シンプラル法律事務所
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論点整理(割賦販売法)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)



個別事案
★決済代行業者 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
★決済代行業者 
 
●意味
決済代行業者:カード会社(アクワイアラー)の加盟店資格を有しない販売業者(サイト業者)の代金決済について、アクワイアラーの包括加盟店となってクレジット決済を取り次ぐ事業者。

@販売業者のためのクレジット決済の利用を取り次ぐ業務という意義と
Aアクワイアラーのために加盟店拡大・契約獲得業務を代行する意義
を併せ持つ。 
●決済代行の利用手順と消費者との契約関係 
@消費者が、販売業者・サイト業者の画面で役務提供等の取引を行い、代金決済方法として「クレジット決済」を選択
A決済代行業者の画面(HP)に移動し、クレジットカード番号等を入力してクレジット決済を申し込む(カード情報は決済代行業者が受け付ける)。
B決済代行業者は、受け付けたクレジット申込み情報をアクワイアラーに取り次ぎ、アクワイアラーは、決済代行業者との間の包括加盟店契約に従って、立替払を実行⇒イシュアーとの間で立替金清算を行う。
Cクレジット請求書には、販売業者名欄に決済代行業者の名称や記号が記載されている。

消費者と決済代行業者との間には、消費者がクレジット決済申込みをカード会社に取り次ぐことを委託し、決済代行業者がこれをカード会社(アクワイアラー⇒イシュア―)に取り次ぐ事務処理を行うという、委託契約が存在?
●決済代行業者と消費者との委託契約の内容 
@委託契約の直接の事務は、クレジット申込み情報をアクワイアラーに取り次ぐことと、
Aアクワイアラーから受領した立替金を販売業者に交付すること
⇒決済代行業務の付随的義務として、サイト業者(販売業者)の不適切な取引によって消費者に不利益が生じないよう、自ら提携関係を結んだサイト業者について加盟店管理責任を負うものと解すべき?

@クレジットカード決済システムは、希望すれば利用できるものではなく、一定の審査を経て問題がないことが確認された後に加盟店として利用が認められる、安全であることが当然の前提となっているシステム。
A決済代行業者は、この安全であるべきシステムを、正規の審査を受けていない店子に事実上利用させている。
   
個別クレジット業者と販売業者等との間に立って、加盟店開拓や立替払いの仲介を行う決済代行業者は、割賦販売法の規制対象となる個別信用購入あっせん業者の定義に含まれない。
⇒登録制の対象でもない。 
but
個別クレジット業務を第三者に委託した場合の適正化義務(割販法35の3の20)
個別クレジット業者の販売業者等に対する適正与信調査義務(割販法35の3の5)
苦情発生時の適正処理義務(割販法35条の3の20)
は、仲介業者等の有無にかかわらず負う。

個別クレジット業者が仲介業者等を含むクレジット関係事業者の業務適正化に責任を負うことを規定。
★個別信用購入あっせんと4者型提携ローンの問題 
規定 第2条(定義)
4 この法律において「個別信用購入あつせん」とは、

カード等を利用することなく、
特定の販売業者が行う購入者への商品若しくは指定権利の販売又は特定の役務提供事業者が行う役務の提供を受ける者への役務の提供を条件として、
当該商品若しくは当該指定権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部に相当する金額の当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、
当該購入者又は当該役務の提供を受ける者からあらかじめ定められた時期までに当該金額を受領すること(当該購入者又は当該役務の提供を受ける者が当該販売業者から商品若しくは指定権利を購入する契約を締結し、又は当該役務提供事業者から役務の提供を受ける契約を締結した時から二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く。)をいう。
第35条の3の13(個別信用購入あつせん関係受領契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
購入者又は役務の提供を受ける者は、
個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者が
訪問販売に係る個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約又は電話勧誘販売に係る個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の締結について勧誘をするに際し
次に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は第一号から第五号までに掲げる事項につき故意に事実を告げない行為をしたことにより当該事実が存在しないとの誤認をし、
これらによつて当該契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、
これを取り消すことができる
一 購入者又は役務の提供を受ける者の支払総額
二 個別信用購入あつせんに係る各回ごとの商品若しくは権利の代金又は役務の対価の全部又は一部の支払分の額並びにその支払の時期及び方法
三 商品の種類及びその性能若しくは品質又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして特定商取引に関する法律第六条第一項第一号又は第二十一条第一項第一号に規定する主務省令で定める事項のうち、購入者又は役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
五 個別信用購入あつせん関係受領契約若しくは個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約の申込みの撤回又は個別信用購入あつせん関係受領契約若しくは個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約の解除に関する事項(第三十五条の三の十第一項から第三項まで、第五項から第七項まで及び第九項から第十四項までの規定に関する事項を含む。)
六 前各号に掲げるもののほか、当該個別信用購入あつせん関係受領契約又は当該個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは当該個別信用購入あつせん関係役務提供契約に関する事項であつて、購入者又は役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの

2 購入者又は役務の提供を受ける者が前項の規定により個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消しかつ当該個別信用購入あつせん関係販売契約又は当該個別信用購入あつせん関係役務提供契約が取消しその他の事由により初めから無効である場合には、
当該個別信用購入あつせん業者は、当該購入者又は当該役務の提供を受ける者に対し、個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者に対して交付をした商品若しくは指定権利の代金又は役務の対価の全部又は一部に相当する金額の支払を請求することができない

3 前項の場合において、個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者は、個別信用購入あつせん業者に対し、当該交付を受けた商品若しくは指定権利の代金又は役務の対価の全部又は一部に相当する金額を返還しなければならない。

4 第二項の場合において、購入者又は役務の提供を受ける者は、個別信用購入あつせん関係受領契約に関連して個別信用購入あつせん業者に対して金銭を支払つているときは、その返還を請求することができる

5 第一項の規定による個別信用購入あつせん関係受領契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもつて善意の第三者に対抗することができない。
6 第一項の規定は、同項に規定する個別信用購入あつせん関係受領契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十六条の規定の適用を妨げるものと解してはならない。
7 第一項の規定による取消権は、追認をすることができる時から六月間行わないときは、時効によつて消滅する。当該個別信用購入あつせん関係受領契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。
  ■4者型提携ローン(保証委託型クレジット)(p1205〜)
提携ローン:
信販会社が自己資金を超えてクレジット取引を拡大するについて、金融機関との間で包括的な債務保証を行ったうえで、購入者等から保証委託を受けて商品代金を金融機関の資金によって与信し、購入者等から保証料を受領するとともに、購入者等が支払を遅延したときは信用保証会社として代位弁済すし求償金請求を行う取引として登場。
訴訟の場では、
通常の3社型信用購入あっせんは「立替金請求」として現れるのに対し、
提携ローンは信用保証会社が代位弁済したうえで「求償金請求」として現れる。
●個別信用購入あっせんの該当性 
@個別信用購入あっせんは、特定の販売業者等が行う購入者等への消費な販売を条件とし、その代金相当額を当該販売業者等へ交付するという取引構造を要件としており、金員交付の基礎となる契約形式は限定していない。
A
提携ローンは、法形式的には、審判会社が資金出捐者ではなく保証人に過ぎないが、実質的には、購入者等の商品購入に際し信販会社が信用調査等を行うことにより販売促進する役割を果たしていること、
信販会社が自ら融資する代わりに提携先金融機関から資金を受領し販売業者に交付していること、
弁済金の集金業務も審判会社が代行していること、
支払が遅延すると信販会社が保証債務を履行して購入者等に対する求償金請求を行っていること
など、経済的機能においても資金の流れにおいても個別信用購入あっせんの定義に該当。

個別信用購入あっせんに該当。

提携ローンは、信用保証会社である信販会社を与信業者として位置づけて個別信用購入あっせん業者と評価することができる。
通商産業省産業政策局消費経済課長調和61年8月1日付通達「いわゆる提携ローンの取り扱いについて」は、「提携ローンについては従来から割賦購入あっせんの一形態として取り扱ってきたところであるが、先般第104通常国会においても提携ローンは『割賦販売法2条3項に規定する割賦購入あっせんに該当する』旨政府答弁を行ったところであるので、念のため通知する」として、
契約書面に金融機関の名称をあらかじめ記載するか、未定の場合は決定後速やかに通知することを指導。

信販会社が個別信用購入あっせん業者の立場であるという見解を前提。
●金融機関をあっせん業者とみる見解 
  融資元である金融機関を個別信用購入あっせん業者とみることも可能。
東京高裁昭和63.3.30:
自動車の購入について審判会社の連帯保証付きで金融機関が代金相当額を融資し、融資金は信販会社を通じて販売業者にこうにゅされ、その後購入者が割賦金の弁済を停止したので信販会社が保証債務を履行して購入者に対し求償金請求を行った事案。

判決:
金融機関が代金相当額を販売業者に交付するという仕組み
⇒融資元金融機関を割賦購入あっせん業者とする個別割賦購入あっせん(割賦旧2B(2))に該当するもので、信販会社は保証会社にとどまる⇒個別割賦購入あっせん業者と評価することはできない。

信販会社による求償金請求について30条の4の抗弁接続の直接適用はできない。
but
金融機関に代わる債権者として請求することとなる役割分担は、当初から予定されていたもの⇒金融機関に対抗できたのと同様に信販会社に対しても同条を類推適用して抗弁を主張せきる。

いずれがあっせん業者にあたるとみても、結論的にはかわりがない。
●登録義務者 
2008年(平成20年改正)により、個別信用購入あっせん業者には登録義務(割販35の3の23)が課される
⇒提携ローンにおいてどちらが個別信用購入あっせんかが問題。
昭和61年通達:
主務省が信販会社に対して指導する関係⇒保証会社が個別信用購入あっせん業者に該当するとの見解。
but
仮に金融機関自身が購入者に対して貸金請求を行った場合でも、抗弁の対抗を認めるべき。

本来的には、特定の商品売買代金の支払のために代金相当額を融資する金融機関が個別信用購入あっせん業者であると捉えることが基本。
but
提携ローンの取引の仕組みを構築しているのが信販会社
⇒信販会社が個別信用購入あっせん業者であるとの見解も実態に即した評価として正当視することができる。
提携ローンは、法律上の明確な定義があるわけではない。
@与信審査業務、A融資額の送金、B回収業務、C代物弁済の履行条件等役割分担が異なるケースも想定。
⇒信用保証会社の役割分担の内容によって、いずれが個別信用購入あっせん業者と評価されるかが異なるケースがあり得る。

主務省:
複数の事業者が関与して個別信用購入あっせん取引を運営する場合、その中で中心的な役割を果たしているいずれかの事業者が登録していれば、割賦販売法上の登録義務は履行したものと評価する運用。
  ■取消しの効果
□    □(1) 支払分の請求権消滅 
個別クレジット契約の取消し⇒各回ごとの支払分の請求権は遡及的に消滅し、個別クレジット業者の購入者等に対する個別クレジット契約に基づく債権の請求ができないことになる。

契約取消しの当然の効果。
(取消後の支払⇒銀行と信販会社の不当利得?)
  □(2) 個別クレジット契約の取消しと販売契約等の消滅(2〜4項) 
3者間の清算関係が生じるには、
@個別クレジット契約が取り消されるとともに、
A販売契約等が「取消しその他の事由により初めから無効である場合」であることが要件。

販売契約等と個別クレジット契約の両方を取り消すことにより、
@購入者等にとっては代金弁済による立替金相当額の利得が存在しなくなること、
A販売業者等にとっては立替金を保有する根拠が消滅し不当利得となることを意味するものであり、個別クレジット業者から購入者等に対する既払金返還請求を認める前提条件となる。
□    □(3) 立替金相当額の請求の禁止(2項) 
@購入者等が個別クレジット契約を取り消し、かつ
A販売契約等が初めから無効である場合、
個別クレジット業者は購入者等に対し、販売業者等に支払った立替金を不当利得として返還請求することはできない。
個別クレジット業者には立替金相当額の「損失」が生じており、立替払い実行時において購入者等には代金弁済による「利得」がいったんは発生しているが、
販売契約等と個別クレジット契約の効力がともに消滅

@購入者等は立替払いによる代金弁済の「利得」は消滅しており、販売業者等は立替金を受領する根拠を失い不当利得となる。
A個別クレジット業者の損失は提携関係のある販売業者等との間で清算することが相当
⇒購入者等に対する不当利得返還請求が認められないことを確認。
購入者等が、特定商取引法9条の3により販売契約等だけ取り消し

購入者は、
@販売業者等に対し代金相当額の不当利得返還を請求するか、
A個別クレジット業者に対し支払拒絶の抗弁を対抗(割賦販売35の3の19)
  □(4) 販売業者等からクレジット業者に対する立替金返還義務(3項) 
個別クレジット契約と販売契約等がともに消滅した場合、
立替金を支払った個別クレジット業者は、
立替金の回収を購入者等からでなく販売業者等との間で行うべきことを確認。
  □(5) 購入者等から個別クレジット業者に対する既払金返還請求(4項) 
購入者などが個別クレジット業者に対し支払分を支払っているとき、購入者等は個別クレジット業者に対しその返還を請求することができる。
本条は、個別クレジット契約が取り消され、かつ販売契約等も取消し等により初めから無効となる場合、個別クレジット業者から販売業者等への立替金の支払や、購入者等から個別クレジット業者への支払分の支払という金銭の流れを、そのまま巻き戻す形で清算すべきことを規定。
〜販売業者等の倒産リスクを個別クレジット業者が負うべきことが明確化。
  □(6) 個別クレジット契約の解除・取消しと3者間の清算関係
  □(7) 第三者保護規定(5項)

割賦販売法(消費者法講義第4版)
  ◆第1 はじめに
■用語
個別信用購入あっせん⇒個別クレジット
包括信用購入あっせん⇒包括クレジット
@信用購入あっせん関係販売契約
A信用購入あっせん関係役務提供契約
〜販売契約
信用購入あっせん関係受領契約⇒クレジット契約
◆     ◆第2 クレジット被害の実態と背景
■1 クレジット被害の発生場面
●事例1:特約付き販売契約とクレジット 
●事例2:インターネット取引と提携カード決済 
●事例3:クレジット不正利用 
■2 割賦販売法の概要
   
  ◆第3 割販法の適用対象(p168)
  ■1 クレジット契約の諸形態 
クレジットカードによる方法⇒包括信用購入あっせん
商品購入のつど契約書を作成⇒個別信用購入あっせん 
  割賦販売(2条1項) 
ローン提携販売(2条2項)
包括信用購入あっせん(2条3項)
個別信用購入あっせん(2条4項)
前払式特定取引(2条5項)
前払式割賦販売(11条)
  ■2 取引形態と割販法の定義 
  □  □(1) 契約主体 
販売業者自身による信用供与⇒割賦販売
別の与信業者による信用供与(三者型)⇒「信用購入あっせん」と「ローン提携販売」」
  □(2) 契約方式 
@あらかじめ与信枠(利用限度額)を設定してカード等を発行し、販売業者にカードを提示して商品を購入⇒包括敷
A商品購入のつどクレジット申込書を作成し、支払能力の調査と電話確認により審査し契約を締結⇒個別式
  □(3) 支払方法(p170)
@割賦払い:2か月以上かつ3回以上の分割払い
Aリボルビング方式:複数の商品を購入しても、あらかじめ設定した与信枠の範囲内で、あらかじめ定めた支払月額を支払う方式
B:1〜2回払い(マンスリークリア方式とボーナス払い)
上記@Aと
信用購入あっせんに関しては「2か月を超える後払い」
〜2月以内のマンスリークリア方式は適用されない。
商品購入時にはマンスリークリア方式で簡略に決裁し、電話等で後からリボルビング方式に変更できるカード。

クレジットカードの機能として、後日リボルビング払いに変更できる機能を当初から付与して決裁を決めていた⇒実際に変更した後は抗弁対抗規定等の割販法の適用を受けるものと解すべき。
  □(4) 購入商品 
信用購入あっせんについては、商品・役務について政令指定制が廃止(不動産は除外)。
「権利」については、政令指定制が維持されている。
割賦販売とローン提携販売は政令指定商品・役務制が維持。
  □(5) 保証の有無 
  □(6) 個別信用購入あっせんと金銭消費貸借契約の区別 
  □(7) 国際提携カード 
    国際ブランド会社の介在により、複数のカード会社が相互に提携加盟店(海外の店舗を含む)を利用できるシステム。
決済代行業者の介在により、アクワイアラーと販売業者との間も間接的となっているケースも多い。
    購入者等:カード発行会社(イシュアー)との間でカード発行契約を締結。
カード発行会社が販売業者と直接の加盟店契約を締結し立替金を直接支払う場合(オンアス方式)に限らず、
他の加盟店提携会社(アクワイアラー。法30条の3第4項では「立替払取次業者」という)を通じた販売業者に対して立替払いを行う場合(ノンオンアス方式)を含む。

4者型以上であっても、包括信用購入あっせんの定義に該当し、
販売業者と購入者との間の販売契約につき解除・取消等の抗弁事由があれば、カード発行会社に対し支払拒絶の抗弁対抗(法30条の4)や苦情の適正処理義務(法30条の5の2)などの適用がある。
  ◆第4 主な規制内容 
  ■1 取引条件表示義務 
  ■2 過剰与信防止義務 
  □(1) 趣旨と概要 
  □(2) 調査事項と調査方法 
  □(3) 支払可能見込額を越える与信の禁止 
  □(4) 適用除外 
  ■3 適正与信調査義務 
  ■4 契約書面交付義務 
  ■5 クーリング・オフ 
  ■6 過量販売解除 
  ■7 不実の告知等取消 
  ■8 抗弁の対抗 
  □(1) 意義 
  □(2) 趣旨と概要 
  □(3) 要件 
  ●(ア) 信用購入あっせんによる取引 
  ●(イ) 商品・役務・指定権利を購入したとき 
  ●(ウ) 販売業者に対して抗弁事由があること 
「商品等の販売につき生じた事由」(35条の3の19、30条の4)でなければならない。

商品の販売とは無関係にたまたま生じた反対債権は抗弁事由に該当しない。
ex.販売業者が別の機会に購入者にケガを負わせた損害賠償請求権との相殺。
  □(4) 行使方法と効果 
  □(5) 法的性質と適用外事案の処理 
  ■9 契約条件の規制 
  □(1) 契約解除・期限の利益喪失の制限 
  □(2) 遅延損害金の規制 
  ■10 開業規制 
  ■11 適用除外 
@購入者が営業のために若しくは営業として締結する場合
A事業者が従業員に対して行う場合
B不動産の販売に関する契約の場合
(法30条の3の60)
  ■12 前払式取引の規制 
  ◆第5 クレジット被害への実務対応 
  ■1 論点整理と民事既定の活用
  ■2 クレジットカード決済 
割販法の適用は可能。
but
2か月を超える後払いの要件⇒マンスリークリア方式は適用されない。
提携カードの場合、クレジット業者の直接加盟店ではない販売業者との紛争について抗弁対抗の主張が可能か、加盟店調査義務が発生するかという論点。
国際提携カードにおいては、国際ブランド会社による自主規制として「チャージドバックルール」が設けられており、限られた範囲ながらマンスリークリア方式の決済を含めてクレジット契約のキャンセル処理の取り扱いを認めている。
  ■3 クレジット不正利用と購入者の責任 
  ■4 クレジット被害事件の処理上の留意点 
クレジット被害事件においては、
@販売業者に対し販売契約の解除・取消を主張
Aクレジット業者に対しクレジット契約の解除・取消または抗弁対抗を主張し、
Bクレジットの支払を停止
販売業者との交渉により販売契約の解除・取消を受け入れる場合⇒クレジット業者を交えて立替金の清算や既払金の返還を含むクレジット契約の解約処理(いわゆる赤伝処理)を行う。
販売業者が購入者の主張に対して事実関係を否認したり交渉に応じない
⇒個別クレジット業者に対し購入者の苦情申出内容の調査(法35条の3の20)を行うよう要請。
販売業者が否認しても他の間接事実から解除・取消事由が認定できるときは、個別クレジット業者の責任において個別クレジット契約の解除・取消と既払金返還または支払請求の放棄を求める。
個別クレジット業者との間でも見解に対立

購入者から個別クレジット業者(及び販売業者)に対し、個別クレジット契約の解除・取消しに基づく既払金返還請求、または抗弁対抗に基づく支払拒絶の抗弁存在確認ないし債務不存在確認の訴訟を提起するか
個別クレジット業者が立替金請求訴訟を提起して購入者が応訴。
後者の場合、購入者は、販売業者に対し訴訟を告知しておくことが望ましい。
コラム:ココ山岡事件と審判会社の責任
 


割賦販売法による規制(全体像)
割賦販売(2章) ローン提携販売(2章の2) 信用購入あっせん(3章)
個別式 包括式 包括式 個別式(2節) 包括式(1節)
割賦販売業者=与信業者 販売業者 与信業者 販売業者 与信業者 販売業者
割賦払 割賦払 リボ払 割賦払 リボ払 後払 後払 リボ払
定義 2(1)@ 2(1)A 2(2)@ 2(2)A 2(4) 35ノ3ノ2(1) 2(3)@ 2(3)A 30ノ2ノ3(4)
行為規制 取引条件表示等 3(1) 3(2) 3(3) 29ノ2(1) 29ノ2(2) 35ノ3ノ2(1) 30(1) 30(2)
取引条件広告 20ノ2(3) 35ノ3ノ2(2) 30(3) 30(3)
支払能力の調査義務 35ノ3ノ3(1)本文 30ノ2(1)
特定信用情報使用義務 35ノ3ノ3(3) 30ノ2(3)
調査記録作成保存義務 35ノ3ノ3(4) 30ノ2(4)
過剰与信の禁止 35ノ3ノ4 30ノ2ノ2
加盟店の勧誘行為の調査義務 35ノ3ノ5(1)
調査記録作成保存義務 35ノ3ノ5(2)
不適正勧誘取引に対する与信の禁止 35ノ3ノ7本文
書面交付(契約時) 3(1)
4(1)
4ノ2
3(2)
4(1)
4ノ2
3(3)
4(2)
4ノ2
29ノ3(1) 29ノ3(2) 35ノ3ノ8 30ノ2ノ3(1) 30ノ2ノ3(2) 30ノ2ノ3(4)
書面交付(請求時) 4(3) 30ノ2ノ3(3)
書面交付(訪問等) 35ノ3ノ9(1)(3)
標準条件公示 9(前払式除く)
与信業務適正化措置義務 35ノ3ノ20 30ノ5ノ2
民事ルール クーリングオフ 35ノ3ノ10(1) 35ノ3ノ10(5)
過量販売に係るクレジット契約解除権 35ノ3ノ12
不適正勧誘取引に係るクレジット契約取消権 35ノ13ノ13〜16
契約解除等制限 5 35ノ3ノ17 30ノ2ノ4
損害賠償等制限 6 35ノ3ノ18 30ノ3(1)
所有権推定 7
抗弁権接続 20ノ4(2)
30ノ4
29ノ4(3)
30ノ5
35ノ3ノ19 30ノ4 30ノ5
加盟店契約解除 35ノ3ノ34 35
行政執行 標準条件勧告 10(前払式除く)
改善命令 20ノ2(前払式) 35ノ3ノ21 30ノ5ノ3
報告・帳簿等提出命令 40(1)(報告命令のみ) 40(2) 40(6) 40(2) 40(6)
立入検査 41(前払式) 41(1) 41(4) 41(1) 41(4)
開業規制 前払式の許可制(11〜29,
35ノ3ノ61)
登録制
(35ノ3ノ23〜59)
登録制(31〜35ノ3)
指定信用情報機関 35ノ3ノ36(2)〜(4) 35ノ3ノ36〜59
適用除外 8 29ノ4,8 35ノ3ノ60(2)〜(4) 35ノ3ノ60(1)
訓示規定 支払能力をこえる購入等の防止 38 38
信用情報の適正な利用 39 39 39 39

改正関係
改正法関係 2008年6月11日成立 2009年末までに施行
・販売方法に問題があれば、既に支払った代金の返還請求が可能に
・信販業者に登録制を導入し、加盟店が適正に販売しているか確認を義務付け
・信販契約にもクーリングオフを導入

クレジット取引 
@割賦販売(法2@)
Aローン提携販売(法2A)
B割賦購入あっせん(法2B)(改正法では、信用購入あっせん)
C前払式特定取引(法2D)
を規制
C以外は、商品(役務・権利を含む)の対価を後払いする販売信用取引(クレジット取引)
Bの割賦購入あっせん(信用購入あっせん)

割賦購入あっせん業者の加盟店である販売業者が購入者に商品を販売し、割賦購入あっせん業者が加盟店たる販売業者に対価相当額を交付し、割賦購入あっせん業者が購入者から割賦払いで対価を受領する、三者間取引。
ア 総合式:あらかじめ与信枠を設定してクレジットカード等を発行し、販売業者にカード等を提示してクレジットを利用する形式
イ 個品式:商品購入の都度クレジット申込書を作成してクレジットを利用する形式
クレジット取引の利点 消費者:手元不如意でも欲しいときに欲しいものが購入できる。
販売業者:販売促進が図れ、消費者の代金支払いを待つことなく、一括して代金回収が図れる。
クレジット取引の被害 @違法・不当販売型:
悪質業者は、クレジット取引を利用して違法・不当な販売を行い、場合によってはその後間もなく雲隠れするようなケース。
A過剰与信型:
販売業者は、代金回収見込を考慮することなく高額商品・消費者にとって無用な商品を販売。
規制対象 @割賦要件:
「期間2か月以上かつ回数3回以上」の分割払い及びリボ払式(総合式の場合)のみが対象
⇒悪質な業者は、購入者が無職でも、割賦販売法の規制から逃れるためボーナス一括払いのクレジットを契約させるようなケース。
改正法では「2か月以上」といし、2か月以上先の1回払いや2回払いも規制の対象とした。(割賦払取引規制法ではなく、販売信用取引規制法)
A指定商品・役務制 :
指定から漏れた商品販売等で被害が生じ、後追い的に商品・役務を指定
改正法では、指定商品・役務制を廃止し、原則としてすべての商品販売・役務提供を規制対象とした。
主な規制内容 @書名交付義務、クーリング・オフ
改正法は、 
個品式クレジット業者に対しても、契約書面の交付義務を課し(法35の3の8)
訪問販売に伴う個品式クレジット契約にクーリング・オフを導入(法35の3の10、同11)
A過剰与信の防止
B抗弁対抗
現行法:購入者がクレジット代金の支払請求を受けたときは、商品の販売につき、それを販売した業者に対して生じている事由をもって、当該支払いの請求をするクレジット業者に対抗できる。
⇒購入者は販売契約について販売業者に抗弁事由が存すれば、クレジット業者に対しても、未払い金の支払い拒絶が可能になる。
but抗弁対抗の効果としては、既払金の返還請求までは認められない。

改正法では、一定の場合には既払金の返還が可能な条項が盛り込まれた。
被害の予防と救済 違法・不当販売型
(ex.倒壊の恐れと騙され住宅リフォーム)
@現行法の下での救済:
ア 抗弁対抗(詐欺取消、錯誤無効)による未払金の支払拒絶
⇒未払金の支払拒絶はできるが、既払金の返還請求は困難。
イ 加盟店管理義務違反に基づく損害賠償請求
but業者と信販会社の内部関係に関するもので立証困難
ウ 消費者契約法5条に基づくクレジット契約の取消
A改正法による新たな予防、救済策:

ア 予防策
(ア) 販売契約調査義務・不適正与信防止義務(but訪問販売等についてのみ適用)
個品式クレジット業者に対し、訪問販売等の特商法適用契約について個品式クレジット契約を締結しようとする場合には、不当勧誘行為の調査義務を課した。(法35の3の5)
その結果不当勧誘行為があると認めるときは、個品式クレジット業者にクレジット契約の締結を禁止。

(イ) 業務適正化義務
個品式クレジット業者に対し、購入者保護のため、顧客の適合性や契約の目的に照らして適切な業務の実施や購入者からの苦情の適切かつ迅速な処理のため必要な措置を講じる義務を課した。(法35の3の20)

イ 救済策(不実告知・事実不告知による取消)(but訪問販売等についてのみ適用)
(ア) 訪問販売業者等が、販売契約及びクレジット契約を勧誘する際に販売契約・クレジット契約の特定の重要事項につき、不実の告知をしたことにより購入者がそれを事実と誤認して契約をした場合や、故意に事実を告げないことによりその事実が存在しないと誤認をして契約した場合、クレジット契約を取り消すことができる。(法35の3の13)
過剰与信型
(ex.訪問販売で100回以上にわたり次々と布団を購入)
@現行法の下での救済:

ア 意思能力の欠缺による無効
but単に気が弱くセールスを断れない事例もあり、限界がある。

イ 公序良俗違反による無効
売り方に問題があり、公序良俗違反によるクレジット契約の無効、あるいは公序良俗違反による販売契約の無効の抗弁対抗
but高齢者の被害者も多く、個々の契約におけるやりとりを再現できない事案も多い⇒主張・立証が困難。
A改正法による新たな予防、救済策:
ア 予防策(過剰与信防止義務)
改正法において、個品式クレジット業者に対して、指定信用情報機関が保有する特定信用情報を利用して、購入者の個別支払い可能見込額(居住用住宅その他経済産業省令で定める資産を処分することなく、かつ、生活維持費に充てるべき金銭を使用することなく、支払いができる年間額)を調査する義務。(法35の3の3@〜B)
その上で、個別支払い可能見込額を超える契約を原則禁止(法35の3の4)

イ 救済策(過量販売解除)(but訪問販売等についてのみ適用)
特商法により、購入者が訪問販売等で通常必要とされる分量を著しく越せる商品購入契約をしたときは、契約締結日から1年間は、同販売契約を解除できる。
その場合、販売契約と共に、クレジット契約も解除できる。(法35の3の12)

割賦販売法(消費者と信販会社間)
(研修レジュメ参照)
現行法においては、販売業者に対する抗弁を信販会社に対抗する(割賦販売法30条の4)という形。
いかなる場合に割賦販売法が適用され、抗弁対抗が可能かを中心に検討。
★1 割賦販売法が適用される類型(法2条) 
★割賦販売法が適用される類型(法2条) ■1 ■1 割賦販売(法2条1項1号・2号)
1号の個別方式・包括方式では、
@代金・対価を2か月以上の期間にわたり、かつ
A3回以上に分割して受領することを条件として、
B指定商品等を販売提供すること、が要件
→ 
個別方式(カード等を利用しない場合、商品購入の度に信用調査)
包括方式(カード等を利用する場合、カード発行時に信用調査)

リボルビング方式(2号)→指定商品等の販売提供の要件は有

@カード等を利用して一定の期日までに購入した商品等につき
Aその商品代金等の合計額を基礎として予め定められた方法により算定して得た額を
B予め定められた時期ごとに支払っていく方式
当事者:@購入者、A販売業者
個別方式の割賦販売:
@→商品購入の申込み
A←信用調査
B←商品の引渡し
C→代金の分割払
包括方式・リボルビング方式に割賦販売:
@→カードの申込み
A←信用調査
B←カードの発行
C→商品購入の申込み
D←商品の引渡し
E→代金の分割払等
■2 
ローン提携販売(法2条2項1号・2号)
  ■2 ローン提携販売(法2条2項1号・2号)
金融機関が購入者に購入代金等の貸付を行うと共に、販売業者が購入者の委託を受けて借入を保証するもの。
1号の包括方式では
@代金・対価を2か月以上の期間にわたり、かつ
A3回以上に分割して受領することを条件として、
B指定商品等を販売提供すること、が要件

2号のリボルビング方式では@及びAは不要であるが、Bの指定商品の販売提供の要件は有り。
当事者:B:購入者(主債務者)、S:販売業者(保証人)、C:金融機関
C(金融機関)・B(購入者):金銭消費貸借契約
B(購入者)・S(販売業者):保証委託契約
C(金融機関)・S(販売業者):保証契約
@B→S:商品購入・保証申込み
AB→C:融資依頼
BS→C:保証の申入れ
CC→S:融資決定通知
DS→B:商品引渡し
EC→S:融資実行
FB→C:分割返済
■3
包括信用購入あっせん(法2条3項)
  ■3 包括信用購入あっせん(法2条3項)
●  狭義のクレジット取引で、商品の購入等に使えるクレジットカード等を発行するもの。
カード等を利用する場合、カード発行時に信用調査がなされる類型。
従前の2か月以上かつ3回以上の分割払要件は廃止し、単なる決済手段としての性格の強い翌月払いを除き、2月を超える与信であれば1回払いでも適用対象
指定商品制はとられていない。
  当事者は、B消費者・C信販会社・S販売業者

@:B→C:カード発行申込
A:C→ B:信用調査・カード発行
B:B→S:カード提示
C:S→B:商品引渡し
D:C→S:代金支払
E:B→C:分割払
  ※上記のような立替払型の他に、
販売業者が信販会社に代金債権を債権譲渡する債権譲渡型、
信販会社が購入者の保証人として販売業者に対して代金を代位弁済し、購入者が信販会社に対し、代位弁済金と保証料を分割払いする保証委託型、がある。
  ※包括・個別いずれについても、信用購入あっせんは、

@特定の販売業者等からの
A商品等の購入等を条件として
B代金等に相当する額を、当該販売業者等に交付し
C当該額を受領する

という行為の形式自体で定義づけられており、契約の形態には触れられていない。
信用供与契約が金銭消費貸借契約等であっても、@ないしCの行為の形式を備える限り、信用購入あっせんに該当。
 
なお、括弧書き(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)において、購入者等を含む販売業者等以外の者を通じて販売業者等に金銭が交付される行為形態(契約の形態としては、購入者が借入金で販売業者に支払うというケースも含まれる)についても、信用購入あっせんに該当することが明確化されている。

もっとも、「与信業者と購入者等との間の契約が金銭消費貸借契約である場合は、借入金が商品代金等の決済のために充当されるとは限られないため、割賦購入あっせんに該当しないと考えられる場合もあるが、取引の全体的な経済的効果からみて金銭消費貸借契約と販売契約等との間に牽連関係が存在すると認められるときは、割賦購入あっせんに該当する場合が少なくないと思われる。」(経済省)

結局は個別に事案によるが、販売店と与信業者の関係、与信契約書の記載内容、与信審査の流れ、融資金に対する販売店の関わり度合いによって判断していくことになろう(例:消費貸借契約書が販売店を通じて消費者に交付され、消費貸借契約書に「目的ローン」と記載され、当該購入商品の代金に使用されることが予定されているような場合。)
■4 個別信用購入あっせん(法2条4項) ■4 個別信用購入あっせん(法2条4項)
狭義のクレジット取引で、クレジットカード等を発行せず、個別の売買・役務提供契約ごとにクレジットを組むもの。
カード等を利用しない場合、商品購入の度に信用調査がなされる類型。
従前の2か月以上かつ3回以上の分割払要件は廃止し、単なる決済手段としての性格の強い翌月払いを除き、2月を超える与信であれば1回払いでも適用対象
指定商品制は廃止されている。
当事者は、B:消費者・C:信販会社・S:販売業者

@:B→S:商品購入の申込
A:S→C:信用調査依頼
B:C→B:信用調査
C:C→S:販売承認
D:S→B:商品引渡し
E:C→S:代金支払
F:B→C:分割払
■5 ■5  適用除外(8条、29条の4第1項、35条の3の60)
★  抗弁の接続(抗弁の対抗)(30条の4、30条の5、29条の4、35条の3の19)●●
  ■1  ■1 規定の概要・趣旨
★抗弁の接続(抗弁の対抗) 販売契約と立替払契約とは別個の契約であるから、原則として消費者は販売業者に対する抗弁をもって信販会社に対抗できない。
しかし、消費者保護の必要性(原則を貫徹すると、販売業者側に落ち度があって代金債務の履行を拒める場合でも、信販会社からの立替金請求を拒めないことになる。)販売契約と立替払契約は密接な関係がること、信販会社は加盟店契約を通じて販売業者を監督すべき立場にあることから、消費者は販売業者に対する抗弁をもって信販会社に対抗できることとした。
■2 ■2 適用除外(30条の4第4項、35条の3の19第4項)
政令で定める金額に満たない支払総額に係るもの
令21条
個別方式・包括方式については支払総額が4万円(1項)
リボルビング方式については現金販売価格が3万8000円(2項)

リボルビング方式については、購入した商品代金等の合計額を基礎に手数料が算出されるため、手数料込みの一取引あたりの支払総額の概念が存在せず、現金販売価格をベースに下減額が設定されている。
■3  ■3 効果
(1)消費者は、法30条の4等に基づき、販売業者に対する指定商品等に関するあらゆる抗弁をもって、信販会社からの立替金請求に対抗することができる
(2)支払拒絶のみが認められ、信販会社への既払い金の返還請求まではできない、というのが裁判例の趨勢。
返還請求には、立替払契約そのものの解除、取消、無効等を主張していく必要
がある。
また、信販会社に対しては、過剰与信や悪質販売業者の加盟店管理責任を基礎とした不法行為に基づく損害賠償請求が可能なケースも考えられる。
■4 ■4 抗弁接続の信義則による制限
販売業者に対して生じている事由が存する場合でも、当該事由をもって、購入者等が信販会社の支払請求を拒むことが信義に反すると認められるときには、抗弁を対抗することができない。
●最高判平成2年2月20日判時1354号76頁
 「購入者が割賦購入あっせん業者(以下「あっせん業者」という。)の加盟店である販売業者から証票等を利用することなく商品を購入する際に、あっせん業者が購入者との契約及び販売業者との加盟店契約に従い販売業者に対して商品代金相当額を一括立替払し、購入者があっせん業者に対して立替金及び手数料の分割払を約する仕組みの個品割賦あっせんは、法的には、別個の契約関係である購入者・あっせん業者間の立替払契約と購入者・販売業者間の売買契約を前提とするものであるから、両契約が経済的、実質的に密接な関係にあることは否定し得ないとしても、購入者が売買契約上生じている事由をもって当然にあっせん業者に対抗することはできないというべきであり、昭和五九年法律第四九号(以下「改正法」という。)による改正後の割賦販売法三〇条の四第一項の規定は、法が、購入者保護の観点から、購入者において売買契約上生じている事由をあっせん業者に対抗し得ることを新たに認めたものにほかならない
したがって、右改正前においては、購入者と販売業者との間の売買契約が販売業者の商品引渡債務の不履行を原因として合意解除された場合であっても、購入者とあっせん業者との間の立替払契約において、かかる場合には購入者が右業者の履行請求を拒み得る旨の特別の合意があるとき、又はあっせん業者において販売業者の右不履行に至るべき事情を知り若しくは知り得べきでありながら立替払を実行したなど右不履行の結果をあっせん業者に帰せしめるのを信義則上相当とする特段の事情があるときでない限り、購入者が右合意解除をもってあっせん業者の履行請求を拒むことはできないものと解するのが相当である」
●大阪高判平成16年4月16日兵庫県弁護士会HP(ダンシング事件)
「購入者が割賦購入あっせん業者に対して抗弁を主張(対抗)することが信義に反すると認められるような特段の事情がある場合には抗弁対抗が許されないことは、信義則の法理に照らし当然のことである。ちなみに、抗弁対抗を認めた法30条の4の規定の趣旨及び日的に照らすと、前記認定の事実関係の下においては、「抗弁対抗を主張することが信義に反する」として制限される場合とは、信販会社である第1審被告らと本件各立替払契約(クレジット契約)締結に際し、購入者(消費者)である第1審原告らに何らかの過失や不注意があることを指すのではなく(ちなみに、前記鑑定事実によれば、第1審原告らは、消費者の軽率さ(落ち度)や経済的弱み等を利用したダンシング(販売店)の組織的でかつ巧みな勧誘によって、本件モニター商法に引き込まれたものであるから、第1審原告らに上記各契約に際して何らかの落ち度があったとしても、公平の理念にかんがみ、その落ち度をもって信義則に反するものであるということはできないものというべきである。)、信販会社である第1審被告らにおいて、販売店であるダンシングの公序良俗に反する本件モニター商法につき加盟店に対する調査、管理の義務を尽くしたかどうかをも考慮に入れた上で、「購入者(消費者)である第1審原告らにおいて、販売店であるダンシングの本件モニター商法が公序良俗に反するものであることを知り、かつ、クレジット契約の不正利用によって信販会社に損害を及ぼすことを認識しながら、自ら積極的にこれに加担した」というような背信的事情がある場合(「消費者において、販売店がクレジットシステムを悪用して信販会社から不正な利得をすることにつき、その間の事情を認識しながら、その手続や利得の分配に積極的に加担したような場合」)をいうものと解するのが相当である。
★3  既払い金返還についての平成20年改正のルール
★既払い金返還についての平成20年改正のルール ■1 ■1 個別信用購入あっせん業者の書面交付義務(35条の3の9)
個別信用購入あっせん業者は、法35条の3の5第1項各号所定の特定商取引法上の5類型(訪問販売・電話勧誘販売・特定連鎖販売個人契約・特定継続的役務提供等契約・業務提供誘引販売個人契約)にかかる個別クレジットの申込みを受けたとき、又は契約締結をしたときには、それぞれ遅延なく法定書面を交付する義務を負う。
■2  ■2 個別クレジット契約のクーリングオフ(35条の3の10及び11)
特定商取引法上の5類型に係る個別クレジット契約については、クーリングオフが認められる。
たとえば訪問販売により契約の申込みを行った者は、個別信用購入あっせん業者が交付した契約書面を受領した日(申込書面を受領した場合には、当該書面を受領した日)から起算して8日を経過するまでの間、個別クレジット契約の申込みの撤回又は契約の解除を行うことができる。
要件及び効果については、特定商取引法とほぼ同様であり、個別信用購入あっせん業者が、クーリングオフ書面を受領した場合には、販売業者にその旨を通知しなければならず(35条の3の10第4項、35条の3の11第6項)、個別クレジット契約がクーリングオフされると販売契約もクーリングオフされたとみなされる(35条の3の10第5項、35条の3の11第7項)。
個別信用購入あっせん業者が、購入者から個別クレジット契約に関連して金銭を受領しているときには、購入者に対し、速やかに返還しなければならない(35条の3の10第9項、35条の3の11第11項)。
■3 ■3 過量販売にかかる個別クレジット契約の撤回・解除権(35条の3の12)
過量販売にかかる個別クレジット契約については、その申込みを撤回し、または契約を解除することができる。
要件及び効果はほぼ同じであるが、クーリングオフの場合と異なり、個別信用購入あっせん業者に解除等をしても、販売契約も連動して解除等される旨の規定がない。したがって、購入者は販売業者に対しても、特定商取引法に基づき過量販売契約の解除をしておく必要がある。
なお、個別クレジット契約の過量販売解除等の効果として、個別信用購入あっせん業者が購入者に対して支払請求ができなくなることを定めた35条3の12第4項、及び販売業者が個別信用購入あっせん業者から受け取った金銭の返還義務を定めた35条の3の12の4項には、「ただし、申込みの撤回等があった時前に特定商取引に関する法律第9条の2第1項の規定により当該特定契約の申込みが撤回され、又は当該特定契約が解除された場合は、この限りでない。」との定めがあるため、先に個別クレジット契約を解除する方が処理としては疑義がないと思われる。
個別信用購入あっせん業者が、購入者から個別クレジット契約に関連して金銭を受領しているときには、購入者に対し、速やかに返還しなければならない(35条の3の12第6項)
■4 ■4 不実告知等取消権(35条の3の13〜16)
個別クレジット契約を利用した特定商取引法上の5類型に係る契約の締結に際し、販売業者が、販売契約又は個別クレジット契約に関する不実の告知または故意の事実不告知を行い、これにより購入者が誤認して契約した時は、個別クレジット契約を取り消すことができる。 
これにより、購入者は、個別信用購入あっせん業者に対し、それまでに支払った金銭(既払い金)の返還を請求することができる
取消権の行使は、追認ができる時から6か月、または個別クレジット契約締結の時から5年間行使しないときは、時効により消滅する(法35条の3の13、7項)。
不実の告知または不告知に関して「追認ができる時」とは、不実であることを知った時。