シンプラル法律事務所
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論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
松尾浩也 | |||||
★ | ★捜査の構造 (p132) | ||||
糾問的捜査観: 捜査を「本来、捜査機関が、被疑者を取調べるための手続」だと理解し、各種の強制処分が認められる理由もそこにある。 but その濫用を防ぐために裁判官による抑制が行われる。 |
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弾劾的捜査観: 捜査は、「捜査機関が単独で・・・すなわち被疑者とは無関係に・・・行う準備活動」であり、 強制処分は、将来の公判に備えて裁判所が犯人および証拠を保全する行為であるが、 捜査機関も被疑者側も強制処分の結果を利用することはできる。 |
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両者の差異を一言で要約すれば、 捜査機関の被疑者に対する優越的地位を肯定するかどうかにつきる。 (弾劾的捜査観は、これを否定し、捜査機関は、いわば被疑者と対等の存在として、被疑者を弾劾(accuse)する) |
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★ | ★無罪の推定(p226) | ||||
刑事手続における被疑者ないし被告人に対して「無罪の推定」の利益を与えることは、近代的な刑事司法の大原則。 その罪責が適法な手続を経て立証され、有罪の判決が下されるまでは、できるだけ「罪のない」人として扱われねばならない。 |
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被疑者の中には「罪のある」人が多数含まれており、まして、被告人となれば、統計上の有罪率がきわめて高い。⇒有罪を推定する方が真実に近い。 but 「無罪の推定」という一見逆説的な主張が表明されるところに、市民的自由を守ろうとする近代法の特色がある。 |
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「無罪の推定」は、被疑者・被告人の処遇の原理としてみるときは、その自由をできるだけ尊重し、制約を必要最小限に止めるべきだという、(立法者を含めてすべての関係者に対する、むしろ訓示的な)規範にすぎない。 | |||||
公判における立証段階では、「無罪の推定」は、挙証責任の所在を指示する規範として、明確な法的意義をもつ。 犯罪事実が十分に立証されない限り、被告人は「無罪」であり、換言すれば、 被告人を有罪とするための挙証責任はすべて検察官にあるという法原則が設定。 |
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被告人が何もしないことが、その不利益を招く場合があるという意味では、事実上の負担の存在を認めなければならないが、積極的な反証活動は、被告人の義務ではない。 | |||||
刑事訴訟法(平野) | |||||
★★第1編 序論 | |||||
★ | ★第1章 刑事訴訟の政策的基礎 | ||||
■ | ■一 刑事訴訟の諸原則 | ||||
□ | □(1) 職権主義と当事者主義 | ||||
● | ●誰が訴訟を開始させるか | ||||
糾問主義 弾劾主義 |
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● | ●訴訟の主体の数による区別 | ||||
糾問主義 弾劾主義 |
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● | 形式的原理として弾劾主義 ⇒主要な役割を果たすのが、裁判所であるか、当事者であるか(実質的な原理) |
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職権主義 当事者主義・・・当事者平等の原則 |
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◎ | ◎訴訟の対象について | ||||
起訴便宜主義 起訴法定主義 |
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変更主義 不変更主義 |
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被告人に、訴訟の対象の処分を認める制度・・・アレインメント(=有罪の答弁) 〜証拠として事実認定の資料となるわけではなく、訴訟の対象についての処分行為。 日本では、これを禁止。 |
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刑訴法 第319条〔自白の証拠能力・証明力〕 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。 A被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。 B前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。 |
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◎ | ◎証拠の収集・提出について | ||||
職権探知主義 弁論主義 |
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裁判所にも当事者にも、証拠提出の権限がある(298条) 〜徹底されていない。 |
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刑訴法 第298条〔証拠調べの請求、職権による証拠調べ〕 検察官、被告人又は弁護人は、証拠調を請求することができる。 A裁判所は、必要と認めるときは、職権で証拠調をすることができる。 |
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◎ | ◎訴訟の手続 | ||||
職権主義 当事者主義 |
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◎ | ◎捜査手続 | ||||
弾劾主義 糾問主義 |
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□ | □(2) 起訴状一本主義 | ||||
当事者主義の捜査・公判⇒捜査と公判との間に断絶 | |||||
□ | □(3) 直接主義・口頭主義および伝聞法則 | ||||
直接主義: @ A裁判所は事実を直接見た者の直接の供述に基づいて裁判しなければならない(証拠能力についての原則) B裁判所は、自ら取り調べた証拠に基づいて裁判しなければならない(証拠調手続) |
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口頭主義: @ A証拠たる供述は、口頭でされることを必要とする主義 B裁判所は、供述証拠を口頭で証拠調べしなければならない(証拠調手続)。 |
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直接主義・口頭主義: Aの直接主義とAの口頭主義が結びついてもの。 〜 証人の供述を他の者が録取した書面を証拠とすることを禁止。 |
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糾問主義の下では、糾問官が糾問し、その結果を書面で裁判所に報告し、裁判所のこれのみに基づいて裁判。 | |||||
Bの直接主義と口頭主義が結び付き、かつ当事者の参与が認められて、口頭弁論主義となる。 | |||||
伝聞証拠:裁判所の前での反対尋問を経ていない証拠。 〜当事者と証拠との関係を考えたもので、当事者主義的な原理。 |
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□ | □(4) 法定証拠主義と自由心証主義 | ||||
(1)法定証拠主義: (2)自由心証主義: @証拠制限主義・・・裁判所の自由心証を、当事者主義によって制約するために認められるもの。 A証拠無制限主義 |
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□ | □(5) 実体的真実主義と法の適正な手続 | ||||
@積極的な実体的真実主義 A消極的実体的真実主義 |
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刑事訴訟の目標は、 「罪のある者を処罰し、罪のない者は処罰しない」こと。 but この両者が必ずしも両立し得ない。 |
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消極的実体的真実主義を保障しようとする「法の適正な手続」 〜真実の発見という結果よりも、その認定過程を重んじる。 @訴訟は、単に真実を発見するだけでは足りず、外見的にも真実を発見していることがわかるようなものでなければならない。 A他の正当な利益を侵害しない範囲での真実の発見で、満足しようとする。 |
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□ | □(6) 集中心理主義 | ||||
口頭主義⇒新鮮な記憶に基づいて裁判⇒審理は集中して行われる。 | |||||
捜査が弾劾的で、被告人に事前に十分な準備の機会⇒訴訟を開始した以上、一気に終結させることができる。 | |||||
□ | □(7) 公開主義 | ||||
■ | ■二 諸主義の歴史的意義 | ||||
□ | □(1) 初期弾劾主義時代 | ||||
ゲルマン時代初期のように公権力も公刑罰も十分に発達していない時代⇒犯罪に対しては復讐で報いる。 | |||||
この復讐を制限し、あるいはこれに代えて賠償ですませるようにするため、裁判が発生。 裁判を行うのは民会で、被害者またはその関係人の訴えにより開始される。 |
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□ | □(2) 糾問主義時代 | ||||
フランク時代: 国王の権力が強くなり、民会の裁判も、国王の代官が主催。 別に国王の裁判所。 被害者訴追の他に公衆訴追。 |
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中世を経てその末期: 社会秩序維持の必要と国王の権力の集中 ⇒公刑罰、死刑・身体刑が刑罰体系の中心。 訴訟も糾問化。 |
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カロリーナ法典: 国王の裁判所だけ。 訴訟は職権で開始。 糾問官による、罪体についての一般糾問、犯人についての特別糾問。 結果は書面に録取。 裁判はこれに基づく・・・間接主義・書面主義。 法定証拠主義がとられ、有罪とするには信頼しうる目撃証人2人か自白かを必要。 ⇒「自白は証拠の王」となり、自白させるための拷問が許される。 |
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□ | □(3) 当事者主義時代 | ||||
糾問主義は、フランス革命により、アンシャン・レジームとともに崩壊。 イギリスの弾劾訴訟が大幅に採り入れられた。 |
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徹底した自由心証主義。 | |||||
but 革命後の治安維持の必要と革命の反動化⇒1808年の法典では、かなり糾問的な色彩。 訴追は検察官により行われる。 公判も職権的で、裁判官だけが被告人および証人を尋問。 その前に、非公開の職権主義てきな予審があり、捜査は糾問主義的でさえある。 1848年以後ドイツで採用された制度もほぼ同様。 その後の改正は、弾劾主義の徹底のための努力。 |
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□ | □(4) 新職権主義 | ||||
イタリア学派のロンブローゾやフェリー。 リスト |
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ナチス。 | |||||
□ | □(5) わが国での発展 | ||||
徳川時代まで、糾問的な手続。 明治維新後も、しばらくは糾問主義。 改定律例318条は「罪を断ずるは口供結案に依る」としており、拷問も許されていた。 明治9年に「凡そ罪を断ずるは証による」⇒証拠裁判主義。 正式に拷問が禁止されたのは明治12年。 明治13年の治罪法は、ボワソナード指導のもと、フランスの刑事訴訟法を継受したもので、近代的な弾劾主義が採用。 大正11年の刑事訴訟法は、ドイツ法の影響。 戦後、アメリカ法の影響を受け、刑事訴訟法は、当事者主義化を徹底。 |
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■ | ■三 現代における当事者主義の意義 | ||||
□ | □(1) 当事者主義の長所 | ||||
被告人の人権が保障され、その自由が尊重される。 取調べの客体としてではなく、訴訟の主体として取り扱われる。 (1)消極的に黙秘権 (2)積極的には、@反対尋問権とA証人喚問権 |
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被告人の反対尋問権。 当事者主義のもとにおける伝聞法則の実質的な意味は、一方的に集められた捜査書類を証拠からしめ出すところにある。 |
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真実発見にも役立つ。 ← @証拠の収集保全は、それに最も切実な利害関係を持つ者に委ねたとき、もっとも有効に行うことができる。 A有罪の証拠も、専念する捜査機関に行われた方が、能率があがる。 B裁判所は、全く捜査機関と切り離されたとき、はじめて収集された証拠を正しく評価し、その中から真実を発見することができる。 |
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当事者主義の下で 起訴状一本主義をとり、 まず証人で立証し、 捜査書類はその弾劾のためだけに用いることができるようにしている。 〜 出来る限り捜査機関と裁判所を遮断し、裁判所に、直接に犯罪事実についての心証をとらせようとしたもの。 |
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証拠の収集(捜査)と判断(裁判)とを区別する必要は、公判の手続についても認められる。 ← @裁判所は中立的であるだけに、一度誤ったときは、これを救済する方法がない。 A当事者は、ともに偏見を持っているかもしれないが、その偏見をぶつけうことによって、その間にかえって真実が浮かび上がってくる。 |
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□ | □(2) 当事者主義の短所 | ||||
被告人に与えらえた自由の濫用可能性。 捜査機関に与えられる権限が弱い⇒十分に証拠を集めることができず、罪のある被告人でも、争うことによって無罪になる可能性が大きい。 |
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捜査機関は、なお大きな組織と権限⇒被告人はこれに圧倒されて、十分にその利益を守ることができなくなる危険。 | |||||
公判が捜査から遮断⇒捜査で集められた証拠は、選択を経た一部しか提出されなくなる⇒被告人に有利な証拠が隠される可能性と、不利益な証拠(伝聞証拠たる供述書面)が提出できなくなることもある。 vs. @被告人に有利な証拠が隠される可能性は、裁判所の提出命令権を適切に行使することにより、かなりの程度救済できる。 A不利益な伝聞書面を提出できない点も、証人尋問の技術の向上によって、かなりの程度補いうる。 |
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□ | □(3) 現代の日本社会とのギャップ | ||||
★ | ★第2章 刑事訴訟の理論的基礎 | ||||
■ | ■一 学説史の概観 | ||||
★ | ★第3章 刑事訴訟法の法源 | ||||
★★第2編 本編 | |||||
★ | ★第1章 訴訟の主体 | ||||
★ | ★第2章 捜査 | ||||
★ | ★第3章 公訴 | ||||
☆ | ☆第1節 概説(p125) | ||||
☆ | ☆第2節 公訴の提起(p129) | ||||
■ | ■一 公訴提起の手続 | ||||
■ | ■二 訴因 | ||||
□ | □(1) 意義 | ||||
訴因: それについて検察官が審判を請求する、警察官の主張。 構成要件に該当する事実、すなわち「罪となるべき事実」の主張。 |
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刑訴法 第256条〔起訴状、訴因、罰条、予断排除〕 公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない。 A起訴状には、左の事項を記載しなければならない。 一 被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項 二 公訴事実 三 罪名 B公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。 C罪名は、適用すべき罰条を示してこれを記載しなければならない。但し、罰条の記載の誤は、被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞がない限り、公訴提起の効力に影響を及ぼさない。 D数個の訴因及び罰条は、予備的に又は択一的にこれを記載することができる。 E起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない。 |
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訴因は具体的事実の主張。 「日時、場所及び方法」で、罪となるべき事実を特定して、訴因を明示しなければならない(256条3項)。 |
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〇A:訴因は審判の対象 ×B:公訴事実が審判の対象であり、訴因は、単に被告人の防御の便宜のための警告にすぎない。 vs. 検察官の指示した事実以外の事実までも、審判の対象となるとする職権主義的な考えであって、現行法の建前と相容れない。 |
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×B説⇒ @訴因の同一性は、全く被告人の防御だけを考えて決定 A訴因の同一性がなくても(ex.窃盗の訴因に対して被告人が贓物故買を主張)現実にヒック人の防御に不利益を生じないときは、訴因変更の必要なし。 B訴因を逸脱して審判した場合: 〇A説⇒審判の請求を受けない事件について判決をしたとき(378条3号)⇒つねに破棄 ×B説⇒訴訟手続の法令違反(379条)で、判決に影響を及ぼしたことが明らかなときだけ破棄。 |
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□ | □(2) 訴因の特定 | ||||
訴因は、構成要件に該当する具体的事実として特定したものでなければならない。 but 日時・場所・方法などは、あらかじめ厳格に特定することが困難な場合もある ⇒「できる限り」特定すれば足りる(256条3項)。 困難な場合も、その個別性を明らかにし、被告人の防御に支障のない程度には特定していなければならない。 過失犯では、必ずしも、どういう注意義務があったかを記載する必要はなく「漫然と」という気足で足りる場合もあろう。 冒頭陳述で、事実の内容は詳細に述べられる⇒起訴状の記載は、ごく簡単で足りると思われる。 |
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訴因が1つに特定できない⇒いくつかの訴因として、予備的または択一的に記載してもよい(256条5項)。 | |||||
訴因が特定していない⇒起訴状は無効。 直ちに補正したときは、これを有効として差し支えない。 |
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□ | □(3) 訴因の単一性 | ||||
訴因は、その内容が1個の犯罪事実⇒1個。 科刑上1罪についても、すでに科刑上1罪として取り扱われる⇒訴因は1個。 予備的または択一的訴因⇒1個の犯罪事実について数個の訴因。 |
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表面上、訴因は1個でも、数個の訴因が予備的に記載されていると解すべき場合。 ex.既遂の訴因には未遂の訴因が含まれる。 but これんも、実行行為の記載があり、結果の発生の記載を除けば、直ちに未遂の訴因となる場合でなければならない。 |
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〇A:最高裁:強盗と恐喝にも、右の考え方を適用。 B:両者は罪質を異にするから、単なる全体と部分に考えることはできない。 vs. 全く単に脅迫の程度の差にすぎないこともあるから、直ちに否定することはできない。 ただ、およそ強盗と恐喝では訴因変更の必要がないというように一般化することは許されない。 |
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横領と占有離脱物横領 殺人と同意殺 殺人未遂と傷害 強盗致死と傷害致死 爆発物取締罰則3条違反と6条違反 公務執行妨害と暴行 の間も同様。 |
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併合罪は、犯罪事実も数個⇒当然訴因も数個。 1個の訴因の内部では、その特定は、「できる限り」で足りるが、数個の訴因の間では、明確な特定性がなければならない。 |
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検察官が、数罪であると判断して数個の訴因を記載しても、裁判所は、その個数の判断には拘束されない。 客観的にみてこれを1罪であり、1個の訴因であると判断⇒1個の訴因として判決してさしつかえない。 but 1個の訴因の記載とは解釈し得ない場合に、一罪であることが証明。 ⇒一方の訴因についてだけ実体判決をし、他は、公訴棄却(場合によっては無罪)を言い渡さなければならない。 |
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同一性:両立しえない訴因の間の関係 単一性:両立しうる訴因の間の関係 |
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□ | □(4) 訴因の同一性 | ||||
訴因は具体的事実。 実質的な差がない限り、訴因は同一性を保つ。 |
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何が実質的か? 事実としては僅かの変化であっても、法律的、社会的に意味が違ってくるときは、訴因は違ったもの ⇒構成要件的評価が異なるときは、事実としては僅かの変化であっても、訴因は別個のもの 訴因は、機能的には被告人の防御に役立つ⇒被告人の防御にとって意味を持つかどうかも、考慮されなければならない。 but これも重要性を判断する1つの基準にすぎない。 ⇒被告人の防御に不利益を及ぼさない限り、つねに訴因が同一性を保つというわけではない。 |
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□ | □(5) 訴因の変更 | ||||
刑訴法 第312条〔訴因等の変更〕 裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。 |
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刑訴規則 第209条(訴因、罰条の追加、撤回、変更・法第三百十二条) 訴因又は罰条の追加、撤回又は変更は、書面を差し出してこれをしなければならない。 2 前項の書面には、被告人の数に応ずる謄本を添附しなければならない。 3 裁判所は、前項の謄本を受け取つたときは、直ちにこれを被告人に送達しなければならない。 4 検察官は、前項の送達があつた後、遅滞なく公判期日において第一項の書面を朗読しなければならない。 5 法第二百九十条の二第一項又は第三項の決定があつたときは、前項の規定による書面の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。この場合においては、検察官は、被告人に第一項の書面を示さなければならない。 6 裁判所は、第一項の規定にかかわらず、被告人が在廷する公判廷においては、口頭による訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許すことができる。 |
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□ | □(6) 公訴事実の同一性 | ||||
□ | □(7) 公訴事実の単一性 | ||||
★ | ★第4章 公判手続 | ||||
☆ | ☆第一節 公判廷および公判期日 | ||||
☆ | ☆第二節 公判準備 | ||||
☆ | ☆第三節 公判期日の手続 | ||||
◆ | ◆第一款 冒頭手続 | ||||
◆ | ◆第二款 証拠調 | ||||
◇ | ◇第一項 証明概説 | ||||
◇ | ◇第二項 証拠能力 | ||||
■ | ■一 証言適格(p196) | ||||
およそ証人となりうる資格または能力:証人適格または証人能力 証人となることはできるが、その証言に証拠能力が認められない場合:証言適格または証言能力の問題。 |
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□ | □(1) 証人適格 | ||||
刑訴法 第143条〔証人の資格〕 裁判所は、この法律に特別の定のある場合を除いては、何人でも証人としてこれを尋問することができる。 〜 原則として、何人でも証人的確を持ち、年齢・精神的能力などによる制限はない。 |
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● | ●被告人 | ||||
規定 | 憲法 第38条〔不利益な供述の強要禁止、自白の証拠能力〕 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。 |
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刑訴法 第311条〔被告人の黙秘権・供述拒否権、被告人質問〕 被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。 |
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◎ | ⇒被告人をその意思に反して証人として喚問し、供述を強要することができない。 | ||||
◎ | ◎被告人が黙秘権を放棄し、すすんで証人として宣誓し供述することを希望したとき、これを許すべきか? | ||||
被告人は、宣誓しないで、被告人として供述できる。 but その供述は、その性質上、証明力が弱い。 ⇒ 被告人は、宣誓の上事故に有利な供述をする利益を持つ。 (英米法では、被告人に証人適格を認める。) |
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but (1)証人適格を認めると、その反面として、証人として証言しないのは、言うべき利益な事実がないからであろうという推認を生じやすい⇒被告人は、それを避けるために、証人として証言せざるをえなくなり、事実上、証言を強要されることになる。 (2)とくに、@論告でこの点を指摘することを禁止する制度ととらない場合、立証段階を分けて、検察官の立証段階で、被告人の有罪を相当程度に立証させる制度をとらない場合、B黙秘権の放棄の範囲を明確に限定しない場合、C一度証人に立つと、その性格を前科などで弾劾することを許す場合などには、被告人の不利益が大きい。 ⇒ これらの保護手段のない現行法のもとでは、被告人に証人適格を認めるべきではない。 |
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● | ●共同被告人 | ||||
〇A 共同被告人のままで、証人とすることはできない。 ×B 他の被告人jのみに関する事実については、その意思に反しても証人となしうる。 vs. 利益であれ不利益であれ、およそ供述を拒否しうる地位にある被告人に、同じ手続で供述義務のある商人としての地位を与えるのは、とくに、被告人の審理に混乱をひきおこすおそれがあり、妥当でない。 ⇒ 手続を分離した後、証人として喚問することによって、この混乱をさけうる以上、この方法によるべき。 |
|||||
● | ●弁護人 | ||||
刑訴法 第149条〔証言拒絶権〕 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、証言を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。 |
|||||
弁護人を証人として喚問することは不可能ではない。 but 委託を受けたため知り得た事実については、証言を拒否できる149条)。 |
|||||
□ | □(2) 証言適格(p197) | ||||
規定 | 刑訴法 第156条〔推測事項の供述〕 証人には、その実験した事実により推測した事項を供述させることができる。 A前項の供述は、鑑定に属するものでも、証言としての効力を妨げられない。 |
||||
刑訴法 第199条の13(証人尋問の方法・法第三百四条等) 2 訴訟関係人は、次に掲げる尋問をしてはならない。ただし、第二号から第四号までの尋問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。 一 威嚇的又は侮辱的な尋問 二 すでにした尋問と重複する尋問 三 意見を求め又は議論にわたる尋問 四 証人が直接経験しなかつた事実についての尋問 |
|||||
● | 一定の事実について証言しうるためには、その事実を自ら直接に見聞きした(実験した=実際に経験した)ものでなければならない。 例外: 証人は自ら実験した事実に基づいて推測した事実(=意見)を供述することもできる(156条1項)。 ← 直接に実験した者の推測は、裁判所の推測の参考になるから、すべてこれを禁止する必要はない。 |
||||
「なぐった」という供述も、知覚を総合して得られた1つの判断。 ⇒すべての供述が、実験した事実そのままではなく、意見の供述だともいえる。 ⇒ 問題は、意見であるかどうかではなく、その意見によって、裁判所あるいは相手方が、その事実を正しく理解できるかどうかにある。 そうでないとき、とくに法律的結論の形で意見が述べられたとき(例えば、被告人は不注意であったという供述)は、その基礎になっている事実が明らかでなく、反対尋問も困難 ⇒少なくとも、まずその基礎となっている事実を述べさせなければならない。 |
|||||
その推測は実験した事実に基づかなければならない ⇒ まず、事実を述べさせた後に、推測事項を述べさせるようにすべき。 この推測事項の供述は、特別の知識経験に基づくものであっても、さしつかえない(156条2項)。 |
|||||
● | 証人には、まず宣誓をさせなければならない(154条)。 宣誓をしたことは、証言適格の1要件。 宣誓:「良心に従って、真実を述べ、何事も隠さず、また何事も附け加えないこと」を誓うもの(規則118条2項) 宣誓した証人が虚偽の供述⇒偽証罪に問われる(刑法169条)。 |
||||
■ | ■二 証言拒否権 | ||||
証言適格がある場合でも、その意思に反して証言を強要することが許されない場合=証言拒否権。 証人となること自体を拒否できる場合=証人拒否権 証言だけを拒否できる場合=証言拒否権 |
|||||
□ | □(1) 証人拒否権 | ||||
規定 | 刑訴法 第143条〔証人の資格〕 裁判所は、この法律に特別の定のある場合を除いては、何人でも証人としてこれを尋問することができる。 |
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刑訴法 第146条〔証言拒絶権〕 何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。 |
|||||
● | ●拒否できる場合 | ||||
◎ | 裁判権の及ばない者は、証人として強制的に喚問することはできない。 but 証人となることに同意したときには、喚問できる。 =証人適格はある。 |
||||
◎ | ◎共同審理を受けていない他の被告人(共同被告人であった者を、手続を分離したときも同様) ×A(通説):無条件で喚問できる ← 喚問されても、事故に不利益な事実については証言を拒否できる(146条) vs. その被告人が真に無罪を主張して争っているのであるなら、証人として喚問されたとき、無罪の事実を証言するのが当然であって、有罪判決を受けるおそれがあるという理由で証言を拒否するのは、自己の罪を認めるに等しい。 but そこで拒否しないで証言すれば、偽証の罰の制裁のもとに、反対尋問によって自白が強要されることになる。 このような進退両難の地位に陥れないことこそ、憲法が被告人に黙秘権を認めた真の理由である。 〇B:起訴事実またはこれに関連する事実については、その被告人の申出がない限り、強制的に証人として喚問することはできない。 |
||||
◎ | 法が、特別の規定で、証人となることを拒否できるとしてる場合。 | ||||
144条、145条 | |||||
□ | □(2) 証言拒否権 | ||||
証人は、次の場合には、証言を拒否することができる。 ただし証人義務はある⇒召喚されたときは、出頭しなければならない。 |
|||||
● | ●(イ) 刑事上不利益な事実 | ||||
規定 | 刑訴法 第146条〔証言拒絶権〕 何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。 |
||||
刑訴法 第147条〔同前〕 何人も、左に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。 一 自己の配偶者、三親等内の血族若しくは二親等内の姻族又は自己とこれらの親族関係があつた者 二 自己の後見人、後見監督人又は保佐人 三 自己を後見人、後見監督人又は保佐人とする者 |
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刑訴規則 第122条(証言の拒絶・法第百四十六条等) 証言を拒む者は、これを拒む事由を示さなければならない。 2 証言を拒む者がこれを拒む事由を示さないときは、過料その他の制裁を受けることがある旨を告げて、証言を命じなければならない。 |
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憲法 第38条〔不利益な供述の強要禁止、自白の証拠能力〕 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。 |
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その証言が証拠になる場合だけでなく、証言がもとになって、有罪の証拠を発見されるおそれのある場合も含む。 「事実」には、刑の加重事由(累犯加重の事由である前科)も含む。 |
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● | ●(ロ) 業務上の秘密 | ||||
その趣旨は、押収拒否権と同じく業務のh後にあり、証言拒否は権利であって義務ではない。 | |||||
◇ | ◇第三項 証拠調の手続 | ||||
★ | ★第5章 公判の裁判 | ||||
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■ | ■四 裁判の効力(p281) | ||||
□ | □(1) | ||||
● | ●(イ) 対内的効力 | ||||
● | ●(ロ) 対外的効力(既判力) | ||||
憲法 第39条〔刑罰法規の不遡及、二重処罰の禁止〕 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。 |
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〜 二重の危険を禁止したもの。 「危険」とは、刑罰を受けることをいうのではなく、実体審理を受けることをいう。 実体審理が当然無効である場合にも、なお既判力は発生する。 |
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既判力: 主観的には、その被告人にだけ及ぶ。 客観的には、その訴因だけでなく、公訴事実を単一または同一にする範囲全体に及ぶ。 これらの事実についても、検察官は、訴因を変更して、審判を受けることが可能であったのであり、かつ、その義務があるものと解すべき⇒再度の訴追は禁止される。 |
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★ | ★第6章 簡易手続 | ||||
★ | ★第7章 上訴 | ||||
★ | ★第8章 非常救済手続 | ||||
★ | ★第9章 裁判の執行 | ||||
★ | ★第10章 附随手続 | ||||