シンプラル法律事務所
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論点整理(建築関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

審理(岡口2、p121〜)
■争点整理    ●争点整理表の作成 
●瑕疵一覧表 
●その他の争点整理表 
●現地調査 
■立証 ●書証 
●鑑定 
●証人尋問・本人尋問 
■専門家の関与   ●制度の選択 
●専門委員 
●専門家調停 
●ADR 

(岡口2、p130〜)
  ★請負瑕疵担保責任
■規定  民法 第634条(請負人の担保責任)
仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。
民法 第635条
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない
■基礎知識    法定責任説:
仕事完成後⇒担保責任(民法634条〜640条)の問題
仕事完成前⇒債務不履行責任の問題。
完成後は、
@一律に担保責任の規定に従い、担保責任を無過失責任とする一方
A解除権を制限(法635条)
■    ■瑕疵修補請求に代わる損害賠償請求
●    ●訴訟物
民法634条2項に基づく損害賠償請求権 
注文者は、瑕疵の収保に代えて、損害賠償の請求をすることができる(民法634条)。
履行の確保として、請負業者が供託している瑕疵担保補償金(瑕疵担保責任履行確保法によるもの)がある。
◎附帯請求(遅延損害金)の始期 
注文者が目的物の引渡を受けた時に発生する機嫌の定めのない債権⇒履行請求時に遅滞に陥る。
●請求原因
@請負契約の成立
A@の仕事の完成
B@の仕事の目的物に瑕疵があること
C損害の発生及び額
A(仕事の完成)について:
法定責任説⇒担保責任は、仕事の完成後にのみ発生⇒Aが要件事実
B(瑕疵)について:
瑕疵:完成された仕事が、契約で定められたとおりではなく、使用価値あるいは交換価値を減少させるような不完全性を有すること。
瑕疵の有無は、完成された仕事が、契約適合的なものとして、あるべき性質を備えているかどうかで判断される。

契約適合性を判断するため、契約で定められた合意内容を、契約書、設計図書(仕様書、図面)、見積書等で確定し、これに反するものが瑕疵とされる。
  ◎C(損害額)について:
損害額算定の基準時:
修補請求をしたがこれに応じないため損害賠償請求をした場合は修補請求時(最高裁)
直ちに損害賠償請求をした場合はその請求時(最高裁)
請負人には瑕疵のない仕事をする義務がある⇒損害の範囲は履行利益まで含まれる(内田)。
〇附随的損害 
@鑑定費用
A調査費用
B引越費用、代替建物の賃料:
代替建物の賃料は通常必要な期間の限度で認められる。
C逸失賃料、休業損害
D相当因果関係の範囲内の拡大損害
ex.雨漏りで台無しになった家具
損害の算定が困難である場合、民訴法248条によることも考えられる
E慰謝料:
財産的損害が回復すればこれにより精神的損害も回復するのが通常⇒注文者が、これでは回復しない多大な精神的苦痛を受けた場合に限り、慰謝料が認められる。
住宅の欠陥の場合の慰謝料額はおむね100万円程度とする見解。
F弁護士費用:
認容額の約1割
●    ●抗弁
◎ア:瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたこと 
◎イ:除斥期間 
◎ウ:担保責任を負わない特約 
請負の担保責任に関する民法の規定は任意規定(民法635ただし書を除く)⇒担保責任を負わない特約を締結することもできる。
新築住宅の場合は例外(品確94A)。
a:再抗弁@:請負人が瑕疵を知っていたこと。
民法 第640条(担保責任を負わない旨の特約)
請負人は、第六百三十四条又は第六百三十五条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。
 〇 b:再抗弁A:消費者契約であること
消費者契約である場合、請負人の損害賠償責任を全部免除する特約は無効(消費者契約法8@(5)、ただし8A)。
消費者契約法 第8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)
次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

五 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項

2 前項第五号に掲げる条項については、次に掲げる場合に該当するときは、同項の規定は、適用しない。
一 当該消費者契約において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合
二 当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で、当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該他の事業者が、当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い、瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い、又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合
◎エ:請負報酬債務との同時履行(民法634A後段)又は相殺 
◎オ:過失相殺
◎カ:修補請求をすべきであること
◎キ:仲裁契約 
◎ク:黙示の承認 
   
■      ■修補請求と共にする損害賠償請求(p139〜)
●訴訟物
仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、瑕疵の修補とともに、損害賠償の請求をすることができる(民法634A)。
この請求権は、瑕疵担保責任に基づくものではなく、債務不履行に基づくもの
●請求原因 
@請負契約の成立
A@の仕事の完成
B@の仕事の目的物に瑕疵があること
CBの瑕疵を修補しても補えない損害の発生及び額
C(損害)について:
修補期間中の代替建物賃料、調査費用、拡大損害、弁護士費用、慰謝料など。
損害額割いての基準時は、修補請求時。
●抗弁 
◎エ:請負報酬債務との同時履行(民法634A後段)又は相殺 
◎キ:仲裁契約 
本請求には、除斥期間の規定(民法637以下)は適用されない。