シンプラル法律事務所
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大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP−TOP |
真の再生のために(個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP−トップ |
論点の整理です(随時増やしていく予定です。)
総論 | ||
目的 | 第1条(目的) この法律は、@企業内容等の開示の制度を整備するとともに、A金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め、B金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、(イ)有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、(ロ)有価証券の流通を円滑にするほか、(ハ)資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする。 |
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基本的考え方 | @法の適用範囲を横断化しつつ A投資家保護ルールの内容については柔軟化する。 B縦割りの業者規制をやめ、業者規制を横断化しつつ、 C取扱い商品や業務内容に応じて参入要件に差をつけるなど業者規制を柔軟化する。 |
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適用範囲 | 有価証券(法2条) 1項有価証券:信託の受益証券、抵当証券が追加 2項: 柱書の有価証券に表示されるべき権利 みなし有価証券(@信託の受益権、A外国信託の受益権、B合名会社・合資会社の社員権(政令で定められるものに限る)、C外国法人の社員権でBの性質を有するもの、D集団投資スキーム持分、E外国投資集団スキーム持分、F政令で指定する権利(流通性の要件削除)) |
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デリバティブ取引:金融商品・金融指標の先物取引、先渡取引、オプション取引、スワップ取引、クレジット・デリバティブ 個別列挙+政令指定 |
流通市場における発行者の民事責任(法21の2、21の3) | ||||
対象書類 25条1項各号(5号、9号を除く)に掲げる書類 |
@第5条1項及び第6項の規定による届出書及びその添付書類並びにこれらの訂正届出書(1号) | |||
A第5条4項の規定の適用を受ける届出書及びその添付書類並びにこれらの訂正届出書(2号) | ||||
B発行登録書及びその添付書類、発行登録追補書類及びその添付書類並びにこれらの訂正届出書(3号) | ||||
C有価証券報告書及びその添付書類並びにこれらの訂正報告書(4号) | ||||
D内部統制報告書及びその添付書類並びにこれらの訂正報告書(6号) | ||||
E四半期報告書及びその訂正報告書(7号) | ||||
F半期報告書及びその訂正報告書(8号) | ||||
G臨時報告書及びその訂正報告書(10号) | ||||
H自己株券買付状況報告書及びその訂正報告書(11号) | ||||
I親会社等状況報告書及びその訂正報告書(12号) | ||||
虚偽記載等のある書類の提出者の賠償責任 | 上記@ないしIの書類のうちに、重要な事実についての虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の岸アがかけているときは、当該書類の提出者は、当該書類の内容が第25条1項の規定により公衆の縦覧に供されている間に当該書類の提出者又は当該書類の提出者を親会社等とする者が発行者である有価証券を募集又は売出しによらないで取得した者に対し、第19条1項の規定の例により算出した額を超えない限度において、記載が虚偽であり、又は欠けているこいと(虚偽記載等)により生じた損害を賠償する責めに任ずる(第21条の2第1項)。 | |||
請求権者が当該有価証券の取得について支払った額から、@請求時に当該有価証券を保有している場合は、請求時における市場価額(市場価額がないときは、その時における処分推定価額)を控除した額か、A請求時前に当該有価証券を処分したときは、その処分価額を控除した額をそれぞれ限度とする。(法21条の2@、19条@の規定により算出した額を超えない限度) ←有価証券届出書に虚偽記載があった場合よりも多額の責任を発行者に負わせるのは不当。 |
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無過失責任 | ||||
損害の推定規定 | 当該書類の虚偽記載等の事実の公表がされたときは、当該虚偽記載等の事実の公表がされた日(公表日)前1年いないに当該有価証券を取得し、当該公表日において引き続き当該有価証券を所有する者は、当該公表日前1月の当該有価証券の市場価額(市場価額がなおときは、処分推定価額)の平均額から当該公表後1月の当該有価証券の市場価額の平均額を控除した額を、当該書類の虚偽記載等により生じた損害の額とするきおとができる。(法21の2A) | |||
「虚偽記載等の事実の公表」とは、当該書類の提出者又は当該提出者の業務若しくは財産に関し法令に基づく権限を有する者により、当該書類の虚偽記載等に係る記載すべき重要な事実又は誤解を生じさせないために必要な重要な事実について、第25条1項の規定による公衆の縦覧その他の手段により、多数の者の知り得る状態に置く措置がとられたことをいう。(法21の2B) | ||||
被告の抗弁 | @因果関係の不存在 その請求者が受けた損害の額の全部又は一部が、当該書類の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情によって生じたことを証明したときは、その全部又は一部については、賠償の責めに任じない。(法21の2C) |
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A減額の抗弁 因果関係は存在したとしても、その請求権者が受けた損害の全部又は一部が、当該書類の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情によって生じたことが認められ、かつ、当該事情により生じた損害の性質上その額を証明することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、賠償の責めに任じない損害の額として相当な額の認定をすることができる(法21の2D)。 民訴法248の裏返しの規定。 |
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賠償請求権の時効 | 請求権者が法25@各号に掲げる書類のうち重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載がかけていたことを知ったとき又は相当な注意をもって知ることができる時から2年間。(法21条3、20条前段) | |||
当該書類が提出された時から5年間。 | ||||
提出会社の役員等の賠償責任 | 書き書類のうちに、重要な事実について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、法22条が準用され、それぞれの書類についてその記載が虚偽であり、又は欠けていることを知らないで、当該書類の提出者が発行者である有価証券を募集又は売出しによらないで取得した者に対し、提出会社の役員又は公認会計士若しくは監査法人は、記載が虚偽であり、又は欠けていることより生じた損害を賠償する責めに任ずる。 | |||
@有価証券報告書(法24の4により準用) | ||||
A内部統制報告書(その訂正報告書を含む)(法24の4の6により準用) | ||||
B四半期報告書(その訂正報告書を含む)(法24の4の7Fにより準用) | ||||
C半期報告書及び臨時報告書(法24条の5Dにより準用) | ||||
D自己株券買付状況報告書(法24の6Aにより準用) |
公開買付け | ||||||
★公開買付制度の趣旨 | ||||||
★公開買付制度の趣旨 | 株式取引の方法 | 投資家が金融商品取引所に上場されている株式を取得する方法: @取引所市場内の取引を通じて取得する方法 A取引所市場外の相対取引を通じて取得する方法 |
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取引所市場内の取引の公平・平等性 @誰でも取引に参加できる公開の取引(公開性) A取引の数量や価格が公表されている透明な取引(透明性) B競争売買によって行われる公正な取引(公正性) |
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取引所市場外で株式取引がなされる場合、株式を売買しようとする投資家の利益が害されることがある。 ⇒投資家が、主に取引所市場外で一定の条件を満たす取引を行う場合、法令が定める手続に従って公開買付けを行うことを強制。(法27条の2E) |
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趣旨の多様性 | 公開買付(Tender Offer Bid): 多数の投資家に対して新聞広告などを通じてい有価証券の取得を提案し、取引所市場外で有価証券を取得する行為。 |
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@全ての株主に株式売却の機会を与えること等を通じて株主を平等に取り扱うことや、 A株主が十分な情報に基づいて株式を売却するか否かの投資判断を行うことを確保するなど、 取引所市場外の問題に対処するよう定められている。 |
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公開買付制度を通じて、支配権を獲得しようとする買収者、株主、買収の対象会社・経営者間の合理的な利害関係を図ろうとする傾向。 | ||||||
株式取引による支配権移転 | 大量保有報告制度は、会社経営に対する影響力をもった投資家の存在・変更、すなわち会社支配権の帰趨について、他の投資家や影響力を行使される可能性がある会社に情報を提供する機能を果たす。 but 会社支配権の帰趨に関する情報開示を要求するだけでは、投資家や会社の利益を保護できないことがある。 特に、支配権取引が取引所市場外で行われる場合には問題。 |
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市場外支配権取引の問題 | @取引所市場外の取引は相対取引⇒すべての投資家に取引に参加する機会が保障されていない。 組織再編行為と同じく、全株主に対して大きな影響を与えるが、組織再編行為の場合と異なり、株式買取請求権などが保障されていない。 |
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A強圧性の問題:他の投資家が相対取引に応じ、会社支配権が変動⇒相対取引に応じなかった投資家の株式価値も変動⇒株式を保有し続けるより不利な条件でも相対取引に応じた方が将来の不確実性を排除できる。 | ||||||
B情報開示の問題: 取引所市場内取引を通じて株式取得⇒大量保有報告制度や各種報道を通じて株価に反映。 相対取引⇒情報が株価に反映されない。 |
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支配権取引は、会社支配権の帰趨に変動が生じ会社の経営方針に大きな変更が見込まれる⇒会社の組織再編行為と共通。 | ||||||
公開買付制度の意義 | 公開買付制度は、主に取引所市場外で一定の条件を満たす取引を行う場合には法の手続に従って公開買付を行うことを強制し、次の目的を達成しようとする。 @株式会社等の支配権に影響が生じる場合に株主に持株を売却する機会を与える。 A公開買付けに応じるか否かについて投資家が適切な判断を行うことができる機会を確保。 B会社等の支配権争奪状況に関する公正なルールを確立。 |
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★公開買付けが強制される範囲 | ||||||
★公開買付けが強制される範囲 | 対象有価証券 | 有価証券報告書の届出義務を負う発行者と特定上場有価証券(2条33項)の発行者がはこうする議決権のある株式の取引等、発行者の支配関係に影響するものに限定。 | ||||
強制される取引 | 規定 | 法27条の2第1項各号に列挙 | ||||
分類 | @持株割合を増加させるために、取引所市場外において株式を取得すること(法27条の2第1号〜3号) | |||||
A持株割合を増加させるために、ある特定の期間内に取引所市場内外の取引等を組み合わせて株式を取得すること(法27条の2第1項4号6号、令7条7項) | ||||||
Bすでに公開買付けの対象となっている株式について、同じ株式を一定量以上所有する投資家が株式を取得すること(法27条の2第1項5号) | ||||||
基準 | @取引所市場外の取引か否かという基準 (一定の条件を満たす取引所市場外の取引に、公開買付けが強制される場合が多い) |
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A取得の形態: 単に株式を有償で取得する行為に加え、売買契約の予約完結権、コール・オプション等を取得する場合も公開買付制度の対象となる取引に含まれる(令6条3項、公開買付2条の2)。 |
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B取得する株式数等: 株式等を取得した結果、持株割合が一定以上となる場合には、公開買付けによって株式等を取得しなければならないとされている(法27条の2第1項1号〜4号) |
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所有割合の算定 | 株式を取得しようとする者の取得後の持株割合に、別に算定される特別関係者の持株割合が加算される(法27条の2第1項1号括弧書)。 | |||||
特別関係者には、形式基準によるものと実質基準によるものがある。 形式基準: 買付者が総議決権数の20%以上を保有する株式会社など法令が定める特別の関係がある者(法27条の2第7項1号、令9条) 実質基準: 買付者と株式の取得・譲渡・議決権行使・取得後の譲渡または譲受けについて合意をしている者 |
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持株割合は、買付者または特別関係者が所有する株式等の議決権の数を分子として、発行会社の総議決権の数に買付者と特別関係者が保有する新株予約権付社債など議決権が潜在的に存在する有価証券の議決権の数を加算したものを分母として算定される(法27条の2第8項)。 | ||||||
買付者または特別関係者が直接的に所有権を取得することになる株式に加え、他人が所有する株式であるが買付者または特別関係者が一定の権限をもっている株式も、持株割合の算定の際には所有しているものとして扱われる(法27条の2第1項1号括弧書、令7条1項、公開買付4条) | ||||||
議決権の数の算定については、取得請求権付株式や新株予約権付社債等議決権が潜在的に存在する有価証券について、特別の定めがおかれている(法27条の2第8項1号、公開買付8条)。 | ||||||
公開買付けを強制する基準となる買付者Aと特別関係者Bの持株割合(法27条の2第8項) (自己名義で所有する株式等(新株予約権付社債等を含む)の議決権の数+他人名義で所有する一定の株式等の議決権の数)/(発行会社の発行済株式の議決権の総数+AとBが保有する新株予約権付き社債等の議決権の数) 公開買付けの強制の基準となる持株割合⇒Aの持株割合+Bの持株割合 (持株割合は買付け後を基準として算定される) |
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@取引所市場外での取得の規制 | 支配権に影響が生じる可能性がある取引の規制 | 取引市場外で株式を取得することで持株割合を5%超にするためには、原則として、公開買付けによって株式を取得しなければならない(法27条の2第1項1号)。 | ||||
株式を取得する相手方の人数とそれ以前の60日間に取引所市場外で株式を取得した相手方の人数の合計が10名以下である場合には、公開買付けによらずに、取引所市場外での取引を通じて、持株割合を5%超の上昇させることを認めている(法27条の2第1項1号括弧書、令6条の2第3項)。 ← @投資家の数が少なければ、取得者と対等の交渉力を獲得することが可能 A少数の投資家からの取得であれば、株主構成が大きく変更することにはならず、会社への支配関係への影響もそれほど大きいとはいえない。 |
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3分の1ルール | 少数の投資家から買い付ける場合であっても、取引所市場外での取引を通じて持株割合が3分の1を超える場合には、公開買付けを行う必要がある(法27条の2第1項2号、令6条の2第3項、公開買付3条3項)。 ←取得の申出を受けなかった投資家の保護。 |
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投資家は不安定な地位に置かれる。 @支配株主と会社の利害が必ずしも一致しないことから、少数株主の利益が害される可能性が高い。 A株式の取得がなされた後、上場廃止となれば、株式を市場で売却し、少数株主の地位から脱却することすら困難になる。 |
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店頭市場は取引所市場と同じく扱われる(令6条の2第2項)。 取引所市場における取引であっても、立会外取引など内閣総理大臣がい指定する方法による取引を通じて持株割合を3分の1よりも高めることは禁止されている(法27条の2第1項3号、平成17年7月8日金融庁告示第53号)。 ←立会外取引は、取引所市場における通常の取引と異なり競売買等の方法によって行われず、取引所市場外の取引と類似した形態をとることがある。 |
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A取引市場内外を組合わせた取引の規制 | 法は、一定期間内になされる取引の中に、公開買付を除く取引所市場外でなされた取引または立会外取引が含まれる場合を規制対象とする(法27条の2第1項4号)。 @3か月間に発行済株式総数の10%超に相当する株式を、発行済株式の取得または発行会社から新株発行を受けることによって取得すること(令7条2項3項)。 A@の取引において、発行済み株式総数の5%超に相当する株式が、取引所市場外の取引(公開買付と店頭市場における取引を除く)または立会外取引によって取得されること(令7条4項) B@の取引の結果、持株割合が3分の1を超えること、 という3つの要件を満たす場合は、@に含まれる発行済株式の取得は公開買付けによって行わなければならない。 |
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趣旨@:取引所市場外での取得規制の潜脱防止 ex. 大株主Bから取引所市場外で株式を取得することで25%、その後(3か月以内に)取引所市場での株式取得や発行会社の第三者割当増資で持株割合40% 〜市場外取得規制には該当しない。 but 本件規制により、カバーされる。 |
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趣旨A:急速な株式取得の規制 ←本規制の結果、公開買付けの前段階として、取引所市場外で株式を取得することが制限される。 |
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B支配権争奪状況における株式取得の規制 | 公開買付けの対象となっている株式の持株割合が3分の1を超えている株主が、公開買付届出書に記載された公開買付期間中、発行済株式総数の5%超に相当する株式を取得(取引市場内での取得を含む)するためには、公開買付けによらなければならない(法27条の2第1項5号、令7条5項6項)。 ⇒ 公開買付届出書に記載された公開買付期間中は、大株主が公開買付け以外の手段で持株割合を上昇させることが制限される。 |
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趣旨: 公開買付者と、それに競合しようとする大株主を公平に扱う。 |
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公開買付制度の適用除外 | 法が定める条件を満たす場合でも、公開買付けを行うことを強制する必要がないと考えられる場合には、公開買付制度の適用が除外される(法27条の2第1項ただし書、令6条の2)。 新株予約権を行使したり、特別関係者から株式を取得したりした結果、持株割合が3分の1を超える場合、公開買付けの必要なし。 ←Aが保有する新株予約権の議決権やAの特別関係者が保有する議決権は、Aに公開買付けの実施を強制する基準である持株割合の算定の際にすでに考慮されている(法27条の2第8項、公開買付8条)。 株式の数が25名以下であって、株主全員が公開買付けによらないで持株割合が発行済株式総数の3分の1となるような取引が実施されることに同意した場合も、公開買付けの実施は強制されない(令6条の2第1項7号、公開買付2条の5第1項)。 ←保護される株主が、法による保護は不要であるとしている以上、公開買付けを強制する意義が乏しい。 |
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★公開買付けの手続 | ||||||
★公開買付けの手続 | 公開買付け手続と情報開示 | ●公開買付者による情報開示 | ●公開買付者による情報開示・・・公開買付開始公告・公開買付届出書・公開買付説明書 | |||
○ | 公開買付けは、公開買付者が、公開買付公告を行うことによって、その手続が開始(法27条の3第1項)。 EDINETまたは日刊新聞において行う(令9条の3第1項)。 公告の対象となる事項には、公開買付けを行う旨に加えて、公開買付者の氏名や住所、公開買付けの目的、買付条件、応募・決済の方法等が含まれる(公開買付10条)。 |
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○ | 公開買付者は、 公開買付開始公告を行った日に、内閣総理大臣に対して公開買付届出書を提出(法27条の3第2項)。 公開買付届出書の写しを、公開買付けの対象となっている株式の発行会社、株式が上場されている金融商品取引所等に送付する必要(法27条の3第4項)。 |
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公開買付届出書が提出されない限り、公開買付者等は、投資家に対して公開買付けに応じるよう勧誘すること等、一定の行為を行うことがでいない(法27条の3第3項、公開買付15条)。 | ||||||
公開買付届出書では、 添付資料の提出が要求されるとともに、 買付けの目的、買付価格や公開買付者に関する情報等、すでに公開買付開始公告の対象となっている事項について、さらに詳細な情報を開示することが要求されている(法27条の3第2項、公開買付12条、13条・第2号様式)。 ex. 支配権取得を目的⇒支配権取得の方法および支配権取得後の経営方針について具体的に記載 買付価格⇒その算定根拠を具体的に記載。外部の専門家の意見を聴取して買付価格を決定した場合、決定に至る経緯についても具体的に記載。買付に必要な資金の存在を示す書類を添付書類として提出(公開買付第2号様式記載条の注意(10)f)。 |
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○ | 公開買付社は、公開買付説明書を作成する必要(法27条の9第1項)。 公開買付けによってい株式を取得するためには、あらかじめまたは同時に公開買付説明書を交付する必要(法27条の9第2項、公開買付24条4項)。 公開買付説明書には、公開買付届出書の記載事項の中で、公衆縦覧の対象から外されている事項以外のすべての事項が記載されてる必要(法27条の9第1項、公開買付24条) |
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○ | 公開買付開始公告または公開買付届出書の内容に誤り ⇒ 公開買付開始公告の内容を訂正する公告とその旨の公表、訂正届出書を内閣総理大臣に提出(法27条の7第1項・27条の8第1項2項、公開買付21条3項)。 公開買付説明書の訂正や訂正後の公開買付説明書の再交付(法27条の9第3項、公開買付24条5項) |
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公開買付者等が公開買付けに応募した株主に損害賠償責任を負う 以下の規定では、いずれも発行開示に関する民事責任の規定(16条〜18条)が準用。 @公開買付けに応募することを勧誘したり株主を取得したりする際に義務付けられている、公開買付届出書の内閣総理大臣への提出や公開買付説明書の株主への交付がなされていない場合(法27条の16) A記載内容に誤りがある公開買付説明書やその他の資料を利用して、公開買付けに応募することの勧誘が行われたこと(法27条の19) B公開買付開始公告等の記載内容に誤りがあったこと(法27条の20) |
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○ | 公開買付の対価として有価証券を提示(交換買付け(exchange offer))⇒有価証券の募集・売出しに関する規制も遵守する必要。 交換買付け「には、募集・売出しに関する規制も適用」 ⇒ 公開買付社は、公開買付届出書を提出していても、有価証券届出書等を提出しない限り、投資家に対して公開買付に応じるよう勧誘すること等ができない(法27条の4第1項2項、公開買付15条) 有価証券届出書等を提出⇒公開買付届出書の記載事項・添付書類の一部を省略することが認められる(法27条の4第3項、公開買付16条)。 |
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●意見表明報告書・対質問回答報告 | ●意見表明報告書・対質問回答報告書 | |||||
○ | 投資家に対しては、公開買付けの対象となっている株式の発行会社による意見表明報告書と、意見表明報告書に記載された質問事項に対する公開買付者の対質問回答報告書を通じた情報開示もなされる。 | |||||
○ | 発行会社: 公開買付開始公告がなされた日から10営業日以内に、内閣総理大臣に対して意見表明報告書を提出する必要(法27条の10第1項、令13条の2第1項)。 意見表明報告書の写しを公開買付者や公開買付けの対象となっている株式が上場されている金融商品取引所に送付する必要(法27条の10第9項)。 |
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意見表明報告書: 公開買付けに関する意見の内容と根拠やいわゆる買収防衛策を発動する予定等を記載する必要(公開買付25条・第4号様式)。 公開買付けに関する意見に加えて、公開買付者に対して、質問と公開買付期間の延長請求を行うことができる(法27条の10第2項)。 |
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○ | 公開買付者: 自己に対する質問が記載された意見表明報告書の写しの送付を受けた日から5営業日以内に、対質問回答報告書を内閣総理大臣に提出(法27条の10第11項、令13条の2第2項)。 その写しを発行会社等に送付(法27条の10第13項)。 |
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対質問報告書では、質問に対する回答を記載する必要があるが、理由を付せば回答を留保するこおとが可能(公開買付25条の3第4項・第8号様式)。 | ||||||
対質問回答報告書とその訂正報告書の記載内容に誤り⇒買付者は公開買付けに応募した株主に対して損害賠償責任を負う(法27条の20第1項4号)。 | ||||||
○ | 株主の投資判断にとっての重要性 @株主が多い⇒情報収集・分析能力の限界⇒個々人では適切な投資判断ができない。⇒発行会社によってなされた買付条件等の評価は、公開買付けに応じるか否かを判断する際に重要な情報。 A公開買付者が敵対的企業買収者⇒発行会社は買収防衛策を発動するか否かについての情報を開示させる必要がある。 買収防衛策の発動は、公開買付の成否に大きな影響⇒投資判断に重要な影響。 |
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意見表明報告書と対質問回答報告書の意味は、公開買付期間の比較的初期に、少なくとも1回は、発行会社と公開買付者間で意見交換がなされることを法的に保証する点にある。 | ||||||
●M B O 等の特則 |
●MBO等の規制 | |||||
経営者や経営者が出資する投資ファンドが公開買付者となり、支配権の獲得を目的として公開買付けがされることがある。 MBOでは、公開買付け後に実施される全部取得条項付種類株式の取得や組織再編等を経て、経営者や経営者が出資する投資ファンドが、発行済株式の全部を取得することが目的。 |
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MBOの場合、経営者に、株主のために行動することを期待することはできない。 ⇒ 公開買付者が、発行会社の役員や発行会社を子会社とする者である場合には、公開買付者と発行会社に特別の対応をすることが求められている。 役員の依頼により公開買付けを行う場合で公開買付者と役員の利害関係を共通する場合にも同様(公開買付13条1項8号)。 |
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@買付価格の妥当性に関して、公開買付者は、買付価格を算定する際に第三者である専門家の意見をう聴取した場合には、その評価書などの写しを公開買付届出書の添付書類として提出する必要(公開買付13条1項8号)。 専門家の意見を聴取すること以外に買付価格の公正性を担保するための措置を講じている場合、公開買付届出書に、その具体的内容を記載することも求められる(公開買付12条、第2号様式記載条の注意(6)f)。 A公開買付者と発行会社の利益相反に関して、公開買付者は、公開買付届出書において、公開買付けの実施を決定するに至った意思決定の過程の具体的内容に加えて、利益相反を回避する措置を講じている場合にはそおの具体的内容も記載する必要(公開買付12条・第2号様式記載上の注意(25))。 |
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●監督権限・刑事罰・課徴金 | ●監督権限・刑事罰・課徴金 | |||||
○ | 公開買付開始公告等の内容に誤り ⇒公開買付者に対して、訂正公告または訂正届出書の提出を命じることができる(法2条の7第2項3項・27条の8第3項〜5項・27条の10第5項〜8項12項)。 公開買付届出書の訂正が命じられる場合、内閣総理大臣は、命令の対象となった書類の全部または一部について公衆縦覧を停止することもできる(法27条の14第5項〜7項)。 |
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内閣総理大臣は、公開買付者や対象会社などに対して、報告の聴取および検査を行う権限(法27条の22)。 | ||||||
○ | 刑事罰と課徴金納付命令の対象 課徴金の額: 手続に違反して買い付けた株式の総額の100分の25(法172条の5・172条の6) 刑事罰: 公開買付開始公告など法が定める手続を行わなかったこと⇒5年以下の懲役または500万円以下の罰金(法197条の2第4号5号) 公開買付開始公告など重要な事項に虚偽の記載を行ったこと⇒10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(法197条1項2号3号) 刑事罰については、両罰規定も存在(法207条1項1号2号)。 |
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買付期間中の規制 | ●買付期間 | ●買付期間 | ||||
○ | 公開買付者は、公開買付会社公告の日から起算して20営業日から60営業日の範囲内で、買付期間を決定(法27条の2第2項、令8条1項)。 株式の保有者は、買付期間内に、公開買付けに応募するか否かの投資判断を行う。 |
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○ | 公開買付者:買付期間は短いほうが望ましい。 ← @公開買付けの成否が不明確な状態が長期間にわたり継続 A事業環境が変化し、公開買付けの所期の目的を達成できない場合も考えられる。 B買付期間中は、原則として、取引所市場内外の取引で公開買付けの対象となっている株式を取得することができなかったり(法27条の5)、公開買付けを撤回したり買付条件を変更したりすることが制限される(法27条の11)など、種々の行為規制。 |
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投資家:通常、買付期間は長い方が有利だが、そうとも限らない。 ← 提供される情報や市場の状況等を熟慮する余裕が生まれる。 but 発行会社の経営陣が自己保身の目的から、買収防衛策を発動し、公開買付者が公開買付けを撤回することもある。 |
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○ | 具体的な状況に応じて投資家の利益を保護することを可能とするために、発行会社は、公開買付者が設定した買付期間が30営業日以内である場合には、意見表明報告書で買付期間の延長を請求することができる(法27条の10第2項2号、令9条の3第6項)。 延長請求する旨記載された意見表明報告書が公衆縦覧に供されるときに、公開買付者は買付期間を30営業日に延長する義務を負う(法27条の10第3項、令9条の3第6項)。 |
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● | ●買付条件の変更と公開買付けの撤回 | |||||
○ | 公開買付けが明らか⇒発行会社の株価は買付価格に近似した価格まで高騰 (←公開買付けに応募すれば、買付価格で持株を売却することができる。) ⇒ 公開買付者は、原則として、買付期間中に買付価格の引下げや買い付け予定株式数の減少といった投資家にとって不利な買付条件の変更や公開買付けの撤回を行うことができない(法27条の6第1項各号・27条の11第1項)。 |
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○例外 | @発行会社が株式分割や新株または新株予約権の無償割当てを行った場合には、あらかじめ公開買付開始公告と公開買付届出書に留保しておくことで、買付価格を一定限度引き下げることができる(法27条の6第1項1号括弧書、令13条1項)。 ex.公開買付者が買付価格を100として公開買付けを開始した後に、発行会社が1対2の割合で株式分割⇒公開買付者は50(=100×1/2)を限度として買付価格を引き下げることができる(公開買付19条1項1号)。 |
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A公開買付者は、公開買付開始公告と公開買付届出書に留保しておくことで、公開買付けの目的の達成に重大な支障となる事情が発生した場合に、公開買付けを撤回することができる(法27条の11)。 撤回事由は法令によって限定: @発行会社または子会社の業務執行を決定する機関が施行令の定める事項について決定を行ったこと A発行会社の事業活動に重大な影響を与える客観的な事実が発生したこと B公開買付者が株式を取得するために必要な他の法令上の許可等を取得できなかったこと (令14条1項各号、公開買付26条4項) |
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株式の取得 | ●買付条件の平等 | ●買付条件の平等 | ||||
公開買付者は、原則として、応募があった株式の全部を取得しなければならない。 ただし、あらかじめ公開買付開始公告と公開買付届出書において、取得株式数について一定の条件を付しておくことが認められている(第27条の13第4項本文)。 @応募があった株式の数が一定数を下回る場合には、応募があった株式の全部を取得しないこと(以下、最低取得株式数という。法27所受の13第4項1号) A応募があった株式の数が取得予定株式数を超える場合には、超過部分の全部または一部について取得しないこと。(以下、部分的公開買付けという。法27条の13第4項2号) |
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部分的公開買付けの場合、法は、公開買付者にあん分比例方式によって株式を取得することを明文で要求し、応募の時期を問わず応募株主が平等に取り扱われることを明示(法27条の13第5項、公開買付32条)。 | ||||||
●全部買付義務・全部勧誘義務 | 公開買付けの結果、公開買付者の持株割合が3分の2以上になる場合には、公開買付者は応募があった株式全部を取得しなければならない(以下全部買付義務という。法27条の13第4項)本分括弧書、令14条の2の2。 | |||||
公開買付者に全部勧誘義務が課される場合: 新株予約権付社債や議決権付き種類株式を発行している発行会社については、持分割合を3分の2以上とすることを目的とする公開買付けを行う場合には、すべての新株予約権付社債や議決権付種類株式を対象として、公開買付けを行わなければならない(法27条の2第5項、令8条5項3号、公開買付5条3項4項)。 |
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●別途買付けの禁止 | 公開買付者は、公開買付期間中、公開買付けの対象となっている株式を、取引所市場内外の取引を通じて取得することが禁止されてる(法27条本文)。 ← @公開買付制度の実効性を確保 A株主間の平等の確保 |
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発行者による公開買付け | 公開買付けを強制する意義 | 規定 | 会社法第156条(株式の取得に関する事項の決定) 株式会社が株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。ただし、第三号の期間は、一年を超えることができない。 一 取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数) 二 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等(当該株式会社の株式等を除く。以下この款において同じ。)の内容及びその総額 三 株式を取得することができる期間 2 前項の規定は、前条第一号及び第二号並びに第四号から第十三号までに掲げる場合には、適用しない。 |
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第158条(株主に対する通知等) 株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を通知しなければならない。 2 公開会社においては、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。 |
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第160条(特定の株主からの取得) 株式会社は、第百五十六条第一項各号に掲げる事項の決定に併せて、同項の株主総会の決議によって、第百五十八条第一項の規定による通知を特定の株主に対して行う旨を定めることができる。 2 株式会社は、前項の規定による決定をしようとするときは、法務省令で定める時までに、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、次項の規定による請求をすることができる旨を通知しなければならない。 3 前項の株主は、第一項の特定の株主に自己をも加えたものを同項の株主総会の議案とすることを、法務省令で定める時までに、請求することができる。 4 第一項の特定の株主は、第百五十六条第一項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、第一項の特定の株主以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。 5 第一項の特定の株主を定めた場合における第百五十八条第一項の規定の適用については、同項中「株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)」とあるのは、「第百六十条第一項の特定の株主」とする。 |
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○ | 会社が株主との合意によって自己の株式を取得するためには、株主一般または特定の株主に対して取得の申入れをする必要がある(会社法158条1項、160条1項)。 会社法は、自己の株式の取得に内在する売却株主と残存株主の利益相反を緩和するため、自己の株式を売却する機会をすべての株主に平等に保障することを重要な政策目的として位置づけている。 会社法上、特定の株主から自己の株式を取得することも明文で認められている(会社法160条1項)が、この場合でも、原則として他の株主に対しても持株の売却機会が保障されている(会社法160条3項)。 |
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法は、会社法の規定を受けて、会社が株主一般から取引所市場外の取引を通じて自己の株式を取得する場合には、法が定める手続に従って公開買付けを行うことを義務付けている(法27条の22の2第1項1号、令14条の3の2第1項)。 ← 公開買付けに従って自己の株式の取得が行われれば、すべての株主に売却機会が保障されることになる。(会社法は、売却機会の平等という観点から、市場取引と法の手続きに従って行われる公開買付けを同等に扱っている(会社法165条1項)。) |
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発行者以外の者による公開買付けと異なり、新株予約権や新株予約権付社債の取得が適用範囲外。また取得予定株式数が要件となっていない。 ← 発行者に対して公開買付けを強制する趣旨が、自己の株式の取得に際して、すべての株主に売却機会を保障することにある。 |
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発行者による公開買付けの規制の特徴 | ●差異 | ●発行者以外の者による公開買付けとの差異 | ||||
発行者である会社が行う公開買付けに対しては、情報開示という点で特徴。 ← 会社が株価に影響を与える可能性が高い情報を秘匿しつつ、自己の株式を取得する危険がある。 情報を秘匿しつつ自己の株式を取得することを認めることは、法166条以下の内部者取引規制の趣旨に反するとともに、売却株主と残存株主の平等を確保するという点からも問題。 |
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● | ●重要事実の公表義務 | |||||
発行者である会社が自己の株式を取得するために公開買付けを行う場合も、公開買付開始公告を行い、公開買付届出書を内閣総理大臣に提出する必要がある(法27条の22の2第2項)。 ただし、会社が公開買付届出書を提出する際に、発行者が把握しているすべての重要事実を日刊新聞紙等を通じて公表することが義務付けられている(法27条の22の3第1項、発行者公開買付11条)。 |
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会社は、新たな重要事実を公表するとともに、すでに公開買付けに応募したか否かを問わず、公開買付けの対象となっている株式の保有者に対してその旨を通知することが義務付けられている(法27条の22の3第2項、発行者公開買付11条)。 重要事実が公表された日から10営業日は、株主に熟慮の機会を保障するため、買付期間の延長が義務付けられる場合もある(法27条の22の3第4項、発行者公開買付25条)。 |
相場操縦行為等の禁止(法159) | |||||||||
構成要件 | 取引所有価証券市場における価格形成を人為的に歪曲する行為であり、その市場阻害性が刑罰の対象となる。 法は、有価証券の売買、市場デリバティブ取引又は店頭デリバティブ取引のうちいずれかの取引が繁盛に行われ低ルと他人に誤解させる等これらの取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもって以下に掲げる行為(相場操縦行為等)を行うことを禁止する。(法159@) |
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@仮装売買 | |||||||||
A馴合売買 | |||||||||
B現実取引等による相場操縦(変動操作) | |||||||||
C市場操作情報の流布 | |||||||||
D虚偽情報による相場操縦 | |||||||||
E安定操作取引 |
内部者取引の規制 (会社関係者の禁止行為)⇒論点整理(インサイダー取引関係)へ |
内部統制関係→内部統制ファイルへ |
議決権代理行使の勧誘 | ||
規制 | 法194(議決権の代理行使の勧誘の禁止) 何人も、政令で定めるところに違反して、金融商品取引所に上場されている株式の発行会社の株式につき、自己又は第三者に議決権の行使を代理させることを勧誘してはならない。 |
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施行令36の2@ 勧誘者は、当該勧誘に際し、被勧誘者に対し、委任状の用紙及び参考書類を交付しなければならない。 |
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「勧誘」の定義なし。 メルクマールは議決権の代理行使の受任に向けられた行為かどうかが問題。 該当する: 「応援してください」「委任状をお待ちしております。」「株主提案権の説明会にお越しください」 該当しない: 書面投票の勧誘行為 委任状撤回通知の入手行為 |
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施行令36の2、A〜C 勧誘者は被勧誘者の承諾を得て、委任状の用紙及び参考書類を電磁的方法により提供することができる。その承諾は事前に得なければならない。 |
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「承認」ボタン⇒委任状と参考書類のダウンロード。 基準日時点の株主である保証がない。 |
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施行令36の2D 委任状の用紙の様式は、内閣府令で定める。 |
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施行令36の3 委任状の用紙及び参考書類を交付したときは、直ちに、これらの書類の写しを金融庁長官(施行令43条の11により管轄の財務局長)に提出しなければならない。但し、同一の株主総会に関して全株主に対して株主総会参考書類及び議決権行使書面が交付されている場合はかかる提出は不要である。(委任状勧誘府令44条) |
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施行令36の4 虚偽記載のある書類による記載の禁止。 |
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施行令36条の5 株主による参考書類の交付請求権 |
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施行令36条の6 適用除外 ・発行会社又はその役員のいずれでもない者が行う勧誘で、被勧誘者が10人未満の場合。 ・日刊新聞紙における広告で、発行会社の名称、広告の理由、株主総会の目的たる事項、委任状の用紙を提供する場所を表示する場合。 ・他人の名義により株式を保有する者がその他人に対して勧誘する場合。 |
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法205の2第2号 規制に違反した場合は30万円以下の罰金 |
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法192 違反行為に対する裁判所の禁止又は停止命令 |
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上場株式の議決権の代理行使の勧誘に関する内閣府令(委任状勧誘府令)1〜45 記載事項について規定 1:一般記載事項 2〜20:会社提案につき会社によって委任状勧誘が行われる場合の記載事項 21〜38:会社提案につき株主によって委任状勧誘が行われる場合の記載事項 39:株主提案につき会社によって委任状勧誘が行われる場合の記載事項 40:株主提案につき株主によって委任状勧誘が行われる場合の記載事項 41:種類株主総会への準用規定 42:電磁的方法 43:委任状の用紙には、議案ごとに被勧誘者が賛否を記載する欄を設けなければならない。ただし、別に棄権の欄を設けることを妨げない。 44:同一の株主総会に関して全株主に対して株主総会参考書類及び議決権行使書面が交付されている場合は提出不要。 45:電磁的記録 |
行為規制概観 | ||
A:全ての業務に適用される行為規制 | @誠実義務(法36) | |
A標識の掲示(法36の2) | ||
B名義貸しの禁止(法36の3) | ||
C広告等の規制(法37) | ||
D社債管理の禁止等(法36の4) (有価証券関連業務を行う業者についてのみ適用) |
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B:販売・勧誘等に関するもの | @取引態様の事前開示(法37の2) | |
A契約締結前の書面交付(法37の3) | ||
B契約締結時の書面交付(法37の4) | ||
C保証金の受領にかかる書面の交付(法37の5) | ||
D書面による解除(クーリング・オフ)(法37の6) | ||
E禁止行為(虚偽告知、断定的判断等の提供、不招請勧誘、勧誘受諾意思の不確認、再勧誘の禁止)(法38) | ||
F損失補てん等の禁止(法39) | ||
G適合性の原則等(法40) | ||
H最良執行方針等(法40の2) | ||
I分別管理が確保されない場合の売買等の禁止(法40の3) | ||
C:投資助言・代理業、投資運用業に関するもの | @禁止行為(偽計・暴行・脅迫、損失補てんの禁止)(法38の2) | |
D:投資助言業務に関する特則 | @善管注意義務(法41A) | |
A忠実義務(法41@) | ||
B禁止行為(法41の2) | ||
C有価証券の売買等の禁止(法41の3) | ||
D金銭または有価証券の預託の受入れ等の禁止(法41の4) | ||
E金銭または有価証券の貸付け等の禁止(法41の5) | ||
E:投資運用業に関する特則 | @善管注意義務(法42A) | |
A忠実義務(法42@) | ||
B禁止行為(法42の2) | ||
C運用権限の委託(法42の3) | ||
D分別管理(法42の4) | ||
E金銭または有価証券の預託の受入れ等の禁止(法42の5) | ||
F金銭または有価証券の貸付け等の禁止(法42の6) | ||
G運用報告書の交付(法42の7) | ||
F:有価証券等管理業務に関する特則 | @善管注意義務(法43) | |
A分別管理(法43の2、43の3) | ||
B顧客の有価証券を担保に供する行為等の制限(法43の4) |
投資運用・投資助言 | |||
登録 | 金融商品取引業者は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。(法29条) | ||
罰則 | 3年以下の懲役・300万円以下の罰金(法198) | ||
投資助言・代理業 | 定義 | 金融商品取引業のうち、第2条8項11号もしくは13号に掲げる行為を業として行うこと(法28条3項) | |
投資助言業務 | 有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関し、助言を行うことを約し、相手方がこれに対し報酬を支払うことを約する契約(投資顧問契約)を締結し、当該契約に基づき助言を行うこと。(法2条8項11号) | ||
投資顧問契約 | 当事者の一方が相手方に対して次に掲げるもの(有価証券の価値等及び金融商品の価値等の分析に基づく投資判断)に関し、口頭、文書(新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者により随時購入可能なものを除く。)その他方法により助言を行うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約。 投資顧問契約に基づき、助言を行うことが金融商品取引業。 |
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行為規制 | @忠実義務 | 顧客のために忠実に投資助言業務を行わなければならない。 (法41@) |
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A善管注意義務 | 顧客に対し、善良な管理者の注意をもって、投資助言業務を行わなければならない。(法41A) | ||
B禁止行為 | a 利益相反取引行為(法41の2、一、二、三) | ||
b アームズレングスルーール(法41の2三) | |||
c 損失補てんおよび追加的利益の提供(法41の2五) | |||
d その他の禁止行為(法41の2六) | |||
C有価証券の売買等の禁止(法41の3): 金融商品取引業者等は、投資助言業務に関して、顧客を相手方とし、または、顧客のために、有価証券の売買、市場デリバティブ取引、外国市場デリバティブ取引およびこれらの媒介、取次ぎまたは代理等を行っては成らない。 適用除外あり。 |
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D金銭または有価証券の預託の受入れ等の禁止(法41の4): 金融商品取引業者等は、投資助言業務に関して、有価証券等管理業務としておこなう場合その他政令で定める場合以外は、いかなる名目によるかを問わず、顧客から金銭もしくは有価証券の預託を受け、または当該金融商品取引業者等と密接な関係を有するものとして政令で定める者に顧客の金銭もしくや有価証券を預託させてはならない。 |
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E金銭または有価証券の貸け等の禁止(法41の5) | |||
投資運用業 | 定義 | 次の@〜Bのいずれかに該当する行為を業として行うこと。 | |
@登録投資法人の資産運用委託契約(法2G十二イ)または投資一任契約(法2G十二ロ)を締結し、当該契約に基づき、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券またはデリバティブ取引にかかる権利に対する投資として、金銭その他の財産の運用(その指示を含む。以下同じ。)を行うこと(法2G十二) | |||
A金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券またはデリバティブ取引にかかる権利に対する投資として、投資信託等の受益証券に表示される権利等その他政令で定める権利を有する者から拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行うこと(上記@に該当するものを除く)(法2G十四) | |||
B金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて、主として有価証券またはデリバティブ取引にかかる権利に対する投資として、信託受益権、外国信託受益権、集団投資スキーム持分その他政令で定める権利を有する者から出資または拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行うこと(ただし@やAに該当するものを除く)(法2G十五) | |||
投資一任契約 | 当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約を締結し、当該契約に基づき、金融商品の価値等の分析にmのとづく投資判断に基づいて有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として金銭その他の財産の運用(その指図を含む。)を行うこと。(第2条第8項12号ロ) | ||
行為規制 | @忠実義務 | 忠実に投資運用業を行わなければならない。 | |
A善管注意義務 | 権利者に対し、投資運用業を行うに当たって善管注意義務を負う。 | ||
B禁止行為 | a | ||
b | |||
c | |||
d | |||
e | |||
f | |||
g | |||
C運用権限の委託 | |||
D分別管理義務 | |||
E金銭または有価証券の預託の受入れの禁止 | |||
F金銭または有価証券の貸し付け等の禁止 | |||
G運用報告書の交付義務 |
課徴金関係 | ||
改正による引き上げ | インサイダー取引 | (旧)重要事項公表日の翌日の株価を基に計算→ (新)重要事実公表後2週間の最高値を基に計算 |
有価証券報告書の虚偽記載・不提出 | (旧)300万円と時価総額の10万分の3のうち大きい方の額→ (新)600万円と時価総額の10万分の6のうち大きい方の額 |
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TOB届出書の虚偽記載・不提出 | (旧)対象外→ (新)買い付け総額の25% |
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課徴金の加算 | 過去5年間に課徴金の対象となった投資家が再犯した場合課長金額を通常の1.5倍に |