シンプラル法律事務所
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論点整理(被害者側(刑事手続))

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)


刑事告訴・告発
規定 刑訴法 第230条〔告訴権者〕
犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。
刑訴法 第231条〔同前〕
被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
A被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。
刑訴法 第232条〔同前〕
被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、又は被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族であるときは、被害者の親族は、独立して告訴をすることができる。
刑訴法 第235条〔親告罪の告訴期間〕
親告罪の告訴は、犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。ただし、次に掲げる告訴については、この限りでない。
一 刑法第百七十六条から第百七十八条まで、第二百二十五条若しくは第二百二十七条第一項(第二百二十五条の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項の罪又はこれらの罪に係る未遂罪につき行う告訴
二 刑法第二百三十二条第二項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する同法第二百三十条又は第二百三十一条の罪につきその使節が行う告訴
A刑法第二百二十九条但書の場合における告訴は、婚姻の無効又は取消の裁判が確定した日から六箇月以内にこれをしなければ、その効力がない。
刑訴法 第239条〔告発〕
何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
A官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。
刑訴法 第241条〔告訴・告発の方式〕
告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。
A検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。
犯罪捜査規範
第63条(告訴、告発および自首の受理)
司法警察員たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、管轄区域内の事件であるかどうかを問わず、この節に定めるところにより、これを受理しなければならない

2 司法巡査たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、直ちに、これを司法警察員たる警察官に移さなければならない。

第64条(自首調書、告訴調書および告発調書等)
自首を受けたときまたは口頭による告訴もしくは告発を受けたときは、自首調書または告訴調書もしくは告発調書を作成しなければならない。
2 告訴または告発の口頭による取消しを受けたときは、告訴取消調書または告発取消調書を作成しなければならない。

第65条(書面による告訴および告発)
書面による告訴または告発を受けた場合においても、その趣旨が不明であるときまたは本人の意思に適合しないと認められるときは、本人から補充の書面を差し出させ、またはその供述を求めて参考人供述調書(補充調書)を作成しなければならない。

第66条(被害者以外の者の告訴)
被害者の委任による代理人から告訴を受ける場合には、委任状を差し出させなければならない。
2 被害者以外の告訴権者から告訴を受ける場合には、その資格を証する書面を差し出させなければならない。
3 被害者以外の告訴権者の委任による代理人から告訴を受ける場合には、前二項の書面をあわせ差し出させなければならない。
4 前三項の規定は、告訴の取消を受ける場合について準用する。
刑訴法 第242条〔告訴・告発を受けた司法警察員の手続〕
司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。
犯罪捜査規範
第70条(親告罪の要急捜査)
警察官は、親告罪に係る犯罪があることを知つた場合において、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となるおそれがあると認めるときは、未だ告訴がない場合においても、捜査しなければならない。この場合においては、被害者またはその家族の名誉、信用等を傷つけることのないよう、特に注意しなければならない。

第71条(親告罪の告訴取消の場合の処置)
親告罪に係る犯罪につき捜査を行い、事件を検察官に送付した後、告訴人から告訴の取消を受けたときは、直ちに、その旨を検察官に通知し、必要な書類を追送しなければならない。
告訴  意義   被害者その他法律上告訴権を有する一定の者が、検察官または司法警察員に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示
告訴をするに至った動機は、告訴の効力に影響を及ぼさない。
 ● ●犯罪事実の特定
どのような犯罪によって、どのような被害を受けたのかが特定される必要。
必ずしも、犯罪の日時、場所、犯行の態様等を詳細に明らかにする必要はなく、どのようは犯罪事実を申告するのかが特定されればそれで足りる。
 ● ●犯人の特定は不要
被害者が犯人を特定してその処罰を求めるところに重点があるのではなく、被害を受けた犯罪につき犯人の処罰を求めるところに重点がある。
⇒犯人を指定せず、また誤って他人を犯人として指定した告訴についても有効。
告訴権者  @ @犯罪による被害者
 A A被害者の法定代理人 
○親権者、後見人
親権者が2人⇒その各人が法定代理人として告訴できる。
×財産管理人(民法25条)、破産管財人
 B B被害者が死亡した場合⇒被害者の配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹 
 C C被害者の法定代理人が被疑者・被疑者の配偶者、被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族の場合⇒被害者の親族 
告発 意義  犯人、告訴権者または捜査機関等以外の第三者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求める意思表示。 
効果  検察官は、起訴、不起訴または移送等の処分をしたときは、速やかにその旨を告発人に通知しなければならない(法260条)。 
検察官は当該事件について不起訴処分をした場合に告発人から請求があれば、不起訴にした理由を告げなければならない(法261条)。
告発人は、検察審査会に対して不起訴処分の当否の審査を請求できる(検察審査2A)。
刑法193〜196の罪等については告発した者が検察官のした不起訴処分に不服があるときは、準起訴手続の請求をすることができる。
方式  口頭・書面(法241条)
特定の犯罪事実について告訴人が犯人の処罰を求める意思が表示されており、告訴人が誰であるか明らかにされていればそれで足りる。
犯罪事実について具体的明示を欠くものがあれば告訴としての効力は生じないが、告訴状に添付された書類によって犯罪事実の内容が特定しうるのであれば、有効な告訴とされる。
「告訴状」
告訴人及び被告訴人の住所、氏名
「告訴事実」
〜犯罪構成要件に該当する具体的犯罪事実を記載
「告訴に至る経緯等」
〜告訴人が被害を受ける(犯罪の発生を知る)に至った事情、背景、参考事項を記載
「証拠資料」
〜告訴事実を立証すべき証拠の標目(証拠物および証人となるべき氏名等を含む)
「右被告訴人の所為は刑罰法規の第何条に該当する行為と思料されるので、被告訴人の処罰を願いたく、告訴する」
告訴年月日
告訴人の署名押印
告訴状を提出する捜査機関の宛名を記載
告訴人が所持する証拠方法の写しを添付
受理権者 検察官または司法警察職員
×検察事務官、司法巡査
必ずしも、当該事件について管轄権をゆする裁判所に対応する検察庁の検察官あるいは当該事件が管轄区域内の事件である司法警察員ではなくても、これに対して、告訴することができる。
独禁法96条の告発⇒検事総長
関税法による告発⇒検察官
国税犯則取締法による告発⇒検察官
受理義務 告訴、告発を受けた検察官および司法警察員は、原則として、これを受理する義務がある。 
司法警察員の手続 告訴又は告発⇒速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付
通常:司法警察員は、一般の犯罪についてはその捜査を遂げた上で、事件を検察官に送致(法246条)
実務上、司法警察員が告訴を受理した場合においては、まず当該警察において、当該事件を告訴事件として捜査。
刑事事件として成立しうるものかどうかの見きわめができる程度にまでは、捜査を遂げた上で、供述調書を含めた捜査関係書類を事件記録としてまとめ、収集した証拠物とともに、これを検察官に送る。
司法警察員が告訴または告発を受理したときは、本状により、必ず検察権に送付しなければならず、法246条の送致義務の例外(いわゆる微罪処分)は認められていない。