締役からの経営情報の入手、監査や結果違法行為を発見した場合の措置等、さまざまな権限および義務を付与。
これらの権限を行使して会社の業務執行に関する情報を収集したうえで取締役の業務執行に違法性がないか調査し、かりに問題があった場合にはその是正を図っていく。 
内部統制システム 監査役は、業務監査により、法令・定款違反が行われているかのみならず、業務の適正を確保する仕組みである内部統制システムが構築・運用されているかについても監査を行う。
「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」(内部統制システム)を取締役会において決議することが義務付けられ、事業報告に記載する必要。(法362条4項6) 
内部統制システムの整備の具体的な水準については、各社の判断に委ねられており、それぞれの会社の実態・特性に応じて個別に判断し、構築して行くことが必要。
⇒監査役としても、必要かつ最適な水準でこれが構築・整備されているかどうかについて、自社の個別事情から判断。
法令上内部統制システムに要求されている項目(会規100条):
@取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
A取締役の職務の執行にかかる情報の保存および管理に関する体制
B損失の危険の管理に関する規程その他の体制
C取締役の職務が効率的に行われることを確保するための体制
D使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
E当該会社ならびにその親会社および子会社からなる企業集団における業務の適正を確保するための体制
F監査役がその職務を補助すべき使用人(補助使用人)を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
GFの補助使用人の取締役からの独立性に関する事項
H取締役および使用人が監査役に報告するための体制その他の監査役への報告に関する体制
Iその他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査役(会)においては、内部統制システムに関する事項に関する決定または決議の内容が記載された事業報告およびその附属明細書を受領したときは、当該内容を監査し、その内容が相当でないと認めるときはその旨およびその理由を監査報告の内容としなくてはならない。(会規129条1項5号、130条2項2号)
会計監査
(会計監査人設置会社の場合)
会計監査とは  会計監査人設置会社の場合、会計監査人による会計監査の方法または結果の相当性を監査することにより、間接的に会計監査を遂行する。 
会計監査人による監査の方法または結果が相当でないと判断した場合は、独自に会計監査を遂行するとともに、当該監査人の解任などを検討する。
内容:
@会計帳簿に記載すべき事項に記載漏れや不実の記載がないか
A会計帳簿に営業上の財産とその価額が正しく記載されているか
B計算書類が会計帳簿に基づいて正確に記載されているか
C計算書類が法令に従い階差の財産、損益の情報を正しく表示しているか
D計算書類に関する会計方針の変更が相当か
E附属明細書(会計に関する部分)に記載すべき事項に記載漏れや不実の記載または計算書類の記載と合致しない記載はないか
監査役は、連結計算書類を監査する必要もある。(法444条4項)
当該監査を受けた連結計算書類は、取締役会の承認を受けなければならず(法444条5項)、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、会社計算規則162条の規定に従い、株主に対し、当該承認を受けた連結計算書類を提供する。(法444条6項)
取締役は、当該取締役会で承認を受けた連結計算書類を定時株主総会に提出または提供し、当該内容および監査結果を報告。(法444条7項)
会計監査人による監査の相当性に関する監査 大会社における会計監査人の設置を義務づけ(法328条、327条5項) 、決算手続において、会計監査人が計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表(法435条2項、計規91条1項))およびその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類を監査(法396条1項)。
監査役は、会計監査人による監査に関して、当該監査の方法または結果の相当性を監査する。(計規155条)
方法 (ア)会計監査の方法に関する報告聴取、現地調査への立会い:
会計監査人の策定する監査計画、重点監査項目および中間決算に関する報告等を聴取し、各事項の相当性を判断。
会計監査人による監査が必要とされる水準の手段を用い、必要事項に対して網羅的に漏れなく監査が実施されているかどうかについて、評価を行う。
受取手形その他有価証券等重要な資産の所在についての実地調査への立会い。
(イ)会計監査の結果に対する相当性の評価:
会計監査人から聴取した監査の報告内容を検証する必要があるとともに、監査役も重点監査項目について会計監査を行い、当該監査結果をもって会計監査人の監査結果を検証。
@損益計算書・貸借対照表の主な項目の内容分析
(i)損益計算書における売上高の変化と受取手形、売掛金増減との関連性の検証
(ii)損益計算書における労務費の増減とその要因(従業員数、春季交渉結果との整合性)
(iii)引当金の適法性確認
A損益計算書・貸借対照表の注記事項の適法性確認
B現金、預金等の金銭出納検査の結果報告の確認
会計監査人による監査に対する監査役(会)の権限 @会計監査人からの取締役の不正行為の報告聴取:
会計監査人は、会計監査の遂行過程において、取締役の職務の執行に関して不正の行為または法令・定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく監査役会に報告しなくてはならない。(法397条1項、3項)
A会計監査人に対する報告請求:
監査役は、その職務を行うために必要があるときは、会計監査人に対し、当該監査に監査に関する報告を求めることができる。(法397条2項)
監査計画・監査規程・監査費用 監査計画の策定  次のような事項につき、監査役会で、あるいは取締役や関係部門と協議・確認しておくべき。
@取締役会その他の出席すべき重要会議の日程
A本社各部門、各事業所の実地調査について、実地調査すべき資料・資産等のリストアップ、調査日程・方法等
B内部監査部門等の監査日程
C決算・株主総会および中間決算のスケジュール
D必要に応じて、監査役間の協議や取締役からのヒアリングのスケジュール化。 
監査と事業年度 未就任期間3か月の状況について、
@前任者から事務の引継ぎをうけ又は他の在任者からの説明を受ける。
A前任者または他の在任者の監査関係書類やその機関の監査役会議事録、取締役会議事録その他の重要書類を閲覧する。
B在任取締役や使用人から当該期間の事情を聴取する。 
Cその他必要に応じて実地調査等を行う。
監査に関する規程の整備 @監査役間の決議および協議に関する事項、大会社においては監査役会の運営(招集権者および議長、招集手続など)に関する事項
A監査計画の策定に関する事項
B会計監査人との連係に関する事項
C監査役補助者に関する事項
D監査費用その他監査事務に関する事項
E具体的な監査方法に関する事項
(i)出席すべき重要会議の範囲
(ii)回覧すべき重要書類の範囲
(iii)事業所等の実地調査の範囲
(iv)子会社情報の調査の方法
(v)無償の利益供与についての調査の方法 
監査費用の請求 監査に必要な費用の前払いまたは立替費用の償還を請求できる。(法388条)
←監査役の独立性を財務面からも確保するためのもの。
往査のための旅費や事務用の文具・機器の経費等。
取締役が監査費用の前払いや償還を理由なく拒否⇒取締役法令・定款違反行為として取締役会に報告する。(法382条)


監査役・監査役会の権限・義務(監査範囲が会計に限定されていない場合) 
監査役 監査役会
(1)一般的な調査権限 @取締役の職務の執行の監査権(法381条1項)  @監査方法、会社の業務および財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定(法390条2項3号)
A常勤監査役の選定・解任(法390条2項2号、3項) 
(2)調査・報告に関する権限 @取締役・会計参与・使用人に対する報告請求権、業務財産状況調査権(法381条2項)  @監査役からの職務執行状況について、報告を受領(法390条4項) 
A子会社に対する報告請求権、業務財産状況調査権(法381条3項)
B取締役会から会社に著しい損害を及ぼすおそれがある事実について、報告を受領(法357条1項) A取締役から会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実について、報告を受領(法357条2項)
C会計監査人に対する報告請求権(法397条2項)
D会計監査人から取締役の職務に関し、不正の行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実について、報告を受領。(法397条1項) B会計監査人から取締役の職務の執行に関し、不正の行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実について、報告を受領(法397条3項)
(3)決算における監査に関する権限 @計算書類・事業報告・附属明細書の監査(法436条1項、2項) @監査報告の作成権限(法390条2項1号、会規130条、計規151条、156条) 
A臨時計算書類の監査(法441条2項)
B連結計算書類の監査(法444条4項)
C監査報告の作成(法381条1項、会規105条、129条1項、計規150条1項、155条1項) A監査役から監査役監査報告の受領(会規130条1項、計規151条1項、156条1項)
D会計監査人に対する報告請求権(法397条2項)
E会計監査人の会計監査報告の受領(計規158条)
(4)取締役会に関する権限・義務 @取締役会への出席義務および意見陳述義務(法383条1項)   
A取締役会への報告義務
(取締役が不正の行為もしくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、または法令もしくは定款に違反する事実もしくは著しく不当な事実があると認めるとき)(法382条)
B取締役会の招集請求権および招集権(法383条2項・3項)
C特別取締役による取締役会への出席義務
(互選により出席する監査役を定めることが可能)(法383条1項但書)
(5)株主総会に関する権利・義務 @株主総会における説明義務(法314条)   
A株主総会提出議案、書類、電磁的記録その他の資料の調査・報告義務(法384条、会規106条)
(6)監査役等の地位に関する権限 @監査役の選任議案の提出に対する同意権(法343条1項)  @監査役の選任議案の提出に対する同意権(法343条1項・3項) 
A監査役選任にかかる議題及び議案提出請求権(法343条2項) A監査役選任にかかる議題および議案提出請求権(法343条2項・3項)
B監査役の選任・解任・辞任の場合の意見陳述権(法345条1項〜4項)
C会計監査人の選任議案ならびに解任および不再任議題の提出に対する同意権(法344条1項) B会計監査人の選任議案ならびに解任および不再任議題の提出に対する同意権(法344条1項・3項)
D会計監査人の選任議案提出請求権ならびに会計監査人の選任、解任および不再任議題提出請求権(法344条2項) C会計監査人の選任議案提出請求権ならびに会計監査人の選任、解任および不再任議題提出請求権(法344条2項・3項)
E会計監査人の報酬等決定同意権(法399条1項) D会計監査人の報酬等決定同意権(法399条1項・2項)
F各監査役の報酬等についての協議権(法387条2項)
G報酬等に関する意見申述権(法387条3項)
H監査費用等請求権(法388条)
I一時会計監査人の選任権(法346条4項) E一時会計監査人の選任権(法346条4項・6項
(7)監督是正措置に関する権限 @取締役の目的外行為、法令・定款違反行為差止請求権(法385条1項)   
A各種の訴え提起権(法828条2項、831条1項)
(8)その他の権限・義務 @会社と取締役間の訴訟の代表権(法386条)  
A会社設立手続の調査義務(法93条)
B株主代表訴訟における会社が補助参加する場合の同意(法849条2項1号)
C監査役会招集権(法391条)

監査役と取締役会・取締役 
取締役会との関係 出席・意見陳述 取締役会に出席する義務があり、必要があれば意見を述べなくてはならない(法383条1項)。
取締役は取締役会への業務執行状況の報告義務が課せられているから、取締役会に出席することで、監査に必要は情報を得ることができる。
取締役会で意見を述べることにより、取締役会が違法な決議をするのを阻止できる。
取締役会議事録への署名 取締役会に出席した監査役は、取締役会議事録に署名(記名押印)しなければならない。(法369条2項)
監査役が意見を述べたのに、議事録にそれが正確に記載されていない場合には、議事録の訂正を求める。
取締役との関係 取締役に対する報告請求  監査役は、いつでも、取締役に対して事業の報告を求めることができる。(法381条2項)
会社の秘密であること等を理由として報告を拒否することはできない。
取締役が監査役の監査を妨げたり、非協力的なため監査役が必要な資料を得られず、その結果、監査をすることができない事態が生じたりしたときは、監査報告にその事実を記載
取締役の重大な違反行為として指摘すべき場合が生じる。(会規129条1項3号、4号) 
取締役からの報告受領 取締役は、会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに監査役(監査役会設置会社においては監査役会)にこれを報告する義務がある。(法357条) 
「著しい損害を及ぼすおそれのある事実」:
必ずしも違法な行為によるものであることを要さず、発見したときは、直ちに報告することを要する。
代表取締役に対する通知 株主総会の授権に基づき、協議のうえ、各監査役の報酬および賞与配分を決定した場合ならびに退任監査役の退職慰労金の支給額等を決めた場合、それらを代表取締役に通知。
監査役会設置会社において、常勤の監査役を選定したときは、監査役は代表取締役に通知し、これに基づいて代表取締役が取締役会で報告。
取締役の違法行為への対応 取締役会への報告 @取締役が不正の行為をし、もしくは、そのような行為をするおそれがあると認めるとき、または
A法令・定款に違反する事実もしくは著しく不当な事実があると認めるときは、
遅滞なく、その旨を取締役会に報告しなければならない。(法382条) 
取締役がなすべき行為をしない(不作為の)場合、またはそのおそれがある場合も、報告義務の対象となる。
報告を要する程度のものかどうかは、取締役の不正行為等を放置すれば会社に無視できない損害を生じる危険があるかどうかが一応の判断基準。
取締役会に取締役の違法行為等の是正措置を講ずる機会を与えるため。
取締役会の招集請求・招集  @招集請求:
取締役会への報告の場を確保するために、監査役に取締役会招集請求権が与えられている。(法383条2項) 
A招集:
監査役から取締役会の招集請求があったにもかかわらず、5日以内に召集権者が請求日から2週間以内の日を会日とする招集通知を発しないときは、請求をした監査役は、みずから取締役会を招集できる。(法383条3項)
差止請求 取締役か会社の目的の範囲外の行為その他法令もしくは定款に違反する行為をし、または、これらの行為をするおそれがある場合において、その行為によって会社に著しい損害を生ずるおそれがあるときには、監査役は、取締役に対してその行為を差止めるよう請求することができる。(法385条) 
監査役が差止請求⇒取締役がこれに応じて行為を止めない⇒差止請求訴訟を提起。
取締役の不正行為等を緊急に差し止める必要がある場合は、監査役は、裁判所に対して、取締役の不正行為等の差止めを命じる仮処分の申請を行う。
会社と取締役との訴訟における監査役の役割 会社代表  監査役設置会社が取締役に対し訴えを提起する場合(株主からの請求により、監査役設置会社が取締役に対して訴えを提起する場合を含む)または取締役が監査役設置会社に対し訴えを提起する場合には、監査役が監査役設置会社を代表して訴訟を行う。(法386条1項) 
取締役が取締役の資格で相手方となる場合(取締役の違法行為に対する損害賠償請求の訴え、取締役による株主総会決議取消しの訴えなど)のみならず、個人の資格で相手方となる場合(取締役に対する貸金返還請求の訴え、取締役による取締約報酬請求の訴えなど)も含まれる。
←会社と取締役との間の訴訟では、他の取締役が会社を代表すれば馴れ合いの危険があり、取締役から独立している監査役が会社を代表したほうが、より公正に訴訟を行うことができる。
株主が会社に対して取締役の責任を追及する訴えの提起を請求する場合も、その請求は監査役に対してなされる。(法386条2項)
会社の補助参加に関する同意 株主代表訴訟において、会社が訴訟の結果について利害関係を有する場合、被告となった取締役を補助するために、会社は訴訟に参加(補助参加)できる。
会社が参加する旨の申出をする場合には、会社としての判断の適正を期するため、各監査役の同意が必要となる。(法849条2項)
不提訴理由通知書 株主が会社に対し取締役の責任を追及うる訴えの提起を請求した場合で、監査役が請求の日から60日以内に訴えを提起しなかった場合当該株主から請求を受けた時は、監査役は遅滞なく「訴えを提起しない理由」を書面または電磁的方法により通知しなければならない。(法847条4項) 
不提訴理由通知書には、調査の内容(責任の有無の判断の基礎として資料を含む)、取締役の責任または義務の有無についての判断、ならびに取締役に責任または義務があると判断した場合において、責任追及等の訴えを提起ししないときはその理由を記さなければならない。(会規218条)

監査役・監査役会の監査報告の作成(会計監査人設置会社で監査役会設置会社)
★会計監査報告に係る記載事項   会計監査報告に係る記載事項
■監査役の監査報告   ■監査役の監査報告
規定 会社計算規則 第127条(会計監査人設置会社の監査役の監査報告の内容)
会計監査人設置会社の監査役は、計算関係書類及び会計監査報告(第百三十条第三項に規定する場合にあっては、計算関係書類)を受領したときは、次に掲げる事項(監査役会設置会社の監査役の監査報告にあっては、第一号から第五号までに掲げる事項)を内容とする監査報告を作成しなければならない。
一 監査役の監査の方法及びその内容
二 会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及びその理由(第百三十条第三項に規定する場合にあっては、会計監査報告を受領していない旨)
三 重要な後発事象(会計監査報告の内容となっているものを除く。)
四 会計監査人の職務の遂行が適正に実施されることを確保するための体制に関する事項
五 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由
六 監査報告を作成した日
説明 監査役は、計算関係書類および会計監査報告を受領したときは、次の@〜Dに掲げる事項を内容とする監査報告を作成(会社計算規則127条)。
@ ●@監査役の監査の方法及びその内容(会社計算規則127条1号)
監査役の監査の方法のみならず内容も開示させることで、監査についての株主・債権者等からの信頼性を確保
A ●A会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及びその理由(2号)
監査役がこの相当でない旨を記載しないことが、計算書類を報告事項とするための要件(会社計算規則135条)
B ●B重要な後発事象(会計監査報告の内容となっているものを除く。)(3号)
会計監査報告の作成日までに起きた重要な後発事項は会計監査報告に記載
⇒監査役会監査報告では除外。
会計監査報告の作成後に起きた重要な後発事象については監査役会監査報告で記載するべき対象となる。
C △C会計監査人の職務の遂行が適正に実施されることを確保するための体制に関する事項(4号)
監査役が会計監査人の監査の方法が相当であるかを判断する上で考慮にいれるべき事項⇒監査報告の対象。
D ●D監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由(5号)
監査報告の信頼性の限界を示すという側面のほか、これを開示することで監査に対する社内(子会社を含む)の協力を動機づけることを目的としている。

監査役会の監査報告
  ■監査役会の監査報告 
規定 会社計算規則 第128条(会計監査人設置会社の監査役会の監査報告の内容等)
会計監査人設置会社の監査役会は、前条の規定により監査役が作成した監査報告(以下この条において「監査役監査報告」という。)に基づき、監査役会の監査報告(以下この条において「監査役会監査報告」という。)を作成しなければならない。
2 監査役会監査報告は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。この場合において、監査役は、当該事項に係る監査役会監査報告の内容が当該事項に係る監査役の監査役監査報告の内容と異なる場合には、当該事項に係る各監査役の監査役監査報告の内容を監査役会監査報告に付記することができる。
一 監査役及び監査役会の監査の方法及びその内容
二 前条第二号から第五号までに掲げる事項
三 監査役会監査報告を作成した日
3 会計監査人設置会社の監査役会が監査役会監査報告を作成する場合には、監査役会は、一回以上、会議を開催する方法又は情報の送受信により同時に意見の交換をすることができる方法により、監査役会監査報告の内容(前項後段の規定による付記を除く。)を審議しなければならない。
会社法 第393条(監査役会の決議)
監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行う。
説明 監査役会は、監査役が作成した監査報告に基づき、次のE〜Gに掲げる事項を内容とする監査役会監査報告を作成する必要(会社計算規則128条)。
監査役会の結論は多数決で決せられるが(会社法393条1項)、これらの事項について異なる意見を有する監査役は、当該事項に係る自らの監査役報告の内容を監査役会監査報告に付記することができる(会社計算規則128条2項)。 
E E監査役及び監査役会の監査の方法及びその内容(会社計算規則128条2項1号)
F F前記A〜Dまでに掲げる事項(2号) 
G G監査役会監査報告を作成した日(3号)
監査役会監査報告の内容を通知すべき日までに通知しないときは監査役会の監査を受けたものとみなされる(会社計算規則132条3項)
⇒作成日付を記載。
    業務監査事項に関する留意点 
    事業報告および附属明細書については、監査役による監査を受けることになる。
  ■監査役の監査報告
規定 会社法施行規則 第129条(監査役の監査報告の内容)
監査役は、事業報告及びその附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項(監査役会設置会社の監査役の監査報告にあっては、第一号から第六号までに掲げる事項)を内容とする監査報告を作成しなければならない。
一 監査役の監査(計算関係書類に係るものを除く。以下この款において同じ。)の方法及びその内容
二 事業報告及びその附属明細書が法令又は定款に従い当該株式会社の状況を正しく示しているかどうかについての意見
三 当該株式会社の取締役(当該事業年度中に当該株式会社が委員会設置会社であった場合にあっては、執行役を含む。)の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったときは、その事実
四 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由
五 第百十八条第二号に掲げる事項(監査の範囲に属さないものを除く。)がある場合において、当該事項の内容が相当でないと認めるときは、その旨及びその理由
六 第百十八条第三号に規定する事項が事業報告の内容となっているときは、当該事項についての意見
七 監査報告を作成した日
2 前項の規定にかかわらず、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社の監査役は、前項各号に掲げる事項に代えて、事業報告を監査する権限がないことを明らかにした監査報告を作成しなければならない
説明 監査役は、監査報告およびその附属明細書を受領したときは、次の@〜Eに掲げる事項を内容とする監査報告を作成する必要(会社法施行規則129条)。 
@ ●@業務監査の方法・内容(会社法施行規則129条1項1号) 
ex.取締役会その他の重要な会議への出席、重要な決済関係書類の閲覧、担当取締役や担当部長への質問回答、主要な事業所への往査、子会社の業務・財産の状況の調査など。
A ●A事業報告及びその附属明細書が法令又は定款に従い当該株式会社の状況を正しく示しているかどうかについての意見(2号)
事業報告・その附属明細書が法令および定款で要求されている記載事項がすべて記載されているかどうか、さらには記載されている内容が事実(会社の状況)と合致しているかどうかをチェックし、意見を述べる必要がある。
B   〇B取締役の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令・定款に違反する重大な事実があったときは、その事実(3号)
企業不祥事が起きた場合、当該不祥事の原因が職員の不正行為なのか取締役の不正行為なのかを確認し、取締役の不正行為が認められる場合には監査報告に記載するべきかどうかを検討。
「重大」かどうか:
質的・量的に判断。
@取締役の違法行為が会社の現在または将来の財産および損益の状況に重要な影響を与える場合
A違法行為の性質が悪質である場合(ex.忠実義務違反に該当する場合)
不祥事の原因が職員の不正行為にある場合でも、監査役会として不祥事の存在を認め、再発防止策等の対策を講じている旨を記載する例も多く存在。
ex.会社に対して業務改善命令が出された場合、職員が贈収賄罪・談合罪などで逮捕・起訴された場合、職員による不正流用などで損害を被った場合など。
職員による不正行為については、なぜ不正を防止できなかったのかという観点から、内部統制システムの相当性に関する意見として記載する例もある。
C ●C監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由(4号)
監査報告の信頼性と限界を示す。
これを開示することで監査に対する社内の協力(子会社を含む)を動機付ける。
  ●D大会社における「会社の業務の適正を確保するための体制」の整備についての取締役会の決議の内容が相当でないと認めるときはその旨およびその理由(5号)
取締役会設置の大会社においては、取締役会で、取締役の職務の執行が法令・定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備について決定しなければならない(会社法362条5項)【内部統制システム】。
内部統制システムの決定または決議の内容の概要については、事業報告に記載(会社法施行規則118条2項)。
監査役においても内部統制システムに係る取締役会の決議・決定の内容が相当かどうかを監査し、仮に相当でないと認めるときはその旨および理由を監査報告に記載することで、監視機能をより高めることが企図。 
「会社法制の見直しに関する要綱案」では、決定された内部統制システムが適切に運用されているかどうかについても事業報告の内容となり、監査対象となるとされている。
E ●E会社の財務および事業の方針の決定を支配する在り方に関する基本方針(いわゆる買収防衛策等)が事業報告の内容となっているときは当該事項についての意見(6号)
  ■監査役会の監査報告 
規定 会社法施行規則 第130条(監査役会の監査報告の内容等)
監査役会は、前条第一項の規定により監査役が作成した監査報告(以下この条において「監査役監査報告」という。)に基づき、監査役会の監査報告(以下この条において「監査役会監査報告」という。)を作成しなければならない。
2 監査役会監査報告は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。この場合において、監査役は、当該事項に係る監査役会監査報告の内容と当該事項に係る当該監査役の監査役監査報告の内容が異なる場合には、当該事項に係る監査役監査報告の内容を監査役会監査報告に付記することができる。
一 監査役及び監査役会の監査の方法及びその内容
二 前条第一項第二号から第六号までに掲げる事項
三 監査役会監査報告を作成した日
3 監査役会が監査役会監査報告を作成する場合には、監査役会は、一回以上、会議を開催する方法又は情報の送受信により同時に意見の交換をすることができる方法により、監査役会監査報告の内容(前項後段の規定による付記の内容を除く。)を審議しなければならない。
F F監査役及び監査役会の監査の方法及びその内容(会社法施行規則第130条2項1号)
具体例は前記@と同様であるが、監査役会が決定した監査の方針(業務分担など)も監査の方法の1つ。
G G上記A〜Eまでに掲げる事項(2号) 
H H監査役会監査報告を作成した日(3号)
監査役会監査報告の内容を通知すべき日までに通知しないときは監査役会の監査を受けたものとみなされる(会社法施行規則132条3項)
⇒監査役会監査報告には作成日付を記載する必要。

監査日程
計算関係書類の監査 計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表)およびその附属明細書ならびに連結計算書類(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本変動計算書および連結注記表)を作成した取締役は、これらの計算関係書類を会計監査人に提供すると同時に、監査役にも提供しなければならない。(会社計算規則153条)
会計監査人は、計算関係書類の提供を受けて会計監査報告書を作成し(計規154条)、

計算書類およびその附属明細書については、
@当該計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日、
A当該計算書類の附属明細書を受領した日から1週間を経過した日、または
B特定取締役、特定監査役および会計監査人の間で合意により定めた日
のいずれか遅い日までに、

連結計算書類については、
当該連結計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日(特定取締役、特定監査役および会計監査人の間で合意により定めた日がある場合は、その日)までに、

特定監査役および特定取締役に対し、当該会計監査報告の内容を通しなければならない(計規158条1項)
計算関係書類および会計監査報告を受領した監査役は、監査報告を作成し(計規155条)、監査役会は、監査役の監査報告に基づき、会議開催または情報の送受信による同時意見交換によって1回以上審議し、監査役会の監査報告を作成しなければならない(計規156条)。
特定監査役は、
計算書類および附属明細書については、会計監査報告を受領した日から1週間を経過した日、または特定取締役および特定監査役の間で合意により定めた日のいずれか遅い日までに、
連結計算書類については、会計監査報告を受領した日から1週間を経過した日(特定取締役および特定監査役の間で合意により定めた日がある場合は、その日)までに、
特定取締役および会計監査人に対し、監査役会の監査報告の内容を通知しなければならない。(計規160条1項)
事業報告等の監査 事業報告およびその附属明細書を受領した監査役は監査報告を作成し(会規129条)、監査役会は、監査役の監査報告に基づき、会議開催または情報の送受信による同時意見交換によって1回以上審議し、監査役会の監査報告を作成しなければならない(会規130条)。 
特定監査役は、
@事業報告を受領した日から4週間を経過した日、
A事業報告の附属明細書を受領した日から1週間を経過した日、または
B特定取締役および特定監査役の間で合意した日、
のいずれか遅い日までに、特定取締役に対して、監査役会の監査報告の内容を通知しなければならない。(会規132条1項)
株主への提供および備置 監査役会の監査報告は、計算書類、連結計算書類、事業報告および会計監査報告とともに、定時株主総会の日の2週間前までに発送される招集通知に添付される(法437条、444条6項、会規133条、計規161条、162条)。
会社は、監査役会の監査報告を、計算書類、事業報告およびこれらの附属明細書ならびに会計監査報告とともに、定時株主総会の日の2週間前の日から本店に5年間、その写しを支店に3年間、備え置かなければならない。(法442条1項2項)
特定取締役/監査役 事業報告等の監査 特定取締役:監査報告の内容の通知を受ける者を定めた場合はその者、定めていない場合は事業報告およびその附属明細書の作成に関する職務を行った取締役を指す(会規132条4項)。
特定監査役:監査役会が監査報告の内容を通知すべき監査役を定めた場合は当該監査役、定めていない場合はすべての監査役を指す(会規132条5項)。
計算関係書類の監査 特定取締役:会計監査報告の内容の通知を受ける者を定めた場合はその者、定めていない場合は監査を受けるべき計算関係書類の作成に関する職務を行った取締役を指す(計規158条4項)。 
特定監査役:監査役会が会計監査報告の内容の通知を受ける監査役を定めた場合は当該監査役、定めていない場合はすべての監査役を指す(計規158条5項)。
取締役会で計算書類が確定できる要件 監査を受けた計算書類は取締役会で承認した後、定時株主総会に提出してその承認を受けなければならない。(法436条、438条2項)
会計監査人設置会社は、取締役会の承認を受けた計算書類が一定の要件を満たす場合には、定時株主総会の承認を受ける代わりに、報告事項とすることができる。(法439条)
要件
(会社計算規則163条) 
@計算関係書類についての会計監査報告の内容に無限定適正意見(会計計算規則154条1項2号イに定める事項)またはこれに相当する事項が含まれている。
A会計監査報告に係る監査役会の監査報告の内容として会計監査人の監査の方法または結果を相当でないと認める意見がないこと。
B会計監査報告に係る監査役会の監査報告に付記された内容がAの意見でないこと。
C計算関係書類が会計計算規則160条3項の規定により監査を受けたものとみなされたものでないこと。

■監査役と株主総会
出席義務 総会への出席義務について明文規定はない。
取締役と同じく、株主の質問に対して説明義務がある(法314条)⇒病気等のやむをえない事由がある場合を除き、株主総会に出席する義務がある。
株主総会提出書類の調査 取締役が株主総会に提出しようとする議案や書類等に、法令・定款違反または著しく不当な事項がないかどうかについて、調査しなければならない(法384条)。 
監査役選任に対する監査役会の同意権・提案権 趣旨:監査役会に一定の権限を付与することにより、取締役の恣意的な監査役の選任を排除し、監査役の地位の独立性を確保する。
取締役監査役選任に関する議案を株主総会へ提出するためには、監査役会の同意が必要。(法343条1項、3項)
監査役会は、具体的な候補者を示さないで監査役の選任を株主総会の議題とすること、および、具体的な候補者を示して監査役選任に関する議案を株主総会へ提出することを取締役へ請求することができる。(法343条2項、3項)
株主総会への報告・意見の陳述 報告事項 監査報告について改めて株主総会で報告する義務はないが、議長の指名により、監査役から監査役監査についての報告を行うのが通例。
複数の監査役がいる場合は、1人の監査役が代表してこれを行うのが一般的。 
取締役が株主総会に提出しようとする議案や書類等を調査し、法令もしくは定款に違反しまたは著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。(法384条)
会計監査人に職務上の義務違反、非行、心身故障など一定の事由があり、監査役の全員の同意により会計監査人を解任したとき(法340条1項、2項、4項)は、監査役会が選定した監査役は、その解任後最初に招集される株主総会で、解任の事実とその理由を報告しなければならない。(同条3項、4項)
この場合、解任された会計監査人は、意見を陳述することができる(法345条2項、5項)
書面投票制度を採用している会社では、監査役が報告すべき調査の結果の概要を株主総会参考書類に記載しなければならない。(会規73条1項2号)
意見の陳述 監査役は、株主総会において、監査役の選任もしくは解任または辞任、および監査役の報酬等(いわゆる退職慰労金・賞与を含む)について意見を述べることができる。(法345条1項、4項、387条3項)
書面投票制度を採用している会社では、監査役の意見の内容の概要を株主総会参考書類に記載する必要。(会規76条1項5号、80条3号、84条1項5号)
監査役を辞任した者は、その後最初に招集される株主総会に出席してその旨および理由を述べるこいとができる、他の監査役も辞任についての意見を述べるこいとができる。(法345条2項、4項)
株主の質問と説明義務 説明義務 株主総会における株主の質問に対し、取締役は業務執行全般にわたる事項について、各監査役は監査に関連する事項について、説明する義務がある。(法314条)
会社の業務執行に関する事項については、議長又は議長に指名された取締役が説明。
監査に関する事項については、監査役が説明。
監査役間の意見が同一であるものについては、かりに特定の監査役を指名してなされた質問であっても、他の監査役が代表して説明することができる。
監査役が株主の質問に対し十分説明をしないで株主総会の決議が強行された場合、その決議は決議の方法に瑕疵があるとして、株主から決議取消しの訴えを提起される可能性があり、また、監査役は、過料の制裁を受けることがある。(法831条1項1号、976条9号)
説明義務の範囲 監査役の説明義務の対象となる事項は、監査に関する事項
次の場合は説明を拒むことができる。(法314条但書、会規71条)
拒める場合 @質問事項が株主総会の目的事項に関しない場合:
「株主総会の目的事項」には、決議事項だけでなく、報告事項も含まれる。
⇒事業報告、貸借対照表および損益計算書の報告なども報告義務の対象となる。
A株主共同の利益を著しく害する場合:
説明することにより企業秘密が他に漏れ、その結果、会社の営業の支障を来し、株主が一般に不利益を被るような場合。
具体的に説明を拒絶できるか否かは、株主が得る利益と会社が被る損害との利益衡量により決せられる。
B調査をすることが必要である場合:
回答するには調査が必要であり、ただちに答弁できない場合。
株主総会の日より相当の期間前に質問事項を会社に対して通知された場合、調査が著しく容易である場合は、説明を拒めない。
C会社その他の者の権利を侵害することになる場合
D実質的に同一の事項について繰り返して説明を求める場合
Eその他正当事由のある場合
ex.法律会社に関する質問や、説明をすることにより自己又は会社が刑事責任を追及されるおそれがある場合、または調査をするには社会通念上相当な費用を要する場合。

監査役会 
設置義務  委員会設置会社の以外の大会社公開会社である会社は、監査役会を置かなくてはならない。(328@)
監査役会設置会社(2(10))では、監査役は3人以上で、その半数以上(半数で良い)は社外監査役(335B)
少なくとも1人は常勤監査役を選定しなければならない。(390B) 
常勤:定義なし。フル・タイムという意味。
社外監査役 過去に当該株式会社またはその子会社の取締役、会計参与もしくは執行役または支配人その他の使用人となったことがないもの(2(16)) 
権限等  全ての監査役で組織し、次の業務を行う。(390@A)
@監査報告の作成(規則105、計算規則151、156)
A常勤の監査役の選定及び解職
B監査の方針、監査役会設置会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定
監査役は、監査役会の求めがあるときは、いつでもその職務の執行の状況を監査役会に報告する必要(390C)。
運営 招集:
常設の機関ではなく、必要に応じて開催される。
召集権者が個々の監査役に通知して招集。(392@)
全員が同意すれば、招集手続なしで開催できる。(392A)
召集権は、個々の監査役にある。(391)
招集通知は1週間前までに発する。(392@(定款で短縮可))
通知に議題等を示す必要はない(取締役と同じ)。
決議:
監査役の過半数で決定(393@)
議決権の代理行使は不可。
決議に手続き上又は内容上の瑕疵がある場合、一般原則により決議は当然無効。
議事録:
法務省令で定めるところにより議事録を作成し、出席した監査役は署名又は記名押印する。(393AB、規則109)
議事録は、10年間本店に備え置く。(394@)
決議に反対した監査役は議事録に異議をとどめておかないと、決議に賛成したものと推定され、不利益を受けるおそれがある。(393C)
議事録の閲覧等  @株主:その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、議事録の閲覧・謄写を請求できる。
A会社債権者:役員の責任追及のため必要があるときは、裁判所の許可を得て、議事録の閲覧・謄写を請求できる。
B親会社社員(親会社の株主など):その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、議事録の閲覧・謄写を請求できる。(394AB)
裁判所は、閲覧または謄写をすることにより、会社・その親会社・その子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、許可をすることができない。(394C)

会計監査人 
設置義務等 会計監査人:計算書類の監査(会計監査)
大会社及び委員会設置会社は会計監査人をおく必要。(327D、328A)
それ以外の会社は任意。
資格 公認会計士又は監査法人(337@) 
員数 制限なし。 
任期 1年(選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結まで)(338@) 
定時株主総会において別段の決議がなされなかった場合は、再任されたものとみなされる。(338AB)
権限  計算書類等の監査:
計算書類(435A)・付属明細書、臨時計算書類(441@)、連結計算書類(444@)の監査(396@前段)
会計監査報告(396@後段)
会計帳簿の閲覧等: 
@会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧・謄写をし
A取締役(委員会設置会社では執行役・取締役)・会計参与・支配人その他の使用人に会計に関する報告を求めることができる。(396A)
子会社調査権 :
必要な場合、子会社に会計に関する報告を求め、会社またその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。(396B)
正当な理由がある場合は、報告・調査を拒否できる。(396C)
その他:
職務に当たり欠格事由ののある者を使用できない。(396D)
義務  不正行為の報告:
取締役の職務の執行に関し、不正の行為又は法令・定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、監査役(監査役会設置会社では監査役会)に報告。(397@B)
(委員会設置会社では、執行役・取締役の職務行為で、報告の相手は監査委員会)
監査役(委員会設置会社では監査委員会が選定した委員)は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人に、監査に関する報告を求めることができる。(397AC)
定時株主総会での意見陳述:
@計算書類等が法令又は定款に適合するかどうかについて監査役と意見を異にするときは、定時株主総会に出席して意見を述べることができる。(398@)
A定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、定時株主総会に出席して意見を述べなくてはならない。(398A)
報酬等 会社が定めるが、監査役(2人以上の場合過半数)の同意が必要。(399@)